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TRICK/トリック新作スペシャル3のネタバレ&感想考察。水神家の遺言と呪いの真相

TRICK/トリック新作スペシャル3のネタバレ&感想考察。水神家の遺言と呪いの真相

『トリック新作スペシャル3』は、連続ドラマを走り切ったシリーズが、最後にもう一段“重たい問い”を投げてくるスペシャルです。

舞台は山奥の尾古溝村。水を司る名家・水神家に残された遺言、開けてはならない呪いの箱、そして「財宝がある」という甘い言葉。疑心暗鬼に陥った人間たちは、次々と“呪い”に見える死へ追い込まれていきます

密室、暗号、因習、復讐。TRICKが積み上げてきた要素を全部詰め込みながら、本作は「トリックで説明できても、救われるとは限らない」という後味を残す。

さらにこの物語は、劇場版『ラストステージ』へと繋がる前日譚でもあります。シリーズ終盤ならではの重みを抱えた一編として、ここから結末まで振り返っていきます。

目次

トリック新作スペシャル3のあらすじ&ネタバレ

トリック新作スペシャル3のあらすじ&ネタバレ

『トリック新作スペシャル3』は、連ドラ3シーズンを走り切った“その後”に用意された、シリーズ終盤ならではのご褒美回

舞台は山奥の「尾古溝村」、中心にいるのは名家・水神家(みずかみけ)です

遺言、呪い、暗号、財宝、密室――王道の“横溝味”を、TRICK流の悪ふざけと後味の苦さで包んでいきます。さらにこのSP自体が、劇場版『ラストステージ』の前日譚として位置づけられているのもポイント。

導入:奈緒子の貧乏と、上田の講演会「景品事件」

相変わらず売れないマジシャン・山田奈緒子は、家賃もままならないギリギリ生活。アパートには“立ち退き運動”の空気が漂い、奈緒子はいつものように「なんとか今日を乗り切る」方向へ全力投球します。

そこで奈緒子が嗅ぎつけるのが、上田次郎の講演会。科学の話よりも、目当ては当然“景品”。何個も持ち帰ろうとして場内で揉め、警備員に取り押さえられる――この導入だけで、「あ、これだ。TRICKが帰ってきた」と安心できるテンポです

一方、上田は講演先で“ある人物”と接点を持ちます。

大手アパレルメーカー社長・水神達郎(みずかみ たつろう)が上田を尾古溝村へ招待してくるのです。奈緒子は家賃問題もあり、半ば強引に“同伴”の形で村へ向かうことに。

尾古溝村へ:水神家という「閉じた世界」

尾古溝村は、いかにも「外から来た人間が飲まれる」タイプの土地。

村の空気は濃く、古い因習が今でも生活の隅々に残っている。TRICKが得意とする、あの“笑えるのに薄ら寒い”トーンが早々に立ち上がります。

そして中心にあるのが水神家。かつて尾古溝村では干ばつが続き、水源を握っていた水神家は絶対的な権勢を誇った――という伝承が語られます。強い家は、強いぶんだけ恨まれる。ここが今回の物語の「底冷え」の部分です。

遺言開封:呪いの箱と、白紙のヒント

村に着くや否や、上田と奈緒子は水神家当主の遺言開封に同席させられます。立ち会いは顧問弁護士・佐伯幸三。並ぶのは、長女・幸代、次女・月子、三女・華絵の三姉妹、そしてそれぞれの関係者。

  • 長女・幸代:婿に水神達郎。娘は冬子。
  • 次女・月子:総合病院の理事長。1年前に海難事故で亡くなったはずの息子・敦志を「まだ生きている」と思い込み、今も“見える”と言い張る。
  • 三女・華絵:県議会議員の夫と息子・明がいる。

遺言は、三姉妹を同時に焚きつける内容です。
「財産は(世情の煽りで)ほとんど残っていない。だが、時価数百億円相当の隠し財産がある」――しかも場所の手がかりは“呪いの箱”の中にあるらしい。

そして箱は「財宝にふさわしくない者が開けると死ぬ」と言われる代物。にもかかわらず、三姉妹はそれぞれ金銭的に切羽詰まっていて、目がもう“数字”にしか向いていない。結局、「最初に見つけた者が総取り」という、疑心暗鬼を生む最悪のルールまで決まってしまいます。

