第5話で“家族のかたち”が少しずつ輪郭を帯びた三人。

その余韻を抱えたまま迎える第6話は、玄一の胸に眠っていた初恋の記憶が静かに動き出し、ほたるが抱える痛みも深く揺れる回でした。
過去と向き合う勇気と、誰かを想う優しさ。そして家族になろうとする気配がそっと重なり合う——そんなやわらかな気配に満ちた物語です。
ぼくたちん家6話のあらすじ&ネタバレ

玄一(左)は初恋の人・鯉登とついに再会し、過去の過ちを謝ろうと決意する。同じころ、索(右)との同居生活も思わぬ形で始まっていた第6話。
初恋の後悔と「こいのぼりくん」の正体
第6話では、50歳の心優しいゲイの飼育員・玄一(及川光博)が、“初恋の人”にまつわる長年の後悔に向き合う物語が描かれます。
ひょんなことから同じアパートの中学教師・索(手越祐也)と同居生活を始めることになった玄一ですが、穏やかで幸せな時間の中でも心のどこかに初恋相手・鯉登(大谷亮平)の記憶がよみがえります。
中学生の頃、玄一は大好きだった同級生の鯉登に想いを知られるのが怖くて、周囲の前で咄嗟に「気持ち悪い」と言い放ち鯉登を突き飛ばしてしまった過去がありました。自分の弱さから本心とは裏腹のひどい言葉で傷つけてしまったことを、玄一はずっと後悔していたのです。
そんな中、玄一と「親子のフリ」をして暮らしている中学3年生の少女・ほたる(白鳥玉季)の話から、思わぬ可能性が浮上します。
ほたるが通う新宿・東横エリアで青少年を支援する活動家「こいのぼりくん」という人物がいるのですが、玄一は彼の正体がもしかすると鯉登本人ではないかと疑い始めるのです。ほたるが大事に持っていたNPO法人のパンフレットを何気なく眺めていた玄一は、職員紹介のページに鯉登の写真を発見し仰天します。
やはり「こいのぼりくん」は鯉登だった!かつて傷つけてしまった初恋相手がこんな近くで活動していたことに運命を感じた玄一は、「……やっぱり、会いに行ってみようかな」と心を決めかけます。
運命の再会と明かされる“あの頃”の真実
しかし玄一の胸には迷いも生じます。「謝りたいけれど、向こうはもう二度と会いたくないかもしれない…」。
躊躇う玄一に、隣で同居している索が「そんなの分からないじゃないですか」と優しく背中を押しました。索に勇気づけられた玄一はついに決心し、ほたるにも協力してもらって新宿・歌舞伎町へ鯉登に会いに行くことにします。
夜の歌舞伎町、ネオン街の一角で玄一は中学以来となる運命の再会を果たしました。ボランティア活動の現場で再会した玄一と鯉登は、お互いに驚きつつも静かに言葉を交わします。震える声で玄一が当時の非礼を詫びると、鯉登は優しい笑顔を浮かべ、「あの頃のこと、実はずっと——」と口を開きました。
そこで明かされたのは思いもよらない真実。それは鯉登もまたあの頃、玄一に伝えられなかった特別な想いを抱えていたという事実だったのです…。
まさかの告白に玄一は息を呑み、索の胸にも複雑な感情が揺れます。初恋の痛みと再会の喜びが入り混じる切ないシーンでした。
ほたるの母・ともえの“逃亡”と揺れる母娘
一方その頃、ほたるの実の母・ともえ(麻生久美子)にもドラマが動いていました。
3000万円を横領し逃亡中のともえは、目的を果たすため一時的に東京に戻ってきていたのです。
しかし新宿の雑踏で偶然にも元夫・仁(光石研)と鉢合わせしてしまい、事態は一変します。ほたるの父親である仁は、金を奪い返そうと必死でともえを追いかけ始めました。夜の新宿で繰り広げられる逃走劇。ヒールを履いたともえは息を切らしながら人混みを駆け抜け、なんとか元夫の執拗な追跡を振り切ります。
辛くも逃げ延びたともえの胸中には、「どうしても今やり遂げなきゃいけないことがある」という強い想いが渦巻いていました。実は彼女、逃亡の最中にたまたま手に入れたご当地キーホルダーをきっかけに、自分の「夢」を思い出していたのです。
それは「全国47都道府県のキーホルダーを集める」という、一見ささやかで奇抜な夢。しかし長らく夢も希望も見失っていたともえにとっては、人生をかけて取り戻した大切な目標でした。
