「良いこと悪いこと」で大きな衝撃を与えたのが、元担任で現校長の大谷先生の存在です。
タイムカプセル企画を提案した張本人であり、いじめの現場を知りながら見過ごしてしまった彼女は、物語が進むほど不穏な気配をまとい、視聴者から“黒幕なのでは?”と疑われるほど重要な役割を担っています。
しかし、その実像は単なる犯人像とは大きく異なるもの。
本記事では、大谷先生の立場・過去・弱さ・黒幕との関係を丁寧にひも解き、なぜ彼女があのような結末を迎えたのかを考察していきます。
大谷先生は高木達の担任の先生だった

大谷典代の立ち位置と物語における役割
まずは、大谷典代が物語の中でどんな立ち位置にいた人物なのかを整理します。
彼女は「いじめの現場にいた大人」として、物語のテーマのど真ん中に立たされているキャラクターです。
タイムカプセル企画の発案者としての顔
公式設定によると、大谷典代は2003年度・鷹里小学校六年一組の担任で、現在は同校の校長を務めています。定年を間近に控えたベテラン教師であり、二十二年前の「タイムカプセル」企画を提案した張本人です。
当時、子どもたちは「みんなの夢」をテーマに色紙に将来の夢を描き、それをタイムカプセルとして校庭に埋めました。大人になった卒業生たちは、創立五十周年を機に集まり、そのカプセルを掘り起こすことになります。
ここまでは、一見すると「素敵な思い出を用意してくれた良い先生」のエピソードです。
しかし、印象がガラッと変わるのが「発掘当日の不在」。
タイムカプセルを掘り起こす場面で、大谷は「こういう時は教師がいない方がいい」と言い残し、その場に立ち会いません。
表向きは「子どもたちだけの時間を尊重する良い先生」のように聞こえますが、物語が進むにつれ、ここに大きな違和感と伏線があったことが分かっていきます。
いじめを見過ごした教師としての罪
後に判明するのが、大谷が「園子のいじめを知っていた」ことです。
- 園子からいじめについて相談を受けていた
- それでも「見て見ぬふり」を貫き、具体的な介入をしなかった
- その結果、園子からは加害者グループと同じくらい憎まれている
つまり大谷は、「いじめの当事者ではないが、知っていながら止めなかった大人」。
このドラマが問い続けている「良いこと」と「悪いこと」の境界線に立たされている人物です。
本人もそのことを悔いており、作中で園子に頭を下げる場面が描かれます。しかし、その悔いは「過去の償い」にはなっても、「現在進行形の連続殺人から子どもたちを守る力」にはなりません。ここが、大谷というキャラクターの最も苦しいところだと感じました。
タイムカプセルを提案し、クラスの思い出を形にした教師でありながら、実はその裏で「いじめを止められなかった」という負い目を抱え続けていた。この二重構造が、のちの「黒幕との繋がり」と「凍死」という極端な結末に直結していきます。
大谷先生は犯人…“黒幕”と繋がっている
視聴者が一度は疑った“黒幕像”
視聴者の多くが一度、「この人が黒幕では?」と疑ったのが大谷先生でした。
タイムカプセルの発案者であり、アルバムが黒塗りされていることにも、卒業生たちの事情にも詳しい立場。ミステリー的に言えば、格好の容疑者です。
しかし第5話・第6話で浮かび上がるのは、「黒幕そのもの」ではなく、「黒幕に利用された協力者」という立場でした。
タイムカプセルと卒業アルバムすり替えの真相
高木たちが母校を訪ねた際、大谷は「いじめなんてなかった」「みんないい子だった」と笑顔で答えます。
ところが校長室の棚を調べると、自分たち二〇〇三年度六年一組の卒業アルバムだけが抜けている。
この違和感は後に、
- タイムカプセルに入っていた「顔を黒く塗りつぶされた卒業アルバム」
- それを封入したのは大谷本人
- しかし大谷自身の意思ではなく、「黒幕の指示に従った」
という形で説明されます。
つまり、タイムカプセルは「子どもたちの夢をしまった箱」から、「恨みを刻んだ復讐装置」へとすり替えられていた。
その作業をしたのが大谷であり、その背後には「黒塗りの意味」や「替え歌の順番」を把握している第三者の存在があります。
この段階で、大谷は“犯人側”の人間に見えます。
しかし彼女の表情には、積極的な加害の意思はほとんど感じられず、むしろ「何かに追い詰められている人」の顔に見えます。
電話シーンが示す“共犯者としての悲しみ”
決定的なのが第5話終盤の電話シーンです。
- 大谷が「もうやめませんか」「言われた通り掘り起こしました」「もう耐えられません」と訴える
- その直後、地下駐車場に迎えに来たミニバンへ乗り込んでいく
ここから読み取れるのは、
- 大谷は黒幕と直接やり取りできる立場にいる
- 復讐計画に手を貸してはいるが、本心では「もうやめたい」
- 逃げるのではなく“迎えの車”に乗ってしまうほど、精神的に追い詰められている
という点です。
整理すると、大谷は「黒幕の指示で動かされていたが、元生徒を殺す計画までは望んでいなかった」。
いじめを止めなかった“弱み”を握られ、脅迫される形で協力させられていた人物です。
それでも大谷先生が“犯人”と言い切れない理由
では大谷は犯人なのか?
