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今際の国のアリス(シーズン3)2話ネタバレ感想とあらすじ・考察。おみくじとゾンビゲーム開始

今際の国のアリスのシーズン3の2話ネタバレ感想とあらすじ・考察。おみくじとゾンビゲーム開始

Netflixオリジナルドラマ『今際の国のアリス』シーズン3第2話は、第1話の衝撃的な展開を受けて物語がさらに加速していきます。

記憶を失ったまま現実世界で結婚生活を送っていたアリスとウサギ

しかしウサギの失踪と妊娠、そしてジョーカーのカードの出現によって、再び“今際の国”の影が忍び寄ります。松山龍司と謎の男バンダの動きも絡み合い、物語は一層複雑に。

第2話ではアリスが再び命懸けのゲームへと足を踏み入れる過程が描かれ、シリーズ最大の謎「ジョーカーの正体」に近づく重要な回となっています。本記事では、第2話のあらすじや見どころ、の感想・考察をお届けします。

目次

今際の国のアリス(シーズン3)2話の見どころ

今際の国のアリス(シーズン3)2話の見どころ

第2話は、神社の〈おみくじ〉×研究施設の〈ゾンビ狩り〉という異種二本立て。前半で「数字で生を測る」緊張を最大化し、後半で「人間関係で生を設計する」難しさへシフトする構成が秀逸。こうだからこう、だから面白いが論理で積み上がる一話だ。

① 計測→関係へ主題がスライド

〈おみくじ〉は誤差=制裁(火矢)の冷徹なルール。

正解に至れなくても被害最小化の導線を読めば生き残れる——アリスが“答え”より“抜け道”を選ぶのが痛快

ここで数字に従う世界を描き切ったあと、〈ゾンビ狩り〉ではワクチンは自分に使えないという非対称が、他者へ委ねるしかない世界を立ち上げる。主題のピントがきれいに移る。

② ルールが生む心理戦のうねり

〈ゾンビ狩り〉の肝は感染の可視化抑止としてのショットガン。アリスの「感染系統を証言で辿り、最小手でワクチンを撃つ」提案は合意設計として合理

一方でレイの〈信頼バリケード〉は“ゾンビの露出コスト>利得”を作る社会工学的策。だが即時排除を志向する強硬派が割り込み、短期合理が長期秩序を壊す瞬間が生々しい。

③ 画と音がテーマを可視化

神社は広角の引き+矢のリズムで“計測の恐怖”を身体化。空がオレンジに染まるカットは誤差の累積=終末色として強烈。

施設では狭い廊下の切り返しと足音/囁きが“人と人の距離”を測らせる。数字は静か、関係はうるさい——演出が主題を支える。

④ キャラクターの両義性が次回を熱くする

秩序を設計しながら混沌を愉しむレイの二面性、合理と短絡の境に立つアリスの抑止設計

二人の“設計図”が愛と裏切り抑止と暴発の間でどう揺れるか——続話の心理戦が論理的に待ち遠しくなる仕上がりだ。

今際の国のアリス(シーズン3)2話のあらすじ&ネタバレ

今際の国のアリス(シーズン3)2話のあらすじ&ネタバレ

第2話は、第1話ラストの直後から始まる。ウサギを取り戻すため“今際の国”へ再び身を投じたアリスは、到着するやいなや最初の“げぇむ”に巻き込まれる。

本話は神社の〈おみくじ〉と研究施設の〈ゾンビ狩り〉という、まったく性質の異なる2ゲームで構成されるのが特徴だ。

前半は“運”と“数理”がプレイヤーを選別し、後半は“信頼”と“裏切り”が陣営を塗り替えていく。

要点を先取りすると――こうだからこうで筋が通る。

①おみくじは“誤差=制裁”という計測型デスゲームで、正攻法(正答)と脱線法(脱出経路)の二層解が仕込まれている。
②ゾンビ狩りはカードの強さよりワクチン運用と証言の信頼度が勝敗を左右する社会心理ゲーム

以下、ディテールとともに順を追って記す。


神社で始まる〈おみくじ〉:ルールと初動

会場は無人の神社。スピーカーのアナウンスがゲーム名「Sacred Fortunes(おみくじ)」を告げる。ルールはシンプルだが苛烈だ。

  • 全10ラウンドで、参加者はひとり一度だけくじを引ける。
  • 制限時間は1分引き直し不可
  • 札の内容は“当たり”めいた吉札や、数式・推測を要求する札など多種。
  • 数札に誤答した場合、正解との差分の数だけ空から火矢が降る。差が大きいほど制裁は激化する。

