Netflixオリジナルドラマ『今際の国のアリス』シーズン2第7話では、残された絵札がいよいよ〈スペードのキング〉と〈ハートのクイーン〉の二枚に。

人間の限界と理性の境界が試される中、アリスたちはシリーズ最大の難敵・スペードのキングに挑む。
銃弾が飛び交う圧巻のアクション、罪と赦しを描くアグニの再生、そして次なる“最終ゲーム”への橋渡し――。
この回は単なるサバイバルを超え、「暴力の意味」と「人間の希望」を問い直す、物語の転換点となるエピソードである。
今際の国のアリス(シーズン2)7話のあらすじ&ネタバレ

ここからは、第7話の展開を時系列で丁寧に追っていきます。クライマックス目前となるこのエピソードでは、主要キャラクターたちの運命が交錯し、それぞれが生と死の選択を迫られます。
冒頭:残る絵札は二枚、ニラギの執念
第7話は、キング・オブ・ダイヤとクイーン・オブ・スペードのゲームを突破した直後から始まります。生き残ったプレイヤーたちは満身創痍で、精神的にも限界に達していました。アリスは草木が生い茂る渋谷で、かつての敵であるチシヤ、そして焼けただれた姿のニラギと再会します。
ニラギは瀕死の状態でありながら、なおも狂気に囚われ、「殺し合うことこそが生きる意味だ」と叫び、アリスとチシヤに銃を向けます。緊迫した銃撃戦が始まり、三者の銃口が互いに向き合う緊張状態に。
そこへウサギが割って入り、流れ弾に巻き込まれそうになります。その瞬間、チシヤが身を挺して彼女を庇い、肩を撃たれて倒れました。冷静な策略家として描かれてきた彼が他者を守るために行動したことは、彼の内面の変化を象徴しています。
ニラギとの対峙とチシヤの決断
ニラギは「どうせ死ぬなら撃ち合って死にたい」と笑いながら引き金を引き続けます。
しかしチシヤが倒れたことで、アリスとウサギは戦う意味を見失いました。アリスは銃を構えるも、引き金を引くことはできず、ゆっくりと銃を下ろします。
チシヤの行動がアリスの心に変化をもたらし、「無意味な死を選ぶべきではない」と悟ったのです。ニラギはその姿を見て満足げに笑い、ふらつきながらその場を立ち去ります。
スペードのキング登場、容赦なき殺戮
ニラギとの一件の直後、空に巨大な飛行船が出現し、〈スペードのキング〉のカードが掲げられます。
直後に姿を現したキングは、ゲームのルールを告げることなく自動小銃と手榴弾を乱射。彼は防弾ベストとヘルメットを身に着け、まるで戦場の兵士のように動きながら参加者を次々と射殺していきます。その冷酷で圧倒的な暴力は、まさに「ボーダーランド最強の殺し屋」と呼ばれるにふさわしいものでした。
アリス、ウサギ、アグニ、アン、クイナ、ヘイヤらはそれぞれの持ち場から合流し、一時的な同盟を結成します。彼らはこの強敵を倒すため、知恵と連携で立ち向かうことを決意します。
作戦開始:薬局爆破の奇策
キングの圧倒的な火力に対し、正面からの戦闘では勝ち目がありません。
アリスとアグニは街中の薬局に目をつけ、店内に並ぶエアゾール缶を利用して爆破を起こす作戦を立てます。ヘイヤは屋上から狙撃支援を行い、クイナとウサギは周囲に罠を仕掛けてキングを薬局へ誘導。
アンは負傷者の救護と通信支援を担当し、全員がそれぞれの役割を全うします。アリスたちは一致団結し、死闘に挑む準備を整えました。
銃撃と罠の攻防
作戦は想定以上に過酷なものとなります。アグニが囮となってキングを薬局に誘導しますが、キングは驚異的な身体能力で罠を次々と回避。激しい銃撃戦の中、クイナは腹部を刺され、ウサギも脚を負傷。
ヘイヤの狙撃もキングの防弾装備には通じません。アリスが投げた手製爆弾も寸前で避けられ、絶望的な状況に追い込まれます。