結論としては、
- タイムカプセルのすり替えに協力した → 共犯
- しかし殺害そのものを実行した描写はない
- 途中から「やめたい」と訴えていた
- 黒幕との関係は加害ではなく“支配される側”
という点から、連続殺人の「主犯」とは言えません。
大谷は、
・過去の“見て見ぬふり”が現在の脅迫のタネになっている
・弱さと罪悪感を利用され、黒幕側に引きずり込まれてしまった大人
というポジションにいます。
ミステリーではあるものの、“弱い大人像”として非常にリアルに造形されているのが特徴です。
大谷先生の死因は?凍死だったのか
地下倉庫で見つかった“凍った遺体”
第6話では、大谷が第四の犠牲者として発見されます。
「地下の冷たい空間で凍りついた遺体」という衝撃的なビジュアル。
事実レベルでは、
・第5話電話後に失踪
・学校を欠勤し連絡も取れない
・地下倉庫のような場所で凍結した状態で発見
映像描写からも、死因は凍死または低体温症が妥当です。
“Freeze説”──業務用冷凍施設での殺害?
一部考察では、「大谷は業務用冷凍施設で凍結された」という説もあります。
- 殺害方法が Fire(火)、Flash(ガラス)、Freeze(凍結)で F が揃う
- 各犠牲者の死が「絵」や「替え歌」とリンクしている
こうした点から、大谷の死も「凍る」というモチーフ性に沿ってデザインされた可能性は高い。
公式明言はなくても、演出の方向性としては納得できます。
なぜ死因が凍死だったのか──犯人の狙い
視点1:確実な“口封じ”
- 大谷は黒幕の正体を知っていた
- 「やめたい」と訴えた
- 真相を話されるリスクがあった
ゆえに黒幕は「確実に殺せる手段」を選んだと考えられます。密閉空間+低温環境は、失敗しにくい方法です。
視点2:ドラマテーマとの連動(“倫理の凍結”)
大谷は、
- いじめを止めず
- 罪悪感を抱え
- 心が“凍ってしまった大人”
として描かれてきました。
その彼女が物理的に「凍死」するのは、心の凍結が現実の凍死として回収されるという、ドラマの皮肉とテーマ性が凝縮された演出です。
大谷先生という人物まとめ
整理すると、大谷典代は、
- 高木たちの担任だった教師で、今は校長
- 園子へのいじめを知りながら止められなかった弱さを抱えている
- 黒幕に脅され、タイムカプセルすり替えに協力
- 「もうやめたい」と訴えた直後、口封じのため凍死
というキャラクターです。
犯人か?という問いには、
・共犯であり加担者
・しかし主犯ではない
・弱みを握られた“利用された大人”
というグレーな立場になります。
大谷の死が物語に与えた影響
- 委員長犯人説をほぼ否定
- 黒幕の大規模性(単独犯でない可能性)を示唆
- 「先生すら殺される世界」という絶望感の提示
- 協力者が他にもいる可能性が浮上
そして何よりも、大谷の死は
“見て見ぬふりが未来を凍らせる”
というテーマの象徴でした。
彼女の凍った姿は、大人の沈黙が生んだ結末としてあまりにも重く、視聴後に強烈な余韻を残します。
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