フジテレビ・関西テレビ系で放送中のドラマ『終幕のロンド』は、「遺品整理」という現場から“生きる”を描くヒューマンドラマ。
主人公の鳥飼樹(草彅剛)は、遺品整理会社「Heaven’s messenger」で働くシングルファーザー。故人の遺した“最期の声”を、遺族へ“翻訳”して手渡すことを使命とする遺品整理人だ。
物語は、孤独死した母の遺品整理と、余命3カ月を宣告された母・鮎川こはる(風吹ジュン)の生前整理――“死後の声”と“死の前の声”という二つの時間軸が交錯する構成で始まる。絵本作家である娘・御厨真琴(中村ゆり)は、家庭や仕事の圧力に押しつぶされながらも、樹との出会いを通して“自分の声”を取り戻していく。
本記事では、第1話から最終回までのあらすじとネタバレ、遺品を“手紙”として読み解く脚本のロジック、そして“最期の声”が導く希望の結末を詳しくまとめていく。
【全話ネタバレ】終幕のロンドのあらすじ&ネタバレ

1話:遺品は“翻訳”される――二つの母と、交差する「手放せないもの」
遺品整理人・鳥飼樹という“翻訳者”の登場
物語の冒頭で描かれるのは、遺品整理会社「Heaven’s messenger」で働くシングルファーザー・鳥飼樹(草彅剛)。社長の磯部豊春(中村雅俊)のもと、小学1年の息子・陸を育てながら、遺族の心に寄り添い“最期の声”を届ける仕事に就いている。新人・久米ゆずは(八木莉可子)は、寡黙で観察眼の鋭い新戦力。ここで作品は早々に、樹=遺品の“翻訳者”という立ち位置を明確に提示する。
「処分してほしい」という依頼と、“あるもの”が放つ時間の層
最初の現場は、孤独死が起きた賃貸アパートの一室。依頼人は亡くなった女性の息子(吉村界人)で、「10歳で捨てられた」「遺品はすべて処分してほしい」と冷たく言い放つ。
だが樹は、部屋の中に残された“あるもの”に目を留める。触れた瞬間に伝わる時間の重み――その手触りに、彼は一方的な処分をためらう。遺品は単なる物ではなく、“届け損ねた手紙”だとドラマはここで宣言する。
祝福の光が孤独を照らす――御厨家の対比構図
同じ頃、御厨真琴(中村ゆり)は、夫・御厨利人(要潤/御厨ホールディングスの後継者)とともに絵本の出版記念パーティーに出席していた。華やかな照明の下で、姑から「子どもがいない」と責められても、夫は庇おうとしない。
祝福の場で際立つ孤独。真琴の「居場所のなさ」が静かに浮かび上がる瞬間だ。やがて、彼女は誠実に耳を傾ける樹に心を救われ、既婚の身でありながら惹かれていく。――“遺品の声に耳を澄ます男”と、“祝福の冷たさに傷つく女”。二人の感受性の周波数が密かに重なり始める。
余命3カ月の依頼――“生前整理”がもう一つの声を生む
樹のもとに入る次の依頼は、生前整理。
依頼主の鮎川こはる(風吹ジュン)は膵臓がんで余命3カ月の宣告を受け、「部屋を整えたい」と語る。
清掃会社で働き続けてきたこはるには、10年前に結婚した娘がいる。樹が部屋を見始めた矢先、娘の真琴が帰宅――こはるは真琴の実の母だった。ここで「孤独死の事後」と「生前整理の事前」が一本の線でつながり、“遺品=媒体”というテーマが二方向から立ち上がる。
登場人物の布石――職能のロジックが感情を支える
磯部は、息子の自死をきっかけに会社を立ち上げた人物。遺品が“何も残らなかった”経験が、「誰かの声を取りこぼさない」という動機へと変換されている。
ゆずはは嗅覚障害を抱えながらも、観察力で現場を支える存在。職能としてのリアリティが積み上がるほど、物語の感傷は“合理”に支えられていく。
遺品=送り手不在の手紙――“翻訳”の意味
ここまでで見えてくるのは、①遺品=送り手不在の手紙、②翻訳=文脈の再構成、③倫理=誰に渡すか/どこまで介入するか。孤独死した母の息子が示す「処分」と、こはるが選ぶ「生前整理」は、どちらも“手放す”行為だが、意思の所在が異なる。
