第4話の「こちら予備自衛英雄補?!」は、会議室コメディが一瞬でサバイバルに切り替わる回です。
盗聴疑惑と不信感が渦巻く中で明かされるのは、しょぼくて代償だらけの能力と、それを背負ってきた人生。
疑い合っている場合じゃない――命の危機が訪れたとき、7人は初めて同じ方向を向くことになります。
こちら予備自衛英雄補?!(こち予備)4話のあらすじ&ネタバレ

第4話「ウチらの能力しょぼくね?」は、“クセ能力者”たちの会議室コメディが、いきなりサバイバルに切り替わる回でした。笑えるのに、笑っていいのか迷う。軽い言葉の奥に、ずしっと現実が落ちてくる。そんな回です。ここから先は結末まで触れるので、未視聴の方はご注意ください。
この作品の面白さって、能力バトルじゃなくて「能力のせいで人生がこじれた人たちが、国家規模の計画に巻き込まれる」ところなんですよね。
ナガレは“嘘をつくと30センチ浮く”から嘘をつかずに生きてきた結果、恋愛も就職も失敗続き。サエは“痛みや病を近くの人に移す”せいで、人に近づけない。フジワラは高揚すると50メートルほど跳ぶのに制御不能。サピピの能力はまだ不明で、分からないまま会議室の空気をかき回す。能力が「才能」じゃなく「呪い」に近い形で描かれているから、ヒーロー物なのに地に足がついてる。
そして第4話は、その“呪い”を背負った7人が、ついに「命の危機」を共有する回。疑い合っている場合じゃない状況が、無理やり作られます。だからこそ、会議室での小さな視線や沈黙が、いつも以上に刺さるんです。
前回までの火種:盗聴器とミズノの“罪”が残した不信感
第4話は“いきなり監禁”に見えるけれど、火種は前回からちゃんと燻っていました。
前回(第3話)ではミズノの過去が明かされ、彼が「ある罪を犯さないと能力が発動しない」こと、そしてそのことで周囲から誤解され続けてきたことが語られています。さらに同時進行で、拘置所では死刑執行が告げられる人物も描かれ、物語の外側に不穏が置かれていました。
つまり第4話の会議室は、最初から“疑う準備が整っている”空間なんです。誰もが自分の過去を隠しきれず、でも完全には打ち明けきれていない。そこで盗聴器が消えたら、疑いは一気に爆発する。笑えるくらい狭い会議室が、息が詰まるくらい広い闇につながっていく――この作品の怖さってそこにあります。
会議室の空気が最悪で始まる:チュータが糸で縛られている
舞台は例の第6会議室。ドアを開けた瞬間、いきなり目に飛び込んでくるのが、椅子に縛りつけられているチュータ(森永悠希)です。縛っているのは、ミズノ(戸次重幸)が放った“尻から噴射された糸”。状況だけで情報量が多すぎるのに、チュータ本人は「助けて!」「違う!」と必死で、部屋の空気はすでにギリギリ。
会議室の中には、すでに数人がいて、チュータを“逃がさない”空気が出来上がっている。ユタニは体格も存在感も大きく、立っているだけで圧になるタイプ。サピピはサバサバしたギャルで、空気を読まずに本音が飛ぶ。フジワラは86歳の不屈のばあちゃんで、口が悪いし人を信用していない。誰がどう見ても「取り調べ」みたいな場になっていて、チュータの居場所はゼロです。
ミズノに縛られている時点で、チュータはもう“クロ”に近い扱い。けれどチュータは「盗聴器は拾っただけ」と言い張る。ここで難しいのが、ミズノがただ怒ってるだけじゃなく、“盗聴器そのもの”が怖いってこと。会議室の会話が誰かに聞かれている。つまり自分たちの過去も、弱みも、国の思惑も、全部どこかに流れているかもしれない。ミズノの糸は、チュータを縛っているようで、実は「不安」を縛りつけたい衝動にも見えてきます。
遅れて会議室に入ってきたのはナガレ(菊池風磨)とサエ(のん)。2人は事情を聞いて、まず「盗聴器が消えた」こと、そしてその盗聴器をチュータが盗んだ疑いをかけられていることを把握します。ここまでの流れでメンバーは、すでに“互いの過去”を少しずつ知ってしまっている。だから余計に、疑いの矛先が鋭くなるんですよね。
