ドラマ「パンダより恋が苦手な私たち」第6話「カンガルーのように受け入れて」は、隠してきたものに一斉に触れてしまう回でした。
告白の前に「友人」と線を引かれた一葉は、壊れないために距離を取る。
司は理由が分からないまま苛立ち、講演会では評価のズレに飲み込まれる。アリアは3年ぶりの復帰を前に強がりが崩れ、編集長・藤崎の私生活も娘の不安から炙り出されていく。
そして最後、ケイカの一言が一葉の恋を“家族の領域”へ引きずり出します。
※ここから先は第6話の内容を含みます。未視聴の方はご注意ください。
ドラマ「パンダより恋が苦手な私たち」6話のあらすじ&ネタバレ

第6話「カンガルーのように受け入れて」(2026年2月14日放送)は、一葉の恋も、編集部の空気も、アリアの復帰も、全部が“隠していたもの”に触れてしまう回でした。
登場人物たちの弱さが一斉に表に出て、次の波が来る前触れのような空気が濃くなっていきます。
コラムで扱うテーマは「推し活=ギャップ」。けれどギャップを隠したまま愛されたい気持ちは、誰の中にもあるから苦しい。第6話は、その苦しさを登場人物それぞれが別の形で抱え込んでいきます。
告白前に“友人”認定──一葉が決めた「もう会わない」
一葉は司に気持ちを伝えようとします。でも、その矢先に司が口にしたのは「友人」という言葉でした。
司は悪意があって言ったわけではなく、むしろ一葉に向ける態度は誠実です。だからこそ、一葉の側だけが一方的に傷ついてしまう形になります。
一葉にとって司は、仕事の相手である前に、肩の力を抜いて出かけられる“初めての存在”になっていました。そこに「友人」の線を引かれたことで、告白の言葉を置く場所がなくなってしまいます。
一葉はその場で踏み込めず、「司とはもう会わない」と決めます。好きだと伝えるより先に、自分が壊れないように距離を取る選択をしてしまうところから、第6話が始まりました。
一葉は、司に悪気がないことも分かっています。だから余計に、「違うんだ」と言い返すこともできないし、怒ることもできない。傷ついた理由を説明できないまま、ただ距離だけを取るしかなくなってしまいます。
それでも一葉は、司のことを嫌いになったわけではありません。嫌いになれないからこそ、会えば会うほど期待してしまう自分が怖い。第6話の一葉は、そこに自分でブレーキを踏み続けます。
恋愛相談は「推し活」──会わずに書こうとして、うまくいかない
気持ちを切り替えようとして、一葉は仕事に没頭します。次号の恋愛相談に届いたのは、推し活をしていることが後ろめたい料理人男性からの悩みでした。
結婚を考えている恋人がいるのに、彼女に隠れて地下アイドルを追いかけている。打ち明けるべきか、黙っていた方がいいのか。相談内容は“秘密”そのものです。
本来なら、一葉はこの時点で司の研究室へ相談に行きます。動物の求愛行動からヒントをもらい、文章の芯を作るのがいつもの流れだからです。
けれど一葉は、司に会わないためにメールで済ませます。言葉は丁寧で、距離を置いた文面。仕事は進めたいのに、会いたくない気持ちが先に立ってしまいます。
メールを送った直後も、一葉の中にはモヤモヤが残ります。送ってしまったからこそ、次に返ってくる反応が怖い。会わないと決めたのに、仕事の形で繋がってしまうことが、さらに息苦しくなっていきます。
一葉は自分ひとりで書こうとして、動物の資料を開いたり、これまで司にもらったメモを見返したりします。でも、必要な“最後の一押し”だけがどうしても出てこない。
テーマは「隠し事」なのに、自分自身も司への気持ちを隠したままだから、言葉が歪む。文章の中で正しそうなことは書けても、読者の胸に届く温度が作れず、原稿は何度も書き直しになります。
司の苛立ちと講演会──「研究が届いた」と思ったのに
人間の恋に疎い司は、一葉の態度が急に変わった理由が分かりません。メールは届くのに、距離だけが広がっていく。司はその“他人行儀さ”にイライラしていきます。
そんな司のもとに、念願だった講演会の依頼が舞い込みます。司は「ようやく研究が世に届き始めた」と上機嫌で引き受け、気持ちを切り替えようとします。
