15話で“5人殺し同一犯”の可能性が提示され、事件が大きく動き始めた直後、16話では“笑う遺体”を生み出す犯人像が一気に輪郭を帯びていきます。

神谷刑事の死が残した足跡、黒島の元彼・波止陽樹の未解決事件、そして黒島の部屋に仕掛けられた盗聴器。す
べての線が、内山達生という謎の青年へと収束していく一方で、南・尾野・西村らの行動も不気味に揺れ動く回です。反撃編中盤の“核心入口”とも言えるエピソードが、ここから始まります。
ドラマ「あなたの番です~反撃編~」16話のあらすじ&ネタバレ

16話はざっくりいうと、
- 神谷殺害の余波と、「笑う遺体」ラインの強化
- 黒島の元彼・波止陽樹殺害や駅ホーム突き落とし事件の再検証
- ストーカー内山達生=“ブル”急浮上
- 浮田の極小文字トリックの公開
- 黒島の部屋の盗聴器発見、尾野のPC落下、南の怪しい行動
- ラスト、内山の“ダーツ死”とブルマーク動画の再生
と、ほぼ全ラインが同時に動き出す回でした。
ここからは時系列順に追っていきます。
神谷の死と「笑う遺体」ラインの強化
前回、公園のベンチで無数のビスを打ち込まれた状態で発見された神谷。アキレス腱を切られたうえ、インパクトドライバーで全身にビスを打ち込まれるという凄惨な殺害方法。それでも、その顔は菜奈・赤池夫妻・浮田と同じく“微笑んだ表情”。
公園の防犯カメラには、暗くて顔の判別ができない人影のみ。事情聴取を受けた翔太は、
「拷問で何かを聞き出そうとしたのでは?」
「菜奈殺しに近づいた神谷が口封じされたのでは?」
と推理します。
神谷の死にショックを受けた水城は、「怒りで涙が蒸発した」同僚が神谷の遺体を軽口で呼ぶと激怒
これまでのユルい刑事像から一転し、“絶対に犯人を捕まえる”というモードへ。翔太とも本格的な協力関係に入ります。
警察側にも、“笑う遺体”を生む犯人を追い詰める強い意思が共有されます。
マンション前の騒ぎと、木下・南・西村の“裏の顔”
場面はマンション前へ。
田宮の妻・君子と石崎洋子が、家に帰らない田宮を心配。
そこへ翔太と児嶋が戻り、佳世の遺体が冷凍庫から見つかったことを伝えます。
洋子の妄想が爆走し、
「田宮さんも凍らされてるのかも!」
「児嶋さんが死体を運んでるのを見た気がする!」
など言い始め、児嶋は完全にとばっちり。
この会話を離れた位置からじっと見ている南。住民たちの一挙一動を“観察者の目”で見つめているのが印象的です。
みんなが散っていく中、401号室の木下はポストからICレコーダーを回収。さっきの会話を録音していたことが明かされます。
さらに南の部屋には“隠し部屋”があり、
- 壁一面のスクラップ
- 事件記事を丁寧に貼り付けている
- 特に佳世の事件を強調
などの描写が入り、「南、本当に芸人?」という疑いが深まります。
早苗の「管理人さん」と、赤池夫婦の凶器ナイフ
水城から翔太に新たな事実。
- 榎本早苗がゲームで書いた名前は「管理人」
- 神谷からの“最後の電話”は「早苗がケーキプレートを食べた」という報告
- 神谷のコートから、赤池夫婦殺害の凶器ナイフが発見
これにより、
「犯人は神谷に罪をかぶせようとしている」
「警察をおもちゃにして楽しんでいる」
という構図が浮上します。
さらに、神谷殺害現場に残った足跡が、浮田殺害現場の26.5センチの足跡と一致。“笑う遺体”の犯人が同一人物である線が強まります。
翔太&二階堂の鍋会議:ホーム突き落とし事件の再検証
302号室では恒例の鍋タイム。翔太と二階堂は黒島ホーム転落の事件を再検証します。
黒島が言っていたのは、
“早川教授に呼ばれた理由”=「黒島が教授を殺そうとしている」という匿名電話があったから
この匿名電話を“黒島を駅に誘導する罠”と見ると、事件の線が繋がり始めます。
また、翔太は、
- 黒島の元彼・波止陽樹が5月に殺害
- 現場近くで男女の口論が聞かれていた
- 波止と黒島のトラブルがあった可能性
と整理し、「波止殺害」と「黒島ホーム転落」の犯人が同じ可能性を指摘。