箱を開ける役にされるのは使用人・藤崎千佳子。ところが中に入っていたのは――白紙。しかも封が一度切られた形跡があり、「誰かがすり替えたのでは」と疑惑が走ります。奈緒子はその白紙を“なぜか”手元に確保。ここ、後で効いてきます。

「敦志(=佐清ポジション)」の不穏:見える人と見えない人

次女・月子の息子・敦志は、海難事故で死んだはず。しかし遺体は上がっておらず、顔に火傷を負って写真なども残されていない。つまり、外見情報が曖昧で、誰でも“それっぽく”なれる。

水神家の人間の一部は「敦志を見た」と言い、別の者は「見ていない」と言う。

この“目撃のズレ”が、TRICKの定番である「集団心理と情報格差」を作り、以降の事件のミスディレクションとして機能していきます。

第1の事件:密室のお堂で、長女・幸代が刺殺される

遺言開封を境に、家の中の空気は一気に戦場になります。互いを監視し、疑い、先回りする。誰かが宝の手がかりを握っているのではないか。誰かが自分を出し抜こうとしているのではないか。

そんな中、長女・幸代が向かった先で事件が起きます。場所はお堂。

血の付いたナイフを持つ怪しい影が一瞬見えた、という証言。明や千佳子は「敦志だ」と思い込み、追いかけてお堂へ入る。しかし中にいたのは――刺されて死んでいる幸代だけ。

さらに状況が悪い。窓には中から鍵がかかり、逃げ道がない。
つまり、TRICKが大好物な“密室”が成立するわけです。

ここで面白いのが、事件の重さに対して、周囲の会話と人物の動きがいちいちズレていること。必死なのに、どこか滑稽。悲鳴や騒ぎの中にも、TRICK特有の“間抜けさ”が紛れ込む。そのせいで、逆に怖い。

第2の事件:冬子が消える、そして「竜の穴」の硫化水素

続いて不穏が加速します。長女の娘・冬子が行方不明に。

発見された場所が、村の危険地帯――硫化水素が噴き出す穴(竜の穴)です。冬子はそこで窒息死していた。矢部謙三が発見に関わる流れもあり、事件は警察サイドも巻き込みながら“村全体の空気”になっていきます。

硫化水素という、オカルトではなく現実の毒。
「呪い」っぽい言葉で包めば包むほど、逆に現実の怖さが立ち上がるのがTRICKらしい。

第3の事件:龍の絵、尼寺、水瓶の中の月子

次女・月子も消えます。月子が直前に執着していたのが、蔵にしまわれていた龍の絵。「外に出すと祟りが起きる」と言われる絵なのに、月子はそれを蔵から出して熱心に眺めていた。

奈緒子は同じように絵を外に出し、明るい光の下で見る。すると、絵の中に文字が織り込まれていることに気づく。どうやら財宝のヒントらしい。

絵が示す先は、廃れた尼寺。現地へ向かって調べると――そこにある水瓶(大水瓶)の中から、月子の遺体が見つかります。

“水神家”の物語で、水瓶が死の器になる皮肉。しかも「呪い」「祟り」の語り口にぴったり合ってしまうから、ますます家の中の空気が狂っていく。

追跡と罠:硫化水素の小屋に閉じ込められる

屋敷に戻り調査を続ける奈緒子と上田は、敦志らしき人影を目撃し追跡
人影が逃げ込んだと思われる小屋に踏み込んだところ――今度は逆に、二人が小屋に閉じ込められてしまいます。

そして小屋には硫化水素が噴き出し始める。
酸欠、毒ガス、タイムリミット。TRICK名物「閉じ込められ事件」が来たな、というやつです。

死を覚悟した奈緒子が“遺書”を書こうとして取り出したのが、例の白紙。
その白紙に――文字が浮かび上がる。ヒントはすり替えではなく、最初から「白く見える形」で仕込まれていたのだと分かります。

上田はここで、なぜか通信教育で身につけた格闘技(というかパワー)を発揮し、壁を壊して脱出。科学者のくせに最終的にフィジカルで突破するのも、この人のブレない魅力です。

