新東京水上警察の最終回(11話)は、「犯人を捕まえて終わる物語」ではありませんでした。
台風が迫る海へ逃げた黒木、拉致された三上、出航を止める上司の判断、そしてそれでも船を出すという現場の覚悟。物語が最後に突きつけたのは、“正義”よりも「どう生きて帰るか」という選択でした。
碇はなぜ海へ向かい、礼子はなぜ止まらなかったのか。黒木は本当に終わったのか。
そして、このチームが最後にたどり着いた答えとは何だったのか。
この記事では、新東京水上警察11話(最終回)のあらすじと結末を整理しながら、登場人物たちが選んだ“生き方”という視点から、ラストの意味を丁寧に考察していきます。
ドラマ「新東京水上警察」11話(最終回)のあらすじ&ネタバレ

2025年12月16日放送の第11話(最終回)は、黒木謙一が三上慎吾を拉致して海上へ逃走。そこへ大型台風が迫る中で、チーム碇が“生きて帰る”と誓って最後の出航に踏み切る回でした。
ここから先は結末まで含むネタバレです。未視聴の方はご注意ください。
台風上陸寸前で「出航禁止」…署長・玉虫とチーム碇の攻防
碇拓真は、三上を人質に取って海上へ逃げた黒木を追おうとします。
しかし署長の玉虫肇は、首都圏に台風が上陸寸前という状況から航海許可を出しません。水上警察は“捜査”だけではなく“防災”も背負う組織であり、ここは市民の命を守る警備が最優先――玉虫の判断は筋が通っています。
玉虫は碇に対して、「君を死なせるためにこの署に呼んだわけじゃない」という趣旨で語り、出航を止めようとします。上司は“部下を危険に出さない責任”を背負っている。だから簡単にGOは出せない、という現実がここにあります。
ただ、最終回の面白さは「正しい判断」だけでは船が動かないところです。
日下部峻には母の危篤という私情が突きつけられ、有馬礼子も黒木と行動を共にする“大沢俊夫”が心配でならない。礼子は自分の恐怖も飲み込みながら、玉虫に捜索続行を必死に訴えます。
ここで礼子が強いのは、「感情」だけで押し切らないところ。
黒木を放置すれば三上の命が危ない、台風が来れば海上はもっと危険になる――“今動く理由”を現場目線で積み上げていきます。
同時に日下部は、母の危篤を背負ったまま現場に残る選択をします。
「今行けば間に合う」という現実と、「今止めないと三上が死ぬ」という現実。その二つが同時に襲ってくるのが、最終回の残酷さでした。
最終的に玉虫が出した条件は「必ず生きて帰ること」。
「生きて帰れ。嵐の海へ、最後の出航」――最終回のテーマそのものを、出航条件に落とし込みます。
もう一つの戦線:海雪談合ルート、港湾局・仲井が遺書を残して失踪
黒木追跡と同時に、水上署が追っていたのが「海雪(南極観測船)の移転工事をめぐる談合」です。この談合に加担していた港湾局の仲井幸人が、遺書を残して姿を消したことが発覚します。
遺書を残しての失踪は、捜査側から見ればかなり嫌な展開です。
このまま仲井が逃げ切る、あるいは命を絶つようなことになれば、談合の真相も黒木との接点も、一気に霧の中へ消えてしまう。最終回でこのカードを切った時点で、黒木事件が「個人戦」ではなく「構造戦」であることを示しています。
竜水丸へ:礼子の無線が大沢を引き当てる(緊急検査で船内へ)
碇たちは、黒木が乗り込んでいる貨物船「竜水丸」の停泊場所を突き止めます。
無線で呼びかけた礼子は、応答した相手が大沢だと気づきます。
礼子は、沖で停船している船舶に対して緊急検査を実施している旨を伝え、碇・日下部・礼子の3人で竜水丸へ乗り込みます。
表向きは「検査」。しかし実態は「救出」と「確保」です。
この時、碇は礼子に「何があっても止まるな」と託します。
後の展開を知っていると、この一言は“台風の海で操船を任せる覚悟”であり、“自分が戻れない可能性”も織り込んだ伝言に聞こえてしまいます。
そして船内で3人が対面したのは、やはり大沢でした。
礼子は「良心がある」と信じたい一方で、最終章に入ってから積み上げてきた疑念も消せない。最終回の緊張は、ここで一気に跳ね上がります。
船内捜索:閉ざされた船で三上を探す→黒木が先に撃つ
3人は船内に入り、三上の居場所を探しながら黒木を追い詰めていきます。
しかし黒木は、話し合いも時間稼ぎもせず、いきなり発砲。船内はそのまま銃撃戦に突入します。
閉ざされた船内で、黒木がどこから撃ってくるか分からない。水上署のアクションとしてはクライマックスで、ここまで積み上げてきた“海の怖さ”が、暴力の怖さに上書きされていきます。