「拾った」では済まない:バッグから出てくる“みんなの持ち物”
チュータは最初、「盗聴器は拾っただけ」と否定します。言い訳というより“生き延びるための反射”みたいな否定。けれどこの回、決定的に空気が変わるのは、チュータのバッグの中身がひっくり返された瞬間です。
盗聴器だけじゃない。ナガレたち、ほかのメンバーの私物まで、次々と出てきてしまう。疑いが「勘」から「状況証拠」に変わると、部屋の温度が一段下がります。誰かが怒鳴るわけじゃないのに、視線だけで追い詰められる。こういう“静かな糾弾”って、正直いちばん刺さるやつ。
しかもこの「私物」が厄介なのは、ただの物じゃないところ。生活の塊を盗まれると、人は一気に“自分の領域”を荒らされた気分になる。
ここに集められた7人は、ただでさえ人生の足場が不安定で、やっと掴みかけた居場所がこの会議室なのに、そこまで荒らされる。チュータが盗んだのは物だけじゃなく、安心感なんですよね。
「いつの間に?」って顔が揃うのも怖い。気づかないうちに近づかれて、気づかないうちに持っていかれる。盗みって、暴力より静かで、だからこそ気持ち悪い。しかも盗んだ相手が“仲間(候補)”となると、ダメージは倍です。会議室の空気が「怒り」より「気味悪さ」に寄っていくのが、じわじわ効きます。
ここで面白いのが、メンバーのリアクションの差です。サエは理屈っぽく論理的思考が好きなタイプなので、感情より先に「どういう経路で盗んだか」「いつ盗んだか」を整理しようとする。サピピは大人にも遠慮なく本音を言うタイプだから、怒りを隠さない。フジワラはそもそも人を信用していないから、疑うこと自体に躊躇がない。ユタニは筋肉と正義感で動くタイプなので、「まず守る」「まず止める」が先に来る。全員の性格が、そのまま“裁き方”に出てくるんです。
そして、ナガレが辛い。ナガレは嘘をつくと浮くから嘘をつけない。
つまり彼は、嘘が溢れる場面にいるだけで、どこか居心地が悪い人でもある。そんなナガレの前で「拾っただけ」と言い張るチュータ。そこに漂う“嘘の匂い”。ナガレの視線が刺さった瞬間、チュータの心臓はさらに縮みます。
不幸に憧れる万引きヒーロー:チュータの告白と、はずかしさの正体
追い詰められたチュータは、自分の秘密を打ち明けます。この回の肩書きが「不幸に憧れる?!万引きヒーロー」。つまりチュータは、単純な“悪意の泥棒”というより、心の歪みを抱えているタイプです。
彼は弁護士の両親を持ち、裕福で恵まれた家庭に育った“お坊ちゃん”。周囲から見れば、何も困っていない人生。けれど本人の中では逆で、「恵まれすぎている自分」がずっと居心地悪かった。努力で勝ち取ったわけじゃないのに、最初から与えられてしまっている。だからこそ、誰かの痛みを“自分のこと”として掴みにくいし、逆に、痛みを持っている人が眩しく見えてしまう。
ここが難しいところで、恵まれていることは罪じゃない。でも“恵まれていること”が本人の中でコンプレックスになると、人生の感情の置き場がなくなる。嬉しいはずなのに嬉しくない。幸せなのに満たされない。そういう空洞を埋めるために、人は時々、間違ったことをする。チュータはたぶん、そのタイプです。
「不幸に憧れる」って、言葉にすると軽く聞こえるんだけど、本人にとっては、人生の輪郭を作るための最後の手段みたいなもの。盗むことで怒られる。疑われる。嫌われる。失う。そうやって“マイナス”を経験して、ようやく自分が地面に立っている感じがする。チュータの告白は、同情できる部分と「だからってやっていいわけじゃない」の両方が同時に来ます。
そしてこの回、チュータの痛みは「罪悪感」だけじゃなく「はずかしさ」です。自分の歪みを人に見られる恥ずかしさ。優等生の仮面が剥がれて、ただの弱い人間としてそこにいる恥ずかしさ。しかも相手は、“国に集められたクセ者たち”。他人の闇に触れてきた人たちだから、なおさら見透かされる怖さがある。
