第5話は、「離婚しない男」という物語が、はっきりと別の顔を見せ始める回です。
これまで描かれてきたのは、不倫と親権をめぐる夫婦の戦い。けれどこの回では、その裏側にあった“感情の矢印”が、静かに方向を変えていきます。
渉は、これまで避けてきた相手と正面から向き合うことになり、
一方で「なぜ、ここまで事態がこじれているのか」という違和感が、少しずつ輪郭を持ち始めます。
第5話は、派手な出来事以上に、「この不倫は本当に偶然なのか?」という疑問が浮かび上がる回でもあります。
この記事では、ドラマ「離婚しない男」第5話のあらすじとネタバレを通して、物語が“夫婦の修羅場”から“個人の復讐”へとスライドしていく転換点を整理していきます。
ここから先、渉の戦いは、ただ正しくあろうとするだけでは済まされなくなっていきます。
ドラマ「離婚しない男」5話のあらすじ&ネタバレ

第5話は、これまで「不倫の証拠集め」と「親権のための下準備」に集中していた渉が、ついに“間男”マサトと真正面から向き合わされる回です。
しかも、物語の焦点が「夫婦の不倫」から「マサトが渉に執着する理由」へと一段ギアが上がっていきます。ここから先はネタバレ込みで、起きた出来事を時系列で追いながら、胸がざわついたポイントも一緒に整理していきます。
渉、ついに“間男”マサトと対峙…散歩という名の公開処刑
渉は自宅マンションの前で突然、妻・綾香の不倫相手である司馬マサトに声をかけられます。逃げたいのに逃げられない、あの独特の空気。しかもマサトは「話がある」と言いながら、渉の急所だけを正確に突いてくるタイプで、会話の温度が最初から冷たい。
マサトの提案で、二人は公園を散歩する流れになります。
渉としては「証拠集めのために今は耐える」と決めているから、ここで感情的に爆発できない。ただ耐えるしかない。その“耐えている姿”を見て、マサトがどこか嬉しそうにしているのが、いちばんしんどい。
公園という開けた場所で、笑っている人、犬を散歩させている人、普通の家族が視界に入ってくる中で、渉だけが地獄にいるように感じられる。
しかも相手は、妻の体を奪っている男。
第5話の序盤から、「渉の心が削られていく音」が聞こえてくるような時間でした。
心寧の専属契約と“1年間のアメリカ留学”――夫だけが知らない未来
散歩の最中、マサトは渉に「心寧が芸能事務所と専属契約を結んだ」こと、さらに「綾香と心寧に1年間のアメリカ留学を勧めている」ことを、何気ない口調で告げます。渉が何も聞いていなかった、という事実が重要で、ここで“夫としての蚊帳の外感”が決定的になります。
これは単なる情報共有ではなく、明らかにマサトの意図が透けて見える場面です。
「娘の未来の話まで、夫である自分ではなく、不倫相手が握っている」
この事実だけで、渉の尊厳はズタズタになります。
しかもマサトはそこで終わらず、綾香が渉に抱いている不満を、まるで代弁者のように並べ立て、渉の心をわざわざ傷つけていく。渉が反撃しない、できないことを分かった上で、じわじわ追い詰めるやり方が本当に悪質で、見ていて胃がきりきりしました。
それでも渉は、親権を取るために“今は離婚できない”。感情より戦略。ここがサレ夫ドラマのつらいところで、正しい選択をしているはずなのに、心はどんどん折れていきます。
マサトが渉を苦しめる“理由”が判明…高校時代の因縁が重すぎる
第5話の大きな転換点が、財田トキ子と三砂裕の調査によって、「マサトの正体」と「渉に近づいた理由」が明らかになることです。
判明するのは、マサトと渉が高校時代の同級生だったという事実。
さらに当時、渉は優等生だったマサトに勉強を教わり、成績を伸ばして希望の進路へ進んでいく。一方でマサトは家庭が壊れ、両親の離婚をきっかけに母親が自殺。大学進学も諦めざるを得なくなっていました。
この“人生の落差”が、渉への執着と憎しみにつながっていった、という構図が見えてきます。
さらに怖いのが、マサトが名前だけでなく“顔まで変えて”、別人として渉の前に現れていたこと。渉が気づけなかったのも無理はなく、その周到さが逆にぞっとします。
ここで物語は、「不倫の修羅場」から「復讐のシナリオ」へと明確に切り替わります。
綾香との不倫は目的ではなく、手段。渉を“離婚”という形で壊すために、綾香も心寧も使われている。その構図が見えた瞬間、空気が一気に冷たくなりました。
綾香への“お仕置き”がエスカレート…笑えないのに目が離せない
同じ頃、マサトの綾香への要求は、さらに過激になっていきます。
綾香が“ただの浮気相手”ではなく、コントロールされる存在へと変わっていく危うさが、はっきり描かれた回でした。
特に話題になったのが、マサトが綾香の下着を“お仕置き”として奪い、そのままノーパンで帰宅させる展開。しかも、家に戻った綾香を待っていたのは、ドアノブに掛けられた下着。
タイトルの皮肉が効きすぎていて、笑えるようで、まったく笑えないラインを突いてきます。
綾香は視聴者目線では「悪嫁」として登場していますが、こうした“支配される側”の描写が重なると、単純に嫌い切れなくなってくる。
自業自得と言い切れない、でも同情だけにもならない。その揺れが、見ていて本当につらい。