銃撃戦の末、場所は甲板へ。黒木は三上を人質に取り、碇へ銃口を向けます。
追い詰められても「取引」ではなく「恐怖」で支配し続ける――黒木の危険性が、最後までブレずに描かれます。
甲板の対決:黒木の逆ギレ、大沢の一発…明かされる“父と子”のような過去
甲板で碇を狙う黒木は、追い詰められた苛立ちをそのまま暴力に変えます。
「俺は今まで堅気だったことなんてない」――自分の中の悪を正当化するような言葉も飛び出します。
そこへ割って入ったのが大沢俊夫。
大沢が黒木を撃ち、黒木を止めます。黒木が思わず「なんで…」と問うほど、二人の距離は近かった。
ここで語られるのが、大沢と黒木の過去。
黒木は大沢を父のように慕い、大沢も黒木を我が子のように思っていた。単純な善悪では切れない関係性が、最終回で明かされます。
だからこそ大沢の「もう終わりにしよう」という制止が刺さる。
黒木を止めるために撃つという行為は、裏切りではなく“大沢なりの決着”でした。
悲劇:三上は救出、大沢は沈む…黒木の行方は不明のまま
ただし黒木は、大沢の一発で終わるタイプではありません。
理性が切れた黒木は、三上を道連れに海へ飛び込むという暴挙に出ます。
その瞬間、大沢もまた海へ。大沢は三上を救助することはできましたが、その代償として命を落とします。
結果として、海から上がったのは三上だけ。
礼子たちは三上を確保しつつ、海に残された大沢に別れを告げて出航せざるを得ません。「助かった命」と「失った命」が同じ回に並ぶのが、最終回の最も苦しい部分でした。
一方、黒木は行方不明。
遺体が上がらないことで、事件の幕引きに“余白”が残されます。
第二の危機:船体トラブルと碇の決断
悲しみに浸る間もなく、竜水丸は再び危機に陥ります。
黒木の銃弾の影響で船体トラブルが発生し、燃料漏れという致命的な問題が起きる。嵐が迫る中で、3人は“ここで止まったら終わり”の状況に追い込まれます。
そんな中、日下部が修理を名乗り出ます。
母の危篤を抱えながらも現場を選んだ彼が、今度は“責任のある役”を自分から引き受けにいく。
しかし碇は日下部を行かせず、手錠をかけて自分が修理へ向かいます。
仲間を守るためなら手段を選ばないが、そこに私怨はない――碇の決断が、最後にもう一度作品の芯を強くします。
ラスト:大波、消える碇、それでも前へ
碇が修理に出た直後、大波が甲板を襲います。
波が収まった後、修理された船体だけが残り、碇の姿は見当たらない。最終回で一瞬“最悪”を想像させる場面でした。
それでも礼子は止まりません。
碇が託した通り、礼子は操船を続け、帰還のための最善を尽くします。
そして後日、碇は生還。
礼子が以前口にしていた「私が必ず引き上げます」という言葉を思い出すように、意識を取り戻します。物語は“帰還”という約束を守った形で着地します。
エピローグ:事件の収束と、それぞれの未来
事件後、港湾局の仲井は命を取り留め、殺害への関与を認めます。
三上もまた、黒木に強要されていた悪事を語り、事件の輪郭がようやく捜査として確定していきます。
日下部は母を見送り、自分が礼子を不安で縛っていたことを反省し、別れを選びます。
一方の礼子は、碇に「刑事になりたい」「いつか並べる存在になりたい」と伝える。恋愛ではなく、仕事として隣に立つ宣言――最後までこのドラマらしい選択でした。
ただ、黒木の行方だけは最後まで不明のまま。
物語は、小さな棘を残して最終回を迎えます。
ドラマ「新東京水上警察」11話(最終回)の感想&考察

最終回の印象を一言で表すなら、「事件を終わらせる話」ではなく「自分の生き方を決める話」でした。
黒木を追い詰めるスリルは確かにある。でも同時に、台風という“自然の理不尽”の前で、正義も恋も計画も揺らぐ。その揺れ方があまりにも現実的で、僕はとても好きです。
ここからは僕の感想と考察です。
事実として描かれた部分と、そこから感じ取った解釈は切り分けて書いていきます。
この回のテーマ考察:「生きて帰る」が最終回の倫理になった
最終回を貫いた合言葉は、署長・玉虫が課した「必ず生きて帰ること」でした。
刑事ドラマは、とかく「捕まえるためなら命を張れ」がヒーロー像になりがちです。でもこの最終回は逆で、命を張ること自体を“条件”で縛った。
ここが本当に面白いところでした。
命を張ることを禁じられたうえで、それでも碇は命を張ってしまう。だから彼の行動は、ヒロイズムではなく「責任の取り方」に見える。視聴者も「無茶だろ」と思いながら、最後は納得してしまう。