樹は“最期の声”を誤配させないために、現場の空気と時間を読み、言葉に変換する。彼の行為は“泣ける救済”ではなく、秩序立った読み直し。理性で涙を導く構造が心地よい。
真琴の葛藤と家制度の圧――“手放せないもの”の正体
視線は再び真琴へ。彼女の「子どもがいない」ことを責める御厨家の論理――父・剛太郎(村上弘明)と母・富美子(小柳ルミ子)の存在は、今後の物語の軸となる。真琴の“手放せないもの”は、家の価値観と母への思いの両方。その二重の重さを、遺品という“現物の声”が少しずつ解いていく。
総括――遺品は哀しみではなく、生き直すための設計図
第1話は、二人の母(孤独死した母/余命を告げられた母)と一人の翻訳者(樹)を並べ、「何を残し、何を渡すか」という問いをクリアに提示した。今後、“あるもの”の意味が息子の心を解凍し、こはるの生前整理が真琴の未来に手順を与えるだろう。遺品は哀しみの記号ではなく、“生き直すための設計図”である――理にかなった、美しい導入だった。
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2話の予想:お金より“誰のために手放すか”――「翻訳者」樹が二つの家族に線を引く回
確定情報の整理
第2話は10月20日(月)放送。こはるの死期が迫るなか、“樹にだけ明かす決意”と、娘・真琴への想いが核になる。新規依頼は「遺品の中にあるはずの700万円」を探すという案件。真琴は次回作の資料として画集『ギリアスの実』を取り戻しに会社を訪れるが、樹の涙を見て不信感を抱く。
母・こはるが悪徳業者に騙されているのではと疑う一方、こはるは樹を信頼し、公園でおにぎりを分け合うシーンが描かれる。樹は「過去の自分(妻を亡くした経験)」と「近い将来の真琴」を重ねて語り、こはるは画集にまつわる記憶を明かす。
会社では海斗・ゆずは・碧が、木村遼太から依頼された妹・里菜のバレエ留学費(700万円)の行方を追う。支払期限は2日後――焦燥と疑念が交錯する緊迫の時間割が提示される。
「ギリアスの実」は“返す/返される”構図を可視化する媒介
画集『ギリアスの実』は、母子の記憶をつなぐインデックス。こはるが語る“思い出”は、真琴の中で「母に返したい」か「母から返された」かのどちらかに再配置される。
第1話が「処分か手渡しか」の線引きを描いた以上、2話は“受け取り直し”の物語になるだろう。真琴は樹を疑いつつも、樹の涙=翻訳者としての痛覚に触れることで、止まっていた受容の回路を再起動させる。画集の受け渡しは、和解の即物的な儀式として機能するはずだ。
700万円の本質は「お金」ではなく「宛先」――“期限2日”が炙り出す当事者意識
依頼の主語は兄・遼太、宛先は妹・里菜。
「遺品の中にあるはず」という曖昧な前提と、支払期限=48時間の制約が、焦りから生じる誤配や短絡を誘発する。
里菜の攻撃的な態度は、
①父の真意を信じ切れない罪悪感
②自分が“宛先”であることへの恐れ
③金額の重さゆえの受け取り拒否衝動の複合体
焦点は「現金の隠し場所」ではなく、「誰に渡すための金なのか」に移る。
ゆずはの嗅覚障害による“匂いに惑わされない観察力”、海斗の段取り力、碧の感情の直線性――この三人が「宛先の確定→場所の特定」の順で論理を組み立てる。“どこにあるか”より“誰に渡すか”が先に明らかになる設計が、ドラマの面白さを生むだろう。
公園のおにぎりは「手順」のメタファー――“悲しみの翻訳”に必要な栄養
公園でこはると樹が交わすおにぎりの場面は、単なる情緒演出ではなく、“悲嘆の手順”を身体で示す場面だ。陽だまりの中で咀嚼する行為が、悲しみを受け止めるためのリズムとして機能する。
樹は「5年前の自分」を語り、真琴に未来の地図を手渡そうとする。こはるが樹に託すのは、「真琴のその後を先に守る」ための決意。
それは遺言・メモ・合図など、誤配を防ぐ“手順”として提示されるだろう。
「悪徳業者」疑惑は“情報の非対称”の物語――疑いが翻訳の導線に変わる
