『今際の国のアリス』シーズン2第5話は、シリーズの中でも特に“心理戦”が色濃く描かれた回です。
前話でスペードのキング討伐に失敗したアリスたちは、それぞれの戦場で孤立しながらも希望をつなぎます。
一方で、新たに登場したスペードのクイーン・リサが仕掛ける〈ちぇっくめいと〉では、人間の打算と信頼が激しくぶつかり合うことに。
ヘイヤの壮絶な過去、クイナやアンの孤独な戦い、そしてアリスとウサギの再会――多層的に描かれる人間模様が交錯し、物語は再び“命の意味”へと踏み込んでいきます。
ここから先では、5話の展開を時系列で振り返りつつ、リサの心理戦が示す哲学と登場人物の内面を徹底的に考察します。
今際の国のアリス(シーズン2)5話のあらすじ&ネタバレ

ここからはNetflixドラマ『今際の国のアリス』シーズン2第5話のストーリーを、時系列に沿って丁寧に振り返ります。
タッタを失ったアリスが新たな仲間と出会い、スペードのクイーンとの知略戦に挑むまでの展開を詳しく解説します。
アグニ・ヘイヤとアリス:スペードのキング討伐への旅
前話でアグニとヘイヤに救われたアリスは、二人と手を組み、無慈悲なスペードのキングを倒すための討伐計画を立てる。アグニは「これが最後の戦場だ」と覚悟を語り、アリスに銃を託して慎重に行動するよう命じる。
道中、ヘイヤが自らの過去を明かす。彼女が初めて挑んだゲームは「かまゆで」と呼ばれる過酷なサバイバルで、爆発事故に巻き込まれながらも唯一生き残った。だが足を貫かれ感染症を起こしたため、医者の手を借りず自ら左足を切断したと語る。この壮絶な過去を聞いたアリスは、彼女の強靭な意志を理解し、3人の絆は深まっていった。
雨の森での待ち伏せとキングの反撃
三人は森に罠と煙幕を仕掛け、スペードのキングを待ち伏せする作戦に出る。
しかし、敵は夜視ゴーグルを装備しており、罠を完全に看破。アリスを囮にした計画は逆手に取られ、キングは手りゅう弾を投げつけて反撃。
爆発の衝撃でアリスは川へ転落し、アグニは銃撃を受けて気絶。ヘイヤはアグニを抱えて退避し、討伐作戦は無惨に失敗する。雨の中、燃え落ちる森の映像が、絶対的な強者としてのキングの恐怖を印象づける。
アリスの孤独な旅と緑に覆われた新宿
川に流されたアリスは奇跡的に生還し、草木に覆われた静かな街に辿り着く。
ビルを飲み込む蔦や崩壊した都市の光景が、時間の経過と文明の崩壊を感じさせる。アリスは孤独と絶望の中を歩きながら、生きる意味を問い続ける。
途中で燃え落ちる飛行船や逃げ惑う人々を見かけるが、誰も助けられない。再び仲間と離れ、無音の世界を歩む彼の姿は、まるで「生存者の孤独」を象徴するようだった。
クイナの孤独な戦いとアンの探索
一方、クイナは別行動を取り、単身でスペードのジャックのゲームに挑む。圧倒的な格闘センスで他の挑戦者を制圧し、傷だらけになりながらも勝利を掴む。彼女の身体的強さと精神力が際立つシーンだ。
その頃アンは、アリスたちが見たビデオの手がかりを追い、東京の外へ続く山道を進む。頂上から富士山を望む高地に辿り着いたが、その先には何も存在しない。見渡す限りの山脈に囲まれた光景は、「この世界が閉じた箱庭である」ことを暗示していた。アンが地図を広げたまま沈黙する姿は、真実の重さを感じさせる。
ウサギと少年コウタ:守るべき命の登場
森でアリスと離れたウサギは、放浪の末に10歳ほどの少年コウタと出会う。コウタは両親を失い、ビザも残りわずか。ウサギは彼を守ると誓い、共に生き延びるため行動を共にする。彼女の優しさは、戦闘の連続で荒んだこの世界の中で、わずかな人間性の光となる。
二人はスペードのクイーンのゲーム会場――巨大な建設現場へ到着し、そこでアリスと再会。涙ながらの再会を果たすが、すぐに次のゲームが始まり、再び過酷な現実へと引き戻される。
