前話で深まった母娘の距離を引き継ぎながら、8話は静かな優しさと重たい現実が交互に押し寄せる回になりました。
薫や茉海恵だけでなく、聖子の心が少しずつ変わっていく姿が丁寧に描かれる一方で、その温度を一瞬で揺らす出来事が重なる。
見終わったあと、胸の奥に温度の違う感情が並んで残るような、深い余韻のある一話でした。
※ここからはネタバレを含みます。
フェイクマミー8話のあらすじ&ネタバレ

8話は、薫の「実の母」としての聖子、偽ママとしての薫、本物ママとしての茉海恵。三つの母性が正面からぶつかり合い、最後にはそっと手を取り合う回でした。
そして、優しい“最期の手紙”の余韻から一転、地獄のようなラストへ落とされる怒涛の展開。心の振れ幅が激しい一話でした。
ジーニアス推薦留学制度の最終候補と、「嘘つき」と呼ばれた朝
さゆりに「嘘つき」と突きつけられた翌朝。
薫はまだ胸の痛みを抱えたまま、いろはの手を引いて登校します。
1年1組では、いろはと圭吾、そして他3人の名前が「ジーニアス推薦留学制度」の最終候補として掲示されます。
ここからたった2枠だけが選ばれる。いろはと圭吾は、ライバルとして向き合うことになります。
ママ会では、玲香が「公式の成績以外に裏評価がある」と明かします。
保護者トラブルで推薦が取り消された例もあると聞き、さゆりは青ざめながら「保護者の問題も影響しますか」と確認します。
薫は覚悟を決め、さゆりに「きちんと事情を説明させてほしい」と申し出ます。
するとさゆりは、静かにこう告げます。
「妹さん…日高茉海恵さん、ですよね?」
最初から全部気づいていた。
それでも「友達」でいようとしていた──その事実が、三人の関係の複雑さを物語っていました。
薫・茉海恵・さゆり、三人で向き合う「公開処刑」のような話し合い
場所を薫と茉海恵の“偽家族ホーム”に移し、三人の話し合いが始まります。
会社は上場決定でお祭りムードなのに、その裏で部屋の空気は張りつめていました。
さゆりが最初に尋ねたのは、やはりここ。
「夫とは、どんな関係だったんですか」
茉海恵は過去を隠さず語ります。
・車のイベントで慎吾と出会ったこと
・好みが合い、すぐに付き合い始めたこと
・彼が御曹司だとは知らなかったこと
・半年後「お見合いしてきた」と告げられたこと
・親に反対され、結婚できないと言われたこと
別れが決まった後で妊娠が発覚し、茉海恵は彼に言えず姿を消した。
そして、核心の一言。
「いろはは…ご主人との間にできた子です」
DNA鑑定書を目にし、さゆりは世界が反転するような衝撃に襲われます。圭吾も慎吾の子。いろはも慎吾の子。
夫は、自分だけでなく元恋人との子どもまで持っていた。
薫と茉海恵は深く頭を下げます。
「本当に、ごめんなさい」
しかしその謝罪は、さゆりの傷に届きません。
「全部、嘘だった」
「あなたたちの嘘で、傷つく人がいる」
「母親としてあり得ない。最低です」
静かだったさゆりの声が壊れていく。胸に広がるのは、ただ苦さだけでした。
慎吾の「所有欲」と、ママ友を狂わせる夫の秘密
一方その頃、慎吾は茉海恵の写真を眺めながら過去を反芻していました。そこへ訪れたさゆりが震える声で問いかけます。
「日高いろはちゃんが、あなたの子どもだと知っているんですか」
慎吾は微動だにせず、むしろ誇らしげに答えます。
「あの子は俺に似て優秀だ。本橋の血を感じる」
圭吾の件も問われると、慎吾は平然とした調子で
「自分のものを手元に戻したいと思うのは、おかしいか?」
と言い放つ。
ここでの慎吾は本当に恐ろしく、
・子どもを“自分のもの”としか見ていない
・さゆりの痛みを一切理解していない
・ガスライティングのような発言を続ける