それでもチュータが口を開くのは、ここで黙ったら終わるから。会議室の視線は冷たい。でも、冷たい視線の中でも「話せる」ことが、彼の唯一の前進になる。たぶんこの回、チュータは初めて、“自分の幸せ”じゃなく“自分の弱さ”を差し出したんだと思います。
観念動力のリアル:痛みで2センチ動くだけの能力が突きつける現実
汚名をそそぐように、チュータは自分の能力を披露します。能力名は「観念動力」。いわゆる念動力、物を動かす力です。……ここだけ切り取ると、ちょっと“ヒーローっぽい”。でもこのドラマは、そこを必ず裏返してくる。
チュータの観念動力は、痛みを感じるたびに発動する。ただし動かせる距離は、痛み1回につき約2センチ程度。つまり、映画みたいに机を吹き飛ばすとか、敵を壁に叩きつけるとか、そういう派手さはない。むしろ「2センチ」の積み重ね。地味で静かで、でも本人にとっては確かに“力”。
この「2センチ」が、笑えるようで笑えない。だってここに集められた7人は、“ヒーロー候補”として何かを背負わされているのに、出てくる能力がどれもクセ強で、微妙で、しかも本人たちの人生はわりと詰んでる。第4話のタイトル「ウチらの能力しょぼくね?」って、軽口に見えて、現実の重さそのものなんです。
ナガレは嘘をつけば浮くから嘘をつけない。サエは痛みを移せるけど、人に近づけない。ミズノは糸を操れるのに、能力のせいで誤解され続けてきた。ユタニは融合転生で誰かと一体化できるけど、“誰と融合するか”で自分の輪郭がぼやける怖さもある。フジワラは高く跳べるけど制御できない。サピピは能力不明のまま、誰より口が強い。みんな、能力があるのに、それを“武器”として使い切れないもどかしさを抱えてる。
そして、この場面がきついのは「能力のコスト」が見えるからです。チュータは動かすために痛みが必要。サエは痛みを移す以上、自分の手を汚す感覚がつきまとう。フジワラは跳ぶ=テンションが上がる=制御不能の危うさ。能力が“便利”じゃなく“代償”として描かれているから、会議室での「しょぼい」って言葉が、単なる自虐じゃなくて、人生の疲れとして響きます。
ここで一度、会議室に「諦め」に近い空気が流れるのも分かる。だって、これで国を守れと言われても、ピンと来ない。自分を守るのだってやっとなのに。でも皮肉なことに、この“自分たちのしょぼさを自覚した瞬間”こそが、次の危機を乗り越える土台になります。
銃を持った覆面男が乱入:密室が“檻”になる
能力披露で、ようやくチュータの輪郭が見えた……と思った、その直後。訓練施設に銃を持った覆面の男たちが侵入します。会議室という閉じた場所が、ただの“話し合いの部屋”から、一瞬で“逃げ場のない檻”に変わる。
抵抗する間もなく、ナガレたちは絶体絶命。ここが怖いのは、相手が能力者じゃない可能性が高いことです。こちらの能力が派手じゃない以上、銃という“現実の暴力”が圧倒的に強い。ヒーロー物の文法なら能力で逆転できる。でもこの作品は、能力のスペックが低い分、「やられたら終わり」に近い。
密室で銃口を向けられると、人は“正しい作戦”より先に“体の反応”が出る。固まる、震える、声が出ない。サエみたいに理屈で世界を組み立ててきた人ほど、こういう極限の場面で逃げ場がなくなる。逆にナガレみたいに前に出る人は、出た瞬間に撃たれる危険がある。誰の性格も、長所が短所に反転する。
この時点で会議室は、もう「誰が盗聴器を仕掛けたか」じゃなく「誰が生き残るか」のフェーズ。疑いも怒りも全部いったん棚上げして、今はとにかく目の前の銃口から逃げるしかない。そうやって“命がかかった瞬間”に、人はようやく同じ方向を向ける。皮肉だけど、リアルです。
汚名返上のチャンス:チュータが“動かす”戦いに挑む
