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「冬のなんかさ、春のなんかね」4話のネタバレ&感想考察。「小説を書くということ」元カレ再会が揺らした“恋と孤独”

「冬のなんかさ、春のなんかね」4話のネタバレ&感想考察。「小説を書くということ」元カレ再会が揺らした“恋と孤独”

第4話「小説を書くということ」は、恋の話をしているはずなのに、ずっと“生き方”の話を突きつけてくる回でした。

文菜は今の恋を続けながら、元恋人・小林二胡との再会によって、過去の恋と、書くことの原点に引き戻されていきます。

派手な事件は起きない。けれど、一つひとつの会話が、確実に心の奥を削っていく。
好きだった人の言葉が、時間を置いて意味を変えてしまう怖さ。
そして「一人になりたい」という言葉を、理解できてしまった自分への戸惑い。

この回は、文菜が“誰を好きか”より先に、「どんな孤独を抱えて生きるのか」を問われた物語でした。
ここから、彼女の恋はもう、元の場所には戻れません

※この記事は第4話のネタバレを含みます。未視聴の方はご注意ください。

目次

ドラマ「冬のなんかさ、春のなんかね」4話のあらすじ&ネタバレ

ドラマ「冬のなんかさ、春のなんかね」4話のあらすじ&ネタバレ

第4話のサブタイトルは「小説を書くということ」
文菜が“今の恋”を続けながら、過去の恋と向き合わされていく――その引き金になったのが、元カレで売れっ子小説家の小林二胡との再会でした。

この回は出来事自体は派手じゃないのに、会話の一言一言が、胸の奥にひっかかって残るタイプ。

「好き」の温度が変わってしまった人が、どうやって“今の自分”を受け入れるのか。私はずっと、文菜のまばたきの回数まで気になってしまいました。

1月のトークイベント、背中を見つめる元カレ

1月。文菜の新作小説『生活123』のトークイベントとサイン会が開かれます。

文菜はファンからの質問に答えながら、大学時代の恋愛についても書いたことを口にする。そう話している最中、客席の後方から文菜を見つめる男性がいました。売れっ子小説家で、文菜の元恋人でもある小林二胡です

サイン会のあと、二胡は当たり前みたいに文菜の前へ来て、さらっと挨拶をします。

この「久しぶり」なのに「久しぶりじゃない」距離感が、元恋人の怖さ。文菜も驚いているのに、動揺を表に出しきれない感じで、顔だけが先に大人になっていました。

二胡はそのまま、「軽くメシでもどう?」と誘います。

文菜は一瞬迷いながらも「じゃあ行きますか」と応じて、二胡についていく。断りきれない弱さというより、“自分の過去を放置してきたツケ”が足元に絡んでくる感覚がありました

二胡との食事で揺れる、“今の恋”の輪郭

二人は食事をしながら、互いの生活を確かめるように会話を始めます。

二胡に「今、彼氏いるの?」と聞かれた文菜は、付き合って1年ほどの恋人がいると答える。過去の話をしているのに、文菜の口から“今”がちゃんと出てくるのが、余計に切ないんですよね

文菜が「二胡さんは?」と聞き返すと、二胡は「特定の人はいない」と言いつつ、3〜4人の女性と関係があることをあっさり明かします

しかも相手は彼氏がいたり、夫がいたりする女性たち。文菜が「寝たりとかも?」と踏み込むと、二胡は否定もせず、その温度差がじわっと怖い。恋愛の話をしているのに、倫理じゃなく“生活の手触り”として話される感じがありました。

そこから話題は小説へ移ります。
二胡は文菜に「俺の小説、読んでる?」と聞くけれど、文菜は「最近は読んでない」と答える。そして二胡は「自分が書いたものをどう思ってる? 文学として面白いかどうか」と、文菜に投げ返す。元恋人同士の会話なのに、どこか面接みたいにズバズバ進むのが、二胡らしい。

二胡は「昔よりはできてる」と言い、挫折を知って身の程を知った、と話します。
以前は“芸術だから”みたいな意地があったけれど、今は「必要のないものも書けるようになった」と言う二胡。その言葉には、自分が変わったことへの誇りと、変わらざるを得なかった諦めが混ざっていました。

