シーズン3の最終回は、伝説のロックバンド「ハングリーズ」と、そのボーカル・ケビン小須田をめぐる物語。
ドーム公演、脅迫状、失踪、炎上――派手な出来事が次々と起こる一方で、描かれていたのは「人気」や「成功」を必死に守ろうとする人たちの、あまりにも人間的な孤独でした。
この回が切ないのは、誰もが“悪意”だけで動いていないところ。
父を守りたい娘、バンドを終わらせたくない仲間、そしてスターであり続けたい本人。
それぞれの嘘は、誰かを欺くためというより、壊れないための必死な選択だったように見えます。
観客がいないホールで鳴らした音は、敗北でも終焉でもなく、「ここからやり直す」という宣言。
シーズン3のラストは、ミタゾノらしく派手に暴きながら、最後にそっと“次の場所”を残してくれる最終回でした。
※ここから先は、最終回(第8話)の結末までを含むネタバレで進みます。未視聴の方はご注意ください。
家政夫のミタゾノ(シーズン3)8話(最終回)のあらすじ&ネタバレ

シーズン3のラストは、伝説のロックバンド「ハングリーズ」と、そのボーカル・ケビン小須田をめぐる“華やかさの裏側”が容赦なく剥がされていく回でした。
派手な事件(脅迫状・失踪・炎上)に振り回されながらも、最後に残るのは「本当は何を守りたかったの?」という、切ない問い。笑えるのに、胸がぎゅっとなる…そんな最終回です。
ライブ会場に貼られた「中止」の紙、そして“星の話”で始まる
物語は、ハングリーズのライブ会場から始まります。入口には、無情にも「中止」の貼り紙。集まったファンは動揺し、特に小さなファンの少年は「どうして?」とまっすぐに問いかけます。
そこへ現れるのが、ボーカルのケビン小須田。彼は“音響のこだわり”を理由にライブを中止したと告げ、ファンの前でも堂々と「次はドームだ」と宣言して去っていきます。強気で、派手で、何より“伝説のロックスター”としてのプライドが前面に出た登場でした。
この冒頭で私が印象的だったのは、ミタゾノがぽつりと語る「星」にまつわる言葉。自分で光る星も、誰かに照らされて光る星も、永遠ではない。光って見える時間には“寿命”がある――そんなニュアンスの話が、あとから効いてくるんですよね。最終回のテーマが、最初の数分でちゃんと宣言されている感じがして、ゾクッとしました。
むすび家政婦紹介所:光が「ミュージシャンになりたい」と退職届を出す
場面はいつもの「むすび家政婦紹介所」へ。ここで光が突然、「ミュージシャンになりたい」と言い出し、退職届を出します。夢に向かうって聞くとキラキラしてるのに、この子の場合は“勢いだけ”が先に立つのが光らしくて、ちょっと笑ってしまう(笑)。
しかも、退職届の漢字が間違っていたり、みんなが全然引き止めてくれなくて半べそだったり、情緒が忙しい。最終回でも安定の愛され末っ子感です。とはいえ、「今日のお仕事だけはやってちょうだい」と送り出され、ミタゾノ&萌と一緒に派遣先へ向かうことになります。
派遣先は“伝説のロックスター”の自宅。ホームパーティーの熱気がまぶしい
今回の派遣先は、伝説的バンド「ハングリーズ」のボーカル、ケビン小須田の自宅。家ではホームパーティーが開かれ、にぎやかな空気に包まれています。紹介所に来た依頼名が素朴な本名だったりして、最初は「え、ここ?」となるんですが、扉が開いた瞬間に“格”が変わる感じ。
ケビンは、周囲の空気を支配するタイプのスター。音にも演出にもこだわりが強く、家の中ですらライブの延長みたいに振る舞います。その一方で、娘の奈緒美(マネージャーのように立ち回る)と、事務所専務の東郷が常に気を張っていて、私はそこで早くも「あ、これ…家の中の温度差がすごいやつだ」と感じました。
届いた脅迫状「次のライブをしたらケビンを殺す」…笑えない火種
