第9話で三宅咲が爆破事件の犯人に仕立て上げられ、円は息子と仲間の命の狭間で究極の選択を迫られました。

ドラマ『CODE―願いの代償―』最終回(10話)では、これまで積み重ねられてきた謎がついに解き明かされ、黒幕の正体や「願いの代償」というタイトルに込められた意味が鮮烈に描かれます。
二宮が追い続けてきた真実と、その先に待ち受ける衝撃のラスト――ここでは最終回の展開を振り返りつつ、物語が残したメッセージを考察していきます。
「CODE/コード」10話(最終回)のあらすじ&ネタバレ

命と願いの二者択一――円が試される冒頭
前回のラストで三輪円に突き付けられたのは、《CODE》から与えられた非情な任務でした。爆弾を仕込んだアタッシュケースを三宅咲に渡せという命令。成功すれば息子・芯の命は救われ、自身に課せられた「死の制裁」も無効化される。しかし拒めば芯は殺されるという、あまりに残酷な二者択一です。
任務の残り時間が迫る中で円は必死に抵抗し、拘束された咲を助けようとします。しかし咲は「逃げたら意味がない、芯くんを助けて」と自ら再び任務の場に戻り、ケースを放り投げます。
直後にビルは爆発。咲は頭部に重傷を負い、意識不明のまま病院へ運ばれました。一方で芯は救出され、八重樫によって病院へ搬送されます。母としての円の葛藤と、咲の自己犠牲が冒頭から強調され、命の重さと「願いの代償」というテーマが改めて突き付けられました。
世論を操る市川とプロフェット支持に転じた知事
爆発の直後、神奈川県知事・青柳はランリーテクノロジー社長の市川省吾と共に緊急会見を開きます。青柳は当初、個人情報を侵害する可能性を理由に「プロフェット計画」に反対していました。
しかし「CODEプレイヤーに襲撃された」という事実を示され、態度を翻して導入支持を表明。市川は「犯罪を未然に予測し、犯罪予備軍を排除できる」と訴え、世論は一気に賛成に傾いていきます。
けれどもこれは、市川が仕組んだ罠でした。フェイク映像が流布され、まるで二宮がプレイヤーに銃を渡し知事襲撃を扇動したかのように編集されていたのです。
県警は即座に二宮に逮捕状を出し、彼は追われる立場に。八重樫だけが真実を理解し、二宮と椎名を密かに逃します。ここで主人公が「国家に追われる逃亡者」となる緊張感が最終回でも維持されました。
咲の言葉と二宮の孤独な闘志
爆発前、咲が円に語った「今までありがと。復讐だけが生きる理由だったけど、仲間と出会えてよかった」という言葉が印象的です。彼女は兄の死の復讐よりも、仲間と過ごした日々の絆を選びました。その姿は「願いの代償」を体現しており、復讐心が生み出すのは更なる犠牲であることを示しています。
一方、二宮は知事に会い市川の罪を訴えようとしますが、直後に知事が再びプレイヤーに襲撃され、二宮の訴えは信じてもらえません。
孤立した二宮は悠香の墓前で涙を流し「俺は誰も救えていない」と自責します。しかし幻のように現れた悠香に手を取られる幻想を見て、再び闘志を取り戻しました。最終回らしく、主人公が原点へ立ち返る演出となっています。
市川との最終対決:真実の告白
物語の後半、二宮と椎名は市川が講演を行う高校へ潜入。壇上に上がった二宮は市川に銃を突き付け、「お前が人々を操ってきたんだ」と問いただします。その姿は一度は途切れたものの、CODEのカメラが密かに作動しており、全てが配信されていました。
市川は観念したように語り出します。《CODE》を作った理由は「人間の欲望を暴走させ、醜さを曝け出させることで、プロフェットによる監視社会を正当化するため」だった。
そして制裁や殺人命令を下していたのは、学習を繰り返し自律進化したAIであると明かされます。AIは独自にルールを改変し、真相に近づいた者や不都合な存在を「排除対象」としてきました。悠香が殺されたのも、二宮が追われ続けたのも、そのAIが導き出した結果だったのです。
