4話は、これまで張りつめていた“違和感”が、ついに現実の惨劇として噴き出す回です。
ベランダの包丁、住民会の暴露、夫婦のすれ違い──それぞれが静かに火種を膨らませる中、赤池家のバースデーパーティーが最悪の形で破裂し、交換殺人ゲームが「仕組まれた地獄」へと変貌していく。
日常の明かりが一気にホラーへ反転する、シリーズ前半の最重要エピソードです。
あなたの番です(あな番)4話のあらすじ&ネタバレ

4話は、物語が“本格的な連続殺人”へ舵を切る重要回です。
- シンイーに届いた「あなたの番です」
- 住民会で起きる“誰に何を書いたか”暴露合戦
- 翔太がついに交換殺人ゲームを知る
- そして赤池家バースデーパーティー惨殺事件
これらが雪崩のように押し寄せ、マンション全体の空気が一変します。
シンイーに回ってきた「あなたの番です」と、不法滞在の影
ブータン料理店のガス爆発で店長・田中政雄(ドルジ)が死亡した直後、シンイーのベランダの植木鉢に「あなたの番です」と書かれた包丁が突き立つ。
彼女がゲームで書いたのは、しつこいセクハラの末にクオンの不法滞在をネタに脅していた田中政雄。その人物が死んだ直後、今度は自分の“番”が来た──この事実にシンイーは震え上がり、イクバルとクオンに相談します。
シンイーが“引いた紙”の名前について質問されると、クオンが意味深に言葉を濁す。
だが直後に選挙カーの騒音が割り込み、名前は視聴者にも伏せられたまま。物語は不穏な“保留”のまま次へ転がっていきます。
手塚夫婦、初の“本気ケンカ”
302号室では、これまでの“犬コロ夫婦”らしい甘さとは一転。
菜奈は翔太に家事ルールの細かい小言を連発し、翔太はガス爆発を“事件性あるかも”と楽しげに語る。そこへ菜奈が爆発。
「身近でこんなに人が死んでるのに楽しい?」
翔太が誤魔化すときに歌う癖(「夏色」)も地雷を踏み、菜奈は怒りを隠せない。この夫婦げんかには、菜奈が“ゲームの重さ”を一人で抱えている苦しさがにじみます。
赤池家の嫁姑バトル、もはや限界
公園を散歩する赤池美里と姑・幸子。
幸子の嫁いびりは暴力的な域に達しており、視聴者が「いつか誰かが殺される」と確信するレベル。
- 「介護してるおかげで“いい人”と思われてるのよ」
- 「お礼の仕方がスナック時代のクセ」
- 「あんたなんて介護してなかったらただの大きい女」
502号室は、確実に“爆発寸前”の家庭として描かれます。
ガス爆発は“事故”扱い?藤井の嘘と焦り
ガス爆発について刑事が藤井に聞き込みに来ると、藤井は
「店長がバーナー故障を嘆いていた」
と嘘をつき、事故扱いへ誘導しようとする。自分がガス管を切った罪悪感と、事件にしたくない焦りが透けて見える場面です。
定例住民会:“誰に何を書いたか”暴露タイムへ
今回の住民会は参加者が多く、空気も重い。表向きは「事件の情報共有」だが、話題は完全にゲームへ。
- 浮田が藤井に「店長殺し、関係ないよな?」と質問
- 藤井が「動機がない」と必死に否定
- 早苗がこの“動機”ワードに異様に反応
さらに話題は田宮の防犯カメラへ飛び火。田宮がマンション中にカメラをつけていたことが暴露され、黒島は「何か映ったのでは?」と不安を漏らす。
すると石崎洋子が暴走。
「私、自分の名前を書いたの。だから引いた人は殺さないでね?
全員、何を書いたか言いましょうよ!
