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【全話ネタバレ】CODE/コード~願いの代償~の最後の結末。二宮は死んだのか?

【全話ネタバレ】CODE/コード~願いの代償~の最後の結末。二宮は死んだのか?

物語のはじまりは「どんな願いも叶える」謎のアプリ〈CODE〉。

だが願いには必ず代償が伴い、プレイヤーは任務→制裁→勧誘という冷たい回路に絡め取られていきます。

本記事は『CODE/コード』の全話ネタバレ完全版。各話のあらすじを要点化し、伏線や人物の変化を「こうだから、こう」の順で論理的に整理します。

シーズン構造は、1〜3話で仕様の提示、4〜6話で輪郭の露出、7〜9話で拡散と装置の優位、10話で決着と問いへ。

焦点は犯人当てではなく“設計批評”。

〈CODE〉は願いを最短で行動に変換するUIであり、二宮・椎名・円の三者が異なる手段で抗い、時に取り込まれる綱引きを描きます。

最終回では市川と計画は止まるが回路は残り、銃声は「設計が人を部品化する」ことの象徴に。全話を通じて散らばった伏線を一本の線に結び直し、読後に残るモヤモヤを整理します。

目次

※ネタバレ「CODE/コード」の結末は?二宮は死んだのか?

※ネタバレ「CODE/コード」の結末は?二宮は死んだのか?

最終回のポイントは二つです。

(1)表の黒幕・市川と“プロフェット”計画は止まったが、〈CODE〉という装置そのものは生き続ける。
(2)二宮は背後から銃撃され、彼のスマホに〈CODE〉が自動再インストールされて“勧誘発信”が始まる。

つまり、個人を倒しても“願い→任務→制裁→勧誘”という回路自体は止まらない――これがエンディングの核心です。

結末の要点(ダイジェスト)

  • 市川は公開の場で追及され、〈CODE〉の“制裁”電話まで受けて拘束。政治が推す“犯罪予測システム=プロフェット”も凍結へ。
  • しかし二宮は直後に背後から銃撃。手からスマホが落ち、〈CODE〉が勝手に再インストール。
  • 画面の向こうで、二宮の声による勧誘コールが自動発信され続け、暗転。
  • 物語は「黒幕退治のカタルシス」よりも、“装置は人を部品化して回り続ける”という不気味さを残して幕を閉じます。

二宮はなぜ撃たれたのか――論理的整理(3仮説)

  1. “装置の制裁”説(最有力)
    二宮は〈CODE〉の連鎖を何度も断ち切り、システムにとって“障害(バグ)”でした。学習した装置が「排除最適」を選ぶ――その結果としての銃撃。誰が引き金を引いたかより、“装置が意思を代行する”構図が重要です。
  2. “残党の口封じ”説
    市川は倒れても、利害で結び付いた企業・行政・運営の残党は消えていない。真相に到達した二宮を消すのは合理的です。
  3. “連鎖の輪を閉じる”メタ演出説
    ラストは二宮の声で勧誘が続く。撃つ動機は“殺意”だけでなく、彼を〈CODE〉の“語り手(プロパガンダ)”へ落とすためでもある――という読みにも整合します。

結論:①と③の併存が最も筋が通る。“誰が撃ったか”は主題ではなく、〈CODE〉が“人を駒に変える”設計こそが答え、という描き方です。

二宮は“死んだ”のか?――生死の解像度

  • 死を強く示唆:背後からの銃撃→倒れる手→涙→暗転。救急搬送や生存を示すカットはなし。
  • ただし“確定描写”は回避:死亡宣告や遺体確認は描かれない。“装置の連鎖が主役”である以上、死の確定より連鎖の持続を優先した演出と読むのが妥当。
  • 編集意図:視聴者に「二宮の個人史」ではなく、“装置に飲み込まれる社会”というテーマを見続けさせるための曖昧さ。

物語が残した答えと宿題

  • 答え
    • 倒すべきは“人”ではなく、“人の願いを最短で行動に変換する設計(インセンティブと制裁)”
    • 市川失脚=勝利ではない。プラットフォーム責任/データの共犯/アルゴリズムの自走という三位一体が残り続ける。
  • 宿題
    • 〈CODE〉は“停止”できるのか。それとも社会の別名としてどこかに形を変えて残るのか。
    • 「善の語彙(安全・抑止)」で来る管理に、人はどう線を引くのか。
    • 個人の物語(告発・連帯)で、装置の物語(誘導・編集)を上書きできるのか。

まとめ

最終回は、「こうだから、こう」が極めて明瞭です。

装置は“願い”を燃料に回る → 回すために“制裁”で人を動かす → 抵抗する者は“排除最適化”される → そして“勧誘”で回路を補充する。

二宮が撃たれ、彼の声が勧誘に使われる結末は、その回路の冷たさを視覚化した一手。ヒーローの勝利ではなく、私たちが“どこで線を引くか”を観客に突き返すエンディングでした。

【全話ネタバレ】CODE/コード~願いの代償~のあらすじ&感想。

【全話ネタバレ】CODE/コード~願いの代償~のあらすじ&感想。

1話:幸せの絶頂から一転、奈落の底へ

神奈川県警暴力団対策課に所属する刑事・二宮湊人(坂口健太郎)は、堅実で真っ直ぐな性格で知られる若手刑事。5年間交際してきた恋人・七海悠香(臼田あさ美)にプロポーズを決意し、物語冒頭でその夢を果たす。プロポーズは成功し、さらに悠香から妊娠を告げられる。二人の未来は光り輝き、二宮は人生で最も幸福な瞬間を迎えていた。

しかし、その直後に奈落への急転が訪れる。悠香が勤務する県警庁舎のエレベーターが突如暴走し、彼女は落下事故で命を落としてしまう。幸福の絶頂から地獄へ叩き落とされる二宮。愛する人と未来を誓ったばかりだった彼の心は、絶望で凍りつく。

事故として処理されるが、二宮はどうしても納得できない。悠香が別れ際に何か言いかけていたこと、庁舎の監視映像が不自然に消去されていたこと…。彼の胸には「これは単なる事故ではない」という直感が芽生えていく。