ここで鍵になるのが、さっきの「2センチ」です。チュータの観念動力は派手じゃない。でも、派手じゃないからこそ“相手にバレにくい”。覆面男がチュータを「無力な大学生」としか見ていないなら、そこが隙になる。
チュータは汚名返上のためにも、ここで動く。盗んで疑われて、告白して、能力がしょぼくて、みんなに呆れられて――それでも「今ここで役に立たないと、終わる」。この切迫感が、チュータの表情を変えるんです。彼の“憧れた不幸”が、本物の不幸として目の前に来た瞬間でもあるから。
ただ、2センチは2センチ。焦れば焦るほど痛みが必要で、痛みが増えるほど冷静さが削れる。ここでチュータ一人に背負わせたら負ける。しかも覆面男は銃を持っている。能力の発動条件が「痛み」って、相手に気づかれたら一発で終わるし、下手をすると自分だけが先に潰れる。ギリギリの綱渡りです。
だからこの回の肝は、「能力が強いから勝つ」じゃなく、「弱い能力を、どう組み合わせるか」にあります。バラバラの欠点を、組み合わせで“生存戦略”に変える。ここから、会議室が本当の意味で「チームの場所」になっていきます。
連携で乗り切る:ナガレの突進、ミズノの糸、ユタニの融合転生
危機の中で、7人が“クセ能力”を1つの武器に組み立てていきます。まず動くのはナガレ。嘘をつけば浮くという変な制約のせいで、嘘をつかずに生きてきた男が、いざとなったら「先に飛び込む」ことで場の空気を変える。正直さが、勇気になる瞬間。
ここでナガレがすごいのは、ヒーローみたいに強いからじゃないこと。むしろ、強くないことを本人が一番分かってる。それでも、誰かが動かなきゃ全員が終わるから、自分が動く。こういう“損な役回り”を引き受ける人って、現実でも一番頼れるんですよね。
ミズノは自在操糸で攻防を作ります。尻から噴射される糸なんて、言葉だけだとギャグなのに、銃を奪う・腕を絡め取る・相手の動きを止める――やってることはめちゃくちゃ実戦向き。しかもミズノはプライドが高く、誤解され続けてきた人。そんな彼が“守る側”に回ることで、会議室の空気が少しだけ変わるんです。
そして決定打になるのが、ユタニの能力「融合転生」。
ユタニは筋肉ムキムキで、冬でもタンクトップ、プロテインが大好物という濃すぎる男ですが、能力もまた濃い。彼がチュータと融合し、“ユーチュータ”が現れた瞬間、覆面男たちは理解が追いつかず動きが止まります。その「止まった一瞬」を、ナガレとミズノが逃さない。
派手な必殺技じゃない。むしろ、泥臭くて、汗臭くて、みっともないくらい必死。だけど、その必死さが会議室の7人を“同じ側”に寄せていく。チュータが2センチずつ動かす力も、ミズノの糸も、ナガレの突進も、ユタニの融合も、全部が「生き残る」という一点に集まる。ここでようやく、タイトルの自虐が“諦め”じゃなく“団結”に変わる感じがして、ちょっと泣きそうになります。
驚きの黒幕:マドズミが仕掛けた“試験”
覆面男たちを制圧し、やっと息ができる――と思ったところで入ってくるのが、マドズミ(六角精児)です。そしてここで、第4話最大のどんでん返しが来ます。
なんとこの襲撃は、マドズミが差し向けたもの。彼はナガレたちの前に現れ、「みなさんは依頼を受けていただけそうですか」と問いかけます。つまりこれは、事故でもテロでもなく、“試験”。危険を与えて、乗り越えられるかを見る。
ここ、背筋が冷えます。だってマドズミは、怒鳴らないし、焦らないし、感情を見せない。でも淡々と「命が危なかった状況」を作り出す。ヒーローを作る側の倫理が、一般人の感覚とズレてる。しかも彼が求めているのは、たぶん“強さ”だけじゃない。恐怖の中でチームとして動けるか。汚名を着た人間が信頼を取り戻せるか。その“人間の動き”を見ている。だから怖い。
言い換えると、第4話は「能力の試験」じゃなく「人間の試験」です。しょぼい能力しか持っていなくても、連携できるなら武器になる。逆に、どれだけ能力があっても、疑ってバラバラなら終わる。マドズミの一言で、会議室にいた全員がその現実を突きつけられます。