さゆりは、夫から「正常値」すら奪われていたのだと痛感させられる場面でした。
聖子のガン再発と、病室で拒絶される虹汁
一方、茉海恵が体調不良で病院へ行った際、薫の母・聖子と偶然遭遇します。駆けつけた薫は医者から「ガンが再発し、肺にも転移している」と告げられます。
それでも聖子は、偽ママを続ける薫を認められません。
「あなたを犯罪者にしている人の作ったものなんて、口にしたくない」
差し入れた虹汁に背を向ける聖子。
娘を心配しているはずなのに、その思いが刃になってしまう。
不器用で、孤独で、痛ましい母の姿でした。
在宅医療の開始と、「厳格すぎるおばあちゃん」との同居
聖子は在宅医療へ移り、竜馬の運転で自宅へ。薫は茉海恵と相談し、いろはを実家で預かる形にします。
初めて薫の実家を訪れたいろはと茉海恵。
いろはは元気よく言います。
「おばあちゃん。マミーのマミーだから、おばあちゃんでしょ?」
聖子はきっぱり線を引きます。
「私はあなたのおばあちゃんじゃないでしょ。聖子さんって呼んで」
靴の揃え方からランドセルの散らかりまで厳しく指摘し、いろはに自分で片付けるよう伝える。
ある日、聖子はいろはに言います。
「薫のこと“マミー”って呼ぶのはやめたほうがいいんじゃない」
しかしいろははまっすぐに答えます。
「マミーも、私のお母さんだよ」
その一言は、小さな声なのに世界のルールをひっくり返すようでした。
学校では先生に「整理整頓ができるようになった」と褒められ、いろはいそいそと「マミーのマミーが教えてくれるから」と答える。
それだけで胸が熱くなる瞬間でした。
ササエルの「共犯宣言」と、茉海恵を守る距離感
佐々木が聖子宅を訪れ、「巻き込まれて大変でしょ」と言われると「逆です」と迷いなく答えます。
茉海恵と薫のおかげで教師として自信を取り戻したこと。二人とは共犯であり、間違っていないと思っていること。陰ながら支えるつもりでいること。
帰り際、茉海恵と鉢合わせし、慎吾から圧を受けていたことを打ち明けます。
茉海恵は「嫌われたかと思ってた」とこぼし、佐々木は否定。距離を置いたのは、守るためだった。
茉海恵は「ササエルの優しさだったんだ」と笑い、ここでも小さな家族の輪がそっと増えていきます。
聖子と茉海恵、母としてぶつかった後の「同じ釜の飯」
聖子は茉海恵に真正面から問いかけます。
「いろはちゃん、かわいそうだと思わないの?」
仕事を優先しながら娘を私学に入れ、自己実現のためにいろはを犠牲にしている。
母親は何かを差し出して育てるもの。母親が二人いる状況は普通じゃない。偽ママの契約が終われば役目も終わる。
それでも茉海恵は静かに言います。
「終わらせません。かおねえは、心でつながった家族なんです」
そして続けます。
「私たちのこと、信じてください。よかったら、うちに来ませんか。一緒に食べませんか」
この一言が、聖子の心の扉を少しだけ開けました。
母娘がようやく「並んで歩く」ことができた夜
聖子は薫と共に茉海恵の家を訪れ、四人で食卓を囲みます。
いろはの部屋を見た聖子は「おばあちゃんからお願いがある」と静かに切り出します。その内容は後に判明することになります。
帰り道、薫は車椅子を押しながら、自分の心の変化を話します。
・本当は子どもが苦手だったこと
・偽ママなんて無理だと思っていたこと
・でもいろはが自分より大事になっていたこと
聖子はその言葉を聞き、
「茉海恵さんといろはちゃんに感謝しないとね」
と優しくつぶやきます。
その夜、眠る聖子の手を薫が握ると、聖子も握り返してきました。ようやく親子として同じ方向を見られた、静かな和解の時間でした。
聖子の最期と、手紙が肯定した「選んだ家族」
数週間後。
