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絶対零度(シーズン5)第3話ネタバレ&感想考察。正義が冷え固まる夜、DICTは何を守れなかったのか

絶対零度(シーズン5)第3話ネタバレ&感想考察。正義が冷え固まる夜、DICTは何を守れなかったのか

シリーズを通して「正義とは何か」を問い続ける『絶対零度(シーズン5)』。

第3話では、後継者不足の企業を狙う“承継ビジネス”の裏で、DICT(情報犯罪特命対策室)が新たな経済犯罪の闇に迫る。

ひとつの小さな相談が、やがて国家レベルの利害へとつながっていく展開は、今期でも屈指の緊張感。

南方(⼀ノ瀬颯)の葛藤、二宮(沢口靖子)の決断、そして佐生(安田顕)の冷徹な政治判断――。

それぞれの立場が交錯する中、“正しさの温度”を試す一話となっている。

目次

絶対零度(シーズン5)3話のあらすじ&ネタバレ

絶対零度(シーズン5)3話のあらすじ&ネタバレ

全体像を整理しておくと、第3話は「承継ビジネス」を隠れ蓑にした資金抜き取りと、新興宗教系グループによるマネーの循環――この二本の線を“悪のトライアングル”(税理士・乗っ取り屋社長・教祖)として束ね、DICT(情報犯罪特命対策室)がどこまで切り込めるかを描く回でした。

被害企業の社長が自死に追い込まれ、内部協力者となった若手税理士は口封じ同然に殺害。さらに官邸サイドの政治判断によって捜査がストップする――救いの無さを意図的に積み上げた構成です。以下、時系列に沿って整理します。

町工場を飲み込む「経営統合」の罠

冒頭、町工場「ミズハラ製作所」の社長・水原明人(小林三十朗)が、商工会を介して紹介された税理士・上村元也(松岡広大)に相談を持ちかけます。

上村は資金力のある企業「ネッブス」との経営統合を提案し、社長・奥田真斗(町田悠宇)も迅速に応じる。

しかし数日後、工場の口座資金はすべて消失。負債だけを背負わされた水原は、絶望の末に命を絶つ――ここで「資金移動の可視化が追いつかない」現代的な情報犯罪の非対称性が提示され、DICTの出番が生まれます。

DICT始動――和菓子店で見えた“同じ手口”

官房副長官・佐生新次郎(安田顕)は、同様の被害が他にも出ていると掴み、DICT室長・早見浩(松角洋平)に調査を命じます。

二宮奈美(沢口靖子)と南方睦郎(一ノ瀬颯)が最初に向かったのは被害に遭った和菓子店。そこでも「ネッブス」との統合契約が存在し、紹介者は上村。つまり“入口(上村)→統合(奥田)→資金抜き取り”という犯罪フローが成立しているわけです。

しかも上村は南方の大学時代の友人。南方は職務と個人史の板挟みに立たされ、事件と感情の両面で逃げ場を失います。

“悪のトライアングル”の頂点――教祖・黒澤道文

一方の佐生が追っていたのは、新興宗教「ルミナス会」の教祖・黒澤道文(今井清隆)。

宗教法人を母体に「黒澤ホールディングス」を築き、信者に高額なグッズを売りつけ、後継者不在の企業には“承継ビジネス”を持ちかける――そしてその資金が海外に流れている痕跡がある。

奥田の会社群も黒澤系列の傘下にあり、上村は“入り口”として機能していた。三者が結託するこの構図こそが、シリーズが示す「悪のトライアングル」の正体である。

南方の躊躇と上村の“揺れ”

南方は「上村が気づかないはずがない」と直談判するも、証拠がないため決定打を欠く。奈美が上村の経済状況を調べると、多額の借金と“抜けられない事情”が判明。

掛川(金田哲)の助言もあり、南方は自らの過去――上村からの相談を無視していた過ち――を悔い、再び彼と向き合う。上村はついに加担を認め、「黒澤ホールディングス」へ流れた資金の証拠提供を決意する。

善悪の境界線上で揺れる若手税理士の“翻意”が、この回の倫理的クライマックスを形づくります。

口封じの刃――協力者・上村の刺殺

しかし、事態は最悪の形で断たれます。

上村が証拠を持って警察へ向かう途中、「ミズハラ製作所」社長の息子に背後から刺殺され、データも何者かに奪われる。

復讐という個人の情念と、組織的な犯罪の合理が交差し、事件解明の“鍵”は再び闇に沈む。

ここで物語は、“個人の正義”と“社会の正義”が一致しない現実を突きつけます。

官邸の“政治判断”――DICTへの捜査中止命令

上村殺害によって本丸に迫る手がかりが絶たれた直後、官邸からDICTに捜査中止命令が下ります。

佐生は“国難に備えるためのカード”を冷徹に積み上げる政治家として振る舞い、DICTに撤退を指示。現場の二宮は、被害者の和菓子店のシャッター前で「守れなかった命」を噛みしめながらも、政治と捜査の溝は埋まらないまま次の局面へ進む。

このシーンで“現場と権力の非対称性”が明確化され、シリーズの政治サスペンス的側面が強調されました。

エピローグ――連ドラ的縦糸の強化

連続アーク側では、桐谷総理(板谷由夏)の娘・カナ(白本彩奈)がSNSで知り合った男と海外へ向かう兆しが描かれ、官邸と犯罪ネットワークの“見えない回路”が浮かび上がります。