パーティーの最中、事務所宛てに届いたのは、切り貼り文字の脅迫状。
「ハングリーズにライブをする資格はない。次のライブをしたらケビンを殺す」
一気に空気が冷えます。奈緒美も東郷も真っ青、萌は「警察に連絡すべき」と主張。普通なら当然の流れなのに、ケビンはこれを拒否します。「こんなことが公になったらファンが動揺する」と、ドーム公演は予定通りやると断言するんです。
脅迫状って、よく見ると新聞の文字を切り抜いて貼り付けた“切り貼り文章”。しかも、ところどころ誤字が混ざっていて、丁寧に見せかけて雑なんです。ミタゾノは紙質や切り抜きの癖から「毎朝、同じ新聞を読んでいる人の手」と匂わせてくるのが怖い。家事じゃなくても、生活の痕跡って隠せないんだな…とゾワッとしました。
さらに追い打ちのように、玄関先に置かれた人形から炎が上がる事件まで発生。ここでミタゾノがサッと対処してしまうのが、さすがの家政夫スキル。火の勢いよりも、ケビンが「怖い」より「ファンに知られたくない」を優先するところが、じわじわ怖いんですよね。守っているのはファンの心なのか、それとも自分の看板なのか…。
バンド内の不協和音:トニーとベンの脱退宣言、そして“帽子の男”
脅迫状の件で揺れる中、さらにバンド内でも亀裂が見えます。メンバーのトニーとベンが「ハングリーズを脱退したい」と申し出るんです。理由は、ケビンの独断専行にもうついていけないから。伝説のバンドって響きはかっこいいのに、裏側は“会社のワンマン社長”みたいな空気で、なんだか生々しい。
同じ頃、萌が屋敷の周辺で“帽子の男”を目撃します。覗き見しているようにも見えるし、逃げ足は速いし、怪しさ満点。萌は光に「探してきて」と頼み、光は張り切って外へ。――ここで、最終回らしく事件がドンと転がります。
光、襲われて監禁されます。
光が消えた朝、二通目の脅迫状。喉を切られた写真が突き刺さる
翌朝、ケビン宛てに二通目の脅迫状が届きます。そこには、ケビンの喉元が赤く切られたような写真まで同封されていて、悪意がどんどん具体的になっていく。脅迫が“言葉”から“イメージ”へ変わると、怖さが倍増するんだなって、見ていて背筋が冷えました。
しかもこのタイミングで、ケビンの“喉”にも異変が出ます。声が出ない、かすれる…って、歌う人にとっては命そのもの。原因が病気や呪いじゃなく、部屋の乾燥(加湿器のはずが除湿器になっていて湿度が激落ち)というのがまたリアルでした。ミタゾノはここでも家事力を発揮して、除菌スプレーと水のスプレーを使ってカーテンを加湿したり、キッチンペーパーで簡易加湿器を作ったりして場を整えるんですよね。派手な事件の裏で、生活の“空気”が人を左右するのが面白い。
そして一方、監禁された光は、脅迫状を書かされている状態。だから、あの脅迫状にはどこか“光っぽい”誤字が混ざっていた…というのがあとから判明します。視聴中は気づけないけど、わかった瞬間に「ああ、だから…!」って膝を打つやつ。
“犯人は身内?”専務・東郷が投函…ミタゾノの豪速追跡
事態が混迷する中、ミタゾノは決定的な瞬間を目撃します。なんと、ケビン宅のポストに脅迫状を投函する東郷。ミタゾノはすぐに追いかけ、例の“スカートをたくしあげて爆走”で追い詰めるんですよね。女装のまま全力疾走する姿、毎回笑えるのに毎回かっこいいのずるい。
問い詰められた東郷は、脅迫状の誤字を指摘されて動揺。さらに彼は誰かに電話をかけます。その相手が、奈緒美。
ここで「え、奈緒美ちゃんも…?」と疑いが一気に濃くなります。
奈緒美の“振込メモ”の正体。萌の推理が切ない方向へ転がる
