2003年に埋めた“タイムカプセル”が、22年後の同窓会で地獄のトリガーとなる――。
日本テレビ系ドラマ『良いこと悪いこと』は、「夢」をキーワードに展開する連続殺人ミステリー。掘り起こされた卒業アルバムには、6人の顔が黒く塗りつぶされていた。その夜、最初の犠牲者が現れる。
以降、「将来の夢の絵」と同じ手口で同級生が次々と狙われていく中、主人公・高木将と元クラスメイトの猿橋園子は“被害者”と“容疑者”という立場を超え、真相を追うバディに。
本記事では、全話のあらすじとネタバレを時系列で整理し、謎の構造や犯人像、そして最終回の結末までを論理的に考察していきます。
【全話ネタバレ】良いこと悪いことのあらすじ&ネタバレ

1話:「6人」――“夢”が凶器に変わる夜、バディはこうして生まれる
黒塗りのアルバムが告げた“復讐の開幕”
舞台は学校創立50周年の同窓会。34歳になった高木将(“キング”)が、22年前に埋めたタイムカプセルをクラスメイトと掘り起こす。
中身は当時描いた「みんなの夢」の絵と、誰かが忍ばせた卒業アルバム。6年1組のページを開いた高木は絶句する──高木を含む6人の顔写真が無残に黒塗りされていたのだ。高木には“6人の共通点”に心当たりがあるが、言葉にできないまま夜が更けていく。
ここでドラマは「標的を予告するアルバム」という“仕掛け”を一気に提示し、動機・機会・手口の三点を観客に考えさせるモードへ切り替える。
“夢”が手口に変わる連続事件
その夜、6人のうち最初の犠牲者が出る。以後、「将来の夢の絵」に沿った犯行シグネチャが浮かび上がる。武田敏生は“空を飛ぶ絵”の持ち主で、マンションから転落死。
桜井幹太は“消防士”の夢を描いた人物で、火災に巻き込まれ意識不明に。
この“夢→手口”の対応が二例続けて起きたことで、視聴者の仮説は一気に狭まる。絵にアクセスできる者、6人と園子の過去を知る者──つまり内輪の犯行が濃厚になるわけだ。タイトルの“良いこと/悪いこと”は、“夢(良いこと)”が反転して“悪いこと”に変わる倫理ゲームとして立ち上がる。
バディ誕生――“被害候補”と“容疑候補”の共闘
高木は“殺されたくない”、園子は“疑われたくない”。利害の一致が、二人をバディへと押し出す。公式要約が示すように、高木は真相解明のため、犯人ではないと主張する園子と手を組む。
この構図の妙は、“被害候補”と“容疑候補”を同じ矢印に並べたこと。互いの心に残る“過去の温度差”を抱えたまま共闘するからこそ、会話の一語一句に含みが生まれ、視線の往復に緊張が宿る。バディ化そのものがサスペンスの燃料となり、以後の事件を観測する“視点装置”として機能する点が巧みだ。
“時間割の犯罪”としての構成美
構成面の肝は、“時間割の犯罪”という見せ方にある。1話の終盤までに“夢→手口”が二件確認され、2話の予告では「これまでの被害者は武田と桜井」と整理される。
重要なのは、タイムカプセルの公開タイミングと犯行準備の整合性。あの場で初めて絵を確認した同級生が、その直後に実行できるのか。準備時間の矛盾が“内輪の誰か+事前に絵を知っていた者(=学校関係者や保管者)”という二層の容疑線を生み出す。
推理が“誰が悪いか”にとどまらず、“誰が何を知っていたか”という情報アクセスの物語に拡張していくのが本作の面白さだ。
起動回としての完成度
総じて第1話は、
①黒塗りの6人=標的の提示
②夢→手口の対位法=犯行サインの宣言
③高木×園子のバディ化=視点の固定
という三段構成で物語の“走り方”を決定づけた。以後は、6人の夢の中身と当時の関係性がピースのように少しずつ開示されるだろう。
犯人探しの軸は
(A)夢の絵へ事前にアクセスできた者
