ドラマ『ぼくたちん家』は、恋でも家族でもない“三人の関係”から始まる少し変わったホームコメディ。
主人公は、50歳のゲイの動物飼育員・波多野玄一、教師として現実に疲れた作田索、そして親を買うと言い出す中学生・楠ほたる。
彼らが出会い、「恋と革命」「家をかすがいに」という言葉のもとで一つ屋根の下に集うとき、嘘と契約の先に“本当の家族”が見えてくる――。ここでは、第1話から最終回までのあらすじと展開、そして筆者の視点による結末予想をお届けします。
【全話ネタバレ】ぼくたちん家のあらすじ&ネタバレ

1話:「恋と革命」と“かすがい”が生まれる夜――3000万円が連れてきた奇妙な家族
第1話は、50歳の動物飼育員・波多野玄一が、縁側でファミリーサイズのアイスを独り占めする静かな夜から始まります。三口でギブアップしたあと、「一緒に食べてくれる恋人がほしい」とつぶやく——このささやかな願いが、物語の扉を開きます。
足を運んだパートナー相談所で、担当の百瀬に投げかけられた言葉は、太宰由来の「恋と革命です」。その一言が、玄一の眠っていた情熱に火をつけるのです。
一方の作田索は38歳の中学教師。受理されないと知りながら“夫・吉田亮太/夫・作田索”と書かれた婚姻届を握りしめ、社会の壁を噛みしめます。恋人の吉田と別れ、同棲も解消し、行き場を失った索は車で寝泊まり。
そんな彼の孤独に寄り添おうとする玄一は、真っすぐな提案をします——「家を買うってどうですか? 家を“かすがい”にして、俺たちの恋愛に意味があることを証明しましょう」。リスクも現実も承知のうえで、それでも誰かを思って差し出す“居場所”のアイデア。ここで第1話のタイトルでもある「恋と革命」が、二人の“共同宣言”として立ち上がります。
ほたるの登場――3000万円の“契約”と、始まる奇妙な家族
そこへ現れるのが、アパートの隣人で索の生徒でもある楠ほたる。
中学3年生で、学校に通わず、アパートでひとり暮らし。彼女は突然スーツケースを開け、「3000万円あります。家、欲しいんですよね。私、あなたを買います」と告げます。なぜ未成年の彼女が大金を? なぜ親は不在なの? すべての謎を抱えたまま、三人は“家族の予感”へと踏み出してしまう。奇妙で切実な提案は、第2話以降に続く“事件”と“秘密”の布石でもあります。
描写のトーンはシリアス一辺倒ではなく、軽やかさとユーモアに満ちています。アイスを分け合う場面の照れや優しさがにじむ空気感に、SNSでも「空気感最高」と共感の声が多く寄せられました。笑って、泣いて、また笑う——まさに“恋と革命”のはじまりを飾るにふさわしいテンポ感です。カメラは、三人の距離がミリ単位で縮む瞬間をやさしく拾っていきます。
筆者の視点――“差し出す”優しさと危うい三角関係
私が強く惹かれたのは、玄一の“差し出す優しさ”と、索の殻の内側でくすぶる小さな熱、そしてほたるの年齢不相応な孤独です。玄一の「家をかすがいに」という発想は、恋愛の意味を社会に与えられるのではなく、自分たちで作り出すという宣言。その中にほたるの「買う/買われる」という危うい言葉が混ざり、資本(3000万円)×感情(恋)×制度(家族・婚姻)が交差します。
第1話は、この三角関係の張力を美しく配置した“導入の完成形”。誰も被害者にせず、それぞれの正義がすれ違う余白を残しながら、次回の波乱(事件・警察沙汰の示唆)へとつながります。恋愛、家族、金銭、そして制度の境界線を軽々とまたぐ構成が見事でした。
“恋と革命”を当事者の視点で描く誠実さ
作品は“LGBTを描く”ことをテーマではなく前提として置いています。
公式サイトでも明言されている通り、「社会のすみっこで生きる人たちを、当事者の目線で丁寧に描く」姿勢が全編に通底しています。だからこそ、玄一の告白も、索の葛藤も、ほたるの無茶も、物語のまっすぐさとして響く。説教ではなく、生活の温度で届く作りが誠実で、観る人の心に自然と染み込むのです。
1話のまとめ――“恋と革命”は誰かを救う力になる
第1話の余韻は、タイトルそのもの。「恋と革命」は、誰かに“認められる恋”を待つのではなく、自分で自分を救うための革命。そして“かすがい”とは、家や契約に閉じ込めることではなく、ばらばらの人々をそっと繋ぐ小さな支えのこと。
3000万円という現実の重みと、“恋と革命”という理想が交差する中で、三人が同じテーブルでアイスを食べる光景に、私は小さく泣き、小さく笑いました。次回、事件の気配が濃くなる予告を受けて、三人がどんな“家族の定義”を選び取るのか。胸がきゅっとなる期待を抱きながら、次の夜を待ちたいと思います。
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2話:「親のフリ」と3,000万円――仮の家族が動き出す朝
はじまりの出会い――スーツケースと“親のフリ”の契約
物語は玄一の唐突な告白めいた提案、「家を買って“かすがい”にしよう」から始まる。恋に冷めきっている索はドン引き。
その直後、隣室の中学3年生・ほたるがスーツケースいっぱいの3,000万円を持って現れ、「家、欲しいんですよね? 私、あなたを買います」と切り出す。
