「逃げる」とは、生き延びること。――日本テレビ系ドラマ『ESCAPE』は、社長令嬢・八神結以(桜田ひより)と、誘拐犯の青年・林田大介(佐野勇斗)が《ハチ》《リンダ》と呼び合いながら“逃避行”を続けるサスペンス・ラブストーリーです。
企業の陰謀、27年前の事件、父と娘の確執。
逃げるほどに真実へ近づいていく二人の旅路は、いつしか“罪”と“愛”の境界を曖昧にしていく——。ここでは、全話のあらすじと最終回の結末までを、筆者の視点で徹底解説します。
【全話ネタバレ】ESCAPEのあらすじ&ネタバレ

社長令嬢の結以が誘拐されるが、主犯の急死で計画は破綻。
人質の彼女と実行犯・大介は“何かから逃れる”ために、思いがけない逃避行を始める。
1話:誘拐が“逃避行”に変わった夜――ふたりの心が近づく最初の一歩
物語は、都内ホテルで開かれる20歳のバースデーパーティーから始まります。八神製薬の社長令嬢・八神結以(桜田ひより)は、壇上で自ら発案した給付型奨学金の設立を宣言し、大人への階段を一歩のぼる。
父・八神慶志(北村一輝)は生年ワインで祝福し、幸福の象徴のようなその光景が、のちに訪れる“闇”をより深く照らす導入になっていました。
誘拐から逃避行へ——引き返せない夜の幕開け
その直後、空気が一変します。控室に戻った結以に、清掃員に扮した男たちが襲いかかり、スタンガンで失神。寝袋に押し込まれ、ランドリーカートで運び出される。実行犯は林田大介(佐野勇斗)と山口健二(結木滉星)、指揮を執るのは主犯の斎藤丈治(飯田基祐)。
“箱入り娘”の世界が破裂する瞬間、彼女が信じられたのは自分の鼓動だけでした。
一方で救出の糸口は“身内”に。慶志の秘書・万代詩乃(ファーストサマーウイカ)は、結以の位置情報を把握しており、移動速度から車による拉致だと即座に判断。
慶志は結以の叔母・霧生京(富田靖子)に連絡し、八神製薬の創業家にまつわる歪な過去——京が創業者の娘で、慶志が“養子として継いだ血”であること——を仄めかす。この“家”の構造そのものが、事件の動機の底に沈んでいることが暗示されます。
山間の空き家に運ばれた結以は、手錠で拘束されながらも恐怖に飲まれず、まず“話す”ことで状況を動かそうとします。「力になれることがあれば――」。しかし斎藤は冷たく言い放つ。「金じゃない。父親を苦しめたいだけだ」。この言葉が、事件が単なるカネ目当てではなく、“憎悪”と“過去”を背負った連鎖であることを刻みつけます。
崩壊する計画、始まる逃避行
万代たちがGPSを頼りに突入の準備を進める中、事態は思わぬ方向へ。斎藤が心臓発作で倒れ、身代金の受け渡しが中止に。混乱の中、斎藤は大介に「結以を連れて逃げろ」と命じます。手錠でつながれたまま、二人は車に飛び乗り、闇の道路を走り出す。ここで物語の色が決定的に変わる——“誘拐”が“逃避行”に書き換わった瞬間です。
裏では、さらにいくつもの視線が動き始めます。
計画失敗を“大介の裏切り”と誤解する山口、偶然その場に居合わせた従姉弟インフルエンサーの真咲(加藤千尋)と岬(髙塚大夢)、少年課の刑事・小宮山拓(松尾諭)、八神製薬を嗅ぐ週刊誌記者・白木広太(山口馬木也)、そしてサイレンを背に笑う“謎の女”(志田未来)。盤面は一気に多層化し、逃避行は“二人だけの物語”では終わらないことを示します。
結以と大介——逃げながら生まれる信頼の温度
大介は「日の当たらない世界」を生きてきた青年。結以は「人の前に立つ」ことが得意な令嬢。正反対の二人が、手錠で繋がれながらも初めて同じ方向を見つめる。