はじめは勝手がわからず、参加者たちは“安全圏”の読み違いで右往左往

石柱や鳥居の陰へ飛び込むタイミングを一瞬でも誤れば、矢が肩口や腹部に突き刺さる。序盤から数人が倒れ、このゲームが“知力×反射神経×胆力”の同時試験であることを思い知らされる。

矢の雨、即死の連鎖:ラウンドが削っていくもの

ラウンドが進むたび、問題は正答までの距離感を測る設問へとシフトする。

確率・比率・人口統計など、「ピタリ」よりも“誤差を最小化せよ”と迫る問いに、参加者たちは保身のための“近似値の勘”を働かせるが、1や2の誤差でも矢は落ちる。この“誤差=制裁”の設計が巧妙で、「答えを出すまでの1分」がプレイヤーの思考の質動きの質を同時に炙り出す。

アリスは周囲の挙動と矢の落ち方を観察しながら、自分のターンに備えて境内の地形・退避経路を頭に描き始める。こうだからこう――誤差は避けられない、ならば被害の最小化を前提に出題の癖と会場の「逃げ道」を同時に読む、というのがアリスの方針だ。

最終ラウンド:世界人口の“100,000,000”と、北西の抜け道

第10回、いよいよアリスが引く。お題は“世界人口”

アリスの回答は正解から1億のズレを生み、空はほぼ黒い矢で覆われる。

ここでアリスは正面突破(正答)を捨て、これまでの札に書かれてきた“方角”や“吉凶の示唆”会場の安全導線のヒントに化けていると確信。「北西」の示しを頼りに境内の石垣の継ぎ目を走査し、地下へ降りる通路を発見する。残存メンバーを促して駆け込み、会場離脱=ゲームクリア。

ここで生き延びた顔ぶれ――テツ(短気で依存症気味)/サチコ(DV被害の主婦)/カズヤ(元ヤクザ)/ノブ(引きこもり)/シオン(観察系の理性派)/ナツ(快活な若手)――は、のちのゲームでそれぞれ“信頼の足し引き”に関与していく。

一息ついた廃モール:ジョーカーの痕跡と、記憶のざわめき

地下道の先は閉鎖されたショッピングモール

次の案内が出るまでの間、彼らは身を休め、互いの素性やここに来るまでの経緯を話し合う。驚くべきは、全員が“似た形式”で招かれ、ポケットに<ジョーカー>のカードを忍ばせていることだ。

さらに、記憶の靄の向こうから以前も今際の国のゲームを経験したような感覚が戻り始める。ただしビザ(前シーズンの“延命日数”)の縛りは見当たらず、「ゲーム→ゲーム」へとほぼ直通で投げ込まれる運用らしい。休息の猶予は短い。掲示が告げる次の会場へ向かう。

研究施設の〈ゾンビ狩り〉:ルールは“カード”だが、中身は“人間”

会場は無機質な研究施設。ここからが第2話の後半戦だ。ベースはカード勝負だが、実際に問われるのは“人間の扱い方”。ルールのフレームを整理する。

  • 各参加者は7枚の手札を配られる。
  • 施設内の卓で1対1の勝負を行い、同じマークのトランプの合計が高い方が勝ち。勝者は相手の手札から1枚を奪取
  • 特殊カードは3種。
    • ゾンビ:その勝負に無条件勝利。敗者は感染し、自分の手札にもゾンビが追加される(=次戦以降、陣営を侵食)。
    • ショットガン:1回限り任意使用。ゾンビには有効(排除)が、人間には無効。使用後は消滅。
    • ワクチン:ゾンビの効果を無効化して人間に戻す。ただし自分には使えないうえに配布はランダム。
  • 全20ラウンド終了時、人間陣営 vs ゾンビ陣営人数が多い側が勝利少ない側は全滅
  • 施設は開始時4グループに分けられ、ゾンビカードは各組に1枚(計4枚)。つまり感染の初期ノードは4つ存在する。

ここまで読むと“カードの強さ”のゲームに見える。だが実質は、ワクチン(=他者の善意/介入)が自分に使えないという仕様が、“自分は他者に委ねるしかない”という非対称の依存関係を作る。ゆえに、勝ち筋の中心はカード計算より「誰を信用し、誰を晒すか」へと移動する。これが〈ゾンビ狩り〉最大のいやらしさだ。

アリスの方針:“感染系統の可視化”と“非暴力の枠組み”