お願いはただ一つ――学校対応のときだけ“親のフリ”をしてほしいというもの。彼女はトーヨコに通い、家ではひとり。父は別の家庭、母は行方不明。
孤独の輪郭をなぞるように語るその声が、妙に落ち着いているのが余計に切ない。
「お金よりも先に守りたい」――正論ではなく距離で寄り添う
玄一は面食らいながらも話を聞き、彼女の事情を推し量ろうとするが、ほたるは何も語らない。
それでも玄一は「お金より先に、目の前の子を守りたい」と立ち止まり、“預かる距離”を模索し始める。ここでドラマが選ぶのは、正論で押さえつけないやり方。
彼の不器用な優しさが、ほたるの固い殻の上にそっと置かれる描写が、静かに胸を打つ。
担任・索の孤独――車中泊の教師と“現実の温度”
一方の索は、恋人・吉田と別れ住む場所を失い、動植物園の駐車場で車中泊。
腰は痛いし、靴下は片方しか見つからない。そんな“現実のささくれ”がユーモラスに描かれ、彼の孤独もどこか愛おしく映る。
やがて警備員に注意され、駐車場からも追い出される始末。その最中、索は「警察を交えた面談をしたい」と教師らしい提案を持ちかける。
玄一とほたるを“親子”と信じる索は、進路の件も含めて整理したい――この“仕事の顔”が物語に現実の温度を吹き込んでいる。
広がる秘密と“仮の親子”の社会接続
玄一からすれば「事件? 警察?」と頭の中はクエスチョンマークだらけ。
けれど、アパートの大家・井の頭が何かを知っていそうな気配を見せ、二人の“仮の親子”は否応なく社会の仕組みへと巻き込まれていく。
秘密が増えるのに、会話のトーンは少しずつやわらぐ。その緩急が、日曜夜の物語としてちょうどいい温度を保っていた。
三人三様の“居場所なき者”――それでも一つのテーブルへ
やがて第2話は、三人三様の“居場所なき者”を一枚に収める。
ほたるは学校の視線から逃げ、トーヨコで息をつく。索は車という“仮の殻”で身を守り、玄一は他人の頼みを断れず部屋を広げる。
どれも未熟で、どれも誠実。だからこそ、三人が同じテーブルについた瞬間、画面の温度が一気に上がる。
ケアの練習――“一緒に生きる作法”の始まり
“3,000万円の正体”“母はどこへ”“警察は何を知っているのか”。
問いは増えるばかり。けれど見逃したくないのは、小さなノック音のようなケアの練習。
索が教師として段取りを整え、玄一が生活の地図を描き、ほたるが感情を言葉に変える。派手な答えはまだ出ないけれど、“一緒に生きる作法”が確実に芽吹き始めていた。
ラスト――“仮の家族”が世界を回し始める予感
ラストは玄一に向けて世界がくるりと回り始める予告のよう。
「思いも寄らない新生活が待ち受ける」という一文どおり、この“仮の家族”は次回から本格的に動き出す予感を残す。
父でも教師でもない、ただの“隣人”が張った防波堤は、どこまで波に耐えられるのか。胸の中も、期待と不安で同じリズムを刻み始めた。
筆者より
誰かの「フリ」を引き受けるって、うそじゃない。
相手が呼吸しやすくなるように、しばらくのあいだ肩代わりすること。第2話は、その“仮住まいの優しさ”を丁寧に描いてくれた回でした。
来週も、きっとこの場所に帰ってこようと思える。
2話のネタバレについてはこちら↓

3話:おにぎりがほどく仮の家族、父・仁が連れてくる現実
はじまりは“仮の家族”の朝——空回る優しさと、手を止めない父
ほたるに頼まれて「卒業まで父親のフリ」を引き受けた玄一は、親子契約の経緯を胸に、炊きたてのご飯でおにぎりを握る。
ところが索は「いつも食べないんで」と受け取らず、ほたるも「フリは頼んだ時だけでいい」と温度差をにじませる。
善意が空回りする痛みと、それでも手を止めない玄一のやさしさ――作品のトーンが、朝の湯気に乗って立ち上がる導入だった。
一方、索は本当の親子だと信じたまま、玄一に誘われてアパートの隅で車中泊を始める。恋人との同棲を解消した直後で部屋がないという事情から、教師としての線引きを守りつつ“敷地内で暮らさない”折衷案を選ぶ。
大家・井の頭も見守る中、奇妙な共同生活がスタートする。
ここで描かれる索の判断は、恋の当事者である前に“大人”であることの宣言でもある。
進路パンフレットと“トーヨコ”——選ぶ語彙のない少女と、頼まれないお節介
ほたるは卒業後の進路とにらめっこ。
パンフレットを広げても何をどう選べばいいのか分からず、気づけば“いつものトーヨコ”に足が向く。選ぶための語彙が足りない子が、知っている場所へ戻ってしまう現実。
玄一はそんな索に、顔なじみの不動産屋・岡部を紹介してお節介を焼くが、これも頼まれてはいない。三人それぞれの歩幅のズレが、可笑しくて、少しだけ切ない。
ロクデナシ父・仁の来訪——3000万円が持ち込む現実
ここで物語に“現実の重さ”が差し込まれる。
玄一たちの前に現れたのは、ほたるの実父・仁(光石研)。
母・ともえが会社の金3000万円を横領した疑いで逃亡中という背景のもと、仁の“ある目的”が匂わされる。お金だけを見据える大人の視線が、〈仮の家族〉に硬い影を落とす。
みりんの独白——台所に残る母の記憶
中盤、ほたるの独白が刺さる。
母の不在に触れながら、「お母さんの隠し味のみりんを買いたかった」という一言が、彼女の“待つ理由”を台所の記憶に結びつける。