スペードのクイーン「ちぇっくめいと」のルール
クイーン・リサは妖艶な笑みを浮かべながら、ゲーム〈ちぇっくめいと〉のルールを説明する。挑戦者チームとクイーンチーム、それぞれ4人で構成され、全員が背中にボタン付きのベストを装着。1ターン5分の交代制で、相手のボタンを押せばその人物を次のターンから自分のチームに取り込める。
ゲームには「王」が各チーム1人存在し、王は敵チームに取り込まれないが、移動が制限される。16ターン終了時に人数が多いチームが勝利し、敗者チームは全員死亡。スペードのクイーンのリサは挑戦者チームの王にあえて幼いコウタを指名し、自身の王には屈強な女性を据えることで圧倒的な心理的優位を築いた。
チームの崩壊とクイーンの優位
ゲームが始まると、クイーンチームはスピードと統率で挑戦者を圧倒。リサは心理的支配と魅了の言葉を使い、相手の恐怖心を巧みに操る。裏切りを恐れた挑戦者チームのメンバーは次々と寝返り、チームの人数差は瞬く間に開いていく。
アリスはリサの興味を自分に向け、敢えて彼女を挑発。だがその狙いは読まれており、リサの反撃でさらに仲間を失う。残り3ターンで17対3という絶望的な状況に追い込まれ、挑戦者側に残るのはアリス、ウサギ、そしてコウタだけになってしまう。
絶望の中の希望:アリスの決意
リサはアリスに「あなたを私の王にしてあげる」と誘惑し、チームに迎え入れようとするが、アリスはそれを拒否。彼はタッタの犠牲を胸に刻み、仲間を守るために諦めない姿勢を貫く。ウサギはコウタを励ましながら逃げ回り、少年の成長と勇気が描かれる。
ゲームの残りターンが近づく中、アリスは勝機を見出すため、クイーンのルールの盲点を探し始める。だがその策はまだ明かされず、第5話は緊迫したまま幕を閉じる。
第5話の総括
シーズン2第5話は、スペードのキングとの敗北から立ち直り、アリスが再び「生きる意思」を取り戻す物語だ。
ヘイヤの過去が彼女の強さの理由を補強し、ウサギと少年コウタの登場が人間性の温もりを取り戻させる。クイーン・リサの冷酷なゲームは、単なる頭脳戦ではなく「信頼」「支配」「犠牲」というシリーズの根幹テーマを凝縮した内容だった。
次回、アリスがどのようにしてリサの知略を打ち破るのか――その一手に、シリーズの真価が試される。
今際の国のアリス(シーズン2)5話の感想&考察

ここでは第5話の構成とキャラクター心理を分析的に考察します。今回のエピソードは「スペードのキング討伐の失敗」と「スペードのクイーン〈ちぇっくめいと〉開幕」という二大要素が中心。極限下での心理戦と人間の打算が鮮烈に描かれた回でした。
キング討伐の失敗が示す戦力バランスの現実
アグニとヘイヤが立てたスペードのキング討伐作戦は、圧倒的な戦力差を前に崩壊しました。キングは夜視ゴーグルや防弾装備を駆使し、敵を完全に制圧する冷徹な兵士。単なる“絵札”ではなく、訓練された殺戮者としてのリアリティが強調されています。
アリスを囮にした戦術が裏目に出たのも印象的でした。これはアグニの「復讐心が冷静な判断を鈍らせた」象徴であり、理性よりも感情で動く危険を物語っています。今後キングに再挑む際には単なる力ではなく、情報戦や心理戦を組み合わせた“知略の戦い”が鍵になると感じました。
ヘイヤのサバイバル哲学と“自らを切り捨てる勇気”
ヘイヤが語った「かまゆで」ゲームでの過去は、彼女のサバイバル哲学の核心を描いていました。
爆発による重傷の中で感染を防ぐため、自ら足を切断して生き延びたという選択は、命をつなぐために自分を切り捨てる覚悟の象徴です。
この体験が、彼女を単なる戦士ではなく“生に執着する者”として際立たせています。彼女の強さは痛みや喪失を経験した人間だからこそ得られたもの。アリスがリサに屈しない精神的強さを見せた背景にも、ヘイヤの存在が影響していると考えられます。