文菜は二胡の言葉に頷きつつ、「二胡の小説は必要のないものかもしれない。でも救われる人がいるなら価値がある」と返します。

二胡が「書きながら死にたくなる」と吐いたとき、文菜は「えらいよ」と言う。慰めじゃなく“評価”としての一言で、だからこそ痛いくらい優しい。

二胡はさらに、「文菜みたいに一人の人をきちんと好きになって、面白い小説を書きたい」と羨むように言います。

でも文菜は「そんな変わんないよ」「今の私は二胡と似たようなもの」「昔の私はいない」と返して、二胡が抱いてきた“文菜像”を崩す。二胡が「俺の知らない文菜がいるってことか」と言うと、文菜は「いるよ、当たり前じゃん」と返す。久々の再会で、相手の中の自分を壊さなきゃいけない辛さが、会話に出ていました。

その場に呼ばれた“彼女の一人”が空気を変える

食事(そして飲みの場)の途中、二胡に電話が入ります。

二胡は「同じ店にいる」と知ると、文菜がいるのに、そのまま女性を呼び寄せてしまう。ここ、二胡の無邪気さというより、誰かの心を想像しない癖が露骨に出ます。

やって来たのは、二胡が関係を持つ女性の一人。
彼女は文菜を見るなり、二胡と文菜の距離を探るように、ずけずけと踏み込む言葉を投げます。文菜は耐えきれず、その場を離れる決断をします。

帰り際、文菜は二胡へ「私は今の二胡も好きだよ」と言い残して店を出る。

好きと言いながら、釘も刺して、過去も置いていくみたいな言い方で、私は胸がざわつきました。

帰り道の本屋で、7年前の秋が開く

飲みの帰り、文菜は本屋へ立ち寄ります。
二胡の最新刊を手に取った瞬間、「昔もこんなふうに二胡の小説を探したことがあった」と記憶がつながっていく。第4話はここから、現在→過去へ、ページをめくるみたいに視点が切り替わります。

“作家の新刊”を手にしただけなのに、文菜の中では“元恋人の匂い”が立ち上がる。

本屋って、恋の記憶にいちばん近い場所なのかもしれない。棚の前で立ち尽くす文菜の背中が、そのまま過去への入口になっていました。

回想:クラブの大音量の中で、小説を読む人

7年前。大学4年の秋。
文菜はクラスメイトのエンちゃんに誘われてクラブへ行きます。音は大きいし、人は多いし、踊るのが正解みたいな空間なのに、そこに小説を読んでいる男性がい。文菜は思わず目を留めます。

エンちゃんは「あの人、小説家だよ」と教え、名前が小林二胡だと明かします。

しかも同じ大学にいる。留年している、とエンちゃんが付け足すのも、変にリアル。文菜は驚きつつ、その夜の帰り道からもう、二胡のことが気になって仕方ない。翌日、本屋で二胡の小説が載った文芸誌を買い、授業中にも読み漁るようになります。

ここで描かれる文菜は、今よりずっと“まっすぐ”です。

人を好きになる前の、「作品が好き」「言葉が気になる」という純粋な熱が先に走っていて、恋の入口がちゃんと自分の手の内にある感じがしました。

回想:エンちゃんがつないだ席で、正直な感想をぶつける

エンちゃんの紹介で、文菜は二胡と会うことになります。

カフェで向かい合い、二胡はさっそく自分の小説の感想を聞く。文菜はお世辞で取り繕わず、「面白くはなかったけど、好きでした」と言い切ります。途中までは面白かったのに、後半が都合よく感じた――そんな正直な感想。

二胡はショックを受けるより先に、言葉を拾い集めるみたいに反応します。
「ベタってこと?」と確認し、自分は派手なラストにするつもりはなかった、と説明する。編集の意向で形が変わったこと、そして本当はどう終わらせたかったのかを文菜に話す。ここで二胡が“言い訳”じゃなく“共有”として語るのが、文菜に刺さったんだと思います。