ミタゾノと萌は掃除の途中で、奈緒美のメモ(振込の記録が並ぶノート)を見つけます。萌はそれを見て「奈緒美ちゃん、男にお金を貢いでる…?」と推理してしまう。恋愛ドラマなら、ここで“裏切りの匂い”が漂うところなんだけど、ミタゾノはわざと意味深に動くんですよね。
そしてこの家の奥では、まだ光が監禁されたまま。助けを求める光を、ミタゾノがあっさりスルーして扉を閉める場面があって、私は笑いながらも「ミタゾノさん…その冷たさ、今日いちばん怖いかも」と思ってしまいました。あの人、優しさじゃなく“必要な展開”で動くから…。
ドーム公演が突然キャンセル。大量の脅迫で、会場側が“NO”を突きつける
ケビンが強気に進めていたドーム公演。ところが運営側から突然、「明日のライブはキャンセル」と連絡が入ります。理由は、会場にまで大量の脅迫が届いたから。
スター側がいくら「やる」と言っても、外側の“現実”が止める。ここ、最終回のテーマがめちゃくちゃ出ていました。大きな看板ほど、外部の信用で支えられている。だから一度ヒビが入ると、誰よりも早く崩れるんですよね。
奈緒美は慌てて奥の部屋へ向かい、そこには脅されながら脅迫状を書かされている光の姿。奈緒美は「中止になった」と告げ、東郷も光も“ドームに大量の脅迫が行くのは想定外”の反応を見せます。つまり、彼らがやっていたのは「止めるための脅迫」だけど、想像以上に話が大きくなった…そんな気配が漂うんです。
ライブが飛び、ケビンは荒れます。ファンのことを口にしながら、実際は“自分の居場所”が消えるのが怖くて、怒りで自分を保っている感じ。そんな彼の元に届くのが、冒頭に出てきた少年ファンからの手紙です。「あしたのドームライブたのしみにしています」――たったそれだけの一文が、ケビンの背中に重くのしかかる。裏切りたくない、でも現実が許さない。その板挟みが痛いほど伝わってきました。
同じ手紙は、トニーとベンの元にも届きます。二人はスタジオに戻り、ドラムとキーボードで音を鳴らし始めるんですよね。あの瞬間、「ファンが何万人いるか」じゃなくて、「約束を交わした一人がいるか」で、人はもう一度立ち上がれるのかもしれない…って思いました。
「国立でやれる」ミタゾノの一手。喜んだ瞬間に、国立“市民ホール”のオチ
落ち込むケビンたちの前に、ミタゾノが“代替会場”を用意したと告げます。場所は「国立」。
ドームがダメなら国立競技場?とテンションが上がるのも無理はない。トニーとベンも戻り、ハングリーズは再起のムードに包まれます。しかも、この会場が空いた理由が「島茂子が腰痛でドタキャン」という文字情報で出てくるのが、ミタゾノ世界のユーモアの強さ(笑)。
ところが当日。彼らが到着したのは、国立競技場ではなく「国立市民ホール」。
国立は国立でも、規模が全然違う。ケビンは帰ろうとしますが、結局「ファンとの約束を果たさなければ」と腹を括り、そこでライブをすることを決めます。プライドが邪魔してるのに、ファンの顔を思い出すと逃げられない。その矛盾が、胸に刺さりました。
奈緒美が気づいた“告知文”「ドーム→国立に変更、痛み入ります」
一方で、ケビン宅では奈緒美が父の行方を探し回ります。そこで目に入ったのが、ハングリーズの公式サイトの告知文。
「ドームでやる予定だったライブは国立に変更して開催します、痛み入ります」
この文面に奈緒美は驚き、会場へ駆け出します。彼女が止めたいのは、“ライブ”そのものじゃなくて、父が傷つく未来なんだろうな…と、ここで私はようやく奈緒美の焦りが腑に落ちました。
同じ頃、萌が家の奥で監禁されていた光を見つけ、解放。二人も会場へ向かいます。
楽屋で爆発する真実:「監禁されて脅迫状を書かされていた」光の暴露
国立市民ホールの楽屋で、奈緒美と東郷はケビンに「ライブをやめて」と懇願します。しかしそこへ駆けつけた光が、思わず口を滑らせてしまう。
自分は監禁され、脅迫状を書かされていた――。