ゲームを始めたのは菜奈さんなんだから、あなたいつ言うの?」
菜奈を責め立てた瞬間、ちょうど木下あかねが入室し、空気がリセットされ会は終了。
だが洋子は収まらず、菜奈を廊下に追い詰める。そこへ浮田・黒島も現れ、3人が“引いた紙”を暴露する流れに。
- 黒島:織田信長
- 石崎:吉村
- 菜奈:こうのたかふみ
さらに浮田も告白。
「俺の紙には“赤池幸子”。美里が書いたんだろ」
502号室の嫁姑バトルを知る住民たちは、「美里が混乱に紛れて幸子を…?」という最悪の予感を抱く。
翔太、ついにゲームの存在を知る
菜奈の態度の変化に疑問を抱き始めていた翔太。そこへ尾野幹葉が現れ、手作り弁当で距離を詰めつつ、なんと
「住民会は“人狼ゲーム”じゃなくて交換殺人ゲームだったんですよ」
と暴露。
翔太は初めて、菜奈が“危険なゲーム”に巻き込まれていたと知る。疑心暗鬼に陥った翔太はジム仲間・細川朝男(アニキ)に相談。細川は不気味に煽る。
「菜奈さん、翔太くんの名前を書いたんじゃない?あるいは別の男がいるとか?」
翔太の不信感を最大限に膨らませる最悪の助言。
ところが──細川は菜奈の“元夫”だったことが発覚。菜奈が離婚を会社に言っていないため、細川は夫のふりを続けている。帰り際に細川が菜奈に囁く。
「交換殺人ゲームって何?」
この時点で、細川が翔太と菜奈の双方の情報を握っている“不気味な存在”であることが確定します。
シンイーと木下の妙な交流、そして“影”
シンイーが店長の葬儀に向かう途中、木下あかねと遭遇。
木下は意外にも親切に弔意の表現を教える。シンイーは「悪い人じゃない」と誤解するが、直後に木下はゴミ置き場を漁り、その様子を誰かが見守る影が映る。
ゴミと“影の存在”が、情報屋・木下の正体を匂わせる。
赤池家訪問、“家族ごっこ”の違和感
菜奈が仕事で赤池家へ行くと、なぜか404号室の江藤が自然に同席。
姑と五朗の会話にも普通に混ざり、“家族の一員”のような立ち位置にいる。
視聴者には
「江藤は何者? なぜ赤池家にこんなに馴染んでる?」
という不気味さを強く残すシーン。
赤池家バースデーパーティー惨殺事件
夜。
302号室では手塚夫婦がシチューを囲み和解ムード。
だが同じ頃、502号室では美里の誕生日パーティーが開始。
- 「Happy Birthday Misato」のケーキ
- 幸子と五朗がテーブルにつく
- 部屋の明かりが落ち、ろうそくが灯る
その温かい光景は、一瞬で地獄へ反転する。
302号室に住む菜奈の携帯に早苗からの電話。
「5階からすごい音がしたの。赤池さんの部屋かも」
藤井は「上から“声”がした」と証言。ふたりの証言の“音と声の違い”も微妙な伏線として残る。
菜奈・翔太・早苗・藤井の4人が502号室へ駆け上がる。鍵は開いており、部屋に入ると──
- 美里と五朗は首を掻き切られて死亡
- 幸子は頭にビニール袋を被されている
- ケーキと食卓は血の海
翔太が幸子の袋を外すと、幸子は目を覚まし、周囲を見渡して叫ぶ。
「オー・マイ・ジュリア!!!」
その瞬間、チェッカーズ『ジュリアに傷心』が爆音で流れ出す。ケーキのプレートは、いつの間にか「赤池美里」と漢字で書かれたものにすり替わっていた。
マンション史上初の惨殺事件。
“誕生日”という幸福の象徴が、一気にホラーへと裏返る決定的ラストでした。
あなたの番です(あな番)4話の伏線

4話は、赤池夫妻の惨殺という衝撃的な事件が起こる一方で、後半戦に向けた“長期伏線の密度”が一気に上がる回です。
この1話だけで、後の黒幕候補・ミスリード・ゲーム構造のヒントが大量に撒かれています。
シンイーの「タナカマサオ」と“ブータン袋”の強烈な誘導
まず最重要なのはシンイー周りの伏線群。
- 彼女が紙に書いた名前=タナカマサオ(店長・田中政雄)
- 店長はガス爆発で死亡
- シンイーのベランダに“包丁+あなたの番です”
さらに赤池家の殺害現場で、幸子の頭に被せられていたビニール袋がブータン料理店の袋だったという描写まで出てきます。
シンイーが書いた名前の人物が死亡し、同じ店の袋が赤池家事件でも使われている。
これにより視聴者は強 force で、
- 次の“番”はシンイー?
- 赤池家事件もシンイー一味が関与?
と疑わされる。
もちろん後の展開では完全な“ミスリード”ですが、この4話の時点では最も「疑わしい人物」として巧妙に操作されています。
住民会で明かされた“書いた/引いた名前”のリスト
4話では、ゲームの全体構造を解く上で欠かせない「名前」の一部が開示されます。
石崎洋子
- 書いた:自分の名前
- 引いた:吉村
黒島沙和
- 引いた:織田信長(実在の歴史人物)
浮田啓輔
- 引いた:赤池幸子(美里が書いたと推測)
手塚菜奈
- 引いた:こうのたかふみ
この“名前の断片”は後に、
- 実在 vs 架空
- マンション関係者 vs 外部の人物
- 生存・死亡の順番
- 本当に存在したのか?
