第5話は、温泉街・西ヶ谷が静かに変わり始める中で、共同温泉そのものが事件の“語り部”になる異色回でした。土地や商店の買い漁り、廃業や店じまいの決断――町が金の論理に巻き込まれていく流れの先で、共同温泉から“茹で上がった遺体”が発見されます。
目撃者も証拠もない、最悪の条件がそろった現場で、洋輔は「真相を知っているのはお湯だけ」という無茶な発想に辿り着きます。発明、感情、町の記憶が絡み合い、事件は単なる殺人ではなく「人間の勝手な開発」への問いへと変わっていきました。
この記事では、釜ゆで事件の真相から、洋輔が「ゆらぎや」を手放さないと決めた理由、そして温泉街に残された余韻までを、5話の流れに沿って整理します。
※ここから先は、第5話のネタバレを含みます。未視聴の方はご注意ください。
ドラマ「探偵さん、リュック開いてますよ」5話のあらすじ&ネタバレ

第5話は、温泉街・西ヶ谷が“静かに変わり始める”気配の中で、共同温泉そのものが事件のカギになる回でした。
「目撃者がいない」どころか「真相を知るのはお湯だけ」という無茶ぶりを、洋輔の発明が力技で突破していきます。
「ゆらぎや」売却の現実味:買い手が現れ、洋輔の迷いが加速する
廃業した実家の温泉旅館「ゆらぎや」。洋輔はここを拠点に探偵稼業と発明に没頭しながら、どこか“止まった時間”の中で暮らしている。そんな洋輔に、ついに「売却」が現実の選択肢として迫ってくる。買い手が現れたからだ。
洋輔が売却を考えたのは、単純に金銭の話だけではない。
旅館を維持するのは手間も金もかかるし、町の空気もじわじわ変わってきている。何より、洋輔自身が“ここに居続ける意味”を、いちいち言語化していない(できていない)タイプだ。
ただ、その一方で「ゆらぎや」は、洋輔にとって“失踪した父の居場所”でもある。父がいつか戻ってきたとき、帰る場所がなくなる――この発想が、洋輔の決断を最後の最後で引き止めることになる。
あおいも「店じまい」を決める:町の変化が“個人の事情”に落ちてくる
同じ頃、口は悪いが根は町想いのあおいも、ある決断をする。自分の家の商店を畳む(=店じまい)方向に動き出すのだ。
ここが第5話の、地味に効いてくるポイントだと思う。大きな事件が起きる前に、“生活の撤退”が描かれる。
温泉街のドラマで、温泉が「観光資源」になるのは当たり前。でも、住んでいる人からすると、温泉は「日常」だ。店じまいは、日常が削られていくサインでもある。
洋輔の売却話と、あおいの店じまい。別々の出来事なのに、どちらも「町が変わっていく」ことの具体例として、同じ温度で並べてくるのが上手い。
西ヶ谷温泉に広がる不穏:土地や商店を“買い漁る”動き
さらに西ヶ谷温泉では、土地や商店を買い漁る動きが起こっている。表面上はただの不動産取引に見えるが、住人側の体感は違う。
「知らない人が増えた」「知らない理屈で町の値段が決まっていく」――この不気味さが、じわじわ広がっていく。
ここで重要なのは、“犯人探し”の前に“町の空気”がまず変わったこと。第5話の事件は、偶発ではなく、町が金の匂いに巻き込まれた結果として起こる。
“湯煙王子”登場:ハイパー温泉クリエイターの派手さが、温泉の空気を壊す
そんな西ヶ谷に現れたのが、“ハイパー温泉クリエイター”として名を売る男。通称「湯煙王子」だ。
この男の立ち回りが、とにかく分かりやすい。温泉街の雰囲気を「コンテンツ」として扱い、盛り上げ、消費する。しかも、本人は悪気というより“自分の価値観が正しい”と信じて疑わないタイプに見える。
彼は共同温泉に乗り込み、派手なノリで周囲を巻き込み、町の温泉を“映える舞台”に変えていく。さらに彼には、夜の店の女性たちを連れている姿もあり、温泉が「地域の生活の場」から「よそ者の遊び場」へ寄せられていく感じが強まる。
ここで引っかかるのが、「湯煙王子が何のために西ヶ谷に来たのか」。単なる旅行ではなく、町が買われていく流れと繋がっている匂いが濃い。
