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Netflixドラマ「サンクチュアリ 聖域」4話のネタバレ&感想考察。猿桜はなぜ“勝っても許されない”のか

Netflixドラマ「サンクチュアリ 聖域」4話のネタバレ&感想考察。猿桜はなぜ“勝っても許されない”のか

第4話を見終えたあと、胸に残るのは爽快感よりも息苦しさでした。序二段優勝という結果を出しているのに、なぜか祝福されない。むしろ、勝った瞬間から「次の攻撃」が始まっている

この回で描かれたのは、猿桜の成長ではありません。

描かれたのは、勝利すら武器にされる世界と、「品格」という言葉が人を潰すために使われる現実です。

なぜ猿桜は、勝っても許されないのか。なぜ角界では、正しさよりも権力が通るのか。

ここでは第4話の展開を振り返りながら、この物語が一段階“地獄の深度”を上げた理由を考えていきます。

目次

ドラマ「サンクチュアリ 聖域」4話のあらすじ&ネタバレ

ドラマ「サンクチュアリ 聖域」4話のあらすじ&ネタバレ

第4話は、猿桜(小瀬清)が「強ければ生き残れる」という幻想を粉砕される回です。

土俵の上で勝っても、土俵の外で“品格”を理由に潰される。しかも相手は、努力や才能じゃなく「協会の空気」と「権力の手」。

公式のエピソード紹介でも、猿桜が品格を問題視されて協会から引退を迫られ、おかみさんの助けで難を逃れる――と明言されています。ここから先は、問答無用のネタバレで追っていきます。

龍貴の“勝ったのに吐く”初日――品格の象徴ほど壊れやすい

開幕から描かれるのは、龍谷部屋の龍貴。

大関として初日を勝ち切るのに、控室に戻った瞬間、吐くほどの緊張で身体が崩れる。勝利が気持ちよさに直結しない。むしろ「勝てる立場」にいるからこそ、勝ち続けるしかない。

家に戻れば、父である龍谷親方から、相撲が「魂がない」と言われてしまう。本人は“正しい”型で相撲を取っているのに、最も近い存在から真っ向否定される。

ここで示されるのは、角界のエリートほど“形”に縛られ、心が擦り減るという地獄です。

この龍貴パートが効いてるのは、猿桜の「品格で潰される」展開の前に、品格側の人間もまた品格で傷つくことを見せておくところ。

第4話は、ただ猿桜が叱られる話じゃない。角界そのものが、全員に同じ鎖を巻きつける話です。

「猿桜、引退しろ」――犬嶋と馬山が持ってきた“協会の意志”

夜、猿将部屋に犬嶋親方と馬山親方が乗り込んできます。目的は一つ。
「猿桜を辞めさせろ」。
理由は、前場所での振る舞い、SNSで拡散されたクラブでの姿、土俵上での態度……要するに“品格がない”という一点です。

ここで怖いのは、犬嶋の圧が「個人的な嫌悪」だけじゃなく、“協会側の正義”として出てくること。品格という言葉が、個人を処分するための免罪符になっている。

猿将親方は守ろうとする。でも、犬嶋は簡単に折れない。

犬嶋が猿将に抱える因縁(現役時代の劣等感)は、ここで“制度の顔”をして襲ってきます。

猿桜の最悪の“失言”――横綱コンプレックスの地雷を踏み抜く

で、猿桜が最悪なのはここから。

部屋の奥での話し合いを盗み聞きしていた猿桜が、酒が入った状態で部屋に飛び込んでくる。空気も序列も読めないまま、犬嶋に媚びるつもりで「横綱だったんですか?」みたいなことを言ってしまう。

これが犬嶋にとっては、最大級の地雷。

犬嶋は横綱になれなかったことを引きずっている(本人はそれを猿将のせいだと思っている)。だからこの一言は“煽り”として刺さる。結果、犬嶋の怒りが一段上がる。

猿桜は、仲裁のつもりで火にガソリンをぶちまけるタイプです。

良くも悪くも「言葉が武器」ではなく「言葉が爆弾」。この性質が、土俵外の世界では致命傷になります。

花(おかみさん)の助け船――“品格”を黙らせるのは、別の権力

この場を収めるのが、女将の花。

彼女は「慈悲」みたいな優しさで止めたわけじゃない。もっと冷たく、もっと現実的に止める。犬嶋が絶対に表に出されたくない“何か”を匂わせて交渉し、引退勧告をいったん引っ込めさせるんです。

