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TRICK/トリック新作スペシャル2のネタバレ&感想考察。契り祭りと呪いの正体

TRICK/トリック新作スペシャル2のネタバレ&感想考察。契り祭りと呪いの正体

『トリック 新作スペシャル2』は、シリーズの中でも特に“因習”と“人間の業”が色濃く絡み合う一編です。

舞台は山奥の寒村・一夜村。恋が成就すると言われる「契り祭り」と、片思いは死に至るという不穏な言い伝え。そのルールどおりに、子守唄に合わせた連続殺人が起きていきます。

呪いのように見える出来事の裏で動いているのは、迷信そのものではなく、人がそれを信じてしまう心理と、20年前から積み重なった嘘と欲望でした

本作は、オカルトの皮を被りながら、最後にもっとも残酷な“真実”を突きつけてくるスペシャルです。ここから先、その全貌を結末まで追っていきます。

目次

トリック新作スペシャル2のあらすじ&ネタバレ

トリック新作スペシャル2のあらすじ&ネタバレ

「トリック新作スペシャル2」は、山奥の寒村・一夜村に伝わる“禁じられた恋の祭り”――契り祭り(ちぎりまつり)をめぐって、子守唄の歌詞どおりに連続殺人が起きていく一編です。

いつもの「オカルトの顔をした人間ドラマ」ではあるのに、今回は特に“横溝テイスト”の湿度が濃く、笑いの隙間から不穏がにじむ構造が強い。だからこそ、最後の真相が刺さります。

上田の研究室に舞い込む依頼と「契り祭り」のルール

物語の入口はシンプルです。上田の研究室に、一夜村から西園寺誠一(さいおんじ・せいいち)という青年が訪ねてくる。

村には古くから「契り祭り」という祭りがあり、好きな相手の“体の一部”(髪など)を紙に包み、契り岩と呼ばれる巨岩に括られた縄へ結びつければ恋が成就すると言われている――。そして恐ろしい“オマケ”として、「もし一方だけが願を掛けた場合、ふられた方は3日以内に死ぬ」という言い伝えがある。

誠一はそれを迷信だと証明してほしい、と上田に依頼するのです。

当然、上田は勝負事に弱い(強い)ので「よし、科学で潰してやろう」と乗ってしまう。そして毎度の流れで、奈緒子を巻き込みながら一夜村へ向かう――この時点では、いつもの“トリック案件”に見えるんですよね。

一夜村到着:二つの名家と、20年前の因縁

一夜村には、村を牛耳る名家・西園寺家がある。現当主は西園寺松子(さいおんじ・まつこ)。誠一の政略結婚を進め、家の地盤を固めようとしている人物です。

一方で、かつて西園寺家と勢力を二分した東崎家(ひがしざきけ)の名が、村の空気に“封印”みたいに残っている。そこへ現れるのが、黒装束の女・東崎彩乃(ひがしざき・あやの)。

20年前、彩乃は松子が雇った祈祷師によって夫と息子を呪い殺され、村を追われた――という過去を持ち、復讐のために戻ってきた存在だと語られます。

この「20年前の呪い」と「復活した祭り」が、いかにも“因習×怪異”の構図を作る。けれどTRICKはここで「本当に呪いなの?」と視聴者の鼻先にニンジンをぶら下げ、ちゃんと人間の欲と嘘の方向へ話を運んでいきます。

誠一をめぐる恋の混線:許嫁・恋人・幼馴染

誠一の周囲には、恋がこんがらがる“人間関係の導線”が最初から引かれています。

  • 許嫁:石坂麗子(いしざか・れいこ)
  • 恋人:小松恭子(こまつ・きょうこ)
  • 幼馴染で誠一に強い想いを寄せる:佐々木菊枝(ささき・きくえ)

誠一は麗子という許嫁がいながら、恭子と密かに付き合っている。菊枝は菊枝で、“巧妙な細工”まで仕掛けて契り祭りで誠一と結ばれようと画策している。

恋の渋滞が起きている場所に、呪いのルール(片思いは死ぬ)がセットで置かれたら、そりゃ事件が起きるよね――という、わかりやすい火種です。

祭りの夜、子守唄が鳴り出す:連続殺人の幕開け

そして“怪異の装置”として登場するのが、彩乃の子守唄です。

彩乃はのど自慢大会にも飛び入り参加し、審査員・秋元康から98点と絶賛されるほどの歌唱力を見せる。ここが妙に印象に残るのは、歌が「芸」ではなく「予告」になっていくから。

子守唄の歌詞どおりに、殺人が起きていく。村の人間は「呪いだ」と色めき立ち、誠一をめぐる女たちの感情はさらに煮詰まり、上田と奈緒子は“呪いの顔をしたトリック”を追うことになる。