早々にアリスは卓上対戦をこなしながら、視線と手つきの違和感から既感染者を見抜く。強硬派は「ショットガンで即排除」を主張するが、アリスは“ワクチンを節約しつつ、証言で感染経路を遡る”枠組みを提案する。

こうだからこう――ワクチンは自分には撃てない。ならば、感染者自身に「誰にやられたか」を名指しさせることで感染グラフを作り、ノード(感染源)にワクチンを最小回数で打ち込む。

万が一の裏切りにはショットガンを抑止力として掲げる。非暴力と抑止の二重線で、ムダな流血を回避しながら人間の数的優位を維持する――筋は通っている。

レイの〈信頼バリケード〉:心理でゾンビを凍らせる

ここで前に出るのが、青髪のレイ。彼女はアリス案を社会工学的に増幅させる。要点は二つ。

  1. 「ワクチン枚数は十分ある」と見せる演出で、ゾンビに“露出”のコストを悟らせ、動きを抑止。
  2. 数札の偏在を避けて“数字格差”を消すことで、「あの卓なら勝てる」誘惑を減らす。

この〈信頼バリケード〉は、“信用があるときにだけ成立する防御壁”だ。

ワクチンが自分に使えない以上、「いつかは他人から救ってもらう」前提を皆が飲み込む必要がある。疑心暗鬼を“外へ”向けさせる見事な設計で、一時的に場は安定へ向かう。

強硬派の台頭:イケノとカズヤが均衡を壊す

しかし、合意は意外と脆い

イケノが「ショットガンでゾンビを狩れば、人間の数が伸びる」と声高に主張し、カズヤが実行してゾンビ持ちを一人仕留めて戻る

その瞬間、ゾンビ陣営は“守り”から“攻め”へ。廊下や踊り場での小競り合いが連鎖し、〈信頼バリケード〉の外縁から感染の跳ね火が走る。

アリスが事態収拾に奔走する一方で、レイは「面白くなってきた」とさえ言い放つ。この反応が示すのは、彼女が理想の秩序の維持より“ゲームとしての刺激”に頓着している可能性だ。味方か撹乱者か、その輪郭はさらに曖昧になる。

次回への持ち越し:ウサギとの“最悪の巡り合わせ”を示唆

アリスはウサギの所在に神経を尖らせるが、トーナメント式の巡回ゆえに“敵卓で鉢合わせ”という最悪の展開もあり得る。

第2話は決着前で幕。「感染拡大 vs 抑止」の綱引きが極限まで張り詰めたところで、勝敗とレイの本心は第3話へと送られる。

主要人物の“この回の立ち位置”(簡易メモ)

  • アリス:おみくじでは脱出経路の読解で生還。ゾンビ狩りでは非暴力フレーム(感染系統の可視化+ワクチン最小運用)を提示。
  • レイ:〈信頼バリケード〉を提案し秩序回復に寄与するが、局面の“混沌”を喜ぶ素振りも。味方/撹乱の両義性を帯びる。
  • イケノ:ショットガン即時活用派。合理の名で暴発のリスクを場に持ち込む。
  • カズヤ:実働部隊。ゾンビ持ちを排除して帰還し、バランスを崩す導火線に。
  • テツ/サチコ/ノブ/シオン/ナツ:おみくじからの生存者。卓の入れ替わりで感染網証言網に絡み、結果に影響する“石”となる。

今際の国のアリス(シーズン3)2話の感想&考察

今際の国のアリス(シーズン3)2話の感想&考察

第2話は、神社の〈おみくじ〉と研究施設の〈ゾンビ狩り〉という性格のまったく異なる2ゲームで構成される。結論から言えば、本話は「数字で世界を測る」前半と「人間で世界を測る」後半の二部構成で、シリーズが一貫して問いかけてきた〈生きるとは何か〉を、“誤差”と“信頼”という対照的なレンズで拡大する回だった。

以下、筆者視点こうだからこう、だから面白いを積み上げていく。

1) 総評:第2話は“計測”から“関係”へと主題のピントを移す回

前半〈おみくじ〉は正しさの誤差=制裁という残酷な物理法則で、プレイヤーを数字に従わせるゲーム。

後半〈ゾンビ狩り〉はカード計算を踏み台に、人と人の距離の取り方を競わせるゲーム。数字に従うと生き延びる世界から、人に委ねないと生き延びられない世界に、主題のピントを明快にスライドさせる。

ここが第2話の骨格で、構造がわかると見え方が一段クリアになる

2) 〈おみくじ〉の設計:誤差=制裁という“教育的残酷さ”