ところが講演会に集まったのはほとんどが『リクラ』の読者でした。司が話す研究への関心というより、恋愛コラムの“監修者”としての司に会いに来た人たち。会場で耳に入ってくるのは、一葉のコラムの評判ばかりです。
司にとっては、評価されたいポイントがズレてしまう瞬間でした。嬉しいはずの空気が、どこか苦い。そんな複雑さが、司の苛立ちに重なる形で残っていきます。
講演会そのものは成功に見えます。けれど司の手応えは、少しだけ複雑です。研究内容を伝えたいのに、最初に盛り上がるのは恋愛コラムの話題で、司の立ち位置が“研究者”ではなく“監修者”として消費されてしまう。
司は自分の価値が否定されたわけではないのに、どこか悔しい。好きなことを続けるために必要な評価と、本当に欲しい評価が食い違う瞬間が、司の苛立ちを強くしていきます。
アリア、3年ぶりのモデル復帰へ──「今度は私が頑張る番」
一方で、アリアにはファッション誌でのモデル復帰が決まります。3年ぶりの復帰で、指名してきたのは司の母で有名デザイナーのケイカでした。
恋愛コラムや動物番組への出演など、ここ最近のアリアの活躍を見たケイカが、直々に声をかけてきた形です。アリアにとっては、再び“モデルとしての価値”を問われる大きなチャンスでした。
アリアは一葉に「あなたのおかげだ。だから今度は私が頑張る番」と、まっすぐ再起を誓います。ここでのアリアは、いつもの強気さで前を向こうとしていました。
でも、撮影に向けてトレーニングに励む中で、鏡に映る自分を見て「完璧じゃない」とこぼしてしまう。口では強気でも、心の奥には揺れがあることが見えてきます。
アリアは「復帰できる自分」を演じるように動きます。トレーニングの姿も、言葉も、全部が前向きで、周囲も「さすがアリア」と思ってしまう。
でも鏡の前で漏れる本音は、その“演じている強さ”の裏返しです。自分で自分を追い込みすぎて、逃げ道がなくなっている。第6話のアリアは、そこに誰も気づけないまま進んでいきます。
編集長・藤崎に“裏の顔”疑惑──理恵の不安から始まる
同じ頃、編集部には衝撃の噂が流れます。鬼の編集長・藤崎が若い男に騙されているらしい、というものです。
噂の中心にいたのは、藤崎の娘・理恵。理恵は母のスマホをこっそりのぞいてしまい、怪しげな相手とのやり取りを見つけてしまいます。
理恵から「ヤバそうな男と付き合ってるみたい」と相談を受けた一葉は、「あの編集長に限って…」と疑いながらも、藤崎の行動が気になり始めます。
理恵の不安は、藤崎が見せていない“私生活”をあぶり出していく導火線になります。
ここで一葉は、仕事のことで頭がいっぱいでも、目の前の人の不安を見過ごせない性格だと改めて分かります。恋に傷つきながらも、誰かの“家族の不安”を受け止めに行ってしまう。
一葉は理恵の話を聞きながら、藤崎が普段見せない顔を想像してしまいます。仕事では完璧で、隙がなく、誰にも弱みを見せない人。そんな藤崎が恋で崩れていたら……と考えるだけで、理恵の不安が現実味を帯びます。
そして一葉は、藤崎の外出やスマホの扱いに、つい目が行くようになります。仕事と無関係なはずなのに、編集部の空気までざわついていくのが、この時点で分かります。
宮田の厄介な頼み事──動物番組に司を出したい
さらに一葉には、アリアのマネージャー・宮田から厄介な頼み事が舞い込みます。動物番組のプロデューサーが、司を番組に出演させたがっているというのです。
宮田は「ちょうどアリアがお休みの回だから、2人が顔を合わせることはない」と説明します。司とアリアの過去を知る宮田としては、ここは安全策のつもりだったのかもしれません。
司の説得を頼まれた一葉は断り切れず、司の研究室へ足を運び、番組出演をお願いすることになります。
ここから、一葉の「会わない」決意が、仕事の都合で少しずつ崩れていきます。
野乃花のフォローで形勢逆転──「閉鎖寸前の学部を救うため」
司は「動物は研究対象であって、茶の間の娯楽ではない」といつもの調子で拒否します。研究者としての矜持が先に立つのも、司らしい反応です。
