2023年夏の日曜劇場『VIVANT(ヴィヴァン)』がついに幕を開けました。
主演の堺雅人さんを筆頭に、阿部寛さん、二階堂ふみさん、松坂桃李さん、役所広司さん、さらにサプライズで登場した二宮和也さんまで、まさに“日本の人気俳優アッセンブル”と呼ぶにふさわしい超豪華キャストが集結しています。
放送前からストーリーの詳細は一切伏せられ、初回は約2時間にわたる映画級の拡大放送。放送前から大きな注目を集めました。実際に第1話を視聴すると、冒頭の砂漠を舞台にした迫力の空撮シーンから一気に引き込まれ、ジェットコースターのような怒涛の展開に圧倒されます。まさに“日本のテレビドラマの本気”を見せつける内容でした。
物語の舞台は中央アジアの架空国家「バルカ共和国」。巨額の誤送金事件をきっかけに現地へ渡った主人公・乃木憂助(堺雅人)が、壮大な映像美の中で冒険と謎に巻き込まれていきます。
今回は『VIVANT』第1話の見どころ、あらすじ、ネタバレ、そして感想・考察をまとめました。それでは、迫力満点の第1話を振り返りながら、その魅力に迫っていきましょう。
「VIVANT」第1話の見どころ…乃木憂助の正体と“VIVANT”という謎のキーワード

第1話の最大の見どころは、広大なモンゴルロケで撮影された砂漠のシーンやド派手なカーアクション。日本の連続ドラマでは滅多に見られないスケール感が存分に味わえます。
制作者自身が「連ドラの枠をぶち破る」と語るように、製作費を惜しまず投入した超大作。Netflixやハリウッド作品にも負けない壮大さで、“テレビの意地”を感じさせる仕上がりです。以下では特に注目すべきポイントを挙げます。
圧巻の海外ロケとアクション
物語の大半が海外(中央アジア・モンゴル)で展開。砂漠でのサバイバルから大規模な銃撃戦、爆破シーン、ダンプカーで警察車両のバリケードを突破するシーンまで、まるで映画のような迫力が連続します。
放牧中のヤギや羊の群れに紛れて逃走したり、伝統的な屋外トイレに隠れて警察犬をかわすユニークな演出もあり、視聴者をハラハラさせました。
超豪華キャストとサプライズ出演
主演の堺雅人さん・阿部寛さんに加え、ヒロイン役の二階堂ふみさん、ベテランの役所広司さんなどそうそうたる顔ぶれが集結。さらに物語終盤では、事前に伏せられていた二宮和也さんがサプライズ登場。
ネット上では「最後にニノが出てきて衝撃!」と驚きの声が相次ぎました。オールスターキャストによる“日曜劇場版アベンジャーズ”とも称され、誰が味方で誰が敵なのか分からない人間模様にも注目が集まります。
謎が謎を呼ぶストーリー
第1話から伏線と謎が満載です。乃木が巻き込まれた巨額の誤送金事件は本当に偶然なのか?「社内に犯人がいるのでは」という疑念が浮かぶ中、乃木自身には窮地で現れる“もう一人の自分”の存在が描かれました。
視聴者からは「二重人格?特殊能力?」と考察が広がっています。
さらに、終盤でテロリストから投げかけられた「お前が“VIVANT”か?」という謎の問い。タイトルにもなっているキーワードが、今後の物語の核心を握るのは間違いありません。
緩急をつける笑いと人間ドラマ
シリアスな展開の中に、ユーモラスな演出も織り交ぜられています。乃木の協力者・ドラム(富栄ドラム)はコミカルなキャラクターで、ぎこちない日本語「ワタシニホンジン、ダ」に笑わされた視聴者も多かったはず。
彼が使う翻訳アプリの声(林原めぐみさんが担当)も愛らしく、緊迫感の中に程よい“癒やし”を添えています。
また、砂漠で乃木を救った親子・アディエルと少女ジャミーンの心優しさや、父が娘をかばう姿には胸を打たれるものがありました。アクションだけでなく、ヒューマンドラマとしての深みも味わえるのが『VIVANT』の魅力です。
「VIVANT」第1話のあらすじ

