Netflixシリーズ『今際の国のアリス』シーズン3が待望の配信開始!シーズン2のラストで示唆されたジョーカーのカードに導かれ、アリスとウサギが再び“今際の国”へ――。
本記事では、シーズン3全6話のあらすじ(ネタバレ注意)と感想・考察を紹介します。今作は原作漫画にはない完全オリジナルストーリーで、4年後のアリスとウサギに新たな試練が訪れます。ゲームの結末やジョーカーの正体、さらに謎の男バンダの狙いとは?論理的に分析しつつ物語の魅力に迫ります。
シーズン3では、生還後の現実世界で幸せに暮らしていたアリスとウサギが、再び死と隣り合わせの“げぇむ”に挑むことになります。
シーズン1・2で死闘をくぐり抜けた二人ですが、記憶を失った今、再度あの悪夢に引き戻される展開に。結末はどうなるのか、最後まで目が離せません。それでは早速、物語の結末とキーパーソンに関する考察から見ていきましょう。
結末!アリスとウサギは生き残れる?

シーズン3のラスト、アリスとウサギは現実世界へ生還し、生き残ることができます。
ファイナルゲーム「ミライすごろく」を経て、アリスは最後の選択で自らが犠牲になる道を選び、ウサギや他の仲間たちを出口へ送り出しました。出口の扉を潜ったウサギたちは現実世界への帰還を果たしますが、ゲームクリア者として残ったのは扉の中に留まったアリスでした。
ゲーム終了後、“今際の国”には大洪水が発生し、ウサギたちは濁流に襲われます。アリスはウサギを救うため躊躇なく奔走し、その過程で一時は溺れて意識を失いますが、現実世界で呼びかける安(アン)の声に奮い立たされて復活しました。
現実世界では、昏睡状態に陥っていたアリスが目を覚まし、病院ではウサギも意識を取り戻します。一方、ウサギと行動を共にしていたリュウジ(後述)が死亡し、“今際の国”にいたバンダも制裁を受けて命を落としました。
こうしてアリスとウサギは再会を果たし、無事に元の世界で生活に復帰します。エピローグでは、二人が子供の名前を考えながら幸せに暮らす姿が描かれ、命がけの戦いを乗り越えた二人の未来に希望が示されました。
結末では、シーズン2までに隕石事故から生還したクイナやチシヤたち仲間も登場し、それぞれが前向きに人生を歩み始めている様子が描かれています。アリスは大学院で学んだ心理カウンセリングの道を進み、生存者たちの心のケアを担当。
彼らに「生きている意味を実感する瞬間はいつか?」と問いかけていきます。これは原作漫画の最終回へのオマージュとなっており、生死の境を経験した者たちがそれぞれの「生の意味」を語る感動的なシーンです。
最終的にアリスとウサギは現実世界で新たな命(お腹の子)と共に人生を歩むことになり、シーズン3はハッピーエンドとも言える幕引きとなりました。ただし物語は完全には終わりません。
ラストシーンでは世界各地で異常な地殻変動による地震が頻発し、アメリカのカフェには「Alice」と名札を付けたウェイトレスが登場します。この意味深な描写は後述するジョーカーの台詞と合わせて、さらなる物語(続編)の示唆となっていました。
Aliceは海外編のドラマへの伏線など?様々な考察がされています。
ジョーカーの正体とは?バンダの関係性

シーズン3最大の謎であるジョーカーの正体は、“今際の国”という生と死の狭間の世界を司る番人(ガーディアン)のような存在でした。
最終回、全てのゲームが終わった後、突如アリスの前に老紳士の姿で現れたジョーカーは、「バンダにはこの役割は不適格だった」と語り、まるでこの世界の管理者であることを示唆します。
ジョーカーはトランプゲームに例えて自身の存在意義を説明しました。それによれば、トランプの数字(1~13の4スーツ)を全て足すと364になり、1枚のジョーカーを加えると365(1年の日数)になる。さらにもう1枚ジョーカーを足すと366(うるう年)になるというのです。
つまりジョーカーは「カードとカードの隙間=時間の隙間=生と死の狭間」を埋める存在だといいます。この世界そのものが生と死の狭間(中間地点)であり、ジョーカーはそこに留まり続ける番人なのです。
ドラマ版ではジョーカーを演じるのは渡辺謙さんで、その重厚な存在感が物語の締めくくりに深みを与えています。ジョーカーはアリスに対し、「元の世界(生)に戻るか、それとも死の世界へ進むか」を選べと促しました。