第1の死:石坂麗子――「枝括り」の見立て

最初の犠牲者は麗子。

死体の見つかり方が、まさに“見立て殺人”で、村にとっては「歌詞が当たった=呪いが本物」へ一気に傾くインパクトになります。

ここで上田と奈緒子がやるのは、いつもの「現象の正体」を一枚ずつ剥がす作業。怪しいのは彩乃。だけど“怪しい=犯人”の単純線では終わらないのがTRICKの性格で、村の空気が彩乃を怪物化していくスピードの方が怖い。

第2の死:佐々木菊枝――樽の中の逆さ吊り(溺死)

次に起きるのが、樽の中で逆さ吊りにされるという凄惨な死

いわゆる「樽逆さ釣り(溺死)」で、視覚的にも“因習ホラー”のど真ん中を突いてきます。

ここで上田が効かせるのが物理学。事件現場の条件を整理し、「サイホン現象(サイフォンの原理)」を使えば、犯行時刻に犯人がそこにいなくても成立する――つまり“アリバイがあっても殺せる”と切り崩す。

呪いに見せた殺しが、実は“仕組み”で動く。TRICKの醍醐味が、この場面でガツンと来ます。

第3の死:祈祷師・坂上方庵――「呪い返し」の夜

松子が雇っていた祈祷師・坂上方庵(さかがみ・ほうあん)もまた死ぬ。彼は20年前、松子に雇われて彩乃の夫と息子に呪いを掛けた人物で、今回も彩乃に呪いを掛けようと儀式を始めていた。

つまり彼の死は、「呪いが跳ね返った」と語られやすい。村の空気はさらに固まり、彩乃=呪いの権化として扱われていく。けれど実際には、この死も“歌詞の見立て”として成立しているだけ。

死体の見せ方が、村にとって都合よく“物語化”されてしまうのが、この回のいやらしいところです。

恭子の失踪→滝で発見:呪いは本物なのか?

そして決定打が、恭子の失踪です。誠一は「自分が契り岩に恭子の髪を結ばなかったから…」と伝承を本気で信じ始め、村人も「やっぱり契り祭りは本物だ」と騒ぎ出す

結果として恭子は、滝の近くで“神楽のポーズ”のような形で硬直した死体として発見される(=呪いを想起させる見せ方)。彩乃にはその時刻にアリバイがあるように見え、上田と奈緒子の前に「じゃあ誰が?」「本当に呪いなのか?」という袋小路ができる。

ここで効いてくるのが、村の診療所の医師・恩田洋三(おんだ・ようぞう)です。彼は20年前の検視にも関わっていて、どうやら“事件を紐解く秘密”を知っている様子を見せる

この時点で視聴者の頭の中には、「呪いの事件」ではなく「20年前の出来事の清算」という縦糸が、はっきり立ち上がってきます。

真相:彩乃は誠一の実母。赤子のすり替えと“血縁”の地雷

終盤、上田と奈緒子が“殺害方法”を暴いたうえで、彩乃はついに真相を語ります。

結論から言うと、彩乃は誠一の実の母です。

松子と彩乃の子どもが同時期に生まれた際、松子が彩乃の子を殺そうとしていると知った彩乃は、赤子をすり替えた。彩乃の実子が、西園寺誠一として育った――という、救いようのない“母の選択”が明かされます。

さらに地獄なのはここから。誠一の周りにいた麗子・菊枝・恭子の3人は、彩乃の夫・東崎彦助が別の女性との間に作った子どもたちで、誠一とは「異母きょうだい」だった。つまり誠一は、知らないまま“血縁の地雷原”で恋をしていたことになる。

彩乃が麗子と菊枝を殺した動機は、「誠一と異母きょうだいを結びつけないため」――母としての歪んだ防衛。恭子については、彩乃が真実を告げたことで恭子が自殺に追い込まれた(あるいは自ら決断した)とされ、だからこそ“呪いの死”に見える形が成立する。

そして彩乃は、彦助や祈祷師も殺害していたと語られる。復讐と母性が同じ手つきで人を殺していく、最悪の混線です。

結末:彩乃は刺される。最後まで“トリック”で終わる

真相が語られたあと、誠一は彩乃を刺す

しかも彩乃は、誠一を殺人犯にしないため(あるいはそう見せるため)、自殺に見せかける形で命を終える――という後味が待っています。呪いを暴く物語のはずが、最後の最後で“母が自分の死を演出する”という意味で、いちばん皮肉なトリックが置かれる。