(B)6人と園子の因縁を具体的に知る者
(C)短時間で実行可能な者
――この三条件の積。第1話は、その積が誰に向くのかを視聴者に計算させる、極めてロジカルな“起動回”だったと結論づけたい。
【関連】1話については以下記事で解説

2話の予想:「歌」――“夢→手口”が明文化された回。疑いの輪が内側へ狭まる
“夢”が“手口”として可視化される瞬間
第2話はまず、第1話で起きた2つの被害を明確に言語化するところから始まる。
武田敏生は「空を飛ぶ絵」を描いており転落死、桜井幹太は「消防士」の絵を描いて火災に巻き込まれ意識不明。ここで、“夢(良いこと)”が反転して“手口(悪いこと)”になるという犯行シグネチャが公に確認されたことになる。さらに「6人と園子の因縁を知り、タイムカプセルと絵を利用できた人物」という条件が示され、容疑の輪は“内側=同級生”へと狭まっていく。
残る標的・中島笑美の“夢”と“謝罪”
危険が迫るなか、高木将と猿橋園子は残る標的の一人・中島笑美(ニコちゃん)に連絡を取る。笑美の“過去の夢”は「スポットライトを浴びるアイドルの絵」。現在の彼女は六本木のクラブでホステスとして“光の近く”で生きている。
再会の場で笑美は園子に謝罪するが、予告では「絶対に忘れない……園子が笑美から受けた仕打ちとは!?」と煽られており、当時の加害・被害関係が物語の焦点となる。
つまり“謝罪”という行為は、加害者が責任を“思い出した”ことの証であり、第2話は倫理のグレーをどう描くかに踏み込む回になる。
二本の時間軸――“警告”と“追跡”
一方で、東雲(園子の同僚)と松井は違法薬物の元締めを追う裏線で動いている。連続殺人とは別の動きのように見えて、情報アクセスや取材の優先順位という点で本筋と響き合う。
“連続事件の真相”と“裏社会の動線”は、情報を先に掴んだ者が盤面を制すという一点で重なっており、第2話の時点で「高木×園子の警告行脚」と「東雲×松井の追跡」が並走する構造ができている。のちにこの二つの線が交差する伏線でもある。
ロジック面の要点
犯人像の更新
「絵を事前に見られた」「保存場所に触れられた」人物に限定される。タイムカプセルの開示直後に模倣が続発している事実から、“同窓会以前に絵を把握していた層”(保管関係者・学校職員・特定の同級生)という第二の輪が立ち上がる。
被害者の“現在”の行動半径
笑美が“光を浴びる仕事”に就いていることは、夢の反転を企図する犯人にとって最適な舞台装置が整っていることを意味する。“絵→手口”の翻訳を成立させる条件(場所・時間・人の流れ)がすでに揃っている可能性が高い。
高木×園子の役割分担
高木は残る標的に警告を送り、園子は自分の過去と向き合う。被害候補と容疑候補が同じチームにいることで、接触が情報の入手と危険の増幅を同時に引き起こす。守るために会うのか、守るために距離を置くのか――二つの“正しさ”がせめぎ合う緊張が、このドラマのスリルを生み出す。
タイトル「歌」に込められた構造的意味
「夢→手口」という構図が確立した今、“歌=照明や舞台”のイメージ領域は、笑美の“過去の夢”と“現在の職業”をつなぐ共鳴点になる。“夢(アイドル)だったもの”が“現実(クラブの光)”に変わった現在、過去の加害/被害の記憶が再演される舞台となる。
光と音は「見せたいもの」と「隠したいもの」を切り替えるスイッチであり、“誰が何を誰に見せるのか”という意図が、事件の構造の中に潜んでいる。
総括――情報をめぐる速度戦
第2話は、①シグネチャの明文化(夢→手口)、②容疑者層の絞り込み(内輪+事前アクセス)、③“過去の責任”の再検証(謝罪の場=火種)を同時に進める回だった。視聴者の考察は「犯人は誰か」だけでなく、「どの瞬間、誰が情報の主導権を握っていたか」という“アクセス権の物語”へ拡張する。
