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原作小説『ザ・ロイヤルファミリー』あらすじ&ネタバレと結末。山王耕造の夢と世代を超える奇跡の物語

原作小説『ザ・ロイヤルファミリー』あらすじ&ネタバレと結末。山王耕造の夢と世代を超える奇跡の物語

2019年に刊行された早見和真さんの長編小説『ザ・ロイヤルファミリー』は、競馬を舞台に家族の絆や夢の継承を描いた感動巨編です。

親から子へ、そしてさらに次の世代へと受け継がれていく情熱や信念を、競走馬の血統と重ね合わせて描いた物語は、発売当初から高い評価を受け、第33回山本周五郎賞やJRA賞馬事文化賞を受賞しました。

2025年10月にはTBS日曜劇場枠でドラマ化も決定し、妻夫木聡さんや佐藤浩市さんら豪華キャストが出演予定。この記事では、原作小説のあらすじやネタバレ、そして読後の感想を詳しく紹介し、映像化に向けて作品の魅力を改めて掘り下げます。

目次

原作「ザ・ロイヤルファミリー」について

原作「ザ・ロイヤルファミリー」について

2019年に刊行された長編小説『ザ・ロイヤルファミリー』が、2025年10月期の日曜劇場枠でドラマ化されます。

放送開始日は2025年10月12日で、TBS系列「日曜劇場」にてスタートし、主演は人気俳優の妻夫木聡さんが務める予定です。

物語の舞台が競馬界でありスケールの大きな人間ドラマであることから、重厚な作品が揃う日曜劇場枠にぴったりだと期待されています。

ドラマ版には妻夫木さんのほか佐藤浩市さん、目黒蓮さん(Snow Man)、松本若菜さん、黒木瞳さん、沢村一樹さんなど実力派キャストが名を連ねており、競馬界のレジェンド騎手・武豊さんが第1話にスペシャルゲスト出演することも発表されました。

原作小説が感動巨編と評されているだけに、ドラマでも熱い物語が繰り広げられることが期待されています。

原作「ザ・ロイヤルファミリー」について

原作「ザ・ロイヤルファミリー」について

『ザ・ロイヤルファミリー』は早見和真(はやみ かずまさ)さんによる長編小説で、競馬をテーマに家族の絆と夢の継承を描いた物語です。

新潮社
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初出は文芸誌『小説新潮』で、単行本が2019年10月に新潮社から刊行されました。その後2022年11月に新潮文庫から文庫版(上下巻相当の全624ページ)が発売されています。

出版直後から「日曜劇場の原作に相応しい感動巨編」と評判になり、第33回山本周五郎賞および2019年度JRA賞馬事文化賞を受賞しています。物語は競馬に情熱を燃やす馬主一家の20年にわたる壮大なドラマで、親から子へ夢が引き継がれていく様を描いた内容です。

著者の早見さん自身、「映像化されるなら日曜劇場しかない」と語っており、ドラマ化決定に際して自ら“原作班”として脚本作りにも関わる意気込みをコメントしています。

原作「ザ・ロイヤルファミリー」のあらすじ

競馬好きの実業家一家を描く『ザ・ロイヤルファミリー』の物語を、まずネタバレなしで概要を紹介します。

主人公は栗須栄治(くりす えいじ)という若き税理士。栄治は尊敬していた父親を亡くした喪失感を抱え、生きる希望を見失いかけていました。そんな折、ひょんなことから人材派遣会社「ロイヤルヒューマン」の社長で馬主でもある山王耕造(さんのう こうぞう)と出会います。

山王はカリスマ経営者であり大の競馬好きで、自ら所有する競走馬すべてに「ロイヤル」という冠名(馬主が付ける共通の名前)を付けるほどの入れ込みようです。栄治は競馬場で偶然当てた馬券をきっかけに山王に気に入られ、彼から「絶対に俺を裏切るな」と強く言い含められて秘書にスカウトされました。

栄治は山王の秘書兼マネージャーとして働き始め、右も左も分からないまま熱気あふれる競馬の世界に飛び込んでいきます。山王耕造には競馬オーナーとして長年の悲願がありました。

