『良いこと悪いこと』は、タイムカプセルと黒塗り卒アルを軸に、22年前のいじめと“忘れられた7人目”が連続殺人へつながっていく物語です。
そして、その中心にいるのが──第7話で名前が明かされた「森智也」。仲良し6人組がその存在すら忘れていた少年であり、掲示板では“博士”として恨みを吐露し、ついに動き出した復讐者でもあります。
しかし視聴者の間では、
「森は本当に犯人なのか?」
「黒幕は別にいるのでは?」
と多くの説が噴出。
本記事では、7話までの描写と公式情報をもとに、森智也の正体・動機・黒幕説・複数犯説まで、徹底的に整理していきます。
【考察】良いこと悪いことの森智也は誰なのか?

ここでは第7話までと第8話の公式情報をベースに、「森智也とは何者なのか?」「犯人なのか、それとも別の役割なのか?」を整理していく。
森智也=7人目“博士”として確定している事実
まずは、ドラマと公式情報から“事実として言えること”を一度まとめておきたい。
- 森智也は、6年1組の“7人目の仲間”だった
- 6年生の途中で転校し、卒アルには載っていない
- 影が薄かったため、キングたちは森の存在を完全に忘れていた
- ちょんまげのガラケー動画(森のくまさん替え歌)や、小学校サイト「鷹里小の森」の掲示板ログから、“7人目=博士=森”が確定
- 掲示板では「誰も覚えていない」「僕は彼らを許さない」と恨みを吐露
- ちょんまげと会う約束を取り付けていたのも博士
さらに8話の公式あらすじにも、
- 「もうひとりの仲間“博士”こと森智也から恨まれている」
- 「森に危険を感じた高木たちは、ひとりで森に会いに行った羽立を助けに向かう」
と明記されているため、
「7人目=博士=森智也」
という三段論法は、公式的に確定していると言っていい。
つまり第一段階の答えは、
・22年前に途中で転校した、忘れられた同級生
・ネット上で博士として復活し、6人組への復讐を掲げる人物
ということになる。だが問題はここから。
森智也は“誰”なのか?——第二段階の問いへ
視聴者の興味が向いているのは次の二点だ。
- 森智也=現在の誰なのか?
- 本当に森が連続殺人の犯人なのか?
7話終了時点で、正体論は一気にヒートアップした。
森先生説・イマクニ説——森智也の「現在の顔」は誰か?
7話後、特に盛り上がったのが次の二説。
- 森=花音の担任・森先生説
- 森=イマクニ(スナックのマスター)説
森先生説の根拠
- キングの娘・花音の担任が“森先生”
- 姓が一致している
- 主人公一家のすぐ隣に“復讐者”がいるという皮肉な構造
特に、
「忘れられた7人目が、主人公の子どもの担任として日常の隣にいた」
という構図は、ドラマのテーマである“忘却の暴力”と驚異的に相性が良い。
しかし反論もある。
- 本編で森先生の存在感がまだ薄い
- 「岡本説」(別人物に誘導する予告のミスリード)が否定された流れを踏まえると、単なる“森という名字のミスリード”の可能性もあり得る
- 公式は“博士=森智也”とは書くが、“森先生=森智也”とは書いていない
そのため、森先生説は“強いが確定ではない”という微妙な位置にある。
イマクニ=森智也説の根拠
- マスター・今國の過去がほぼ語られていない
- “イマクニ”という名前自体がミステリアス
- 同級生たちが集まる「場」を握っている
- キング・ターボー・ゆっきー・トヨ・園子が必ずそこに集まるため“情報の交差点”になっている
ただしこちらも決め手に欠ける。
強調されているのは、
森智也という“存在”は確定しているが、画面に映っている“誰が現在の森なのか”はあえて隠されている
ということ。
結論(暫定)——森智也は確定、現在の姿は“まだ語られていない”
現時点で最も自然なのは、
- 森智也=博士であり、復讐の動機を持つ“コア”の存在
- しかし、現在の姿(職業・外見)が誰なのかはまだ明かされていない
- 森先生もイマクニも、森と“つながっている側”の人物として用意されている
という構図。
脚本の配置を見る限り、
森先生=日常側のキー
イマクニ=“夜の街/情報側”のキー
として配置されており、どちらか(あるいは両方)が森智也に関与している可能性が高い。
少なくとも、「森は画面に出ていない」「実在しない」という線だけは完全に消えた。