それでも仲間たちは決して諦めません。アグニは瀕死の体で再び立ち上がり、力尽きかけながらもキングを薬局の奥へ押し込みます。アリスはアグニを助けて、二人は窓の外へ。
アリスは手製爆弾の引き金を引き薬局へ爆弾をなげる。それをアグニが手製爆弾を撃ち抜きました。瞬間、凄まじい爆発が起こり、薬局は炎と衝撃に包まれます。
キングの最期とアグニの救済
爆風の中から、全身を焼かれたキングが這い出してきます。
彼はアグニの前に立ち、静かに銃を差し出して敗北を認めました。アグニの脳裏には、かつて自らの手で撃ち殺した親友・ボウシヤの姿がよぎります。再び引き金を引くことをためらうアグニでしたが、仲間を守るために覚悟を決め、キングを撃ち抜きました。
キングは微笑みを浮かべながら崩れ落ち、〈スペードのキング〉のゲームは終幕を迎えます。アグニの前には、幻影のようにボーシヤが現れ、「生きろ」と語りかけます。アグニは涙を流しながらその言葉を受け止め、罪と向き合う決意を固めるのでした。
代償としての喪失
勝利の代償はあまりに大きいものでした。アンは致命傷を負い、仲間に看取られながら静かに息を引き取ります。ヘイヤは片腕を損傷し、クイナは重傷を負って倒れ込みました。
チシヤもニラギの銃弾を受け、血まみれのまま意識を失います。アグニとヘイヤは彼を介抱しますが、もはや次のゲームに挑む体力は残されていません。戦えるのは、アリスとウサギだけとなりました。
ラストゲームへの道、ミラとの再会
キング戦が終わると、空中からアナウンスが流れます。「最後のゲームに参加する者は登録せよ。」
アリスとウサギは互いに視線を交わし、迷うことなく会場へ向かいます。摩天楼の屋上に辿り着いた二人の前に現れたのは、黒いドレスを着たミラでした。かつてビーチの幹部として暗躍していた彼女が、最終戦〈ハートのクイーン〉のホストとして立ちはだかります。
ミラは柔らかな笑みを浮かべながら、「ここで全ての真実が明かされる」と語り、ラストゲームの開始を告げました。アリスとウサギは疲れ切った身体で椅子に腰を下ろし、ついにボーダーランドの最終決戦へと挑みます。
総評
第7話は、シリーズ屈指の緊張感と悲壮感に満ちたエピソードです。ニラギ、チシヤ、アグニといったキャラクターの内面が深く掘り下げられ、それぞれが「生きる意味」と向き合います。アクションの迫力はもちろんのこと、爆発や銃撃戦の中で描かれる人間ドラマこそが、このシリーズの真骨頂といえるでしょう。
そして物語はいよいよ最終局面、〈ハートのクイーン〉=ミラとの最終ゲームへ。アリスとウサギの選択が、ボーダーランドの真実を解き明かす鍵となるのです。
今際の国のアリス(シーズン2)7話の感想&考察

ここからは、第7話の感想と考察を詳しく掘り下げます。
本エピソードはシリーズ屈指の緊張感を持つ戦闘回であり、アクションの迫力と同時に「生きる意味」や「罪の赦し」といった深いテーマが描かれました。
本作を“サバイバル×哲学”として捉え、各キャラクターの行動と心理を論理的に読み解いていきます。
ニラギの“自己破壊”が象徴する生の空虚
物語の冒頭で、焼けただれたニラギが再登場します。彼は「殺し合いこそが生きる証」と語り、アリスとチシヤに銃を向けます。この場面で重要なのは、ニラギの暴力がもはや他者への攻撃ではなく、自分自身を破壊するための衝動であるという点です。
彼は命の残り火を燃やすように撃ち合いを挑み、チシヤがウサギを庇うことで一時的に戦いが止まります。この瞬間にニラギが初めて「人間らしさ」を取り戻したと感じました。
彼の暴力は、憎悪の果てに見出した“寂しさ”の裏返しであり、「死にたい」と「生きたい」が矛盾しながら同居している。
チシヤが庇った行動は、そうした破滅の連鎖を一瞬だけ断ち切った希望の象徴でもありました。