それは、自分の馬(冠名「ロイヤル」の競走馬)で日本最大級のレースである有馬記念に勝利することです。山王は数々の競走馬を所有してきましたが、中でも期待をかける若馬に「ロイヤルホープ」と名付け、栄治とともに一から競走馬として育て上げます。

ロイヤルホープは素質を開花させ、出走するレースで次々に好成績を収めてゆき、ついに山王の悲願である有馬記念への出走権を手にします。栄治は馬主席からその晴れ舞台を見守り、山王と二人三脚で夢の頂点を目指しました。

しかし、競馬の世界はそう甘くありません。ロイヤルホープは大舞台であと一歩のところで勝利を逃すレースが続き、惜敗の連続に山王と栄治は悔しい思いを重ねます。それでも山王は決して夢を諦めず、栄治も「絶対に裏切らない」という誓いのもとで懸命に支え続けました。物語前半では、栄治が山王の片腕として奔走し、競馬に人生を懸ける馬主とその家族の情熱を目の当たりにしていきます。やがてストーリーは次の世代へとバトンタッチされていくことになるのです。

原作「ザ・ロイヤルファミリー」のネタバレ

原作「ザ・ロイヤルファミリー」のネタバレ

※ここから先は原作小説の核心に触れるネタバレを含みます。未読の方はご注意ください。

ロイヤルファイト――白毛の“希望”と、逃げ水のような栄光

ロイヤルファイトは、ロイヤルイザーニャと対をなす存在として描かれます。まずその特徴的な白毛が視覚的な象徴となり、ロイヤル軍団の“看板”として計画された馬です。

作品紹介でも、ロイヤルイザーニャと並ぶ「ロイヤル」軍団の中心として提示され、その白い姿が“希望”のアイコンへと変換されていきます。

ドラマでは第2話の段階で、栗須(クリス)がファイトとイザーニャの調教師探しに奔走する構図が明確に示されます。ここで描かれるのは、オーナーの夢を“走れる形”に変える現場の采配――つまり人間の選択の重要性です。ロイヤルの勝敗は馬の能力だけで決まらない。管理者、騎手、牧場、資金、それぞれのエコシステムが噛み合って初めて“期待馬”が真の期待へと変わる。その現実をファイトが象徴しています。

一方で、第3話ではファイトが負傷し、希望の象徴だった白毛の存在が一転して痛ましい現実を突きつけます。華やかな“ロイヤル”の名とは裏腹に、栄光は逃げ水のように遠のく。

また、作中の枠を超えて“ロイヤルファイト”という名は現実の競馬界でも話題を呼びました。新潟競馬場で開催されたJRAイベントでは、誘導馬オースミムーンが“ロイヤルファイト”名義のゼッケンやブランケットを着用し場内を歩くコラボ演出が行われたのです。白毛の看板馬=ファイトという記号性が、現実の競馬ファンにも共有される仕掛けであり、ドラマと実競馬の境界を越えた“希望の象徴”の拡張が試みられています。

総じて、イザーニャは“血を繋ぐ”存在であり、ファイトは“夢を掲げる”存在です。前者が血統と時間を紡ぐ物語なら、後者は理想を形にするビジョンそのもの。勝敗を超えて、二頭が背負う意味――“ロイヤル”という名にふさわしい象徴性の深さこそが、この物語の余韻を決定づけています。

ロイヤルイザーニャ――“継承”の象徴になった最後の子

物語における「イザーニャ」は、まず母馬の名前として登場します。スペインの地名に由来する名で、9年前に牧場主の息子が名付けたという設定。

老いた繁殖牝馬が「おそらく最後の子」を産む――その“最後”に希望を託すという山王(ロイヤルヒューマン)側のドラマが重なる構成が巧みです。のちにその子馬は「ロイヤルイザーニャ」と名付けられ、ロイヤル軍団の一頭として戦列に加わります。ここに“血をつなぐ”という本作のテーマが象徴的に結びつきます

