第8話は、これまでの伏線が一気に回収される“衝撃の真実編”。
仲間を撃った乃木の裏切り行動の真相、父ベキとの40年ぶりの再会、そしてテントの実像――。誰もが「敵」だと信じていたテロ組織が、実は孤児を救うために動いていたという衝撃の展開に、
視聴者の価値観までもが揺さぶられる。
父を敵として討つのか、息子として救うのか。
乃木が抱く“二重の使命”が静かに動き出し、善悪の境界が音を立てて崩れ始める――。
第8話は、『VIVANT』という物語の核心に触れる、まさに決定的な一時間だった。
「VIVANT(ヴィヴァン)」第8話の見どころ

父子再会とテントの真実に揺れる乃木の“裏切り”
裏切りは真実か? 銃撃の真意と潜入の可能性
第8話は、前話で乃木憂助(堺雅人)が仲間の別班隊員を撃った衝撃の裏切りシーンの“真実”が焦点となった。
テントのアジトに捕らわれた乃木の前に現れた父・ノゴーン・ベキ(役所広司)は、「本気で裏切ったというなら、黒須(松坂桃李)を殺せ」と冷たく命じる。
乃木は拳銃を受け取り引き金を引くが、弾は黒須の顔をわずかに掠めるだけ。続く二発目を撃とうとした瞬間――銃は空を切る。
実はノコル(二宮和也)が「父の銃が汚れる」としてすり替えた銃には、最初から弾が一発しか入っていなかった。
乃木は手に持つ重さから弾数を察し、最初の一発をわざと外した可能性が高い。黒須は命拾いし、他の5人の別班メンバーについては“即死した”と報告されるが、遺体は描かれず、視聴者の間では「本当に死んだのか?」「全員グルで潜入作戦では?」と憶測が飛び交った。
乃木の“裏切り”は依然として多層の謎に包まれたまま、物語は新たな局面へ進む。
40年越しの父子再会――“愛と疑念”が交錯する試練
乃木を捕らえたベキは、息子の存在を確かめようと徹底的な尋問を始める。
黒須射殺命令の直後には、ポリグラフ(嘘発見器)を使った詳細な尋問が行われ、乃木の過去が一つひとつ明かされていく。乃木は幼い頃、両親と生き別れた後に日本人ジャーナリストに救われ、「丹後隼人」と名を変えて育ったこと。
その後、自衛隊に入り、特殊任務部隊“別班”に配属されたことを語る。
ベキは乃木の守り刀を見た瞬間、何かを思い出したように目を見開き、DNA鑑定を命じる。
結果が出た後、ベキは「よく…生きていたな」と小さく呟きながらも、感情を押し殺してその場を去った。40年ぶりに再会した父子の間には、血の繋がりと同じほど深い“溝”がある。
涙を見せながらも抱きしめないベキ、父を見つめる乃木――言葉よりも沈黙が痛い。
堺雅人と役所広司、二人の表情だけで全てを語るような緊張の対面は、多くの視聴者に「鳥肌が立った」「目だけで演技している」と評された。
テントの正体――“テロではなく孤児救済”という衝撃
中盤でついに明かされるテントの真実。
乃木はアジトで裏帳簿を見せられ、テントが破壊工作や暗殺などの“依頼”を請け負い巨額の報酬を得ていたことを知る。
しかし、その資金は私腹を肥やすためではなく、戦災孤児のために建てられた孤児院の運営に使われていた。
つまりテントとは、「孤児を救うために闇の仕事を引き受ける組織」。
目的の正義と手段の暴力が矛盾する構図に、乃木も視聴者も動揺する。「悪でありながら善を行う」「救済のために罪を犯す」というテントの存在は、物語の倫理観を大きく揺るがした。
SNSでも「テント=ただの悪じゃない展開が深い」「正義と悪の境界が曖昧すぎて考えさせられる」と賛否両論が巻き起こった。
“孤児を救うためのテロ”という逆説的な正義が浮き彫りになり、作品テーマの“敵か味方か”がさらに複雑に。
ノコルとの確執――嫉妬と兄弟の宿命
ベキが乃木を息子と認めた瞬間、ノコル(二宮和也)の表情は一変する。
長年ベキの片腕としてテントを支えてきたノコルは、突如現れた“本物の息子”に強い嫉妬と警戒を抱く。乃木のIQテストや分析能力で自分が劣っていると痛感する場面では、嫉妬と不安が入り混じった繊細な演技が印象的だった。
ベキはそんなノコルに「今日からお前たちは兄弟だ」と命じ、乃木にノコルと同じ白い幹部衣装を授ける。
二人は表向き兄弟として協力することになり、乃木はノコルの会社「ムルーデル社」に迎え入れられる。しかしノコルは乃木を信用せず、冷たく監視を続ける。
乃木は別の幹部・バトラカ(林泰文)と手を組み、組織の財務構造を探る分析を進めていく。
兄弟のようでいて敵同士でもある――。
ノコルと乃木、そしてベキという“歪な家族”の関係性が、今後の物語を動かす最大の軸となる。
まとめ