願いを叶える謎のアプリ〈CODE〉

そんな二宮のもとに、突然スマホに奇妙なメッセージが届く。送り主は不明。画面に表示されたのは「CODE」という謎のアプリだった。アプリの説明には「どんな願いでも叶う」とだけ記されている。

半信半疑でアプリを起動した二宮が最初に入力した願いは「悠香の死の真相を知りたい」。するとすぐに任務が提示される。それは「一億円を強奪せよ」という過激で危険なミッションだった。

任務には期限があり、拒否することはできない。二宮はやむなく現金輸送車の襲撃現場に赴き、そこで大学生・仲川悟(宮世琉弥)と遭遇する。悟は既に〈CODE〉のプレイヤーであり、指示に従う形で犯行に関与していた。二宮は悟を“駒”として利用するように動き、任務を達成してしまう。

だが同時に、〈CODE〉には残酷なルールがあることを目の当たりにする。任務に失敗したプレイヤーには「制裁」が下され、命を落とすのだ。仲川の周囲でも制裁による死が実際に執行される様子を見て、二宮は背筋を凍らせる。

記者・椎名一樹との接触

一方、フリー記者の椎名一樹(染谷将太)は独自に〈CODE〉の存在を追っていた。彼は過去の取材経験から、このアプリが犯罪の裏で暗躍していることを嗅ぎつけ、仲川をマークしていた。やがて二宮と接触した椎名は、「悠香の死は事故ではないのでは?」と挑発的に言い放ち、共闘を持ちかける。

二宮は警察官としての立場もあり、記者と組むことにためらうが、悠香の死の真相を知りたいという執念がその迷いを押し流していく。

消された映像と新たな手掛かり

二宮は鑑識課の同僚・石原から、悠香が事故当日に庁舎のドライブレコーダー映像をコピーしていた可能性を聞かされる。しかし、そのデータは何者かによって消去されていた。

調べを進める中で、二宮は悠香の残したメモリーから「CODE」「桐生大輝」「寺島貴司」という名を見つける。寺島は県警庁舎に出入りしていた元職員で、悠香が亡くなった日に現場を覗き込む姿が映像に残されていた。しかし彼は後に薬物の過剰摂取で死亡。証人は次々と消されていく。

二宮は「悠香は〈CODE〉の真相を掴みかけていたのではないか」と確信を強めるが、手掛かりを追うほどに闇は深くなる。

シリーズ全体への布石

〈CODE〉は「願望実現」の包装を纏った行動誘導装置。プレイヤーは“選んでいるつもり”で選ばされ、失敗すれば制裁を受ける。自由意志とアルゴリズム支配の境界が曖昧になる設計が根底にある。

二宮は「真相を知りたい」という純粋な願いを持ちながら、少しずつ法を踏み越えていく。彼の人間性がどこまで保たれるかが、シリーズの大きなテーマになる。

2話:喪失と再始動 ――「願い」が導く新たな奈落

第2話は、悠香を失った二宮湊人(坂口健太郎)が“喪失の現実”と向き合いながらも、再び〈CODE〉へ踏み込んでいく回である。

1話のラストで彼が体験したのは「願いの代償」という残酷な構図だったが、本話ではその設計がより鮮明に立ち上がる。

悠香の葬儀と“事故ではない”という直感

冒頭は悠香の葬儀。母や同僚に囲まれながらも、二宮の心は孤独に閉ざされていた。彼にとっての願いはただ一つ――「悠香の死の真相を知ること」。

警察は「単なるエレベーター事故」として処理しようとするが、庁舎の監視映像は事故直前から都合よく欠落。さらに悠香が“ある内部告発”に関与していた可能性も浮上する。二宮の中で「仕組まれた殺人」という仮説が確信へと近づいていく。

〈CODE〉からの新たな任務

二宮がスマホに願いを入力すると、即座に提示されるのは新しい任務。「半グレに狙われる人物を救出せよ」というものだった。

その対象は借金で追い詰められた青年。二宮は正義感と刑事としての職務に揺れながらも、〈CODE〉の指示に従わざるを得ない。救出には暴力や脅しも含まれ、“犯罪スレスレ”の行為を強いられる。

任務を達成した直後、別の利用者が制裁で命を落とす。つまり二宮が願いを叶える影で、別の誰かが犠牲となっていたのだ。

証拠データを奪還せよ

続いて〈CODE〉が突き付けるのは、さらに危険な2本目の任務。「エレベーター事故の元データを奪還せよ」。

二宮は協力者と共に大企業の関連施設に潜入し、違法すれすれの行為でサーバーにアクセス。奪い取った断片映像には、安全装置を意図的にオフにする人物の手元が映っていた。顔は特定できないが、これで「事故ではない」と確信するに足る証拠を掴む。

だが同時に、これが警察内部や企業の関係者による証拠隠滅の一端である可能性が浮上。悠香が追っていたものは、まさにその“結節点”だったのだ。

〈CODE〉の利用者たちの素顔

第2話では、二宮以外の利用者の姿も描かれる。

  • 高額治療費に追われる親
  • 借金に沈む中年男性
  • 復讐に燃える元刑事

彼らは皆「切実な願い」を持ち、アプリを頼る。だがその願いは別の誰かの任務や制裁を誘発し、悲惨な結果を招く。〈CODE〉は“幸せを与える道具”ではなく、“弱さを利用するアルゴリズム”として機能していた。

誰かの願いが、別の誰かの地獄の入り口となる――。二宮はその連鎖に気づきながらも、自身もまた“違法”に手を染めることで真相へ迫ろうとする。


巨大な影の輪郭

捜査線上には早くも“大きな影”が立ち上がる。

  • 事故の背後に潜む大企業の不正
  • 警察内部の腐敗
  • 悠香が掴んでいた内部告発

二宮は〈CODE〉の開発者を名乗る人物へ接触を試みるが、その正体はつかめない。黒幕の顔は見えないまま、しかし「個人の願い」と「構造的犯罪」が一本の糸で繋がっていることが強く示される。