もっとも、ロイヤルイザーニャは生まれながらの完成馬ではありません。脚元の弱さを抱え、注目を集めることもなく2歳秋の新馬戦では11着、続く未勝利戦でも12着と惨敗。短期放牧を経て年明けにようやく初勝利を挙げる――そんな地味で現実的な成長曲線を描きます。派手さこそないものの、“負け続けてから勝つ”という物語が、ロイヤル軍団に現実的な希望をもたらす設計となっているのです。

ドラマ版でもこの流れは踏襲され、競馬事業部は未勝利戦を制したイザーニャによって一時的に救われます。ところが、その直後にイザーニャと(後述の)ファイトが揃って負傷する事態が発生し、物語は再び暗転。希望が見えた矢先に不確実性が襲うという展開が、耕造とクリス(栄治)の関係や、組織の意思決定、そして“継承”をめぐる不安と執念を浮かび上がらせていきます。勝利は終着点ではなく、次の試練の始まり――その哲学が明確に打ち出されています。

ロイヤルイザーニャの存在意義を一言で表すなら、「血統の炎を絶やさない証」

山王が“馬ではなく人を買う”――すなわち信頼できる人間に投資するという理念を掲げる以上、イザーニャの一勝はその信念の正しさをかろうじて支える証左となります。才能の爆発ではなく、弱点と向き合いながら周囲の大人たちが積み重ねた努力の結晶としての小さな勝利。だからこそ、その後の負傷は痛烈に響く。ロイヤルが本当に“継承”を語るに値する陣営であるのか――イザーニャはその試金石となっているのです。

ロイヤルホープについて(引退/原作ネタバレ)

“ロイヤル”計画の第一章を担う存在がロイヤルホープです。

耕造は栗須に導かれて日高のノザキファームを訪れ、そこで見立てた若駒に〈ロイヤルホープ〉と名を授けます。ホープのデビュー勝利によって山王家の“夢”は動き出し、経営難にあえいでいた牧場にも再び光が差す。

原作ではこの馬を、家と人の再生の象徴として描いています。

しかし、彼らの物語は「あと一歩届かない希望」として刻まれます

2010年、ホープは“引退を懸けた三連戦”として天皇賞(秋)・ジャパンカップ・有馬記念に挑むものの、すべて惜しくも2着。勝利に手が届かなかったこの結果が第一部の象徴となり、次世代が越えるべき“夢のハードル”として作品に残されます。

引退後のホープは、配合戦略の中心的な存在となります。

耕造が生前に決めたロイヤルホープ×ロイヤルハピネスの血統から生まれた仔に、耕一が〈ロイヤルファミリー〉と命名。この瞬間、“ホープ(希望)”から“ファミリー(家族)”へと名が受け継がれ、物語は父から子、馬から馬へとバトンが渡される。ここから第二部が幕を開け、継承の物語が本格的に動き始めます。

山王耕造の秘密と“ロイヤルファミリー”の誕生

山王耕造は強烈な夢を追い続ける一方で、その胸の内に秘めた過去がありました

実は耕造には若い頃に心を通わせた女性との間に中条耕一(なかじょう こういち)という隠し子がいたのです。長らく存在を公にしていなかった息子・耕一の登場により、物語は大きく動き始めます。

山王は自分が果たせなかった夢の続きを耕一に託そうと決意し、自身の築いた財産や競馬への情熱を次世代へ引き継ぐことを考えます。

ちょうどその頃、山王の愛馬ロイヤルホープにも新たな展開が訪れました。ロイヤルホープは引退し、その仔馬が誕生します。山王は生まれたサラブレッドに「ロイヤルファミリー」と名付けました。こうして物語の後半では、馬主の座が父・耕造から息子・耕一へと受け継がれ、栄治は今度は新オーナーである耕一を支える立場となっていきます。

野崎加奈子の息子“野崎翔平”について

北海道・日高の生産牧場「ノザキファーム」で馬に囲まれて育った、加奈子の一人息子。ドラマでは三浦綺羅さんが演じ、内気ながらも馬の世話を率先してこなす少年として描かれています。母・加奈子の実家が牧場という環境が、彼の“馬を見る目”と身体感覚を自然に磨き上げているのが物語の出発点です。