非対称な立場が少しずつ溶け合い、結以の声が柔らかく、大介の視線が長くなるたび、画面の空気が変わっていく。信じるという行為が、逃げる速度を上げる。その矛盾を抱きながら、闇の車窓に二人の温度が滲みます。
家族の影と、恋と罪の始まり
この夜の逃避行は、同時に“家の物語”の始まりでもあります。創業家と養子の確執、27年前の“何か”を暗示する断片。
斎藤の「父を苦しめたいだけだ」という一言は、企業の影や過去の罪を匂わせ、恋とサスペンスの両輪で走る物語の深度を予感させます。逃げれば逃げるほど、二人は真実に近づいていく——その構図が、物語のスリルを甘くするのです。
1話のまとめ
ラスト、大介と結以の逃避行を軸に、追う者・嗅ぎつける者・笑う者の思惑が交錯し、盤面が一気に回転。第1話は「出会ってしまった」二人の手錠の重さを、そのまま視聴者に託して終わります。胸に残るのは、カチリと鳴る金属音。そして問い——彼らは“誰から”ではなく、“何から”逃げているのか。夜風が少しだけ優しく感じられる、そんな幕開けでした。
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2話:共犯になる夜――「ハチ」と「リンダ」、宇都宮へ。年賀状が開ける“27年前”
第2話(10月15日放送)は、立場がカチリと反転する回。
八神製薬の社長令嬢・八神結以(桜田ひより)が誘拐され、身代金3億円を要求していた一味は、主犯の斎藤丈治(飯田基祐)の急死で作戦が崩壊。
逃げ場が生まれたはずの結以は一人では逃げない道を選び、誘拐犯の一人・林田大介(佐野勇斗)と肩を並べて逃避行を開始する――この選択が物語の温度を変えます。
互いの素性を隠すため、ふたりは「ハチ」「リンダ」というコールサインで呼び合う約束を交わし、世界も育ちも正反対のふたりが“いまの自分”で結び直されていく導入が鮮やかでした。
宇都宮へ向かう逃避行と“母”の記憶
行き先は栃木・宇都宮。結以が“本当の母”のように慕う元家政婦・城之内晶(原沙知絵)を頼りに、二人は車を走らせます。
幼いころに実母を亡くした結以にとって、晶は心の避難所。「早くあきちゃんに会いたい」と急く結以は、晶が夫と営む喫茶店へ向かいますが、そこで待っていたのは不在。従業員の口から「離婚して別の店で働いている」という現実を聞かされ、ふたりは教えられた新しい店へ。
拠り所にたどり着くはずの道のりが次々と更新されていくたび、結以の焦燥とリンダ(大介)の警戒心が同時に立ち上がります。
父の捜査線――年賀状が繋ぐ“27年前”の影
同じ時間、父の八神慶志(北村一輝)は家の中から20年以上前の年賀状を見つけます。
そこに写るのは若き日の斎藤夫妻と幼い娘の姿。慶志の秘書・万代(ファーストサマーウイカ)は年賀状の住所を頼りに動き、記者の白木(山口馬木也)と鉢合わせ。
白木が口にする「斎藤は独り身。“あの件”がきっかけで離婚した」という含みのある一言、さらに現れた斎藤の元妻・高木悦子(黒沢あすか)から、27年前に斎藤と慶志の間で何かがあったという手応えが示されます。
企業(八神製薬)と“過去の選択”が、現在進行形の逃避行と確実に接続していることを、物語は年賀状一枚の軽さで静かに示してみせました。
二つの「逃げ」が交差する瞬間
ここで第2話は、二つの「逃げ」の意味を並べて描きます。
結以と大介の逃避行は、恐怖に押し出されただけの逃走ではなく、互いの素性を伏せたまま“いま”に誠実であろうとする連帯。
コールサインは偽名以上の機能を果たし、肩書きや立場を剥がしたあとに残る人間同士の距離を測るための合言葉として響きます。一方、慶志の調査線は、27年前に企業の影で起きた“何か”から逃げないための足取り。