SNSでも「泣けた」との声が多く、生活の手触りで喪失を描くこのドラマの美点が、やわらかく共有された。
柱にもたれる告白——小さく言うから嘘がない
物語は“気持ちの位置”を少しだけ前へ進める。
玄一は索に向かって、柱にもたれながら小さく「好きなんです」と告白する。昭和の乙女のような“もじもじ告白”は視聴者の心拍を上げたが、演出の肝は声量の小ささにある。
生活の延長線上でやっとこぼれた本音は、過剰なドラマティックさよりも、日常の隙間にこそ似合う。
反響が大きかったのも頷ける。
教師としての線引き——“仮の家族”を守る大人の手続き
やさしさの湯気が立つ一方で、3000万円という現実は待ってくれない。
仁の来訪は、学校やアパートという“守られた空間”に金の匂いを持ち込み、三人の関係を「本当に続けるのか」と問い直す。
ここで索が教師としての境界線を守り、仁に毅然と線を引く描写は、物語のバランスを正す楔。仮の家族を守るための“大人の手続き”が、静かに効いてくる。
おにぎりの湯気と次回への余韻——続けることの尊さ
ラストは、次回へひと押しする温度で幕を閉じる。
おにぎりという小さなケア、進路という大きな問い、告白というささやかな事件――どれも“結果”ではなく“続け方”の話だと、この回は教えてくれる。
やさしさは一度では届かない。だから、明日も手を動かす。玄一が握る次の一個が、三人の距離をまた半歩だけ近づける――そんな余韻が、きれいに残った。
3話についてのネタバレについてはこちら↓

4話:『なくなったってことは、あったってこと』…手紙と3000万円が連れていく夜
告白とスルー——恋よりも優先すべき現実
冒頭、玄一(及川光博)がまっすぐに告白。
「好きなんです!」——けれど索(手越祐也)は、ほたる(白鳥玉季)を優先すべきだと静かに受け流す。このスルーは冷たさではなく“いま一番守るべきもの”の確認。恋の高揚が一歩引いたぶん、ふたりの関係は現実の地面に足をつける。
父・仁の登場——“ニセ親子契約”が暴かれる
同じ頃、ほたると結んだ“親子のフリ契約”は実父・仁(光石研)に露見。
学校にまで押しかけた仁は「娘に会いに来た」と言い張るが、目的は母・ともえ(麻生久美子)の残した“3000万円”。索は毅然と追い返し、教師としての矜持でほたるの領域を守る。この対峙が、のちの“救出劇”の布石になる。
手紙、スーツケース、連れ去り——導火線がともる夜
そして導火線に火が付く。差出人不明の手紙を読んだほたるが、玄一の部屋に隠していたスーツケースを持ち出し、直後に仁に連れ去られてしまう。
追う玄一と索、追われるほたる——三人の運命は夜のドライブへ。物語が一気に動き出す疾走感が、ここから加速していく。
湖畔のカフェと“ダムカレー”——喪失を照らす言葉
行き着いた先はダムのある湖畔。
テーブルに置かれたのは“ダムカレー”。かつての記憶に寄りかかって“父親らしさ”を演じる仁の前で、ほたるの胸に溜まっていたものが決壊する。
やっとこぼれた涙は“戻れない時間”への喪失ではなく、“確かにあった日々”への証明。
ここで玄一が索に手渡し、索がほたるへ返す言葉——「なくなったってことは、あったってこと」——が、作品のコアをやさしく照らす。
クライマックス——スーツケースの中身と“居場所”の証明
駐車場の攻防。仁がスーツケースを奪おうとするも、開いて見えたのは札束ではなく、幼い頃の思い出の品々。
“3000万円の在りか”を追うはずの物語が、実は“居場所の在りか”を探していたのだと明かされる瞬間。金ではなく記憶が重なる構図が、視聴者の涙腺を静かに打つ。
バッタと「運命ですね」——小さな偶然がつなぐ心
夜がほどけるころ、ふたりの足元に偶然とまった“バッタ”。
玄一と索が顔を見合わせ、ふっと笑って「運命ですね」。百瀬(渋谷凪咲)が授けた“運命の種”が、過剰に煽られず、ちいさな偶然として回収される粋。恋は高らかに宣言されるより、こうして日常の片隅で育つのだと教えてくれる。
“喪失=証拠”という革命——涙の意味が変わる瞬間
一番震えたのは、“喪失=証拠”という発想のひっくり返し。
なくなったからこそ、そこに確かに在った——その視点が、ほたるの涙を“弱さ”から“回復の第一歩”に変えていく。告白は宙ぶらりんでも、手を差し出す順番は間違えない。玄一と索が“できること”を積み重ねた先に、家でも恋でもなく“居場所”という言葉が、静かに立ち上がっていた。
エピローグ——手紙とバッタが結んだ夜
第4話は「手紙→連れ去り→湖畔の涙→スーツケースの真相→バッタの“運命”」という一直線の導線で、視聴後にそっと背中を撫でてくれる回。
次回、三人の暮らしはさらに“同じ時間・同じ場所”へ収束していく気配。けれど私が見たいのは、結末よりもその“手順”。今日も誰かのために湯を沸かし、灯りを点ける——そんな反復こそ、恋よりも強い。
4話のネタバレ&あらすじはこちら↓

5話:『恋人つなぎ』と初恋がほどける夜
第5話は、“家族じゃないけれど家である人たち”が、それぞれの場所で少しだけ手を伸ばした夜でした。
車中泊を続けていた索(手越祐也)が、玄一(及川光博)の隣の部屋に引っ越してきます。
