第6話で生まれた“母としての迷い”が、そのままサマーキャンプの朝に持ち越されたまま始まる7話。
薫には怪文書の影がつきまとい、茉海恵には上場審査という大きな節目が迫る。
二つの場所で、二人はそれぞれの「戦わなくてはならない持ち場」に立たされます。母親という役割の重さと、自分らしく生きたい気持ち。その両方が揺れる一日を、そっと見つめるような始まりでした。
フェイクマミー7話のあらすじ&ネタバレ

7話は、「母親であること」と「女として生きること」が一気に噴き出した回でした。
怪文書がばらまかれたサマーキャンプと、上場審査というビジネスの戦場。二つのフィールドで、薫と茉海恵がそれぞれ“自分の持ち場”で戦う一日が描かれます。
その裏で、本橋慎吾の執着は静かに形を変え、ラストには「99.9%」という数字が、世界の色をひっくり返してしまいました。
怪文書とサマーキャンプ、不穏な幕開け
柳和学園の一年生のもとに届いた一枚の紙。
「1年1組には偽りの母親がいる」
たったそれだけの文章なのに、柳和会のママたちには一気に疑心暗鬼が広がります。“ニセママ”である薫はもちろん、視聴者としても「ついにバレた?」と心臓がざわつく始まりでした。
そんな中でも、学校と柳和会は一年生の恒例行事「柳和サマーキャンプ」の準備を進めていきます。
テント、食材、ウォークラリーにキャンプファイヤー。
薫は食材担当として奔走する一方で、ここ数話で態度が硬くなったさゆりの様子が気になって仕方ありません。
にこやかに話していた頃とは違い、今のさゆりはどこか冷たく、距離を置いている。怪文書の“偽りの母親”という言葉が、薫自身だけでなく教室全体の空気をじわじわ締めつけていきます。
一方の茉海恵サイドでは、RAINBOWLABの上場審査が目前に迫っていました。
審査担当は“鬼”と恐れられる栗田。
社員たちは総出で想定問答をブラッシュアップし、会議室には緊張と期待が入り混じった空気が流れます。
仕事と育児、学校と会社。
母親たちの戦場が、それぞれ違う場所で静かにスタンバイしていました。
ウォークラリー失踪事件、薫が見せた“母性の段取り力”
いよいよサマーキャンプ当日。
玲香は娘の璃子に、「ここでの行動がジーニアス留学制度の選考にも影響する」とプレッシャーをかけます。
教育系インフルエンサーとしてのプライドと、政治家の妻としての立場。全部を背負っている彼女の言葉はどこか鋭く、聞いているこちらの胸も苦しくなりました。
キャンプの目玉は、親子でチェックポイントを回るウォークラリー。他のチームが続々とゴールしていく中、ふとした瞬間に“ある児童”がいなくなります。
いなくなったのは、玲香の娘・璃子。
突然の失踪に、その場は一気に緊迫ムード。
「誰かが連れ去ったのでは」「怪文書のせいでは」と、不安と疑念が母親たちの間を駆け巡ります。
ここで前に出るのが薫。
子どもの足で移動できる距離と時間を冷静に計算し、二次遭難を防ぐためにチームを組んで捜索範囲を絞る。パニック状態の玲香には寄り添いながら、「一緒に探しましょう」と具体的な行動を提示していきます。
森の中で見つかったのは、小さなリボン。薫は「璃子ちゃんはお母さんに見つけてもらうのを待っている」と玲香に伝えます。
「ママ怒ってばかりでごめん。塾のことも、一緒に話して決めよう」
玲香が泣きそうな声で呼びかけると、奥から璃子の小さな声が返ってきて、親子はようやく再会。抱き合う二人の後ろで、薫はそっと一歩下がり、安堵の息をつきます。
ここに“誘拐事件”はなかった。あったのは、「わかってほしかった子ども」と「ちゃんと向き合えていなかった母親」。
薫は犯人捜しをするんじゃなくて、迷子になっていた親子をそっと元の場所に戻したのだと感じました。
キャンプファイヤーで母たちがこぼす「諦めてきた夢」
夜、キャンプファイヤーの炎を囲んで、柳和会の母たちは静かに口を開きます。
先に切り出したのは九条玲香。
「学校に届いた怪文書、あれは私のことよ」
家にも同じ文面が届いていたこと。教育系インフルエンサーと持ち上げられながらも、実際には子育てに行き詰まっていること。炎に照らされた横顔で、彼女は自分の“偽り”を認めます。
結婚前は出版社で働いていた玲香。
でも夫が政治家になるとき、「専業主婦じゃないと体裁が悪い」と言われて退職。残ったエネルギーの行き場が“子どもの教育”に注がれていた。
続いて園田美羽は、日舞の舞台に立つ夢を義母に反対されて諦めたことを告白。