共同温泉で事件発生:茹で上がった遺体が発見される
そして事件は起きる。
湯煙王子が、町の共同温泉で“茹で上がった遺体”として発見されるのだ。
衝撃のビジュアルと、言葉の強さ。なのに、このドラマは過剰に怖がらせない。あくまで“西ヶ谷の出来事”として、淡々と事件が置かれる。怖さを盛るのではなく、「どうしてこうなった?」の不思議を積み上げていく。
現場が共同温泉というのも、捜査としては最悪だ。
人の出入りが多い/監視カメラが期待できない/水(お湯)で痕跡が流れる。しかも今回は、目撃者がいない。
春藤たち警察も手詰まり:証拠のない“温泉密室”
捜査に当たるのは春藤たち警察。だが、状況はきつい。
「誰がやったのか」以前に、「何が起きたのか」が掴めない。犯行の瞬間を見た人がいないし、決定的な物証もない。
ここで第5話の“奇想天外”が発動する。
事件の全貌を知っている可能性があるのは、現場にずっと存在していたもの――そう、温泉の「お湯」だけだ、という発想に到達する。
普通の刑事ドラマなら「はい解散」案件。でも西ヶ谷では、それをやる。
飛猿の体毛から見つかった“電流アリ”:洋輔の発明スイッチが入る
洋輔が鍵として手にするのが、飛猿の体毛に潜んでいた“とてつもない電流を放つ蟻”。
このドラマは、発明のトンデモさを“理屈っぽく見せない”のが上手い。説明に時間を割かず、でも視聴者が置いていかれない程度には「そういう世界観だよね」で納得させる。
そして洋輔は、その蟻の電流を動力にして、温泉のお湯と会話できる装置――“OU翻訳”を完成させる。
OU翻訳(お湯翻訳)のネーミングがずるい。軽い。軽いのに、やってることは“自然への事情聴取”という、かなり重いテーマを内包している。
前代未聞の「お湯への事情聴取」:お湯が喋り出し、捜査が一気に奇怪へ
発明品を共同温泉に持ち込み、洋輔たちは「お湯」に話を聞こうとする。
すると本当に、声が返ってくる。しかも口が悪い。
警察と“お湯”が会話している絵面が異常なのに、春藤が場を壊さず受け止めるから、なぜか成立してしまう。
ここで笑えるのは、事件の真相を聞くはずが、途中から“お湯の怒り”のほうが主役になっていくこと。
湯煙王子のふるまいを思い出したお湯はヒートアップし、話が進まない。しまいには熱湯を浴びせるように反撃し、事情聴取が物理的に破綻していく。
発明品が沈む:蟻ごと湯船の底へ…「電源喪失」という現実的な敗北
盛り上がる(沸騰する)お湯の反撃で、発明品はまさかの水没。
蟻ごと湯船に沈み、翻訳が不能になる。
ここで面白いのが、“電源がなくなる”という、急に現実的なトラブルになること。
どんなに発明がトンデモでも、電源がないと動かない。この筋の通し方が、ゆるいのに雑じゃない。
捜査一行は一度撤退するが、真相はまだ闇の中。温泉で起きた“釜ゆで事件”は、温泉に聞くしかない。
二度目のピンチ:予備の蟻を取りに行くが、ペットボトルが事故る
「別の蟻を使えばいい」。発想としてはシンプルだが、現場はそううまくいかない。
蟻を入れていたペットボトルを落とし、さらに運悪く車に轢かれて割れてしまう――という、やけに生々しいトラブルが起こる。
このパート、笑えるけど“嫌なリアル”でもある。
町が変わっていく不穏さも、事件の異様さも、結局は「ちょっとした不運」「ちょっとした無神経」が連鎖して、取り返しがつかなくなる感じがある。
そして、電源(蟻)を失った洋輔たちが困り果てたところに、タイミング良く飛猿が現れる。
飛猿の再登場で再起動:もう一度「お湯」と対話するチャンスが戻る
飛猿が現れ、蟻の確保が再び可能になる。
ここで“飛猿というキャラ”が、単なる町の不思議枠ではなく、事件解決の実務パートにも関わってくるのが面白い。
OU翻訳が再起動し、洋輔たちは再び温泉へ。