しかも、この“試験”を通されたことで、7人は自分たちが「守られる側」じゃないことを知ってしまう。国家プロジェクトの駒として、いつでも危険に放り込まれる。会議室で築きかけた信頼の横に、もっと大きな不信(国への不信)が立ち上がる。第4話の怖さはそこにもあります。
マドズミが淡々と「依頼」という言葉を出した瞬間、会議室の空気がまた変わるんですよね。さっきまで“襲撃の恐怖”で頭が真っ白だったはずなのに、今度は“利用される恐怖”がじわっと染みてくる。自分たちの命が、誰かの計画のためのチェック項目みたいに扱われた。それを理解した瞬間、人は怒るより先に、背中が冷たくなる。
この時のメンバーの反応が想像しやすいのも、ここまで人物像を積み上げてきたから。ナガレは前に出るタイプだから、怒りや正義感が先に立ちそう。サエは感情を表に出すより、状況を分解して“この先のリスク”を数える。ミズノはもともと警戒心が強いから、マドズミの言葉の裏を読む。
ユタニは単純に「守る」方向へ体が動く。サピピはたぶん「大人って信用できない」と切り捨てるタイプだし、フジワラは戦後の混乱を生き抜いた人だからこそ、国家の“綺麗事”に慣れていない。反応は違っても、全員が同時に「ここは安全じゃない」と理解する瞬間です。
そしてチュータにとっては、ここがいちばん複雑。自分が盗んで疑われて、でも最後は“動いて”助ける側に回った。にもかかわらず、その直後に「これは試験でした」と言われる。努力や勇気でつかんだはずの小さな信頼が、また他人の都合で揺さぶられるんです。チュータが“不幸に憧れる”なんて言っていられない、本物の不幸が、ここから始まる予感がします。
同時進行の不穏:拘置所から死刑囚が脱走
一方その頃、別の場所ではさらに物騒な出来事が進んでいました。
拘置所で、ある死刑囚が脱走したという情報が入ります。前回、死刑執行が告げられた人物の存在が描かれていたので、この脱走は“外側のニュース”ではなく、確実にこの物語へ入り込んでくる火種です。
会議室の襲撃が“仕組まれた危機”だったとしても、脱走はたぶん、誰の台本にも載っていない類の危機。そこで試されるのは、能力の派手さじゃなく、判断の速さと連携の粘りです。第4話でやっと芽が出た“チーム感”が、本物の脅威の前でどうなるのか。視聴者としては、先に答えを知らされてしまう形なので、会議室の安心が続かないことだけが確定してしまう。そこが嫌な緊張感になって残ります。
ここが上手いのは、会議室での襲撃が「試験」だったとしても、外では本物の危険が進んでいる、という構図になっているところ。作られた危機でギリギリの連携ができたとしても、本物の凶悪事件で同じことができるのか。マドズミの言う「依頼」が、その方向にあるのだとしたら――第4話のラストは、勝利のスッキリより先に、胃のあたりに重たいものが残ります。
こちら予備自衛英雄補?!(こち予備)4話の伏線

第4話は「疑いで空気が凍る」→「恐怖で強制的に団結させられる」→「会議室の外で本物の脅威が動き出す」という三段ロケットでした。
笑っていい密室コメディの顔をしながら、最後に“国家案件の匂い”を置いてくるから、余韻がちょっと苦い。ここでは、4話で投げられた伏線を“今後どこで回収されそうか”まで含めて整理します。
チュータの「万引き疑惑」は“信頼残高”のテストだった
ミズノに縛られたチュータが「盗聴器を盗んだ」と詰められるところから始まる4話。さらにカバンからみんなの持ち物が出てきて、疑惑が“確信”に変わってしまう。
ここで刺さるのは、盗みそのものより「一度“疑われる側”に回ると、何を言っても信用が減っていく」空気です。
この空気は、今後も繰り返し使える伏線装置。誰かが失敗した時、能力の弱さ以上に「チームの信用が先に折れる」可能性がある。逆に、信用が回復した瞬間は“戦闘力が上がる”のと同義になるので、次の回収ポイントは「チュータが“信用を取り戻す”具体的な行動」に来そうです。