第8話は、乃木の「裏切り」の真意と父・ベキとの再会、そしてテントの実像が一気に描かれた重要回だった。
表の正義(国家)と裏の正義(テント)、どちらが本当に“正しい”のか。
そして乃木はどちらの側に立つのか――。
乃木・ベキ・ノコルの三者関係が絡み合い、物語はいよいよクライマックスへ。
善悪の境界を越えた“真のヴィヴァン”とは何か、次回以降も目が離せない。
「VIVANT(ヴィヴァン)」第8話のあらすじ&ネタバレ

裏切りの真相と父との再会――テントの“光と影”が明らかに。
黒須への発砲とベキの試練
前話で仲間の別班を銃撃した乃木(堺雅人)は、テントのアジトに拘束される。
ベキ(役所広司)と養子ノコル(二宮和也)は、乃木の“裏切り”が本物かどうかを確かめるため、ある試練を課した。
ベキは自らの拳銃を乃木に渡し、「本気で裏切ったのなら黒須(松坂桃李)を撃て」と命じる。その直後、ノコルが「父さんの銃が汚れる」と言い、自分の銃とすり替えて乃木に渡す。乃木は引き金を引くが、弾丸は黒須の頬をかすめるだけだった。
さらに二発目を撃とうとするも、銃は空砲。実はノコルがあらかじめ弾を1発だけ装填していたのだ。
ノコルは「父の銃には常に満弾が入っている。乃木が撃ったあと我々を皆殺しにする可能性がある」と説明。乃木が別班の潜入者である可能性を疑い、あえて銃の弾数を制限していたのだった。
一方、バトラカ(林泰文)からの無線で「他の別班員4名は即死し、日本へ送還された」との報告が入る。乃木は黒須を殺さなかったことで、ベキから「情を捨てきれぬ男」と判断され、信頼を得られずに終わる。
しかし、乃木が銃の重さで弾数を見抜いていたとすれば――この“裏切り”自体が別班の作戦の一環である可能性も残された。
父との再会とDNA鑑定
牢に囚われた乃木の前に、ついに父・ベキが姿を現す。
40年ぶりの再会は涙の抱擁とはならず、冷たい沈黙が支配した。
乃木は幼い頃、両親と逃亡中にブローカーに捕まり、頭部の怪我で記憶喪失になった過去を語る。日本人ジャーナリスト・飯田(和田聰宏)に救われ、京都の養護施設で「丹後隼人」として育った――。
この話にベキは息を呑む。
かつて“日本に生きているかもしれない息子”を探していたが、改名のため見つけられなかった過去があったのだ。
乃木が持つ守り刀を見て確信したベキは、DNA鑑定を命じる。
結果、乃木が実の息子であることが判明。
「よく…生きていたな」とつぶやきながら涙を流すベキ。
だが直後、感情を押し殺すように背を向ける。
息子が生きていた喜びと、仲間を殺してここへ来た(と信じている)失望。愛と憎しみの入り混じる父の複雑な心情が痛いほど伝わる名シーンだった。
一方で、黒須は別の場所へ移送され、ノコルが乃木に向かって「兄弟」と皮肉を放つ。血の繋がらぬ兄弟、父に翻弄される二人の関係がここから動き出す。
テント幹部として迎え入れられる乃木
DNA鑑定で親子関係が確定しても、ベキはなお乃木を疑っていた。
だが、乃木の能力を試すためにIQ・語学・経済など多分野にわたる筆記テストを課す。乃木は圧倒的な成績でノコルを上回り、IQ137の頭脳を証明。
「裏切り者であっても、今は組織の正念場。利用できる力は使う」――ベキは乃木を正式にテントへ迎え入れる。
白い民族衣装(ベール)を与えられた乃木は、ノコルと並んでテント幹部の一員となった。
最初の任務は、テントが運営する孤児院の経費削減計画。
乃木はノコルの会社「ムルーデル社」に配属され、財務データの閲覧を要求する。ノコルは拒むが、幹部バトラカの仲介でベキから裏帳簿入りのUSBを入手。
分析の結果、テントの収支には約6億ドルもの不明資金があることを突き止める。
“孤児救済”の裏に潜む影
乃木はテントの真相を探るため、バトラカの案内で孤児院と関連施設を視察する。
最初に訪れたのは民間軍事会社Y2K――バトラカが経営するPMSC(民間軍事企業)だった。
彼は「優秀な兵士を選抜してテントに送り込む」と語り、軍事費が帳簿に載っていない理由を説明する。
次に訪れた孤児院では、ベキとノコルが孤児たちに慕われる姿が描かれた。
乃木は、幹部たちの高額報酬(年2,000万ドル)がすべて孤児院運営費に回されていると知り驚愕。テントは、「テロで稼ぎ、孤児を救う組織」だったのだ。
だが、その裏で不正も行われていた。
施設責任者ヤスダ(音尾琢真)が米の配給量を偽装し、余剰分を横流ししていたのだ。乃木は倉庫を調べ、ロシア向けに輸出されようとしていた備蓄米を発見。ベキは激怒し、ヤスダを国外追放処分にする。