聖子は家族に見守られながら旅立ちます。
葬儀後、いろはが引き出しから手紙を取り出し薫に渡します。
それは、聖子からの最期のメッセージでした。
手紙には、
・薫の選択は自己犠牲ではなく「誰かと共に生きる」という選択だと理解したこと
・茉海恵のまっすぐな強さが薫を支えていること
・竜馬のような息子がいてくれたらと願っていたこと
・いろはのおかげで少しの間“おばあちゃん”でいられたこと
そして薫へ向けた言葉。
「あなたが支える人たちは、あなたを支えています。
互いを信頼し合う関係こそ家族です。
あなたは自慢の娘です」
ここで一度物語は静かに締まり、深い余韻が残ります。
さゆりの告発と、偽ママ発覚・公開買い付けという地獄のラスト
しかしフェイクマミーは、ここから一気に地獄へ。
学力テストで圭吾は3位。1位はいろは。さゆりは教師に告げます。
「日高さんの秘密を知っています。あの子は選ばれてはいけない児童です」
翌朝。
登校した薫の前には週刊誌記者たちが待ち構え、
「偽の母親が学校に出入りしている」と質問を浴びせます。
画面には「偽ママを雇っていた」という記事が並び、学校は騒然。
さらに、レインボーラボに出資していた投資会社が慎吾の会社の子会社だと判明し、その投資会社が公開買い付けを発表。
慎吾は、
・茉海恵の会社を支配し
・自分の血を引く子どもたちを取り戻す
両方を同時に狙っていた。
玲香の運転で薫といろははなんとか逃げ、車中で薫は心の中でつぶやきます。
「私たちが重ねた嘘の代償は、想像以上に大きかった」
母の手紙の温度ごと、画面が冷たく暗転する。
8話は、感動から一転して修羅場へ突き落とす形で幕を閉じました。
フェイクマミー8話の感想&考察

8話を見終わって最初に浮かんだのは、「このドラマは母親のアップデートを描いている」という感覚でした。
偽ママとして成長する薫の物語でもありながら、同じように薫の母・聖子の変化が丁寧に描かれています。そして、その変化を一瞬で揺らしてしまう“さゆりの暴走”と“慎吾の所有欲”。
優しさと残酷さの温度差が大きく、胸の奥がずっとざわつく回でした。
聖子のアップデートが優しすぎて、静かに泣かされた
初期の聖子は、いわゆる「昔ながらの厳しい母親」の象徴のような存在でした。
娘の成功を誇りに思いながらも、人生の節目に過干渉になってしまうタイプ。でも8話では、その厳しさの奥にあった孤独や不安が静かに浮き上がってきました。
・虹汁を拒絶したのは、茉海恵をどうしても許せなかったから
・偽ママ契約を「娘の人生を狂わせるもの」と見ていたから
・“新しい家族の形”が怖かったから
その全部が、がん再発という現実と重なって露わになっていきます。
そこから聖子は、
「いろはちゃん、かわいそうじゃない?」
「母親が二人なんて普通じゃない」
と茉海恵にぶつけます。価値観がアップデートできない世代の、正直な悲鳴のようにも聞こえました。
しかし、一緒に食卓を囲み、いろはの部屋で小さなお願いをし、薫の変化を見守るようになっていく中で、聖子の心は静かに柔らかく変わっていきます。
そして最期の手紙には、
・薫がしているのは自己犠牲ではなく「一緒に生きる」選択だと理解したこと
・偽ママも本物ママも、支え合う関係こそ“家族”だと認めたこと
と書かれていました。
親世代もアップデートしていけるのだと思わせてくれる、とても優しい締めくくりでした。
「犠牲」じゃなく「一緒に生きる」ための偽ママ
聖子の手紙は、このドラマの核心そのものでした。
「誰かのために犠牲になっているのではなく、誰かと一緒に生きようとしている」
この一文が、フェイクマミー全体の答えのように感じられます。
外から見れば、薫の選択は自己犠牲の連続に見えます。
