もしがく9話は、いつもの八分坂が“劇場そのもの”として息づき、笑いと緊張が同時に押し寄せる激動の回でした。
舞台『冬物語』を控えたWS劇場では、不安と期待が入り混じりながらも、役者たちがそれぞれの想いを抱えて臨む姿が描かれます。
久部とリカの距離が縮まる“深夜の劇場シーン”や、神社で祈る樹里の切なさなど、人物ドラマも濃厚。一方で、劇場の裏側では思わぬトラブルの火種が静かに燻り始め、物語は予想外の方向へ。
千秋楽の夜に何が起きるのか、そして久部たちを待つ“忘れられない瞬間”とは——物語はいよいよ最終章へ加速していきます。
もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう(もしがく)9話のあらすじ&ネタバレ

第9話あらすじ(※本記事はネタバレを含みます)
1984年の渋谷・八分坂にあるWS劇場はいよいよ最終章に突入し、物語もクライマックスへ向かいます。
第9話は通常回より30分拡大で放送され、久部(三成)とリカの関係に進展が見られる一方、劇場に新たなトラブルが発生。
果たして久部たちはこの危機を乗り越えられるのでしょうか。以下、第9話「もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう」の詳細なあらすじと結末までのネタバレです。
久部とリカ、深夜の劇場で親密に
深夜のWS劇場。演出家・久部三成(菅田将暉)は、想いを寄せるダンサーの倖田リカ(二階堂ふみ)と二人きりで語り合います。
第8話のラストで久部は、リカの元恋人であるトロ(生田斗真)からリカを守るため勇敢にも立ち向かい、トロを劇場から追い出しました。その一件で久部の頼もしさに触れたリカは少しずつ彼に心惹かれ始めています。
親密な雰囲気の中、久部は「この劇場が軌道に乗ったらシェイクスピアの『ハムレット』を上演したい」と夢を語り、自分がハムレット役を演じ、その恋人オフィーリア役はリカにやってほしいと伝えました。
リカは照れながらも「演出家の先生にお任せするわ」と久部の提案を受け入れ、「これからも私たちを引っ張っていって」と優しくささやきます。二人は手を取り合い、その夜はそのまま劇場を後にして飲みに出かけました。
ところがその頃、八分坂の八分神社では巫女の江頭樹里(浜辺美波)が一人、居間で物思いにふけっていました。
樹里は密かに久部に想いを寄せており、久部とリカが親密になっていく様子に胸をざわつかせています。父・江頭論平(坂東彌十郎)は娘の心を察し、「あの二人に恋愛関係はないような気がするなあ」と気遣いますが、それでも樹里の不安は消えません。
彼女は夜な夜な神社で祈祷を捧げ、「久部さんとリカさんが別れますように」と真剣に神頼みするのでした。樹里の切ない嫉妬心がコミカルに描かれつつも、三角関係に不穏な影を落とします。
ジェシーの闇取引とトニーの特別任務
翌日、WS劇場にはオーナーのジェシー才賀(シルビア・グラブ)が姿を見せます。ジェシーは秘書の乱士郎(佳久創)と共に劇場へ現れ、さらに乱士郎と瓜二つの男・乱太郎(佳久耀)も連れてきました。実は乱太郎は乱士郎の双子の兄で、ジェシーは二人の存在を利用して何やら企んでいる様子です。
この双子コンビの来訪は、何か事件の予兆とも思える緊張感を劇場にもたらします。
ジェシーが劇場に来た目的は、“ある闇取引”に人手を貸すことでした。ジェシーは劇場の用心棒であるトニー安藤(市原隼人)と、乱士郎・乱太郎の双子を引き連れて取引現場へ向かわせようとします。当然、久部は「劇場と無関係の危険な取引にトニーを巻き込むなんて」と猛反対します。
しかしジェシーは「この取引に協力してくれれば、今週の劇場の売上ノルマ達成は免除してあげる」と甘い条件を提示。経営難に苦しむWS劇場にとって、ノルマ免除は喉から手が出るほど魅力的な提案です。久部は悩んだ末、「夜の公演までにトニーを必ず戻す」という約束をジェシーから取り付け、渋々この話を受け入れます。
トニー自身も最初は拒否したものの、劇場存続のためと説得され、最後には「大丈夫、すぐ戻るから」と仲間に言い残し、ジェシーたちと取引現場へ向かうことになりました。