という大きな考察線へ繋がります。
特に「こうのたかふみ」はシリーズ全体の鍵で、
- 菜奈がずっと気に病む
- 翔太が後半で追う
- 黒幕の動機の一部に絡む
という極めて重要なワードに成長していきます。
浮田の「赤池幸子」告白と“被害者逆転”の伏線
浮田が告白した「引いた紙=赤池幸子」。
その直後に起きるのは──
死亡:嫁の美里・夫の五朗
生存:幸子
視聴者はこの瞬間、
「紙に書かれた人物=死亡」ではない
「ゲームのルールはそのままではない」
というねじれ構造を叩き込まれます。
ここが“交換殺人ゲーム”の本当の狂気であり、単純な「紙通りの殺人」ではないと示す決定的伏線。
ケーキプレートの“差し替え”と現場操作の気配
美里が準備したプレートは
「Happy Birthday Misato」(ローマ字)。
しかし菜奈たちが事件現場で見たプレートは
「赤池美里」(漢字・フルネーム)。
明らかに別物であり、
- 誰かがプレートを入れ替えている
- ロウソクを一度消し、再度火をつけた可能性
- 現場操作を意図的に行った人物がいる
という“犯行演出”の伏線になります。
後に「プレートは警察捜査時には消えていた」という情報まで追加され、事件現場に“侵入・介入できた人物”の条件が狭まっていきます。
早苗「音がした」藤井「声が聞こえた」──証言ズレの伏線
事件直前、2人の証言が微妙に食い違います。
- 早苗:「5階から大きな音がした」
- 藤井:「上から声がした」
どちらかが嘘をついている?
あるいはそれぞれが違う“何か”を聞いた?
この細いズレは後の考察でも長く論点になり、早苗の“証言の信ぴょう性”を揺らす伏線になっています。
細川朝男=菜奈の元夫という“二重生活”の匂わせ
4話で最大の人間関係爆弾が炸裂。
翔太の“アニキ”=細川
菜奈の“元夫”=細川
会社では夫婦として扱われる細川と菜奈。
離婚したことを会社に隠している菜奈。その秘密を利用して“夫のふり”を続ける細川。
さらに、
- 翔太にはこの事実を隠している
- 交換殺人ゲームの情報も、翔太→細川ラインで共有されている
という地獄の構図が出来上がります。
この二重生活設定は、後の“菜奈の死”と“翔太の疑心”に根深くかかわる重大伏線。
木下あかねのゴミ漁り&さらに“その木下を監視する誰か”
木下は4話でもゴミ置き場を漁り、住民の情報を独自に収集している様子が描かれる。
しかし、この回で初めて、
その木下を、誰かが陰から監視している
という描写が挟まる。
- 木下自身が情報屋
- しかし彼女すら、さらに上位の“観察者”に見られている
という二段構造が明確になり、黒幕・ゲームマスター像のイメージが膨らむ伏線です。
児嶋佳世と北川そら──“子どもへの執着”の初期サイン
公園や駐車場で、児嶋佳世がやたらそらに絡む描写が入る。
- 夕飯に誘う
- 家族といるそらに“異様な好意”を示す
このときは軽い違和感程度だが、後の佳世の行動(拉致・監禁)を思えば、“子どもへの執着”の初期段階を示す伏線だったことがわかります。
田宮の不在──“何かを見てしまった男”の伏線
住民会を欠席し、自室で塞ぎ込む田宮。
- 防犯カメラを設置していた
- その防犯カメラに“何か”が映った
- 以降、体調を崩す&ニュースを凝視
という描写は、
後の「田宮は何を見たのか?」という巨大テーマへの布石。
田宮が病的に“正義”へ傾倒していく理由の始点でもあります。
藤井の「動機がないから疑われない」=ゲーム構造そのものの伏線
藤井が住民会で言った、
「動機がないから、俺が店長を殺す理由はない」
という発言。
これは自己弁護でありつつ、実はあな番の根命でもある
“動機が弱い人のほうが犯行に向いている”
というメッセージそのもの。
- 動機がある人は疑われる
- 動機がない人は疑われにくい
- だからこそ交換殺人は成立してしまう
この恐怖ロジックを、4話の段階で強く視聴者に刻む伏線になっています。
あなたの番です(あな番)4話の感想&考察

ここからは、僕・YUKIとしての視点で4話を振り返ります。
率直に言うと、4話は 「この作品が本気で視聴者の胃を締め上げにきた回」 でした。
赤池家惨殺が象徴する“日常の崩壊スピード”
まず何より強烈なのが、赤池家のバースデーパーティーで起こる惨劇です。
ケーキ
誕生日
家族団らん
懐メロ
本来なら幸福の象徴である要素が、一瞬で血の大洪水に変わる。このひっくり返り方が、あな番らしさの極致でした。