これはアリスに最後の選択を委ねる試練です。ジョーカーはアリスに2枚のカードを引かせ、「ジョーカーを引けばお前の運命は俺の手の中だ」と告げます。しかしアリスがめくったカードは2枚ともジョーカーでした。
このイカサマにアリスは気づいており、ジョーカーも彼の聡明さを認めます。ジョーカーは「苦難に満ちた現実に戻るのか、安らぎかもしれない死の世界に落ちるのか、お前が決めろ」と問いかけ、最終的にアリスは生の世界に戻ることを選びました。
興味深いのは、ジョーカーという存在を通じて本作のテーマが浮き彫りになる点です。
“狭間”に留まりたかったのがバンダ、狭間を超えて死の世界に行きたがっていたのがリュウジ、そして生の世界に戻りたかったのがアリスだと指摘されています。ジョーカーはまさに生と死の中間管理職(仲介者)的な立場であり、彼の登場によってアリスは自分の意志で未来を選択する機会を与えられたのです。
こうしてジョーカーはゲームの黒幕であると同時に、アリスに生への執着を試す存在として描かれました。
一方、シーズン3を通して暗躍していたバンダ(磯村勇斗)とジョーカーの関係性も見逃せません。バンダはシーズン2のゲーム「ハートのジャック」で登場したキャラクターで、現実世界では殺人犯だった男です。
シーズン2で“今際の国”に残る選択(ゲームクリア後も現実に戻らず、この世界に留まる)をした彼は、国民(常駐者)としてこの異世界に存在していました。ジョーカーから何らかの役割を与えられたのか、シーズン3ではバンダが一連のゲームの仕掛け人として登場します。
バンダは何のためにウサギとアリスを呼んだ?
バンダがウサギとアリスを呼び戻した目的は、端的に言えばアリスを“今際の国”の住人(国民)にするためでした。
彼は4年前に現実へ帰還したゲーム生還者たちを再び集め、ジョーカーのゲームに挑ませる計画を立てていたのです。バンダはまず、自分と同じく死後の世界に興味を抱く車椅子の大学助教授リュウジ(松山リュウジ)に目を付け、彼を利用してウサギを誘い出しました。
リュウジに対して「ウサギを今際の国に連れて来い。最後にウサギを殺せば、お前の憧れる死後の世界(本当の死の世界)を見せてやる」と持ちかけ、自分の計画に引き込んだのです。もともとリュウジは“臨死体験”に強い関心を持ち、自身も死の世界を覗いてみたいという狂気じみた探究心がありました。その心理につけ込んでバンダは協力者に仕立て上げたと言えます。
バンダの狙いは明確です。ウサギを餌にしてアリスを今際の国におびき寄せ、最終的にアリスを自分たち国民の仲間に加えること。
シーズン2でアリスのリーダーシップやゲーム攻略の才覚を目の当たりにしたバンダは、アリスこそこの異世界に相応しい存在だと考えたのかもしれません。あるいは、単純に自分が慣れ親しんだ“死の世界”に優秀な人材を引きずり込みたいという歪んだ執着心とも取れます。
劇中、バンダは自らゲームマスターとなって現実世界の臨死セミナーでジョーカーカードを配布し、かつての生還者たちを再集結させました。彼は影から全てを操り、アリスとウサギが揃って今際の国へ戻ってくるよう仕向けたのです。
最終局面でバンダはアリスに「国民になれ」と迫りますが、アリスは毅然とこれを拒否しました。その直後、ジョーカーのルールに背いたのかバンダは上空からのレーザーで消滅し、最期を迎えます。ジョーカーが「バンダはこの役割に不適格だった」と述べたことから、バンダはあくまでジョーカーに利用された駒でしかなく、最終的には用済みとなったようにも見受けられます。以上が、バンダがウサギとアリスを再び呼び寄せた理由とその結末です。
【全話ネタバレ】今際の国のアリス(シーズン3)のあらすじ&感想。ゲームの結末やジョーカーの正体やバンダについて

それでは、シーズン3全6話の詳しいあらすじと各話の考察ポイントを見ていきましょう。
4年ぶりに“今際の国”に戻ったアリスとウサギに何が起こったのか、ゲームの内容やキャラクターの動きを追いながら解説します。各エピソードで描かれるデスゲームのルールや攻略法にも注目です。
1話:再び今際の国へ – 招かれざる誘い
