「探偵さん、リュック開いてますよ」第1話は、大きな事件が起きる回ではありません。
温泉街・西ヶ谷温泉の日常に、ほんの少し異物が混ざり、その“空気の揺れ”がそのまま事件になっていく回です。
廃業した実家の旅館「ゆらぎや」で暮らす探偵・一ノ瀬洋輔。そこへ現れたのは、田舎暮らし系の動画配信者・香澄でした。探偵を尾行し、撮影し、投稿する。その軽い行動が、町と洋輔の生活を思わぬ方向へ動かしていきます。
この記事では、第1話の出来事をネタバレ込みで整理しながら、松茸泥棒事件の真相と、温泉街に仕込まれたシリーズの縦軸を丁寧に読み解いていきます。
探偵さん、リュック開いてますよ1話のあらすじ&ネタバレ

※ここから先は、結末まで含むネタバレになります。未視聴の方はご注意ください。
第1話は、いわゆる「大事件」ではなく、温泉街・西ヶ谷温泉の“空気”そのものが事件の導線になる回でした。
ざっくり言うと「配信者が町に来る→探偵を尾行してバズる→松茸泥棒を追う→犯人の事情が見えてくる」という流れ。ゆるいのに、きちんとミステリーの型を踏んでいるのが印象的です。
まずは先に、1話の要点を3つだけ整理します。
- 香澄(田舎暮らし系配信者)が“探偵をつけてみた”動画でプチバズし、洋輔の生活に入り込む
- 依頼は「松茸泥棒探し」。追跡用の発明品まで作るが、洋輔はまだ使いこなせない
- 真相は「悪党の大組織」ではなく、家族(兄弟)間のこじれが火種だった
廃旅館「ゆらぎや」と、リュックが開きっぱなしの探偵
舞台は西ヶ谷温泉。
探偵兼発明家の一ノ瀬洋輔は、廃業した実家の温泉旅館「ゆらぎや」を住居兼事務所にしながら、町の依頼をゆるく受けて生活しています。父が失踪しており、洋輔は“父の後を継いだ”形で探偵をしている、という前提が置かれています。
洋輔の過去も、1話の段階でさらっと語られます。
かつてアメリカで“負の感情”をエネルギーに変える研究に成功したものの、悪口を浴びすぎて帰国したという設定。説明だけでクセが強い。
ここがこのドラマの肝で、町そのものが「負の感情=燃料」で回っている。
たとえば洋輔の発明した移動手段「ドンソク2号」は、悪口(負の言葉)をエネルギーにして走る。香澄に理由を聞かれた洋輔が「人に言うよりはいいでしょ」と返す一言で、世界観が一気に伝わります。
田舎暮らし系配信者・南香澄が町に来る(そして即、断られる)
ある日、洋輔の幼なじみで不動産屋の清水としのりが客を連れて「ゆらぎや」にやって来ます。
客は田舎暮らし系の動画配信者・南香澄。要は「部屋を貸してほしい」という話ですが、洋輔は即断で断ります。
この断り方が、いかにも洋輔らしい。
善人か悪人かで線引きして生きているというより、面倒ごとを避けたい気持ちが先に来るタイプ。だから香澄としては「何この人?」となり、そこからの行動が一気に早くなります。
「探偵をつけてみた」動画がプチバズ、洋輔が“見られる側”に回る
香澄は探偵という存在に興味を持ち、洋輔を尾行して撮影。「探偵をつけてみた」動画を投稿し、これがプチバズします。
ミステリーでは本来、探偵が“見て暴く側”。
でもこのドラマは1話から逆で、探偵が配信者に“見られる側”に立たされる。ここで作品の構図がはっきりします。
しかも香澄は、洋輔だけでなく町の“おかしな人たち”まで撮っていく。
口が悪い商店の看板娘・酒井あおい、清水や室町といった友人たち、そして警察の春藤慶太郎。香澄の視点は、そのまま視聴者の目線にもなっています。
松茸泥棒の依頼が来る:松茸農家・山村康一のSOS
そんな中、洋輔に“探偵らしい”依頼が舞い込みます。
松茸農家・山村康一が、松茸泥棒に困っているという相談です。
松茸は地域の特産で、しかも金になる。だから狙われる。
事件が「温泉街の暮らし」と地続きで、派手な殺人事件ではないところがこの作品らしい。温泉に入りながら生活をのぞき見する感覚で見てほしい、という意図と事件のサイズ感が噛み合っています。
香澄も当然ついてくる。ネタになるから。
ただし、この“追いかける”行為が、のちの展開でちゃんと事件の歯車になっていきます。