年賀状→住所→証言というミニマルな導線の先に、「八神製薬の闇」があると宣言して物語は加速。次話以降の“企業サスペンス”の輪郭が鮮明になりました。
宇都宮で待つ“予期せぬ事態”と、揺らぐ母の像
そして宇都宮。公式の第2話テキストは、二人がそこで「予期せぬ事態に巻き込まれる」とだけ記します。
ディテールを明かさないこの“伏せ”が、逆に不安を増幅させる仕掛け。
拠り所だと信じてきた“母の代わり”が揺らぐかもしれない、そんな冷たい予感を抱えたまま、ふたりは次の扉へ。
物語の手綱は、人質と犯人から“保護と責任”へと徐々に持ち替えられ、逃避行の重さが一段深くなる直前で第2話は幕を引きます。
筆者の視点――“距離”が描く優しさの形
筆者の視点で付け加えるなら、今話のいちばんの見どころは距離感の変化でした。
コンビニの駐車場、車内、風の抜ける道。小さな沈黙の合間に、ハチとリンダの歩幅がミリ単位で合っていく。恋と呼ぶには早すぎるけれど、“今のあなた”を信じてみるという優しさが確かに芽吹いている。
だからこそ、年賀状が運んでくる“27年前”の湿度が、ふたりの現在にどんな影を落とすのかが怖いし、楽しみでもあります。逃げることは、弱さではなく生き延びるための賢さ。その賢さに、誰の責任と愛が伴うのか——第3話の扉が開く音を、息を詰めて待ちたい。
2話のネタバレはこちら↓

3話の予想:懸賞金1億の地獄と“ヤバいヤツ”——選ぶのは、連帯か売り渡しか
第2話で芽吹いた“並走の距離感”は、3話で過酷な選択の連続に晒されます。ここでは、物語のカギを7つの視点から読み解き、筆者の「痛みと希望の分岐」を予想します。
「懸賞金1億円」が世界を変える——敵は“群衆化”する
懸賞金の告知とハッシュタグの拡散は、監視の目を一気に増やします。二人が顔を伏せて歩く商店街、スマホを構える通行人、軽い気持ちの“張り込み”。正義の素人が増えるほど、誤情報と“正義の暴走”も増幅する。
公式の予告文が「SNSには『#八神結以を探せ』が拡散」と明言した時点で、3話は“逃げ場を奪う群衆”を舞台化してくるはず。目立たない善意(見て見ぬふりをしてくれる店員や、無言で落としたキャップ)こそが救いに変わる瞬間を、筆者は期待しています。
星(ひかる)を“連れて逃げる”という責任——保護と違法の狭間で
思わず抱き上げた星は、もう“ただの荷物”ではありません。保護の直感と法の線引きの綱引き。児相に連絡すべきか、今は動かないほうが安全か——最善の不完全解を選び続けるだけで、二人の心は擦り切れていく。
ここで結以の「逃げたくない家」と「会いたい“母”」が再び疼く。子どもを返す/預ける/連れて行く、その三択のどれを取っても誰かが傷つく現実を、3話はきっと突きつけます。だからこそ、星の寝息をはさむ沈黙に、二人の覚悟の温度を感じたい。
“ヤバいヤツ”の正体と取引条件——恩か、代償か
公式は「大介が過去に逮捕されるきっかけを作った知り合い」とだけ匂わせています。
敵か味方かを決めるのは、対価の重さ。安全な隠れ家、偽名の段取り、足の確保——どれも星を抱えたまま必要になる現実的リソースです。
その見返りが「結以の売渡し」や「八神家の情報」だとしたら? 逃げ延びることと自分でいたいことの二者択一を、3話は容赦なく迫るでしょう。筆者は、大介が“過去と手打ちするための嘘”ではなく、“今を守るための誠実”を選ぶと読みます。逃げているのは臆病じゃない。生き延びるための責任です。
ルート設計——宇都宮からの離脱と“監視の街”