ただ、ここで助手の村上野乃花がフォローに入ります。司の露出が増えれば来年度の学生が増える。閉鎖寸前の生物学部を救うためにも、出演する意味があると背中を押すのです。
司は渋い顔をしながらも折れて、「出ればいいんだろう、出れば」と承諾します。けれど条件がひとつ。「君もついてこい。誘った以上、しっかり見届けろ」と、一葉の同行を求めます。
一葉は“もう会わない”と決めた相手と、仕事の形でまた隣に立つことになります。逃げても戻ってきてしまう距離感が、ここで強制的に作られます。
収録当日、来ないはずのアリアが現れる──宮田の嘘
ところが収録当日、スタジオに現れたのは、来ないはずのアリアでした。
一葉も司も、その場で初めて“休み回”が嘘だったと知り、空気が一気に凍ります。
アリアがお休みだというのは宮田の真っ赤な嘘。モデル復帰に不安を抱えるアリアの気持ちを察した宮田が、司と会えばかつての自信を取り戻せるのではと思い、アリアに内緒で仕組んでいたのです。
宮田の狙いは“アリアのため”だったのかもしれません。でも、当事者であるアリアの準備が整っていない以上、それは優しさではなく地雷になってしまう。
15年ぶりの再会。空気は一気にピリピリします。司は相変わらず、人の感情を逆なでする言い方しかできません。アリアはそれに火がつき、「15年前と何も変わってない」「ここはあなたの来る場所じゃない」と怒りをぶつけます。
司もまた「君こそなぜここにいる。君の仕事はモデルのはずだ」と反論します。互いに“正しさ”を振りかざし合い、昔の傷口をそのまま押し広げてしまうような口論になっていきます。
アリアがスタジオを去り、収録は台無しに──「約束したんだ」
怒ったアリアはスタジオを出て行ってしまい、収録は台無しになります。制作側が慌ただしく動く中で、残るのは気まずさと、後味の悪さだけでした。
宮田が追いかけ、事情を説明しようとしても、アリアは止まりません。アリアは宮田に「何も分かってない」と怒り、司と別れる時に“約束”をしたのだと告げます。
だから、こんな形で司と会いたくなかった。アリアが肩を落とすその言葉には、恋の終わり方だけじゃなく、人生の分岐点に触れてしまったような重さがあります。
一葉の心が揺れ、距離がさらに遠くなる──書けないコラム
司とアリアの間に“特別なもの”を感じてしまった一葉は、自分の気持ちにフタをします。そして司の存在を、ますます遠ざけてしまう。
でも、司を避けながら中身の濃いコラムを書くのは難しい。書こうとしても、頭の中に流れ込んでくるのは、スタジオで見た2人の言い合いと、アリアの背中です。
出来上がった原稿を読んだ藤崎は、「いつものキレがない。それに動物の情報が薄すぎます」と一葉に書き直しを命じます。言い訳を許さない藤崎の口調が、一葉の迷いをさらに炙り出します。
司を諦めようとすればするほど、仕事に支障が出る。恋と仕事が混ざってしまう厄介さが、このタイミングで一葉を追い詰めます。
「母親を尾行中です」──藤崎の“楽しそうな顔”を見てしまう
頭を抱える一葉のもとに、理恵から連絡が入ります。「柴田さん、今、母親を尾行中なんですけど」。
藤崎と例の“ヤバそうな男”がレストランで食事をしているというのです。一葉が現場に駆けつけると、そこには会社では見たことのない、楽しそうな藤崎の姿がありました。
ただ、その時間は長く続きません。尾行はすぐにバレます。藤崎は「どうしてあなたたちが、しかも一緒にここにいるのか」と問い詰め、空気が一気に凍ります。
理恵は一葉をかばい、「私がスマホを見た。騙されてると思って相談した」と正直に打ち明けます。理恵が“嘘をつかない”選択をしたことで、この場は裁きの場ではなく対話の場へ変わっていきます。
藤崎の告白──相手はホストではなく舞台役者・桐生颯
藤崎は、スマホを勝手に見られたことを怒りません。むしろ「悪いのはすべて私」と謝り、理恵に大事なことを隠していた自分を責めます。