「この夢だけは今叶えなきゃいけない」と固く決意した彼女は、「ほたるに会いたい気持ちはあるけれど、全部集め終わるまで帰れない…」と心を鬼にして娘と距離を置き続けていたのです。
階段崩落のトラブルで、玄一(左)は索(右)の部屋に転がり込み、奇妙な同居生活が始まる。一方、ほたるの部屋には母・ともえが突然現れ…。
母娘の衝突と“夢”が照らす本音
ところが第6話中盤、そんなともえが突然アパートに姿を現します。
ある晩、ほたるの部屋にひょっこり戻ってきたともえを見て、ほたるは驚きと怒りから思わず手元にあったキーホルダーを母に向かって投げつけました。玄一と索も駆けつけ、久々に顔を合わせた母娘と大人たちで居間に車座になります。
玄一と索は「娘をひとり置いて勝手すぎるんじゃないか」とともえに詰め寄り、母親としての無責任さを静かに指摘しました。しかし、ほたるは思わず「お母さんのこと悪く言わないで!」と声を震わせ、二人の非難を止めてしまいます。
本当は寂しくてたまらなかったに違いないのに、ほたるは母をかばい、「お願い、ここにいてよ…」と絞り出すように訴えるのでした。
娘の健気な懇願に、ともえの瞳も揺れます。意を決した彼女はポツリポツリと胸の内を語り始めました。「ずっと私、夢がなかった。でも逃げてる途中で思い出したことがあって…」。そしてバッグからたくさんのキーホルダーを取り出し、「47個集めるっていう夢。そんなこと…ですよね。
でも思い出したとき嬉しかったの。あ、夢あったって」と寂しげに微笑みます。玄一たちは言葉を失いました。ともえは「ほたるには本当に申し訳ないと思ってる。
でも先がどうなるか分からないから、叶えるには今しかないって思ってる。だから…全部集め終わるまで帰れない」と静かに宣言します。親としての責任より自分の夢を選ぶ——あまりにも勝手な話かもしれません。しかしともえにとって初めて見つけた“生きる目標”は、それほどまでに切実なものだったのです。
揺れる少女の心と玄一の温かな“父性”
それでも別れの時は容赦なく訪れます。再び旅立とうとする母に、ほたるは最後の勇気を振り絞って問いかけました。
「お母さんは、私のこと好き?」——中学生とは思えないほど真っ直ぐで痛切なその質問に、ともえはハッとして足を止めます。
少し間を置いて振り返った彼女は、「ちゃんと、何歳のほたるも、ずっと大好きだよ」と優しく言い切りました。ほたるの目からぽろぽろと涙がこぼれます。思わず抱きしめたい気持ちを抑えるかのように、母娘はわずかな距離を保ったまま見つめ合いました。
ともえは震える声で「ごめんね」と告げると、涙を隠すように走り去って行きます。残されたほたるは、「行かないで…」という言葉を飲み込み、ただ静かに母の後ろ姿を見送るしかありませんでした。その背中は夜の闇にすうっと消えて、ほたるの差し出した手には空っぽの寂しさだけが残されます…。
母が去った後、ほたるは堪えていた感情を一気に噴き出させました。玄一にすがるように「お母さんのこと、嫌いになった方がいいんですかね…?私、もう全部わかんない」と泣き崩れるのです。
少女の張り詰めた心が壊れてしまいそうな瞬間でした。玄一はそんなほたるを優しく抱きしめ、「今わからなくてもいいよ。好きとか嫌いとかも、決めなくていいと思う。焦らなくていいよ」と静かに語りかけます。50年の人生を生きてきた玄一だからこそ紡げる重みのある言葉でした。
さらに玄一は泣きじゃくるほたるに、自分の老眼鏡をそっと手渡します。「強く目を擦ると痛いからね。これかけて」と微笑むと、老眼鏡とほたるの目の間にティッシュを一枚挟みました。「これで涙全部吸収できる。そういう技も習得できるから、歳とると」と冗談めかして玄一が言うと、ほたるは思わず「ふふっ…」と笑顔を取り戻します。
玄一は優しく頷きながら「だから、大丈夫。50歳もちゃんと楽しいから」と伝えました。彼の温かな父性と包容力に触れ、ほたるは「うん…」と小さく応えます。涙でぐしゃぐしゃの顔に老眼鏡というアンバランスな姿で笑うほたると玄一。擬似親子の二人に生まれた絆は、本物の家族以上に強く温かく感じられるひとときでした。
玄一と索、そして“奇妙な三人家族”の新たな一歩
こうして兄弟愛や家族愛、そして様々な愛情が交錯した第6話もクライマックスへ。夜更け、玄一と索は二人きりの部屋でこれからのことを語り合います。