懸賞金アナウンス後の公共交通はリスクが高い。ドラレコの海を縫うなら、夜間の県道や農道、現金主義の古い宿。
3話は“安全地帯の喪失”を、支払い手段・移動・食料といった生活のディテールで描いてくるはず。
筆者は、現金の尽き方が物語の風向きを左右すると予想します。だからこそ、“ヤバいヤツ”の提示するキャッシュの束が甘く見える——ここが罠です。
父・慶志の“公的暴走”——懸賞金の光と影
懸賞金は、父の祈りと焦りの可視化。けれど同時に、群衆による越境を招くナイフでもある。
2話で年賀状が開けた27年前の線は、3話で“公的な父”の倫理をさらに試すはず。八神製薬の権威とSNSの熱狂が結びついたとき、誰が線引きをするのか。
慶志が「父として」選ぶ手は、次回以降の彼の評価、そして結以の受け止め方を決定づけます。
ハチとリンダ——“合言葉”が効力を増す
互いを「ハチ」「リンダ」と呼ぶのは、もう偽名の遊びじゃない。素性で繋がらないと決めた二人の、現在地を確かめる合言葉。
筆者は、星の前では本名を言わないという小さな約束が交わされると予想します。守れない嘘より、守れる約束を。3話の台詞は派手じゃなくていい。「今は、こっちで行く」——その一言が並走の宣言になる。
ラストの引き——“敵か味方か”を視聴者に委ねる
次回予告の語彙は明確です。「現れる“ヤバいヤツ”は敵か味方か」。
だから3話のラストは、握手か踏みとどまりかの寸前で切る可能性が高い。筆者は、星が泣き止む音か、スマホの通知音のどちらかが合図になると読んでいます。
救いの手は、いつも少しだけ遅い。だからこそ、選ぶのは二人。その手前で画面を暗転させるのが、一番“水曜の夜”をざわつかせる手筋です。
3話で“起こりそうなこと”(要点まとめ)
- 群衆化する追跡:懸賞金1億円により、一般人の“監視”が爆増。誤報と炎上の地雷原へ。
- 星の扱いで揺れる倫理:児相か、預け先か、同行か。どれも正解で、どれも間違い。
- 過去との取引:大介の“ヤバいヤツ”が提示する対価は、二人の誇りを試す。
- 父の線はさらに過熱:懸賞金の副作用と、27年前の事実の“見せ方”が慶志を追い詰める。
- 合言葉の更新:「ハチ/リンダ」は“今だけの名前”から、“私たちの盾”へ。
筆者の結論
3話は、「逃げること=臆病」という誤解を壊す回。抱きしめる相手が増えるほど、逃避行は逃げ腰ではなく守り腰になる。
誰かを守るために、今日の自分を少しだけ手放す。
それでも「一緒に行く」と言える二人でありますように。
筆者は、鍋でも銃でもない——小さな手のぬくもりが、最短の羅針盤になる物語を見たい。
4話:※未放送
※物語が出次第、更新予定。
5話:※未放送
※物語が出次第、更新予定。
ドラマ「ESCAPE」のキャスト一覧

水曜ドラマ『ESCAPE それは誘拐のはずだった』は、誘拐事件から始まる逃亡劇であり、主演の2人だけでなく脇を固めるキャストも個性的です。公式情報から判明しているキャラクターと俳優陣を整理しました。
八神結以(ハチ) – 桜田ひより
日本有数の大企業・八神製薬の一人娘で大学2年生。20歳の誕生日パーティーの最中に誘拐される。真面目で社会福祉や貧困問題にも関心を持つが、人との触れ合いには抵抗を感じている。八神家に代々受け継がれる「秘密」を抱えている。
林田大介(リンダ) – 佐野勇斗
自動車整備工として働く青年で24歳。誘拐犯グループの一員だが、嘘をつけない素朴な性格。貧しい環境から特殊詐欺に関わった過去を持つ。誘拐計画が失敗した直後、結以から「一緒に逃げて」と懇願され、彼女との逃避行を始める。
万代詩乃 – ファーストサマーウイカ