「これで正式にお隣さんですね」と弾む玄一に、索は「仮住まいだから勘違いしないで」と冷静に釘を刺す。
その一言で胸の温度が少し下がる。けれど、同じ廊下の足音、台所に並ぶ段ボール、扉の開閉音——日常のノイズがふたりの距離を確かに縮めていきました。
元恋人・吉田の来訪——“普通”と“正しさ”のあいだで揺れる三人
そこへ、索の元恋人・吉田(井之脇海)が突然やって来て、引っ越しを手伝い始めます。
「別れたんですよね?」と動揺する玄一に、索は「別れましたよ。人手は多い方がいいから」と平然。
終わった関係の内側に残る情と、いま隣にいる人の不安。その温度差が会話の隙間から立ちのぼる。
私は、この三角形がこの回の“痛み”をやわらかく照らしていたと感じました。
ほたるとなっち——“友達”という言葉の形を探して
一方、同じアパートのほたる(白鳥玉季)は期末前でもやる気が出ない。
今を生きたい衝動と、将来という言葉の硬さ。そんなとき、トーヨコ仲間のなっち(大島美優)が突然高校受験に目覚め、支援団体の職員・鯉登(大谷亮平)に勉強を教わり始める。
「本名も家のことも学校も知らないのに……それって友達?」
ほたるの心に小さなひびが入る。
置いていかれる怖さと“友達”の定義が、静かに揺れました。
母と大家の密会——光の中で向き合う「正しさ」と「逃避」
同じころ、アパートの大家・井の頭(坂井真紀)は、逃亡中のともえ(麻生久美子)と二人だけで密会します。
「ほたるに渡してほしくて。渡せばわかると思うので」——ともえが差し出したのは、全国各地のご当地キーホルダー。
まだ逃げ続けるつもりだと悟った井の頭は、まっすぐに言う。
「私は今日、あなたを連れて帰るためにここに来たから」。
母の罪と、いま“家”を支える大人の責任。
白いロビーの光の中で、ふたつの正しさが向き合いました。
玄一の初恋——名前が呼ばれた瞬間、過去がほどける
夜。外廊下の風が冷たくなる頃、玄一はギターで「初恋のうた」をそっと奏でます。隣に座った索が、昔話を促す。玄一の口からこぼれた名前は、鯉登。
中学のとき、からかわれるのが怖くて、心にもない言葉で突き放してしまった初恋。
ここで、ほたるが口にしていた“鯉登”という固有名と、玄一の痛みが線でつながる。画面の“静けさ”が、過去の罪悪感をほどく迂回路になっていました。
指先の物語——“恋人つなぎ”が灯した小さな明かり
そして——指先の物語。
索がすっと手を差し出す。玄一が恐る恐る重ねると、索は照れ笑いまじりに「犬じゃないんですから。“お手”じゃないです」と言って、指を絡め直す。
恋人つなぎ。
たった数秒の移行で、ふたりの世界に柔らかな明かりが灯る。
SNSでは「キュン」「索、小悪魔すぎる」という声も上がり、身体の合図が心の合意に追いついた瞬間として多くの視聴者をときめかせました。私はこの一手で、玄一の“いま”がやっと報われたと感じました。
三つの恋——終わる恋、始まる恋、そして初恋
第5話の終盤には、作品が掲げるフレーズ——
「終わる恋、始まる恋、そして、初恋」——がそのまま画面の温度になって現れます。
索と吉田の“終わったはずの恋”の余熱。索と玄一の“まだ名前のない恋”のはじまり。そして、玄一がようやく言葉にできた初恋。
それぞれの火は小さくても、暗い夜には十分な灯り。
私は、ここに“家族じゃないけれど家”の芯を見ました。
ほたるの問い——「友達って何?」が残した余韻
最後に、ほたる。
彼女の「友達って何?」という問いは、次の一歩を迷うすべての人の胸にも置かれた問いでした。
勉強か、今か。正解は一つじゃない。
ただ、誰かがそばで見ているという事実が、思春期の世界を少しだけやわらげる。
そんな余韻が、やさしく残りました。
私はこの回を、“触れない距離”が“触れる距離”に変わる夜として忘れないと思います。
5話についてのネタバレはこちら↓

6話:止まっていた時間が動き出す夜
初恋への後悔と、背中を押した“同じ屋根の下”
「……やっぱり、会いに行ってみようかな」。玄一の胸にずっと残っていた棘は、中学時代の初恋・鯉登に向けてついた嘘。「気持ち悪い」と突き飛ばしてしまったあの瞬間に、謝りたい——でも怖い。
その迷いに、同じ屋根の下で暮らしはじめた索が「そんなの分からないじゃないですか」と背中を押す。勇気は静かに点火し、歌舞伎町へ。玄一は“こいのぼりくん”として若者を支える鯉登と再会を果たし、胸の底に沈めてきた時間と向き合うことになる。
ともえの“言い訳”と、娘の願いがぶつかる夜
同じ頃、ほたるの母・ともえは3000万円の横領を抱えたまま「どうしてもしなきゃいけないこと」があって東京へ。
いちばん会いたくなかった元夫・仁に追われる夜、雑踏を抜けてなお止まらない足音が切ない。母は母で“生き延びる言い訳”を探している——その現実が、娘の願いと痛くぶつかる。
階段崩落がもたらした“半分同棲”の時間
そして生活は容赦なく転がる。アパートの階段が抜け落ち、修理までのあいだ配置換え。ほたるは玄一の部屋へ、玄一は索の部屋へ。
つまり、半分“同棲”。同じ部屋で眠り、同じ湯気を見ながら、ふたりの距離はじんわり縮まっていく。その“日常の音”が、玄一の背中をさらに押したのだと思う。