会話が小説論に深まっていく中で、二胡は文菜に「自分で書こうとは思わないのか」と問いかけます。
文菜は「好きでリスペクトがあると書こうと思えない」と答える。すると二胡は、「好きだから作ろうと思う人もいるし、好きだから作らない人もいる」「満足している人は作らないと思う」と語り、文菜の“満足”を揺さぶってくる。

文菜は「満足しているかどうかはわからない」と返します。

その場では答えが出ないのに、二胡はそこを見逃さず、「読んでみたい、文菜さんの小説」と言う。褒め言葉というより、「思考を知りたい」というお願いに近い言い方。文菜はその一言で、初めて“書く側”に足を踏み入れます。

回想:本をつまみに会う日々、恋が育つ速度

エンちゃんと三人で飲んだ夜を境に、文菜と二胡はよく会うようになります。

二胡は面白い小説を教えてくれて、文菜はそれを読み、感想を言う。飲んで、小説の話をして、また本屋へ行く。その繰り返しが、二人の距離を自然に縮めていきます。

ここで面白いのは、恋愛の定番みたいな“告白のための駆け引き”がほとんどないこと。

代わりにあるのは、相手の言葉を面白がる時間。好きになったというより、相手の思考を追いかけるのが癖になっていく感じで、私はこの関係の始まり方が妙にリアルだと思いました。

回想:クリスマス、同じ本と『告白』

クリスマスの日、二人は「まだ読んだことのない本をプレゼントし合う」ことにします。


ところが選んだ本が偶然かぶる。町田康の『告白』。同じ表紙を差し出し合った瞬間の、気まずさじゃなく“笑ってしまう幸福感”が、恋の始まりにぴったりでした。

二胡はその本のタイトルを指しながら、「付き合ってもらえませんか」と告げます

文菜も同じ本を掲げて応える。たったそれだけのやり取りなのに、二人が恋人になることが自然に見えてしまうのは、言葉の相性が先にでき上がっていたからだと思います。

回想:受賞、古着屋のバイト、二胡がくれた現実

交際から2カ月ほど経ったころ、文菜は初めて書き上げた小説で新人文学賞の最優秀賞を獲得します。
「書いてみたら」と言われて本当に書いて、賞まで取ってしまう。この出来事は、二胡にとっては誇らしくもあり、同時に“比較の始まり”でもあったはずです。

文菜はその後も、小説を書きながら古着屋でアルバイトを続けていきます。
生活を回して、作品を書く。恋人と会う。たぶん当時の文菜は、そういう普通の幸せを“普通に”受け取れる人だったんだと思います。

回想:別れるためのデート、ライブで泣いてしまう文菜

それから約1年が過ぎ、冬の日。
二人は“別れるための最後のデート”に出かけます。行き先はライブハウスの弾き語り。文菜は曲の途中で泣き出し、二胡はくしゃくしゃのティッシュを差し出します。別れが決まっているのに優しい、って本当にきつい。

ライブ後、喫煙スペースで文菜は一人でタバコを吸います。
二胡は少し離れた場所で知り合いと話し、文菜のそばには来ない。その距離が、もう恋人の距離じゃないことを静かに証明していました。

そこへ文菜の友人・サワが現れます。

サワは文菜に声をかけ、二胡とも会話に混ざる。二胡は「吸ったことがない」と言い、サワは「流産してから吸ってない」と語る。別れ話の前に、人生の重さがさらっと差し込まれて、空気がさらに苦くなります。

別れ話:居酒屋で暴かれる“孤独”と“嫉妬”

二人は居酒屋へ移動し、別れ話を始めます。
二胡は「別れたい」と言い、文菜は「別れよう」と返す。ここで文菜は、ライブで泣いたことを謝りながら、「なんでこうなったのかな」「好きだったのにな」と言葉にしていきます。

文菜は「電話でも話したけど」と前置きしながら、改めて理由を聞こうとします。
「一番は何?」と問うと、二胡は「わかんない」と言う。文菜は「わかんないのに別れるのか」と返し、二胡は「疲れた」とだけ言う。ここ、二人が喧嘩しているわけじゃないのに、言葉が全部“終わり”に向かっているのが怖い。