数式に1でも2でもズレれば矢が落ちる──この設計は単なる嫌がらせではない。

「不完全な認識が命取りになる」ことを、身体に刻ませる教育的な残酷さだ。正解を当てるよりも、誤差を最小化する“近似の習慣”を要求してくる。
ポイントは二つ。

  • 時間制限1分が“思考と行動の連結”を強制し、動ける思考こそ正義にする。
  • 当たり札(吉方)もヒントとして働く。数当てに失敗しても、場の地形や方角に“逃れの文法”が残されている。

だからアリスの突破法──方角情報を“空間の構文”に読み替え、北西の地下へ抜ける──は、「数字から世界を読む」から「世界から数字を読む」へ、視点を反転させる解法になっている。こうだからこう:問題の答えは一つだが、世界の抜け道は複数ある。この逆説が本シリーズの知恵の在り方だ。

3) アリスの“読み”:正答主義より被害最小主義

アリスは「当てる」より「死なない」を最優先する。誤差は必ず出るならば被害を最小化する導線を読む逃げ道は札の言葉の外側にある、という三段論法。これは合理の再定義だ。

従来のデスゲーム物は正解=生を強調しがちだが、ここでは正解に到達できない状況でも最終的な生存を設計する姿勢が称揚される。

正しさの総和ではなく、生存の総和。この視点は後半の〈ゾンビ狩り〉に滑らかにつながる。

4) インタールード:モールの会話が示す“ジョーカー・ステージ”の性質

廃モールでの一幕は情報の小出しだが、全員が似た勧誘ルートで呼び戻され、ジョーカーカードを持つという共通点が強い。

「ビザによる猶予」が消え、ゲームからゲームへ“休みなく投げ込む”流れになっている点も、ジョーカー・ステージ=生死の境の“滞在権”が剥奪された段階と読める。

時間で生かさず、選択で生かす──この窒息感が、後半の“関係の設計”をより切迫させる。

5) 〈ゾンビ狩り〉の核心:カードゲームに見せかけた“信頼ゲーム”

ルール自体は明快だが、要は「自分には使えないワクチン」がすべてを社会心理に引きずり出す。ワクチンは他者の手を通じてしか届かない→私は私の生存を他人に委任するしかない→委任の設計=信頼の設計が勝敗を左右する。

ここが秀逸。カードの強弱が事前確率、信頼の配置事後分布を決める、みたいな構造になっている。計算(数)から関係(人)へ

第2話のテーマ転換がここで完成する。


6) アリスの提案:感染系統の可視化+抑止としてのショットガン

アリスはむやみに撃たない

やるべきことは「誰が誰を感染させたか」という有向グラフの復元

感染ソースさえ潰せば、ワクチンは最小手数で効く。そして裏切りの抑止としてショットガンを“使うかもしれない”位置に置く

こうだからこう完全な協調は崩れるだから抑止を同居させる抑止が働くと使わずに済む。この「使わないために、使う可能性を掲げる」設計が理詰めで気持ちいい。アリスの“倫理的ミニマックス”が光る。

7) レイの〈信頼バリケード〉:信頼は設計できる、が“刺激”は信頼を壊す

青髪のレイが提示する〈信頼バリケード〉は、「ワクチンは足りている」という認知を場に流通させ、ゾンビの露出コスト>露出利得の状況を作る発想。さらに数札の分配を均すことで、「あの卓なら勝てる」動機を弱める

ただし信頼の設計は刺激に弱い

イケノの強硬論カズヤの実弾(ショットガン)が飛び込むと、恐怖の局所最適(撃って安心)が“合理”に見え始める。ここで興味深いのはレイ自身が混沌を好む素振りを見せること。設計者が刺激を愛すると、設計は崩壊する。レイは秩序の友であり、混乱の友でもある。この両義性が次話以降の地雷になる。

8) イケノとカズヤ:合理の顔をした“短絡”が合意を破壊する

イケノは「ゾンビを間引けば人間が増える」という一見筋の通るロジックを掲げる。

だがワクチンのランダム性と自分には使えない制約を無視しており、「短期利得が長期損失を上回る」錯覚に陥っている。カズヤが実行してしまうことで、恐怖が次の恐怖を呼ぶ負の連鎖に火がつく。結果、〈信頼バリケード〉の外縁から感染が再加速。