真琴の疑念は筋が通っている。だが、“疑う”という行為が母の意思へ至る導線に変わるのがこのドラマのロジック。
樹は泣く(感情)と語る(手順)を併走できる人物。真琴の疑い→対話→こはるの過去と画集の意味という流れの中で、情報の非対称は解消される。結果として、真琴が“母の想いを受け取り直す”展開につながり、彼女自身の“手放し方”も更新される。
2話の締め予想――二つの家族にそれぞれの線引きが引かれる
鮎川家(母子):画集をめぐる記憶の再配置が進み、「今、何を渡し、何を残すか」の合意に至る。こはる→樹への託しは、真琴→未来の自分への託しに連鎖。
木村家(兄妹):700万円の行方よりも“誰に/どんな名目で渡すのか”が焦点となり、期限内に“受け渡しの形”が整う(全額現金とは限らない)。里菜の攻撃性は“恐怖の裏返し”として描かれ、受け取り=承継が“責任”へと変換される。
注目すべきディテール
- 『ギリアスの実』のページの折れや書き込み――思い出の座標として機能する。
- 700万円の“在りか”の論理順――「宛先の確定→場所の特定」までをどう描くか。期限2日が手順の圧縮をどう演出するか。
- 樹の涙のタイミング――私的な痛みが職能の判断(どこまで介入するか)にどう結びつくか。
- 社内の役割分担(海斗=段取り、ゆずは=観察、碧=直情)――“翻訳チーム”の三位一体が成立しているか。
第2話は、「誰のために手放すのか」という問いを、金と記憶の二つの案件で同時に描く回になる。お金よりも大切なのは“宛先の明確さ”、涙よりも大事なのは“翻訳の手順”。 翻訳者・樹が二つの家族の境界に線を引く――その瞬間が、この物語の核心に近づく合図となるだろう。
3話:※未放送
※物語が出次第、更新予定。
4話:※未放送
※物語が出次第、更新予定。
5話:※未放送
※物語が出次第、更新予定。
「終幕のロンド」のキャスト一覧

『終幕のロンド』には実力派から新進気鋭まで多彩なキャスト16名がレギュラー出演します。
遺品整理を題材にしたヒューマンドラマで、それぞれが重要な役どころを担っています。
主人公と主要キャスト
鳥飼 樹(とりがい いつき)…草彅 剛:
主人公の遺品整理人。5年前に最愛の妻を亡くし、小学1年生の息子・陸を男手一つで育てるシングルファーザー。元商社マンだったが、妻の死をきっかけに転職し、遺品を通じて故人の想いを遺族に伝える仕事に使命感を抱く。
御厨 真琴(みくりや まこと)…中村 ゆり:
ヒロインの絵本作家。母子家庭で育ち、最近デビューしたばかり。親友の縁で御厨一族に嫁いだが、裕福な家庭の価値観に馴染めず孤独を抱える。多忙な夫との関係も冷え切り、遺品整理人の樹と出会い心を救われていく。
御厨 利人(みくりや りひと)…要 潤:
真琴の夫で「御厨ホールディングス」の次期社長(現専務)。幼少期から帝王学を叩き込まれたエリートで、仕事中心の生活を送るあまり家庭を顧みない。妻との心のすれ違いが深刻化している。
鮎川 こはる(あゆかわ こはる)…風吹 ジュン:
真琴の母親で、第1話で樹に生前整理を依頼する依頼人。清掃員として働いてきたが膵臓がんで余命3か月と宣告される。未婚のまま真琴を女手一つで育て上げた芯の強い女性で、「最期まで自分の仕事を全うしたい」と生前整理を決意する。
遺品整理会社「Heaven’s messenger」のメンバー
久米 ゆずは(くめ ゆずは)…八木莉可子:
新人スタッフ。人付き合いが苦手で内向的だが、嗅覚障害のため孤独死現場でも動じず即戦力となる。繊細で傷つきやすいが、素直な一面も持つ。
矢作 海斗(やはぎ かいと)…塩野瑛久:
遺品整理人として10年の経験を持つベテラン社員。涙もろく人情味あふれるムードメーカー。樹にとっては頼れる先輩的存在。
神部 清香(かんべ きよか)…長井短:
パート社員。自由奔放でアイドル推しの観察眼を持ち、マイペースながら職場の潤滑油となる存在。