観念動力(念動系)の条件が危険すぎる:痛み=出力という構造
チュータの能力は、ざっくり言えば念動系。でも第4話で明かされたのは、“痛みがあるほど”能力が動くタイプだということ。しかも動かせる距離まで具体的に示されていて、そこが妙に現実的で怖い。
この条件が提示された時点で、伏線は2本走ります。
- 自傷の伏線:追い込まれた時に「自分を痛めつける選択」を取りがちになる。
- 悪用の伏線:痛みを“誰かに押し付ける”手段があると、一気に倫理が崩れる。
特にサエは「痛みや病気を近くの人に移す」能力の持ち主。ここがチュータと噛み合うと、チームは強くなる。でも同時に「誰が痛みを背負うの?」問題が爆発する。
このドラマ、恋愛より先に“良心”が試されるタイプかもしれません。
ミズノの盗聴器が意味深:そもそも誰を盗聴していたのか
「盗聴器を盗まれた」という事実は、ミズノ側にも爆弾があるってこと。
盗聴器って、“正義の道具”じゃない。誰かを疑っている、誰かを監視している、もしくは自分の身を守る必要がある。
ミズノはプライドが高く、能力のせいで誤解されてきた過去があるから、なおさら「先に疑う」という行動に出やすい。
今後の回収ポイントは大きく3つです。
- 盗聴の対象は誰だったのか(ナガレ?マドズミ?それとも外の人間?)
- 盗聴器の情報はどこに流れていたのか(会議室の外へ)
- ミズノが「縛る」という手段を選ぶほど焦っていた理由
ミズノの糸はコメディ演出として強いけど、同時に「拘束=支配」に直結する能力でもある。笑いの裏で、暴力の伏線が育ってます。
7人で銃を奪えた“連携”は、今後の戦術のひな型になる
覆面集団に追い込まれた後、ナガレたちが「誰かの能力だけで勝つ」んじゃなく、役割分担で銃を奪い返したのが大きい。
この連携が示したのは、「能力が弱いなら、組み合わせで補う」という方向性です。
ここから先、戦闘は“技の派手さ”よりも、
- 事前に条件を共有できているか(チュータは何cm動かせる?など)
- 誰が前に出て誰が支えるか(ナガレの突破力/ミズノの拘束など)
- 成功した時のルートを再現できるか
この“再現性”が伏線。次の本番で同じように動けなかった瞬間、チームの脆さが露呈します。
覆面襲撃の正体が「テスト」だった:守る側が一番怖い説
銃を持った覆面集団が乱入して監禁——ここだけ切り取ると外敵。でも第4話の怖さは、“それが仕込まれていた”ところにある。
つまり、彼らは守られる存在じゃなく、必要なら恐怖で動かされる駒でもある。
この構造が残す伏線は、
- 次のテストはもっと陰湿になるかもしれない
- 本物の襲撃が来ても「また演習でしょ」と油断する地獄がある
- テストを許可した“上の意思”が別にいる可能性
マドズミは真面目で不器用、でも成果を上げて省内で認められたい人。
その焦りが、優しさにも支配にも転ぶ。ここが回収される時、彼の立ち位置が一気に変わりそうです。
ユタニの「融合転生」が実戦投入:合体の副作用は後で必ず効く
ユタニがチュータと合体して、能力を混ぜて突破口を作る。笑えるのに、伏線としては重い。
合体ができる=「役割が入れ替わる」「人格が混ざる」可能性がある。もし合体中の行動が事件化したら、責任は誰が取るのか。戻った後に“感覚”や“記憶”が残るのか。
そして第5話では“次々合体”の気配まである。合体が常套手段になるほど、個々の境界線が曖昧になる。これは、恋愛よりも危険な“依存”の伏線です。
ナガレの「嘘で浮く」能力は、いつか“嘘を選ぶ”伏線になる
ナガレは嘘をつくと浮いてしまう。だから嘘をつかずに生きようとしてきた人。
でも逆に言うと、浮遊は「嘘をついた証拠」でもあり、「嘘をついた瞬間に自分がバレる呪い」でもある。
今後、誰かを守るために嘘をつく必要が出たら?