・東大卒の経歴を捨てる
・うまくいかないベンチャーへ飛び込む
・偽ママというリスクのある仕事を選ぶ
でも薫の中ではもう、「誰かに尽くすため」ではなく、
・いろはの寂しさと才能を見て
・茉海恵の不器用な愛情を知って
・竜馬、佐々木、玲香に支えられ
その中で「この人たちと一緒に生きたい」という気持ちが芽生えていたのだと思います。
だから偽ママ契約は“仕事”ではなく、薫自身の居場所になっていった。
聖子の手紙は、その選択を肯定するハンコのようでした。
さゆりはなぜ“闇落ち”したのか
一方で話題をさらったのが、さゆりの暴走です。8話だけ見れば、「全部を壊した人」に見えてしまいます。
裏評価を聞き、夫の裏切りを知り、それでも最後に選んだのは「いろはを落としに行く」行動だったから。
ただ、ここまでの積み重ねを思い返すと、さゆりは最初からずっと「誰かの枠の中」で生きてきた人でした。
・家柄
・良き妻という役割
・慎吾の価値観
・自分の意見を押し殺す習慣
その中で、やっと薫という“普通じゃない友達”と笑い合えたのに、信じていた土台が丸ごと崩れる。
「私の信じていたものは何も本物じゃなかったの?」
そう感じた瞬間、正しさの基準が壊れてしまったのだと思います。
だからこそ、彼女の告発は
・慎吾への反発
・いろはを守りたい気持ち
・自分の人生を取り戻そうとする衝動
その全部が混ざった結果に見えました。
もちろん許されないけれど、その悲鳴のような行動が、とても苦しく映りました。
慎吾という「所有欲モンスター」が物語をスリラーへ変える
そして慎吾。
8話で、その危うさが完全に輪郭を持ちました。
・子どもを“自分のもの”と呼ぶ
・さゆりの不安を利用して黙らせる
・偽ママ契約を会社支配のために利用する
さらに、レインボーラボへの公開買い付け。
投資会社の背後には自分の会社があり、茉海恵の会社も、娘たちも、過去もすべて手中に収めようとする。
恋愛でも父性でもなく、「所有」の延長線上にある慎吾の執着が一番の恐怖でした。
しかも、法律の外側ではなく「制度を使って」迫ってくるタイプ。
8話でこの構図が見えた瞬間、フェイクマミーはお受験ドラマから社会派スリラーへと変貌したように感じました。
8話は、「普通な母親なんて一人もいない」という現実を描いた
聖子、茉海恵、薫、さゆり。
この4人の母親像が、とてもリアルでした。
・言葉が刺になってしまう聖子
・仕事と育児にあがく茉海恵
・血のつながりがなくても母になろうとする薫
・役割に縛られ続けて壊れてしまったさゆり
誰も“正しい母親”ではない。
でも、だからこそ人間的で、だからこそ痛い。
いろはの
「なんでお母さんが二人じゃダメなの?」
という疑問は、このドラマへの問いそのものだと思います。
血だけじゃなく、
一緒にご飯を食べて
一緒に悩んで
一緒に生きてくれる人たち。
その人たちを“家族”と呼んではいけない理由なんて、もうどこにもない。
しかし、聖子の手紙がその価値観を肯定した直後、
さゆりと慎吾によって家族が引き裂かれそうになる構成は、本当に残酷でした。
嘘から始まった家族が、“本当の家族”になっていくラストスパート
薫はこの先、どうやって「選んだ家族」を守るのか。
茉海恵はいろはと会社の両方を守れるのか。
いろはは“二人のお母さん”をどう選び取るのか。
8話を終えた今、
「偽ママ」という肩書きは、もうこの三人には似合わなくなっています。
嘘から始まった家族が、本物の家族になるまでのラストスパート。
この先の最終局面を、しっかり見届けたくなる回でした。
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