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MISS KING/ミス・キング第4話ネタバレ感想&考察。母の声と父への復讐、その狭間で揺れる夜

MISS KING/ミス・キング第4話ネタバレ感想&考察。母の声と父への復讐、その狭間で揺れる夜

前回、復讐計画の最中に心の均衡を崩した飛鳥。

その余波が続く第4話では、彼女がついに“将棋”という原点のトラウマと向き合う。

母の「将棋をするな」という声に倒れ、相棒・藤堂との関係も崩壊寸前――。一方で、藤堂自身の過去が初めて明かされ、二人を結ぶ“痛みの構造”が浮き彫りになる。

物語はここで、復讐劇から“再起の物語”へと舵を切る。

目次

MISS KING/ミス・キング4話のあらすじ&ネタバレ

MISS KING/ミス・キング4話のあらすじ&ネタバレ

第4話では、飛鳥(のん)が将棋へのトラウマと向き合うことになり、さらに相棒である藤堂(藤木直人)の過去が明らかになります。物語は前話の続き、アマチュア名人戦の決勝対局から始まります。

対局中に飛鳥が意識を失う――母の「将棋をするな」という声

決勝戦の盤上で飛鳥はこれまで培った力を発揮しようとしますが、その最中に異変が起こります。

盤面に集中しようとした瞬間、駒のざわめきと共に「将棋をするな」という謎の声が飛鳥の耳に響きました。突如パニックに襲われた飛鳥は意識を失い、その場に崩れ落ちてしまいます。対局会場は騒然となり、飛鳥は勝負半ばで無念の失神退場となりました。

実はこの「将棋をするな」という言葉は、飛鳥の深層心理に刻まれた母親の声。幼い頃、天才棋士だった父・彰一に去られた飛鳥と母は貧しい生活を強いられ、母・桂子は将棋そのものを憎むようになっていました。

「将棋さえなければ…」という思いから、母は飛鳥に二度と将棋を指さないよう言い含めていたのです。飛鳥は将棋に関わるたび身近な人が不幸になると感じており、母の言葉が心の底でトラウマとなって彼女を縛っていました。

失神から目を覚ました飛鳥でしたが、心は沈んだまま。

一緒に会場にいた藤堂はそんな飛鳥の様子に苛立ちを隠せません。自分たちの復讐計画の矢先に飛鳥が精神的に不安定になったことで、計画続行が危ぶまれたからです。藤堂は落胆と怒りから飛鳥に近づき、絞り出すように問いかけます。

「俺を、これ以上不幸にできるのか?」

見限るようなその言葉に飛鳥は返す言葉もなく、藤堂は彼女を突き放します。こうして復讐バディは解散の危機を迎えました。

藤堂の悲しき過去――将棋に奪われたものとは

藤堂が飛鳥を見放したことで、二人はそれぞれ自分の傷と向き合うことになります。

飛鳥は母の記憶と言葉を思い起こし、なぜ自分が将棋から逃げてしまったのかを痛感。一方、バー「月夜ノ薔薇」のママ・礼子(倉科カナ)のもとに身を寄せていた藤堂も、自身の過去を振り返っていました

実は藤堂もまた、将棋によって人生を狂わされた過去を持っていたのです。かつて彼はプロ棋士として結城彰一(中村獅童)と公式戦で対局した経験がありました。しかし結果は藤堂の敗北。敗戦の悔しさから激情に駆られ、彰一に「父を殺されたも同然だ」と言い放ってしまいます。

藤堂の父も元棋士であり、かつて彰一に敗れたことや将棋界の冷酷さが原因で心を病み、命を落としたと示唆されました。藤堂はその恨みを抱えて棋士となりましたが、皮肉にも自分も同じ相手に敗れてしまったのです。

さらにその後、藤堂が敗因を他に求めるような言葉を口にした際、彰一は冷ややかに「負けは実力不足だ」と言い放ちます。その容赦ない正論に藤堂は激昂し、衆人環視の中で彰一を殴り倒してしまいました。

この暴力事件をきっかけに、藤堂の棋士人生は終わります。彼は連盟から処罰を受け、表舞台から姿を消しました。これが、藤堂が「将棋で彰一に復讐したい」と渇望するようになった原点です。将棋によって奪われた夢、家族、そして自責の念――藤堂の過去は、彼がどれほど深い闇を抱えているかを物語っていました。

屋上での決意――新たな反撃の始まり

藤堂の過去を知った飛鳥は、自分だけでなく藤堂もまた将棋に人生を狂わされた同志なのだと理解します。お互い深い傷を抱えているからこそ、協力して復讐を果たそうと誓い合ったはず。その原点を思い出した飛鳥は、再び立ち上がる決意を固めました。

