第8話では、明国との料理対決で盗まれたコチュ粉や北京ダックの勝負が描かれ、両国の誇りと料理人の意地が激突しました。

第9話は、明国との料理対決の最終章である第三ラウンドが行われる重要な回。
ジヨンと王の絆、発明家チュンセンの登場、明国使節の横暴、そして王弟の毒殺未遂など、料理以外のドラマも盛り込まれています。ここからは、第9話の見どころやあらすじ、作った料理、感想と考察を丁寧にご紹介します。
「暴君のシェフ」9話の見どころ…圧力鍋と涙の五鶏湯

公正を求めた採点と最終ラウンドへ
第9話は、ついに明国との料理三番勝負が決着する重要な回です。
第2ラウンドの採点では、明国の使節がバイロンの金蓮花包にわずか1点しか与えず、公平性が疑われます。そこでイホン王は「料理人自身が点数を付けよ」と命じ、結果は再び引き分けに。
勝負は最終ラウンドに委ねられ、緊張感が一層高まりました。ジヨンは発明家チュンセンが作った圧力鍋を用いて、滋養強壮の薬膳料理「五鶏湯(オギョタン)」に挑戦。万が一彼が遅れる場合に備え、別のメニューを「プランB」として準備する周到さも見せ、時間との戦いが繰り広げられます。
勝利と揺さぶられる誇り
最終ラウンドの結果、ジヨンの五鶏湯は評価を得て朝鮮側が勝利。圧力鍋の力とジヨンの工夫が結実した一品が、国の威信を守りました。
しかし明国側の使節は敗北を認めず、「勝利の代わりに献上品を寄越せ」と要求。
その標的はなんとジヨン自身でした。彼女を明国皇帝への贈り物としようとする暴挙に、イホン王は激怒。両国兵士が衝突寸前まで剣を構える一触即発の事態に発展します。
嘘の暴露と深まる陰謀
緊迫する中、大妃の叔母から届いた書状により、明国使節の要求が虚偽であることが暴かれます。窮地に立たされた使節は土下座して謝罪し、朝鮮の面子は守られました。
しかし安堵も束の間、ジヨンを守ろうとするイホンの姿に嫉妬した大妃が新たな陰謀を企て始めます。国家の勝利の裏で、宮廷内の権力争いがより複雑に絡み合うことを予感させる結末でした。
「暴君のシェフ」9話のあらすじ&ネタバレ

ここからは第9話の展開を詳細に追い、サイドキャラクターの思惑や恋模様も交えながらネタバレを含めてご紹介します。
引き分けの第2ラウンドと王の公正な裁定
物語は第8話のラスト、バイロンの金蓮花包とジヨンの北京ダックの採点から始まります。明国使節はバイロンに対して屈辱的な1点をつけ、露骨な不正に会場は騒然。
イホン王は怒りながらも冷静に「料理人同士で互いの料理を評価せよ」と提案します。料理人たちは点数をつけることを避け、結局は再び引き分けに。勝負は最終ラウンドに委ねられることになりました。ここで見せた王の姿勢は、暴君と呼ばれながらも料理人や国の誇りを重んじ、公正さを第一に考える一面を際立たせました。
発明家チュンセンの登場と五鶏湯対決
最終ラウンドのテーマは「高麗人参を使った料理」。ジヨンは五鶏湯(オギョタン)で勝負を決意しますが、圧力鍋の蓋を持つ発明家チュンセンが宮廷に到着せず不安が高まります。
時間が迫るなか、突如チュンセンが竹製のヘリコプターで登場し、会場をどよめかせました。圧力鍋に疑念を抱く者もいましたが、ジヨンは自信をもって調理を進め、香り高いスープを完成させます。
五種類の鶏にもち米や棗、人参を合わせた滋養豊かな五鶏湯は、食べる者の心に幼き日の記憶を呼び起こす逸品。審査員のコン・ウェンリーは長らく味覚を失っていましたが、この料理で亡き祖母の思い出を取り戻し涙を流します。感動が広がり、最終ラウンドは朝鮮側の勝利に終わりました。
明国使節の横暴と大妃の書状
勝敗が決しても明国使節は食い下がり、「勝利の褒美をよこせ」と要求。
イホン王が「望むものを与える」と口にしたことを逆手に取り、ジヨンを皇帝への献上品とする暴挙に出ました。王は激怒し、朝鮮の兵士たちも剣を抜きかける緊迫の場面。
しかしそこへ大妃が現れ、明国の皇族である叔母からの書状を提示。使節の身分が偽りであることが暴かれ、彼は土下座して謝罪する羽目になります。土壇場で朝鮮の面子は守られましたが、宮廷には一層の緊張感が残されました。
王とジヨン、束の間の安らぎ
勝利の後、イホン王はジヨンを気遣い、静かな一角で二人きりの時間を過ごします。
彼女の手を温める茶碗を差し出し、「君に特別に会いたかった」と本音を吐露。二人は月光茶を分かち合い、茶碗に映る月を眺めながら微笑み合います。王は「休んでほしい」と優しい言葉をかけ、ジヨンはその手に触れながら心を寄せる。茶と月光に包まれた穏やかなひとときは、これまでの激しい戦いや緊張を忘れさせる温かな場面でした。
しかし同時に、ジヨンは現代へ戻る鍵「マングンロク」のことを心に留め、王と心を通わせながらも葛藤を抱え続けます。
カン側室とジェサン大君の陰謀
だが甘い時間は長続きしません。カン側室とジェサン大君は、王とジヨンを陥れるため新たな計画を企てます。
標的となったのは、王の異母弟で幼い王子ジェソン。二人は彼の食事に毒を盛り、それをジヨンの料理のせいにしようとします。無邪気に料理を楽しんでいた王子は突然倒れ、宮廷は大混乱。王妃と大妃は激怒し、「ジヨンが毒を盛った」と断定。
ジヨンは牢に閉じ込められ、無実を叫びながらも聞き入れられません。拷問を覚悟するジヨンを救おうと、王は必死に真相を探り始めますが、陰謀はさらに深みへ。エピソードはジヨンが牢に入れられたまま幕を閉じ、視聴者に強烈な不安を残しました。
「暴君のシェフ」9話の作った料理