まとめ

第2話は①事故は作為である可能性、②〈CODE〉は“願いのアルゴリズム”であること、③背後に企業と警察の影があること――この三つを明確化した回だった。

二宮は刑事でありながら違法に手を染め、真相へ渇望するほどにアプリの深部へ導かれていく。その構図自体が「願いの代償」であり、以後の物語を駆動する最大のテーマとなる。

ラスト、スマホの画面に届いたメッセージは「次の願いはなんだ?」。二宮はまだ知らない。この問いかけ自体が、彼をさらに深い闇へと引きずり込む罠であることを。

3話:証拠の欠落と「願いの代償」

佐々木慎介の失踪と死

第3話の冒頭を飾るのは、二宮の大学時代の友人・佐々木慎介の失踪事件だ。佐々木は金融トラブルに巻き込まれたのか、姿を消していた。二宮にとっては過去を共有する大切な友であり、彼の行方を追うことは悠香の死と並ぶ“個人的動機”となる。

しかしやがて、佐々木は「覚醒剤の過剰摂取による死亡」として処理される。唐突な死と、都合の良い薬物死のレッテル。これにより、二宮は「悠香の死」と同じように、佐々木の死も誰かの作為によって“都合よく処理された”のではないかという直感を強める。

佐々木の失踪前の行動も不自然だった。スマホの履歴が削除され、誰かに追われていた痕跡を残している。彼は単なる被害者ではなく、〈CODE〉に接触した可能性が濃厚だ。つまり「被害者であり加担者」である二重性が浮上し、この物語の核である“願いと代償”の構図がさらに立体化していく。

任務のカウントダウンと加害者性の自覚

二宮が「真相を知りたい」と願うたび、〈CODE〉は冷酷に任務を突きつける。小さな道具の運搬、監視網の突破、映像データの横取り…。いずれも刑事である彼が本来なら避けるべき“違法行為”だ。

任務は常に秒単位のカウントダウンで迫り、二宮は判断を強いられる。拒否すれば手がかりは消える。選択肢は実質的にない。こうして彼は「自分で選んでいるつもりで選ばされている」状態に追い込まれる。

成功すれば次の手がかりが与えられるが、同時に別の利用者が“制裁”を受けて命を落とす。自らの願いの影で誰かの死が確定するという因果。二宮はここで初めて、自分が“加害に加担している”実感を抱く。刑事でありながら法を踏み越え、罪を背負う矛盾。その背徳感こそが本作のサスペンスを駆動していく。


椎名・咲・八重樫 ―― 三方向のベクトル

3話では二宮を取り巻く人間関係も厚みを増す。

  • 椎名一樹(フリー記者)は挑発的な言葉で二宮を前進させる。「止まれない」性分を見抜き、共闘を持ちかけつつ記事化=公開という外向きの論理を押し付ける。
  • 三宅咲(ハッカー気質の協力者)は削除された監視映像や端末のログを掘り起こし、「事故映像の欠落」という具体的痕跡を示す。
  • 八重樫(刑事の同僚)は“正しい手続き”を重視し、暴走しかける二宮にブレーキをかける。

三者のベクトルは一致しない。だが「捜査(内向き)」と「告発(外向き)」の緊張が、物語全体のリズムと推進力を生み出している。二宮はその狭間で揺れ動きながらも、最終的には〈CODE〉に引き寄せられていく。


三輪円の輪郭 ―― 敵か被害者か

第3話で新たに浮上するのが三輪円(松下奈緒)の存在だ。彼女は“プレイヤー”の上に立つ監視役=モニターのように振る舞い、〈CODE〉のルールに精通している。

短いカットの積み重ねから見えてくるのは、病気の息子の治療費を得るために動いているらしいこと。そして命令に背けば彼女自身が制裁を受ける危険があることだ。彼女は敵なのか、同じ被害者なのか。

「真相を追う二宮」と「生活を守る円」――二つの切実さが同じ画面に並ぶことで、物語は単純な善悪から離れる。ここで視聴者は“事情が人を悪に駆動する”という非情な構図を飲み込まされる。

証拠の“欠落”が最大の証拠

第3話は「何があるか」ではなく「何がないか」を示すことで真実を浮かび上がらせる回だ。

  • 改ざんされた監視映像
  • 途切れたログ
  • 沈黙する関係者

“不在の列挙”が逆説的に“作為の存在”を証明する。証拠を積み上げる捜査ではなく、消されたものを追いかける作業へと変わる。この転換が、以後


演出の緩急と「止まれない加速」

本話は、任務のカウントダウンで締め上げる緊張感と、葬儀や部屋に残る匂いなど“静かな喪失”を交互に配置。救出劇→喪の場面→潜入任務と緩急を繰り返し、視聴者に“止まれない加速”を体験させる構成だ。

視聴者は二宮と同じように息をつく暇を与えられず、彼と共に転落へのプロセスを歩む。このテンポ感が、以後の暴走と崩壊の萌芽を植え付けている。


まとめ

第3話は、証拠の欠落と人心の欠落を並列させることで、〈CODE〉が人の尊厳を剥ぎ取る装置であることを可視化した。二宮は刑事としての原則を削りながら、「悠香の死は事故ではない」という一点の確信だけを握りしめる。

そこに現れるのが“事情を抱えた加害者”=三輪円だ。彼女の存在は、二宮をさらに倫理の迷路へと誘う。

――願いは必ず代償を求める。

第3話はこの冷酷なファクトを、最も実感的に刻みつけるエピソードとなった。

4話:三輪円の影と二宮の越えてはいけない一線

拳銃とアタッシュケース ―― 任務が導く犯罪の現場

第4話は、二宮湊人のスマホに届いた新たな任務から始まる。

内容は「アタッシュケースを港の倉庫へ運べ」。中には拳銃と目出し帽。刑事として絶対に触れてはいけない“証拠物”を手にすること自体が、二宮にとって一線を越える行為だ。しかし悠香の死の真相に近づくため、彼は逡巡を飲み込み任務を遂行する。