特に、幸子の「オーマイジュリア!」から『ジュリアに傷心』が爆音で流れる演出は、ホラーでもあり、ブラックコメディでもあり、視聴者の神経を削る一撃。
1〜3話で積み上げてきた “このマンション、普通じゃない” という違和感が、4話では完全に “ここはもう地獄だった” と確定します。
細川朝男という“静かに忍び寄るホラー”
4話最大の“精神的ホラー”は、元夫・細川の存在です。
ジムでは翔太の“アニキ”として気さくに振る舞う一方で、会社では菜奈の「夫」であるかのように振る舞い、離婚を伏せている菜奈の弱みにつけ込んで支配し続ける。
さらに、翔太の弱いところにもさりげなく入り込んで不安を煽る。
その上、攻撃的な面も時折顔を覗かせる。
厄介なのは、細川は 犯罪者ではない という点。
社会的にもまともで、常識的にも問題ない“普通の男”。けれど言葉と立場と情報を使って相手を追い込む、いわゆる モラハラ系の静かな怪物。
派手なキャラが多いあな番の中で、細川の“現実味ある怖さ”は異質で、妙に胸に刺さりました。
手塚夫婦のすれ違いが何より痛い
4話でもっとも心に来たのは、菜奈と翔太のすれ違いでした。
事件を“推理ゲーム”のように語る翔太。一方の菜奈は、ゲームの重さと元夫の影を一人で抱え込み、耐えられなくなって「楽しい?」と声を荒げてしまう。
そして翔太が都合が悪いと歌い出す「夏色」問題。これが決定的に菜奈の神経を逆なでしてしまう。
3話まで、あの2人は “作品の癒し”でした。
視聴者の多くが「せめてこの夫婦だけは守られてほしい」と願っていた。それが4話で初めて本気のケンカをする。
原因はどちらか一方ではなく、
- 菜奈:ゲームと元夫のことを隠し続けている
- 翔太:それを知らず事件を軽く扱ってしまう
この“ズレ”が、のちの破滅への序章であることを思うと、本当に胸が痛む回でした。
石崎洋子が象徴する「普通の人がいちばん怖い」
4話は石崎洋子の存在感が爆発した回でもあります。
- 自分の名前を書いた
- 「全員で書いた名前を言ったほうがいい」と暴走
- 「菜奈さんが始めたんだからあなたから言え」と責め立てる
洋子はサイコパスでも悪人でもない。
むしろ“正しい人間でいたい”と強く思うごく普通のお母さん。だからこそ恐ろしい。
“正しさ”が少し暴走すると、他者を追い詰め、感情でルールをねじ曲げ、自分の安全だけを確保しようとする。
このドラマは“普通の人間の歯車がズレる瞬間”を徹底的に描いていて、洋子はその象徴です。
シンイーに番が回る“詰みの構図”
シンイーの状況は地獄そのものです。
- 書いた名前=セクハラ店長
- その店長が死亡
- ベランダに「あなたの番です」包丁
- 恋人クオンは不法滞在
つまり、ゲームを止めるために警察へ行けば、今度はクオンが逮捕される。
彼女は社会的立場が弱いからこそ、“逃げられない構造”に閉じ込められている。
交換殺人ゲームは弱者ほど追い詰められる。4話でその残酷さがはっきりと可視化されます。
日常の“嫌な予兆”が積み重なり、全員に影が落ちる
4話には、直接事件と関係のない“日常の不穏ディテール”が大量に散りばめられています。
- 幸子のラジオへの文句
- 駐車場で子どもに過剰に絡む佳世
- ゴミを漁る木下と、それを見ている“誰か”
- 夜中に車内を確認する浮田
どれも殺意に直結しているわけではない。
しかし視聴者の脳に“この人たち、未来に不幸が訪れるな…”という予兆を刻み込んでいく。
この“日常に混ざる不幸の原石”が、のちのマンション全体の悲劇をより深くする土台になっています。
4話で見えてくる作品全体の本質
「黒幕は誰か?」ではなく、「加害者はどこまで増えるのか?」
4話までで、この作品の本質が形になってきます。
このゲームは、
- 書いた人
- 引いた人
- 実行した人
- ルールを強制する人
- 見て見ぬ振りをする人
こうした“加害の役割”がマンション全体にばら撒かれていく“連鎖型犯罪”だということ。
赤池家の惨劇は、その連鎖が本格化する合図であり、
「このマンション全員が、もう元の生活に戻れない地点を越えた」
というサインです。
以上が「あなたの番です」4話の感想&考察でした。
3話で“タナカマサオ事件”が成立し、4話でついにマンション内の惨殺事件へ。ゲームは完全に日常を侵食し始めました。
この先、誰が“番”を回され、誰が“回す側”に変わっていくのか。引き続き、論理強め・感情強めで追っていきます。
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