八神製薬社長秘書の一人で結以の目付け役。八神家に恩義を感じており、ボディーガードのように結以を監視する。
藤颯太 – 田中俊介
八神製薬社長秘書室の筆頭。社長・八神慶志の渉外やスケジュール管理など全般を補佐する。
八神慶志 – 北村一輝
八神製薬社長で結以の父。養子として会社を継ぎ、4年前に娘の「秘密」を知った人物。
山口健二 – 結木滉星
誘拐犯グループのメンバーで、八神製薬に強い恨みを持つ32歳の男。交際相手に依存して生活している。
斎藤丈治 – 飯田基祐
誘拐犯グループの主犯で、大介にとって父親代わりの存在。20年前に娘を亡くし独身で、心臓の持病を抱えている。
小宮山拓 – 松尾諭
警視庁少年課の刑事で、大介と過去に因縁がある。
白木広太 – 山口馬木也
誘拐事件が起こる前から八神製薬を追っていた週刊誌記者。かつて初代社長・恭一を取材した経験を持つ。
霧生京 – 富田靖子
結以の叔母で八神恭一の娘。八神家の事情に詳しい人物。
大西真咲 – 加藤千尋 / 大西岬 – 髙塚大夢(INI)
YouTube「まぁみぃチャンネル」で人気のインフルエンサー姉弟。物語にどのように絡むのか注目される存在。
主要人物のほかにも、結以の父・八神慶志を取り巻く秘書陣や、誘拐犯グループの仲間、事件を追う刑事や記者たちが登場する。彼らの立場や思惑が複雑に絡み合い、物語に緊張感を与えそうだ。
ESCAPEの予想結末。最終回ではどうなる?

物語の“土台”は明確です。社長令嬢・八神結以が誘拐され、取引が失敗したのちに、犯人の青年・林田大介と《ハチ》《リンダ》と呼び合いながら“二人で逃げる”選択をした――その瞬間からドラマは始まりました。
父・八神慶志は秘書の万代とともに追跡を続け、同時に27年前の因縁が少しずつ浮かび上がっていく。ここまでが公式のイントロと予告で確定している事実です。
第2話(10月15日放送)の予告では、二人が宇都宮で元家政婦・城之内晶を頼る展開と、慶志サイドが“年賀状”を手がかりに斎藤丈治との27年前の因縁に踏み込むことが明言されました。つまり恋とサスペンス、その二本柱の“装置”はすでに配置済み。ここから先は、結末予想として、感情の温度と論理の線の両方を踏まえながら“最後の景色”を描きます。
三つの装置が交わる場所に、物語の結末がある
《ハチ/リンダ》という“呼び名のルール”
偽装から始まった名前の交換は、次第に二人だけの安全地帯として機能していく。公式のストーリーが“違う世界に生きる二人が、互いを呼び合い続ける”ことを強調している以上、最終的に《ハチ》《リンダ》は単なる符号ではなく“誓いの言葉”として定着するはずです。呼び名が絆に変わるとき、逃避行は“逃げ”ではなく“生き延びる共同戦線”へと変質します。
“27年前の闇”という時間割
年賀状に写る若い斎藤夫妻と幼い娘。週刊誌の取材、そして伏せられた「あの件」。これらの点は日付で封じられた過去として描かれてきました。だからこそ真相解明の舞台は“公開の場”――「その年に何が起き、誰が知っていたのか」が明るみに出る瞬間で終盤を迎えるはずです。
“???(志田未来)”という空白
未発表の役名として唯一残された“???”は、最終回で盤面を裏返す鍵となる人物の予告。家族史と研究史、あるいは両方をつなぐ“橋渡し役”として登場し、結末をひとひねりさせる存在になると考えます。
真相のコア仮説——“紙”と“人”が接触した場所に火種がある
年賀状、社史、議事録、治験記録……27年前という時の層が物語の中心に置かれている以上、真実はアナログな“証拠”と“人の選択”の交点に潜んでいるはず。