嘘を選んだ瞬間、ナガレは浮く。つまり“揺れる”。この作品、能力がそのままメンタルの可視化なので、ナガレの浮遊は「信念が折れる回」で一番強い回収が来そうです。
能力が未知のサピピが逆に怖い:最後まで伏せるカードかもしれない
サピピだけ能力が「???」のまま。
これ、単に後出しのワクワクじゃなくて、“情報の非対称”として伏線です。能力が分からない人間は、味方でも敵でも不安になる。
大人たちに遠慮なく本音を言える性格だからこそ、能力が明かされた瞬間に空気をひっくり返す可能性がある。終盤の切り札として、かなり嫌な形で回収されてもおかしくない。
拘置所の脱走で、物語が会議室の外へ:死刑囚シロタのルート
ラストで示された死刑囚の脱走。ここからは、能力コメディだけでは処理できない“現実の暴力”が入ってくる。
この脱走が「テスト」と同じ時間軸で起きているのも不気味で、偶然じゃなく“誰かの筋書き”に見えてしまう。
もしシロタが能力者なら、7人は初めて“同類の敵”と戦うことになる。能力者じゃなくても、国家の情報戦に巻き込まれる。どっちに転んでも、ここが第2章のスタート合図です。
未回収の違和感(毎話追記メモ)
- チュータが盗みを続けた「本当の目的」(承認?依存?指示?)
- 痛みで能力が伸びる構造を、誰が利用しようとするのか
- 盗聴器の“中身”はどこへ(録音データの行方)
- 「テスト」をやれる権限は誰から来ている?(上の意思)
- 脱走と会議室がどこで繋がるのか
こちら予備自衛英雄補?!(こち予備)4話の感想&考察

第4話、いちばん怖かったのは銃でも監禁でもなく、「疑う目」が部屋の温度を下げる瞬間でした。正しいことを言っているはずなのに、言えば言うほど疑われる。逆に、黙れば“やっぱり怪しい”にされる。あの逃げ道のなさって、現実の人間関係でも起きるから、笑える場面のはずなのに胸が冷える。
でも最後は、7人がちゃんと同じ方向を向いた。だからこそ“切ないのに前向き”な後味が残りました。恋愛が動く回というより「信頼が芽を出す回」だったと思います。
チュータの“お坊ちゃんコンプレックス”は、笑えないほどリアル
チュータって、育ちがいい。親は弁護士で、本人もどこか品がある。なのに、本人の中はずっと飢えてる。
「恵まれてるのに苦しい」って、周りに言いづらい。言った瞬間に“贅沢”って返ってくるから。
だから彼は、わざわざ“悪いこと”をして、痛い目を見て、それで自分の存在を確かめる方向に行ってしまう。
しかも能力が「痛みが出力」って残酷すぎる。ドラマが彼に「痛いなら、もっと痛くなれ」と迫ってくる構造なんですよね。
救い方を間違えたら、彼は“役に立つため”に自分を壊す。私はそこが一番心配。
盗みが暴いたのは、モノじゃなく「居場所のなさ」だった
もちろん盗みはアウト。そこはブレない。
ただ、カバンから出てくる私物が増えるほど、「物が欲しい」より「誰かの生活に触れたい」って欲求が透けて見えました。触れた瞬間に怒られると分かってるのに、触れてしまう。関係を作るのが下手な人がやりがちな、最悪の手段。
だからこそ、みんなの冷たい視線がきつい。あれは正しいのに、正しいから余計に刺さる。
チュータに必要だったのは“甘い赦し”じゃなくて、「線引きした上での居場所」。このチームがそこに辿り着けるかが、次の希望になる気がします。
ミズノが縛ったのはチュータじゃなく、自分の不安だった
ミズノの行動は荒いし、やり方としては最悪。だけど私は、あの人の“怖さ”も少し分かってしまった。
能力のせいで誤解され続けた人って、先に疑わないと守れないんですよね。信じて裏切られた時のダメージが、普通より深いから。
だから、盗聴器を盗まれた(かもしれない)瞬間に、彼の中の警報が振り切れた。
ミズノは強く見えるけど、実は“信用の置き場所”が分からないタイプ。ここが今後、チームの分裂にも結束にも振れるポイントだと思います。
ナガレは嘘をつけない男だから、信じることでしか前に進めない
ナガレは嘘をつくと浮く。つまり、嘘が許されない。