こうだからこう個の合理集団の非合理を誘発する。

ゾンビ狩りはこの“囚人のジレンマの群衆版”を生々しく可視化してみせる。

9) 映像・音・編集:数字と関係の“手触り”を切り替える演出

神社パートの広角の引きと矢の落下を数えるリズムは、“計測される恐怖”を体に入れる。

火矢の雨で空がオレンジに染まる画は、誤差の累積=終末の色として記憶に残る。対して施設パートは、廊下や卓の切り返し、耳の近くで鳴る足音/囁きで“関係の距離”を測らせる。

音の情報量が増えるのも良い。数字の世界は静かで、関係の世界はうるさい。このスイッチが主題転換と美しく同期する。

10) シーズン比較:S1の“発見”、S2の“選別”を踏まえたS3の“設計”

S1は「世界が無人化する」発見の驚き、S2は「絵札戦での能力選別」が軸。S3はそこに“ジョーカーステージ=関係の再設計”を持ち込む。

ビザ制の緩和(というより撤廃)で時間の縛りを外し、選択と配置の縛りを強める。時間→関係への置き換えは、シリーズに新しい緊張を与えつつ、アリスの“論理で世界を書き換える力”をより鮮明にしている。

11) 倫理の再定義:正しさより「生き残らせる設計」

〈おみくじ〉では正しさの誤差を小さくする設計、〈ゾンビ狩り〉では他者にワクチンを“撃たせる”設計が求められる。いずれも、善悪ではなく生存の最適化に軸足を置く倫理だ。

これは「正義のために人を撃つ」ことと「人を撃たせないために抑止を置く」ことを峻別するアリスの姿勢に繋がる。撃つための銃ではなく、撃たなくて済む秩序。

12) レイという“観客”の可能性:面白がる者はルールを壊す

レイは、秩序を設計しつつ「面白くなってきた」と言ってしまう人間だ。

ゲームの最適化と物語の刺激はしばしば対立する。彼女が「観客性」を帯びている限り、秩序側に立っても最後の瞬間に“劇的な方”を選ぶ危険がある。

だからこそ彼女は魅力的で、危なっかしい。設計者であり破壊者。このキャラクターはS3の肝だと思う。

13) ゾンビ狩り:ミクロの戦術メモ(YUKI流に“次話の見どころ”を整理)

  • 感染系統の可視化は、ゾンビの“木構造”を潰す発想。ワクチンは根に打て。
  • ショットガンの使いどころは、抑止から逸脱した瞬間に限定しないと逆効果。撃つほど秩序は縮む。
  • 数札の偏在解消は、卓移動の動機を弱めるので、乱戦の芽摘みとして効く。
  • “ウサギと当たる”最悪の巡り合わせが常にあり得る。合理より関係が優先される瞬間をどう処理するかが、アリスの試金石。

14) 演出の“暗黙の問い”に答える:なぜ今“ゾンビ”なのか?

ゾンビは“感染の可視化”という物語的装置であると同時に、「他者の恐怖が私を定義する」というテーマのメタファーでもある。

自分1人では人間でいられない──だから他者の一手(ワクチン)に救われるしかない。自主独立の英雄譚ではなく、共同体の設計譚へ。S3の成熟はここにある。

15) 個人的ベストショット&ベストモーメント

  • 火矢が空を覆いオレンジ色に染まる神社:誤差の累積が風景の色を変える瞬間。数字が世界を塗り替えるという強い画。
  • 廃モールの静けさ:人のいない商業空間は、価値交換が停止した現実世界のメタファー。ここから“人間のやりとり”が再起動するのが巧い。
  • レイの無邪気な笑顔:秩序を設計した当人が混沌を愉しむという反照。1カットで彼女の危うさがわかる。

16) まとめ:数字→関係のスイッチをきっちり効かせ、次回の心理戦を最大化

第2話は、計測(おみくじ)から関係(ゾンビ狩り)への主題転換を、ルール・画作り・台詞の三点で綺麗に完了させた。こうだからこう、だから面白いの最後の一行はこうなる。

  • 数字は世界を読むための道具、関係は世界を生き延びるための道具。
  • アリスは前者で“抜け道”を見つけ、後者で“譲り合いの仕組み”を作ろうとする。
  • しかし世界は常に短絡と刺激に引き戻される。そこで抑止と信頼の釣り合いを再設計できるか──それがS3の賭けだ。

次話で〈ゾンビ狩り〉がどこへ転ぶのか。レイの“観客性”が秩序に味方するのか混沌に転ぶのか。アリスとウサギが“敵卓”で対峙したとき、理性は愛に勝てるのか。第2話は、それらすべてを論理的に待ち遠しくする導入として、実に盤石だった。

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