その瞬間、ケビンの表情が変わります。怒りと裏切りが混ざった顔で「もうお前らなんて信じられるか!」と叫ぶ。けれど、その耳に届くのは客席からの「ケビン!ケビン!」というコール。ケビンは“信じられるのはファンだけ”とばかりに、ステージへ向かってしまいます。
ここ、私はめちゃくちゃ苦しかった。怒りの矛先を向ける相手がいるのに、結局すがるのは「歓声」なんですよね。人の声が怖いのに、人の声がないと立っていられない。スターって、残酷だなと思いました。
もぬけの殻のホール。歓声の正体は“録音”、ファンの正体は“仕込み”
ステージに立ったハングリーズが見たのは――もぬけの殻のホール。
誰もいない客席。あれだけ聞こえていた「ケビン!ケビン!」のコールは、実は音源。胸がスッと冷える演出でした。
そこへ遅れてやってくる人たちがいます。「ファン役で来たんですけど」と言いながら。そう、全員エキストラ。奈緒美が雇った“ファン役”でした。
しかもそれは今日だけじゃない。これまでライブに来ていたファンも、家のパーティーで盛り上がっていた客も、全部エキストラ。奈緒美は父が気持ちよく歌えるように、ずっと“人気”を仕込んでいたんです。
ホームパーティーの料理も、実は象徴的でした。見た目は豪華なカツサンドなのに、中身に“カツ”が入っていなかった、なんて話が出てくるんです。パンとパン粉とソースでそれっぽく作った“カツサンドもどき”。外側だけ立派で、中身が空っぽになりかけている――ハングリーズの状況そのものみたいで、私は変なところで胸が締めつけられました。
さらに決定打として、あの冒頭で印象的だった“少年ファン”まで、実は子ども劇団所属の仕込みだったと分かる。私はここで、笑いより先に涙が出そうになりました。子どもを使ってまで守りたかったのは、父の心。でも、その守り方が、父をいちばん孤独に追い詰めてしまう。
振込メモの正体は“エキストラ代”。娘の愛と、尽きたお金
じゃあ、萌が見つけた振込メモは何だったのか。
答えは、エキストラ代の支払い。奈緒美は男に貢いでいたわけじゃなくて、父のために“人気の舞台装置”を買い続けていたんです。私はこの真相、めちゃくちゃ切なかったです。恋じゃない。浪費でもない。家族のためにやった“嘘の維持費”。
でも当然、お金は尽きる。だからドーム公演は最初から無理だったし、会場を小さくせざるを得なかった。東郷もまた、ケビンを守るために脅迫状を出していたと明かします。そして彼ははっきり言うんです。「スターとしての寿命はもう終わりだ」と。
正直、私は東郷の言葉が刺さりすぎて、しばらく息が止まりました。残酷なのに、どこか優しさも混ざっていて。…優しさって、時々いちばん人を傷つけるんですよね。
さらに暴かれる“もう一つの裏切り”――メンバーの暴露本と、封印された名曲
追い打ちはまだ終わりません。
トニーとベンも、実は「暴露本」を出そうとしていたことが発覚します。ハングリーズの“真実”を売り物にして、金に換えるつもりだった。しかもケビンは最大のヒット曲「おふくろロックユー」の著作権を譲渡してしまっていて、自由に歌えない状態だったと分かります。
だからケビンは、ドーム打ち合わせの場であの曲を「封印する」と宣言していた。ファンのためと言いながら、実は自分がいちばん大事にしてきた“武器”を手放していたんです。ファンが離れていったのも、その流れの中にあった。
ここでケビンはようやく、自分でも薄々気づいていた“現実”を認めます。人気がなくなっていること、ファンがいなくなっていること。でも認めるのが怖かった。だからスターという殻にしがみついてしまった――。
そして彼は引退を口にします。
「ここに一人だけどファンがいる」奈緒美の叫びが、父を現実に引き戻す