マサトの“裏の顔”も露呈…千里との関係が主従逆転すぎる
さらに、マサトが綾香の前で見せるドSな顔とは別に、部下の森野千里の前では立場が逆転する場面も描かれます。
仕事では指示する側なのに、プライベートでは千里に弄ばれるような関係性。
マサトが“支配する人”であると同時に、“支配されたい人”でもあるという歪みが浮き彫りになります。
これは単なる刺激的描写ではなく、マサトという人間の「欲望の底」が見えるからこそ怖い。復讐心だけでなく、コントロール欲、依存、承認欲求が混ざり合い、本人ですら自分を扱いきれていないように見えて、不安になります。
新たな刺客・竹場ナオミ登場…“第二幕”の始まりが不穏すぎる
物語の終盤、渉の前に現れるのが謎の美女・竹場ナオミ。
大胆な服装で挨拶し、「隣に越して来た」と言う存在感の強い女性です。ここで一気に“第二幕”が始まった感覚がありました。
マサトが隣室に関わってきた流れを考えると、ナオミの登場が偶然とは思えません。むしろ「渉を揺さぶるために投入された駒」に見えてしまうのが恐ろしいところです。
渉はすでに精神的に追い詰められているのに、ここへ“色香のトラップ”まで重ねてくる。マサトの手口の容赦なさが、ますます際立ちました。
第5話は、渉が“夫としての尊厳”を削られ、マサトの“復讐の動機”が明かされ、さらにナオミという爆弾まで放り込まれて終わる、まさに中盤の山場回でした。
ドラマ「離婚しない男」5話の感想&考察

第5話を見終わったあと、まず残った感情は「しんどい」でした。
ドロドロの不倫劇は本来、怒りが先に来るはずなのに、この回は怒りより先に、胸の奥が冷えていく感じがする。渉が耐えているからこそ、視聴者も一緒に息を止めて見てしまう回だったと思います。
マサトの過去が重すぎて、憎みきれない…でも許せない
マサトの動機が「渉への復讐」だと分かったことで、物語としての納得感は一気に高まりました。単なる“変態間男”ではなく、「人生が壊れた側の人間」が抱える闇が、根っこにある。
高校時代、渉の未来を開く手助けをしていたにもかかわらず、自分は家庭崩壊で進路を断たれ、母親まで失う。その落差は、想像するだけで胸が痛みます。
それでも、だからといって渉の家族を壊していい理由にはならない。
「辛かったのは分かる。でも、だからって他人を地獄に巻き込むな」
ここが視聴者の感情が揺れるポイントで、このドラマのブラックコメディとしての黒さが際立つ部分だと感じました。
しかもマサトは、顔も名前も変えて、長い時間をかけて渉に近づいている。復讐は勢いでやるものではなく、“準備してやる”ものほど怖い。だからこそ、過去が可哀想でも、やはりぞっとします。
渉の「怒らない強さ」が切ない…優しい人ほど壊れやすい
第5話の渉は、本当に“戦って”いました。殴り返す戦いではなく、耐える戦い。
マサトに挑発されても、綾香に裏切られても、娘の未来の話を勝手に進められても、そこで怒鳴らない。怒鳴れない。親権のために「正しい行動」を選び続ける。
けれど、理性的であればあるほど、心が置き去りになっていく。「大丈夫じゃないのに、大丈夫なフリをしている人」の危うさが、渉を通して痛いほど伝わってきます。
綾香って“悪嫁”で片付けていいの?支配される側の顔が見えた
綾香は確かに、夫を裏切り、不倫をしている。そこは否定できません。
ただ、第5話では、綾香がマサトに“扱われている”描写が強まり、単純な悪役ではなくなってきました。
下着の件は象徴的で、あれは性的な辱めであり、支配の確認であり、恐怖の植え付けでもあります。「自分で選んで不倫している女性」から、「気づいたら支配の沼に沈んでいる女性」へと、見え方が変わっていく。
それでも、渉や心寧を傷つけているのも事実。
可哀想だから無罪、とはならない。この割り切れなさこそが、見ていて消耗するのに、やめられない理由だと思います。
千里&ナオミ投入で、戦場が“家庭”から“盤上”へ
マサトの周囲にいる千里の存在も、じわじわ怖さを増しています。マサトを裏で操るような空気があり、主従が逆転しているように見える場面も不気味でした。
マサトは暴君のようでありながら、どこかで“誰かに許可されたい人”にも見える。その歪さが、ますます不安を煽ります。
そしてラストの竹場ナオミ。
彼女の登場で、空気が一気に“罠の匂い”に変わりました。渉の隣に越してくるという距離の近さは、偶然ではないはずです。
考察としては、ナオミは単に渉を落とす存在ではなく、
・綾香に嫉妬を起こさせる
・渉に“不倫という汚点”を作る
・親権争いで渉を不利にする材料を作る
このいずれか、あるいはすべてを狙っている可能性が高そうです。
マサトの復讐は、単に離婚させるだけでなく、「渉が父親として正しくあろうとする努力」そのものを踏みにじる方向へ進んでいる。ここから先、さらにしんどくなるのは間違いありません。
第5話は、物語が“泥沼不倫”から“復讐劇”へと完全に切り替わった回。
渉の心が壊れてほしくないと願いながら、それでも壊れていく過程から目が離せない。
そんな中毒性のある30分でした。
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