第1話では、シーズン2で現実世界へ生還した有栖良平(アリス)と宇佐木柚葉(ウサギ)のその後が描かれます。
平穏な結婚生活と新たな不穏
隕石落下事故から奇跡的に救われた二人は、4年の歳月を経て結婚し幸せな生活を送っていました。
アリスは大学院で心理学を学びつつカウンセラー見習いとして働き、ウサギはそんな彼を支えながら穏やかな日々を過ごしています。しかし、その平穏は新たな登場人物リュウジの存在によって破られていきます。
リュウジという存在
リュウジ(松山リュウジ/演:賀来賢人)は車椅子に乗った大学助教授で、専門は「死後の世界の研究」。彼は隕石事故の生還者たちに興味を抱き、アリスやウサギを含む複数の体験者にインタビューを行っていました。
生還者たちが「夢の中で命がけのゲームをした」と語るのを聞き、臨死状態で別の世界(今際の国)に行けると確信します。実はリュウジには5年前、教え子が死亡した事件に関与した過去があり(詳細は第4話参照)、それ以来「死」の謎に取り憑かれていたのです。
バンダの誘いと狂気のセミナー
そんなリュウジの前に現れたのがバンダでした。彼は紹介制の「臨死体験セミナー」にリュウジを招きます。集まった参加者は7人。そこで始まったのは命懸けのババ抜きでした。薬物で仮死状態にされた参加者がゲームに挑み、ジョーカーを失った者は脱落。その場で電気椅子にかけられ命を落とすという残酷な内容です。
リュウジは間一髪で勝利し、バンダからジョーカーのカードを渡されます。そして「今際の国への行き方」を教えられました。不敵に笑うバンダは、ウサギを誘拐する計画を持ちかけ、リュウジはその誘いに従います。
アリスの周囲に忍び寄る影
一方アリスのもとにも不穏な動きが訪れます。ある日、職場に安(アン)と名乗る女性がカウンセリングに現れました。
彼女は隕石事故の生存者で、かつて今際の国で共に戦った安梨鶴奈(通称アン/演:三吉彩花)でした。アンは断片的に今際の国での記憶を覚えており、「アリス、あなたに会ったことがある…」と語ります。しかしアリスは記憶を失っているため、心当たりのないまま不思議な感覚だけを抱きます。
ウサギの異変とリュウジの接近
その頃ウサギもまた、リゾートホテル「シーサイドパラダイス」で過去のフラッシュバックに襲われます。そこはシーズン1で登場した“ビーチ”の舞台。
記憶の断片を思い出したウサギの前にリュウジが現れ、「死後の世界で亡き父に会えるかもしれない」と囁きました。父を幼くして亡くしたウサギはその言葉に心を揺さぶられ、アリスに告げず姿を消してしまいます。
ウサギ失踪とアリスの決断
警察の調査で、ウサギがリュウジと会っていた事実を知ったアリス。その直後、彼の前にバンダが現れ、ジョーカーのカードを手渡し意味深に姿を消しました。間もなくウサギとリュウジは意識不明で発見され、病院へ搬送されます。
さらにウサギが妊娠初期であることも判明。アリスは衝撃を受けつつリュウジの研究室を調べ、ウサギが「父に会えるならたとえ悪夢でも行きたい」と語る映像を見つけました。リュウジはウサギの心の隙を利用していたのです。
絶望の中、アリスは療養所に入院していたアンを訪ねます。アンは「ウサギを救うにはもう一度今際の国へ行くしかない」と語り、薬を手渡しました。アリスはそれを注射し、意識を失います。気づいた時、彼は再び静まり返った東京の街――“今際の国”に立っていました。4年ぶりに戻った死の世界で、案内役もアンの姿もありません。
やがて電光板の表示に導かれ、アリスは第1ゲームの会場・氷川神社へ。そこには大勢の参加者が集まっていましたが、ウサギの姿は見えません。同じ頃、ウサギはリュウジと共に別のゲームに参加していました。こうしてアリスの新たな戦いが幕を開けます…。

2話:おみくじゲームの死闘 – 蘇る記憶
第2話では、アリスが飛ばされた“今際の国”での最初のゲームが描かれます。その名も「おみくじ」。初詣などで引くアレを模した、一見平和そうな名称ですが、中身は極めて残酷なデスゲームでした。
〈第1ゲーム「おみくじ」〉
ルール:参加者たちは順番に全10回、神社のおみくじを1人1回ずつ引く。おみくじには問題(クイズ)が書かれており、引いた者は即座にその問題に対する数値回答を口頭で行う。