こうして劇場からトニーが一時的に離脱し、久部や劇団員たちは不安を抱えながらも夜の公演の準備を進めます。「トニーは夜までに戻れるのか?」という緊張感が劇場に走り、物語はいよいよ本番の夜へ向かいます。
トニー不在の舞台『冬物語』、本番中の大ピンチ
夜になり、WS劇場でのシェイクスピア劇『冬物語』の公演が始まりました。劇団「クベシアター」のメンバーは、抜けたトニーの穴を感じさせないよう最善を尽くします。
しかし開演しても時間が過ぎても、トニーは戻りません。久部も出演者として舞台へ立っていますが、内心は冷や汗。舞台上の役者たちはアドリブでセリフを引き伸ばし、同じ場面を引き延ばすなどして“尺を稼ぐ”苦肉の策に出ます。
とはいえ限界は近づきます。物語の流れ上、どうしてもトニー演じる役が登場しなければならない場面が迫っていました。舞台袖の久部が焦りを見せる中、客席から常連客の論平が突然立ち上がり、代役として舞台へ上がるというまさかの展開に。論平は日頃から舞台を見ていたため、セリフをほぼ覚えていたのです。
会場がハラハラする中、ようやくトニーが劇場に帰還。客席後方から駆け込み、そのまま舞台へ。
ギリギリで役を引き継ぎ、魂のこもった演技で観客も仲間も圧倒させました。荒々しく無口だったトニーが、舞台で命を燃やすように芝居する姿に、劇団員たちは涙を堪えながら見入ります。こうして久部たちはトラブル続出の『冬物語』千秋楽をなんとか成功させました。
警察沙汰とトニーの覚悟、涙の別れ
しかし喜びも束の間。公演終了直後、警察がWS劇場へ踏み込んできます。
ジェシーが関与していた闇取引現場へ警察が突入し、乱太郎が逮捕。ジェシーは乱士郎と逃走し、結果としてトニーだけが劇場へ追い込まれる形に。刑事が劇場へ姿を見せ、場内は騒然とします。
トニーは久部に「終演後に自首しようと思います」と告白。久部は「逃げろ」と引き止めますが、トニーは覚悟を固めていました。恋人のパトラ鈴木(アンミカ)を抱き寄せ、「舞台に穴を開けてしまった」と涙ながらに謝罪。その姿に仲間たちは胸を締め付けられます。
このまま逮捕されれば劇場の存続すら危うい。そこで久部たちは“芝居”を打ちます。「この男は劇場の人間じゃない」「ストリップ小屋の客だ」と全員で演技して見せ、パトラは涙を堪えてトニーを平手打ちし、「この変態!」と怒鳴りつけました。
警察は半信半疑ながらも「客同士のトラブル」と判断し、トニーを連行。パトラは「二度と戻ってくるんじゃないよ、このバカ!」と叫び、泣き崩れながら彼を送り出します。仲間たちは全員涙を堪え、トニーの背中を見送りました。
久部、憧れの蜷川幸雄と衝撃の対面
終幕後、久部は喪失感を抱えて劇場の外へ。疲れ切った顔でタバコに火をつけると、樹里が駆け寄ってきます。「テンペストにお客さんが来てるの!」と告げられ、久部はジャズ喫茶へ。
店内の薄暗い照明の中、ニット帽の男性が久部に声をかけます。「今日の舞台、見させていただきましたよ」。そしてニット帽を脱ぎ――「蜷川幸雄です」。
久部は言葉を失い呆然。まさかの“世界のニナガワ”本人が自分の芝居を見て、直接声をかけてくれたのです。
蜷川幸雄役を演じていたのは、まさかの 小栗旬。事前告知なしのサプライズ出演で視聴者は大騒ぎ。「豪華すぎる」「予想外!」と歓喜が巻き起こりました。
物語は、憧れの巨匠との対面という奇跡のような瞬間で第9話が幕を閉じます。劇場存続の危機の中で差し込んだ“救い”とも言える出来事。久部や劇団にどんな未来が訪れるのか、次回へ期待が高まります。
(※第10話はFNS歌謡祭の放送により1週休止を挟み、12月10日に放送予定)
もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう(もしがく)9話の感想&考察

第9話はクライマックス直前だけあって、笑いあり涙ありサプライズありの濃密な内容でした。
ブログ風に個人的な感想を交えつつ、論理的に考察してみたいと思います。
特に今回は、伏線の回収やキャラクターの成長が随所に描かれており、一視聴者として胸が熱くなりました。それでは項目別に感じたことをまとめていきます。
久部・リカ・樹里の三角関係はどう動く?
