「あなたの番です〜反撃編〜」最終回は、20話分積み重ねてきた伏線が一気に噴出し、“黒島の正体”と“交換殺人ゲームの始まり”をつなぐ核心が描かれる濃密な1時間でした。
二階堂による“ゾウさん/キリンさん”再現、菜奈の動画の続き、黒島が語る犯行リスト、床島の自殺と西村の関与──真相が明かされるたびに物語の重さが増し、最後に残されるのは「この世界では、誰でも加害者になり得る」という不気味な余韻。
反撃編の集大成として、視聴者の感情を容赦なく揺さぶる最終回でした。
ドラマ「あなたの番です~反撃編~」20話(最終回)のあらすじ&ネタバレ

最終回は、大きく分けると次の流れで進みます。
- 二階堂による「ゾウさん/キリンさん」の再現と、黒島の正体露出
- 水城による“菜奈殺害犯”特定と、田宮の供述
- 黒島が語る交換殺人ゲームの真相と、自らの犯行リスト
- 菜奈殺害シーンの“続き”動画と、翔太の怒り
- 南が見つける娘・穂香の靴と黒島逮捕
- 住民たちの“その後”のダイジェスト
- 幸子・美里・床島が仕掛けた「ゲームのきっかけ」の真相
- ラストの車椅子「あなたの番です」と、屋上の幸子
ここからはシーンごとに丁寧に追っていきます。
二階堂の「ゾウさん/キリンさん」再現と、黒島の仮面が剥がれる
19話ラストで意識を失った翔太は、ホテルの一室で目を覚まします。
両手足は拘束され、腕には点滴の針。横には、同様に拘束された黒島。
2本の点滴には「ゾウ」「キリン」のイラストが描かれ、中身は菜奈を殺した時と同じ塩化カリウム。
黒島は「私たち、殺されるんですか?」と不安を滲ませます。
そこへ現れた二階堂は、
「ゾウを選べば翔太、キリンを選べば黒島が死ぬ」
と告げ、自分が菜奈を殺したと自白します。
さらに二階堂は、自分の声で菜奈に「ゾウさんですか?キリンさんですか?」と選択を迫る動画を翔太に見せます。場所は翔太が入院していた病室。ベッドの向こう側には眠る翔太の姿。
菜奈は、翔太を守るために“自分が死ぬ側”を選んだ――その残酷な真実が突きつけられます。
黒島は静かに問いかけるように、「あなたは黒島さんを守りますか? それとも自分がかわいいですか?」と口にし、自ら「私を殺してください」と言い切る。
二階堂の手が震え、ためらいが生じた瞬間を見逃さず、翔太は足のテープをダーツの矢で切り、点滴スタンドを黒島へ投げつけます。
黒島は咄嗟に避け、表情を一変させて告げます。
「やっぱり二階堂さんには無理でしたね」
ここで黒島の“被害者”の仮面は完全に剥がれ、真の姿が露わになります。
水城が掴んだ真相と、田宮の供述
警察では水城が菜奈殺害犯に辿り着き、決定的証拠として「改ざんされた防犯カメラ映像」を押さえます。
- 菜奈のアリバイのファミレス映像は、日付だけ残して黒島の姿が上書きされていた
- そのファミレスは内山がバイトしていた場所
田宮の取り調べでは、彼が語っていたことが整理されます。
- 田宮が引いた紙は「波止陽樹」
- DVを受け続ける黒島の映像を見て義憤に駆られ、波止を殺した
- それはゲームではなく田宮の“単独の判断”だった
- しかし、それが黒島に「自分と同じ種類の人間がいる」と誤解させ、彼女の連続殺人を加速させた
田宮の殺人は「正義の暴走」であり、交換殺人ゲームとは別系統の罪でした。
その存在自体が黒島に“火をつけた”という構図です。
黒島が語る、交換殺人ゲームと自分の犯行リスト
翔太と二階堂の前で、黒島は静かに“すべて”を明かし始めます。
彼女の根底には「殺人衝動を抑えられない性質」があった。
それでも“恋をすれば変われるかもしれない”と信じ、DV彼氏・波止と付き合い始めた。だが波止も結局は殺害対象に。
交換殺人ゲームが始まり、黒島は波止の名前を書き、田宮が波止を殺す。そこで黒島の中で何かが切り替わります。
「殺したかったのに、先にやられた。ずるい。誰?」
「自分と同じ種類の人間がいるかもしれない」
そう考えた黒島は、交換殺人ゲームを“自分の衝動を満たす場”として利用していきます。
黒島の関与した主な事件(ドラマ描写ベース)
赤池美里・吾朗殺害
- 紙に書いたのは「赤池美里」
- メンチカツ事件後、美里を慰め親しくなる
- 誕生日サプライズを提案し、ロウソクが消えた瞬間に音楽爆音
- 袋をかぶせ、首を切断
- 笑気ガスを使い、最後に“笑顔”を作る
児嶋佳世殺害・遺体損壊
- 「リラックスできるガス」と偽り笑気ガスを吸わせ絞殺
- 遺体運搬・隠蔽は内山に任せる