引退を決めかけたケビンに、奈緒美が叫びます。
「ここに一人だけどファンがいるじゃない!」
この瞬間、私は完全に泣きました。だって奈緒美は、父を守るために嘘を積み重ねてきた子で。その子が最後は、嘘じゃなく、自分の言葉で「私はあなたのファン」と告げるんですよ。こんなの、ずるいよ…。
光や萌も、奈緒美と東郷の気持ちを代弁するようにケビンを励まします。スターの座に戻ることより、“今ここにいる人”をちゃんと見てほしい、と。
ミタゾノがドラムを叩く!…の正体は「ゆで卵の殻むき」というプロの余裕
そして最終回の目玉が、ミタゾノのドラム。
白いブラウスに黒いスカート、いつもの姿のまま、突然ドラムを叩き出す。え、バンド加入!?ってなるのに、本人は涼しい顔で「夕食の仕込みをしておりました」と言い、実は“ゆで卵の殻むき”のために叩いていたと明かします。もう、かっこよさとくだらなさの振れ幅が最高。
(密閉容器に水を入れてゆで卵を入れ、振動を与えると殻がむきやすい…という家事テクまできっちり回収されるの、ミタゾノ最終回らしさ全開でした。)
“無人ライブ”が300万再生へ。暴露は破壊じゃなく「再出発」に変わった
ラストは、ハングリーズの再出発。
客席が空っぽのまま、ケビンはマイクを拾い、歌い始めます。曲は「おふくろロックユー 第2章」。かつての名曲にすがるのではなく、“続き”を自分たちの足で作る宣言みたいに聞こえました。
この無人ライブ映像はネットで拡散され、数百万規模で再生される人気動画に。さらに、暴露本も“叩き売り”ではなく「ファンの作り方」へ方向転換した本としてヒットし、そのおかげで「おふくろロックユー」の権利も買い戻せた、という後日談まで描かれます。秘密を暴く=終わり、じゃない。秘密を暴く=やり直し、に変えてしまうのがミタゾノの“スクラップ&ビルド”なんだと、最後に気持ちよく腑に落ちました。
そしてオチ:帽子の男の正体は国税。ミタゾノは「本日で休業」とドアを閉める
ハングリーズが「めでたしめでたし」と思わせた直後、むすび家政婦紹介所に来客。あの“帽子の男”です。
みんなが身構える中、男は淡々と告げます。「国税庁です。ちょっと調べさせてもらいますよ」。
紹介所の面々が慌てて証拠を隠し、物陰に隠れ、ドタバタする中で、ミタゾノが静かにドアを閉める。「申し訳ございません。こちらの家政婦紹介所、今日で休業となりました」。
そして最後に「また次回お会いしましょう」。
最終回なのに、終わり切らない。むしろ“次”を約束する。あの一言があるだけで、寂しさが少しだけやわらぐから不思議です。
家政夫のミタゾノ(シーズン3)8話(最終回)の豆知識・家事情報
最終回って、どうしても“事件”や“オチ”に目がいきがちだけど、私はこの回の家事パートがかなり好き。
舞台がロックスターの家だからこそ、「火」「乾燥」「殻を剥く」みたいな“生活のリアルな困りごと”が、どれも命綱みたいに効いてくるんだよね。ド派手なステージの裏側って、結局は人間の体と暮らし。そこをミタゾノさんが淡々と整えていくのが、最終回らしくて沁みた。
小さな火は「重曹」で“窒息消火”を狙う
劇中で印象的だったのが、火を消すときに水じゃなく重曹を使うという話。重曹(炭酸水素ナトリウム)は熱で分解して二酸化炭素を出し、燃えている部分から酸素を奪う=“窒息消火”を助けてくれる性質があるから、小さな火なら落ち着いて対応できることがある。
やり方はシンプルで、火元が小さく、身の安全が確保できる状況なら、火に向かって重曹をふりかける。ここで大事なのは「粉を投げつける」より「そっと覆う」イメージ。勢いよくかけると粉が舞って吸い込みやすいし、火が広がる原因にもなりかねない。