もし答えた数字が正解と異なっていた場合、その誤差の数だけ無数の火矢が空から降り注ぐ。10回のおみくじを引き終え、最後まで生き残ればゲームクリアとなる。
アリスは氷川神社の境内で他の参加者たちとルール説明を受け、ゲームがスタートします。同じグループには以下のような顔ぶれがいました。
- テツ(演:大倉孝二) – 薬物中毒で更生施設にいた男性。
- サチコ(演:須藤理彩) – DV夫に悩む主婦。
- カズヤ(演:池内博之) – 暴力団関係者のヤクザ。
- ノブ(演:醍醐虎汰朗) – 引きこもりの青年。
- シオン(演:玄理) – ミステリアスな女性。
- ナツ(演:吉柳咲良) – 若い女性。
ほかにも数十名規模で参加者がいた模様です。
ゲーム序盤からおみくじの問題は難問揃いで、多くの参加者が正解を出せません。わずかな誤差でもその分だけ火矢が降り注ぎ、誤差が大きければまず助かりません。次々と悲鳴が上がり、火矢に貫かれた参加者が死亡。神社は炎に包まれ、逃げ惑う人々で大混乱に陥りました。
やがて生存者が減り、ついにアリスの順番が回ってきたのは10回目、最後のおみくじ。出題された質問は「地球の総人口は?」という超高難度の問いでした。アリスは悩みながらも「78億」と回答しましたが、正解は約77億。1億人の誤差が発生してしまいます。すると空には漆黒の雲が立ち込め、誤差1億本もの火矢が一斉に降り注ぎました。
絶体絶命の局面で、アリスは一筋の光明を見出します。最初にテツが引いた大吉のおみくじに記されていた文言を思い出し、その文面から「北西の方角に避難できる場所がある」と推理したのです。実際に神社の北西には地下へ通じる屋台や物置小屋がありました。アリスは叫びます。「北西だ!隠れろ!」。生き残っていた数名(テツ、カズヤ、サチコ、ノブ、レイら)はアリスに続き北西端の地下スペースへ避難。木造の屋台の床下に身を潜め、火矢の雨をやり過ごしました。こうしてアリスたちは全10回を生き延び、ゲームクリアを果たします。
ゲーム終了後、残ったメンバーの会話で重大な事実が明らかになります。彼ら全員が“今際の国”のゲームに参加し生還した経験者だったのです。さらに全員がゲーム開始前にバンダと会い、ジョーカーのカードを渡されていたことも判明。
つまり今回の参加者は偶然ではなく、バンダに選ばれた元プレイヤーたちでした。彼らは現実世界で記憶を失っていましたが、再び死線を越えたことで断片的な記憶を取り戻し始めます。アリス自身もかつての地獄の日々を朧げに思い出していきました。
その時、謎のアナウンスが流れ、今回のゲームが「ジョーカーステージ」であることが告げられます。シーズン2までのゲームがトランプのJ・Q・Kまでだったのに対し、今回は“最後の切り札”ジョーカーがテーマ。
今際の国に新たなルールが加わったことが示唆されます。さらに「今回はトーナメント制なので、ウサギを見つけても殺し合いになる可能性がある」という不穏な情報もあり、アリスはウサギの身を案じます。
クリア後、次のゲーム会場として国立ウイルス研究所が案内されました。生存者たちはそこで待つ第2ゲームへと向かいます。ウサギの姿はいまだ見えませんが、彼女もどこかで同じように戦っているはず…。アリスは再会を信じつつ先へ進みます。
〈第2ゲーム「ゾンビ狩り」〉(開始~ルール説明)
第2ゲーム会場に到着したアリスたちは、“研究所”のような建物に案内され、次なるデスゲーム「ゾンビ狩り」に参加します。
- 基本ルール:参加者全員に7枚のトランプが配られ、1対1の対戦を20ターン行う。任意の枚数を同時に出し、合計値が大きい方が勝ち。勝者は相手からカードを1枚奪い、敗者はカードが減る。カードを失えば脱落(死亡)。20ターン終了時点で、人間グループとゾンビグループの生存人数が多い方が勝利。
- ゾンビカード:7枚のうちランダムでゾンビカードが混ざる。所持者はゾンビ扱い。ゾンビカードで勝利すると相手をゾンビ化できる。
- 特殊カード:ワクチンカード(ゾンビを人間に戻す)、ショットカード(ゾンビを殺す)が少数存在。
参加チームはアリスたちのグループを含め複数。各チームは協力可能だが、対戦は基本1対1で行われる形式でした。