原作の後半、物語が「父から子へ」という継承の段階に入ると、騎手たちの世代交代が訪れます。

かつてロイヤルホープで主戦を務めた名手・佐木隆二郎の後継者として、彼に憧れてきた若き翔平がロイヤルファミリーの騎手に抜擢される――それが物語の大きな転機となります。作者のインタビューでも「オーナーは耕造から耕一へ、馬はロイヤルホープからロイヤルファミリーへ、そしてジョッキーは佐木から野崎翔平へ」と、“三重の継承”が語られています。

クライマックスの有馬記念では、翔平がロイヤルファミリーの手綱を握り、ライバルの椎名善弘が所有する“ビッグホープ”(鞍上・佐木隆二郎)と壮絶な叩き合いを繰り広げます。結果はハナ差の2着。この“あと一歩届かない”結末が、親世代の未完の夢と子世代への宿題を象徴する印象的な構図になっています。

その直後、耕一が「ここで終わらせない」と引退を撤回し、ロイヤルファミリーのさらなる快進撃を予感させて物語は幕を下ろします。勝利よりも“夢を継ぐ意志”を描く――翔平はその理念を体現するキャラクターなのです。

ドラマ版でも、幼い頃から馬の癖や体調を身体で掴んできた翔平が、緊張に呑まれずに“馬のリズム”へ自分を委ねる姿は大きな見どころになるでしょう。単なる“天才少年”として描くのではなく、ノザキファームでの厳しい日常――堆肥の匂い、冬の馬体管理、早朝の放牧――といった積み重ねが、やがて鞍上での胆力に変わる。そのリアリティこそが、翔平という人物の核心を支える要素になるはずです。

若き馬主・中条耕一の葛藤と挑戦

中条耕一は父とは異なる若い感性と天才的な馬を見る眼を持ちながらも、血筋ゆえの複雑な想いを抱える青年でした。

耕一の魅力は、“若さ”と“才覚”が同時に存在している点にあります。

制度面では「相続馬限定馬主」という制度を利用し、複数の競走馬の馬主に就任(うちの1頭がロイヤルファミリー)。これにより、既存の体制を飛び越えて競馬界の中枢に切り込んでいきます。

さらに、馬の完歩(ストライド)や跳躍の大きさから距離適性を見抜く観察眼を持ち、経験豊富な栄治やベテラン調教師とも臆せず意見を交わす。その若さゆえの未熟さが衝突を生む一方で、常識を覆す突破力にもなっており、そこに彼の人物像の核が見えてきます。

クライマックスとなる有馬記念では、耕一×ロイヤルファミリー×(騎手)野崎翔平という“新生トリオ”が悲願の頂点に挑むも、結果はわずかに届かず2着。それでも耕一はその場で引退撤回を宣言し、父・耕造が追い求めた夢を“終わらせない物語”として継続することを決意します。この「敗北と決断」の組み合わせが、血縁の宿命や功罪を超えて“継承=続けること”というテーマを再定義するフィナーレの核心となります。

総じて耕一は、血のドラマを制度(馬主資格)・経営(馬の選定と体制構築)・技術理解(馬の適性判断)によって現実に落とし込み、耕造のロマンと栄治の忠誠を“勝てる仕組み”へと翻訳する人物です。

耕造に隠された過去=婚外子の存在が、物語後半で“家族”という概念を再構築する原動力となり、その中心に立つのがこの中条耕一。彼はまさに、“ロイヤルファミリー”という名にふさわしい新時代の継承者なのです。

クライマックスと父の悲願の成就

やがて物語はクライマックスを迎えます。成長したロイヤルファミリー号はまるで覚醒したかのような快進撃を見せ始めました。新たに迎えた主戦ジョッキーとの相性も抜群で、出走する大きなレースで次々と勝利を重ねていきます。

そして遂に、父・耕造が果たせなかった夢を背負って立つ中条耕一とロイヤルファミリー号が、念願の大舞台で悲願の勝利をつかみ取るのです。20年にわたって親から子へ受け継がれてきた夢がここに実を結び、競馬場には関係者たちの歓喜と感涙があふれました。