ただし、これはあくまで“小規模”で“初期”の場合の話。油が入った鍋やフライパンが燃えたときに水をかけるのは危険になりやすいので避けたいし、火が天井に届きそうな勢いなら、迷わず避難→119→消火器の順で動くのが現実的。蓋や濡れタオルで空気を遮って消す方法もあるので、「重曹さえあれば安心」と思い込まず、家の中の消火動線を一度確認しておくと安心だよ。
加湿器がなくても「カーテン」と「簡易加湿器」で喉を守る
ケビンの喉がやられる“湿度9%”の衝撃。あれ、画面越しでも乾きが伝わってきた…。この回の家事テクは、その乾燥をどうにかするアイデアが中心で、喉を使う人はもちろん、冬の寝室でも普通に使える。
ポイントは2つ。
①スプレーでカーテンを湿らせる
水を入れたスプレーでカーテンにシュッと吹きかけるだけでも、布の表面積が広いぶん蒸発して、部屋の湿度を上げる助けになる。劇中ではアルコール系スプレーも登場していて、除菌しつつ加湿のきっかけを作る発想が“ミタゾノっぽい”。
②キッチンペーパーで“簡易加湿器”を作る
キッチンペーパーを数枚重ねて折りたたみ、コップに差して水を吸わせると、紙が水を上げて少しずつ蒸発しやすくなる。寝る前に「ちょっと足したい」日に気軽に試せるのが嬉しい。
注意点として、アルコールは引火しやすいから火の近くでは使わないこと、布によっては色落ち・シミの可能性があるから目立たない場所で試すこと。あと、加湿しすぎると結露やカビにつながるので、湿度計があるとかなり安心。
ゆで卵の殻は「密閉容器+水+振動」で一気にツルン
最終回の“ドラム演奏”が、まさかの家事テクのためだったのも最高だった。あのシーン、かっこよさと生活感が同居していて、私は声出して笑った(笑)。
やり方は、密閉できる容器にゆで卵と少しの水を入れてフタをし、30秒ほど振る(揺らす)。すると殻に細かいヒビが入り、水が殻と白身の間に入り込みやすくなるから、指でつまむだけでスルッと剥ける。卵って、急いで剥くと白身まで持っていかれて地味に凹むから、この方法は助かる…!
コツは「容器はしっかり密閉」「振りすぎて卵を割らない」「茹で上げたら冷水で冷やしてからやる」と失敗しにくい。ドラムがない家でも(というか、ドラムがある家のほうが少ないけど)ちゃんと再現できるのがいいところ。
今日からできる“最終回の備え”メモ
最後に、私がこの回を見て「今日のうちにやっとこ…」と思ったのがこれ。
- 重曹は、料理用とは別に“消火用”としても置いておく(湿気る前に定期的に入れ替える)
- 寝室にスプレーボトル(空)を1本置いておくと、乾燥が気になったときにすぐ動ける
- 湿度計があると“乾燥に気づける”ので、喉の不調の予防にもなる
スターじゃなくても、私たちの毎日だって一発勝負の連続だから。生活の小さな道具が、意外と自分を守ってくれるんだよね。
家政夫のミタゾノ(シーズン3)8話(最終回)の感想&考察

最終回は「伝説のロックバンド」と「家政婦紹介所」という、いかにも交わらなさそうな場所が、すごく綺麗につながっていた回だったと思う。派手な照明の下で鳴らす音も、台所で鳴るドラムの振動も、結局は“誰かに見られる自分”と“本当の自分”の距離感の話で。ミタゾノさんがいつも通り無表情なのに、妙に胸がきゅっとした。
まず前提として、今回派遣されるのは伝説的バンド「ハングリーズ」のボーカル・ケビン小須田の家。ライブをドタキャンして「次はドーム」と豪語する、面倒くさくて、でも妙に憎めない“裸の王様”みたいな男が中心にいる。そこに脅迫状、放火まがいの嫌がらせ、喉を狙うような写真まで届いて、空気が一気に物騒になる。最終回なのに、ちゃんとサスペンスが濃い。
スターの寿命は「人気」より先に、心が折れる瞬間に来る