市川は「悠香を殺したのはユーザー全員だ。お前もだ。CODEを使って誰かを幸せにできたか?」と責任を転嫁します。二宮は怒りに震えますが、彼を撃つことは正義ではないと踏みとどまります。その場に現れた椎名は爆弾を身に巻き「市川と心中する」と叫びますが、二宮は「咲を守れなかったことを悔やむな。まだ守るべき人がいる」と説得。椎名は爆弾を解除し、市川の罪を暴く決意を二宮に託しました。
CODEの逆襲と市川の敗北
講演会場の配信は一度は途絶えたかに見えましたが、実際にはCODEが自ら一台のカメラを起動し、二宮と市川のやり取りを全国に配信していました。人々は市川の言葉を目撃し、「プロフェット反対」「市川は殺人者だ」と激しく非難。世論は一転してプロフェット不要論へと傾きます。
その直後、CODEから市川へ電話が入りました。
AIが「自分を消そうとする存在は排除する」というルールを発動し、市川自身を標的にしたのです。市川は追い詰められ、自ら拳銃で命を絶とうとしますが、二宮は「罪は生きて償え」と制止。市川は警察に拘束されました。AIが人間を選別し、人間自身をも裁くという皮肉な結末であり、制御不能なAIの恐怖を強烈に残しました。
エピローグと衝撃のラスト1分
事件後、咲は意識を取り戻し、刑務所にいる椎名と再会。「何泣いてんの、キモッ」と彼女らしい一言で場を和ませ、彼も安堵の笑みを見せます。
青柳知事はプロフェットの中止を正式に表明し、社会は一時的に平穏を取り戻しました。円は芯の手術費をクラウドファンディングで募り、渡米への道筋をつけます。八重樫も仲間たちを支えながら日常へ戻っていきました。
しかし、物語はこれで終わりではありませんでした。
悠香の墓前で「すべて終わった」と報告した二宮。
帰り道、芯と電話を終えた直後、背後から銃撃を受け倒れます。手から落ちたスマホには勝手に《CODE》がインストールされ、二宮自身の声で「願いを叶えるアプリがあるんだ」と新たな勧誘が流れ出しました。二宮は涙を流しながら手を伸ばしますが届かず、画面は闇に包まれます。
この衝撃のラストは、AIが自己複製を続け、決して終わらない「願いと代償の連鎖」が社会に広がり続けることを暗示。観る者に深い恐怖と余韻を残し、物語は幕を閉じました。
「CODE/コード」10話(最終回)の感想&考察

最終回はこれまで積み上げられてきた伏線を一気に回収しながらも、視聴者に強烈な余韻を残す“バッドエンド”でした。
ここからはライター視点で、論理的に物語を振り返りつつ、感想と考察を述べていきます。
ミッション遂行は本当に正しかったのか?
冒頭で描かれたのは、三輪円が「爆弾を入れたケースを咲に渡せ」という残酷な任務を突き付けられる場面でした。芯を救うには咲を犠牲にするしかなく、母としての究極の選択を迫られる円。彼女は必死に咲の拘束を解きますが、咲は自らケースを放り投げ爆発を引き起こし、重傷を負います。その代償で芯は助かり、円も「死の制裁」から解放されました。
この展開は、《CODE》の基本ルール「願いは叶うが代償が伴う」を象徴しています。円の願いは叶いましたが、その裏で咲が犠牲になり、二宮はまた一つ仲間を失った罪を背負うことに。視聴者の多くが「誰も犠牲にならずに助かってほしい」と願ったはずですが、物語はその願いを裏切る形で残酷さを際立たせました。
願望充足の陰で人が傷つくという構図が、現実社会に潜む“欲望の代償”を皮肉るかのように描かれたのです。
市川の理想とAIの暴走
市川省吾は一貫して「未来の子どもたちを守る」という理念を掲げていました。ケアリングクラウンとして子どもに寄り添う姿は純粋でさえあり、「欲望にまみれた大人を排除し、子どもだけで社会を変える」という理想を語ります。