一方の藤堂も、飛鳥と袂を分かつ中で、彼女の存在を必要としている自分に気づいていたのかもしれません。仲介役となった礼子の助言により、藤堂はもう一度飛鳥と向き合うことを決意。礼子の強気で面倒見の良さが、二人を再び引き合わせる鍵となりました。

飛鳥は、自分が聞いた「将棋をするな」という声が亡き母の叫びであり、自身の恐れの象徴だったと告白します。それでも「将棋で父を倒したい」という想いは消えていないと伝えると、藤堂もまた自分の憎しみと動機を語りました。こうして二人は再び手を取り合い、共に前へ進むことを誓います。

その象徴的なシーンが、夜明け前の屋上で描かれました。藤堂は手にしていた小さな骨壺の蓋を開け、父の遺骨を風に乗せて撒きます。その横で飛鳥も空を見上げ、静かに目を閉じる。藤堂の父への未練、飛鳥の母への後悔――二人はこの儀式で過去を断ち切ったのです。

夜明けの空に舞う白い灰を見送りながら、二人は静かに頷き合いました。「ここからが勝負だ」――そう告げるように、復讐バディは再結集を果たします。ここから二人の反撃が始まるのです。

結城家の動向――龍也と由奈が見る将棋の棋譜

一方その頃、結城家では不穏な動きがありました。彰一の息子・結城龍也(森愁斗)と婚約者の早見由奈(鳴海唯)は、書斎で将棋の棋譜を広げ議論しています。由奈はプロの女流棋士であり、その棋譜を読み解く目を持っていました。

二人が見つめるその棋譜は、飛鳥の対局記録。前話のラストで龍也は飛鳥に「二度と結城家に近づくな」と誓約書を突きつけましたが、飛鳥が大会に出場したことで警戒を強めています。由奈は棋譜をなぞりながら何かを察し、龍也は険しい表情を浮かべました。

異母姉である飛鳥の存在が結城家にとって脅威になるのでは――龍也はそう感じ始めています。由奈もまた、飛鳥の強さに驚きと興味を隠せません。この三人の関係が今後どのように絡み合っていくのか、緊迫感を漂わせながら物語は幕を閉じます。

第4話は、飛鳥と藤堂それぞれが“過去の呪縛”を乗り越え、再び手を取り合う回でした。辛く切ない展開の中にも、夜明けのような希望の光が差し込む。次回から、いよいよ二人の本格的な反撃が始まるのです。

MISS KING/ミス・キング4話の感想&考察

MISS KING/ミス・キング4話の感想&考察

第4話を見終えてまず印象的だったのは、飛鳥と藤堂の“内面構造”の描写です。

復讐に燃える二人が一度は決裂し、それぞれのトラウマと徹底的に向き合う構成。物語の折り返し地点として、非常に密度の高い回でした。

論理的に言えば、今回のエピソードは二人の「失敗と挫折の原因」を掘り下げ、そこから「なぜ再起できたのか」を因果関係で整理した回。筆者としても、「こうだからこうなる」という因果構造が明確だった点に強い満足感を覚えました。

飛鳥のトラウマを克服できた理由

飛鳥の将棋トラウマの正体が、亡き母の言葉に由来するものであったことが明かされました。この設定は極めて整合的です。幼少期に父・彰一に捨てられた母・桂子にとって、将棋は“奪う側”の象徴でした。そのため、母は娘に「将棋をするな」と言い聞かせ、飛鳥は母の愛情と罪悪感の板挟みになったまま成長します。

将棋を愛しながらも、母を苦しめた原因としてそれを拒絶せざるを得なかった――この心理構造が彼女の20年に及ぶトラウマを説明しています。

興味深いのは、飛鳥が再び盤上に立つ動機が“父への復讐”であったこと。つまり、母の否定を踏み越えてでも父と向き合わなければならなかった。第4話は、その母の呪縛に真正面から向き合う回であり、最終的に彼女は「母の声に従う娘」から「自分の人生を選ぶ棋士」へと転化しました。

この変化の根底には、“復讐”ではなく“自己再生”というテーマが流れています。倒れても立ち上がる、母の影に怯えながらも将棋盤を再び握る――その決意が、因果の筋道として明確に描かれていた点は秀逸でした。

礼子の支えも重要です。彼女は飛鳥にとって“外からの理性”として機能し、感情に沈む飛鳥を現実へと引き戻す存在でした。多くの視聴者が「礼子は救いの女神」と評したのも納得です。礼子の登場は、この物語に“秩序”をもたらすバランス装置でした。