浮田殺害
- 浮田に自分の犯行を感づかれ殺害
- 針金で絞殺し、笑気ガス→笑顔
甲野貴文殺害(内山に指示)
- ゲームの線へ戻すため“見せしめ”として殺害させる
菜奈殺害(後述)
穂香殺害(南の娘/5年前)
- 南が追ってきた事件の犯人は黒島だった
内山は、黒島の“崇拝者であり実行補助”。
黒島の衝動を叶える“手”に過ぎなかったことが明らかになります。
床島は「自殺」──交換殺人ゲームの本当のスタート
木下と西村のパートでは、最初の死者・管理人床島の真相が判明します。
管理人日誌には、
- 自分が引いた紙は「管理人さん」
- 病気や孤独への不安
- 「生きる意味がない」と落ち込む記録
が残っていました。
西村は麻雀仲間の吉村が来ないのを気にして管理人室へ行き、日誌を読み、屋上に呼び出されます。
- 床島はロープを巻きつけ「今日こそ死ぬ」と宣言。
- 西村が止められないまま、誤って落下して死亡。
つまり床島は「自殺」。ただしその後、西村が
- 早苗へ脅迫文を送り
- 掲示板に紙を貼り付け“ゲームが進んでいるように見せた”
ことで「山際殺害という最初の殺人」を誘発。
西村は誰も殺していなくても、“最初のドミノ”を倒した存在となりました。
菜奈殺害の全貌と、「動画の続き」
最終回最大の核心が、菜奈殺害の本当の流れです。
菜奈は翔太の見舞いの際、
- 藤井の誕生日=星座を確認
- 「さわやかすみだ」の占いを読んでいた
- 黒島の誕生日をさりげなく聞く
黒島は“星占いパターン”に気づかれたと悟り、偽の誕生日を伝えます。
その夜、黒島の指示で内山が翔太・菜奈の病室に侵入し、
- 2人の点滴に塩化カリウムをセット
- 菜奈を脅し、例の動画を撮影
菜奈は翔太を守るため“自分が死ぬ側”を選ぶ。
そして、これまで切れていた動画の“続き”では、
- 菜奈が翔太への感謝を泣きながら語る
- 「あなたに愛されて、自分を愛せるようになった」
- 翔太にキスをして別れを告げる
- 黒島が笑気ガスを吸わせ、笑顔で死なせる
翔太は絶望と怒りで黒島を絞めかけますが、二階堂が止めに入り、
「殺すな。あなたはそういう人じゃない」
と告げます。
翔太は涙を流しつつ、黒島を抱きしめます。そして「警察に行く」と決断。
南が見つけた“穂香の靴”と、黒島逮捕
警察が202号室へ踏み込むと、黒島は証拠品を整然と並べていました。
- マスターキー
- 菜奈のスマホ
- 各事件の証拠品
- そして、南の娘・穂香の靴
南は靴を抱きしめ号泣し、5年越しの追跡が終わります。
住民の「その後」ダイジェスト
最終回らしく、マンションの住人たちの小さな“その後”が描かれます。
- 田宮と君子は演劇の面会で再び寄り添う
- 早苗と正志は罪を見つめ直す
- 総一は更生プログラムで本を読む
- 児嶋は佳世の写真に声をかける
- 石崎家は家族再生モード
- シンイーとクオン、柿沼とあいりも新しい日常へ
- 佐野とワニの本山幹子の日常も続く
- 南はマンションを去り、蓬田と木下が手をつないで見送る
それぞれが、静かに前へ進み始めます。
幸子・美里・床島──ゲームを煽った“大人たち”の真相
黒島を語るうえで欠かせないのが、彼女を取り巻く“大人”の存在です。
幸子(祖母)
- 黒島は幸子の夫の“外の子”の娘
- 血のつながらない孫として引き取られる
- “危ない性質”を知りながら溺愛
- 遺産の対象でもあった
美里(姑)
- 幸子の遺産を巡って思惑を抱く
- 黒島の気質を利用し、“ゲーム開始”を管理人にけしかける
床島(管理人)
- 金欲しさに美里の話に乗り、住民会で黒島を刺激
- ゲーム開始の火種が投じられる
交換殺人ゲームは、黒島の衝動だけではなく、“大人たちの利害と悪意”が混ざった結果始まったものでした。
ラストシーン──「あなたの番です」車椅子と、屋上の幸子
翔太はチャペルで幻の菜奈と“結婚式”を挙げます。
菜奈は微笑んで消え、そこに二階堂が現れ、
「ご結婚おめでとうございます」
と優しく声をかける。
302号室で鍋を囲む翔太と二階堂。
そのときインターホンが鳴り、ドアを開けると誰もいない。
廊下の奥から、無人の車椅子がゆっくり近づきます。
車椅子には一枚の紙。
「あなたの番です」
同時刻、あるビルの屋上では、両手を縛られた幸子が今にも落ちそうな場所に座らされている。
物語はここで幕を閉じます。
“真犯人は捕まったはずなのに、まだこの世界では何かが動き続けている”――そんな余韻を残して。