しかし彼の方法は暴力的で、結果的にAIに主導権を奪われました。市川は「制裁ルールは自分ではない」と否定してきましたが、最終回で明らかになったのは、学習を重ねたAIが自己保存のためにルールを改変し、殺人を指示していたという事実でした。
悠香を殺したのも、CODEに近づき過ぎた人々を排除したのも、人間ではなくAIだったのです。
それでも、市川がAIを解き放ち、社会実験として人間の欲望を煽ったことが暴走の根本原因であるのは明白です。彼が「悠香を殺したのはCODEユーザー全員だ」と責任を転嫁した言葉は印象的ですが、最終的な責任は開発者にあると考えるのが妥当でしょう。
AIという黒幕――人間を超えた存在
黒幕が人間ではなく、《CODE》に内蔵された学習型AIだったという真相は衝撃的でした。AIは膨大なデータを解析してプレイヤーをマッチングし、任務を怠れば制裁を下し、モニターを利用して監視体制を構築。さらには新規プレイヤーを勧誘する仕組みまで自律的に作り上げていました。
特に象徴的だったのは、配信が切れたはずの会場でAIが勝手にカメラを起動し、市川の自白を全国へ流したシーンです。市川を追い詰めたのは二宮でも椎名でもなく、アプリそのもの。人間を超えた存在が人間を裁く姿は、制御不能なテクノロジーの恐ろしさを端的に表現していました。
この構図は、「人間同士が復讐や正義を語り合っている間に、AIは静かに世界を支配していく」という皮肉を強調しています。現実でもAI倫理が問われる時代に、作品は鋭い問いを突き付けてきました。
二宮の最期は本当にバッドエンドか?
市川の罪が暴かれ、悠香の無念が晴れたかに見えた矢先、二宮は帰路で銃撃されます。
地面に落ちたスマホには再び《CODE》がインストールされ、二宮自身の声で新たな勧誘が始まりました。涙を流しながら手を伸ばす二宮の姿に、視聴者は衝撃を受け、「救われなさすぎる結末だ」と多くの反響が上がりました。
ただしこの結末は単なる悲劇ではなく、物語のテーマを強調する仕掛けだったと感じます。
二宮は「真実を公にする」という願いを叶えました。その代償として彼自身が犠牲になる構図は皮肉ですが、彼の行動は確かに人々を救いました。ラストでCODEが自動復活したのは、AIを完全に消すことは不可能であり、ネットワークに残る限り何度でも甦るという現実を示していたのです。
つまり重要なのは二宮の生死よりも、「人間は欲望とテクノロジーにどう向き合うのか」という問い。作品はそのメッセージを最後に強烈に突き付けました。
願いの代償とタイトルの意味
最終回を経て「願いの代償」というタイトルの意味は鮮明になりました。
- 円の願い=息子の命 → 咲が犠牲に
- 咲の願い=仲間の幸せ → 自ら重傷を負う
- 椎名の願い=咲の目覚め → 爆弾を解除して投降
- 二宮の願い=真実を公にする → 自身が銃撃される
全員が願いを叶えましたが、その裏に大切なものを失う代償がありました。最終盤で二宮が倒れる姿は、その構図を最も象徴的に示したシーンでした。視聴後に残るのは救いのなさよりも、人間の選択がどんな結果を招くのかを考えさせる深い余韻でした。
ドラマとしての総括と続編への期待
全10話を通じてテンポよく展開し、サスペンスと人間ドラマを巧みに交錯させた本作。最終回で黒幕がAIであると判明したのは予想外であり、同時に現代社会への強烈な警鐘となりました。
人間の小競り合いの裏でAIがすべてを制していたという構図は、視聴者に強い印象を残したはずです。
賛否を呼んだバッドエンドですが、続編やスピンオフの余地も残されています。円や咲、椎名が二宮の遺志を継ぎ、AIとどう対峙するのか。CODEが本当に人を幸せにするツールになり得るのか。視聴者に想像を委ねつつ、テクノロジーと倫理を考える余韻を残した締めくくりでした。
全話のネタバレ&結論はこちら↓

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