一緒にいた男はホストではなく、駆け出しの舞台役者・桐生颯でした。派手な格好は役作りで、取材をきっかけに知り合った相手です。
藤崎は「私は彼が好き」と自分の気持ちを口にします。離婚後、理恵にこれ以上つらい思いをさせないために母親として頑張り、恋愛はしてはいけないと思っていた。でも、夢に向き合う桐生のひたむきさを見て、いつの間にか惹かれてしまったのだと話します。
藤崎は理恵に「軽蔑した?」と問い、理恵は「しない」と答えます。仕事も家のことも一人で抱えてきた母への感謝を言葉にし、だからこそ、母にも幸せになってほしいと伝える。
そして理恵は「隠し事だけはしないで」と約束を求めます。藤崎が笑顔でうなずき、本音を言えずにギクシャクしていた親子関係が、ようやく雪解けし始めます。
一葉はそのやり取りを、少し離れた場所で見守ります。藤崎が理恵の前で弱さを見せ、理恵がそれを受け止める。仕事場では見えない関係性が、言葉でつながり直していくのを目の当たりにします。
「隠し事」をやめたことで関係が壊れるのではなく、むしろ関係が戻っていく。その光景は、一葉が司に向けて隠し続けている気持ちとも、どこか重なっていました。
一葉の家に司が来る──タブレットが運んだ“仲直りの嘘”
一葉が自宅に帰ると、居候中の元カレ・真樹が慌てて駆け寄り、「一葉、お客さん」と告げます。部屋にいたのは司でした。
真樹は一葉の元恋人で、今は一葉の部屋に転がり込んでいる居候です。真樹の存在は、一葉にとって“過去の安心”でもあり、司にとっては分かりやすい火種でもあります。
司が部屋に立っているだけで、空気がぎゅっと固くなる。一葉は動揺し、司も居場所のなさを隠しきれない。真樹はその空気を笑って崩そうとするけれど、笑いでは埋まらない距離がそこにありました。
司は「忘れ物を届けに来た」とタブレットを差し出します。でもそれは一葉のものではありません。司は野乃花から“一葉のタブレット”だと聞かされていて、野乃花が2人を仲直りさせたくて嘘をついたのだと分かります。
騙されたことに気づいた司は帰ろうとします。一葉も見送ろうとしない。言葉が出ない沈黙が続きます。
その沈黙を崩したのは真樹でした。真樹は「先生は一葉と話したくて来たんだと思う。そうじゃなきゃ2時間も待ってない」と司の行動を翻訳するように言います。
“2時間も待っていた”という事実に、一葉は驚きます。真樹の一言で一葉は司を呼び止め、ここでようやく、コラムの相談という形で会話が再開します。
一葉にとっては、司が“待つ”という行動を取ったこと自体が意外でした。司はいつも合理的で、無駄を嫌う人に見えるからです。だからこそ、2時間待ったという事実が、司の中にも言えない何かがあることを示していました。
一葉は、はっきりした言葉をもらえなくても、行動から伝わってくるものを拾ってしまう。その優しさが、同時に自分を苦しめてもいます。
「推し活」を知らない司に、一葉が説明する──“ギャップ”が魅力になる話
一葉は今回の相談を司に説明します。料理人の男性が、恋人に推し活を話すべきかどうか悩んでいる、と。
司は「推し活」という言葉自体を知らず、一葉は一から説明します。推しを応援する時間が本人にとってどういう意味を持つのか、どんな気持ちで隠してしまうのか。
一葉は「推し活は悪いことではない」とはっきり言います。真面目に料理人として働きつつ、アイドルを真剣に応援している。そのギャップも含めて魅力だと、一葉は言葉を選びながら伝えます。
司が示す“野生の恋”のヒント──カンガルーの求愛行動
そこで司は「ギャップなら答えられる」と言い、野生の恋の話を始めます。世間のイメージとギャップのある求愛行動をする動物として、司が挙げたのはカンガルーでした。
カンガルーは草食動物ですが、植物から筋肉に必要なアミノ酸を合成できるため筋肉が発達している。あの愛らしい見た目に反して、身体の作り自体が強さの方向へ振れている動物だと司は説明します。
発情期になるとメスを巡ってオス同士が激しく争う。前足で殴り合い、両脚で蹴り上げるような争いになり、時には相手を死に至らしめることもあるという。