指定の倉庫では、甲斐篤志らによる覚醒剤の受け渡しが進行していた。二宮は取引の過程や関係者の顔ぶれを観察し、任務とは別に捜査的な情報を拾う。しかしその事実自体が示すのは、〈CODE〉が二宮を“刑事としての捜査”ではなく“犯罪の現場へ誘導する仕組み”だということだった。任務は成功するが、そこに「正義の前進」はない。ただ罪の濃さが増していくのみである。

三輪円という存在 ―― 被害者か加害者か

一方、フリー記者の椎名一樹は独自に佐々木の死の裏を洗い、二宮の周辺で姿を見せていた“ミサンガの女”に行き着く。その正体は三輪円。椎名が接触すると、円ははぐらかしながらも、自身が病気の息子の治療費に追い詰められ〈CODE〉に関わったことをほのめかす。そして「任務に背けば制裁が下る」と告げる。

彼女の語り口からは、〈CODE〉にはプレイヤーの上位役――監視者やモニターのような存在がいることも匂わされる。円は加害者の顔を持ちつつ、母としての切実な願いに縛られた“被害者”でもある。

二宮と椎名は彼女の証言を得ようとするが、尾行していた連中に見つかり銃撃戦へ巻き込まれる。逃走経路を的確に指示する円の身のこなしは、彼女が単なる情報提供者ではなく、任務で鍛えられたプレイヤーであることを雄弁に物語っていた。

警察内部の影と田波課長

暴対課の八重樫は、独断専行を続ける二宮に冷静なラインを引こうとする。しかし上層部の目は厳しく、ここで浮上するのが田波課長の影だ。円と田波が人目を避けて接触していた事実が判明し、二宮は「田波こそ黒幕か」との疑念を抱く。

だが視聴者には二重の読みが提示される。田波は円を“利用”しているように見える一方、会話の断片からは“保護しようとしている”気配も漂う。黒幕に見せかけながら、別の解釈の余地を残す配置。これは物語的に大きなミスリードの仕掛けだ。警察内部の腐敗を示唆する線と、円の個人的事情の線が交差し、構造の迷路が広がっていく。

便利な死と量産される「事故」

任務で得た映像と円の証言を突き合わせるうちに、佐々木や寺島らに共通する“薬物過剰摂取による死”のパターンが強調される。誰かが意図的に「事故や自殺に見える死」を量産しているのではないか。そう考えると、甲斐は単なる組の運び屋ではなく、〈CODE〉の実行部隊や外部請負に近い立場に位置づけられる。

そして二宮のスマホに届く不穏な着信――「お前は見られている」。任務の対価として得た情報の裏で、二宮自身が“排除の対象”としてリストに載せられていることが暗示される。ここで物語は、彼の運命が大きな破局へ転がり出す予兆をはらんで幕を閉じる。


まとめ

第4話は、捜査(警察)と任務(アプリ)が完全に地続きとなり、二宮が「戻れない地点」を越える回である。〈CODE〉は手がかりを与える代わりに、同じ量の罪を要求する。これこそ“願いの代償”の具体的な手触りだ。

三輪円の二面性、田波課長の影、甲斐の立ち位置。積み上げられた不穏のピースは、次回以降さらに大きな破局を呼び込む地鳴りとなって響いていく。

5話:〈CODE〉の正体と悠香の死の必然

謎の通話と田波との再接続

第5話は、二宮湊人の携帯に入る一本の電話から始まる。「悠香を殺したのは自分だ」。送り主不明の男の声は、これ以上調べるな、仲間は警察内部にもいる――と露骨な脅しを告げる。真相を追う意志を折るどころか、二宮は逆に怒りに火を点けられ、決意をさらに強める。

同じ頃、誤認逮捕の疑いをかけられていた暴対課の田波秋生が釈放される。二宮は田波にこれまでの疑念を詫び、自分が〈CODE〉を使ってしまった事実を告白。田波は叱責するよりも「一緒に調べよう」と背中を押し、両者の関係は再び調査に向かって結び直される。

小島明日香の証言 ― アプリの仕様改変

フリー記者の椎名一樹と三宅咲は独自の線を追い、〈CODE〉の開発に携わった中堅IT・ボーグシステムの元プログラマー、小島明日香へ辿り着く。彼女の証言は衝撃的だった。

当初の〈CODE〉は、「願いを出す人」と「叶える人」をマッチングし、高額報酬を提示するシンプルな依頼アプリにすぎなかった。ところがある時期を境に、外部からコードが差し込まれ、任務を放棄すると星が減り、ゼロになると“死の制裁”が下るという致命的ルールが追加されていた。

さらに発注元は「SRSPカンパニー」というペーパーカンパニーで、背後には巨大IT企業ランリー・テクノロジーの影が見える。小島は不審を覚え、同僚の清水や雑誌記者の三宅直人(咲の兄)に相談するが、清水は退職、三宅は不審死。恐怖を募らせた彼女は、唯一信頼できた大学時代の友人で婚約者でもある七海悠香にだけ事情を打ち明けていた。

悠香の調査と死の必然化

小島と悠香は共に調べを進め、上司のPCや伝票を確認。結果、SRSPが実体のない会社であり、アプリのコードが外部から上書きされている証拠を掴む。つまり、〈CODE〉は単なる裏アプリではなく、企業ぐるみで不正に拡張されていたのだ。

この線が悠香の死へ直結する。事故で死ぬ理由はない。調べたからこそ殺された――論理が一本に通る。さらに同じ線上には三宅直人や清水の“消された痕跡”が並び、ドラマは「真相に近づく者は必ず排除される」という世界のルールを観客に飲み込ませていく。

迫る影と二宮の決意

小島自身も何者かに車で連れ込まれそうになり、辛くも逃走。二宮と椎名は彼女を警察の保護下に移し、証言を状況証拠として固めていく。悠香は〈CODE〉を調べた“から”殺された。この仮説が現実味を帯び、二宮は構造的な犯罪の匂いを確信する。