暗号解読:サンズイと洞窟、そして「宝」の正体

得たヒントを手がかりに、奈緒子と上田は暗号解読へ。

文字や漢字の形(部首)をいじるタイプの謎解きが連続し、「なるほど、こう来たか」と気持ちよさがある一方で、視聴者に「読めるか!」とツッコませる絶妙な“難しさ”もTRICKっぽい。

さらに奈緒子の母・山田里見が現れ、文字の扱い方に関する示唆を与える。里見はギャグ装置に見えて、なぜか要所を押さえてくるのが強い。

そして辿り着く洞窟。奥には大きな壺があり、指示通り“台に注ぐ”ように水を注ぐと――出てきたのは白骨死体。
「財宝」ではなく、宝探しに取り憑かれた過去の当主らしき骨。つまり、欲が導いた終点そのものです。

上田は「最初から宝なんてなかった」と言い切る。

呪いの箱も、暗号も、結局は人間の欲を刺激して食い合わせを起こさせる装置だったのかもしれない――そんな嫌な想像が残ります。

真相:犯人は千佳子、そして明も共犯だった

ここまでの一連の死は「敦志の亡霊の仕業」だと見せかけられます
しかし決定打が入る。敦志の遺体が発見された、という知らせ。つまり、今うろついていた“敦志らしき影”は敦志ではない。

奈緒子は最初の密室(お堂)を洗い直し、真相に辿り着きます。

  • お堂で幸代を殺したのは千佳子。
  • 千佳子は窓から逃走。
  • その後、奈緒子たちと一緒にお堂へ入った明が、“犯人を探すフリ”をしながら内側から窓の鍵を閉め、密室に見せた。

冬子や月子の死も、硫化水素や水瓶という「村の危険」と「祟りの物語」を利用しながら、千佳子が誘導し、明が手伝った線が浮かび上がる。明は母・華絵を守りたい(あるいは家の中の序列を変えたい)気持ちがあったのか、千佳子に絡め取られていきます。

さらに上田は千佳子の背景に踏み込みます。

水神家三姉妹は過去に、父の愛人の家へ押しかけ暴行し、念書を書かせた。その愛人はその晩に自殺。残された幼い子どもは施設へ――。千佳子はその子どもで、復讐のために水神家へ入り込んだ、という構図が見えてくる。

水神家の子には手首に龍の噛み跡のような刺青を入れる習わしがあるのに、千佳子にはそれがない。上田は「自ら消したのでは」と言及する。ここも、TRICKが好きな“儀式と身体の痕跡”で真実に近づく流れです。

ラスト:毒見の茶、耐性、そして“次”への合図

クライマックスがえげつないのは、ここから。
華絵は千佳子を疑い、「このお茶を飲め」と迫ります。千佳子が口をつけても平気だったため、華絵も飲む。――すると華絵は死ぬ。

お茶には毒(ヒ素)が入っていた。千佳子は日頃から少量ずつ毒を摂取し、耐性をつけていた。だから平気だった。華絵はアウト。復讐は“勝ち方”まで残酷で、救いがない。

そしてエンディング。
奈緒子が「暑い国に行く気がする」「ムッシュムラムラ」と口にする――まるで次の舞台を匂わせる“予告のような余韻”で幕を閉じます。ここが前日譚としての顔。

トリック新作スペシャル3のトリック

トリック新作スペシャル3のトリック

このSPの“トリック”は、いつもの「超常現象を科学で解体」というより、横溝的な遺産争いのフォーマットにTRICKの得意技(情報格差・集団心理・物理トリック・化学反応)を乗せた構造です。

個々の仕掛けを分解すると、かなり理詰めで出来ています。

白紙の暗号:最初から「白く見える文字」だった

白紙は誰かがすり替えたのではなく、硫化水素と反応して発色する物質で文字が書かれていた、という種明かし。閉じ込め小屋で硫化水素が充満したことで初めて文字が浮かび上がります。

化学反応を“呪いの発動”に見せるのが上手い。

密室殺人:窓の鍵を“後から内側で閉めた”