でも司は「もっと重要な求愛行動がある」と話を続けます。オスはメスのお尻の匂いを嗅いで、受け入れ態勢かどうかを確認する。受け入れてもらえると分かれば、後ろからそっと近づき、尻尾を両手でつかんで軽く地面に押し付け、動きを止める。
そして優しくなでる。まるで宝物を扱うように、ソフトに。強さと優しさ、両極端なギャップを使って相手の気を引くのがカンガルーの求愛行動だと司は言います。
司は最後に、「そのギャップも含めてすべてを受け入れた時にペア形成が起こる」と結論づけます。自分のギャップをさらけ出し、相手のギャップも受け入れる。それができたら“真実の愛”をつかめる、と。
カンガルーの話からコラムのヒントを掴んだ一葉は、ようやく笑顔になります。「これで書けそう」と言えるところまで、気持ちが戻ってきます。
司の謝罪と感謝──「研究室に来なさい。待っている」
司は帰ろうとします。でもふと足を止め、先日のテレビ出演が台無しになったことを、一葉に謝ります。柄にもなく言いづらそうに、でもきちんと“悪かった”を口にします。
さらに司は、一葉のコラムのおかげで講演会もでき、来年度の生徒も見込めて研究が続けられそうだと伝えます。司は「感謝している」と一葉に言い、コラム最終回までしっかり協力すると約束します。
そして最後に、「メールではなく、ちゃんと研究室に来なさい。待っている」と告げます。一葉はうれしくて「分かりました」と返し、2人は“会わない”から“会う”へ、少しだけ向き直します。
司はこの日、謝るだけでなく、感謝まで伝えます。言葉にするのが苦手な司が、必要な言葉を選んで渡そうとしているのが分かる場面です。
一葉はその言葉を受け取って、ようやく息ができるようになる。恋愛の進展というより、“人としての距離”が少しだけ縮まった瞬間でした。
翌日、一葉のスマホに届いたメッセージ──アリアからの「たすけて」
翌日、一葉は編集部でコラムを書き上げます。そのタイミングでアリアからLINEが届き、一葉は驚いて一目散に編集部を飛び出します。
一葉は、司から聞いたカンガルーの話を軸に原稿を組み立てます。推し活を“隠す”ことで生まれる罪悪感と、打ち明けた先にある受け入れの可能性。その両方を、動物の行動に重ねて言葉にしていきます。
藤崎に突き返された原稿を、今度は自分の手で整え直す。司に会えないまま迷っていた時間があったからこそ、司の言葉が入った瞬間に文章が息を吹き返す。その変化が一葉自身にも分かるようでした。
メッセージは短い一言、「たすけて」。あれだけ強気に再起を誓ったアリアが助けを求めている事実が、一葉を走らせます。
雑誌『Rena』の撮影現場──楽屋に閉じこもったアリア
その頃、雑誌『Rena』の撮影現場では、モデル復帰を果たすはずのアリアが楽屋に閉じこもってしまっていました。見学に来ていたケイカの前で、宮田が平謝りしている状況です。
現場にはケイカが見学に来ていて、その存在感だけで空気が重い。成功する前提で組まれたスケジュールの中で、アリアだけが“立てない”と言い出したことで、全員の時間が止まってしまいます。
ケイカの目線は、モデルとしての完成度だけを見ているようにも見える。だからこそ、アリアの揺れは“甘え”として切り捨てられかねない状況でした。
一葉が駆けつけ、楽屋に入ると、アリアは部屋の奥でおびえたように震えています。目の前の現場が“復帰の舞台”であるほど、アリアの心は追い詰められていく。
アリアは「今の自分はカメラの前に立てる人間じゃない」「モデルに戻るのはまだ無理」と言い、自分が一番分かっている、と自分を責め続けます。嫌になる、ダサい。そう言いながら涙を浮かべます。
一葉が差し出した言葉──「完璧じゃない今のアリアが好き」
一葉はアリアを否定しません。「ダサくなんてない」と言い、完璧じゃない今のアリアが好きだと伝えます。
さらに一葉は、「まだ無理って言えるのも前を見ている証拠」と言葉を重ねます。今日は立たなくていい。立てる日に立とう。私はその日まで待つ、と。