ここから“黒島の過去”が本筋に絡んでいきます。
西村・木下・南、それぞれの“不穏な一面”
鍋会議中にチャイムが鳴り、高速で首を振ってブレた姿が映る木下が来訪。「他人の家の録画に自分の顔を残さないため」という徹底ぶり。
木下の新情報は、
- 西村は、木下が教える前から交換殺人ゲームを知っていた
- その代わりに、佐野のゴミから拾った“血の付いたタオルの写真”を返してほしい
というもの。
西村もゲームに深く関わっている可能性が濃くなります。
一方、木下が佐野の部屋を覗こうとすると、南が帰宅。南の“資料部屋”の存在がさらに不穏さを強めます。
捜査会議:波止陽樹殺害と、佐野=氷彫刻家
警察では、
黒島の元彼・波止陽樹殺害
児嶋佳世の遺体が発見された工場
この2事件を整理。
工場の防犯カメラには佐野の姿。佐野の職業は“氷彫刻家”で、氷をもらうために工場を利用していただけ。
しかし本人は現在行方不明。
山中の穴掘り場面が挟まれ、さらに疑惑が深まるものの、「佐野=殺人犯」には直結しない微妙なラインが描かれます。
ひまわりデートと、ストーカー・内山達生の姿
退院した黒島を、二階堂がひまわり畑へ。
フィボナッチ数列の話で盛り上がる“理系カップル”のような優しい時間。
しかし、その様子を少し離れて見つめる男がひとり。
黒島のストーカー、内山達生。
踵で地面をトントン叩く癖が不気味で、存在感が異常に強い。
黒島の証言では、
- 高校時代の同級生
- 当時から常に付きまとっていた
- “ボディーガード”を名乗っていた
- 危害は加えないタイプ
- 黒島に彼氏ができたときは「おめでとう」の紙を入れた
という“筋金入りのストーカー”。
翔太は、
「何もしないから安全とは限らない」
と危機感を抱きます。
尾野の「しーくん・はーちゃん」と、田宮の名札探し
黒島のもとから戻った二階堂の部屋には、301号室の尾野が勝手に侵入。
姓名判断の結果、
「自分ははーちゃん、二階堂はしーくん」と呼び合うべきと主張。
二階堂に拒否されても、廊下から、
「しーくん、まだ話終わってないよ〜」
と呼び続ける――狂気一歩手前の描写。
一方で田宮は、甲野の名札の行方を追い、香典を“田宮名義で送った人物”が存在することに気づきます。誰かが田宮の名を利用して動いている――という不気味な伏線。
翔太の「会いたいよ」タイムと、浮田ラインの再始動
翔太はAI菜奈とともにホワイトボードで整理。
- 早苗が書いた「管理人さん」を誰が引いたのか
- 笑ったまま死んだ被害者たち=ゲーム本線とは別のライン
ここで思い出すのが、あいりの証言。
「浮田さん、生前は久住とよく会っていた」
翔太は久住を訪ね、浮田の話をすることで“罪悪感の揺さぶり”をかける。久住は耐えきれず、藤井の部屋へ向かい、桜木の前で口を開きます。
浮田が“極端に小さな字で「赤池美里」”と書いていた。
誰が引いたのかを探ろうとしていた。「確かめに行く」と言った直後に殺された。
ここで再び“赤池美里ライン”が動き始めます。
木下&蓬田 VS 佐野、そして「会いたいよ」モンタージュ
木下が501号室に侵入しようと合鍵を使うも、蓬田に止められる。そこへ佐野が帰宅し、クーラーボックスは空。
一方302号室では、翔太がAI菜奈と会話。
「そっちはどう?」
「いつだって一緒にいれば幸せだよ」
という切なくも不穏なやり取り。
主題歌「会いたいよ」とともに、
- シンイーとクオン
- 児嶋が佳世の写真を見る姿
- あいり・柿沼が浮田を思い出して泣く
- 水城が署内で神谷を想って涙
- 南がスクラップを見つめる
など、“それぞれの会いたい人”が描かれる美しいモンタージュが続きます。
黒島の部屋の盗聴器と、内山=“ブル”急浮上
夜。
二階堂の部屋で黒島といい雰囲気になった直後、缶コーヒーを落とした拍子に“コンセント型の盗聴器”を発見。
黒島の部屋(202号室)に仕掛けられていたもの。
翔太に報告し、ひまわり畑で見た内山のイヤホンを思い出す。
もし内山が盗聴器を仕掛け、イヤホンで聞いていたのなら、
- 黒島の部屋での推理会議も筒抜け