文菜は、二人の相性の良さを持ち出します。
何気ないやり取りが合うこと、偶然がかぶること、クリスマスの『告白』のこと。二胡もそれを否定はしないのに、「それももう終わり」と言うように会話を閉じていく。恋が終わる時って、相性が悪いからじゃなく、“続ける体力”がなくなるからなんだと突きつけられました。

二胡は少しずつ本音を並べます。
「今は一人になりたい」「恋人がいる状態が不安定で向いてない」。さらに「小説を頑張りたい」も理由に重ね、「ダサいけど、才能に嫉妬している」とまで言う。文菜を“良すぎる”と言い、ふさわしい相手は自分じゃない、と離れていきます。

文菜は、二胡の小説を全肯定したわけじゃないことも、正直に語ります。

面白くなかったところもあった。でも二胡の言葉や思考が好きだった。一緒にいて楽しかった。そして「小説を書くきっかけをくれた人」だと。今まさに賞に引っかかって、編集とやり取りが始まったばかりだ、と文菜は言う。つまり、二胡の存在が今の自分に直結していることを、ちゃんと分かってほしいんです。

それでも二胡は「孤独が必要」と言い続けます。
文菜が「甘えだよ」と切り返すと、二胡は「ものを生み出せない方がキツい」と言う。文菜は「そもそも孤独って何?」と問い、二胡は答えきれない。言葉が尽きた瞬間、二胡は“嫌われるための告白”を始めます。

二胡は、文菜に嫌われたくて「好きでもない人と寝た」と言う。
文菜が相手を問い詰めると、二胡は「なぎさ」と名前を出す。文菜は「自分のこと好きな人と寝るの最悪」と突き放し、二胡が「それでも別れたくない? そんな最悪な俺でも」と言っても、もう戻れない。文菜は席を立って店を出ていきます。

“孤独を手に入れた二胡”と、文菜の現在地

二胡はその後、孤独を手に入れ、さまざまな挫折や出会いを経て売れっ子作家になっていきます。
文菜は、二胡が自分の選んだ道の重さを分かっているのだと思い、尊敬はしている、と心の中で整理します。ただ、憧れはしない。

そして文菜は、久々に読んだ二胡の小説を「今の自分には必要のないものだった」と感じます。
過去の恋があったから読めたけれど、今の自分にはもう刺さらない。好きだった人の作品が“好きじゃなくなる”って、恋が終わった証明みたいで、私はここがいちばん寂しかったです。

現在へ:二胡の最新刊を読み終え、ゆきおに渡す

時間は現在に戻ります。
文菜はゆきおの部屋で二胡の最新刊を読み終え、横になっていたゆきおが起き上がって声をかける。ゆきおは「話題の小説じゃん」と言い、文菜に感想を聞きます。文菜は「あんまり」と答え、そのまま本をゆきおに渡します。

「読んでいい?」と聞くゆきおに、文菜は「いいよ、あげる」と言う。
二胡の小説が“必要ない”と言い切れる今の自分。そこに少し安心しながら、同時に、二胡が言っていた「一人になりたい」が昔よりわかる気もしてしまう。第4話は、その矛盾を抱えたまま静かに終わります。

ドラマ「冬のなんかさ、春のなんかね」4話の伏線

ドラマ「冬のなんかさ、春のなんかね」4話の伏線

第4話は、文菜が“小説を書く”側に立つきっかけになった相手・二胡との再会から、7年前の出会いと別れまでが一気に描かれました

恋愛の記憶って、今の生活の中に急に差し込んできて、心の温度を変えてしまうもの。今回はその「差し込み」が、次回以降の文菜の選択に直結しそうです。

ここでは第4話で提示された伏線を、「回収済み(第4話内で意味が明かされた)」と「未回収(次回以降に効いてきそう)」に分けて整理します。読み返し用に、できるだけ“拾いやすい形”でまとめました。

回収済みの伏線

第4話は過去パートが長く、その分「なぜ文菜は小説を書いているのか」「なぜ恋愛に慎重なのか」という根っこが、いくつも“答え合わせ”されました。特に二胡という存在が、文菜の創作と恋愛の両方に関わっていたことが大きいです。