実はこの日、不動産屋の岡部さん(田中直樹)も巻き込んだアパート階段崩落事件のドタバタ修理劇があり、一時的に玄一は索の部屋に寝泊まりしていました(ほたるは玄一の部屋に居候)。
同じ部屋で寝食を共にする中で、玄一と索の距離もグッと縮まっていたのです。布団を並べて座る二人。索は緊張した面持ちで口を開き、「あの…玄一さん、その…一緒に生活…いえ、生きる活動したいなぁ、と思いまして…」と途切れ途切れに告白を始めました。思わぬ告白に玄一は目を丸くします。
「それはつまり…両想いってことでいいですか?俺のこと好きってことですよね?」と確認すると、索は照れくさそうに「…まぁ」と小さく頷きました。次の瞬間、玄一の顔にぱぁっと幸福な笑みが広がります。
「じゃあ俺たち、両想いなんですね!?」——50歳と38歳の恋が、ようやくお互いの気持ちを確かめ合った瞬間でした。玄一と索はお互いを見つめ合い、何度もうなずき合います。今まで遠慮がちだった二人の間に、優しくて大きな愛情の橋が架かったのでした。
玄一と索が想いを通わせ合い、奇妙な三人家族は新たな一歩を踏み出しました。しかし物語はここで終わりません。窓の外では警察の女性刑事・松(土居志央梨)がアパートをひそかに張り込み、ほたる達の周囲に迫る影が…。
さらに索の元恋人・吉田(井之脇海)の不穏な動きや、鯉登とそのパートナーの不和など、次なる波乱の芽も描かれ始めます。止まっていた時間が再び動き出し、家族と恋人、それぞれの関係が大きく変化しようとする新展開の第6話でした。
ぼくたちん家6話の感想&考察

第6話は、恋人たちの愛と家族の絆 が濃密に描かれ、私はテレビの前で何度も涙腺を刺激されてしまいました。
まず印象的だったのは、玄一とほたるが見せてくれた 疑似親子の絆 です。実の親子ではない二人ですが、もはや血の繋がりなんて関係ないと思えるほど強い信頼と愛情が芽生えていることに胸が熱くなりました。
母・ともえが去った後、心を乱して「嫌いになった方がいいの?」と泣くほたるに対し、玄一が「焦らなくていい」と語りかける場面では、私も思わずもらい泣きです。
50年という歳月を経た玄一だからこそ出せる包容力と優しさが、画面越しにもひしひしと伝わってきました。「今わからなくてもいいよ」という言葉は、悩めるほたるだけでなく私たち視聴者の心にも染み渡りました。
人生に正解を焦って見つけなくてもいい——そんな玄一のメッセージは、忙しない日々を生きる私たちへの励ましにも感じられます。老眼鏡+ティッシュというユニークな方法でほたるの涙を受け止めたシーンにはクスッと笑わされつつ、優しさに溢れた玄一さんの人柄に「こんなお父さんがほしい!」と思った方も多いのではないでしょうか。
母娘の再会が生んだ痛みと希望
母娘の再会シーンも非常に切なく心に残りました。ほたるがぽつりと尋ねた「お母さんは私のこと好き?」という問いかけ…あの瞬間、私は画面に向かって「大好きに決まってるよ!」と叫びたい気持ちになりました。
同時に、ほたるの不安や孤独が痛いほど伝わってきて、胸がギュッとなりました。ともえは「ずっと大好き」と答えてくれましたが、その直後にまた旅立ってしまう展開には、やるせなさと 愛のすれ違い を感じずにはいられません。
お互い大切に想っているのに一緒にいられない——親子なのにまるで片想いのような切なさです。ともえが抱えた夢は確かに勝手で身勝手かもしれません。でも「夢を見つけられた喜び」に涙ぐむ彼女の表情からは、長い間自分を見失っていた女性がようやく生きる希望を掴んだのだと分かりました。
その不器用さが余計に悲しくて、私は複雑な気持ちでともえを見送るほたるの姿を見つめていました。SNS上でも「ほたるちゃん幸せになってほしい」「もらい泣きした」など共感と号泣の声が相次いでいて、同じように心を揺さぶられた視聴者が本当に多かったようです。
ほたるちゃん、本当によく頑張ったね…。どうかこの子に報われる未来が訪れてほしい、と強く願わずにいられません。
玄一と索の「両想い」確定が尊すぎる件
そして何と言っても、玄一と索の関係が両想いになった瞬間には歓喜しました!