“命の優先順位”を最終回に置いたこと自体が、このドラマのメッセージだったと感じました。
碇の過去と最終回の海:恐怖を抱えたまま飛び込む強さ
碇は、過去に大きな事故で心に深い傷を負っている人物です。
だから最終回で碇が海に落ちる展開は、単なるアクションではなく、彼の“過去”をえぐる出来事でもあったはず。
これは僕の解釈ですが、碇は恐怖を克服したわけではない。恐怖を抱えたままでも「行く」を選べる人になった。
そして礼子の言葉――「必ず引き上げる」――が、碇を現実に引き戻した。最終回は、この2人の関係を“救助”の言葉で結んだのがとても上手かったと思います。
アクション演出と“海”のリアリティ:揺れ続ける現場が生む緊張
最終回の海上シーンは、画面から「寒い」「濡れる」「揺れる」がはっきり伝わってきました。
計算されたセットの揺れではなく、風と波に振り回される不安定さが、そのまま登場人物の焦りに直結している。
だからこそ、碇が海に落ちる場面の“怖さ”は、演技だけではなく、本物の環境が作ったものだと感じます。アクションが派手というより、「そこに立つのが怖い」ことが、きちんと伝わる演出でした。
実在の水上警察を思わせるリアリティが、最終回を重くする
このドラマはフィクションですが、実際に東京湾岸には水上警察の系譜があり、災害対応と治安維持を同時に背負う現場があります。
その背景を知っていると、台風の海で「捜査と救助を同時にやる」最終回の無茶が、ただのドラマ的誇張ではなく、現実味を帯びて見えてくる。
だからこそ、玉虫の「出航禁止」も、礼子の「今動くべき」という主張も、どちらも正しくて、どちらも間違っていない。その板挟みが、最終回の緊張感を支えていました。
大沢の最期は「赦し」ではなく「区切り」だった
僕が一番胸に残ったのは、大沢の最期です。
黒木を撃ち、三上を救うために海へ入り、そのまま沈んでいく。
あれは「赦し」ではなく、「区切り」だったと思います。
黒木と大沢の関係は、父と子のような歪な近さで描かれてきました。
本当は守りたかった。でも守れなかった。だからせめて、ここで終わらせるために撃った。
黒木の遺体が上がらないことで、その区切りは完結ではなく、視聴者側に宿題として残ります。
この余白があるからこそ、大沢の死は軽くならなかった。
礼子の成長:恋愛より先に“職業の決意”が来たこと
最終回の礼子は、能力も心も一段階上がっていました。無線で大沢を見抜き、緊急検査で船内に入り、操船では「止まらない」を選ぶ。彼女がいなければ、最終回は成立しません。
そして最後に選んだ言葉が良かった。
「刑事になりたい」「いつか並べる存在になりたい」。
恋愛の告白に寄せない分、礼子の本気が伝わる。
碇がどこか嬉しそうに見えたのも、たぶん“恋”より“覚悟”が響いたからだと、僕は受け取りました。
日下部の着地:勝ち負けを降りて、やっと“仲間”になった
日下部は最終回で、ようやく碇と同じ地平に立った気がします。修理を名乗り出たのも、プロポーズを取り消したのも、「自分のため」ではなく「相手の人生のため」に動いたから。
「碇さんには敵わない」と認めて身を引くのは、恋愛の敗北であると同時に、刑事としての敗北の受け入れでもある。
この受け入れができたからこそ、日下部は“仲間”として物語を終えられました。
それでも残る謎:黒木は本当に終わったのか(考察)
事実として、黒木の遺体は上がっていません。
ここからは考察ですが、僕は「黒木が生きているかどうか」よりも、「黒木が作った仕組みが残っていること」の方が怖いと思っています。
仲井や三上の供述で事件は整理されても、黒木が動かしていた利権や港湾の闇は、簡単には消えない。もし続編があるなら、“黒木の復活”よりも、“黒木不在でも回ってしまう闇”を相手にする方が、この作品らしい。
視聴者の余韻:余白があるから、海の怖さが残る
最終回の合言葉「生きて帰る」が印象に残った人、碇の生還に安堵した人、大沢の最期がつらかった人――反応は様々でした。
僕自身も、最終回の余白には少しザワつきました。
でも、余白があるからこそ、あの海の怖さが後からじわじわ残る。
最後までハラハラさせてくれたチーム碇に、拍手で締めたい最終回でした。
(続編があるなら、僕は間違いなく追いかけます。)
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