パンフレットが繋いだ再会への道
きっかけは一枚のパンフレット。ほたるが持っていたNPOの職員紹介に、鯉登の写真。
運命はこんな偶然を装ってくる——玄一は決心し、ほたるの案内で夜の街へ向かう。会って謝りたい、でも相手は二度と会いたくないかもしれない。その逡巡ごと連れて行くのが“大人の謝罪”なのだと、私は画面の呼吸で感じた。
社会の“目”が、静かに三人を照らし始める
その頃、別の“目”も動いている。警察の松がアパートをひそかに張り込み、三人の居場所は社会のルールと同じ視界に入る。いつか向き合うしかない現実が、視界の端で赤く灯っていた。
止まっていた時間がほどける、静かな再会
再会の場面は、音が少ない。
過去の自分が口走った一言と、いまの自分が差し出す一言が、やっと同じ温度になる。そこで明かされるのは思いも寄らない真実。謝罪は片道の言葉じゃない——ふたりの“止まっていた時間”が、同時にほどけていく。
心の揺れを支える“家族の手”
一方のほたるは、母に会いたい気持ちと、置いていかれた痛みのあいだで揺れる。泣きたい夜にそばにいるのが、玄一と索。
家族の形は、名札じゃなく手の温度で決まっていくのだと、第6話はやさしく教えてくれる。放送前後、SNSにも「ほたるの涙にやられた」「玄索の距離が尊い」といった声が並び、画面越しの共鳴が広がった。
未来図が“少しだけ”書き換わるラスト
そしてラスト、恋も家も未来図が少し書き換わる。
玄一と索は“同じ暮らし”の手触りを確かめ、ほたるはまだ言葉にならない気持ちを胸にしまう。——嘘や秘密を抱えた生活でも、人はちゃんと前に進める。第6話は、そのことを静かな勇気で示してくれた回だった。
6話についてはこちら↓

7話:親孝行って何だろう…ハッピーエンドまであと3歩の夜
第7話は、玄一と索が正式に「恋人同士」になった瞬間から始まります。ソファで手をつなぐ二人を見て、ほたるが「つまり両想いってことですよね?」と茶化す空気が微笑ましく、温度の高い始まりでした。
索は早くも未来の準備に全力で、パートナーシップ制度の申請、家探し、玄一の両親への挨拶まで一気に進めようとします。一方の玄一は嬉しさの反面、「索が無理をしていないか」と胸がそわそわ。
ほたるは二人を祝福しながらも、家を買って出ていく未来を想像し、“親子のフリ”が終わるかもしれない不安を抱き始めます。
北海道から母・千代子が来訪し、余命4ヶ月を告白
そんな中、玄一の母・千代子が上京。BL漫画に夢中の彼女はサイン会に向かうつもりで、玄一と索の関係にも大賛成。食卓には玄一・索・ほたる・千代子が並び、温かくて少しせつない“家族”の風景が広がります。
しかし千代子はその裏で「がんで余命4ヶ月」と告白。あまりに穏やかに話す母に対し、玄一の複雑な想いが静かに揺れ動いていきます。
鯉登&矢倉の大ゲンカと、小さな“家族のリアル”
玄一・索・ほたるは先輩カップルの鯉登&矢倉を訪ね、パートナーシップ制度の実例を聞きます。二人の契約書には家事から卵の使い方まで細かく明記され、思わず笑ってしまうほどリアル。
しかし鯉登が卵を全部ゆで卵にしたことで矢倉が激怒し、家を飛び出す事態に。
「追いかけたほうがいいです!」と背中を押す3人の声に、鯉登は走り出し、二人の“ぶつかりながら続く愛”が描かれます。
アパートに戻ると、亀の“どら”がいない事件が発生。交番へ向かった玄一の本名に女性警官・松が反応し、この後の不穏な展開への伏線が張られます。
千代子が語る「誰を好きでも幸せに生きられる」という真実
千代子とほたるはBL漫画家のサイン会へ。
千代子は、息子にカミングアウトされ泣いてしまった過去、幸せになれないのではという恐れ、そしてBLを通して「誰を好きでも幸せになれる」と知ったことを作者に伝えます。
「息子さん、幸せそうですか?」と聞かれ、ほたるが胸を張って「めちゃくちゃ幸せそうです」と答える場面は、静かで力強い瞬間でした。
パートナーシップ成立、そして元恋人・吉田との決着
玄一と索は無事にパートナーシップを提出。玄一が「嬉しすぎて怖い」と漏らすと、索は「ハッタリでも二人で信じれば本当になる」と優しく返します。
しかし帰宅すると索の元恋人・吉田が待ち構え、「やり直したい」と訴えます。
索は「今日、玄一さんと結んできました」と静かに線を引き、「それはあなたの幸せじゃないでしょう」と告げ、前に進むことを選びます。
ほたるの“初めての夢”と、赤色灯が切り裂く夜
玄一がほたるにギターを教える穏やかな時間。
その最中、ほたるはついに「好きなもの」を見つけたと告白します。
「ギターが好き。弾くほうじゃなくて、作るほう」
自分の人生を自分で選び始めた初めての瞬間でした。
索は玄一を強く抱きしめ「好きですよ、波多野さん」とようやく素直に言葉を伝えます。
幸福が満ちる夜——しかし次の瞬間、アパートの前にパトカーの赤色灯がにじみ、玄一は松に付き添われて車に乗せられます。呆然と立ち尽くすほたる。
“選んだ家族”に静かに迫る現実の影を予感させるラストでした。
ぼくたちん家の7話のネタバレはこちら↓

8話:クリスマス前夜、“家”と3000万が揺れた夜
玄一・索・ほたるが夢に手を伸ばした夜