ルールを把握したアリスたちの前で、別チームの女性レイ(演:玉城ティナ)が声を上げます。彼女は聡明な人物で、「信頼バリケード」作戦を提案しました。それは「大勢で固まり互いを監視し合い、ゾンビをあぶり出してショットカードで始末する」という戦術です。極限状態で疑心暗鬼になるよりはマシと、多くの参加者が賛同しました。
こうしてプレイヤーたちは結束し、互いのカードを公開しながらゾンビを探ろうとします。しかしゾンビ当事者も人間のフリをして協力できるため、この「信頼バリケード」は脆いもの。果たしてアリスたちはどう攻略するのか…。第2話はここで幕を閉じ、続く第3話でゾンビ狩りが本格的に展開していきます。

3話:ゾンビ狩りと裏切り – 仲間か敵か
第3話では、「ゾンビ狩り」ゲームの苛烈な攻防と、その決着までが描かれます。さらにウサギとリュウジの動向も明らかになり、バンダの陰謀が一部露わになる重要回です。
ゾンビ狩りゲームの崩壊とイケノの暴走
ゲーム開始直後、参加者たちはカードを公開し合い様子を探ります。しかし池野(イケノ)が「ゾンビを見つけ次第ショットカードで殺すべきだ」と主張し、疑わしい者を次々射殺。信頼バリケードは一瞬で崩壊し、殺伐とした疑心暗鬼のサバイバルに変貌しました。
最初の犠牲者はマサト。ゾンビカードを隠していたものの追い詰められ、逃げ出したところを射殺されます。さらにノブ(引きこもり青年)もゾンビと判定され、必死に逃げ出しました。
アリスの気づきと逆転の発想
一方でアリスは状況を観察。レイの発言に矛盾を見抜き、レイがゾンビでないことに気づきます。
彼はレイに「ゾンビになった方が生き残れる」と囁き、ゾンビ化させて仲間に引き入れました。続いてノブにも接触し、敢えてゾンビを増やす戦略を提案。ナツ、サチコ、テツ、カズヤも順次ゾンビ化し、アリスのチームは全員ゾンビ側に回ります。
ゾンビの勝利と生き残った仲間
イケノたち強硬派は気づかぬまま相手を撃ち続けましたが、20ターン終了間際にゾンビ人数が人間を上回り勝敗は決定。敗北した人間側はレーザーで即死し、アリスたちゾンビチームが勝利しました。
生き延びたのはアリス、テツ、サチコ、カズヤ、ノブ、レイ、ナツら。安堵するも、アリスの心には依然としてウサギの行方が影を落としていました。
ウサギ視点:リュウジの裏切りと「暴走でんしゃ」
場面はウサギへ移ります。彼女はリュウジと共にいくつかのゲームをクリアしていました。
リュウジは知力で貢献していましたが、それは利用のための演技。彼は最初からバンダと結託しており、「ウサギを連れて来て最後に殺せば、本当の死の世界を見せてやる」と持ちかけられていたのです。
目的はアリスをおびき寄せ国民にすること。リュウジはまだウサギを殺さず、囮として利用し続けました。
第3のゲーム「暴走でんしゃ」
ウサギとリュウジは駅に到着し、新たなゲーム「暴走でんしゃ」に参加します。8両編成の電車は運転士なしで発進。ルールは最後尾から先頭へ進み、4回発生する毒ガスを5本の中和剤で凌ぐというもの。失敗すれば即死という運任せのゲームでした。
序盤は順調に進むものの、途中でウサギの判断が外れ中和剤を使い切ってしまいます。絶望の中、並走する別の電車に飛び移り非常ブレーキを作動させるという荒技で暴走を止め、なんとかクリア条件を満たしました。ただし元の電車に残った参加者の一部は死亡。
こうしてウサギは命を繋ぎますが、リュウジの裏切りを知ったまま共に行動を続けることに。リュウジの内面にもわずかな変化が芽生え、第4話で彼の過去が掘り下げられていきます。

4話:暴走電車と東京タワー – 背負いし罪と決意
第4話は、ウサギ&リュウジパートとアリスパートが並行して描かれる構成です。
ウサギ側は「暴走でんしゃ」クリア直後からセミファイナルゲームへの挑戦、そしてリュウジの過去の回想が展開されます。一方アリス側は、別のセミファイナルゲーム「かんけり」に挑み、それぞれがファイナル直前の最後の試練に立ち向かいます。
ウサギ&リュウジパート:東京タワーの試練
セミファイナルゲーム①「東京ビンゴタワー」