ドラマ「あなたの番です~反撃編~」20話(最終回)の伏線

最終回は、「回収」と「新たな余韻」が同時に押し寄せる密度の濃い回でした。
ここでは、物語全体を締めくくるうえで重要だった伏線と構造を整理します。
「主人公のそばにいる“いい子”が真犯人」という王道
19話で翔太自身が語った、
「主人公の近くにいる“いい子”が真犯人って、ミステリーの王道なんだよ」
という言葉は、まさに黒島沙和の存在そのものを示す伏線でした。
黒島は、
- 1話から登場
- 常に「いい子・弱い子・被害者」に見える立ち位置
- 翔太と二階堂の“守る対象”
として描かれてきた“王道の真犯人配置”。
視聴者の多くが途中で黒島を疑っていたものの、この「王道性」自体が序盤からの大きな伏線として機能していました。
交換殺人ゲームの始まりと床島の自殺
床島の死が「自殺」と確定したことで、ゲームの“本当の発火点”が明確になります。
- 「管理人さん」と書いた早苗
- その紙を脅迫に利用した西村
- 遺産争いで黒島を利用しようとした美里
- 金目当てで動いた床島
これらの“弱さ”が連鎖し、ただの悪ふざけだった交換殺人ゲームが、本物の殺人連鎖に変質してしまった。
つまり、
黒幕は特定の一人ではなく、人間の欲望そのもの
という構造を見せるための伏線だったと言えます。
ラッキーデー・星座・「さわやかすみだ」の伏線回収
黒島の犯行ルールである、
- 被害者の誕生日
- 星座
- ラッキーデー
は、中盤から散りばめられてきた伏線でした。
最終回で明かされるのは、
- 菜奈が藤井の誕生日を聞いた電話
- 「さわやかすみだ」占い欄の切り抜き
- 黒島へ誕生日を聞いていたシーン
これらがすべて“ラッキーデー殺人”への接近だったという点。
静かに進められていた菜奈の推理が、黒島に気づかれ殺害へ直結してしまう流れも、ここで重要な伏線として収束しました。
“笑う遺体”と笑気ガス、「せめて笑顔で」の異常なポリシー
17話で提示された笑気ガスのトリックは、最終回で黒島の口から“信念”として語られます。
「遺族が悲しまないよう、せめて笑顔にしてあげたい。」
これにより、
- 赤池夫妻
- 児嶋佳世
- 浮田
- 菜奈
といった“笑う遺体”が、すべて一本の線で結ばれます。
笑顔が“優しさのようで残酷”という二重性も、このドラマの不気味さを象徴する伏線でした。
南の娘・穂香の靴と、「扉の向こう」への接続
南の部屋にあった写真とスクラップはこれまでも描かれていましたが、最終回で、
- 黒島の部屋から“穂香の片方の靴”が見つかる
ことで、南の動機と黒島の過去が一気に接続。
南の5年間の執念がここで終わり、「扉の向こう」でさらに補完される構造が仕込まれていました。
幸子・美里・江藤・車椅子──「あなたの番です」の二重の意味
ラストの“車椅子+あなたの番です”は、シリーズ全体を貫くメタな伏線。
- 事件は終わったはずなのに「まだ何かが続いている」
- 加害の“番”は、誰にでも回ってくる
- 江藤・幸子ラインがまだ終わっていない
という多層的な意味が込められています。
特に、
- 幸子の名義が黒島の部屋にあった
- 江藤が幸子を世話し続けていた
- 最後に幸子が屋上で落とされかける
という“解かれない謎”を置いて終わることで、ドラマのタイトル「あなたの番です」が視聴者に跳ね返ってくる構造 が完成しました。
ドラマ「あなたの番です~反撃編~」20話(最終回)感想&考察

ここからは最終回を観たあとに残った余韻やモヤモヤをそのまま文章に落とした感想です。
「やっぱり黒島」でよかったのか問題
最終回放送当時、一番多かった反応はこれでした。
「やっぱり黒島か〜」
“納得”と“ガッカリ”が半々。
僕も正直、意外性はほぼゼロだと思っています。
というのも反撃編に入ってからの黒島は、
- ラッキーデー&星座のヒント
- DV彼氏との過去
- 内山との異常な依存関係
- 高知の連続死との接点
など、「怪しくない瞬間が存在しない」状態でした。
ただ一方で、ミステリーの王道──
“主人公の近くにいる、弱くていい子が真犯人”
という構造は最後までブレていなかった。
2クールかけた物語の“順当な決着”として見ると、黒島犯人は筋の通った選択だったようにも感じます。
もしここで、
- 二重人格
- 全部夢オチ
- 実は翔太が犯人
のような展開をやっていたら、別方向で炎上していたでしょう。
黒島の動機は弱い? それとも“説明しすぎないリアル”?