8話は、玄一・索・ほたるの三人がようやく掴みかけた“家”という夢と、現実的な3000万円の重さが同時に崩れかける、胸がひんやりする回でした
。物語は、玄一と索がパートナーシップ証明書を取得し、いよいよ家探しの本格段階へ入ったところから始まります。二人はローン申請のために公正証書づくりに着手し、病気時のケアや生活ルールまでまとめようとしていました。
しかし書類だけでは不安が残るため、玄一は「井の頭アパートでお試し同居」を提案。
索が玄一の部屋に荷物を運び込み、生活習慣を確かめる期間がスタートします。最初は家事分担や寝る前の過ごし方といった穏やかな会話が続きますが、実際に暮らすと玄一の散らかし癖や感情表現の強さが見え、索は少しずつ疲れを感じるように。
それでも家の話をすると玄一の目が潤むように見え、「この人、本気なんだ」と索の胸に温かな実感が広がっていきます。
“ニセ親子”疑惑とアパート全体を巻き込む聴取
同じ頃、警察官の松は玄一とほたるの関係に深まる違和感を覚え、“ニセ親子”疑惑を確信へ変えつつありました。中年男性と制服姿の中学生が同居し、大金入りスーツケースが絡む状況は、事情を知らない者からすれば怪しさ満点。松は井の頭アパートに捜査を強めます。
大家の今日子は玄一を信じているからこそ、松を世間話でいなし、住民たちもなぜか同じ日に内見で集合。結果、中庭には全員がそろい、事情聴取の場のような空気が生まれます。
松は三人から話を聞きますが、中でも索の応答が胸に刺さります。索は「玄一とは赤の他人」「婚姻関係にはなれない」と淡々と説明しつつ、自分ではなく玄一だけが疑われる形に誘導し、索自身の名前が書類に残らないように話を運びます。表面上は距離を置いた発言なのに、裏側はすべて“玄一を守るため”であることが伝わり、優しくも切ないシーンでした。
索の過去、ささやかな歌、そして“家を買おう”
聴取後の空気が少し落ち着き、索は玄一とほたるをケーキ屋へ連れて行きます。
向かった先は、自身が育った児童養護施設。索は照れくさそうに、かつてここを「世界でいちばん好きな家」だと思っていたこと、卒業式で仲間に歌われて泣きじゃくったことを語ります。
そして、ゲイとして家を持つ未来を現実的に諦めていたものの、玄一が家の話を真剣にしてくれたことで“夢が蘇った”と告白。最後に「もう別れ話なんてしない。家を買おう」と静かに宣言します。
小さな優しさと、不穏な影
一方、ほたるの母・ともえは全国を巡る旅の途中でカバンすり被害に遭い、集めたキーホルダーをすべて失います。その無力感は、彼女の不安定な立ち位置を象徴していました。
アパートへ戻った三人を待っていたのは松からの短いメモ。「よく分からない関係だが、一緒にいた時間は楽しかった。仲良く暮らしてほしい」という、大人の距離感のこもった言葉でした。
そしてラスト、ほたるが段ボールとテープで作ったギターを玄一に見せ、「どこで暮らすことになってもギター作りを続けたい」と夢を語ります。部屋の空気がふわっと明るくなった直後、索が押入れに目を向けると、3000万円入りのスーツケースが消失。外ではほたるの父・仁が札束を手に怪しい動きを見せています。
家も、未来も、三人の積み上げてきたものすべてが揺らぎ始める――。クリスマスツリーだけが優しく光り、どこか祈りにも似た不安を残して8話は幕を閉じました。
8話についてのネタバレはこちら↓

9話の予想:偽親子“解散”の先で、もう一度「家族になりたい」と言えるか
番組表には「ゲイカップルとトーヨコ少女の偽親子ついに解散!」と書かれていました。
この一行だけで胸がきゅっと縮みます。タイトルの「ぼくたちん家」が、いつの間にか“この三人の家”そのものを指すように聞こえていたから。その“ん家”がバラバラになる予告は、小さな別れの宣告みたいに響いてしまうのです。
次回予告では、玄一の「なくなってます、3000万……」という声から始まり、偽親子関係が警察にバレたうえに、仁に三千万円のスーツケースを盗まれたことが示されていました。
つまり9話は、これまで“内側の秘密”として守られてきた三人の関係とお金の問題が、一気に“外の世界の問題”として露わになる回。家の内側で守られてきた嘘が、社会の光にさらされるタイミングなのだと感じています。
まず揺れるのは「三人一緒に暮らす」という夢
三千万円が盗まれたことで、玄一は「お金も守れなかった」「ほたるの親として失格だ」と自分を責めざるを得ないはず。索だって教師という立場で限界ギリギリの綱渡りを続けてきたのに、警察の目が入り、三千万円の存在まで動いたとなれば、「これ以上一緒にいることでほたるの足を引っ張るかもしれない」と考えてしまいそうです。
私は9話のどこかで、こんな会話が交わされる気がしています。
「ここから先は大人の問題だから、ほたるは巻き込みたくない」
「大人同士でケリをつけたら、また会おう」
それは優しさでありながら、ほたるの心を鋭く切り裂く言葉でもあります。そしてこの“解散”は、おそらく大人側から一方的に言い渡される。
玄一は自分だけが罪をかぶろうとする人で、8話でも索を守るために“赤の他人”と突き放したように、今度はほたるを守るために「親子ごっこはここまでにしよう」と言い出してしまうかもしれません。