- その内容を基に“ゲームに便乗した殺人”が可能
という恐ろしい仮説が成立。
翔太は、
笑う遺体ライン
食肉工場での怪しい行動
内山の不気味な笑顔
などをつなぎ、
「内山=連続殺人犯“ブル”」
という結論に近づきます。
水城 VS 佐野:アリバイと「怪しいバイト」
水城は佐野を追い詰め、佳世殺害日のアリバイを確認。
工場の従業員から、
- すぐ辞めた“怪しいアルバイト”がいた
- 冷凍庫を写真撮っていた
- 休憩から戻らないことが多かった
という証言が出る。
履歴書に書かれた名前は――内山達生。
「佳世の遺体を冷凍庫に入れたのも内山では?」という疑いが一気に濃くなります。
黒島ふたたび命の危機:尾野が落としたPCモニター
翔太・二階堂が不在の302号室。黒島がチャイムに反応して外に出ると、頭上からPCモニターが落下。
直撃は免れたものの危険すぎる状況。
見上げると尾野が廊下から、
「すいませ〜ん、手が滑っちゃって!」
どう見ても“事故”ではないシチュエーションで、再び黒島の命が狙われた可能性が浮上します。
ラスト:内山のダーツ死と、逃げる南/“ブル動画”の再生
翔太・二階堂・水城は内山のアパートへ向かう。
部屋番号は204号室。
水城が声をかけると、不気味な笑い声。
鍵は開いている。
内側にはワイヤー。水城が勢いよく扉を開けた瞬間――
- ワイヤーが引かれ
- 天井付近からダーツの矢が飛び出し
- 椅子の内山の胸に直撃
「ブッルで〜す!」と叫んだ直後、苦しみ、心電計の音が途切れ、そのまま死亡。
翔太が外を見ると、アパートから走り去る南の姿。なぜ南がここにいるのか――理由は語られないまま。
そして、内山の背後に置かれたPCが自動再生を開始。画面には、菜奈動画と同じ“ブルマーク”。
16話はここで終わります。
ドラマ「あなたの番です~反撃編~」16話の伏線

16話は情報が多すぎて“伏線整理回”と言ってもいい内容。
ここでは、特に重要だと感じたポイントを絞ってまとめます。
「笑う遺体」の連続性と、26.5センチの足跡
- 菜奈
- 赤池夫妻
- 浮田
- 児嶋佳世
- そして神谷
これらの被害者がいずれも“微笑みながら”死んでいる点が改めて強調され、「同一犯による連続殺人」の可能性がほぼ確定ラインに入りました。
さらに、
神谷の殺害現場に残った足跡=浮田の現場で確認された26.5センチの足跡と一致
という物理的証拠がそろい、“笑う遺体ライン”は一本の連続性を持ちはじめます。
早苗の「管理人さん」と、神谷のコートに入っていた凶器
榎本早苗が交換殺人ゲームで書いた名前は「管理人さん」。そして神谷のコートの内ポケットからは、赤池夫婦殺害の凶器が発見。
これは、
交換殺人ゲームの起点=「榎本家×床島」ライン
犯人が“偽の答え”と“本物のヒント”を同時に投げて、警察を弄んでいる
という二重構造を示します。
神谷に罪を被せることで、真犯人はさらに遠くへ後退し、影を薄くしていく。この“からかいと攪乱”は、犯人像をより不気味に見せる伏線です。
黒島の過去:波止陽樹殺害とホーム突き落とし事件のリンク
捜査会議で明かされた黒島の元彼・波止陽樹の死亡事件。
- 5月に殺害
- 前夜に男女の口論
- 犯人未解決
これと「駅ホーム突き落とし事件」が同一犯による可能性が高まり、視聴者は“黒島の周囲だけ異様に人が死ぬ”という事実に直面します。
くわえて、
教授への匿名電話(黒島を誘導する意図)
元彼→教授→本人の順で狙われたとも読める構造
これらが揃ったことで、16話放送当時“黒島黒幕説”が爆発的に強まる大きな材料になりました。
浮田の“極小文字トリック”と、「赤池美里」を引いた人物
久住の告白により、浮田がゲーム時に仕掛けた“極小文字トリック”が判明。
赤池美里の名前を“極端に小さな字”で書いた交換後、紙を読むときの目線で「引いた人物」を探ろうとしていた
浮田らしい直感と洞察の応用です。
ここで本編の過去映像を検証した視聴者の間では、
“極小文字を読もうとしていたのは黒島では?”