ただし前回の失敗があるから、今度は「お湯の感情」をいなす必要がある。理屈で責めると沸騰する。かといって、寄り添いすぎても真相は出ない。
町内放送を乗っ取る“お湯”:怒りの矛先が「開発」と「売却」に向く
第5話で一気に怖くなる(でも怖がらせすぎない)のがここ。
お湯は、町内放送を乗っ取るような形で、自分の思いを外に漏らす。
この時、お湯の怒りは湯煙王子個人だけに向いていない。
温泉街の土地や商店が買われていき、町そのものが“別の顔”になろうとしている。その流れの中で、お湯は自分が「資源」や「金づる」として扱われる気配を感じ取っているように見える。
つまり、事件は「嫌な客を温泉がやっつけました」という単純な話ではなく、“町の開発”という大きな話の入口になっている。
「言葉にできないもの」が鍵:洋輔が“由香里の言葉”を思い出す
お湯に問いただしても、核心だけが出てこない。
そこで洋輔が辿り着くのが、「言葉にならない感情がある」という当たり前の発見だ。
洋輔が思い出すのは、以前関わった“引退したフィギュアスケーターの少女”由香里の言葉。涙と、言葉と、説明できない気持ち。ここを経由することで、洋輔のアプローチが「証拠を取る」から「気持ちを聞く」に切り替わっていく。
ミステリーとしては遠回りなのに、事件の解決にはこれが必要だった、という構造になっているのが第5話の味だと思う。
命がけの入湯:洋輔が“熱い温泉”に入ってまで聞きたかったこと
そして洋輔は、かなり無茶なことをする。
熱湯状態の温泉に自分が入って、お湯と向き合う。
ここ、ギャグに寄せることもできたはずなのに、演出としては妙に真面目だ。
洋輔が“身体を張る”のは、事件解決のためだけではない。町が変わり始めた今、「ゆらぎや」をどうするのか、自分の中で決めきれないまま、ここまで来てしまったから。
お湯の声が聞こえる装置があるのに、最後は洋輔自身の“入湯”で距離を詰める。
発明で始めた話を、人間の肉体と感情で終わらせる――この流れが、第5話の核になっている。
真相:決定打は「温泉の元」…そして“人間の勝手な開発”への怒り
お湯は最終的に、事件の真相を語る。
湯煙王子の死に関して、お湯自身が“やった”ことを認める展開だ。
ただし、動機が単なる短気ではない。
湯煙王子は温泉を“自分の演出素材”として扱い、決定的には「温泉の元(入浴剤)」のようなものを源泉側に放り込む。お湯からすれば、それは“自分を汚された”に近い冒涜だった。
それに加えて、背景として“リゾート開発”の気配がある。
町を買い漁る動きの中で、温泉そのものが金のために利用されようとしている。お湯の怒りは、湯煙王子個人への反発でありつつ、人間の勝手な開発への拒否でもあった。
つまり犯人(?)はお湯だが、事件の原因は人間側にもある。ここが、この回を“ほっこりミステリー”で終わらせないポイント。
事件が止めたもの:リゾート計画が揺らぎ、町の空気が変わる
事件の収束とともに、町を覆っていたリゾート計画の気配がトーンダウンしていく。
明確に「中止」と宣言されるわけではなくても、“買い漁り”の勢いが鈍り、町が一度立ち止まる。
ここ、ドラマとしてはかなり示唆的だ。
人間が強引に進めようとした開発が、“事件”という形で一度止まる。けれどそれは正義の勝利というより、「傷ができたから止まった」みたいな後味がある。
洋輔の本音:「ゆらぎや」は売らない――返事のない温泉に向けた決断
事件が片付いたあと、洋輔は「ゆらぎや」の売却看板を外す。
そして温泉に向かって、自分の決断を語りかける。
ここが刺さるのは、洋輔がこの場面で“発明品を使わない”こと。
つまり温泉から返事はない。会話じゃない。一方通行だ。
それでも洋輔は、父が戻ってきた時に寂しがらないように――という理由で、旅館を手放さないと決める。
損得で言えば、売らないことで失うものも大きいはず。けれど洋輔にとっては、「父が帰ってくる場所」を残す方が重い。