いきなり空気が変わる:洋輔が車に押し込まれ、脅される
ゆるい温泉街ミステリーかと思っていたところで、急に影が差します。
洋輔は車に押し込まれ、犯人(もしくは犯人側の人間)らしき男たちから、「松茸泥棒を嗅ぎ回るのをやめろ」という脅しを受ける。
ここは1話のフックとしてかなり強い。
「ゆるい」と思っていたら、やっていることは普通に犯罪で、洋輔は実際に命の危険を感じる。このギャップで、「この町、ただのほっこりでは終わらないかも」と視聴者に思わせます。
香澄の交渉術:車のナンバーを握って「泊めて」を成立させる
香澄は尾行・撮影していたからこそ、ここで材料を持っています。
車のナンバーという重要情報を掴み、それを武器に「ゆらぎやに泊めて」と交渉。結果、洋輔はしぶしぶ受け入れることになります。
この時点で香澄は、もう完全な外部者ではありません。部屋をもぎ取った以上、事件の当事者側に片足を突っ込んでいる。
泊まる部屋(うぐいすの間)といった細部も、きちんと後の話に効いてきます。香澄は「泊まれないなら帰る」のではなく、「泊まるために材料を使う」。配信者のしたたかさが、物語を前に動かしています。
ベテラン刑事・春藤慶太郎の存在が、急に切実になる
松茸泥棒の件で警察とも関わり、春藤慶太郎が登場します。
定年間近で達観した雰囲気の刑事ですが、1話でいきなり「余命」が語られる。本人が「あと半年」と口にし、仕事中に死にたいというような言葉を漏らします。
ここで作品の温度がもう一段変わる。
松茸泥棒自体は生活密着型で笑える話なのに、春藤の“命の期限”が入ることで、同じ町の景色が少し違って見えてきます。
証拠集めは地味にロジカル
洋輔は、ぼんやりしているようで、やることはやる探偵です。
山村から話を聞き、現場を見て、足跡や動線を拾っていく。追跡に必要なのは「山道を速く走れること」だと判断し、発明に落とし込むのが探偵兼発明家らしい流れ。
そこで出てくるのが、山道を走るための発明品「ニュー山村バランス」。
ただし、発明したはいいものの履き慣れておらず、走れないどころか転ぶ。
この“できそうでできない”感じが、洋輔というキャラクターの可笑しみになっていて、事件解決のスピード感も「頑張りすぎない」方向に寄せています。
罠を仕掛ける:情報を流して、犯人を動かす
追うだけでは捕まらない。
そこで洋輔は、松茸の山に関する情報をわざと流し、犯人を動かす方向に舵を切ります。
ミステリーとしては王道の流れで、「証拠→動機→行動」を逆算して動かす。ただし演出はあくまでゆるく、ガチガチの張り込みではなく、町の人との距離感のまま進むのがこの作品らしい。
香澄はここでも撮り続け、追跡の緊迫感と配信の軽さが同居した、独特の空気が生まれます。
追跡シーン:リュックの紐を引くと飛ぶ、でも落ちる
クライマックスは追跡。
ニュー山村バランスで走るはずがうまくいかず、最終的に洋輔は「仕方ない」と言ってリュックの紐を引き、勢いよく空に飛び上がる。……が、すぐにエンジンが切れて落下し、下半身が土に埋まってしまいます。
ここでタイトルがきれいに回収される。
リュックが開きっぱなしの探偵が、リュックそのものを道具にして飛ぶ。でも決めきれずに落ちる。格好はつかないけれど、事件は前に進む。このドラマの姿勢が凝縮された場面です。
真相:松茸泥棒の正体は“家族のこじれ”だった
最終的に、松茸泥棒の正体は山村の身内に関係する人物で、金目当ての悪党というより、「山=生活の土台」を巡る家族間の対立が根っこにありました。
1話の落としどころは、犯人を断罪して終わるのではなく、こじれた関係をほどき、町のいつもの空気へ戻すこと。
だからこそ、松茸泥棒を通して「この町は、妬みや焦り、恨みといったしんどい感情を抱えながらも、どこかで折り合いをつけて暮らしている」というテーマが浮かび上がります。
そして、その“負の感情”が燃料になる町、という設定とも、きれいにつながる第1話でした。
ラスト:香澄は“追いかけ続ける”、洋輔の「父の失踪」が残る