五鶏湯(オギョタン) – 第3ラウンドでジヨンが圧力鍋を用いて完成させた滋養強壮スープ。キジ・鴨・鶏肉など五種類の鶏肉に、もち米や高麗人参、棗を加えて短時間で旨味を凝縮した逸品です。審査員のコン・ウェンリーが涙を流すほど感動し、朝鮮側の勝利を決定づけました。
明国の高麗人参粥 – 明国チームが最終ラウンドで披露した料理。バイロンが粥に薄切りの高麗人参や銀杏を添え、シンプルな味付けで素材の滋味を引き立てました。しかし、ジヨンの五鶏湯のインパクトには及ばず、結果として明確な敗北に。
月光茶 – 勝負後にイホン王がジヨンへ差し出した薬茶。茶碗に映る月影を眺めながら口にすることで心身を癒やすとされ、2人の関係性を象徴するロマンチックな一杯でした。
宮廷デザートの盛り合わせ – 王子ジェソンがジヨンに頼んだ料理の一部。小豆餅やヤクシク(薬飯)などが盛られ、無邪気に楽しんでいた王子でしたが、その直後に別の料理へ仕込まれた毒で倒れてしまいます。
「暴君のシェフ」9話の感想&考察

第9話は料理対決の決着だけでなく、キャラクターの感情や陰謀が複雑に絡み合う回でした。ここでは印象的だったポイントや今後の展開について考察します。
圧力鍋は希望の象徴
圧力鍋という現代の道具が朝鮮時代に持ち込まれることで、時間と文化の隔たりを象徴的に乗り越える姿が描かれていました。特に発明家チュンセンが竹製ヘリコプターで宮廷に舞い降りるシーンは、一見コミカルでありながら未来技術の可能性と創造力の広がりを象徴していたと思います。
宮廷の人々は「爆発するのでは」と不安げでしたが、ジヨンは臆せず圧力鍋を使い、五鶏湯を完璧に仕上げました。五種類の鶏を高麗人参や棗と煮込み、滋養豊かなスープを完成させる過程は、彼女の料理人としての進化そのものでした。料理人としての自信、そして「食で人を救う」という信念がより強固になった瞬間だったと言えるでしょう。
王の優しさとロマンスの深まり
対決の緊張が去ったあと描かれたのは、王とジヨンのロマンティックな時間。イホン王がジヨンの怪我を気遣うシーンは、暴君としての威圧感とは真逆の柔らかな優しさにあふれていました。
二人で月光茶を飲みながら静かに微笑み合う場面は、恋人のような穏やかさと緊張感を同時に感じさせます。王はジヨンに新しい衣装を贈り、その姿に目を奪われる様子を隠せません。ジヨンはその優しさに心を開きつつも、「現代へ戻る使命」が頭を離れない。愛と使命の狭間で揺れる彼女の心情が丁寧に描かれ、今後のロマンス展開への期待を大いに膨らませました。
使節団の要求と政治劇の緊張感
料理対決に敗れた明国使節が「褒美としてジヨンを献上せよ」と言い放つ場面は、女性の尊厳と国家の誇りが試される緊迫の瞬間でした。イホン王は即座に激怒し、両国の兵士たちが衝突寸前に。
この危機を収めたのが大妃の登場でした。彼女が明国皇族の叔母からの書状を提示し、使節の身分が偽物だったと暴露する流れは痛快。しかし同時に、大妃がこの場面を利用して権力を誇示していることも感じさせました。イホン王は祖母に依存せざるを得ない一方で、ジヨンを守ろうとする強さも見せています。政治と個人の感情が複雑に絡み合い、宮廷の力学をさらに重厚に描き出していました。
カン側室とジェサン大君の残忍さ
甘い余韻は長続きせず、物語は急転直下。カン側室とジェサン大君が仕掛けた次なる陰謀は、王の異母弟で幼いジェソン王子を毒殺し、その罪をジヨンに着せるという残忍な計画でした。
ジヨンの料理を無邪気に喜ぶ王子の姿は微笑ましかっただけに、突然倒れる展開は視聴者に衝撃を与えます。
王妃や大妃は激怒し、即座にジヨンを犯人と断定。牢に閉じ込める命を下す流れは、権力の理不尽さを突きつけるものでした。ジヨンは無実を訴えますが誰にも聞き入れられず、拷問を覚悟する姿には胸が締め付けられます。ジェサンとカン側室の野心はここまで残酷なのかと、視聴者を震え上がらせる展開でした。
物語のターニングポイント
第9話は、まさに物語の大きな転換点でした。五鶏湯での勝利によって朝鮮は国の誇りを守り抜きましたが、その直後にジヨンが冤罪で投獄されるという落差が、視聴者の感情を大きく揺さぶりました。
圧力鍋で国を救ったヒロインが、一転して罪人として牢に繋がれる――このギャップが第9話最大の衝撃です。王はジヨンを救い出せるのか、陰謀の真相は暴かれるのか。そして「マングンロク」というタイムスリップの鍵は再び姿を現すのか。
料理対決を超えて、政治劇・ロマンス・ファンタジーが複雑に絡み合い始めた第9話。ここから物語が一気にクライマックスに向かう予感が漂い、次回への期待と不安が止まらない回でした。
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