物小道具

小道具がそのまま“感情の記憶媒体”になっていた回でした。

  • 二胡の最新刊:再会直後に手に取り、読み終えて、最後はゆきおに渡す。文菜の中で二胡が「過去」から「現在」に戻ってくる導線になっていました。
  • 文菜の新作『生活123』:トークイベントで大学時代の恋愛にも触れたことで、二胡が「しょぼい男」として自己紹介する流れが成立。過去と現在を同じ場所に呼び寄せる仕掛けでした。
  • 町田康『告白』:クリスマスに同じ本を選ぶ偶然が、2人の恋の始まりの“運命感”を作っていた一方で、「告白」という言葉自体が、終わりの場面での“告白(嫉妬・孤独・裏切り)”にも重なって見えました。
  • タバコ(喫煙所):文菜が涙を流したライブの後、喫煙所が“別れの前室”になっていたのが印象的。煙が残る場所に、言えなかった本音が溜まっていく感じがありました。

セリフ

短い言葉が、文菜の人生の方角を決めていく回でした。

  • 「読んでみたい、文菜さんの小説」:文菜が“読む側”から“書く側”へ踏み出す直接のきっかけとして回収。
  • 「満足している人は作らない」:二胡の価値観が、文菜の中に刺さってしまったことが見えてくる。文菜は“満足してない”から書いたのか、それとも“満足を確かめるために”書いたのか……この問いが残りました。
  • 「一人になりたい」「孤独が必要」:別れの理由がここに集約され、二胡が「恋人がいる状態」に耐えられない人だったことが回収。
  • 「才能に嫉妬している」:二胡の“ダサい”告白が、きれい事じゃない別れのリアリティになっていました。
  • 「嫌われたくて、好きでもない人と寝た」:言葉の衝撃で、文菜が席を立つ。二胡が自分で終わらせる覚悟を持てず、相手に“嫌う役”を押し付けたことまで回収された感覚がありました。
  • 「私は今の二胡も好きだよ」:バーでの一言が、過去の別れを経た“今の距離感”として回収。恋ではなくても、理解や敬意としての「好き」があると示された気がします。

タイトル

サブタイトル「小説を書くということ」自体が、恋愛回というより“創作の回”としての宣言でした。恋の始まりも終わりも、小説(言葉)を中心に回っていたことが、タイトルで回収されています。

沈黙

言葉にしない部分が、いちばん大事な伏線になっていました。

  • 二胡は最後まで「どうすれば続けられたか」を語らない。改善ではなく“逃げ”を選んだ沈黙が、別れの現実味を強めました。
  • 文菜も「本当は別れたくない」を言わない。泣くけど、縋らない。その沈黙が、文菜の強さと、傷の深さを同時に回収していました。

未回収の伏線

第4話は“過去を見せた回”なのに、観終わると不思議なくらい「これからが怖い」と感じました。今の文菜が、二胡の言葉を理解できてしまった瞬間から、恋愛の重心が変わりそうだからです。

物小道具

いまはただ置かれただけに見える小道具が、次回以降に刺さってきそうです。

  • ゆきおに渡した二胡の小説:ゆきおが読んだ“後”が描かれていないのが不穏。嫉妬になるのか、理解になるのか、あるいは何も起きないのか。静かな地雷にも、橋にもなり得ます。
  • 喫煙の記憶:過去パートの喫煙シーンが強烈だったぶん、現在パートでは喫煙が前に出てこないのが逆に引っかかる。何を手放して、何を残したのかが、後から語られそうです。

セリフ

次回以降に繰り返されそうな言葉が、きれいに配置されていました。

  • 「私はもうあなたが思っているような人間じゃない」:文菜が“過去の自分”と距離を取っている宣言にも聞こえるし、今の恋人にも向きそうな言葉でもある。誰に向けて出るのかが気になります。
  • 「俺も文菜みたいになりたかったな」:二胡のこの言い方は、文菜を持ち上げているようで、どこかで“線引き”もしている。二胡が今後、再び文菜に近づくのか、それとも距離を保つのかの伏線に見えました。
  • 「今の二胡も好き」:この“好き”が、ゆきおにどう届くのか。文菜自身も整理できていないまま言っている可能性があって、そこが怖いです。