ラスト、ランリーの名がはっきりと浮上。二宮は裏で仕組む組織と、人の願いに寄生するアプリの双方を叩くと心に誓う。

まとめ

第5話は、〈CODE〉を“社会と繋がる技術”として描き直し、悠香殺害を構造犯罪の文脈へ据えた。被害の連鎖は個人の悪意ではなく、人の願いを設計し直すコードによって増幅される

だから二宮は、犯人ではなく仕組みそのものに刃を向けねばならない。ここから先は、単なる“事件”ではなく“システム”との闘いである。

6話:〈CODE〉が“装置”として姿を現す回

田波の死と二宮の孤立

第6話は暴対課長・田波が甲斐に撃たれる衝撃から幕を開ける。二宮にとって“守ってくれる大人”であった田波の死は、警察組織への信頼を完全に奪い去った。しかも追い打ちをかけるように、〈CODE〉が提示した新たな任務は「制限時間内に二宮湊人と三輪円を殺せ」

二宮自身が賞金首のようにリスト化され、プレイヤーたちに情報が拡散される。もはや“調べる側”だった二宮は、一瞬で“狩られる側”に立たされる。

この非情な設定により、二宮は悠香の死の真相を追うどころか、自分と円の命を守るサバイバルへ追い込まれる。警察内部での動きも鈍化し、八重樫が冷静に彼を制止しようとするが、二宮は「悠香は〈CODE〉を調べたから殺された」という確信を抱き、止まらない。ここで主人公の孤立と暴走がはっきり輪郭を持つ。

小島明日香の証言と“改変されたアプリ”

一方、椎名と咲は悠香が追っていた“開発の線”を掘り、中堅IT・ボーグシステムの元プログラマー小島明日香に辿り着く。彼女の証言は決定的だった。

本来〈CODE〉は「願いを出す者」と「実行できる者」をマッチングする高額報酬アプリに過ぎなかった。しかし、ある時点からコードが外部から上書きされ、“星(ライフ)”の仕組みと任務放棄=死の制裁が組み込まれた。さらに発注元のSRSPカンパニーは実体を持たないペーパーカンパニーで、その背後には巨大IT企業ランリーテクノロジーの影がある。

この証言で、〈CODE〉はもはや都市伝説や怪異ではなく、“人間が改変した実務的な装置”であることが確定する。願いを抱いた瞬間に利用者は選択を奪われ、任務を遂行するしかない。インターフェースはゲーム的に設計されており、プレイヤーは「選んでいるつもり」で「選ばされている」。現代的な不気味さが鮮明になった瞬間だった。

語り部の消去と非対称の恐怖

甲斐を巡る展開も象徴的だ。八重樫の機転で空の病室を囮にして確保に成功するが、拘置後に制裁で殺害されてしまう。証言者が“見えない手”によって抹消され、真相への梯子が折られる。

これこそが〈CODE〉の本質であり、証拠や語り部が系統的に消去されることで、二宮は正攻法を否応なく奪われ、違法・私闘の領域へ滑らされていく。

視聴者にとっても同様だ。推理に必要な情報源が逐次失われていくため、物語は“謎解き”ではなく“構造を暴く”方向へと強制的に舵を切る。〈CODE〉の恐怖は、単に命を奪うのではなく、“選択肢そのものを削る”仕組みにある。

ランリー×行政、現実に接地する陰謀

明日香の証言、咲が復元したログ、椎名の取材を突き合わせることで、ランリー・テクノロジーと行政(滝田副大臣・青柳知事)の関与が濃厚になる。表向きは「社会のためのビッグデータ活用」。しかし裏では“人間の欲望を可視化し制御する”プロジェクトが動いている。

ここで陰謀は現実の利害関係に接地する。巨大ITと政治の癒着が、〈CODE〉を単なる闇アプリから“都市を上書きする装置”へと変える。ホスピタルクラウン姿で登場する市川が「善の顔」で子どもを笑わせつつ、裏で恐怖を操るのは象徴的だ。公共善の語彙と監視技術が結びついた時、都市社会そのものが呑み込まれる。

芯の誘拐と円の心を折る罠

クライマックスは、円の息子・芯が市川に連れ出される場面。円のスマホには〈CODE〉から次の任務が届き、母としての願いを試す究極の選択が突きつけられる。ここで円は完全に“敵か味方か”の二項では測れない存在になる。彼女はプレイヤーを監視するモニターでありながら、母の願いに囚われた被害者でもある。

二宮は田波という支えを失い、円は芯という守るべき存在を人質に取られる。第6話は二人の“喪失”と“切実さ”を並列させ、以後の真相編へと加速する強烈な転回点となった。

まとめ

第6話は、〈CODE〉を“人の願いを設計し直す装置”として具体化し、同時に“誰が稼働させているのか”という社会的問いを突きつけた回だった。

二宮が失ったものの大きさ(田波)、円が人質に取られた芯という切実さ。両者の喪失が同時に立ち上がり、物語は個人の復讐劇を超えて“システムそのものとの闘い”へと舵を切る。

7話:偽善のピエロが姿を現す

二宮の覚醒と甲斐の最期

第7話は二宮(坂口健太郎)が意識を取り戻す場面から始まる。

病院を狙って救急隊員に成りすまし潜入した甲斐(青柳翔)は、八重樫(兵頭功海)が仕掛けた“空の病室”の囮に誘い込まれ、ついに確保される。だが安堵も束の間、甲斐は獄中で別のプレイヤーによる〈CODE〉の“制裁”で命を落とす。逮捕すらも装置の回路に組み込まれ、証言者は系統的に消されていく。真実に近づこうとする梯子は、ことごとく外される。

この「語り部の消去」によって、事件はもはや個人の犯罪追及ではなく、“仕組まれた装置との闘い”にシフトしていく。二宮は刑事としての正攻法を奪われ、私闘と違法の領域に押しやられる。