つまり第4話で初めて見えるのは、角界のルールは“品格”で運用されているようで、実態は“弱み”で動くという事実

さらに犬嶋は、花を睨みつけて「理事長(熊田)の隠し子だから強気に出られるんだろ」的なことを言う。

花の出自が“ただの女将”ではないことが示されるわけで、ここで花は「部屋を守るための盾」から「角界の権力構造そのもの」に踏み込む存在へ格上げされます。

猿将親方の竹刀――愛情と暴力が同居する“育て方”

犬嶋たちが帰った後、猿将親方は猿桜を竹刀でぶん殴ります

現代の感覚だと「アウト」なんだけど、ここはドラマの肝で、猿将親方の中ではこれが“教育”でもあり“怒り”でもあり“愛情”でもある。

言い方を選ばずに言うなら、猿将親方は猿桜を守りたい。
でも守り方が不器用で、暴力のフォームしか持っていない。
猿桜は猿桜で、言葉のフォームしか持っていない。
だから二人は噛み合わず、痛みでしか繋がれない。

ここで僕が感じたのは、猿将親方が猿桜を嫌って殴ったんじゃない、ということ。
猿桜が“部屋を潰す爆弾”になりかけたから殴った。

暴力が正当化されるわけではないけど、角界の中では「守る手段」が暴力に寄ってしまう現実を、誤魔化さずに置いてきた印象です。

五月場所開幕――“仕切り”が下手なだけで、人は晒される

五月場所が始まり、猿桜の取組が映る。

ここが地味に重要で、猿桜は“所作”が雑。手つき、仕切り、礼、そういう細部がズレていて、行司・審判・観客の目線が一気に冷える。作中でも、手つきの不備などで取組がやり直しになり、猿桜の苛立ちが露骨に溜まっていきます。

このシーンの嫌なところは、猿桜が「弱いから」叩かれていない点。“強いのに”“勝つのに”、所作が雑だと晒される。
ここが第4話のテーマのど真ん中です。

そして、苛立ちながらも勝ってしまう。勝つから余計に叩かれる。

この矛盾が、猿桜の人生を加速させます。

猿谷(猿将部屋の古参)の膝――勝つほど削れる肉体のリアル

今場所で観客が注目するのは猿桜だけじゃありません。

古参の猿谷(猿将部屋)が、膝の爆弾を抱えながら土俵に上がる。勝つ。だけど膝を痛める。勝利が“回復”じゃなく“損耗”として積み上がる。しかも彼は、上の番付(関取)に戻るために、痛みを隠すしかない。

このドラマが怖いのは、こういう「努力すれば報われる」じゃなくて、努力すれば壊れるを普通に描くところです。

猿桜の物語がギラギラしていくほど、猿谷の物語は“静かな終わり”に向かっていく。
第4話はその対比が美しい。

序二段優勝決定戦――馬山側の「腕を折れ」という指示

そして問題の終盤。

猿桜は序二段の優勝争いに乗っていきます。決勝の相手は馬山部屋の力士(馬狩)。犬嶋の手下的立ち位置の馬山は、優勝を獲らせないために陰湿な手を使う相手側に「腕を折れ」と指示するような描写があり、猿桜は“勝負”じゃなく“破壊”を仕掛けられる。

ここで角界の闇が、ハッキリと“形”になります。

「品格」って言葉で人を切るくせに、裏では平気で腕を折らせにくる。

結局、守っているのは品格じゃなく、権力者のメンツです。

決勝は“挑発”だらけ――待った、鼻血、そして限界の集中

決勝戦、相手は序盤から猿桜を煽るように当たり、わざと苛立たせる。

仕切りのやり直し、変な当たり、乱暴な圧。猿桜は鼻血を出しながらも、ぶち切れずに相撲を続ける。

ここ、猿桜が初めて「キレない努力」をしている感じがあるんですよね。

勝つために冷静になる。
これまでの猿桜は、負けそうになると暴れる、だった。でもこの取組では、暴れたい衝動を“勝ち”のために抑える。

猿将親方に叩き込まれた何かが、ようやく土俵上で形になっていきます。

猿桜の勝ち方が痛快すぎる――押し出し&“審判席”への投げ

結果、猿桜は勝つ。しかも勝ち方が、猿桜らしく派手。

相手を押し出し、勢い余って審判を務めていた馬山親方の方に叩きつけるような形になり、ボディプレスみたいに見える瞬間すらある。
ここは「ざまあ」と「危ねえ」が同時に来る、最高に不適切な痛快さ。