タイトル

『告白』が恋の始まりの本だったように、今後も“タイトル”が感情のスイッチになりそうです。文菜が書く『生活123』の中で、どこまで恋愛が言語化されているのかも、まだ見えていません。

沈黙

未回収のいちばん濃い部分は、実は「名前」と「関係性」の空白でした。

  • 二胡が「好きでもない人と寝た」と言った相手・なぎさが誰なのか。名前だけが落とされて、人物像が描かれていない。だからこそ、後から出てきた時の破壊力が大きい気がします。
  • 二胡が付き合っていると話した“パートナーのいる女性たち”の存在。1人がバーに呼ばれるところまで描かれたのに、それ以上の背景がない。二胡の現在が、文菜の現在に干渉してくる余地が残っています。
  • 文菜が「一人になりたい」を理解できてしまった理由。ここがまだ言葉になっていない。恋愛の積み重ねがそうさせたのか、創作の孤独がそうさせたのか、次回以降で“自覚”が生まれそうです。

第4話の伏線は、事件の謎解きというより「心がどこに向かうか」を決める種でした。二胡の過去が明かされたことで、今の文菜の選択が、より怖く、でも目が離せなくなっています。

ドラマ「冬のなんかさ、春のなんかね」4話の感想&考察

ドラマ「冬のなんかさ、春のなんかね」4話の感想&考察

まず正直に言うと、第4話は“恋愛回”というより、胃のあたりが静かに冷える回でした。

元カレとの再会って、ドラマだとロマンチックに描かれがちなのに、今回はずっと現実の手触りがあって。優しいふりの言葉、わざと壊す行動、理解してしまう自分――そういう全部が、刺さる人には刺さりすぎる気がしました。

それでも、私はこの回が好きでした。きれいに片付けないからこそ、文菜の「今」が嘘じゃなく見えたからです。

二胡との再会が“痛い”のに目が離せない

トークイベントで文菜が「しょぼい男」と言ってしまって、それを二胡本人が受け止めて「どうも、しょぼい男です」と返す。あの一連の流れ、笑えるのに、笑ったあとに妙に苦く残りました。言われた側も言った側も、軽口で済ませることでしか、昔の痛みに触れられない感じがしたから。

再会直後の会話って、近況報告のふりをしながら、実は「今のあなたは私をどう思う?」の探り合いになりがちです。二胡が「恋人はいないけど、複数の相手がいる」と平然と言うのも、文菜に“自分は自由だ”と示したいように見えたし、文菜が淡々と聞いているのも、平気なふりに見えました。

でも、平気なふりって、だいたい後から効いてくるんですよね。

「小説を書く」という行為が、恋愛より残酷に見えた

二胡が言っていた「必要ないものを書けるようになった」という感覚。私はあれを聞いた瞬間、ぞわっとしました。書き手が自分の書くものを「必要ない」と言い切るのって、強がりにも見えるし、諦めにも見えるし、救いにも見えるから。

文菜が「それで救われる人がいるなら価値がある」と返す場面も、優しさだけじゃなくて、どこかで“自分もそういう道を歩いてきた”人の言葉に聞こえました。小説って、恋みたいに相手の顔が見えない分、逃げ場がない。だからこそ、書くために恋を壊す人がいても不思議じゃないし、でもそれを美談にするのは違う、とも感じました。

第4話は、恋愛の話をしているようで、ずっと「生き方」の話をしているように感じました。

二胡の「孤独が必要」は、美学じゃなくて“逃げ方”に見えた

別れ話の居酒屋シーン、私はずっと息を浅くして観ていました。二胡の言葉が、どれも“相手を責めない形”をしているのに、結果的に文菜だけが傷を引き受ける構造になっていたからです。