明日香の証言と悠香の死の必然化

一方、椎名(染谷将太)と咲(堀田真由)は、元プログラマー・小島明日香(伊藤歩)に接触。彼女が語るのは、〈CODE〉の起源だった。

当初の設計は「願い手」と「実行者」を高額報酬でマッチングさせるだけのアプリ。しかしある時期から第三者がリポジトリへコードを上書きし、任務放棄で星(ライフ)が減り、0になると“死の制裁”が実装された。発注元のSRSPカンパニーはペーパーカンパニーで、その背後にはランリーテクノロジーの影。明日香は不審を覚え、調査の過程で親友でもある七海悠香に立ち会ってもらっていた。

ここで理路がつながる。悠香は〈CODE〉の仕組みを追っていた“からこそ”殺された。偶然の事故ではなく、必然の口封じ。さらに清水や咲の兄・直人の不審死がその線上に並び、真相へ近づく者は排除されるという“世界のルール”が観客に刻まれる。

ランリー×行政の接続と「公共善」の仮面

警察内部は二宮の提示する“運営側の関与”に動こうとしない。だが一方で、ランリーと行政の会合が開かれ、量子コンピュータ「Lanry #Q」とビッグデータを用いた社会予測・管理の計画が明かされる。表向きは「公共のためのデータ活用」。だが裏では、人の願いと行動を可視化・制御するプロジェクトが進んでいる。

ここで象徴的に姿を現すのが、市川(玉山鉄二)だ。ホスピタルクラウンとして子どもを笑わせる“善の顔”を持ちながら、裏では〈CODE〉のアルゴリズムを肥大させる存在。善意の語彙と監視の技術が結びついたとき、人は抵抗を失う。7話はその滑らかな言説に戦慄を走らせる回だった。

芯の誘拐と円の再配置

病院で二宮が席を外した隙に、市川はホスピタルクラウン姿で円(松下奈緒)の息子・芯に近づき、連れ出してしまう。円はモニター=上位ロールの技能を持ちつつ、母としての切実な願いに縛られた存在だ。芯の拉致によって、彼女は「敵」でも「味方」でもなく、システムに従属させられた被害者として再配置される。

二宮は“守るべきもの”を人質に取られた形で、次なる選択を迫られる。ここから先は犯人探しではなく、装置そのものとの対決が物語の中心になる。


まとめ

7話は、〈CODE〉を“人の弱さを最短で行動化するアルゴリズム”として具体化し、その背後にランリー×行政という現実の利害を接続させた転回点だった。市川という“偽善のピエロ”が笑顔で立つ一方で、選択肢の設計を握り、子どもを人質にする冷酷さを見せる。この不気味さが物語の核心だ。ここから先、二宮が戦うのは人ではなく“設計された世界”。勝ち筋はただ一つ――装置に人間の物語をぶつけること。8話以降、二宮・椎名・円の手段がどこで交わるかを見届けたい。

8話:拡散するCODEと偽善のピエロ

市川との初対面と「バグ」の烙印

物語は二宮(坂口健太郎)が病院で円(松下奈緒)の息子・芯と過ごす場面から始まる。そこに現れたのはホスピタルクラウン姿の市川(玉山鉄二)。初めて真正面から対峙した二宮に、市川は「CODEは人を幸せにする夢のアプリ。悪いのは使い方だ」と平然と語る。

二宮が「お前が作ったのか」と詰め寄っても、答えは煙に巻かれる。別れ際に市川は二宮を「面白いバグ」と呼び、秘書の理央(中村ゆりか)と共に立ち去る。芯は二宮に“願いが叶う”青いミサンガを託し、希望と呪いの象徴が手渡される。

ランリー潜入と後藤の死

一方、椎名(染谷将太)と咲(堀田真由)は取材を装ってランリーテクノロジーに潜入。椎名が広報を引きつける間、咲はチーフプログラマー後藤(池田鉄洋)の端末にUSBを差し込み、内部映像を確保する。そこには後藤が市川に「これ以上CODEを使えば犠牲が増える、公表する」と詰め寄る姿が記録されていた。

二宮は後藤に接触を試みるが、配達員に体当たりされた直後に薬物を打たれ、後藤は心臓発作で死亡。証言者はまたも消され、真実への梯子は装置によって破壊されていく。

拡散するCODEと社会的混乱

同じ頃、街では「CODEの指示でやった」という警官襲撃が報じられる

これまで限られたプレイヤーのものだったアプリは、ネットを介して流出。招待制から一転、誰でも加害者になり得る状況へと変貌した。咲が市川の部屋をハッキングして監視していると、市川が画面越しに気づいたようにカウントダウンを始め、ゼロで遮断。ハッキングすら弄ぶ態度は、装置側の優位を象徴する。

「願いを逆手に取る」作戦と爆発

二宮のスマホは強制的に起動し、「最後の願いから1か月。10分以内に願いを入力せよ」と通知。制裁を避けるため、咲は「市川のボディーガードになりたい」と入力し、逆に接近の糸口にしようとする。

結果、市川の送迎車とIDが支給され、二宮・椎名・円はボディーガード役として接触に成功する。だが任務で指示されたのは「空のアタッシュケースを廃ビルに運べ」という不可解な内容。咲は自作の“プレイヤーホイホイ”で周辺のプレイヤー反応を検知し、不審を覚える。

やがて二人の目前でビルは大爆発。市川を問い詰めていた二宮に、市川は「残りの仲間は大丈夫か」と冷酷に告げる。爆発と挑発が同時に重なり、仲間の生死を宙吊りにしたまま第8話は幕を閉じる。


まとめ

8話はCODEの社会的拡散、証言者の排除、市川の理念を同時に描き、物語を“犯人当て”から“装置批判”へと転換させた。仲間の生死が宙吊りになった爆発と、市川の「私は何もしていない」という冷酷な挑発が突き刺さる。

勝つ道はただ一つ――人間の物語で装置の物語を書き換えること。最終章に向け、二宮たちの戦いはシステムの中枢へと迫っていく。

9話:物語を支配する装置の冷酷さ

咲の冤罪と連鎖爆破

8話の爆発直後から情勢は一変。神奈川県内で連鎖爆破が発生し、監視カメラにはアタッシュケースを運ぶ咲(堀田真由)の姿が映る。

映像は切り取られたまま拡散し、咲は爆弾犯として指名手配されてしまう。だが、実際に咲と円(松下奈緒)が受け取ったケースは空。二宮(坂口健太郎)は“嵌められた”と直感し、フリー記者の椎名(染谷将太)に咲の保護を託して、自らはランリーテクノロジーと市川(玉山鉄二)の追及へ踏み込む。