【仮説】森智也の殺人の動機:「忘れられること」と「みんなの夢」

森の何が一番怖いかと言えば、
「殴られたこと」ではなく、「忘れられていたこと」
を動機にしている点だと思います。
- 6年の途中で転校してしまった
- 卒アルには載らない
- タイムカプセルにも写真がない
- 仲良し6人組の記憶から、すっぽり抜け落ちている
これだけ条件が揃うと、本人からすれば「生きていた証拠ごと消された」に等しい。
しかもドラマは徹底して“森”という名前をモチーフとして扱っている。
- サイト名が「鷹里小の森」
- 替え歌が「森のくまさん」
- そして7人目の苗字も“森”
名前だけはずっと画面に出てくるのに、人物としては誰も覚えていない。このギャップこそ、「良いこと悪いこと」のテーマの核でもある。
さらに、5話から続く「みんなの夢」映像も、森の動機と深くつながっている。
- 黒塗り6人の“将来の夢”は、現在パートでそれぞれ中途半端に実現している
- 7人目・森の夢だけは、映像として提示されていない
- タイムカプセルからDVDが抜き取られていたことで、「森の夢が写っていたのでは?」という疑念が生まれる
ある考察では、
- 森の夢は「みんなと一緒にいたい」系のものだった
- しかし現実では最初に排除され、輪から外された
という読みもある。
夢の絵は、子どもにとって「こうやって大人になる」という宣言のようなもの。それを共有した仲間に忘れられることは、「人生計画ごと無視された」と感じてもおかしくない。
森の復讐は、単純な「いじめのやり返し」ではなく、
「自分の夢を共有した相手に、人生ごと捨てられた怒り」
に近いと感じる。
森は“犯人”なのか、それとも“怒りの顔”なのか
ここが最も議論の分かれる部分だ。
公式・本編の描写だけ見ると、
- 博士=森智也が6人組への復讐を掲げている
- ちょんまげとの接触をきっかけに事件が起きている
ため、「森=犯人」という見方は自然だ。
しかし7話ラストを見ると、それで終わらせて良いのかは非常に怪しい。
- 黒服の人物が複数いるように見えるカット
- ターボーやトヨの位置関係の不自然さ
- ちょんまげを刺した手際が、森ひとりには無理がある
などから、
「実行犯が別にいる複数犯説」
が強まっている。
考察界隈でも、
- 「7人目=森」は動機の核
- その怒りを“具体的な殺人計画”に変えた大人側の手が存在する
- トヨやイマクニ、東雲などが“外側の手”に関わっている
という読みが多い。
僕自身は、構造として
- 森智也:復讐の“顔”、怒りの源泉
- 黒服=実務担当:怒りを“殺人”へ変換する操作者
- さらに上の黒幕:森の存在を理解したうえで事件全体をデザインした人物
という 三層構造 が最も自然だと思っている。
連続殺人の緻密さ、タイミング、仕込みの多さを考えても、森ひとりの手際とは考えにくい。
しかし同時に、「森は何も知らない被害者だった」とするのも無理がある。掲示板での怒りや、ちょんまげとのやり取りを見る限り、森に“復讐心がある”のは確かだからだ。
その中間として、
- 森自身も復讐の意志を持っている
- しかし“誰をどう裁くか”というプランは別の誰かに乗せられている
というポジションが、物語的にも最も説得力がある。
森は“犯人”であり、“利用された被害者”でもある——この二重性こそが、「良いこと悪いこと」というタイトルの主題を最も体現している。
森智也というキャラクターが背負うもの
最後に、森という人物そのものに込められた意味を整理しておきたい。
- 名前:森(視界を遮り、奥行きを持ち、迷いや“忘却”を象徴する言葉)
- 役割:忘れられた7人目=存在の抹消を体現
- 象徴:サイト名、替え歌、先生の姓など“森”が何度も反復される
視聴者の記憶にも、
「クラスに一人くらい、名前を覚えていない子っていたな……」
という実感を呼び起こすようなキャラクターでもある。
森は視聴者に向かっても、「あなたの教室にも“森”はいなかったか?」と問いかけているようだ。
- 誰かをいじめた記憶
だけではなく、 - 誰かを“覚えていない”記憶
までもが、“加害のグラデーション”として描かれる——
そこがこのドラマの核心のひとつだ。
森智也は、黒幕でも被害者でも終わらない存在だ。
「忘れられた7人目」がどんな終幕を迎えるかが、