第5話までのもどかしいやりとりを経て、ようやく二人がお互いの気持ちを確かめ合えた展開には思わず拍手です。索が緊張しながらも勇気を振り絞って「一緒に生きる活動がしたい」と告白した時、玄一は信じられないといった顔で何度も確認していましたね。
あの玄一さんの 驚きと喜びが入り混じった表情 が本当に可愛くて、「良かったね玄一さん!」と声を上げてしまいました。50歳と38歳という大人同士の純粋すぎる恋模様は、見ているこちらまでなんだか照れてしまうほどピュアで尊いものでした。
ネット上でも「やっと両想い」「なんて尊いの…」「両想いばんざーい!」と喜びのコメントが溢れていて、ファンみんながこのカップルを応援していたことが改めて感じられます。玄一と索が見つめ合って微笑むラストシーン、二人の後ろにキラキラと輝くハートが見えるようでした。ここまで色々な困難やすれ違いを乗り越えてきた二人だけに、なおさら感動が大きかったです。
形づくられていく「ぼくたちん家」という家族
第6話を通じて強く感じたテーマの一つは、「家族の再構築」です。玄一・索・ほたるという血縁も年齢もバラバラな三人が、回を追うごとに本当の家族のようになっていく過程は本当に温かいものですね。
最初は奇妙な契約関係(ほたるが親を“購入”すると言い出したこと)から始まった三人でしたが、今や互いになくてはならない存在になっているのが伝わってきます。
特に今回は、玄一が父として、索が 頼れるお兄ちゃんのような存在 としてほたるを支えていたのが印象的でした。ともえとの対峙シーンで、索がほたるの隣に座り一緒に母親に意見してくれる場面は、先生であり友人であり兄のようでもあって、とても心強かったです。
「兄弟愛」と聞くと血の繋がった兄妹の関係を想像しがちですが、このドラマでは血縁を超えた兄弟愛・家族愛 が描かれているように思います。
玄一と索がほたるに向ける真っ直ぐな思いやりは、本物の兄や父以上に深い絆を感じました。第6話のラストで玄一と索が恋人同士になったことで、この奇妙な“家族”はさらに固い絆で結ばれたことになります。恋人同士であり同志であり、そしてほたるにとっては親代わりでもある——そんな複雑だけれど温かな関係性がとてもユニークで素敵です。
過去を清算し、許しに向かう物語
また、過去の清算と許し というテーマも強く心に残りました。玄一と鯉登のエピソードはまさにそれで、青春時代の苦い記憶を乗り越えて前に進もうとする玄一の姿に胸を打たれました。
自分が原因で傷つけてしまった初恋の人と再会するなんて、現実ではなかなかないドラマチックな展開です。でも玄一は逃げずにちゃんと鯉登に向き合い、謝罪の言葉を伝えました。
その勇気は素晴らしいし、鯉登も真実を明かすことで玄一を許してくれた(あるいは許そうとした)ように見えました。あのシーン、詳細な会話は描かれませんでしたが、二人の表情から和解と友情の芽生えを感じ取れてホッとしました。
長年止まっていた時間が動き出し、玄一の心が救われた瞬間だったと思います。今後、鯉登は玄一たちの「家族」にどんな影響を与えるのかも気になりますね。かつて壊れてしまった 友情(兄弟愛にも似た関係) を再構築できるのか、こちらも注目したいです。
愛が重なり合って生まれた “ぼくたちの家”
第6話全体を振り返ると、タイトルの『ぼくたちん家』が示す通り、「僕たちの家(家庭)」が本当に形作られてきたと感じます。
社会の片隅で寄り添い合った三人が、嘘や契約を超えて 本当の愛と絆 を育んでいる——その過程が丁寧に描かれていて、見終わった後に心が温かくなりました。兄弟愛・家族愛・恋愛と、様々な愛の形が交錯するストーリーですが、不思議とゴチャゴチャせず一つの線で繋がっているのもこのドラマの魅力ですね。
誰かを想う気持ちや優しさが連鎖して、少しずつ皆が前に進んでいく様子は感動的でした。Twitter(X)でも「玄一さんの優しさが染みる」「グッときすぎて号泣」や、「尊すぎて語彙力喪失」「毎週泣かされる」という反響まで見られ、共感の輪が広がっていました。NATSUもまさに同感で、久々にドラマを観て “心が洗われる” という体験をしています。
次回、第7話では更なる波乱が待っていそうです。予告では警察の介入や索の元恋人の動き、そして玄一の母まで登場していましたね。
せっかく玄一と索が結ばれたのに、また試練が訪れるのかと思うとハラハラしますが、三人ならきっと乗り越えてくれると信じています。再構築された家族 がこの先どんな絆を見せてくれるのか、とても楽しみです。
兄弟のような固い友情も、恋人たちの深い愛も、親子の絆も全部ひっくるめて「ぼくたちん家」。来週もティッシュを用意して、この温かくも切ない物語を見届けたいと思います。今夜は胸がいっぱいでなかなか眠れそうにありません…。
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