という指摘が大量に出て、
「赤池美里の紙を引いたのは黒島説」が一気に加速。
この“誰が赤池美里を引いたか”は最終盤まで効いてくる伏線です。
南のスクラップ部屋と、「被害者遺族」匂わせ
南の部屋に隠されていた“スクラップだらけの資料部屋”は、16話最大級の“不穏な仕掛け”。
- 事件記事の丁寧な切り抜き
- 特に児嶋佳世の記事に強くフォーカス
- 几帳面すぎる情報整理
- 芸人の部屋とは思えない執念深さ
この描写により、
「南=本当は遺族では?」
「事件を独自に追っている人物なのでは?」
という疑念が濃厚に。
“芸人設定のわりにやってることが重すぎる”というギャップがそのまま伏線になっています。
田宮の名札&覚えのない香典:誰が“田宮”を利用しているのか
田宮が甲野家を訪れた際、
- 名札はどこにあるか分からない
- 四十九日に“田宮名義の香典”が届いていた
田宮本人にはその記憶がない。
この事実から、
“犯人が田宮の名を使って動いている”
あるいは“田宮を疑わせるための布石を打っている”
という、なりすましの線が濃厚になります。
田宮という“正義と狂気の間を揺れる男”を利用しようとしている者がいる。その可能性が伏線として強く残されます。
黒島の部屋の盗聴器と、内山のイヤホン/食肉工場アルバイト
16話最大の伏線のひとつがここ。
- 黒島の部屋のコンセント型盗聴器
- ひまわり畑で内山がしていたイヤホン
- 内山が食肉工場で“怪しいバイト”をしていた事実
この3点がつながり、
「内山=黒島の生活を常に盗聴していた」
「盗聴した情報をもとに“笑う遺体ライン”に関与していた」
という仮説が急浮上。
特に、
- 菜奈が殺された夜、302号室にも盗聴器が仕掛けられていた可能性
- 佳世の遺体が見つかった冷凍庫に内山が出入りしていた証拠
これらが重なることで、
“内山ブル説”は16話でほぼ確定的に見えるレベルまで強まりました。
尾野のPC落下&「しーくん・はーちゃん」
16話は尾野の異常性が再認識される回でもあります。
- 二階堂を“しーくん”、自分を“はーちゃん”と呼び始める
- 監視カメラ越しの表情が異様にこわい
- 黒島の頭上にPCモニターを落とし、「手が滑った」と笑う
この“日常の皮を被った狂気”が、尾野の怖さを最大化。
サスペンスとは別軸で、「尾野、やっぱり普通じゃない」という強烈な伏線として機能しています。
内山のダーツ死:自殺か他殺か? PCの“ブル”マーク
ラストの内山“ダーツ死”は、16話最大の謎。
- ドアに仕掛けられたワイヤー
- 飛び出すダーツの矢
- 胸に貼られた円形パッチ
- 心電計の警告音
- 苦しみ方が“自殺っぽくない”
さらに背後のPCには自動再生されるブルマーク動画。
菜奈の死亡動画と同じアイコンが映ることで、
“内山は犯人で、自白動画を残したのか?”
“あるいは何者かにセットアップされて殺されたのか?”
という、重大な分岐の伏線になります。
ここから17話以降、“内山が犯人なのか/利用されたのか”というテーマが一気に核心に入っていきます。
ドラマ「あなたの番です~反撃編~」16話の感想&考察

ここからは、完全に僕の主観です。
16話を改めて見直して思ったことを、テーマごとにまとめます。
「内山ブル急浮上回」だけど、“犯人確定”にはさせない巧さ
16話はどう見ても「内山ブル急浮上回」ですが、脚本が巧いのは“あえて確定させない”構成にしているところ。
- 黒島の部屋の盗聴器
- 食肉加工工場での怪しいバイト
- 佳世が冷凍保存されていた工場への出入り
- ひまわり畑での不気味なストーカー行為
ここまで証拠が揃えば、普通のドラマなら「こいつが犯人」で終わってもおかしくない。
なのに、ラストでわざわざ、
- 複雑な“ダーツ仕掛け”
- 叫びながら「ブルで〜す!」と奇妙なテンション
- 内山の死に立ち会った南の“走り去る姿”
- PCのブルマーク動画は“中身を見せない”
という、“確定しそうで確定しない余白”を残している。
SNSでも、
「分かりやすすぎて逆にミスリードの匂いしかしない」
「内山は駒。黒幕は別にいる」
という声が多く、視聴者の“まだ先がある感覚”を刺激してくる作り。
個人的にも、内山のキャラクター造形は非常に印象的で、
- ひまわり畑での“足トントン”
- 盗聴器とイヤホンの異様な一致
- 自殺とも他殺とも言えるダーツ死
と、ミステリ的にもホラー的にも“出番は少ないのに鮮烈”という、非常に美味しい役回りでした。