高木と園子が“警告の速度”で未来の被害を防ごうとするのに対し、犯人は“夢の翻訳速度”で手口を実行する――この“速度の競争”こそが、『良いこと悪いこと』というタイトルの裏にある緊張の正体なのです。
美浦の朝に響く“再生の鼓動”
美浦の朝は息が白くなるほど冷たい。しかし、馬たちの胸は熱い。JRA協力のカメラが捉えるその呼吸は、栗須の“もう一度走りたい”という心の熱と共鳴していく。
逃げるのでも、逃げ切るのでもなく、“前に出る勇気”と“引く勇気”の狭間で人も馬も揺れる――その揺れが観客の鼓動と噛み合った瞬間、第2話は単なる中継ぎではなく、物語が本当に走り出す合図となるはずです。放送は10月19日(日)21:00、胸の高鳴りを合わせて待ちたい。
3話:※未放送
※物語が出次第、更新予定。
4話:※未放送
※物語が出次第、更新予定。
5話:※未放送
※物語が出次第、更新予定。
良いこと悪いことのキャスト一覧

日本テレビ系土曜ドラマ『良いこと悪いこと』は、ガクカワサキ脚本によるオリジナル作品で、2025年10月11日から放送予定。
物語は同窓会で再会した小学校の同級生たちが連続殺人事件に巻き込まれる“考察ミステリー”。主演は間宮祥太朗と新木優子によるダブル主演です。以下に主要キャストと役どころを整理します。
主要人物(元6年1組の同級生)
- 高木将(たかき しょう)/キング(間宮祥太朗)
主人公。東京郊外で小さな塗装会社を営む34歳の父親。小学生時代はクラスのリーダー的存在で“キング”と呼ばれていた。 - 猿橋園子(さるはし そのこ)/どの子(新木優子)
テレビや雑誌で活躍する記者。久々の同窓会で高木らと再会する。 - 武田敏生(たけだ としき)/貧ちゃん(水川かたまり)
高木と仲の良かったクラスメイト。幼い頃のあだ名がそのまま残っている。 - 土屋ゆき(つちや ゆき)/ゆっきー(剛力彩芽)
現在は専業主婦。22年ぶりに旧友たちと顔を合わせる。 - 豊川賢吾(とよかわ けんご)/トヨ(稲葉友)
美容師として働く。かつての夢と現実に葛藤している。 - 桜井幹太(さくらい かんた)/カンタロー(工藤阿須加)
居酒屋を経営。ハイテンションで園子に声をかける。 - 小林紗季(こばやし さき)/委員長(藤間爽子)
学級委員長だった真面目な女性。 - 高木加奈(徳永えり)
主人公の妻で2歳年上。娘・花音の母。夫の過去が暴かれる中で揺れる姿が描かれる。 - 大谷典代(赤間麻里子)
鷹里小学校校長。元6年1組の担任で、タイムカプセル掘り起こしを呼びかけた人物。22年前の出来事を何か知っている。
周辺人物と新キャスト
同級生以外にも事件を追う刑事や周囲の人物が登場。高木や園子を取り巻くキャラクターとして次が発表されています。
- 金田大樹(木津つばさ)
捜査一課の刑事。視聴者に「ノンストップ考察ミステリー」を呼びかける存在。 - 吉岡愛(玉田志織)
捜査一課の刑事。結末がわからないまま役を演じる楽しさを語る。 - 松井健(秋谷郁甫)
週刊誌「週刊アポロ」の新入社員。ドジだが純粋で、物語にユーモアを添える。 - 丸藤萌歌(田中美久)
スナック「イマクニ」で働くアルバイト。 - 五十嵐駿(矢柴俊博)
週刊アポロの編集長。台本の持つ“エグみ”と“ヒューマニティー”を絶賛し、考察ミステリーを盛り上げる。
さらに、同級生たちの子供時代を演じるキャストとして野林万稔や鈴木礼彩ら、鷹里小学校6年1組の生徒役に多数の若手が出演予定。物語に厚みを加える布陣となっています。
ドラマ「良いこと悪いこと」の予想結末。最終回ではどうなる?