主犯の斎藤は家庭を壊した過去を背負い、慶志はその家族を知っている。誰かの決断や研究が、誰かの日常を破壊した――それがこの事件の根幹。犯行動機は単なる怒りではなく、悔恨と愛が絡み合った“哀しみの選択”です。だからこそ、犯人にも“守りたい誰か”がいる。その温度が、最終回の対峙を人間の物語として救う鍵になります。
恋の着地点——“一緒に逃げる”から“互いを生かす”へ
私は、二人が“結ばれる”より“生かし合う”終わり方を推します。大介は犯罪者であり、結以は企業トップの娘。社会的な摩擦を抱える二人に“幸せな並走”は似合わない。
結以は自分の声(証言・告発)を選び、大介は自分の責任(罪との対峙)を選ぶ。 互いの未来を優先し、別の道を歩むことで、恋が“成熟”へ変わる。別れは終わりではなく、互いを自由にする選択として描かれるでしょう。痛みの中にある優しさが、このドラマの核だと思います。
父と娘の結末——“守るべきは会社か、子どもか”
慶志の物語は倫理の選択に行き着きます。万代と白木が掘り起こす27年前の記録は、やがて慶志本人の証言を要求する地点へ到達。
最終回では、慶志が「会社の正しさ」より「父としての正しさ」を選ぶ。 公開の場で真実を語り、結以の行為を“暴走”から“勇気”へ変換する。その言葉が犯人側の「正しさ」さえも照らし、父娘は派手な抱擁ではなく、沈黙を破る一言で和解を果たすと見ます。
黒幕と共犯の解体——“演出”を“事実”で上書きする
誘拐という派手な“演出”の上に、真実という静かな“事実”が重ねられるのが最終章。共犯構造は、**情報役(知っていた人)/実行役(動かした人)/演出役(見せた人)**の三層に分解され、それぞれが「いつ、何を知ったか」で整理されます。
黒幕は過去に決断を下した人物、そして現在の実行者はその決断に人生を狂わされた者。被害と加害の境界を曖昧にすることで、悪の単純化を拒む構造が物語の厚みを生みます。
最終回プロット予想(骨子)
- 公開の場で真実が暴かれる:年賀状から始まった“紙の糸”が議事録・証言へと連結し、27年前の意思決定が明かされる。
- 《ハチ》《リンダ》のルールが誓いに変わる:互いの未来を尊重し、逃避から生存の物語へ昇華。
- “???”が橋渡し役として登場し、本当に罰すべき相手は誰かを正す。
- 慶志の証言で物語が反転し、結以の行為が対話へと変わる。
- 大介は責任を、結以は声を選ぶ。「また呼ぶね、ハチ/リンダ」と残し、画面は静かに遠ざかる。
なぜこの終わり方が腑に落ちるのか
構造上の必然。 物語は“逃げる”から“辿り着く”と明言されており、到達点は真実と自己の再定義。だから恋=共存ではなく、恋=相手を生かすが正解。
手掛かりの配置。 年賀状、27年前、そして「あの件」が社会的な公開の場を要請している。密室ではなく、光の当たる場所で終わるのが自然。
空白の存在。 “???”の登場が因果を接続し、物語を閉じる鍵となる。
小さな余韻の予想(エピローグ)
ふたりはもう並んで歩かないかもしれない。けれど、《ハチ》《リンダ》と呼び合った時間が、確かに彼らを生かした。逃げるは生きるに、隠すは語るに変わる。
窓の外を風が通り抜けるたび、私は思う――最終回で欲しいのは“正しさの勝利”ではなく、“正しさの選択”。結以の声が届いた瞬間、あの日の年賀状はようやく過去になる。大介の背中はまっすぐ前を向く。その先に“ふたり”がいるかどうかは、私たちの想像に委ねられて物語は静かに幕を閉じる。
きっと、そんなラストです。
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