「向いてない」「一人になりたい」「あなたにふさわしい相手は俺じゃない」。これって優しいようで、反論の道を閉じる言い方でもある。文菜が「甘えだよ」と切り捨てるのは残酷に見えるけど、あれは文菜なりの“救助”にも見えました。ここで二胡の言葉を美しいままにしてしまったら、二胡は一生「孤独の美学」に隠れてしまうから。

そして極めつけの「嫌われたくて、好きでもない人と寝た」。あれは、私の中では“最後の言葉の暴力”でした。自分が悪者になることで関係を終わらせるのは、一見潔い。でも本当は、相手に「じゃあ出ていくしかない」を選ばせている。文菜が呆れて店を出るしかなかったのも、当然に見えました。

文菜の「今の二胡も好きだよ」が、怖いほどリアル

バーで女性が割り込んできた時、文菜が置いていった「今の二胡も好き」。私はあの一言が、甘い台詞じゃなくて、むしろ冷静な“切り札”に見えました。恋愛って、好きな相手に対して「好き」を言うより、第三者に向けて言うほうが、感情の形がはっきりする時があるから。

あれは二胡を奪う宣言ではなくて、「あなたの価値観も含めて、私は理解できてしまう」という宣言にも聞こえました。理解できてしまう側って、すごく危ない。相手が壊れていても「そういう人だよね」で抱えてしまうから。文菜の危うさが、あの一言に濃縮されていた気がします。

そして、その危うさを文菜自身が自覚していない感じが、さらに怖い。

ゆきおに本を渡したのは“優しさ”か“試し”か

ラストで、文菜が読み終えた二胡の小説を、ゆきおが「読んでいい?」と言って、文菜が「いいよ、あげる」と渡す。あのやりとり、淡々としているのに、私はものすごく緊張しました。

恋人に元カレの作品を渡すって、普通なら気まずい。でも文菜は、そこを気まずいと思っていないようにも見えた。だからこそ、これは“距離を縮める行為”にも、“線を引く行為”にもなる。ゆきおが何を感じるかで、文菜の恋愛のフォームが変わる気がします。

私がいちばん切なかったのは、文菜が「今の私には必要ない」と言い切ったのに、それでもゆきおに渡すところ。過去を封印するんじゃなくて、生活の中に置く。たぶん文菜は、忘れたいわけじゃないんですよね。

エンちゃんと喫煙所の友人が残した「生活」の匂い

第4話は二胡と文菜の物語なのに、私の心に残ったのは、エンちゃんと喫煙所の友人がふっと差し込む瞬間でした。エンちゃんがいなかったら、2人はたぶんもっと早い段階で“恋”に落ちて、もっと早く壊れていた気がする。あの「間にいる人」が作る安全地帯が、文菜には必要だったように見えました。

そして喫煙所で、文菜が友人とばったり会ってタバコの話になるところ。恋愛の話をしていたはずなのに、急に“生活”の匂いが立ち上がって、現実に引き戻されました。大げさじゃなく、恋っていつも、こういう日常の隙間で壊れたり続いたりする。

喫煙シーン自体に驚いた人もいるはずだけど、私はあの煙が「若さ」じゃなくて「当時の逃げ道」に見えたのが苦しかったです。泣いて、吸って、笑って、また黙る。あの反復が、文菜の恋の癖を静かに説明していた気がしました。

「一人になりたい」を理解できてしまった瞬間から、恋は変質する

最後のモノローグで、文菜が「あの時の二胡の気持ちが、昔よりわかる気がする」と感じる。これ、私には希望よりも“兆し”に聞こえました。恋人がいるのに、孤独に共感し始めた時、人は静かに関係を手放す準備をしてしまうから。

もちろん、孤独を理解すること自体は悪いことじゃない。でも文菜の場合、その理解が「誰かを大事にすること」から逃げる免罪符になってしまったら、いちばん悲しい。第4話は、文菜がその境界線に立ってしまった回に見えました。

私は文菜に、ちゃんと恋してほしいし、ちゃんと一人にもなってほしい。どっちかじゃなくて、どっちも選べる人になってほしい。そんなわがままを言いたくなるくらい、第4話は、痛いのに優しい回でした。

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