確定情報の整理と“文脈の設計図”
ここまでで確定している事実をまず“土台”として整理する。第1話で、タイムカプセルの中から6人の顔が黒く塗られた卒業アルバムが見つかり、その夜に“6人”のひとりが死亡。
以後、「将来の夢の絵」になぞらえた手口で被害が連鎖し、高木将と猿橋園子は“犯人ではない”という園子の主張を受けてバディを組む。
第2話の公式ストーリーでは、武田=「空を飛ぶ」→転落/桜井=「消防士」→火災という“夢→手口”の対応が明文化され、残る標的の一人が“ニコちゃん”中島笑美であることが示された。
物語の宣言部は「容疑者は同級生。真犯人は誰だ? 予測不能なノンストップ考察ミステリー」。この構造を踏まえ、最終回の着地を論理的に描いてみる。
物語の“論理装置”――推理の軸はどこにあるか
本作は
①標的の予告(黒塗り)
②犯行シグネチャ(夢→手口)
③情報アクセス権(タイムカプセルと絵に触れ得る者)
の三装置を、開始10分で配置している。
推理の核心は「誰がいつから何を知っていたか」と「“夢”を現実に翻訳する舞台装置を用意できるか」の二点に収束する。第2話で提示された文言が「6人と園子の因縁を知り、なおかつタイムカプセルと絵を利用できた人物」。
したがって最終盤の“真相ブレイク”は、黒塗りアルバムの出所・保管経路と、絵の具体内容にアクセスできたタイミングの立証で決まるはずだ。
真犯人の条件と構造――“内輪+鍵”の積
犯人を条件で表すと、
A)6人と園子の歴史の内側にいて動機を持つ
B)絵とアルバムに触れ得る立場(保管・運営・鍵)
C)“夢→手口”を現実に変換できる環境(場所・時間・人脈)
の三要素。AとBは“内輪”に引き寄せ、Cは現代の動線に紐づく“外部の道具”を要する
。最終回で明かされるのは、内輪の動機×外部の道具を橋渡しした人物――情報と舞台を同時に握っていた者だと読む。黒塗りという“公開状”は恫喝ではなく、犯人の“設計図”そのもの。その鍵(アクセス権)こそ真相の導線となる。
「夢→手口」の最終回収――反転をもう一度反転させる
これまでの事件が“夢の反転”として描かれている以上、フィナーレはさらにその反転を逆転させ、「夢」を“守る/回復する”行為で幕を閉じると考える。
たとえば、最後の標的の“夢”を利用した犯行が企図されるが、高木と園子が“夢の現実的な意味”に着眼して未遂に終わらせる。犯人は“象徴(夢の絵)”で脅かし、主人公たちは“具体(今の生活や選択)”で守る。象徴を具体で上書きする――それがこのシリーズの倫理に沿う勝ち筋だ。
バディの最終選択――“今”を守る覚悟
高木はいま家族を持つ“普通のパパ”。無傷で終わる英雄譚ではない。
最終回の命題は「過去の清算」と「現在を守る」のどちらに身を置くか。合理的には両立が理想だが、物語は往々にして一手遅れた後悔か、一手早い断念で終わる。
高木は過去に“言葉で向き合い”、現在を“行動で守る”ことを選ぶ。園子はその選択を可視化する語り手となり、謝罪と赦しの範囲を決定する役回りだ。ラストシーンは「続ける/生きる」側に重心が残るだろう。
「誰が犯人か」より「誰が何を知っていたか」へ
第2話で園子が「私以外の、誰かが」と語った台詞が象徴するように、最終回の焦点は犯人の一点指名ではなく“知識の流通経路”の可視化にある。黒塗りを“作る”人、夢の絵を“知る”人、手口を“実行”する人――役割分担の全貌が暴かれる構図だ。終盤では“共犯関係の切断”、つまり誰がどこでその回線を断ち切ったかがクライマックスとなる。
最終盤の論理骨子
- 黒塗りの出所を特定:鍵と保管経路の矛盾が発覚(アクセス権の立証)
- 夢→手口の舞台を無力化:犯人の仕掛けを先回りで封じ未遂化
- 共犯の分解:実行・情報・演出の役割分担を明示し、知識の流れを可視化
- 言葉の決着:園子が過去の加害者たちへ問いを突きつけ、高木が“今”を守る決意を表明
- エピローグ:タイムカプセル(またはアルバム)を“再封印”せず“開いたまま置く”ことで、「忘れない=良いことと悪いことの間を生きる」覚悟を示す
この構成が、黒塗り=予告、夢→手口=演出、アクセス権=鍵という物語設計を最もロジカルに回収する筋道になる。
結論:現状は誰が犯人かわからない
最終回の魅力は、「誰が悪いか」に留まらず、「誰が何を知っていたか」そして「それを今どう扱うか」にある。
犯人の“演出”に対し、高木と園子は手順と対話で立ち向かう。夢(良いこと)を手口(悪いこと)に変えるゲームを、現実(生き方)で再び反転させる。 その瞬間こそが、タイトル『良いこと悪いこと』の意味が腑に落ちる時だ。最終回は、法的決着と心の決着という二重のカーテンコールで幕を閉じ、視聴者にも「忘れない」という鍵を託す物語になるだろう。
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