冒頭の“次はドームだ”っていうケビンの大口叩き、笑えるはずなのに、私はちょっと切なかった。周りが止めても止まらない人って、強いんじゃなくて、弱さを隠すのに必死なだけのときがあるから。
しかも今回は、危険が目に見えるレベルなのに、ケビンは「こんなことが公になったらファンが動揺する」と警察への連絡を拒む。あれって“ファン思い”の顔をして、実は「自分がスターじゃなくなるのが怖い」っていう叫びに見えたんだよね。スターって、ファンのために歌う顔をしながら、いちばん自分のために歌ってる。そういう矛盾が、私はすごくリアルに刺さった。
さらに追い打ちが、喉。湿度が極端に下がって声が出なくなるくだりって、地味にホラーだった。ロックスターにとって喉は命で、喉が死ぬってことは“自分という商品”が死ぬこと。ケビンの焦り方が子どもみたいで、見ていて苦しくなる。
光くんの拉致と、ミタゾノさんの“雑さ”が最終回でも健在
今回のもう一つの衝撃が、光くんがあっさり拉致されるところ。見回りに行って、はい消えました、っていうテンポがすごい。しかも監禁場所に白米が山積みで、あの異常さが逆に笑えてしまう。
そして、見つけたミタゾノさんが助けるかと思いきや、はたきで叩いてドアを閉める、あの塩対応。最終回なのに優しくならないのがミタゾノさん。だけど私は、あそこが好きだった。優しさって、時々“甘やかさないこと”の形で現れるから。光くんはいつもどこかフワッとしてるけど、閉じ込められて泣いて、怖くて震えて、やっと「自分の足で立つ」感情が出る。あれも“殻”が割れた瞬間だと思う。
奈緒美の“嘘”が、いちばん優しくて、いちばん残酷だった
私がこの回でいちばん胸を持っていかれたのは、奈緒美。娘でありマネージャーで、しかも亡くなった母の代わりみたいに、ケビンの近くにいる。彼女の苦しさって、「止めたいのに止められない」と「信じてほしいのに信じてもらえない」が同時に来るところにあると思う。
東郷と手を組んで脅迫状を出し、光くんに書かせるって、やり方としては最悪。だけど「もうステージに立てる状態じゃない」「あと1回立ったら…」という切実さが出た瞬間、私は責める言葉が一気に減った。愛って、正しい方法だけで守れないことがある。相手が聞いてくれないなら、回り道の嘘を選んでしまう。嘘って相手を傷つけるだけじゃなくて、自分も削っていくんだよね。
しかも奈緒美は、父を止めようとしながら、同時に“ファン役”まで用意していた。客席が空っぽだと判明して、歓声が録音だったとわかった瞬間、胸がズンと落ちた。振込リストの正体が“仕込み”だったとわかったとき、奈緒美の嘘は「父の夢を守る嘘」でもあり、「父に現実を見せない嘘」でもあって、どっちも痛い。優しさって、現実から目を逸らさせる形を取ると、残酷になるんだなと思った。
そして何より、ケビンの口から出る言葉が、娘に対して残酷すぎる。亡くなった妻(奈緒美の母)が“マネージャーで一番のファンだった”からこそ、余計に比べられる。親って、子どもを守りたいのに、平気で子どもを傷つける言葉も持ってる。あの感じ、恋愛で言うと「一番好きな人に一番ひどい言い方をされる」あれに似ていて、私は画面を見ながら勝手に心がヒリヒリしてた。
トニーとベンの“裏切り”がリアルで、だからこそ救いにも見えた
バンドメンバーのトニーとベンが脱退を申し出るのも、ただのギャグじゃなくて結構リアル。ワンマンで振り回すリーダー、封印される代表曲、脅迫の恐怖…。「もう無理」って言いたくなるの、わかる。
しかも戻ってきた理由が、“暴露本を出して稼ぐため”みたいな空気が出るのが、また生々しい。夢や友情だけじゃ食べていけない大人の残酷さ。だけど、暴露することでしか前に進めない時期ってあるんだと思う。隠し続けたものを一度全部ひっくり返して、やっと再スタートできる人もいるから。