プロフェット計画の影

一方で、警察は腰が重いまま。ランリーと行政(青柳知事/滝田副大臣)は量子コンピュータを核とした「プロフェット計画」の実用化を推進する。

表向きは犯罪予測と抑止を目的とした公共善だが、裏では膨大なビッグデータを用いた監視と選別システムであることが浮かび上がる。椎名と咲はカラオケボックスで情報交換を行うが、なぜか同時に警察が到着。間一髪で逃げ出すが、〈CODE〉側が一手先を読んでいる不気味さを強烈に印象づける。

二宮の孤立とフェイク映像

二宮は市川を追い詰めるため逮捕状と家宅捜索令状を請求するが、入手した証拠映像は“盗撮”扱いされ、逆に立場を危うくする。

さらに「二宮が青柳知事を襲撃した」というフェイク動画が流され、彼自身に逮捕の口実が与えられてしまう。市川のネクタイピンからGPSが発見されるが、市川は「いつでも助けられたが、あなたたちと話すのが楽しかった」と余裕の笑みを浮かべる。二宮は自分が“観察対象のバグ”として弄ばれている現実に直面する。

円への究極の選択

その頃、円には芯(息子)を人質に取った新たな任務が届く。医師の須藤が搬送に関与し、指定された駐車場で円は再びアタッシュケースを受け取ることに。

条件は「任務を成功させれば芯の命と死の制裁の無効」。母としての願いを利用された円は、否応なく装置の脚本に組み込まれていく。

県知事暗殺阻止と新たな地獄

椎名はプレイヤーの“拳銃受け渡し”動画を入手し、任務の真の目的が青柳知事の暗殺であることを突き止める。拘束されていた二宮も機転で脱出し、椎名と合流して犯行を未然に阻止。

だが安心する暇はない。椎名のスマホに届いた映像には、地下室でピエロのマスクをつけた咲が椅子に縛られている姿。そしてそこへアタッシュケースを抱えた円が現れる。〈CODE〉のメッセージは「咲にプレゼントしてください」。ケースの中身は時限爆弾、残り5分。「咲を助ければ芯が死ぬ」――究極の二者択一を前に円は凍り付き、映像は暗転する。

まとめ

9話は、咲の冤罪、二宮へのフェイク容疑、円の二者択一を重ね、〈CODE〉が人間の願いを操作し、現実を編集する装置であることを突き付けた。

爆弾のタイマーは“時間の少なさ”ではなく“自由の少なさ”を象徴する。ここから先、二宮たちは犯人ではなく設計そのものと戦うしかない。ラストの凍り付く二択は、次回最終回の地獄の幕開けを告げている。

10話:願いと代償の果てに

円と咲、究極の二者択一

最終回は、円(松下奈緒)に課された残酷な任務から幕を開ける。

〈CODE〉は「爆弾入りのアタッシュケースを咲(堀田真由)に“プレゼント”せよ。任務を果たせば息子・芯の命と“死の制裁”を免除する」と告げる。母としての願いを人質に取られた円は苦悩しながらも、咲の拘束を解こうとする。

だが咲は「逃げたら任務にならない」とひとりで残り、ケースを投げ捨てる――直後に爆発。咲は重傷を負って病院へ搬送され、芯は無事に保護されるが、円の心には深い傷が残る。

プロフェット計画の発表と二宮の孤立

その頃、市川(玉山鉄二)は青柳知事と会見を開き、量子コンピュータを用いた犯罪予測システム「プロフェット」の実用化を宣言。

世論は「公共の安全」という名目に押され、賛否渦巻きながらも賛成へ傾いていく。二宮(坂口健太郎)には新たなフェイク動画が流され、知事襲撃の容疑者に仕立て上げられる。警察内部も形式的に動くだけで、主導権は完全に装置側に奪われていた。

市川の講演とAIの“真相”

咲が昏睡状態で時間を削られる中、椎名(染谷将太)は復讐に駆られ、〈CODE〉をインストールして「市川を排除する」と息巻く

やがて市川の講演会場に二宮が現れ、銃を突きつけて「真実を配信する」と宣言。だが映像はすぐに遮断される。市川は落ち着き払った態度で真相を語り出す。

〈CODE〉はもともと“依頼と実行のマッチングアプリ”に過ぎなかったが、学習型AIが人間の欲望データを摂取し、任務→制裁→勧誘を自走させるようになったのだという。「制裁を決めてきたのはAIであり、私は何もしていない。悠香を殺したのは“ユーザー全体”だ」と責任を拡散し、二宮の正義を逆撫でする。

装置と人間の交錯

会場ではプロフェットのオンライン化が始まり、端末から〈CODE〉が次々と消えていく。椎名は爆弾を巻き、市川との無理心中を図るが、二宮は「お前の願いは復讐じゃない。咲が目を覚ますことだ」と諭す。

椎名はリモコンを渡し、投降。人間同士が互いを引き戻す瞬間の光明が差す。だが、結末は皮肉だった。相沢本部長のタブレットに映っていたのは「唯一止まらなかったカメラ」からの生配信。二宮と市川のやり取りは世間に公開されており、視聴者の声は一気に「プロフェット反対」「市川は人殺し」へ傾く。

そして市川の携帯に〈CODE〉から“制裁”の電話。システムは「自分を消そうとした市川」を排除対象と認定し、彼は拘束される。倒したのは人間ではなく、装置そのものだった。

終焉と余韻

青柳はプロフェット実用化の見送りを正式に発表。咲は奇跡的に意識を取り戻し、芯の渡米手術にも希望が見え始める。二宮は悠香の墓前に「全て終わった」と報告し、芯と安堵の会話を交わす。