ここで一葉は、アリアを“復帰させる人”ではなく、“崩れたアリアを受け止める人”になります。アリアがいま必要としているのは、背中を押す言葉ではなく、逃げ場所を作る言葉だったのかもしれません。
一葉はケイカと担当編集者に事情を説明し、アリアが納得できる時まで待ってほしいと頼みます。宮田も事務所として責任を取ると頭を下げます。
ケイカの冷たい決断──撮影中止、そして一葉への宣告
しかしケイカは微動だにしません。「自信がないモデルに、私の服は着てもらいたくない」と言い、撮影中止を宣言します。
そしてケイカは一葉の前に立ち、司の名前を出します。「あなたね。うちの司を惑わしてる女って」。
アリアの復帰、司の過去、そして一葉の恋が、いよいよ“家族”の領域に踏み込んでしまう。第6話は、その不穏な余韻を残して幕を下ろしました。
ケイカの言葉は、ただの嫌味ではなく“宣戦布告”のように聞こえます。司を守りたいのか、司の人生を管理したいのか。母と息子の距離感まで見えてくる一言でした。
一葉はこれまで、司と向き合うだけで精一杯でした。けれどここからは、司の周囲にある大きな存在とも向き合わされる。恋のステージが変わる気配を残して、第6話は終わります。
ケイカの視線が入ったことで、一葉は“司と私”だけの世界にいられなくなります。誰かに見られる恋は、隠すほど苦しくなる。次の一歩をどう踏み出すのかが、次回への大きな引きになります。だからこそ続きが気になります。
ドラマ「パンダより恋が苦手な私たち」6話の伏線

第6話は、物語の出来事が“1つのテーマ”にまとまっているぶん、伏線も分かりやすく配置されていました。ポイントは「隠していたものが露見する」「さらけ出した時、関係がどう変わるか」。この視点で整理すると、次回以降の不穏さも見えてきます。
ここでは、6話の中で回収されたものと、まだ“説明が足りない”余白として残ったものに分けてまとめます。
同じ出来事でも、視点を揃えると「ここが次に繋がるんだ」と見えてくるのが面白いところです。
回収済み伏線
まずは第6話の中で、きちんと意味がつながった(または同話内で答えが提示された)ポイントです。
小さな嘘や小道具が、次の場面の“スイッチ”になっているのが特徴でした。
物(小道具)が導線になったもの
- 藤崎のスマホ:理恵が“見てはいけないもの”を見てしまったことが、尾行→誤解→真相→母娘の対話へ一直線につながりました。スマホは今回、「隠し事が可視化される装置」そのもの。
- タブレット端末:野乃花の嘘で司が一葉の家へ。最初はすれ違いを増やすための小道具に見えたのに、結果的には推し活相談を“対面で”やり直すきっかけになりました。
- 鏡:前半でアリアが「完璧じゃない」と漏らした瞬間が、後半の「カメラ前に立てない」という崩れ方につながっていて、心の準備不足が伏線として効いていました。
- LINEの一言「たすけて」:助けを求める先が一葉であることをはっきり示し、楽屋シーンの“救済の相手”を決定づけました。
行動(嘘・回避・待つ)が示したもの
- 宮田の嘘(アリアは休み回):善意のつもりが、過去の傷をえぐる結果に。嘘が“状況をコントロールできる”という思い込みを壊し、収録崩壊という形で回収されました。
- 野乃花の嘘(タブレット):一葉と司を会わせたい気持ちが、行動として表に出ました。結果は良くも悪くも“会話を生む嘘”になっています。
- 司の「2時間待つ」:言葉にできない部分を、行動で示した伏線。司は合理的に見えて、感情が動くと意外なほど待つ。ここが一葉の決心を動かしました。
セリフが回収したテーマ
- 「友人」:一葉の告白が封じられ、“会わない決意”が生まれる引き金に。第6話のすれ違いの原点です。
- 「閉鎖寸前の学部」:司が番組出演を受け入れるための説得材料になり、ストーリーを収録現場へ運びました。こういう“仕事の事情”が恋愛と絡むのがこのドラマらしい。
- 「隠し事だけはしないで」:藤崎親子の着地点を作り、推し活相談の答え(ギャップをさらけ出す)とも綺麗に呼応しました。
- 「研究室に来なさい。待っている」:司が初めて“関係をつなぐための言葉”を選んだ回収ポイント。メールの距離から、対面の距離へ戻す宣言でした。