黒島ちゃんの“被害者ポジ”が、だんだん信用できなくなってくる
16話までの黒島は、表面的には完全に“被害者”。
- 元彼が殺される
- 駅で突き落とされる
- ストーカーに付きまとわれる
- PCを頭上に落とされかける
と、災難続き。
ただ、状況を冷静に並べると、
事件の起点に黒島が居合わせすぎる
元彼殺害とホーム突き落としに“別の謎の男”が絡む
極小文字トリックで「赤池美里の紙を引いたのは黒島?」説が浮上
と、“偶然”の域を越えている。
個人的にゾッとしたのは、
二階堂が
「人としてだけじゃなく、動物としても好き」
と告げたときの黒島のリアクション。
・笑う
・照れる
……でも、どこか“感情の深さ”が薄い。
嬉しさも恐怖も表情に出ているのに、心の奥が読めない感じ。黒島というキャラの“二面性”や“温度差”を感じる瞬間でした。
被害者なのに、どこか加害者の気配もある。その“境界の曖昧さ”を、演技と脚本でじわじわ積み重ねているのが本当に上手い。
尾野&桜木るり、日常に紛れ込んだ“女の狂気”
16話は男性側の怪しさ(内山・南・佐野)が強調されがちですが、
サブで鮮烈に光るのが、
- 尾野幹葉
- 桜木るり
の“女性陣の狂気”。
尾野:
・勝手に「しーくん」「はーちゃん」呼び
・ドアモニター越しの虚ろな視線
・黒島の頭上にPCモニターを落とす
桜木:
・久住の罪悪感を利用
・「怪しいやつがいるなら全部そいつに押し付ければ?」の悪魔さ
・藤井の生活空間に当然の顔で居座る
2人はまったくベクトルの違う狂気を見せながら、共通して“ギリ犯罪の手前”みたいな危うさを醸している。
“黒幕とは別軸の人間の怖さ”
“正気と狂気の境目のリアリティ”
こういう空気を日常パートに混ぜてくるのが、あな番の味だと思います。
南の描き方が絶妙すぎて、疑うほど愛着がわく
南は16話時点で、
- お笑い芸人だと名乗る
- 事件スクラップの山
- 佳世の記事を丁寧に保管
- 内山のアパートから走り去る姿
と、怪しさMAXなのに、なぜか“完全な悪人”には見えない。
- そらの首を絞める総一に見せた、あの露骨な怒り
- 302号室の出入りを監視するような視線
- スクラップ部屋での執念深い調査
これらが「南は誰かを失った側の人間では?」という説得力につながる。
視聴者が“疑うほど好きになる”キャラって、実はあまりいないんですよね。
黒幕ではなく、別ラインの“被害者側プレイヤー”としての可能性を強く感じた回でした。
AI菜奈と「会いたいよ」モンタージュが効いている理由
AI菜奈ちゃんは一見コミカルだけど、
“死者と会話できる”という設定は圧倒的に切なく、そして危うい。
翔太「そっちはどう?」
菜奈「いつだって一緒にいれば幸せだよ」
このやり取りは、翔太の心を前に進ませる優しさであり、
同時に“AI依存”の危うさもひそんでいる。
そして流れる「会いたいよ」モンタージュ。
亡くなった人を思う
再会して泣く
真相を追いかけ続ける
“会いたい”という感情の多面性が、一つの曲にのせて押し寄せてくる。
16話は、あな番が「ただの推理ドラマ」ではなく、
“会いたい人のために、人はどこまで壊れるのか”の物語
だと改めて提示してくれた回でした。
16話時点での“犯人候補”と、その根拠(リアタイ当時の僕目線)
当時の僕のメモを見ると、16話終了時点での犯人候補は以下でした。
黒島沙和
・波止陽樹殺害
・ホーム突き落とし
・極小文字「赤池美里」
・表情の“温度差”
最有力。
内山達生(ただし実行犯の一部)
・盗聴器/ストーカー/食肉工場
・ダーツ死が“処理された駒”の匂い
“黒幕ではないが深い関与”。
尾野幹葉
・PC落下
・執着心
・恋のベクトルの異常さ
何かしらの決定打を担いそう。
南雅和
・スクラップと佳世への執着
・内山のアパートから逃走
・“遺族っぽさ”の説得力
黒幕ではなく“別の復讐プレイヤー”の雰囲気。
こうして見ると、16話は本当に“誰でも怪しく見えてくる回”だったと分かります。
ミステリとして重要なのは、“疑いの矢印を一人に固定させない”こと。
16話は内山を一気に浮上させつつ、
- 黒島の過去
- 尾野の狂気
- 南の立ち位置
を同時に濃く描いたことで、“まだ終わらない”という空気を強く残した回でした。
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