白河詩織もまた、「アイドルを卒業したら専業主婦になりたい」という夢を叶えたはずなのに、その自分に息苦しさを覚えていると本音をこぼします。
「結局、何かを諦めないといけないのよね。母親だから」
この一言が、夜の空気をぐっと重くしました。
そこで立ち上がるのが薫です。
「そうなんですよね、母親なんだからって、自分を削るのが当たり前になっていて。でも私、納得できません」
家事も育児もお受験も、全部を一人で抱え込む前提。頼っていいはずなのに、“母親なのに”と罪悪感を抱かされる空気。
「お母さんが全部抱えなくてもいい。頼っても大丈夫だって、後ろめたくならない日が必ず来る。私はそう信じています」
玲香は「やっぱりあなた苦手だわ。すぐ熱くなるし、正論言うし」と笑いながらも、「でも今は嫌いじゃない」と、柔らかい表情を見せます。
怪文書が暴こうとした“偽の母親”は、この夜、姿を変えていきました。誰もがどこか偽っている。
だけど、それを言葉にできた瞬間だけは、ちゃんと「本物の母親」になれている気がしました。
茉海恵は上場審査の最前線へ ササエルの言葉がくれた軸
一方そのころ、RAINBOWLABでは上場審査本番を前に、茉海恵が“決意表明”の文面に頭を抱えていました。
虹汁の何が良くて、何を実現したくて、どんな未来を約束したいのか。思いはあるのに、言葉にならない。
思わず電話した相手は、柳和学園の教師・佐々木智也、通称ササエル。
「虹汁のどういうところが好きですか?」と尋ねる茉海恵に、ササエルは少し照れながら答えます。
「一口飲むと、元気になるんです。前を向ける気がします」
そして「先生と話すと落ち着きます」と、逆に彼女が気持ちを吐露する場面も。ササエルの素朴な言葉が、虹汁の原点を思い出させてくれる。
かつて格安弁当を売っていた頃、疲れている人たちを少しでも元気にしたくて作った一本のジュース。そこにあった“世界をちょっと明るくしたい”という気持ちこそが、決意表明の芯でした。
「世界を少し明るくしたい」虹汁スピーチと上場承認
審査当日。
鬼の栗田を前に、茉海恵と竜馬、大輝たちはスーツで臨みます。想定問答どおりの質問もあれば、予想外の突っ込みもある。
その後、栗田が追加資料を要求して再訪。重い空気が漂う部屋で、茉海恵は「よかったらどうぞ」と虹汁を差し出します。
そしてゆっくりと言葉を紡ぎ始めました。
「私が虹汁を始めたのは、格安弁当を売っていた頃です。
みんな疲れていて、どうやったら元気にできるか考えて辿り着いたのがこの一本でした。
世界を少しでも明るく変えていきたい。
それが私の夢です。
私は仲間に支えられて、ここまで来ました。
仲間の存在が、何より宝物です。
レインボーラボを、信頼される会社に育てていくことを約束します」
飾り気はなく、ただまっすぐな宣言。
ほどなくして上場承認の知らせが届き、社内には拍手が広がります。茉海恵と竜馬のハイタッチ。頑張ってきた仲間たちと迎える“一区切り”の瞬間でした。
その夜、茉海恵の家では、竜馬、薫、いろは、町田を交えた小さなパーティーが開かれます。きちんとした家族ではないけれど、どこか“ホーム”と呼びたくなる空気。
竜馬は薫に、母・聖子とのことをそっと尋ね、「嘘から出たまことって言葉もありますよ」と不器用に励まします。
フェイクな関係から始まったはずなのに、いつの間にか“本音を言える家族”になっている。仕事・家庭・恋が同じテーブルに並ぶ感じが、フェイクマミーらしい余韻を残しました。
本橋慎吾の“お土産” 写真で揺さぶられるササエル
夏休みの静かな学校に現れる本橋慎吾。
「息子のことで相談がある」と言いながら呼び出した佐々木先生の前に、彼が無言で並べたのは、茉海恵とササエルの写真。
買い物帰りに楽しそうに歩く姿、同じ建物に入っていく後ろ姿。そのどれもが「あなたは教師でしょう?」と暗に責め立てる材料でした。
「教師を続けたければ、行動に気を付けてください」
静かな声で、じわじわと首を締めるように告げる慎吾。
さらに、ササエルが聞きたかった問い「茉海恵さんとどういう関係なんですか?」に対し、「元恋人同士ですよ」と平然と言い放つ。
ここで慎吾は、“いろはの父親”であり、“茉海恵の元恋人”であり、“レインボーラボの脅威”という三つの顔を手に入れて物語の中心に戻りました。
さゆりの怒り「みんなして私を侮辱しないで」
夜の帰り道、薫の前に立ちはだかったのは本橋さゆり。
「花村薫さん」
震える声で、しかし正確な言葉で、彼女は薫の“本名”と“経歴”を突きつけます。