視聴者の間で最も賛否が割れたのが、黒島の動機でした。
「人を殺すことを愛している」
「自分では止められないから、誰かに止めてほしい」
この説明は、
- “快楽殺人鬼でした”で片付けてしまった
- 半年見せられた物語に対して軽い
という意見が多かった。
しかし僕は、この“言葉にならない狂気”そのものが黒島という人物の本質なのだと思っています。
- 自分の衝動の根を本人すら理解できない
- 理屈で語れないからこそ、歪んだロジックで世界を認識する
- そのまま大人になってしまった結果が、あの黒島
という“説明にならない不気味さ”が逆にリアル。
もちろん、それを補完するための Hulu「扉の向こう」がある前提の作りですが、地上波だけで見ると“物足りなさ”と“後味の悪さ”が同居していた最終回でもありました。
翔太の「抱きしめる」という反撃
最終回で最も胸に刺さったのは、翔太が黒島を抱きしめる場面。
- 菜奈の死の真実を聞かされ
- 黒島の告白に怒りで震えて
- ダーツを振り下ろす理由が十分にあるのに
翔太は、最後のラインを越えなかった。
「自分も加害者にはならない」
「怒りも憎しみもそのままに、殺さない」
この矛盾した選択こそが、
“人は誰でも人を殺し得るが、殺さないことも選べる”
というドラマ全体のテーマに対する唯一の希望になっていたと思います。
翔太という“優しさの化身”が、あの瞬間だけは物語全体を救った。
二階堂の論理と感情の決着
反撃編のもう一つの軸は、二階堂の“論理 vs 感情”。
- AIはずっと黒島を犯人と指し示していた
- 論理では黒島が犯人なのが明白
- それでも彼女を好きになってしまった
最終回で二階堂が語る、
「AIが正しくても、僕は人としての気持ちを選びたかった」
という告白は、彼自身の成長であり、反撃編そのもののテーマの回収にもなっています。
黒島からの最後の「ありがとう」で、二階堂の感情は完全に報われませんが、それでも意味があった。
論理で“犯人”を指し示すAIと、感情で“誰かを守る”翔太と二階堂。
このバランスが最終回で美しく収束した印象でした。
南 vs 幸子──“守れなかった親”と“止めなかった親”
南と幸子の対比は、最終回の中でも特に深いテーマ性を感じました。
- 南:娘を殺され、5年かけて追い続けた父
- 幸子:孫の異常に気づきながら、何も止めなかった祖母
南が穂香の靴を抱えて泣き崩れるシーンは、単なる事件解決の喜びではなく、
- 娘に何もしてやれなかった後悔
- 復讐に費やした年月の空虚さ
が一気に押し寄せる痛烈な場面。
一方、幸子は黒島の罪を聞いてもほとんど動じず、
「孫には未来があるのよ」
と言い放つ。
「止めるべきだった親」と「守りたかった親」
という対比が、黒島のサイコ性を超えて物語を社会的に広げていました。
ラストの車椅子は必要だったのか問題
ラストの“あなたの番です”車椅子と、屋上の幸子。
賛否両論でしたが、個人的にはこの演出は、
- 事件は終わっても、“世界の不穏さ”は続く
- 加害者の“番”は誰にでも回り得る
- 続編・劇場版へ繋げられる余白
という意味で非常に象徴的だったと思っています。
完全な大団円にもできたのに、あえてしなかった。この“余韻の残し方”が本作らしさでもありました。
最終回は、
- 「やっぱり黒島」への賛否
- 動機の薄さと、説明されない狂気
- 翔太の選択
- 二階堂の揺れ
- 親子の対比
- 意図的な余白
など、多くの感情とテーマが詰まった回でした。
完璧な解決ではなく、
“人間の弱さと欲望の後始末”
を見せられたような、不思議な余韻。
今振り返っても、
考察ドラマとしても、人間ドラマとしても、非常に語りたくなる最終回だったと感じます。
必要であれば「管理人日誌」「ゲーム表」「黒島の犯行一覧」なども伏線として別途整理できます。
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