事件がひと段落しても、香澄の興味は途切れません。
むしろ「この町とこの探偵は、まだ掘れる」と確信したように、洋輔を追って撮影を続ける方向へ進みます。1話のラストは、解決よりも“継続”の意思がはっきり残る締め方でした。
一方で、洋輔側に残る大きな未解決が、父の失踪です。
第1話はあくまで“町の日常事件”を描きつつ、シリーズ全体の縦軸として「父の不在」を静かに置いた回でもありました。温泉街のゆるさの中に、確実に回収されていくべき謎が埋め込まれています。
1話の確定ポイント整理(要点)
- 洋輔は廃旅館「ゆらぎや」で探偵稼業を続けながら、発明に没頭している(父は失踪中)
- 香澄は「探偵をつけてみた」動画を投稿し、洋輔を追いかけ続ける立場になる
- 1話の依頼は松茸泥棒の捜索で、追跡用の発明品が登場する
- 事件の真相は単純な悪ではなく、身内の事情が絡んだこじれだった
このラストによって、「1話完結のゆるい事件」と「シリーズを貫く父の失踪」という二層構造がはっきりし、次回以降も“町の空気”と“未解決の核”を並走させていく作品だと示されました。
探偵さん、リュック開いてますよ1話の伏線

1話は「松茸泥棒」という単発事件としてきれいに成立している一方で、シリーズ全体を見据えた“引っかかり”もいくつも置かれていました。
ここでは、伏線になりそうな要素を 提示 → 意味(因果) の形で整理します。
洋輔の父が失踪している
提示された要素
洋輔は、失踪した父の後を継ぐ形で探偵をしている。
意味(因果)
主人公の生活基盤である「ゆらぎや」と、探偵という職業の理由が、どちらも父の不在に直結している。単発事件を解きながら、少しずつ父の痕跡に近づいていく構造が想定され、ここがシリーズの明確な縦軸になりそうです。
「負の感情」がエネルギーになる町という設定
提示された要素
ドンソク2号の燃料は悪口。洋輔は、負の感情をエネルギーに変える研究をしていた。
意味(因果)
町全体が、悪意や妬み、不満といった感情と共存している世界観。今後の事件も、動機が「生活の怒り」や「言えない感情」から生まれ、最後に少し救われる、という形が繰り返される可能性が高いです。
香澄の「配信」が事件の歯車になっていく
提示された要素
香澄は探偵を尾行して撮影し、動画を投稿してバズる。その後も追いかけ続ける姿勢を見せる。
意味(因果)
香澄は単なる観察者ではなく、情報の拡散者にもなり得る存在。
配信が「証拠になる」「誤解を生む」「町の噂を加速させる」といった形で、事件を動かす装置として機能していく伏線に見えます。
洋輔が車で脅された件(松茸泥棒以上の圧力)
提示された要素
洋輔は車に押し込まれ、捜索をやめろと脅される。
意味(因果)
単純な松茸泥棒にしては、明らかに過剰な圧力。
町の利権、過去の因縁、あるいは父の失踪とつながる別ラインの存在が示唆されており、縦軸と横軸がどこかで交差する可能性があります。
春藤慶太郎の余命と「仕事中に死にたい」という言葉
提示された要素
春藤は余命が短いと語り、仕事中に死にたいと口にする。
意味(因果)
この手の設定は、シリーズ中盤から終盤にかけて「無茶をする」「本当に危険な局面に立つ」フラグになりやすい。
同時に、町のゆるい空気の中で、春藤だけが背負っている現実の重さを際立たせる役割もあり、感情面の核を担う存在になりそうです。
洋輔の発明は「未完成」前提で育っていく
提示された要素
ニュー山村バランスを作るが、履き慣れておらず走れない。飛ぶが落ちる。
意味(因果)
発明品は万能ではなく、毎回どこか欠けている。その欠けが、事件の“間”や緩さを生む。
回を追うごとに改良されると同時に、洋輔の研究者としての過去も少しずつ掘られていく流れが見えてきます。
事件の決着が「断罪」より「関係の修復」に寄っている
提示された要素
松茸泥棒の真相は、身内の事情、兄弟間のこじれに行き着き、町の日常へ戻る形で終わる。
意味(因果)
この作品は、犯人を悪として切り捨てるよりも、「なぜそこまで追い込まれたのか」を拾う作り。