ウサギたちが案内された先は東京タワー。そこで始まったのは、外壁に設置されたホールドや足場を使い登攀する「東京ビンゴタワー」でした。塔には番号付きボタンが配置され、押すごとに対応するビンゴカードの数字が開きます。縦・横・斜めのいずれかで一列揃えばクリア。強風や落下物などの障害が定期的に参加者を襲う苛酷なルールです。
ウサギはリュウジとペアを組み、ユナ&イツキの兄妹、タロウとジュリ(またはヒマリ)の組とともに挑みました。序盤は順調でしたが、途中で巨大な鉄骨が落下し、ヒマリとタロウが転落死。ウサギも風圧で落ちかけましたが、リュウジに救われ一命を取り留めます。
裏切り者でありながらも、まだ彼女を助ける行動を取るリュウジ。複雑な感情を抱えつつ、ウサギは彼と共に頂上を目指しました。
やがてウサギはタワー最上部近くに到達し、最後のボタンを押し込みビンゴを完成。こうしてウサギ&リュウジ組はクリアし、残った仲間と共に次のステージへ進みます。
アリスパート:高層ビルでの死闘
セミファイナルゲーム②「かんけり」
一方アリスは別働隊とともに「かんけり」に挑みます。舞台は高層ビルの吹き抜けフロア。中央には巨大な缶が置かれ、それを所定の位置に戻した者がクリア。缶は衝撃で爆発する仕組みで、最大10人しかクリアできない苛酷な条件が課されていました。
アリスの仲間サチコ、ノブ、レイ、テツは次々に缶を蹴り戻し成功。しかし敵との奪い合いでシオンとナツが爆発に巻き込まれ死亡します。残る枠は僅か。アリスはカズヤと行動し、彼の援護を受けながら缶に向かいました。
カズヤは「行け、アリス!」と叫び、自らは敵を押さえつけ犠牲となり、アリスに道を譲ります。アリスは渾身の力で缶を蹴り所定位置に戻しクリア。だが直後の爆発でカズヤは敵もろとも炎に包まれ、命を落としました。
再会の予兆
こうしてアリスチームからはアリスを含む5名がクリアし、ファイナルゲームへの切符を手にします。大切な仲間を失った悲しみと怒り、そしてウサギへの想いを胸に「必ず連れ帰る」と誓うアリス。ファイナルの舞台は渋谷のスクランブル交差点と告げられます。
渋谷に到着すると、周囲は360度の巨大スクリーンに囲まれ、そこには「現実に戻ったら得られる未来」が映し出されていました。アリスにはカウンセラーとして成功する姿、サチコには息子と穏やかに暮らす姿――それは希望を餌にした挑発でした。そんな中、ついにアリスはウサギとの再会を果たすのです。

5話:渋谷で再会、最終ゲーム開始 – 未来を懸けた選択
第5話はいよいよファイナルゲーム「ミライすごろく」の全貌が明かされる重要回。
渋谷スクランブル交差点に再集結したアリスとウサギは無事に再会を果たし、互いを抱きしめ合います。そこでウサギは妊娠していることをアリスに打ち明けました。
4年前に結ばれた二人の間に新しい命が宿っていたのです。この事実はアリスにさらなる決意を与えました。「絶対にウサギと子供を守り抜く」と。しかしリュウジは錯乱し、アリスに殴り倒される一幕も。緊張が漂う中、ついにファイナルゲーム開始のアナウンスが響き渡ります。
ファイナルゲーム「ミライすごろく」の概要
- 舞台:25部屋(5×5マス)の巨大立方体迷路
- 進行:各部屋でサイコロを振り、出目に対応する扉から進む。赤いサイコロが「3」なら赤扉から3人進める、といった形式
- 制限:15ターン以内にゴール部屋を見つけることが条件
腕輪ポイント制
参加者全員に15ポイント入りの腕輪が配布され、扉を通過するたびに1ポイント消費。0になれば即死亡。一部の部屋では追加ポイントが自動消費されるため、管理が重要となります。
未来の扉
各扉には「その人が選んだ未来」の映像が映し出されます。中には「過労死寸前の未来」「孤独に苛まれる未来」といった不吉なものもあり、参加者を震え上がらせました。ゲームに勝っても未来が保証されないという冷酷な設定が彼らを追い詰めます。
特殊ケース:ウサギの妊娠
妊娠しているウサギは胎児も1人とカウントされ、腕輪は2本(計30ポイント)が与えられました。この追加ポイントが後の展開で大きな意味を持つことになります。
運命のサイコロとアリスの決断
ゲームが進行する中、アリスは「なるべく全員で一緒に動こう」と提案。扉通過時のポイント消費を抑える狙いでした。しかしサイコロの出目次第で二手に分かれる場面もあり、さらにトラップ部屋で予想以上にポイントが削られ、参加者たちは追い込まれていきます。