ここまで来ると、上田と奈緒子がどれだけ現象を解体しても、「救われる人が増えるわけじゃない」ことが突きつけられる。TRICKの“苦み”が、いつもより濃い回です。

トリック新作スペシャル2のトリック

トリック新作スペシャル2のトリック

この回の面白さは、殺害方法そのものよりも、「呪いとして成立してしまう“見せ方”」と「村の空気の使い方」にあります。

伝承、子守唄、見立て殺人――全部が“人間が信じたくなる形”に整っているからこそ、トリックがトリック以上に怖い。

「契り祭り」の正体:恋の迷信が“人を動かす装置”になる

契り祭りのルールは、恋愛成就の儀式としては甘い。

でも“片思いは死ぬ”という条件があることで、途端に脅しになる。信じる人間が増えるほど、「裏切れない」「別れられない」という圧が生まれ、事件の舞台装置として完成していく。

つまりこの祭り自体が、犯人にとって“心理的な罠”として機能するんです。

樽逆さ釣り(溺死)のカラクリ:サイホン現象で“その場にいなくても殺せる”

第2の事件の核はサイホン現象。

水位が一定になる性質を利用すれば、犯行のタイミングをずらし、アリバイがあっても溺死を成立させられる――上田が物理で切り崩す場面は、この回の「TRICKらしさ」のど真ん中です。

ここで重要なのは、“理屈が分かった瞬間”に安心できないこと。

だって、樽に逆さ吊りという残酷さは、理屈で消えない。TRICKが「科学で解体できるのに、怖さは残る」をやる時の手つきが、かなり露骨です。

見立て殺人の恐さ:枝/井戸/滝…「地形そのものが呪いに見える」

この回は、枝に引っかける、井戸に落とす、滝で硬直死体が出る――といった“土地の景観”がそのまま恐怖の額縁になる。だから村人は「呪い」としか理解できない

そして犯人は、その誤読を計算して「歌詞どおり」に仕立てる。トリックの一番の武器が、装置より“共同体の解釈”になっているのが、この回の特徴です。

もっとも残酷なトリック:真実を告げる=自殺を成立させる

恭子の死がもし「呪いによる殺人」ではなく「真実を知らされた末の自殺」だとしたら、ここには物理トリック以上の凶器がある。

“血縁の真相”という言葉ひとつで、人が自分の命を終わらせる方向へ歩いてしまう。

TRICKがよく描く「人の弱さ・孤独・逃げ道のなさ」が、今回かなりストレートに刺さります。

トリック新作スペシャル2の伏線

トリック新作スペシャル2の伏線

この回は「伏線=トリックの手がかり」だけじゃなく、「伏線=人間関係が崩れる予兆」が多いのが特徴です。笑える小ネタで視聴者の体温を上げながら、裏で冷たい事実を仕込む。その落差が、終盤の破壊力を作っていました。

「誠一をめぐる女たち」の配置が、そのまま真相の導線

誠一の周囲に、許嫁・恋人・幼馴染という“役割の違う女性”が最初から揃っている。これ自体が、単なる恋愛の三角関係じゃなく「なぜこの3人なのか?」という疑問を生む配置になっています。

終盤で「3人には共通点がある」と言われた瞬間、配置が伏線だったと気づく仕組みです。

東崎彦助の“女癖”が、最終盤の地獄を先に匂わせる

彦助は「村一番の色男」「女癖が悪く、何人もの女性と浮名を流したプレイボーイ」と明言されている。

これ、序盤では「いかにも因習村の色男だな」で流せるんですが、終盤の血縁真相に直結する“情報の釘”になっている。軽い人物説明の顔をした、重すぎる伏線です。

恩田医師の“知っていそう”な態度が、20年前の真相に直結

恩田医師は20年前の検視を担当し、事件の秘密を知っているように見える。

TRICKって、だいたい「村の古参」か「医者」か「役場」あたりが“真実の鍵”を握ってることが多いですが(笑)、今回はその役割がガチで重い。医者が曖昧な顔をした瞬間に、「呪いではなく隠蔽の匂い」が立ちます。

祈祷師・坂上方庵の存在=松子の“罪の継続”のサイン

松子は20年前、祈祷師を雇って彩乃の夫と息子を呪い殺させ、東崎家を追い出した。さらに今回も方庵を雇い、彩乃に呪いを掛けようとする。

つまり松子は「過去を終わらせる」のではなく「過去を同じ手で繰り返す」。

この“繰り返し”がある時点で、事件は解決しても救済は来ない、という後味が予告されているんです。

菊枝の「細工」=祭りが“簡単に操作できる”ことの証明

菊枝は誠一への想いが強く、巧妙な細工を仕掛けてまで契り祭りで結ばれようとする。

ここ、ただの恋の暴走じゃない。

「儀式って、実は人間の手でいくらでも“都合よく改造できる”」という証明でもあります。後半、呪いのルールが人間の都合でねじ曲げられていく流れに、ちゃんと繋がっている。