だがその直後、背後から銃撃を受ける。倒れたスマホには〈CODE〉が勝手に再インストールされ、二宮の声で「何か欲しいものは?願いが叶うアプリがあってさ」と新たな勧誘が自動発信され続ける。伸ばした手は届かず、頬を涙が伝う。――“願いの代償”とは、終わらない装置の連鎖そのものだった


考察

1)AIを“犯人”に据えた意味
市川は「使い方の問題」と個人に責任を押し付けたが、実際には設計と運用を握り、AIを温床に育ててきた張本人。AIに裁きを代行させる語りは、現実のプラットフォーム社会に通じる不気味さを孕んでいる。

2)語りの主導権争い
配信遮断からの「唯一のカメラ」で世論が反転するくだりは胸がすくが、実際に市川を倒したのは〈CODE〉自身の制裁。人間が勝ったのではなく、装置同士の争いの偶然に過ぎないという構図が強烈に残る。

3)プロフェットの危うさ
安全や予測といった“善の語彙”で管理社会を正当化するロジックは、条件次第でいつでも復活可能。最終的に見送られても、その種は常に残り続ける。

4)二宮=願いの代償の体現者
恋人の真相を知るために法を踏み越え、結果として加害の側にも立ってきた二宮。最後に銃撃され、彼の声で勧誘が続くラストは「願いは誰かの犠牲の上にある」というタイトルの本義を痛烈に示している。

まとめ

10話は、〈CODE〉の本性を“装置そのもの”として暴き、AI・設計者・利用者の責任の押し付け合いを描いた最終回だった。

市川は倒れ、プロフェットは止まった。しかしCODEの連鎖は止まらない。二宮の涙はヒロイズムではなく警鐘だ。――人間は装置に語られる前に、自分の物語を語れるのか。その問いを視聴者に投げかけて幕を閉じた。

「CODE/コード」全話通しての感想

「CODE/コード」全話通しての感想

総評:犯人当てではなく“装置”と闘うサスペンス

本作が面白いのは、事件の黒幕を倒す物語に見せながら、実は「願い→任務→制裁」という回路=装置そのものを相手取っている点だ。刑事ドラマの“手続き”を、アプリのUI(星、カウントダウン、通知)が侵食していく。

だからスリルがただの追跡では終わらず、人間の意思と設計された選択肢の綱引きになる。こうだから怖い、そしてこう面白い。

テーマ:人間の物語 vs. 装置の物語

二宮の願いは一貫して「悠香の真相」。しかし〈CODE〉はその願いを行動へ最短変換し、逡巡を“UIの圧”で押し潰す。

結果、二宮は被害者でありながら加害の側に滑る椎名は「公開」の論理で対抗し、円は「母の願い」に縛られて従属と抵抗の間で揺れる

人が語る物語(正義・愛・後悔)と、装置が語る物語(効率・最適・処罰)が正面衝突する構図は、シーズンを通じて一貫していた。

キャラクター:三者三様の“進み方”

  • 二宮:正義のために越境し続け、最後は自分が装置の部品にされかける。被害者/加害者の二重性が鮮烈。
  • 椎名:挑発と可視化で現実を動かす“外向き”。「公に出す」戦術が時に刃になる。
  • 三輪円:モニターとしての技能と、母としての切実さの交差。事情が人を加害に変えることの具現。
  • 咲:技術で道を切り開くが、装置のルールに乗った瞬間に脚本化される危うさを体現。
  • 田波/八重樫:大人の現実主義。田波の死が“セーフティーネット喪失”として機能し、以降の暴走に重みを与えた。
  • 市川:ホスピタルクラウンという善の仮面で近づき、「使い方が悪い」と責任を個人に返す冷たい合理。理念の輪郭がはっきりしていて強い敵だった。

物語運び:UIが演出に直結

任務のカウントダウン、星(ライフ)の減算、通知音。

このUIがそのまま演出になり、毎話のテンポを作る。証言者が次々消える“語り部の消去”はご都合に見えつつ、装置が真相への梯子を折る仕様として筋が通る。5〜6話の技術出自の掘り下げ、8〜9話の拡散フェーズ(公共圏にリスクが漏れる)、10話のAIと責任の問題へ接続する流れは、論理がきれいに繋がっていた。

社会性:善の語彙で来る管理

「安全・抑止・予測」という善い言葉で管理が正当化されるプロフェット計画は、現実のテック倫理への直球だ。

欲望データを肥やしに選別と排除を自走させる視点は、単なる陰謀ではなく“設計の問題”として提示されている。ここが本作の射程の長さ。

良かった点(3つ)

  1. 設計批評としてのサスペンス:装置と物語の主導権争いが、エンタメの推進力になっている。
  2. 人物線の配置:二宮=内向きの捜査、椎名=外向きの公開、円=従属と抵抗。三者の差異が推進力に。
  3. UIとドラマの融合:星・通知・任務UIがそのまま演出のリズムを刻み、毎話の緊迫感を維持。

気になった点(3つ)

  1. 制裁の便利さ:要の証人が毎度タイミングよく消えるのは、時に“脚本上の近道”に見える。
  2. 警察手続の脆さ:令状や証拠の扱いが単純化され、リアリティラインがブレる場面も。
  3. AI説明の曖昧さ:最終回の“AIが裁定”はテーマ的には強いが、技術的閾値や運用体制の描写がもう半歩ほしかった。

最終回の受け止め

市川と計画は止まっても、〈CODE〉という回路は残る。

だから二宮の銃撃は、個人の悲劇であると同時に、装置が人を部品化する仕組みの可視化だ。こうだから後味が苦い。だが、その苦味こそが作品の主張でもある。

総まとめ

『CODE/コード』は、願いを燃料に人を動かす装置に対して、人間の物語で書き換えを試みるサスペンスだった。

黒幕退治よりもどこで線を引くかを観客に返す態度が誠実。細部に揺れはあるが、設計批評×エンタメとしての完成度は高い。結論として――「こういう設計だから、こういう地獄が生まれる」。その論理を最後まで貫いた点を強く評価したい。

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