スペードのキング=“人間が到達する暴力の極地”
キングは、これまでの絵札の中でも最も生々しく“人間的な悪”として描かれます。彼はルール説明もなく、無言のまま銃と手榴弾で人々を虐殺します。
その姿はゲームの支配者というよりも、戦争そのものの化身。彼の存在が「理性を失った人間の末路」を表していると捉えました。
ゲームという“秩序”を超えて暴走するキングは、アリスたちが抗ってきた“生きるための暴力”がどこへ行き着くかを示す鏡のようです。
アリスやアグニ、クイナらが連携して挑む姿は、混沌の中に残された最後の倫理の象徴であり、「戦うためでなく、生かすために戦う」という本作の主題をより際立たせています。
アグニの贖罪と“撃てなかった男”の再生
アグニがキングを撃ち倒すシーンは、第7話の最も象徴的な瞬間です。
かつて親友ボーシヤを撃ち殺した罪悪感に苦しんできたアグニは、長らく“撃てない男”として描かれてきました。
しかし今回は、仲間を守るために自らの手で引き金を引き、キングの命を終わらせます。
これは“暴力の肯定”ではなく“贖罪の完成”だと見ています。
ボウシヤの幻影が「生きろ」と語る演出は、アグニが過去を受け入れ、ようやく“生への赦し”を得たことを意味しているのです。
この瞬間、彼の銃は破壊の象徴ではなく、守るための意志を示す道具へと変化しました。
協力の中の崩壊──連帯の脆さと代償
アリスたちの連携作戦は見事でしたが、その代償はあまりに大きいものでした。
アンは銃弾を受けて絶命し、クイナやヘイヤも重傷。チシヤはニラギの銃撃で動けなくなります。
しかし、それでも「誰かのために動く」という意思だけが、無意味な世界に意味を与える。アンの死は悲劇であると同時に、アリスたちにとって“生き残る理由”を再確認させる契機でもありました。
ミラの再登場──“優雅な支配者”が語る真実
ラストに登場したミラは、白い衣装を纏い、まるで“神”のような佇まいでアリスとウサギを迎えます。彼女の言葉「ここで全ての答えが得られる」は、物語が最終章へ到達したことを告げる合図。
この再会が“世界の謎”と“人間の選択”を繋ぐ鍵になると分析します。ミラは単なる敵ではなく、“この世界を設計した者”あるいは“人間の欲望を具現化した存在”として描かれる可能性が高い。
そして、彼女がホストを務める〈ハートのクイーン〉は、アリスとウサギが精神的に試される「究極の心理ゲーム」として機能することが予告されています。
アリスの覚悟──“生きる意味”への再挑戦
キングとの死闘を終え、仲間を失ったアリスは深い喪失と孤独を抱えています。しかし、彼の瞳には絶望ではなく“決意”の色が宿っていました。
アリスがこの瞬間に「生きることを選ぶ」第二の主人公へ進化したと考えます。
タッタ、アン、アグニ——すべての仲間の死が、アリスに“生き抜く責任”を課したのです。ラストのミラとの対面は、彼にとって“現実世界への帰還”ではなく、“生きる意味を取り戻す戦い”の始まりを意味しています。
まとめ:暴力と赦し、そして生への祈り
第7話は、シリーズ全体の中でも最も激しく、最も静かな回でした。スペードのキング戦の銃撃は戦争映画のような迫力を持ち、一方でアグニの贖罪やチシヤの変化、ミラの登場が物語を哲学的な領域へ引き上げています。
このエピソードを「暴力の中で生を見出す回」と位置づけます。
死が支配する世界の中でも、アリスたちは確かに“生きる理由”を掴み始めた。そして次の〈ハートのクイーン〉戦では、“生きること”そのものが試される——。静かに燃える希望と、終焉の足音が重なる余韻の中で、物語はいよいよ最終局面へ突入していきます。
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