まず注目したのは久部とリカの関係の進展です。深夜の劇場で二人きりになったシーンは、まさにロマンチックでした。
久部がリカに対して自作の劇でヒロインを任せたいと熱く語る場面は、演劇人同士の絆と淡い恋心が同時に表現されていて印象的でした。リカも最初は久部に対して冷めた態度が多かったのに、ここにきてようやく彼の情熱と優しさに心を開き始めた様子が感じられます。
「演出家の先生に任せるわ」というセリフからも、リカが久部を男性としてだけでなく、演出家として尊敬し信頼し始めている様子が伝わってきます。この作品は「女優と演出家の恋」がテーマの一つになっており、実際現実の演劇界でも演出家と女優が結ばれる例は珍しくありません。リカと久部もまさにその関係に足を踏み入れつつあるのでは、と感じました。
一方で樹里の切ない片思いには胸が痛みます。神社での祈祷シーンはコミカルではありましたが、本気で神様にお願いしてしまうほど、樹里の不安が大きいことがよく分かります。
父・論平が「二人は恋愛関係じゃない」と励ましていましたが、それでも久部とリカの距離は明らかに縮まっています。樹里は健気で純粋なキャラクターだけに、彼女の恋が報われないのは本当に切ないところ。
ただ樹里はまだ想いを久部に伝えていません。物語はあと2話残っているので、三角関係がどう転ぶのかはまだ読めません。樹里も幸せになってほしいし、久部とリカの関係も応援したい…。複雑な気持ちになるほど、この三人の描写は丁寧でした。
トニーの男気と涙:ギャップ萌えから感動へ
第9話のMVPといえば、間違いなくトニー安藤です。
これまでトニーは無口で粗野な用心棒キャラでしたが、回を追うごとに劇団員として情が芽生え、演技に興味を示す姿が描かれてきました。第8話あたりから、トニーが密かに稽古していたり、舞台袖で涙ぐむシーンもあり、「この男、演劇にハマってきているのでは?」という兆候が出ていました。
それが今回一気に花開きます。
舞台『冬物語』で、トニーがギリギリに戻ってきて渾身の演技を見せた場面は、鳥肌ものの名シーンでした。無骨だった男が舞台の上で命を燃やすように演じる姿は視聴者の心を掴み、放送直後からSNSでは「こんなにカッコいいトニー初めて見た」「トニーのギャップに泣かされた」といった声が多数寄せられていました。
しかし一番胸を締め付けられたのは、公演後の涙のシーンです。トニーは悪事に加担してしまった負い目から、自ら捕まることを選びます。恋人パトラを抱きしめ、「舞台に穴を開けて申し訳ない」と涙ながらに謝る姿は、強面のイメージとはかけ離れた切なさで、一気に視聴者の涙腺をもっていきました。
トニーは借金のカタで用心棒をしているだけの男でしたが、久部たちと出会い「芝居の楽しさ」を知りつつあった矢先でした。その芽吹きかけた夢を自ら手放し、劇場を守るために犠牲になる姿は、悲劇的でありながらも美しい。市原隼人さんの熱演も素晴らしく、過去最高レベルの名演だったと思います。
“全世界は舞台”──芝居で危機を乗り越える巧妙さ
タイトルにもある「舞台」というモチーフは、この作品全体の核です。
第9話で最も象徴的だったのは、劇団員全員で“芝居”をしてトニーを救おうとした場面でしょう。
警察が踏み込んできた瞬間、久部がとっさの判断で「トニーは劇団員じゃない。客だ」という設定を作り、皆で寸劇を披露します。パトラがトニーを平手打ちし、「この変態!」と怒鳴りつける一連の流れは、悲しさと可笑しさが同居した圧巻のシーンでした。
劇団員たちは序盤ではまとまりがなく、久部の演出にも反発していました。それが物語後半の今では、互いに信頼し合い、演技も磨かれ、結果として“現実を演技で乗り越える”という離れ業を成功させた。まさに彼らの成長の証であり、「人生という舞台」を生き抜く彼らの姿が等しく胸を打ちました。
蜷川幸雄サプライズ登場が示す今後
そして第9話最大のサプライズ、蜷川幸雄の登場。
テンペストで久部の前に現れ、「今日の舞台、見させていただきましたよ」と語るニット帽の男性。その正体が「蜷川幸雄です」と名乗った瞬間、全視聴者の時間が止まりました。
しかも演じているのは小栗旬さん。情報解禁なしのサプライズで、SNSは大騒ぎ。「豪華すぎる」「鳥肌立った」「本気で叫んだ」という声があふれていました。
久部はこれまで「蜷川幸雄に憧れて演劇を始めた」と語っており、まさに“神”のような存在。その本人が舞台を見に来て声をかけたという事実は、久部の人生を動かす転機となるはず。物語終盤に向けて、劇場再建や久部の演出家としての未来に深く関わってくると見られます。
三谷幸喜作品らしい“演劇愛のサプライズ”であり、最終章への期待を一気に高める名演出でした。
伏線回収と最終章への期待
第9話ではトニーの成長、劇団員の結束、ジェシーの裏側など、多くの伏線が結びつき始めました。残りは2話(第10話・最終回)。ここから久部たちがどう舞台を作り上げ、人生という物語の「楽屋」をどこに見つけるのか。その答えが見えてくるはずです。
トニーが再登場するのか、久部とリカの恋がどう決着するのか、樹里の想いはどうなるのか。そして蜷川幸雄が久部にどんな試練や助言を与えるのか。
第9話は悲しみと希望が交錯する屈指の名エピソードでした。最終章で、このドラマがどんな“舞台の終幕”を見せるのか、最後まで見届けたいと思います。
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