そして返事のない温泉から、ふっとお湯がかかるような演出が入る。返答ではないのに、受け止められたように見える。この距離感が、このドラマらしい優しさだ。
買い手アルジュンの意外な選択:購入したのに、町に“住む”側へ
もうひとつ第5話の着地として面白いのが、買い手の存在だ。
洋輔が売却を迷っていた「ゆらぎや」には、シンガポールから来た買い手(アルジュン)が現れていた。
普通なら「買われた=終わり」になりそうなのに、ここで捻る。
洋輔が売らないと決めたあとも、アルジュンは町から消えない。むしろ「ゆらぎや」に住み込み、町に馴染もうとする。
この人物が完全な善人なのか、あるいは“町を見に来た別目的の観察者”なのかは、まだ断言できない。
ただ第5話時点では、「外から来た人間が、外の論理で町を買う」だけじゃない可能性を残している。
エピローグ:お湯の“声”が、町の日常の一部になる
事件後、お湯の声を引き出す発明品は、別の形で町に残っていく。
“お湯”が桶に汲まれ、装置とともに町の放送(正午のお知らせ)に使われるようになる、というオチがつく。
真相をしゃべって終わり、じゃない。
町の側も、温泉という存在を「資源」ではなく「声のあるもの」として扱い直す。第5話は、事件解決よりも、この余韻が一番怖くて一番優しい。
ドラマ「探偵さん、リュック開いてますよ」5話の伏線

第5話は“単発の変な事件”に見せつつ、町そのもののストーリー線が明確に動いた回でした。
ここでは、今後効いてきそうなポイントを「確定情報/推測」で分けつつ整理します。
西ヶ谷温泉の「買い漁り」は誰の手?:開発の規模感が一段上がった
確定(描写で分かること)
- 土地や商店を買い漁る不穏な動きが起きている。
- その空気の中で事件が起き、「関連があるのか?」という疑問が提示される。
推測(現時点の描写だけで整理)
- 湯煙王子は“表の顔”で、実際の資本は別にある可能性が高い。
- 温泉を軸にしたリゾート計画があり、町の温泉=資源に値札を付ける動きが続くかもしれない。
第5話は、お湯が怒った理由に「個人への怒り」と「開発への怒り」が混ざっている点が重要。つまり、黒幕が倒れて終わりではなく、“構造”が残るタイプの伏線だと思う。
湯煙王子は“使い捨て”だったのか:死が計画を止めた意味
確定
- 湯煙王子は温泉で死亡し、事件の発端になった。
- お湯は彼の行動(温泉の元を投げ込むなど)に強い反応を示す。
推測
- 彼の死によって計画が“消える/薄まる”描写がある以上、彼は計画のキーマンか、あるいは「顔」として表に立たされていた可能性。
- もし黒幕が別にいるなら、「湯煙王子の死=計画停止」がいつまで続くかは不透明。
ここは今後、町が再び買われ始めた時に「第5話で止まったはずじゃ?」という形で回収されそう。
アルジュン(買い手)の立ち位置:味方か、静かな監視者か
確定
- 「ゆらぎや」に買い手が現れ、しかも外国(シンガポール)から来た人物として描かれる。
- 結果的に彼は町に残り、旅館に住み込む流れになる。
推測
- “買い手”なのに、すぐに利益回収へ動かない。ここが不自然でもあり、逆に安心材料でもある。
- 町の変化を観察するポジションにいる可能性もある(善意でも悪意でも成立する)。
彼が「買い漁り側」と「町側」のどちらに寄るかで、今後の西ヶ谷温泉の空気が大きく変わりそう。
あおいの店じまい:個人の撤退が“町の撤退”に繋がるサイン
確定
- あおいは店を畳む決断を下している。
推測
- 町の商店が減っていくと、観光地としての“景色”は整っても、生活の匂いは薄れる。
- あおいがこのまま「町に残る/出る」のどちらに動くかで、洋輔の生活も揺れる。
第5話は、事件が大きいようで、実は“生活のほうが先に壊れそう”という不穏さを置いている。
OU翻訳(お湯翻訳)の存在:今後の事件解決の“万能鍵”になり得る
確定