密室は「犯人が部屋から出られない」ではなく、
「犯人は出たあとに、共犯が中から鍵を閉めて密室にした」という古典的なやり口。

  • 千佳子が犯行→窓から逃走
  • 明が後から窓を内側で施錠
    この順序で“完全密室っぽさ”が成立します。

「敦志を見た」ミスディレクション:顔が曖昧だから成立する

敦志は遺体未発見で、顔に火傷、写真も残らない。
つまり「敦志本人を知る」情報が薄い。だから、誰かが“それっぽい影”を作るだけで、目撃談が独り歩きします。

しかも、見たのは限られた人物。見ていない者は置いていかれ、家の中の不信が増幅する。目撃=証拠ではなく、目撃=火種として機能させているのがTRICK流です。

硫化水素の穴:村の危険地帯を「呪いの現象」に変換する

硫化水素は、村の地形(危険な穴)として存在する。そこへ誘導すれば事故死に見える。

「呪いの暗号を解こうとした者が死ぬ」という伝承にも、事故死は最適にハマってしまう。村の因習と地形が“犯行を隠す装置”になります。

毒見の茶:耐性で“超人的”に見せる

最後のヒ素は、超能力ではなく準備と執念

千佳子が“飲んでも死なない”ことで一瞬「本物の何か」に見える。でもそれは、積み上げた耐性という現実の怖さ。TRICKはここでも「人間が一番怖い」に着地させます

トリック新作スペシャル3の伏線

トリック新作スペシャル3の伏線

このSPは、序盤の“どうでもよさそうな違和感”が終盤で繋がる作りが気持ちいい回です。

事件だけでなく、人物の癖・村の情報・小道具が、全部「回収可能な形」で置かれています。

白紙のヒントを奈緒子が持ち帰る理由

箱の中身が白紙だった時点では、ただの拍子抜け。
でも奈緒子がそれを“ちゃっかり”持って帰ることで、後の閉じ込め小屋で「命綱」になる。奈緒子の食い意地やさもしい行動が、結果として“真相へ近づく手”になるのがTRICKらしい伏線です。

「一度開封された形跡」と“すり替え疑惑”

封が切られていた、という情報は、「誰かがヒントを盗んだ」方向へ視聴者の意識を寄せます。

でも実際は、すり替えではなく“見えない文字”という逆方向。疑惑が強いほど、真相に辿り着いたときの反転が効きます。

敦志の設定(遺体なし/顔の火傷/写真なし)

敦志の情報が曖昧にされているのは、ただの怪談要素ではなく、「なりすまし」「誤認」「目撃のズレ」を成立させるための舞台装置。

終盤で遺体発見の報が入った瞬間、これまでの“敦志の影”が一気に嘘になるよう設計されています。

村の危険(硫化水素)を先に提示している

硫化水素は、

  • 冬子の死に繋がる“事故に見える殺害手段”
  • 白紙の暗号が浮かび上がる“現像装置”
    の両方に使われる二段構え。

「怖いから近づくな」という村の常識が、そのまま“呪いの説明”にもなる。オカルトの顔をした科学伏線です。

手首の刺青:家系の証拠であり、消せる証拠でもある

水神家の子どもに入れられる刺青は、家系の象徴。
だからこそ「刺青がない=関係ない」と思わせられる。
でも上田の推理で、「消した」という可能性が浮上し、千佳子の正体と復讐の動機へ繋がっていきます。

明の“協力的な顔”が実は共犯の入口

明は序盤、奈緒子と上田に協力的で、家族の内情も教えてくれる。
この“協力者ポジション”はTRICKでわりと安全牌に見えがちですが、今回は逆。最後に「密室を閉めたのが明」という回収が入ることで、視聴中の安心が崩れます。

里見の登場はギャグで終わらない

里見は登場するだけで場の空気を壊す“いつもの母”ですが、今回は暗号解読の局面に顔を出し、文字・部首の発想へ繋げる役目も持つ。
「うるさいのに役に立つ」という、里見の強さが伏線として機能します。


