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絶対零度(シーズン5)第7話ネタバレ&感想考察。命の選別とDICTの葛藤が交差する転換回

絶対零度(シーズン5)第7話ネタバレ&感想考察。命の選別とDICTの葛藤が交差する転換回

絶対零度(シーズン5)7話は、これまで点在していた情報犯罪が一本線でつながり、物語が一気に加速する重要エピソードです。

大学病院を舞台に“命の選別”を迫るサイバーテロが発生し、DICTの判断、組織内部の対立、政治の影が交錯していきます。

奈美の現場対応や佐生と掛川の葛藤など、人間ドラマも濃く描かれた回となっており、シリーズ全体の核心へ踏み込むターニングポイントとなりました。

目次

絶対零度(シーズン5)7話のあらすじ&ネタバレ

絶対零度(シーズン5)7話のあらすじ&ネタバレ

第7話は、これまで断片的だった情報犯罪の連鎖が一本の線でつながる転換回。

システム障害、SE連続殺人、そして二宮奈美(沢口靖子)の拉致──警視庁は一連の事案に同一組織の関与を見て、広域重要案件「H-WKN159」に指定

DICT(情報犯罪特命対策室)に全貌解明と早期壊滅が下命されるところから始まる。

指定案件「H-WKN159」発動──DICTに下った“組織壊滅”の命

佐生新次郎(安田顕)は内閣直轄のDICTへ「H-WKN159」の全件集約を指示。

ここまでの匿名・流動型の犯行パターンを再構築し、黒幕までの指揮系統を可視化する方針が打ち出される。奈美の拉致を含む各事件を別物に見せた“隠し方”を崩しにかかるDICTの背後には、政権中枢の思惑もちらついている。

大学病院で同時多発障害──「命の選別」を迫るサイバーテロ

奈美は拉致の負傷で訪れた大学病院のエレベーターで、入院中の少女・久野真由(白山乃愛)、付き添いの看護師、清掃員と乗り合わせる。

その瞬間、病院の電源系統が落ち、エレベーターは緊急停止

同時にオペ室の電源も失われ、与党・中野幹事長(大河内浩)の妻・光江(西見桂)が受ける心臓手術が中断される。

院内は停電・通信断・システム全滅というトライアド崩壊に陥る。やがてランサム要求の犯行声明が端末に出現し、暗号化された全データと復旧の引き換えに100万ドルを求める挑発が始まる。

DICTの布陣──現場とリモートの“二層作戦”

DICTは即応態勢へ。田辺智代(馬場園梓)と掛川啓(金田哲)が病院へ、清水紗枝(黒島結菜)は遠隔で復旧のコアにアクセス。

病院が呼び寄せたシステム会社社員・瀬野康太(味方良介)が合流し、感染経路を特定しながら復旧優先度を詰める。

攻撃はネットワーク横断型で、医療機器・ビル設備・電子カルテが同時に人質に取られている構図。DICT到着を予見したかのように、犯人側は「一カ所だけ復旧させてやる」と二者択一を強要してくる。

“エレベーターの点滴”か“オペ室の電源”か──価値判断を揺さぶる罠

閉じ込められた真由の点滴は残り1時間ほどで切れる。一方、幹事長夫人の心臓手術再開も時間との闘い。

犯人は国家の要人か一人の少女かという最悪の選択ゲームをDICTに突きつける。桐谷杏子(板谷由夏)率いる官邸サイドは「両方救え」と指示するが、佐生はオペ室復旧を最優先するよう清水に命じ、現場の掛川が強く反発。

国益のために誰かを切り捨てた過去を持つ掛川にとって、命に序列をつける決定は受け入れ難い。DICT内部に倫理の亀裂が走る。

暗号化の鎖を断つ──“一斉復旧”への逆転設計

清水と瀬野はランサムウェアの復号鍵を偽装した偽鍵に気づき、犯人のリモート制御の心臓部を逆探知

病院サーバのシャドーコピーと閉域網に残されたレガシー端末の非依存ログを“橋”に、遮断→迂回→一斉復旧のルートを設計する。犯人の二者択一に乗らず、エレベーター系統とオペ室系統の同時復旧を狙う作戦だ。

現場の田辺と掛川は手動で昇降機のブレーキ解放と非常電源の切替を担当し、奈美は閉所の少女に寄り添い不安定化す

る容体を必死に保つ。サイバーと人力のツイン・レスキューが動き出す。

救出──そして“誰が得をするのか”という政治

復旧は間に合い、エレベーターは再稼働、オペ室も電源復旧。

患者の命は両方とも救われ、実行役も逮捕される。しかしこの成果はすぐに政治文脈に取り込まれる。中野幹事長は佐生の采配を高く評価し、「君は陰ではなく表で力を振るうべき人材だ」と持ち上げる。

DICTの現場は胸を撫で下ろす一方で、奈美は佐生への不信を深めていく。案件「H-WKN159」は命の選別という倫理の装置を仕掛け、官邸中枢の力学へと波紋を広げた。