今後も伏線の回収は、犯人逮捕そのものより、誰かの気持ちがほどける形で描かれていきそうです。
伏線の要点整理(次回以降の注目点)
- 縦軸は「父の失踪」と、それが西ヶ谷温泉に残した影
- 香澄の配信は、記録にも拡散にもなり、事件を動かす装置になる
- 春藤の余命設定は、物語後半で効いてくる可能性が高い
1話の時点で、ゆるさの中にしっかりと“回収前提の種”が蒔かれていました。
次回以降は、この伏線がどのタイミングで顔を出すのかを追うだけでも、かなり楽しめそうです。
探偵さん、リュック開いてますよ1話の感想&考察

1話は情報量で押し切るタイプではなく、空気感と設定で「刺さる人には深く刺さる」初回だったと思いました。
ゆるくて癒される、ほっこりする、余白があって見やすい――そう感じる人が多いのも納得です
感想:ミステリーなのに“戦わない”主人公が新鮮
探偵ものというと、正義感で突っ走る主人公や、ハードボイルドに決めるタイプが多い印象があります。
でも洋輔は基本ぼーっとしていて、必要以上に頑張らない。それでも町の依頼は受けるし、やるべきところではきちんと動く。その距離感がとても心地よかったです。
「解決したり、時に諦めたりする」というスタンスも、この町では“前に進むための選択肢”として機能しているように見えました。無理に勝たない、無理に裁かない。その姿勢が、この作品のトーンを決定づけています。
感想:香澄が“うるさい存在”で終わらないのが強い
配信者キャラは、作品によっては騒がしいだけで終わってしまうこともあります。
でも香澄は違いました。
「探偵をつけてみた」から始まり、車のナンバーを押さえ、泊まる権利を交渉で勝ち取る。あの一連の流れは、かなりしたたかで、物語を動かす力を持っていました。
香澄がいることで、洋輔は“見る側”から“見られる側”に回る。探偵という職業が持つ特権が相対化され、この構図自体が今後の事件にも効いてきそうです。
考察:このドラマは「負の感情の処理」を描いているのかもしれない
ドンソク2号の燃料が悪口、という設定は、ギャグに見えて実はかなりシビアです。
悪口や不満は、吐き出す先がないと人を追い詰める。
でも人にぶつければ、傷が増える。
だったら燃料にしてしまえばいい――という発想は乱暴だけど、どこか優しい。
松茸泥棒の真相も、突き詰めれば「妬み」や「取り分への不満」といった、負の感情の行き場の問題でした。悪を倒す物語というより、負の感情の“置き場所”を探すドラマなのではないか。これが、1話を見た時点での僕の仮説です。
考察:父の失踪は「町の異常」と直結している可能性
洋輔の研究はアメリカで成功していた。それなのに帰国後、町はどこか歪んでいる。ここは、間違いなくシリーズの縦軸だと思います。
父の失踪が研究と関係しているのか。それとも、西ヶ谷温泉という土地自体が何かを抱えていて、父がそれを追って消えたのか。
1話で描かれた“脅し”まで含めると、松茸泥棒だけでは説明できない圧が確かに存在している。今後、「父の線」と「町の線」が交わるタイミングが来るはずです。
感想:ゆるいのに、ちゃんと見続けたくなる“余白”がある
初回を見終わったあとに残るのは、派手な引きではなく、気になる穴です。
父はどこへ行ったのか。
脅した連中は何者なのか。
香澄はどこまで踏み込むつもりなのか。
説明しすぎないからこそ、自然と次が気になる。この“余白の作り方”は、視聴習慣を作る初回としてかなり上手いと感じました。
感想&考察の要点整理
- 1話は「松茸泥棒」で世界観を提示しつつ、縦軸として父の失踪を置いた回
- 「負の感情を燃料にする」設定が、事件の動機や町の倫理とつながっていきそう
- 香澄の配信は、観察者にとどまらず、事件を動かすギアとして機能していく
ゆるさの中に、確実に続きが気になる種を仕込んだ初回でした。次回以降、この町の“負の感情”がどんな形で事件に変わっていくのか、見届けたくなります。
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