6話:ジョーカーの正体と最後の選択 – 今際の国の決着
最終話は、第5話から続くファイナルゲーム「ミライすごろく」の決着から始まります。生と死の狭間で、アリスとウサギ、そして仲間たちがどのような選択を下すのかが描かれます。
ミライすごろくの決着
テツとソウタが命を落とし、盤上に残ったのはアリス、ウサギ(胎児を含む)、サチコ、リュウジ、レイ、ノブ、ユナの8人。ノブは一時離脱するものの戻り、アリスは「全員で生き延びる」ため最短ではなく生存確率の高いルートを選び進軍しました。
途中、サチコが“部屋に閉じ込められる”罠にかかる危機が発生。ここでアリスは「部屋に存在するかどうかは肉体ではなくリストバンドで判定されている」と気づき、ウサギが胎児用のリストバンドだけを部屋に残す作戦を実行。システムは在室と判定し、ロックは解除されました。
やがて一行は出口「A5」へ辿り着きますが、最後のサイコロの目は「7」。通過可能人数は7名、8人中1人が残らなければならない。アリスは迷わず自ら残ると決意し、ウサギを含む7人を出口へ送り出しました。ウサギの腹に手を添えて「未来を頼む」と告げ、リュウジに託したのです。
しかし、クリア判定は“残ったアリス”ただ一人に与えられ、外界の渋谷は崩壊と濁流に飲み込まれていきます。
バンダの最期と統治の冷酷さ
濁流の渋谷でウサギを探すアリスの前に再びバンダが現れ、「国民になれ」と迫ります。アリスが拒否すると銃口を向けますが、直後に天からのレーザーが彼を貫きました。「彼にはこの役目は早すぎた」という声と共に、バンダは資格を剥奪され消滅。制度の冷酷さが露わになりました。
現実世界でも、昏睡状態のアリスをバンダが襲撃。しかしアンの必死の抵抗によって未遂に終わり、現実と“今際の国”の両面でバンダは退場します。
ジョーカー=〈番人〉の登場
直後、世界が静止し黒帽の老紳士が姿を現します。彼は自らを“ジョーカーではない”と名乗る〈番人〉。テーブルに2枚のカードを置き「ジョーカーを引けば君の負け」と提示します。
しかしアリスは即座に「どちらもジョーカーだ」と見抜きます。〈番人〉は笑い、「ジョーカーとは誰かではなく、数字に属さない隙間を埋める札。時間の継ぎ目、生と死の間を繋ぐ“機能”だ」と語りました。自分はただ“見守る者”であり、アリスに問うのは「生へ戻るか、死へ進むか」ただそれだけでした。
リュウジの贖罪とウサギの決意
アリスは迷わず「生」を選びます。濁流の中でウサギへ手を伸ばすアリスの姿を見たリュウジは、一度は彼女を死に引き込もうとしながらも、最後には手を放しました。自身の過ちの連鎖を断ち切り、罪を償うために“死”を選んだのです。
一方ウサギは意識の底で亡き父と再会。「生きていけ」と告げられ、心の澱を解き放ちました。こうして彼女も“生”を選ぶ勇気を得ました。
現実世界への帰還
病院で目を覚ましたアリスはアンと再会し、隣室ではウサギも同時に覚醒。二人は抱き合い、ようやく現実で再会を果たします。だがリュウジは戻らず、静かに最期を迎えました。
仲間たちのその後と余韻
エピローグでは、クイナ、平屋、アグニ、ニラギ、チシヤらの“その後”が淡々と描かれます。各々が別々の場所で日常に戻り、「生は続く」というメッセージを残しました。アリスは心理カウンセラーとして復帰し、家ではウサギと新たに生まれてくる子供の名前を語り合います。
しかし物語は終わりません。ニュースで世界規模の地震が報じられ、カメラはロサンゼルスのバーへ。そこで働く女性の名札には「ALICE」の文字。境界が新たな位相へ拡がる予感だけを残し、シーズン3は幕を下ろしました。

今際の国のアリス(シーズン3)の感想&考察

シーズン3を全て観終えて感じたのは、一言で言えば「賛否両論が分かれる出来」だったということです。
原作漫画にない完全オリジナルストーリーに挑戦した意欲は評価できますが、その分シナリオの粗さや設定面の甘さが目立つ印象も否めません。
キャラクター面の物足りなさ