大手商社・丸菱商事に勤めるエリート社員・乃木憂助(堺雅人)は、中央アジアの架空国家バルカ共和国で、現地企業GFL社との太陽エネルギープラント共同開発プロジェクトを担当していました。
ところが契約金送金の際に大事件が発生。本来送るべき 1000万ドル(約14億円)を、誤って1億ドル(約140億円)送金してしまうのです。
突如生じた90億円超の巨額ミスに社内は騒然。調査の結果、システム障害ではなく乃木の人為的ミスと結論づけられ、上司から「差額9000万ドルを必ず取り戻せ」と命じられた乃木は、責任を果たすため急遽バルカへ飛びます。
現地で相手企業の社長アリ・カーン(山中崇)に直談判しますが、アリは「丸菱の好意だと思った」と涼しい顔で言い放ち、すでに差額を複数の下請け業者に支払ったため返金は不可能だと主張。追い詰められる乃木の前に、心の中から現れたのは“もう一人の乃木”でした。幻影のような存在は「親友に助けを求めろ」と強い口調で告げます。
乃木にはアメリカCIAに勤める親友・サム(Martin Starr)がいました。乃木が連絡すると、サムは「アリは受け取った金をダイヤモンドに換え、“アル=ザイール”という男に渡した」と報告。ザイール(エルフンバヤル・ガンボルド)はテロ活動に関与している可能性があるというのです。誤送金資金がテロ組織に流れた疑いが浮上し、事態は一気に国際的陰謀の様相を帯びていきます。
乃木はザイールを追うため都市セドルへ向かいますが、移動中に乗ったタクシー運転手に騙され、砂漠の真ん中に置き去りに。炎天下を彷徨い、水も尽き、命の危機に瀕したところを、遊牧民の親子・アディエル(Tsaschikher Khatanzorig)と娘ジャミーン(Nandin-Erdene Khongorzul)に救われます。
衰弱する乃木を介抱したのは、偶然居合わせた日本人医師・柚木薫(二階堂ふみ)。彼女はバルカで医療活動を行い、ジャミーンの主治医でもありました。乃木は一命を取り留め、彼らとの出会いをきっかけに、さらに深い事件の渦へと巻き込まれていきます。
「VIVANT」第1話の簡単なネタバレ

体力を回復した乃木は、テロリスト・アル=ザイールが潜むアマン建設会社へ。
賄賂で捜査情報を得て潜入し、ついにザイール本人と対峙します。乃木はサムから入手した証拠写真を突きつけ資金返還を要求。しかしザイールは「ここまで辿り着いた者は初めてだ……お前が“ヴィヴァン”か?」と意味深な言葉を投げかけます。
直後、ザイールは腹に巻いた爆弾を起動。「お前もろとも吹き飛んでもらう」と叫びますが、その場に現れたのは警視庁公安部の刑事・野崎守(阿部寛)。彼は乃木を陰から監視しており、命を救い出します。しかし爆弾は止められず、ザイールは自爆。大爆発によりアディエル親子も巻き添えとなってしまいました。
乃木は野崎の助けで逃走を図るも、現地警察は乃木を爆破犯として疑い、日本人医師・薫にも協力を強要。野崎は薫をも連れ出し、協力者のドラム(富栄ドラム)の助けを借りて、ヤギの群れに紛れる奇策やダンプカーでバリケードを突破するなど命懸けの逃避行を続けます。
やがて一行は日本大使館に辿り着き安全を確保。しかしその途中、アディエルは瀕死の重傷を負い、薫の懸命な治療も虚しく息を引き取りました。残されたジャミーンは父を失い悲嘆に暮れます。
野崎は初めて自分が公安警察であることを明かし、「乃木は世界規模の巨大な陰謀に足を踏み入れた」と告げます。さらにザイールの背後に新たなテロ組織の存在を示唆し、“VIVANT”という謎の言葉が物語の核心を握ると語りました。薫によればフランス語で「生きている」という意味だが、その真意は依然不明のままです。
そしてラストシーン。物語とは別の場所に、謎の二人組が登場します。一人は若い男性(二宮和也)、もう一人は年配の男性(役所広司)。若い男は「父さん……」と呼びかけ、視聴者を驚かせました。未発表だった二宮和也の出演と、役所広司との父子関係らしき設定が明かされ、SNSは騒然。彼らは敵なのか味方なのか、第1話は数々の謎を残して幕を閉じました。
「VIVANT」第1話の感想・考察