原作「ザ・ロイヤルファミリー」の結末

物語の結末では、ロイヤルファミリー号が大一番のレースで優勝を果たし、亡き山王耕造が生涯追い求めた悲願がついに成就します。馬主として夢を引き継いだ息子の耕一は、父が果たせなかった有馬記念制覇という偉業を成し遂げ、観客席で見守った栄治と共にその勝利の瞬間を分かち合いました。

長年積み重ねた苦難と挫折を乗り越え、親から子へ受け継がれた夢が叶ったフィナーレは感動的で、タイトルである「ザ・ロイヤルファミリー(王家)」にふさわしい世代を超えた奇跡の物語となっています。

原作『ザ・ロイヤルファミリー』を読んだ感想

原作「ザ・ロイヤルファミリー」の結末

熱い人間ドラマとしての魅力

小説『ザ・ロイヤルファミリー』を読み終えてまず感じたのは、これは単なる競馬小説ではなく熱い人間ドラマであるということです。

競馬の知識がなくても物語に引き込まれる工夫が随所にあり、実際に競馬ファンでない私でも全504ページを夢中で読み通すことができました。レースシーンでは手に汗握る迫力があり、特にラストの有馬記念の描写は、まるで自分がその場で観戦しているかのような臨場感でした。専門用語や背景知識も作中で丁寧に説明されるので心配はいらず、むしろ主人公の栄治と共にゼロから学び感動を共有できる楽しさがあります。

「継承」というテーマの深さ

本作のテーマとして強く心に響いたのは「継承」の深さです。

馬の血統が代々受け継がれていくように、人間の情熱や夢、親子の絆もしっかりと次の世代へと受け継がれていく――作品全体を通じて、その尊さが丁寧かつドラマチックに描かれていました。

例えば、オーナー親子だけでなく競馬の騎手の世界でも世代交代が描かれており、ベテラン騎手の引退後にその背中を追っていた若手騎手が大舞台で手綱を託される場面などは胸が熱くなります。こうした“夢のバトンリレー”が随所に散りばめられているからこそ、ラストで長い年月をかけて夢が実る瞬間に大きなカタルシス(爽快感)が生まれるのだと感じました。

忠誠と約束が生む感動

物語の冒頭で山王耕造が栄治に投げかけた「絶対に俺を裏切るな」という言葉は、最後まで強い印象を残すキーワードでした。栄治はその約束を守り抜き、20年間にわたって陰で山王親子を支え続けます。

父を喪った栄治が山王に父親の面影を重ねて尽くす姿と、山王が秘めた想いを息子・耕一に託していく姿は、親子の愛情の形を異なる角度から描いており心を打たれます。

幾度もあと一歩で夢が届かず悔しい思いをしたからこそ、最後に夢が叶った瞬間の感動はひとしおで、栄治や山王一家、そして馬に関わるすべての人々がチーム一丸となって掴んだ勝利に拍手を送りたくなります。

秘書の視点が描く人間模様

さらに本作がユニークだと感じたのは、語り手が馬主でも騎手でもなく「秘書」である点です。

栄治という裏方の視点から競馬の世界が描かれることで物語全体に一本筋が通り、第三者だからこそ見える人間模様が浮き彫りになっていました。栄治自身が20年越しに成長していく姿や心情の変化も丁寧に綴られており、読後には自分も長い旅路を共にしたような充実感が味わえます。

著者の早見和真さんは「この小説は競馬小説ではない、家族小説だ」と語っていますが、まさに競馬という壮大な舞台を通じて家族の絆や夢を追い続けることの尊さを描き切った名作だと感じました。

読者の反響と映像化への期待

最後に付け加えると、本作は発売当初から「泣ける」「感動した」という声が多く寄せられています。

読者や批評家からも高い評価を受け、何度読み返しても胸を打たれる感動巨編として広く支持されてきました。それほどまでに心を揺さぶる『ザ・ロイヤルファミリー』が映像化される今回のドラマ版では、果たしてどんな感動が我々を待ち受けているのか非常に楽しみです。競馬シーンの迫力や登場人物たちの熱量がどのように描かれるのか、放送開始を心待ちにしています。

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