まず新キャラのリュウジに関しては、設定が曖昧で感情移入しづらかった印象です。彼は「死の世界に憧れる」という危うい人物でしたが、動機は野心や興味本位に近く、切実さが欠けていました。亡くなった教え子との関係をより掘り下げれば、なぜそこまで死後の世界に固執したのか重みが増したはずです。
またウサギの行動にも違和感が残りました。リュウジに「父に会えるかも」と唆されただけで、夫のアリスに何も相談せず危険な行動に出たのは軽率に感じます。シーズン1・2で大きく成長した彼女だからこそ、なおさら疑問が残る展開でした。
さらにアリスやウサギ、他の生存者たちが記憶を取り戻した後の心理描写が不足していたのも惜しい点です。過去の仲間の死や再びゲームに戻された怒りや悲しみをどう受け止めたのか、その葛藤をもっと描いてほしかったところです。
ゲーム内容の評価
シーズン1・2では知略戦や心理戦などバリエーション豊かなデスゲームが観客を唸らせました。しかしシーズン3のゲームは全体的に単調で、運任せの要素が強かった印象です。
- 「おみくじ」:アイデアは面白いものの、結局は屋台に隠れて火矢を防ぐという力技で解決。最初から全員で隠れていればいいのでは?と突っ込みたくなる展開でした。
- 「ゾンビ狩り」:ゲーム性はありましたが、「ゾンビを増やせば勝てる」と数学的に見抜けてしまう簡単さがあり、驚きは薄め。ただしアリスの機転自体は爽快でした。
- 「暴走電車」:完全に運頼みで、戦略性に欠けていたため緊張感よりも拍子抜け感が強かったです。
- 「東京ビンゴタワー」:迫力はありましたが体力勝負に偏り、頭脳戦らしさが少なかった印象です。
- 「かんけり」:派手なシチュエーションでしたが、「敵を先に排除してから缶を蹴ればよいのでは?」と考える余地があり、緊張感が削がれました。
- 「ミライすごろく」:未来を見せる仕掛けは興味深かったものの映像が煩雑で見づらく、なぜ未来が確定するのかという理屈も不十分。最終的にルールがバンダ都合で歪められ、視聴者としては「それは反則では?」と苛立ちを覚える場面もありました。
ネガティブな声と私自身の違和感
シーズン1・2が完成度の高いストーリーだっただけに、どうしても比較してしまいます。
ネット上でも「期待外れだった」「新キャラが不要だった」という声が多く見られました。私自身もシーズン2のラスト(ハートの女王との心理戦)があまりに鮮烈だったため、シーズン3の展開にはもどかしさを感じました。
良かった点と光った演出
一方で良かった点も確かにありました。キャストの熱演は素晴らしく、山﨑賢人さん(土屋太鳳さんとの掛け合いも含め)は成長を感じさせました。特に渡辺謙さんがジョーカー役で登場した場面は圧巻で、シーズン全体を引き締める重厚感がありました。
また、終盤のカウンセリングシーンでシーズン1・2のキャラクターが再登場したのはファンにとって最高のご褒美でした。
クイナの和解、アグニの遺志継承、ヘイヤの活躍、ニラギの更生、チシヤとのやり取りなど、それぞれのキャラクターらしい未来が短い中に描かれ、胸が熱くなりました。特にチシヤとアリスの再会には深い余韻がありました。
テーマ性とラストシーンの意味
テーマ面では「生と死の狭間で人は何を選ぶか」という問いかけが重厚に描かれていました。アリスはウサギと子供という存在があったからこそ現実を選び、リュウジは孤独の末に死を選び、バンダは歪んだ執着から狭間に留まろうとした。
対比を通じて「人は一人では生きられない、生きる意味は他者との未来にある」というメッセージが強く伝わってきました。
ラストのロサンゼルスのバーで「Alice」と名札を付けたウェイトレスが映る演出は、次のシーズンやスピンオフを示唆するものでしょう。もしシーズン4が制作されるなら、日本の物語は一旦完結し、新天地での“今際の国”が描かれるのかもしれません。
総評
シーズン3は荒削りでツッコミどころも多い一方、キャストの演技や演出に救われた作品でした。アリスとウサギが掴んだ幸福な結末はファンとして嬉しく、命の大切さや生きる意味を改めて考えさせられます。続編の有無は不明ですが、この独特な世界観にはまだ広がりがあるはず。今後の展開に期待したいと思います。
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