ラストにはサプライズ的な“再登場キャスト”も置かれ、シリーズ全体の布陣を拡張。

DICTの敗北が、より大きな構造的犯罪の入口であることを示しながら、第4話への緊張を静かに引き継ぎました。

絶対零度(シーズン5)3話の感想&考察

絶対零度(シーズン5)3話の感想&考察

長年このシリーズに惹かれてきた身として、今回の見どころは“こうだからこう”という因果の明快さに尽きます。

①入り口(税理士)→②統合(ネッブス)→③資金抜き取り→④資金の洗浄・還流(宗教法人ホールディングス)という犯罪の手順化が、DICTの“手順化された優しさ”(聞き取り→検証→保護→立件)を一瞬で凌駕した時、協力者の命が落ちる。

冷徹に噛み合う構図が生む説得力こそ、第3話最大の見応えでした。

テーマの核――「承継」と「宗教」がつなぐ“悪のサプライチェーン”

乗っ取り屋が利用するのは“承継ビジネス”。

後継者不足で悩む中小企業に「技術を守る」という美辞麗句で近づき、資金抜き取りに転化する。

さらに宗教法人が母体の持株会社を連結させることで、資金の受け皿と正当化の語りがセットになり、追及の刃が鈍る。

“正当性の言葉×制度の穴”という組み合わせがリアルで、シリーズ第5期が舞台をDICT=情報犯罪に据えた意味がこの回で一気に腑に落ちました。

南方の成長回――“論理”から“当事者”へ

上村が友人だったという事実が、物語に重力を与えています。

南方は「証拠がないから何もできない」という論理に守られていた自分を脱ぎ捨て、掛川の言葉に背中を押され、当事者として謝罪し、向き合う。

その瞬間、上村は“人として戻る”決断を下す。

だからこそ彼の死は単なる「口封じ」ではなく、倫理的な断絶として心に残る。南方の“成長回”という評価が多く見られたのも納得です。

「守る」という約束の重さ――視聴者のモヤモヤも筋が通る

SNS上では「護衛をつけなかったのか」「証拠は送信でよかったのでは」という声も多く見られました。しかしこれは“穴”ではなく、政治レイヤーが介入する世界を描くための設計と読むのが自然。

現場が完璧でも、上層がブレーキを踏めば事故は起きる。

『絶対零度』というタイトルが示す“正義が冷え固まる瞬間”を、あえてモヤモヤとして残す構成。

視聴者の違和感そのものがテーマと一致しているのです。

“悪のトライアングル”の機能美

税理士(入口の信頼)×乗っ取り屋(契約の正当性)×教祖(資金の出口と語り)。

それぞれが制度の影に立つことで、三角形の構造が犯罪を“見えなくする”。

法の網目と社会的承認(肩書き・宗教法人格)が絡むと、個別には犯罪に見えにくい。

DICTという“横串”の存在が必要だという物語の前提が、回を重ねるごとに強化されていることがよく分かります。

政治サイドの描写――佐生は敵か、それとも必要悪か

佐生は“捜査を止めた悪役”に見えながらも、実際は「国難対応のカード」を揃える官邸機能そのものでもある。現場の二宮と政治の佐生――どちらも“正しい”からこそ衝突する。

この二重の正義が、シリーズ全体の縦糸を強化している。

佐生の「結果オーライ主義」は冷徹な合理に見えて、最終的には最大の地雷になる――そんな布石の置き方が印象的でした。

演出面――“届かなかった手”をどう描くか

上村の刺殺は、背後からの一突きとデータ喪失という二重の断ち切りで、視聴者の救済ルートを意図的に潰している。

希望の線(南方と上村の和解)が見えた直後に遮断する手法は賛否を呼ぶが、その痛みが次話の「保護・証拠管理・広域連携」を強化する原動力になる。

“静の会話→動の遮断”というテンポが定着しつつあり、シリーズ全体の演出リズムとしても洗練されてきた印象です。

メタな余韻――“顔ぶれ”の広がり

クレジット外のサプライズ登場を含め、世界の“顔ぶれ”を少しずつ広げる仕掛けが巧みでした。

安易に“味方”を増やすのではなく、街の視線として配置することで、二宮の孤独と執念を浮かび上がらせる。このさじ加減が、絶対零度らしい群像の奥行きを生んでいます。

次話へのブリッジ(最小限)

第4話では国際NPO職員殺害と寄付金の流れが鍵を握る。

黒澤系の資金連鎖と、山内パートのSE連続殺人が繋がり始める予告が出ており、今回の“途切れた証拠線”をどう再構築するかが焦点になる。

もしDICTの「証拠保全プロトコル」や「冗長化システム」が描かれれば、第3話の苦さが初めて物語的に報われることになるでしょう。

総括:こうだからこう、だから面白い

(1)承継×宗教×情報技術という現代的な“悪のサプライチェーン”を、手順の論理で見せた。
(2)南方は“証拠の人”から“当事者の人”へと一歩踏み出すが、現実は容赦なくその一歩を踏みにじる。
(3)政治レイヤーの介入で、現場の“正しさ”が凍りつく。

この三点が同時に立ち上がったことで、第3話はシリーズのテーマを最も強く刻むエピソードとなった。

キャスト配置と職能の見せ方も的確で、DICTという新機関の意義が視聴者に明確に伝わる構成。

ここから「どう守るか」を制度として再設計できるか――それが後半のカタルシスの鍵になると断言できます。

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