藤堂の幼稚さと彰一の冷徹さ――因縁の真相を読む

藤堂の過去は、まさに“自滅型の復讐者”の構図です。父の仇である彰一に挑み敗北、激情のあまり手を上げてしまった。彼は怒りによって自らの棋士人生を壊しました。

この過去を踏まえると、藤堂の行動は感情的でありながらも論理的には筋が通っています。彼は「父を奪った男」を倒すことでしか、自分を赦せなかった。ゆえに、飛鳥という“結城家の血を引く者”に執着したのです。

しかし、筆者が注目したのは藤堂の“未熟さ”です。敗北直後に泣き言を口にすれば、プロの世界では通用しません。彰一が「負けは実力不足」と突き放したのも、冷たいが正論。藤堂は理屈ではなく感情で動いており、そこで生まれる摩擦が第4話のドラマを構築しています。

つまり、彰一は悪ではなく“原理”なのです。彼は将棋界の掟そのものであり、敗者を切り捨てる合理性を体現している。その冷徹さがカリスマに見えるのは、信念にブレがないから。ゆえに、藤堂の敗北には“必然”があったと読むのが自然です。

散骨のシーンは、その象徴でした。藤堂が父の遺骨を空へ放った瞬間、彼は過去を断ち切り、感情を理性に置き換えた。これは「感情の埋葬」であり、「理性の再起」でもあります。飛鳥がその光景を見届けたのは、二人が同じ段階に到達した証。共に過去を葬り、ようやく“戦うための準備”が整いました。

礼子はなぜ「救いの女神」なのか

第4話で最も静かに、しかし決定的な役割を果たしたのが堺礼子です。彼女は藤堂の恋人であり、同時に物語全体の調停者でもあります。飛鳥と藤堂が決裂した際、感情的な二人を繋ぎ止めたのは礼子の冷静な判断力でした。

礼子は藤堂の弱点を熟知しており、「怒りの裏にある恐怖」を理解している。彼女が藤堂を叱責しつつ支える姿勢は、彼の“母性的救済”でもあります。

また、倉科カナの演技がこの役に説得力を与えています。飾らない強さ、あたたかい皮肉、そして“人間を突き放さない理性”。視聴者が「礼子がいなければこの物語は崩壊していた」と感じるのも当然です。彼女の存在が、飛鳥と藤堂を結ぶ「第三の盤面」として機能しているのです。

結城家サイドの不穏な動きと今後の展開

終盤で描かれた結城家のシーンは、物語後半への明確な布石です。龍也と由奈が棋譜を読み込む場面は、表向きは分析ですが、その裏には“監視”の意図が透けて見えます。

龍也にとって飛鳥は“父の罪の象徴”。彼女が表舞台に戻れば、結城家の地位そのものが揺らぐ危険があります。ゆえに彼は飛鳥を排除しようとする。一方の由奈は、棋士として飛鳥の実力を冷静に評価し、敵対というより“理解”の姿勢を見せています。この温度差が今後、結城家内部の軋みを生む可能性が高いでしょう。

筆者としては、この構図が極めて将棋的だと感じました。盤上の駒が敵味方に分かれながらも、一手ごとに関係が変化していく――結城家と飛鳥・藤堂の関係性も、まさにその“手順の応酬”に入った段階です。

次回以降、結城家VS飛鳥・藤堂の構図が本格化するのは確実。龍也の策略、由奈の動揺、そして彰一の一手――そのすべてが盤上で交錯する予感があります。

まとめ:第4話は「再出発」の物語

第4話は、物語前半の集大成にして“再出発”の回でした。

飛鳥は母の呪縛を、藤堂は父への執着を、それぞれ葬り去った。過去という重荷を下ろし、理性の地平へと立ち戻った二人が、ここからどう動くのか。

演技面でも、のんの繊細な表情変化と藤木直人の不器用な怒りが絶妙に噛み合い、人間の複雑な心理を浮かび上がらせていました。視聴者の間でも「二人が傷を癒えてからが本当の戦い」との声が多く、物語の次章への期待は高まるばかりです。

この第4話は、感情的な山場でありながらも、論理的な構造で感動を生み出す回でした。不幸に縛られていたヒロインが、自らの意志で未来を選び直す――その姿は、復讐劇でありながら“解放の物語”として成立しています。

次回以降、飛鳥と藤堂がどんな戦略で父・彰一という“盤上の王”に挑むのか。物語はここからが本番です。

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