高橋 碧(たかはし あお)…小澤竜心:
19歳の遺品整理人。鑑別所を出たばかりで保護観察中という経歴を持つ。更生を目指し、懸命に仕事に取り組む姿が描かれる。
磯部 豊春(いそべ とよはる)…中村雅俊:
会社の社長。10年前に息子を自殺で亡くした経験から遺品整理業を立ち上げた。社員を息子や娘同然に見守り、家族のように支える。
磯部 美佐江(いそべ みさえ)…大島蓉子:
豊春の妻で経理担当。明るく面倒見がよく、社員や樹の息子・陸を孫のように可愛がる。職場の母親的存在。
鳥飼 陸(とりがい りく)…永瀬矢紘:
樹の一人息子で小学一年生。不器用ながら素直で父親思いの少年。母を亡くした悲しみを抱えながら健気に暮らしている。
御厨家とその関係者
御厨 富美子(みくりや ふみこ)…小柳 ルミ子:
御厨ホールディングス社長・剛太郎の妻で、利人と彩芽の母。社長夫人として厳しい物言いをするが、家族への愛情も秘めている。
御厨 剛太郎(みくりや こうたろう)…村上弘明:
御厨ホールディングスの現社長。権力主義的で男尊女卑の気質を持つカリスマ。息子に帝王学を叩き込み、自らのやり方を踏襲させようとする。
御厨 彩芽(みくりや あやめ)…月城かなと:
御厨家の長女で広報部長。真琴の大学時代からの親友で、唯一彼女の味方となる存在。
森山 静音(もりやま しずね)…国仲涼子:
出版社勤務の編集者で真琴の担当。彼女を作家として支える一方で、物語が進むにつれ秘密を抱えた一面が浮かび上がる。
波多野 祐輔(はたの ゆうすけ)…古川雄大:
フリージャーナリスト。御厨家の不正を探る一方、磯部社長に自殺した息子の件で接触を試みるなど謎めいた動きを見せる。
外山 大河(そとやま たいが)…石山順征:
利人の秘書。若くして専務秘書に抜擢された優秀な人物。表向きは忠実だが、内心に何を抱えているのか謎が多い。
【全話ネタバレ】終幕のロンドの予想結末。最終回ではどうなる?

“遺品の声”をどう手渡すか――物語の基盤と予想の前提
本作は、遺品整理人・鳥飼樹(草彅剛)が「遺品に刻まれた最期の声」を読み取り、生者へ“翻訳”して手渡す物語。
彼が出会うのは、余命3カ月の母・鮎川こはる(風吹ジュン)と、その娘で絵本作家の御厨真琴(中村ゆり)。やがて二人の間に「切なくも温かな“大人の恋”」が芽生える――というのが公式の提示する世界観だ。すでに第1話と第2話の内容から、孤独死と生前整理の二軸、画集『ギリアスの実』や「遺品の中にある700万円」といったキーアイテムが明らかになっている。ここから論理的に最終回の着地を描いていく。
最終回の中核は「誰に、何を、どの順で渡すか」――“公開の場”での受け渡し
遺品=送り手不在の手紙、樹=翻訳者。ならばフィナーレは閉じた感情ではなく、開かれた“受け渡しの儀式”に行き着くはずだ。Heaven’s messengerの面々(ゆずは・海斗・碧)が段取りを整え、御厨家を巻き込んだ小さな公開の場(朗読会や展覧会)で、一連の遺品=メッセージを正しい宛先に届け直す。
「最期の声」を手順で共有する構図こそ、この作品の倫理(誤配を避ける)と最も噛み合う。
樹の弧――翻訳者が“自分の喪失”を言葉に変える
樹は妻を亡くしたシングルファーザーとして登場する。人の“最期の声”を伝える一方で、自分自身の喪失はまだ翻訳できていない。
第2話で示された「真琴の前で涙する樹」という描写からも、終盤で彼が自分の番の“翻訳”を引き受けることが予想される。亡き妻の“ある場面”を語り直すことで、仕事と私事の言葉を同じ辞書に統合する。
最終回は、樹が「送り手にも受け手にもなれる人」へ昇華するセレモニーになるだろう。
真琴の弧――家の論理vs自分の声、“居場所の更新”で閉じる
第1話で描かれたのは、真琴が御厨家の圧(姑の言葉、夫の無関心)に押し潰されそうになる姿。第2話では、画集をきっかけに樹を疑い→対話→理解へと進む導線が示唆されている。