この作品全体のメッセージを決定づけると僕は思っている。
森智也=黒幕説/被害者説の分岐考察

7話までを踏まえると、森智也を「犯人そのもの」として断定するには弱く、かといって「完全な被害者」として扱うにも不自然な描写が多い。
そのため森には、“加害”と“被害”がねじれた二つの顔 が同時に貼りついている。
ここでは、物語の構造とこれまでの伏線から、森がどちら側に寄っていくのかを整理していく。
森智也=黒幕説
(森は“怒りの張本人”であり、復讐計画の主体)
この説を支持する材料として、まず最初に挙がるのが 掲示板での明確な敵意 だ。
- 「誰も覚えていない」
- 「忘れられた」
- 「僕は彼らを許さない」
この3行だけで、森が“復讐者の顔”を持っているのは明白。さらに、次のポイントが「黒幕説」を補強している。
森が黒幕である可能性①:復讐相手を「6人」とピンポイントで認識している
卒アル黒塗りの6人を“狙う対象”として意図的に選んでいる気配が強い。
単なる逆恨みではなく、
- 「忘れられた」という事実
- 「6人だけが今もつながっている」という構図
この2点を長い間観察し、怒りを育てていた可能性が高い。
森が黒幕である可能性②:ちょんまげを誘い出したのが森自身
7話でちょんまげが単独で向かったのは、博士=森の招待を受けた場所。
そこで暴れ、徘徊し、森を叫び続けていたちょんまげの姿からも、
“森は確実に誰かを呼び出している”
という行動が見える。これは黒幕の「誘導行動」としては非常に自然。
森が黒幕である可能性③:「森」をあえて画面上に散らした演出
- 森のくまさん
- 鷹里小の森
- 森先生
これだけ“森”を連打しておいて、森本人が黒幕でないはずがない、というメタ視点からの説も根強い。
ドラマ脚本的にも、「本命は最初から名前に出ていました」という構造は美しい。
森智也=被害者説
(森は“怒りの顔”だが、連続殺人を実行した犯人ではない)
一方で、“森が殺人をやった本人ではない”という説もかなり説得力がある。
森が被害者である可能性①:ちょんまげ殺害の手際が森には不自然
7話の殺害は、
- ちょんまげと取っ組み合い
- 逃走
- 死角へ消える
- その直後にちょんまげを首刺し
という、二段構えの犯行だ。
短時間でこの動きを単独でやるのは難しい。
さらに黒服の影が2つ以上映っているようにも見えるため、複数犯の可能性が強い。
森が被害者である可能性②:掲示板の“博士”の一人称が揺れている
- 「俺」
- 「僕」
一人称が投稿によって変わっており、「博士のIDを複数人で共有している」説すら浮上している。
もし博士の投稿が他者に“混ぜられている”なら、森は利用されている可能性が高い。
森が被害者である可能性③:森は“忘れられたこと”に怒っているが、“殺意”まで見せていない
掲示板での森の怒りは強いが、「殺す」とは書いていない。
怒りの矛先は“忘れたことへの告発”に近い。
つまり森は、
「存在を消されたこと」の報復を求めている
が、それが“殺人”という形になったのは別の誰かの操作である可能性がある。
森が被害者である可能性④:大人側の“外側の手”の存在が示唆されている
- 大谷校長を動かしていた黒服の車
- イマクニのマスターが情報のハブになっている構造
- 森先生との不穏な名前の一致
- トヨの不自然な追跡ライン
こうした“大人の影”がいくつも重なっているため、
森=怒りの象徴
真犯人=その怒りを利用した大人
という構造が最もテーマに合う。
黒幕説と被害者説の“交わるポイント”
森は、
「被害者として始まり、黒幕に“仕立てられた”人物」
である可能性が最も高い。
これはドラマのテーマである“良いこと”と“悪いこと”の曖昧さ を体現する形でもある。
- 森の怒りは理解できる
- だが殺人では償えない
- しかし殺人を設計したのは別の大人
- 森はその“コマ”にされている
- しかし森も復讐心を持っている
このねじれは、森を純粋な加害者にも、純粋な被害者にもできない。
最終的にたどり着く像は、
森智也=怒りの象徴であり、真犯人に利用された“二重被害者”
森智也=6人を追い詰める“黒幕に見える顔”
という二重構造だと予想している。
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