子守唄が“予言”ではなく“脚本”になる伏線

彩乃は子守唄を歌い、その歌詞になぞらえた事件が起こる。

普通なら「予言が当たった!」となるところですが、TRICKは「歌詞どおりに起こす」方へ寄せる。つまり子守唄は、神秘ではなく“脚本”。そして脚本を書いているのは人間――このシリーズの原則が、今回ほど分かりやすく回収される回はないかもしれません。

トリック新作スペシャル2の感想&考察

トリック新作スペシャル2を見た後の感想&考察

正直、このスペシャルは「トリックって、こんなに後味悪くできるんだ」と驚くタイプの回でした

もちろん通常回でも悲劇はある。けれど新作スペシャル2は、“悲しい”より先に“やりきれない”が来る。その理由は、事件の中心にあるのが「恋」ではなく「血」と「母」だからだと思います。

1)今回の怖さは「超常現象」じゃなく「村が作る現実」

呪いは、物理的には解体できる。
でも一夜村の人たちが「そうだ、呪いだ」と信じた瞬間、それは共同体の現実になる。

この回で一番怖いのは、彩乃の黒装束や子守唄の旋律という“ホラー演出”よりも、村人が“理解可能な物語(呪い)”に飛びついていく速度です。信じたほうが、ラクだから。怖いものを怖いまま外に置けるから。「あの女が呪った」で済むから。

そしてTRICKは意地悪なので、視聴者にもその気持ちを一瞬分からせる。見立て殺人の絵面が強すぎて、「呪いっぽい…」って、こっちも思っちゃうんですよね。

2)彩乃は“悪役”として登場し、“母”として終わるのが最悪に上手い

彩乃は復讐者として戻ってくる。実際に過去が凄惨で、祈祷師に呪い殺され追放されたという因縁も語られる。
ここまでなら「復讐の鬼」としての物語が進むはずなんですが、終盤で「彩乃は誠一の実母」という反転が入る。

この反転がえげつないのは、犯行が“復讐”でもあり“母性”でもあること。
復讐なら「恨み」で説明できる。
でも母性が混ざると、「守りたい」という言葉が免罪符っぽく聞こえてしまう危険がある。TRICKはそこを美化しません。守るために殺すのは、守りじゃなくて支配だよ、という残酷さを最後まで突きつける。だから救われない。

3)誠一が“何も知らないまま刺す”結末が、シリーズ屈指の地獄

真相を知った上でなら、まだ「崩壊した人間」として理解できる。
でも誠一は、“自分の人生がそもそも誰かのトリックだった”ことを知る前に、彩乃を刺してしまう。

そして彩乃は、自殺に見せかける形で終わる。これがまた、「最後のトリック」を彩乃が握っていることを意味していて、胸が悪いほど美しい。

呪いを暴く物語で、最後に“人が死に方を演出する”のがオチになる。TRICKのアイロニーが、最も黒い形で着地しています。

4)“血縁の真相”が明かされる時、視聴者も一緒に息が止まる

誠一と麗子・菊枝・恭子が異母きょうだいだった、という事実。

これってミステリーとしては“強い種明かし”なんだけど、快感がないんですよ。
「なるほど!」じゃなくて「うわ……」が先に来る。

しかも恭子は、その事実を告げられて自殺する流れが語られる。
ここがこの回の核心で、TRICKがずっと描いてきた「タネが分かっても救われない」の“救われなさ”を、最大出力で見せてくる。物理トリックは解けても、人の心の傷は解けない。だから見終わったあと、モヤモヤが残る。フィクションなのに、実話みたいに重たい。

5)それでもTRICKである理由:笑いがあるから“地獄”が際立つ

この回、実は小ネタもちゃんと多い。のど自慢大会の異様なテンションとか、矢部が休暇で来て旅館女将に絡まれるとか、山田家サイドの小商売感とか。

だからこそ終盤の落下が効く。笑って油断したところに、血縁と母と死が落ちてくる。これがTRICKの“味”で、純ホラーにしないことで逆に現実味が増すんです。

ここまで見て「もう一度見返すならどこ?」となるなら、個人的には、

  • 誠一の依頼シーン(祭りのルールを聞く場面)
  • 彩乃が子守唄を“歌として成立させる”場面
  • 樽逆さ釣りの種明かし(上田の物理が刺さる)
  • 恭子の失踪~滝発見の流れ(村の空気が変質する瞬間)

この4つを押さえると、事件のトリックだけじゃなく「人間が崩れる順番」まで見えてきます。

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