だから彼のリーダーシップは、理屈じゃなくて「信じる」から始まる。第4話でも、疑いが渦巻く中で“信じる”を選ぶのって、めちゃくちゃ勇気がいる。
ただ、ここが怖さでもあって。
本当に守りたい人ができた時、ナガレが“嘘をつく”選択をしたらどうなるのか。浮いた瞬間にバレるのに、それでも嘘を選ぶ回が来たら、私は泣く自信があります。
サエの能力は優しいのに残酷:近くにいるほど誰かを痛める
サエの能力って「痛みや病気を近くの人に移す」。言い換えると、人を助けるほど誰かが苦しむ。
この能力がチュータの“痛みで出力が上がる”条件と絡むと、最悪の形で噛み合ってしまう。もしチームが勝つために「痛みを移す」ことを戦術化したら、サエは“救世主”にも“加害者”にもなる。
私はサエの孤独が気になる。論理的でクールに見えるけど、実は一番「近づいたら壊れる」と知ってる人だから。恋愛じゃなくてもいい。誰かがサエの孤独に手を伸ばす回が来てほしい。
マドズミのテストは優しさか支配か:この人、怖いのに嫌いになれない
覆面襲撃が“テスト”だったと分かった瞬間、正直ゾッとしました。命の危険を使って人を育てるのって、やり方として最悪。でもマドズミも、上からの圧に潰されそうで、必死に「成果」を欲しがってるのが見える。
ここがこのドラマの意地悪さで、加害の構造が“分かってしまう”。
次回以降、マドズミが彼らを「守る側」に戻れるのか、それとも「成果のために壊す側」に落ちるのか。私は、彼が一度でも“自分の評価”より“彼らの命”を優先する瞬間を見たいです。
合体(融合転生)は笑えるのに泣ける:大人の依存と、信頼の形
ユタニの合体って絵面はギャグ。でも本質は「一人じゃ足りない」を認める行為。
大人が誰かに“混ざらないと戦えない”って、結構しんどい。自立できないんじゃなくて、もう自立だけじゃ無理だってことだから。
だから合体を笑いながら見て、最後にちょっと泣きそうになりました。
混ざって救われるならいい。でも混ざって壊れる瞬間が来たら、このドラマは容赦なく痛い。そこも含めて見届けたい。
ラストの脱走で空気が変わった:ここからは「本番」になる
死刑囚シロタの脱走が示された瞬間、会議室コメディが“卒業”した感じがしました。
今までの敵は、どこか“身内の問題”だった。でもこれからは、会議室の外から“本物の危険”が入ってくる。
私は、派手なヒーロー化より「怖いけど逃げない」という小さな勇気に期待しています。能力がしょぼいなら、勇気も小さくていい。その積み上げが、このドラマのいちばんエモい着地になる気がするから。
サピピとフジワラがいるから、チームは“暗くなり切らない”
重い展開の中でも空気が沈み過ぎないのは、サピピとフジワラの存在が大きいと思います。サピピはまだ能力が伏せられているのに、言葉だけで場を動かせるタイプ。
誰かを疑う流れになった時も、彼女の一言が“雰囲気の正義”を止めるブレーキになりそうで、個人的には一番頼りにしてます。
フジワラも同じで、最高到達点を目指すジャンプ能力って、派手さより“諦めない姿勢”が象徴になってる。
年齢も含めて、ここが作品の優しさ。若さも強さもない場所から、それでも跳ぶ。第4話の苦さを中和してくれました。
4話を踏まえた次回の注目:いちばん怖いのは「能力」じゃなく「選択」
第4話で分かったのは、能力が強い弱いより「誰を信じるか」「誰の痛みを背負うか」で物語が動くってこと。
次回以降、死刑囚の脱走という“外の本番”が近づくほど、チームはまた試されるはずです。
- テストだと思って動くのか、本物だと疑って動くのか
- 痛みを武器にするのか、痛みを守るのか
- 「結果」を取るのか、「人」を取るのか
ここで選択を間違えた瞬間、たぶんこのドラマは一気に胸糞にもなれる。でも逆に、選択を正しく積み重ねた時は、めちゃくちゃ“救い”になる。私はその救いを信じて、次回も見たいです。
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