そして猿桜は序二段優勝。

土俵の上では“結果”で黙らせた。

でも、この勝ち方がまた土俵の外で問題になるのが、この作品の嫌なところ(=リアルなところ)です。

静内は三段目優勝――勝ち方が“静かすぎる怪物”

同じ場所で静内も勝ち続け、三段目の優勝を掴む。

静内の相撲は、とにかく静かで、淡々としていて、余計な感情がない。猿桜が「勝って騒ぐ」なら、静内は「勝って沈む」。
この対比がえげつない。

取組後、龍貴が静内に声をかけようとするが、静内は突き放すような態度を取る。
龍貴の“品格”が、静内には届かない。

むしろ「お前の言う正しさは、俺の地獄を知らない」という拒絶に見える。

祝勝会の夜――村田拓真の登場と“タニマチ”の匂い

猿桜は七海と合流し、IT社長の村田拓真と繋がっていきます

村田は軽いノリで金を出し、猿桜を褒め、夜の街へ連れ出す。クラブで踊る猿桜の動画がSNSに上がり、叩きが加速する。

国嶋飛鳥はその反応を目にして、猿桜が土俵外で“制裁”されていく空気を察する

そして村田は猿桜に「自分がタニマチになる」と告げる。

ここから先、猿桜は“強さ”ではなく“金”で世界が動く局面に巻き込まれていくわけで、第4話のこの一言は、後半の地獄の入口です。

さらにイヤな余韻として、七海が猿桜を部屋に下ろした後、村田の車で帰っていく描写がある。七海が誰の味方なのか、猿桜がまだ理解していない“関係のねじれ”が、ここで濃くなります。

4か月後――静内の悪夢と、安井の嗅覚が物語を別方向へ引っ張る

ラストは時間が飛びます。

静内は桜の下で、女と子どもの遺体を見た悪夢にうなされる。

そこから「4か月後」。静内は連勝を重ね続け、その一方でフリーの記者・安井が静内の過去を調べ始める。静内が“家族を殺した疑い”がある、という最悪の噂に、安井が吸い寄せられていく。

第4話はここで終わる。

猿桜は優勝しているのに、勝利の余韻より「次の不幸」が濃い。勝つたびに敵が増え、過去が追いかけてくる。

つまりこのドラマは、勝利を“ご褒美”として扱わない。勝利は、地獄のステージを上げるための条件でしかない――
そんな冷たさが、強烈に残る回でした。

ドラマ「サンクチュアリ 聖域」4話の伏線

ドラマ「サンクチュアリ 聖域」4話の伏線

第4話の伏線は、「猿桜が強くなるための布石」というより、「角界の外側(権力・金・世間)が、角界の内側をどう侵食するか」の布石が多いです。

勝敗だけ追っていると見落とすので、整理しておきます。

花の“強さ”は盾でもあり、爆弾でもある

花が犬嶋を黙らせられる=猿将部屋には「協会の上層に届く回線」がある、という伏線。これは部屋を守る盾になる一方、後々「花の出自」や「花が握る情報」が攻撃対象になる危険も生む。花が強いほど、敵は執念深くなる。

犬嶋の私怨が“正義”の顔をする

犬嶋の怒りは、表向きは品格のため。でも実態は、猿将への私怨とコンプレックスが燃料

このタイプの人間が一番厄介で、「正しさ」を言いながら「個人的な恨み」を通してくる。猿桜が勝てば勝つほど、犬嶋は正義を装ってさらに殴ってくる。

馬山の“腕を折れ”は、今後の暴力の予告

馬山が相手側に「腕を折れ」と言わせるような空気は、角界が“勝負”ではなく“破壊”に寄る可能性の伏線。つまり今後、猿桜は「強い相手」と戦うだけじゃなく、「壊しにくる相手」と戦うことになる。

村田拓真=タニマチの登場で、勝敗の価値が変質する

村田がタニマチになる流れは、猿桜の戦いが「稽古」から「スポンサーに見られるショー」に変わっていく伏線。金が入ると環境は良くなる。

でも同時に「買われる」「操られる」「利用される」リスクが一気に跳ね上がる。

SNSの炎上=“土俵外の取組”が始まった合図

動画が拡散され、叩かれる。これは現代的な“公開処刑”で、猿桜は土俵の外でも取組をさせられるようになる。しかも相手は不特定多数。ここから先、猿桜は「勝ったのに負ける」場面が増えるはずです。