「東大に日高茉海恵という卒業生はいなかった。いたのは、花村薫」
「結婚も出産もしていない。いろはちゃんのお母さんは別にいる」
薫が「だますつもりはなかった」と答えると、さゆりは涙を浮かべて叫びます。
「友達だと思ってた。信じてたのに。みんなして、私のこと侮辱しないで。嘘つき」
この瞬間、怪文書で浮いていた“偽りの母親”という言葉が、具体的で痛みを伴う現実になりました。
慎吾からの薔薇とDNA鑑定書「99.9%」のラスト
ラスト。
茉海恵の家に届いた薔薇の花束。添えられたカードの「おめでとう 慎吾」。そして封筒の中のDNA鑑定書。
「親子関係 99.9%」
上場承認を掴んだその日に、茉海恵の世界をひっくり返す“事実”が届く。
同じ頃、薫はさゆりに「嘘つき」と突きつけられ、立ち尽くしている。
7話は、
- 学校で怪文書とキャンプが揺らし
- 会社では上場審査と慎吾の影が忍び寄り
- ラストで「告発」と「DNA鑑定」という二つの爆弾が炸裂する
静かな炎が一気に燃え広がるような構成でした。
私は最後の「99.9%」を見た瞬間、本当に息を呑みました。
音もセリフもなく、紙のアップだけで“世界が反転する感覚”を見せてくる演出が強烈でした。
フェイクマミー7話の感想&考察。

7話を見終わったあと、私はしばらく「母親だから」という言葉を頭の中で転がしていました。
母親だから、諦める。
母親だから、我慢する。
母親だから、全部抱える。
このドラマはそこに対して、「本当にそう?」と静かに、でも確実に揺さぶりをかけてきた気がします。
ここからは、印象に残ったポイントをいくつか。
「偽りの母親がいる」という一文の怖さ
怪文書に書かれていた「1年1組には偽りの母親がいる」
たったこれだけなのに、あれほど空気が変わるのが怖かったです。
誰のことか分からない。
でも、自分もどこかで「ちゃんとした母親じゃないかもしれない」と思い当たるフシがある。
キャンプファイヤーで、玲香も園田も白河も、それぞれ“諦めてきた夢”を語りました。あのとき、怪文書の矛先はもはや薫ひとりではなく、あの場にいるすべての母親たちに向いていたんだと思います。
“フェイクマミー”って、薫だけのことじゃない。
「完璧な母親」を演じようとするすべての人が、どこか少しずつ「偽り」を抱えて生きている。
そう考えると、怪文書はただの嫌がらせだけど、同時に「母親という役割を詰め込みすぎていない?」という社会への投げかけにも見えてきました。
キャンプファイヤーの告白が胸に刺さった理由
正直、キャンプの場面は「PTAこわい…」で終わる回かと思っていました。
でも、炎を囲んで一人ずつ本音をこぼし始めたとき、それぞれの言葉が驚くほどリアルで、胸がじわっと熱くなりました。
・キャリアを捨てて専業主婦になったけど、自分を見失いそうな玲香
・舞台に立つ夢を義母に止められた園田
・専業主婦になるのが夢だったのに、それが叶っても苦しくなる白河
「母親だから」諦めたことは違っても、「私はどこへ行ったんだろう」という喪失感は、きっとどこか似ている。
そこに、薫が放った一言一言が、ちゃんと“現代の働くママ”の孤独とリンクしていて。
「家事も育児も周りに頼ってシェアしていい」
「お母さんが全部抱えなくてもいい」
きれいごとじゃなくて、「そうしたくてもできない現実」を分かったうえで、それでも希望を口にしてくれている感じがしました。
他のレビューでもこの回が「育児問題に一石を投じた回」と語られ、単なる“ママ友バトル”ではなく、構造まで視野に入れようとする姿勢がはっきりと感じられる回でした。
薫のスピーチは、“フェイク”じゃないから刺さる
薫は、自分自身は母親ではないし、いろはの本当の母でもない。
だからこそ、“外側から”冷静に見えていることがある。
「母親だからって、自分を削るのが当たり前になっている」
この言葉を当事者ではない彼女が言うからこそ、“そう見えてるんだ”という客観が生まれる。
同時に、彼女自身も
・東大卒キャリアウーマンという“理想の娘像”
・ニセママとしての“理想の母親役”
この二つの“期待される私”に挟まれて苦しんできた。
だから、あのスピーチは「母親たちへのエール」であると同時に、「自分自身への宣言」にも聞こえました。
「全部抱えなくてもいい」
それは、母・聖子にも、茉海恵にも、さゆりにも、そして“フェイク”を演じ続けている自分自身にも向けた言葉。
私はこのシーンを見て、