でも、ほたるはもう“従うだけの子”ではない。段ボールギターを抱えて「施設に入る未来も自分で選ぶ」と言えた子だからこそ、「大人が勝手に解散決めないでよ」と静かに反抗する姿が浮かびます。それは泣き叫ぶ大爆発ではなく、ふっと姿を消すとか、玄一の目を見ないとか、そんな等身大の反応になる気がしています。
一方、仁とともえが揺れる「親としての席」
仁はとうとう“三千万円を盗んだ父親”という最悪のラインを越えてしまいました。逃げ続けるのか、どこかで捕まるのか。おそらく9話では、仁の“言い訳”がたくさん描かれるでしょう。「俺だって苦しかった」「金がないと子どもも守れない」──そんな言葉が並ぶのが容易に想像できます。
ともえは“理想の母を探す旅”の途中でキーホルダーをすべて失い、その無力感が彼女自身の揺らぎそのものになっているはず。9話では、「自分は母親失格だ」と気づき、本気でほたるの前に立つ資格を考え直す回になる気がします。
仁とともえがそれぞれ別方向から「ほたるの親としての席」に座ろうとし、そこに玄一と索も絡んで、四人の大人がぐちゃぐちゃに揺れる場面が来るかもしれません。そのときほたるに必要なのは、「一番傷つけてごめん」という謝罪と、「これからどうしたい?」という本人への問いかけ。でも、大人たちはその当たり前の二言を言うのが、きっといちばん下手なんですよね。
松は“悪者にならない”線引き役になる
8話で「三人の時間が楽しかった」とメモを残した松は、9話では“法律”と“感情”の真ん中に立たされる存在になる気がします。偽親子である以上、見逃してはいけない。
でも、自分の判断が三人をバラバラにしてしまうのも苦しい。もし松が「子どものために、一度大人は離れるべき」と判断するなら、それは第三者だからこその残酷で、同時に正しい決断。私は松が“悪者”には描かれないと感じています。
「解散」は終わりではなく、“再集合”のための一度目の別れ
SNSでは、「三人離れないで」「解散してもまた帰ってきてほしい」という声が多くて、そのたびに胸が熱くなりました。私も、9話で完全に“さようなら”にはならないと思っています。いったん解散し、それぞれが「どう生きたいか」「誰と暮らしたいか」を考え直し、もう一度玄一の部屋のちゃぶ台の前に集まる。その“再集合”のための別れになると信じています。
偽親子の解散は痛みを伴うけれど、その痛みを通らなければ「家族になりたい」という言葉が軽くなってしまう。9話はきっと、その直前の夜──手を離したくない大人たちと、未来を見つめるほたるの温度差を描く回になるはず。
私はただ、たとえ一度バラバラになっても、「やっぱりここが私たちん家だね」と笑える夜が三人に訪れることを祈りながら9話を待っています。
10話以降:※未放送
※物語が出次第、更新予定。
ドラマ「ぼくたちん家」のキャスト一覧

日テレ日曜ドラマ「ぼくたちん家」は、2025年10月12日スタートの完全オリジナル・ホーム&ラブコメディーです。
脚本を手掛ける松本優紀は日テレシナリオライターコンテストで審査員特別賞を受賞した新鋭で、愛と革命をテーマにした物語を描きます。
主演は及川光博と手越祐也のダブル主演。ここでは主要キャストとその役柄をまとめます。
メインキャスト
波多野玄一(はたの げんいち)〈50〉 – 演:及川光博
動物飼育員として働く心優しきゲイのおじさん。恋人を求めてパートナー相談所に通っているが、なかなか理想の相手が見つからない。アイスを一緒に食べてくれる恋人が欲しいというささやかな願いを持つ。その不器用さや一生懸命さが、見ていて愛おしいキャラクターです。
作田索(さくた さく)〈38〉 – 演:手越祐也
中学校教師であり、同じくゲイ。クールに見えるが根は情熱的で、恋にも人生にも冷めきっている。婚姻届を書いてみるものの受理されず、恋人との別れを決断した矢先に玄一と出会う。冷静さの裏に秘めた思いが垣間見えます。
楠ほたる(くすのき ほたる)〈15〉 – 演:白鳥玉季
中学生で学校にはほとんど通わず、謎の3000万円を隠し持っている少女。「3000万円あります。家欲しいんですよね。私、あなたを買います」と玄一に申し出る。彼女がなぜ大金を持っているのか、物語の鍵となりそうです。
サポートキャスト
物語には、玄一・索・ほたるの3人を支える周囲の人々も登場します。
岡部成治(おかべ せいじ)〈51〉 – 演:田中直樹
玄一の仲良しの不動産屋で、家探しを手助けしてくれる存在。
百瀬まどか(ももせ まどか)〈30〉 – 演:渋谷凪咲
パートナー相談所の相談員。玄一に「人間は恋と革命のために生まれてきたのだ」と太宰治の言葉を引用して励ます。
井の頭今日子(いのかしら きょうこ)〈59〉 – 演:坂井真紀
オンボロアパートのオーナー。個性豊かな面々を温かく見守る存在。
市ヶ谷仁(いちがや じん)〈58〉 – 演:光石研
ほたるのロクデナシな父親。
楠ともえ(くすのき ともえ)〈43〉 – 演:麻生久美子
ほたるの謎多き母親。
岡部の妻・井の頭吉田(名前未確認) – 演:井之脇海
索の元恋人。索の過去を象徴する存在で、物語に波乱を呼びそうです。
ぼくたちん家の予想結末。最終回ではどうなる?