最終回ではそのプロセスが彼女自身の生き方に転用され、「家の正しさに従う妻」から、「自分の声で届ける表現者」へと変わる。離婚や決別ではなく、“居場所の更新”という選択(別居、新しい仕事、母の遺志を継ぐ活動)で幕を閉じ、恋は“相手を生かす距離”として昇華する。
御厨家の落とし前――企業の光で“個の声”を照らす
剛太郎・富美子・利人という御厨家の面々は、家制度そのものの重みを体現している。公開の場が設定されれば、企業の照明が個人の声を照らし出すアイロニーが生まれるだろう。
御厨家の“体面”を賭けた場(パーティーや贈呈式)で、こはるのメッセージや真琴の選択が語られる。社会の中で“家の正しさ”より“声の正しさ”が優先される瞬間を描く構成が美しい。
反復される小事件が最終回の“手順”を形づくる
第2話の「700万円を探す」依頼は、単なる金銭問題ではなく「宛先の特定→場所の特定→受け渡し」という正しい順番を確認する装置だった。各話で積み上がるのは“手順”の精度。ゆずはの観察、海斗の段取り、碧の真っすぐ
――Heaven’s messengerの三人がケースを重ねるたび、誤配を防ぐプロトコルが磨かれていく。最終回で大きな受け渡しが起きたとき、彼らは迷わず正しい順で動ける。感動は奇跡ではなく、訓練の帰結として生まれる。
『ギリアスの実』は再び登場し、鍵になる
第2話で象徴的に扱われた画集『ギリアスの実』は、再び登場するだろう。折れたページや書き込み、余白が記憶の座標となり、母から娘への“受け渡し”を可視化する。
最終回ではそこにこはるの意志(添え書きやしおり、合図)が仕込まれている。言葉にならない感情を“物”で固定する――「目録に残らない証拠」としての役割を果たす。
タイトル『終幕のロンド』の意味――輪舞は“誰かの手から誰かの手へ”
“ロンド(輪舞)”とは、同じ旋律を別の人が受け継いで踊る形式。
ドラマ的に言えば、誰かの声(遺品)が、別の誰かの口で語られ、さらに他者の行為へとバトンされていくことだ。孤独死の部屋、病室、会社、公園――それぞれで受け渡しが起こり、看板や明かりが一つずつ戻るモンタージュが描かれる。 物語の終幕は、“生き直す人々の輪”として静かに残るだろう。
具体的な最終回プロット予想(骨子)
- 舞台設定:Heaven’s messengerと御厨家が交わる半公開の場(朗読会や展覧会)。“誰に渡すか”を確定させ、形式を整える。
- 検証:過去の案件の“誤配寸前”の記録を共有し、ゆずは・海斗・碧が宛先→場所→受け渡しの順を確認。
- 母から娘へ:『ギリアスの実』の特定ページが開示され、こはる→真琴の“遺す言葉”が明らかに。樹が補助線を引き、真琴は“居場所の更新”を選択。
- 翻訳者の告白:樹が妻の記憶を自分の言葉で初めて語り、“送り手と受け手の両方を体験する”瞬間を迎える。
- 御厨家の承認:剛太郎・富美子・利人が社会の光の中で応答。体面より“言葉の責任”を選ぶ。
- 余韻:看板の灯りがともり、受け渡された品々が日常に息づく。恋は“相手を生かす距離”で止まり、新しい朝が訪れる。
なぜこの終わりが腑に落ちるのか
- 主題の要請:「最期の声」は閉じた涙ではなく、開かれた手順で受け渡すもの。だからこそ“公開の場”での可視化がふさわしい。
- 置かれた具体:『ギリアスの実』、700万円、樹の涙――すべてが“宛先の確定→手順の実行”を学習させる装置。学びの到達点が最終回の段取りになる。
- 人物配置:御厨家(社会の圧)とHeaven’s messenger(現場の作法)が向き合うとき、作法が圧を上書きするのが物語の勝ち筋。
最終回は、誰かの“最期の声”を手順で共有し、誤配を避けながら“生き直す”人々を描く。終幕のロンド=声の輪舞。その輪が静かに広がり、光の中で幕を閉じる――それが最も理にかなう終わり方だ。
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