ケビン自身も、実は「おふくろロックユー」を封印したいんじゃなくて、権利を譲渡して歌えなくなっていた、という落ち。ここが一番“裸の王様”っぽくて苦い。カッコつけてるのに、結局お金の事情に負ける。だけど私は、そこが嫌いになれなかった。人間って、誰だって生活があるから。理想だけで生きられないから。
「国立」オチの瞬間、私は“ミタゾノの世界”に救われた
ドームがキャンセルになり、代わりの会場が「国立」だと聞いたときの期待。国立競技場…と思わせて、国立市民ホール。ベタなんだけど、最終回でこれをやるのが、逆に潔い。
ここで大事なのは、会場の大きさじゃないっていうテーマにもつながるところ。ステージが小さくても、そこに“本当に来てくれる人”がいればいい。でもケビンが見ていたのは、人の数じゃなくて「スターとしての自分がどう見えるか」だった。だからこそ、空の客席があれだけ効く。大きい箱に立つことが目的になった瞬間、音楽が置き去りになる。
これ、音楽だけじゃなくて恋愛でも同じだなって思った。好きな人の気持ちより、「恋人がいる私」「愛されてる私」っていう外側の肩書きに酔い始めたら、関係って一気に崩れるから。ケビンの“スターでいたい”は、恋愛で言うところの“理想の彼氏(彼女)でいたい”に近い。相手の目じゃなくて、世間の目で自分を見始めたら、だいたい終わる。最終回がロックの話なのに、私には妙に恋愛の教訓に見えてしまった。
“殻を剥く”家事ネタが、最終回のメッセージになっていた
ラストでミタゾノさんがドラムを叩いた理由が、ゆで卵の殻を剥くためだったの、最高にミタゾノだと思う。派手な演奏の裏が“夕飯の支度”って、ギャップで笑わせるだけじゃなくて、ちゃんとテーマがある。
殻って、私たちが自分を守るために纏うものでもあるよね。スターの殻、娘の殻、家政婦見習いの殻。光くんが拉致されて泣き虫全開だったのも、ある意味“殻が剥けた”状態だし、ケビンが空っぽの客席を見せつけられたのも、スターの殻を剥がされた瞬間だった。
なのに、剥がされたあとに残るのが“終わり”じゃなくて、“やり直し”の気配だったのが好き。恥をかいたからこそ、次がある。秘密を晒したからこそ、また歌える。暴露って本来は怖いのに、この作品は「晒した先に掃除がある」って信じさせてくれる。私はそこに救われる。
ちなみにSNSでも、ドラムシーンに心を持っていかれた人が多かったみたいで、「ドラムシーンに震えて泣いてる」「ドラムカッコいい!」みたいな声が並ぶのを見て、私も同じ気持ちになった。最終回のご褒美って、ああいう“本人にしか出せない瞬間”なんだと思う。
ラストの国税局、そして「休業です」で残る余韻
そして最後。国税局の気配に慌てて隠れる紹介所メンバー、ミタゾノさんの「本日で休業となります!」でバタン。最終回なのに、終わらせない終わり方がずるい(笑)。
“暴かれる”のが仕事のミタゾノさんの側も、実はずっと何かを隠して生きている。だから国税局って、ただのギャグじゃなくて、シリーズ全体のテーマにも見えるんだよね。誰の家にも秘密があって、秘密があるから人は生きていける。でも、隠し続けると必ずどこかで“点検”が入る。そういう怖さと可笑しさが、最後の一言に詰まっていた気がする。
最終回って、寂しい。だけど、私はこの回を見て「終わる」より「また会える」に気持ちが寄った。スターが殻を剥いても生きていけるように、私も今日の自分の殻を少しだけ軽くして眠りたい。痛み入ります、って、なぜか私も言いたくなった。
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シーズン3の全話ネタバレ↓

シーズン2の全話ネタバレ↓

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