第1話は情報量・スケール・展開速度の三拍子がそろい、視聴中はずっと圧倒されっぱなしでした。序盤からの怒涛の展開に「今、何が起きている?」と理解の追いつかない瞬間すらありますが、裏を返せば“巨大な謎を明確に提示し、興味を掻き立てた”初回でもあります。
SNSでも「初回からハラハラが止まらない」「映画級のスケール」「展開が速すぎて目が回る」といった熱量の高い反応が多数。一方で「最後まで見てもよく分からない」「映像は派手だが情報整理が難しい」という戸惑いも見受けられました。
もっとも、制作側が放送前から相関図や詳細の事前開示を避けていたのは“ミステリーとして引き込む”戦略の一環でしょう。結果として賛否を含む大きな話題化に成功し、初回としてのハードルは十分に越えたと評価します。
9000万ドル誤送金の真相 ― 人為ミスか、内部犯行か
乃木は二重チェックをしていたのに、なぜ 1000万ドル→1億ドル という桁違いの誤送金が起きたのか。単純なミスよりも“意図的に仕組まれた”可能性を感じます。
とりわけ、乃木出国直後に彼一人へ責任を集中させる社内の拙速な動きは、不自然さを帯びていました。丸菱商事内部に黒幕がいるのか、それとも外部勢力と通じる“接点”があるのか――「誤送金の黒幕探し」は大きな縦軸になりそうです。
乃木憂助の正体 ― “もう一人の自分”と超越したスキル
英語・フランス語・モンゴル語を操る語学力、砂漠での冷静な状況判断、公安の作戦意図を即座に読み解く洞察力。社内では“出遅れた社員”の顔をしていながら、その資質は商社マンの範疇を超えています。極めつけは、危機に現れて助言する 「もう一人の乃木」 の存在。
二重人格的な描写なのか、訓練で培った自己対話の可視化なのか――いずれにせよ“只者ではない”人物像を補強します。
終盤でテロリストが投げた「お前が“ヴィヴァン”か?」という台詞も含め、乃木の出自や経歴には大きな秘匿がありそう。野崎の「世界的な渦に足を踏み入れた」という言葉からも、被害者を超えた“鍵”としての役割が示唆されます。作中で囁かれる 自衛隊の非公式特殊部隊「別班」 との関連を想起させる要素もあり、今後の解明が待たれます。
“VIVANT”は何を指すのか ― 単語の意味、コードネーム、あるいは…
“VIVANT(生きている)”というフランス語の意味を素直に受け取るのか、あるいは コードネーム/組織名 と読み解くのか。ザイールの「お前がヴィヴァンか?」は、乃木が何者かに“誤認”された可能性を匂わせます。もし“別班”を指す隠語だとすれば、ザイールの自爆も「捕縛されるくらいなら……」という敵対組織の規律・心理と整合します。
誤送金そのものが、テロ資金獲得と“乃木炙り出し”を兼ねた仕掛けだった可能性もなくはなく、背筋が冷えます。野崎と日本の公安が“VIVANT”の意味にどう迫るのかが、今後の注目点です。
二宮和也 × 役所広司の“親子”らしき関係
ラストに現れた ノコル(二宮和也)とノゴーン・ベキ(役所広司) らしき二人。青年が「父さん」と呼びかける短いカットだけで、“親子”の力学、権威と継承のモチーフが一気に立ち上がりました。彼らがどの陣営に属し、アディエル親子やテロ組織とどう関係するのか。
味方・敵を安易にラベリングできないのが本作の妙であり、今後の物語を大きく動かすキーパーソンになるのは確実です。
緻密な演出と“清涼剤”としてのユーモア
福澤克雄監督らしい緩急の妙が光ります。砂漠での“光”の使い方による絶望から希望への転換、100分超の逃走劇に差し込まれる ドラム のコミカルな存在感、翻訳アプリの“甘い声”という遊び心。
高密度のプロットを疲れさせない シリアス×ユーモア の配剤が絶妙で、視聴体験にリズムを与えています。脇役や小道具まで“効いている”設計は、本作の完成度を底上げしています。
総評 ― “日本の連ドラでここまでやるか”
巨大ロケ、国際サスペンス、謎の連鎖、そしてスターキャスト。初回は“テレビドラマの意地”を見せ切った回でした。数々の謎(別班とは何か/VIVANTの正体/社内の裏切り者)は、今後の 頭脳戦・組織戦 への橋渡しとして機能。序章が終わり、これからが本番――そんな手応えがあります。
個人的に最も心に残ったのは、“生きて帰る”という強い意志。タイトル VIVANT=生きている が、乃木・ジャミーン・そしてアディエルの“生と死”を通じて多層的に響きました。乃木は真相に辿り着けるのか。“VIVANT”の本当の意味とは何か。次回以降、論理的な回収と新たな驚きを期待しています。
2話の感想についてはこちら↓

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