トリック新作スペシャル3の感想&考察

トリック新作スペシャル3の感想&考察

このSPを見終えてまず残るのは、笑いより先に“疲労感”かもしれません。

それくらい、家の中の空気が重い。遺産争いって、人間の一番いやなところが出る。しかも水神家は、元々の力関係が歪んでいるから、争いが「金」だけで終わらない。そこにTRICKが得意な“村の因習”が絡み、救いが削れていく

犬神家オマージュを、TRICKがやる意味

シリーズ終盤にきて「犬神家の一族」を思わせる構図を持ってきたのは、単なるパロディではなく、TRICKがずっとやってきた“日本の田舎の因習ミステリ”の総決算にも見えました

三姉妹、行方不明の息子、奇怪な死、遺言、財宝。素材は古典。でもTRICKは、それを“笑える地獄”にしてしまう。

視聴者が古典を知っていればニヤけるし、知らなくても「嫌な家だな」とは伝わる。しかも奈緒子と上田がいることで、いったん全部が軽くなる。なのに、軽くなったぶんだけ、落とすときに深くなる。これがTRICKのズルさです。

「呪い」とは何か:結局、人間の欲が回している

今回の“呪い”は、

  • 暗号を解くと死ぬ
  • 箱を開けると死ぬ
    という形で語られます。けれど実態は、硫化水素や毒や密室といった現実の仕掛け。

つまり「呪いがあるから死ぬ」ではなく、
呪いを信じるほど行動が歪んで、死に近づく
欲が強いほど、ルール(総取り)を守れず、疑心暗鬼で孤立し、勝手に危険へ踏み込む。呪いは、最初から人間の内側にある。

そして最悪なのは、“呪いの仕組み”より、家の歴史そのものです。水源を握って権力を振るった家は、当然恨まれる。恨みが積もれば復讐が生まれる。復讐が生まれればまた死が出る。

村の空気は、誰が犯人でも成立するくらい“殺しやすい”状態に出来上がっている。ここが怖い。

千佳子の復讐が残す後味:正義にも見えるのに救われない

千佳子の動機は、単なる金ではなく過去の清算。三姉妹が愛人を追い込み、母が自殺し、自分が施設へ――という構図が明かされた瞬間、視聴者の感情は揺れます。

「そりゃ恨むよな」と思ってしまう。ところが千佳子の復讐は、やり方が冷静すぎる。準備が周到すぎる。毒の耐性まで作る。その執念が“悲しみ”というより“冷えた狂気”に見えてしまう。

さらに皮肉なのが、華絵の最期。
千佳子を追い詰めるつもりで「飲め」と迫り、自分も飲んで死ぬ。

欲と疑いの果てに、自分で自分を殺してしまう形。復讐は完了しても、誰も救われない。TRICKがいつも最後に置く“後味”が、ここではかなり濃いです。

奈緒子と上田:完成された“二人の型”が、最後まで答えを出さない

事件としては解決する。トリックも暴かれる。犯人も割れる。
でも、奈緒子と上田の関係は、相変わらず「進まない」のが面白い。

今回も、奈緒子は上田に振り回され、上田は奈緒子を使い、でもいざというときは助け合う。合理的に言えば、これ以上ないほどの相棒。感情的に言えば、相変わらず不器用で近づけない二人。

それでも視聴者が見続けられるのは、彼らが“答え”を言葉にしないからです。
事件の真相は言い切るのに、関係性だけは言い切らない。
だから余韻が残るし、次に繋がる。

ラストの「ムッシュムラムラ」が示すもの

ラストで奈緒子が口にする「暑い国」「ムッシュムラムラ」は、明らかに“次の舞台”の匂い。SP単体で完結しつつ、次作へ視聴者を運ぶための合図です。

TRICKって、いつも事件の最後に「人間の弱さ」を残しながら、最後の最後にちょっとだけ笑わせて、次へ行く。今回もそれをやっている。

このSPは、事件としては暗い。人も死ぬし、家は壊れるし、恨みは深い。
でも不思議と「もう一回見ようかな」と思わせる。

それは、暗い話を“暗いまま”では終わらせない、奈緒子と上田のやり取りの強度があるから。トリックを解いたあとも、人生は解けない――その手触りが、シリーズ終盤でもまだ鮮度を保っている回でした。

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