つながる伏線──「次は総理の娘」が動く

事件後、桐谷総理のスマホに“娘カナを預かった”という直接のコンタクトが入る。

第1話から断片的に描かれてきた本筋がついに表へ。未来断章(2026年)で示されていた奈美の潜入と現在の時間軸がどこで合流するのか──物語は国家レベルの人質劇へ向けて一気に加速していく。

絶対零度(シーズン5)7話の感想&考察

絶対零度(シーズン5)7話の感想&考察

第7話のキーワードは「価値の序列にNOを突きつける」だ。

テロリストが仕掛けた二者択一は、単にDICTの技術力を試すパズルではなく、「誰の命を先に救うのか」という倫理の踏み絵であり、ここにDICTの組織観、政治の論理、個々の記憶が露出する。三層に分けて深掘りする。

① “命の選別”は誰の物語だったのか──佐生と掛川の対称性

病院シーンの緊張が強度を持てたのは、佐生(政治の論理)と掛川(個人の倫理)の対峙が正面衝突になったからだ。

佐生は国益の最大化のために序列化を受け入れ、掛川は過去の自責から再び序列を設けることを拒む。この対称性は、DICTという目的合理の組織における「正しさの選び方」のズレを可視化した。

作中の結果としては両命の救出と逮捕、政治的恩恵は佐生へという配分に落ち着くが、現場の信頼は佐生から離反。成果の帰属と信頼の帰属がズレる構図こそ、本章が突きつけた現代的な問いである。

② “二者択一”を無効化する作劇──技術×人力のツイン・レスキュー

犯人の挑発はドラマ装置としても鮮やかだった。リモート(清水・瀬野)と現場(田辺・掛川・奈美)の線を並走させることで、サイバーものの抽象度と医療現場の身体性が噛み合う。

特筆すべきは、「どちらか一方しか救えない」という命題を、技術的工夫(同時復旧の設計)で乗り越える構図にある。

これにより単純な悲劇の選択に流れず、「人間の知恵がゲームのルールを書き換える」快感が生まれた。犯人の設計を上書きするこの快感は、シリーズの情報犯罪編にふさわしい。

③ それでも政治は“成果の物語”を奪う──中野幹事長の掌

救われた命の上に、中野幹事長が佐生を“表の人材”として取り込む誘いを置く終盤はヒヤリとする。

功績の回収、人材の囲い込み、次章(総理の娘誘拐)への布石。政治は成果の物語を誰に帰属させるかで世界を作る。

「DICTの功績」から「佐生の功績」へ語りが書き換わるとき、奈美の視線は“情報犯罪”の外側にある“情報政治”へ向く。この視線移動が、第8話以降の主戦場(官邸の人質劇)を準備している。

④ 奈美という主人公像の更新──“生活安全課”の倫理学

奈美の強さは、生活安全課仕込みの“人に寄り添う”捜査エンジンにある。

閉所に取り残された少女のそばで「恐怖の時間」を支えることは、情報犯罪の現場で忘れられがちな“時間の体温”を回復させる行為だ。

DICTのスペシャリスト集団において、奈美は最年長の場持ちとして、技術では埋められない穴(不安、迷い)を埋める。第7話は、その価値が政治の論理と衝突しても損なわれないことを示した。これが“DICTの良心”としての奈美像である。

⑤ シリーズ文法の跳ね方──“国家”と“個人”の距離感

『絶対零度』の楽しさは、個別事件の緊迫を消費せずに背後の大きい物語へ加速させる構成にある。第7話は単話の救出劇をやり切った上で、「H-WKN159」という長い糸をさらに手繰り寄せた。

総理の娘の誘拐という次章のカードは、国家権力の弱点(家族)を通じ、テロの設計が「国家の語りを乗っ取る」ことを示唆する。“誰が物語を語るか”という情報戦が、いよいよ事件そのものの目的になるはずだ。

⑥ 俳優仕事について一言──“悪役性”の置き方

レビューでも触れられていたが、安田顕の“悪役”芝居が光る

露悪ではなくロジックをまとった冷酷で、「正しいことを言う悪」の怖さを具現化。金田哲の掛川は過去の重みで相殺する“感情の楔”を担い、黒島結菜の清水は論理を実装して逆転する。味方良介の瀬野は事件の鍵穴として機能し、白山乃愛は危機の時間を体験させる視点になった。群像のバランスが技術、人間、政治の三層を見せるキャスティングだ。

⑦ ここからの“チェックポイント”

佐生の行き先:中野の誘いに乗るのか、官邸の別動へ回るのか。DICTの外に指揮権を持ち出す動きがあるなら、組織は再び“身体”を失う。

奈美の未来断章:第1話の未来シーン(2026年)との合流点。潜入先はH-WKN159の中枢か。

「誰が語り部か」:成果の語りを官邸、幹事長、メディアの誰が奪うのか。第7話の“語りの帰属”は今後の縮図となる。

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