“家をかすがいに”——この合言葉が象徴するように、『ぼくたちん家』は恋(玄一×索)と親子(玄一×ほたる/索×ほたる)、そしてお金(ほたるの3000万円)が同じテーブルに並ぶ物語です。
公式サイトや相関図、次回予告でも、心優しきゲイの動物飼育員・波多野玄一、クールな教師・作田索、そして中学生・楠ほたるの三人が奇妙な“家”を組み立てていく構図が明示されています。玄一の「家を買おう」という直球の提案と、ほたるの“契約親子”申し出(3000万円)は、最終回に向けて“嘘(契約)から本物(責任・信頼)へ”という成長を描く仕掛けになっています。
“家=かすがい”の再定義——恋の証明から、居場所のインフラへ
序盤で玄一が口にした「家を買うってどうですか? 家を“かすがい”にして、俺たちの恋愛に意味があることを証明しましょう」という言葉は、当初はロマンティックに響いていました。
けれど三人の生活が始まると、家は“恋の象徴”ではなく、“暮らしのインフラ”としての役割を帯びていくはずです。恋の証明よりも、居場所の保証へ——これが中盤以降の大きな転換点。予告でこのセリフが再掲されているのも、物語が「形(家)」から「中身(関係の質)」へ焦点を移す合図でしょう。
最終盤での家は、“恋の記念碑”ではなく、“三人の生活権”を守る砦として描かれるはず。鍵の本数、寝室の割り当て、名義、連絡先——こうした細部のルールが“私たちの家”を実体化し、嘘から始まった関係が日常に支えられて本物になっていく。公式相関図が“三者の中心に家の線”を置いているのも、この読みを補強しています。
3000万円と“半年の契約”の行き先——本当の交渉相手は社会
外側の最大の火種は、ほたるが差し出す3000万円と「中学卒業までの半年間、親のフリをして」という条件です。
物語は“お金の出所”と“契約の限界”を具体的に描きながら、学校・警察・病院・進学手続きなど、親の署名が必要な現実と三人を対峙させるでしょう。ここで焦点となるのは、誰か一人を悪人にせず、制度の網目を三人の知恵でくぐり抜ける姿勢。未成年の安全を守りつつ、“自分たちなりの家族像”を模索する姿が感動を呼ぶはずです。
最終回に向けて、3000万円の由来は“誰かの不在(喪失)”と結びつき、ほたるが“親を買う”ほど追い詰められた理由が明かされるでしょう。金の意味が「取引」から「遺された時間や想い」へと変化することで、契約は儀式となり、儀式は家族へと昇華する。この反転がクライマックスの涙の理由になると予想します。
大人の恋の着地点——“燃やす”より“支える”
玄一×索の関係は、恋愛の熱量を保ちながらも、最終的には“支え合い”に着地すると見ています。玄一の差し出す優しさと、索の不器用な正しさは衝突を繰り返しますが、そのたびに「誰のために何を選ぶか」を学び直す。
索は慎重で、玄一の“家を買おう”発言にドン引きするほど現実主義者ですが、教師としての責任感から三人の橋渡し役を担うようになるでしょう。最終的に二人の愛は、結婚という形式ではなく、生活の継続と共同の意思で結ばれる。日曜夜にふさわしい“静かなリアル”を提示してくると予想します。
ほたるのクライマックス——「自分の名字で立つ」宣言
ほたるの成長軸は、“契約で守られる子”から“自分で立つ人”への変化です。
三者面談、進路調査票、卒業式と、10代の節目イベントが“親の同席”を求める中、最終回では誰の隣に立つかを自分で選ぶはず。卒業式の後、三人で“初めてのホットケーキ”を焼きながら、ほたるがぽつりと「ねえ、うちの“家訓”、作ろう」と言う——名字も血も違うけれど、“うち”はひとつ。
その言葉が契約の最終更新(=今日以降も一緒に暮らすという約束)となる構図が浮かびます。
また、番組の宣伝文句が「笑って、泣いて、そして笑えるホーム&ラブコメ」を掲げていることからも、ラストはビターのあとにスイート。泣かせたあとにしっかり笑わせて終えるのが、このドラマの約束事でしょう。
ラスト直前の最大風速——“嘘”が破れる夜
最終回一歩手前では、“親のフリ”が破れる夜が訪れるはずです。学校・近所・SNS、どこかのきっかけで“契約親子”が露見し、三人は一時的に離れ離れに。
ここで効いてくるのが、これまで積み上げてきた小さな生活描写(合鍵、メモ、連絡ノート、買い置きの牛乳)。バラバラに見えても、三人の生活が同じリズムで回っていたことが明らかになり、「もう、これは嘘じゃない」と観客が先に気づく。そのうえで、彼らが再び互いを選び直すのが最終回の第一関門になるでしょう。
“第三者”の支え——大家と不動産屋、そして同僚たち
このドラマは三人だけの密室劇ではありません。
大家の今日子や不動産屋の岡部、職場の同僚たちが“見守る大人”として三人を支える布陣です。
最終盤では、法的グレーゾーンに立つ三人を日常の側から支える存在として、“住民票の書き方”“合意文書の雛形”“緊急連絡網”といった具体的なサポートを提示してくるでしょう。群像の温度を保つキャスト配置が、こうした“見守り線”を物語の背骨に通しています。
予想・最終回の情景——“ただいま”を分け合う
私が思い描くラストは、小さくて大きい結末。卒業式の夕方、引っ越し段ボールにサインペンで“うちのルール”が書き足されていく——「朝は“おはよう”を言う」「嘘は1回まで」「アイスは分ける」。テーブルの上には三人分のマグカップ。そこへ索が帰ってきて、少し迷いながら玄一の肩に手を置く。ほたるが「ただいま」と言い、二人が「おかえり」と重ねる——それだけ。けれど、その一往復に、ここまでのすべてが詰まっている。
法的な結論が出なくても、“この家で暮らし続ける意思”と“互いの未来に責任を持つ覚悟”が揃えば、彼らの“家族”はもう動き出している。エンディング直前、冷蔵庫の扉に三人の予定表と“緊急連絡先”が並ぶカットで、視聴者は確信するのです——これはもう契約ではなく、日常だと。

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