「ちぇっくめいと」の心理戦と人間の打算
スペードのクイーン・リサが仕掛けた〈ちぇっくめいと〉は、チェスと鬼ごっこを融合させたような心理ゲームです。リサは挑戦者チームの王に少年コウタを指名し、戦力の中心を意図的に弱体化。さらに“寝返れば助かる”というルールを逆手に取り、挑戦者たちに疑心暗鬼を植え付けます。
このゲームは人間の「勝ち馬に乗りたい」という本能を露わにする構造になっており、敗北側の者が仲間を見捨てて生き延びようとする様子は、まるで現実社会の縮図です。アリスとウサギが“不利な側に立ちながらも信念を貫く姿”にこそ、シリーズが一貫して描く「人間の尊厳」が凝縮されていると感じました。
クイナの強さと孤独――孤高の戦士の影
クイナがジャック・オブ・スペード戦で全員を倒すシーンは、彼女の肉体的強靭さと孤高な性格を象徴しています。彼女はシーズンを通して最も実践的なファイターであり、仲間を頼らずとも勝利できる存在。
しかし、その強さの裏には深い孤独がある。アンやアリスと分断されたことで、彼女の中にある「誰かと戦う意味」が揺らぎ始めています。今後、仲間との再会によってクイナが“個の強さから絆の強さ”へと変化するのか、その過程は注目すべきポイントです。
アンの探索が示すボーダーランドの虚構性
アンが山を登り、東京以外の地域が存在しないことを確認する場面は衝撃的でした。世界の外に広がるはずの大地が見えず、ただ果てしない山脈が続く――その映像は、この世界が“閉じたシステム”であることを強く印象づけます。
この描写を「ボーダーランドは現実世界のシミュレーションである」仮説の補強だと見ました。つまり、カードを集める行為も、この閉ざされた“仮想の檻”から抜け出すための手段にすぎないのではないか。アンの探求は単なる物理的な探索ではなく、シリーズ全体の核心へ迫る重要な伏線です。
リサという敵の魅力と危険性
スペードのクイーン・リサは、暴力と誘惑を巧みに操る危険な支配者として登場します。彼女は力で相手を制圧しながらも、甘い言葉と笑みで挑戦者を揺さぶり、心理的支配を完成させる。アリスに「私の王になりなさい」と囁く場面は、その両義性を象徴していました。
リサのキャラクターを“恐怖と欲望を併せ持つ権力のメタファー”と捉えます。彼女は暴力でなく魅了によって支配するタイプの敵であり、アリスとウサギの「信念の愛」と対立する構造が美しく機能しています。
人間関係の再生と次への布石
アリスとウサギが再会し、抱きしめ合う場面は、第1シーズンから続く絆の再確認として心を打ちます。極限状況でも“信じ合うこと”が唯一の救いであると再定義され、二人の絆はこれまで以上に強固になりました。
また、アグニの生存とヘイヤの継続的な協力、クイナの独闘、アンの調査といった個々の行動が、次章でどのように再び収束していくのかが大きな焦点です。バラバラに見える各キャラクターの物語が、最終決戦に向けてどう一本の線に収束するのか――その布石として第5話は非常に重要な役割を果たしています。
まとめ:信念と裏切りが交差する心理戦の深化
第5話は、シリーズの根幹である「信念」「裏切り」「人間性」が最も濃く描かれた回でした。キング討伐の失敗から、ヘイヤの過去の告白、クイーン・リサの策略、そしてアリスとウサギの再会まで、すべての出来事が“信頼とは何か”という問いに収束していきます。
リサによって挑戦者たちが追い詰められたこの絶望的な状況で、アリスがどのように反撃の糸口を見つけるのか。次回、〈ちぇっくめいと〉の決着は単なる勝敗ではなく、「人間としての尊厳を賭けた闘い」になることは間違いありません。
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