この一件で乃木は組織内の信頼を得、ベキもまた乃木の“銃撃の真意”――黒須を殺さなかった理由に気付き始める。
乃木が真の裏切り者ではないのでは、というわずかな疑念が父の中に芽生える。
浮かび上がる6億ドルの行方
乃木はムルーデル社に戻り、ノコルの監視をかいくぐりUSBのデータを分析。
そこには過去10年間の損益計算書と、行方不明の約6億ドルの記録が残されていた。
その資金は3年前から始まった大規模テロの報酬で、複雑なマネーロンダリングを経てムルーデル社の収益に偽装されていた。さらに、残額が“ある土地の購入資金”に流れていることが発覚。その土地の場所も目的も不明――。
乃木はこの6億ドルの使途こそ、テントの真の目的に繋がると確信する。第8話は、乃木がその謎に迫ろうと決意したところで幕を閉じた。
総括
第8話は、乃木の“裏切り”の真意、父ベキとの再会、そしてテントの実像という三つの要素が絡み合う重厚な回だった。
善悪の境界線はますます曖昧になり、テントという組織が単なる敵ではないことが明確に描かれる。そして6億ドルの謎――その行き先が明らかになるとき、物語は最終章へと突入する。
次回、第9話。乃木とベキ、そしてノコルの“家族の運命”が動き出す。
「VIVANT(ヴィヴァン)」第8話の感想&考察

乃木の真意、父との宿命、テントの“もう一つの正義”
乃木の裏切りはフェイク? 二重スパイ説を再検証
第8話の核心はやはり、乃木が本当に別班を裏切ったのか――という点に尽きる。
黒須(松坂桃李)への発砲が“外れ弾”だったことや、弾数を把握できる乃木の特殊能力を踏まえると、あの行動は明らかに意図的だ。
一発目を外し、二発目の不発も計算のうち。つまり乃木は最初から潜入目的で行動していた可能性が極めて高い。
ネットでも「乃木は二重スパイ確定」「あれは芝居」と考察が飛び交い、銃撃シーンの緻密な演出が再評価された。
ベキが後半で乃木の洞察力(料理の重量当て)を見て何かを悟ったような描写があったのも、父として“息子の本心”を察したサインだろう。
善悪の境界を曖昧にするテントの理念
テントが「孤児救済のためのテロ組織」という真実は、物語の価値観を一変させた。
“悪をもって善を為す”――この矛盾を抱えた存在は、単なる敵ではなく、人間的な弱さと信念の象徴だ。
ベキたちは国家に見捨てられた者たちの集まりであり、「社会に見放された者たちが自分たちで正義を作る」という悲壮な覚悟がある。
その理念は理解できるが、実際に犠牲を出している点で「正義」とは呼べない。
この“正義と暴力の矛盾”を描くことで、ドラマは単なるスパイアクションを超え、哲学的な問いを提示している。
父と子、兄弟の絆と確執
乃木・ベキ・ノコルの三人が揃う構図は、今話最大のドラマパートだった。親子としての情と、組織の論理の間で揺れるベキ。
新たに現れた“本物の息子”に対するノコルの嫉妬。そして、冷静に見えて内心は苦悩を隠せない乃木――。
特に役所広司の表情演技は圧巻で、「涙をこらえる父親の哀しみ」を一言も発さず伝える演出には鳥肌が立った。堺雅人の繊細な芝居と二宮和也の複雑な嫉妬の演技が三位一体となり、感情のぶつかり合いが一層鮮烈に響く。
情報量の多さと緻密な構成
第8話はデータ解析・財務トリック・過去回想など情報量が多く、一部で「説明が多い」との声もあった。
しかしそれは、終盤に向けて伏線を整理し、物語を再構築するための重要な布石。テンポよりも“内容の濃さ”で勝負する回だったといえる。
テントの構造、乃木の立場、6億ドルの行方――すべての要素が精密に繋がり始め、次回の爆発的展開を予感させる。
今後の展開と第9話への期待
未解決の謎はまだ多い。
テントが購入している“土地”の真の目的、乃木の潜入が露見するリスク、そして公安・野崎(阿部寛)の動き。次回予告ではノコルが乃木を詰問するシーンが映り、内部に裏切り者がいることが示唆された。
乃木が潜入捜査官としての正体を明かすのか、それとも父ベキとの宿命を選ぶのか――。物語はいよいよ最終章へ。
総括
第8話は『VIVANT』の本質を凝縮した回だった。
裏切りの真相、親子の再会、テントの理念、そして6億ドルの伏線。善悪の境界を越えたドラマとしての厚みが増し、すべてが最終決戦に向けて動き出した。
“生きる意味”“正義とは何か”を問い続ける本作は、まさに日曜劇場の枠を超えた社会派エンタメ。第9話・第10話でどんな結末を迎えるのか――期待と緊張が高まるばかりだ。
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