- 洋輔は蟻の電流を利用して、お湯と会話できる発明品を作った。
推測
- この装置が今後も使えるなら、「証言者になれない存在」から情報が取れる。つまり、ミステリーのルールが変わる。
- ただし、電源が蟻という不安定さもあるため、万能にしすぎない制約が同時に置かれている(沈む/割れるなど)。
発明が進むほど、“父の失踪”や“町の異変”の核心にも近づける余地が出てくる。
ドラマ「探偵さん、リュック開いてますよ」5話の感想&考察

第5話を見終えて一番残ったのは、「お湯が人を殺した」奇抜さよりも、「町が値段で塗り替えられていく」現実味でした。
笑えるのに、うっすら怖い。その怖さの正体を、論理でほどくと余韻が増します。
「犯人=お湯」を成立させた“動機/機会/後処理”の整理
ミステリーとして、まず整理しておきたい。
動機(なぜやったか)
- 直接の引き金は、湯煙王子の無礼な振る舞い、決定打として温泉の元(入浴剤)を源泉側へ放り込む行為。
- 背景には、町の開発=温泉が金のために利用される流れへの怒りがある。
機会(いつでもできたか)
- 温泉は現場そのもの。お湯は常にそこにいる。逃げも隠れもしない代わりに、止めようがない。
後処理(痕跡が残るか)
- お湯は物証を残しにくい。さらに共同温泉という場の性質上、監視も難しい。
- だからこそ“事情聴取=OU翻訳”が必要になった。
犯人が非人間でも、推理の枠組み自体は崩れていない。ここが第5話の面白さ。ふざけているように見えて、成立条件をちゃんと揃えている。
お湯が怒ったのは「侮辱」だけじゃない:開発と売却が重なった回
湯煙王子のやらかしは分かりやすい。ただ、第5話が上手いのは、そこに「町が買われていく」流れを重ねたこと。
お湯から見れば、温泉街の人が土地を売るのは“裏切り”にも見えるかもしれない。でも現実には、売る側にも事情がある。あおいの店じまいが象徴的で、町に残るだけでもコストが掛かる。
この回がしんどいのは、誰か一人の悪意で片付かないところだ。
湯煙王子は無神経だった。でも、彼だけが悪いわけでもない。町を買う側にも論理があるし、売る側にも事情がある。
その“論理と事情”の摩擦が、お湯の怒りとして噴き出したように見える。
洋輔が「売らない」と言えた回:父の不在と、返事のない温泉
個人的に、第5話の芯はここだと思う。
洋輔は、発明で事件を解決する。だけど最後に必要なのは、発明じゃなく「自分の言葉」だった。
父が失踪している以上、洋輔はずっと“返事のない相手”に向けて生きている。
だから、温泉に向かって語りかける場面が響く。しかも装置を使わないから、温泉から返事はない。
返事のない相手に、決断を宣言する。
あれは温泉に話しているようで、父に話しているんだと思う。
「戻ってきた時、寂しがると嫌だから」――この発想が出る時点で、売却の問題はもう金じゃない。
そして返事がないのに、お湯がふっとかかる。会話ではないが、関係があるように見える。
“返事のなさ”を、優しさで包む演出が、このドラマの強さだと思う。
オチが“正午のお知らせ”になる怖さと優しさ:声を日常に戻す
最後に、お湯が桶に汲まれて町の放送に使われる、という着地。
このオチ、笑えるのに、少し怖い。
事件を起こした存在が、罰されて隔離されるのではなく、日常の役割に戻っていく。
「赦す」のではなく「共存する」。
西ヶ谷は、そういう町なんだろう。
ただし、これで全部解決したわけじゃない。
買い漁りの流れが完全に消えたとは限らないし、アルジュンの立ち位置もまだ揺れている。
第5話は、事件を解いた回というより、“町が壊れる手前で一度呼吸をした回”。
次に西ヶ谷が飲み込まれそうになったとき、この回で聞こえた「お湯の声」が、もう一度効いてくる気がします。
探偵さん、リュック開いてますよの関連記事
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