「誰かの期待通りに生きようとする気持ちを、少し緩めてもいいのかもしれない」と感じました。
仕事と育児、二つの戦場で戦うふたり
7話の構図がすごく好きだったのは、
・学校でのサマーキャンプ
・会社での上場審査
この二つが並行して進んでいたところです。
薫は、迷子の璃子と母親の心をつなぎ直す。茉海恵は、仲間とともに会社の未来をつかみにいく。
どちらも「誰かの人生を背負う場」で、どちらも「失敗したら取り返しがつかないかもしれない場」。
でも二人とも“完璧なヒーロー”には描かれていません。
薫はさゆりには真実を言えず、茉海恵はササエルに電話をかけてもつながらない。
勝ち取るものもあれば、こぼれ落ちるものもある。
「すべてがうまくいく女」ではなく、「何かを得るたびに何かを失うかもしれない女」として描かれていることが、このドラマのリアルさだと感じました。
本橋慎吾が「マジで怖い」と言われる理由
SNSの感想では、7話放送直後に
「慎吾、普通にホラー」
「きもいのに目が離せない」
という声が多くありました。
私も同じで、あの“笑顔で締め上げる感じ”が本当に怖かった。
・教師の立場を使ってササエルを脅す
・茉海恵との過去を第三者に突きつける
・娘のいろはを“才能”として扱うような雰囲気
すべてが、“支配欲”と“自己愛”でできている人間の怖さ。
そして何より恐ろしいのは、「父であること」も「元恋人であること」も、“自分の所有欲を満たすための武器”として使っているように見えるところ。
ラストのDNA鑑定書も、ただ親子関係を確認したいだけなら不要なはず。
あのタイミングで「おめでとう」の花束と一緒に送りつけるのは、“君の成功も、君の娘も、全部俺のものだ”と言っているのと同じ。
だから視聴者が「狂ってる」と感じるのは、単に悪事を働いているからではなく、“人を人として扱っていない兆候”を敏感に感じ取っているからだと思いました。
さゆりの怒りは、ただのヒステリーじゃない
一方で、さゆりの「みんなして私を侮辱しないで」という叫びも強く印象に残りました。
正直、これまでのさゆりは「良妻」「お受験ママ」というラベルで見られがちでした。
でも7話の彼女は、
・夫に本音を出せない
・不安と違和感が積もる
・その行き場が“調べること”と“友達への疑い”になる
という、とてもリアルな暴走をしていた。
薫と茉海恵に怒りを向けているけれど、本当に向き合うべきなのは「自分を大切にしない夫」への感情。
でもそこに向かえないから、“安全に怒りを向けられる相手”へ飛んでしまう。
私は、さゆりを“嫌な人”と思えませんでした。むしろ「ここからどうやって尊厳を取り戻すのか」を見守りたくなる存在。
嘘から出たまこと フェイクマミーはどこまで“本物”になった?
竜馬が言った「嘘から出たまこと」という言葉。
最初は、いろは合格のためだけの違法スレスレの契約。でも今は、
・いろはの進路を本気で案じ
・茉海恵の働き方にも口を出し
・柳和学園の価値観にも切り込んでいく
薫はもう、“ただの仕事”の人物ではありません。
7話まで来ると、
“フェイクマミー”という言葉の意味が変わってきた気がします。
嘘から始まった関係が、嘘を続けるためではなく、“本物に近づきたい気持ち”で動いてしまっている。
だから、さゆりに「嘘つき」と言われた時の薫の表情は、“バレた恐怖”より“信じてくれていた人を傷つけてしまった痛み”に見えました。
フェイクと本物の狭間で揺れる彼女の姿こそ、ドラマの核心。
8話以降への不安と期待
7話のラストで開いた二つの“傷”。
・DNA鑑定書で慎吾といろはの親子関係が示されたこと
・さゆりが薫の正体に気づき「嘘つき」と叫んだこと
これによって、
・いろはの「父」と「母」は誰なのか
・薫はフェイクではなく“人として”何を選ぶのか
・さゆりは夫とどう向き合うのか
すべてが、もう誤魔化せない段階に入りました。
この回を観て強く感じたのは、
このドラマが描くテーマは「母親の形」だけじゃないということ。
・パートナーとの距離感
・仕事との向き合い方
・“本当の自分”をどう取り戻すか
7話は、その全部に
「このままでいいの?」
と問いを突きつけてくる回でした。
次の8話で、誰の手が誰の手を握るのか。
薫がどんな言葉で“嘘”と“本音”を語るのか。
不安で、怖くて、それでも目をそらしたくない。そんな気持ちのまま、また金曜10時を待ちたくなる一話でした。
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