静内の悪夢と安井の嗅覚――過去編への入口

静内が桜の下の遺体を夢見る描写、そして安井が過去を調べ始める流れは、物語が「猿桜の成り上がり」だけでなく「静内の闇」へ踏み込む合図。静内の“怪物性”が、強さではなく過去から説明され始める。

ドラマ「サンクチュアリ 聖域」4話の感想&考察

ドラマ「サンクチュアリ 聖域」4話の感想&考察

第4話を見終えて、いちばん残った感情は「勝ったのに、息が詰まる」でした。

序二段優勝って、普通なら最高に盛り上げていいはずなんですよ。でもこの回は、勝利の気持ちよさを“すぐ奪う”構造になっている。

猿桜は助けられても、敵は執念深く攻撃してくる。勝利は終わりじゃなく、次の攻撃の理由になる。

「品格」はルールではなく“武器”だった

第4話で一段理解が進むのは、品格という言葉の正体です。

品格って本来は、本人の内面や立ち居振る舞いの話。でも角界では、相手を追放するための“正しさのコスプレ”として運用される。犬嶋が猿桜を辞めさせたい時、「嫌いだから」じゃなく「品格がないから」と言えば通ってしまう。

しかも、その“正しさ”に対抗する手段が「相手の弱み」しかないのが最悪。

花が強いのは痛快だけど、同時に「結局、正しさでは勝てない」世界でもある。ここが、このドラマの苦さであり、妙なリアリティです。

花(女将)がカッコいいのに、なぜか怖い

SNSでも「女将強すぎ」「あそこで空気ひっくり返すの痺れた」みたいな反応が多いタイプの回だと思います。僕も同じで、あの場の花はとにかくカッコいい。

ただ、手放しに“爽快”とも言い切れない。花は優しさで救っていない。権力で救っている。だから守れる。でも、その守りはいつか「権力の代償」を請求される。

つまり花は、部屋の“母”であると同時に、角界の“政治そのもの”の匂いを持ってしまった。

猿将部屋がここから先、生ぬるいスポ根に戻れないのは、花がこの回で“札”になったからだと思います。

猿将親方の竹刀は、愛なのか?支配なのか?

竹刀のシーン、見ていてキツい人もいると思う。僕も、気持ちよくは見れない。
ただ、ここで猿将親方が猿桜に何を叩き込んだかを考えると、単なる制裁以上のものがある。

猿桜は“言葉”でしか反抗できない。犬嶋に言い返す、挑発する、舐めた態度を取る。それは土俵外では自滅ルートです。猿将親方は、それを止めたかった。でも言葉で止める術がない。だから暴力で止める。

最悪なんだけど、現実にもこういう“壊れた教育”って存在する。

第4話はそこを美談にせず、ただ「こういう世界だ」と置いてくるのが上手かったです。

序二段優勝の“痛快さ”が、猿桜の呪いになる

決勝の勝ち方は、最高に猿桜らしい。挑発されても勝つ、腕を折られかけても勝つ、最後は相手も権力側もまとめて吹き飛ばす。あれはスカッとする。

でも同時に、あの勝ち方は「また叩かれる勝ち方」でもある。勝利が次の炎上を呼ぶ。

猿桜の物語って、要は “正しい勝ち方ができない男”が、勝ち続けてしまう悲劇なんですよね。

勝ってしまうから、矯正される。矯正されるから、反抗する。反抗するから、また勝つしかなくなる。地獄みたいなループ。

そしてここに村田みたいなタニマチが入ってくると、勝利が「金になるショー」になり、矯正はもっと激しくなる。第4話の優勝は、祝福というより“呪いの強化”に見えました。

静内パートが示した「怪物」の方向性

静内が怖いのは強いからだけじゃない。拒絶の仕方が、冷たいから。

龍貴の正論を押し返す時の、あの一瞬の空気。

静内はたぶん、角界の礼儀作法に馴染めないタイプじゃない。むしろ“馴染む必要がないほど強い”から、馴染まない。そこに過去の影(桜の悪夢)が重なると、強さがさらに不気味になる。

第4話のラストで安井が動き出したのも、視聴者が「静内って何者?」に飢え始めたタイミングに合わせている。
猿桜が勝ち上がるほど、静内の正体が物語の中心に寄ってくる。

次話以降、群像劇としてのギアが上がっていく予感がしました。

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