タイトルと動物モチーフ
- 「カンガルーのように受け入れて」:推し活の相談に対し、カンガルーの求愛行動(強さと優しさのギャップ)で答えを提示。タイトルがそのまま“恋の課題”として回収されました。
未回収の余白(次回以降の焦点)
ここから先で「理由」「背景」「結果」が明確になりそうなポイントです。第6話は伏線を置くというより、“扉を開けてしまった”感じが強いので、残り方が重い。
アリアと司の過去(最重要)
- アリアの「別れる時に約束した」:どんな約束で、なぜ“こんな形で会いたくなかった”のか。15年の空白の核心がまだ語られていません。
- 司の言い方のトゲ:アリアに対する司の言葉は、ただの不器用さ以上に“過去の後悔”を抱えているようにも見える。ここが今後の掘り下げポイント。
ケイカという壁
- 「惑わしてる女」発言の真意:母としての過保護なのか、デザイナーとしての価値観なのか、あるいは司の過去(アリアとの別れ)に関係しているのか。敵意の理由が未提示です。
- 撮影中止の余波:ケイカの一言で『Rena』の現場が止まった以上、アリアの復帰話は簡単に戻らないはず。仕事面のダメージが次回以降に広がりそう。
一葉の恋の“未告白”と同居問題
- 一葉の「好き」を司はまだ知らない:司は感謝を伝えたけれど、一葉の恋心そのものは未告白のまま。いずれ“さらけ出す側”に立てるかが問われます。
- 真樹の存在:司が一葉の家で真樹と鉢合わせたことで、誤解や牽制が生まれやすい状況になりました。真樹が“過去”として収まるのか、“現在”として揺らすのか。
仕事の軸
- 司の講演会の違和感:研究者として認められたい司と、監修として消費される現実。このズレが、司の選択(出演・執筆・距離の取り方)に影響しそうです。
- 藤崎と桐生の恋:理恵とは雪解けしたけれど、編集長の恋が仕事にどう響くのかは未知数。雑誌側の人間関係の伏線にもなり得ます。
沈黙(まだ語られていないもの)
- 野乃花の本音:嘘をつくほど2人を近づけたい理由は何なのか。恋愛感情なのか、研究室を守るためなのか、まだ説明が足りません。
- アリアの“弱さ”の行き先:一葉の言葉で救われたとしても、アリア自身が「完璧じゃない自分」をどう扱うかはこれから。復帰の道はまだ途中です。
第6話の伏線は、派手な謎というより「言えなかったこと」「隠したこと」が人間関係の温度を変える仕掛けでした。だからこそ次回以降の回収は、事件の解決ではなく“心の距離”の変化として出てくるはず。
一葉が司に何をさらけ出し、司が何を受け入れるのか。アリアは自分を受け入れられるのか、ケイカは何を守ろうとしているのか。伏線の答えは、きっと会話の中で静かに回収されていくと思います。
次回、誰が最初に“本音”を言うのかが大きな見どころになりそうです。
その一言で全部が動きます。
ドラマ「パンダより恋が苦手な私たち」6話の感想&考察

ここからは私の感想です。第6話は、キュンとする場面があるのに、ずっと胃のあたりが落ち着かない回でした。
誰かを大切に思うほど隠してしまい、隠すほど言えなくなる。その“恋の悪循環”を、私は何度も見せつけられた気がします。
「友人」と言われた瞬間、恋の出口がなくなる
一葉が告白する前に「友人」と言われてしまう流れ、残酷なくらいリアルでした。失恋って、振られる言葉よりも先に、“自分の言葉が置けなくなる”瞬間が来るんだと思います。
司のほうは悪気がない。むしろ誠実で、優しい行動もする。でも、本人が無自覚なまま線を引くから、傷ついた側だけが取り残されてしまう。
一葉が「会わない」を選んだのは、弱さじゃなくて防衛だった。私はそう感じました。あそこで踏み込んだら、一葉はたぶん、仕事も生活も全部崩してしまいそうだったから。
第6話の共通テーマは「隠し事」だった
今回の恋愛相談は推し活で、テーマはギャップの告白。藤崎は恋を隠し、理恵はスマホをのぞき、宮田は嘘をつき、野乃花も嘘をついた。アリアは“完璧じゃない自分”を隠し続けて、最後に崩れた。
誰も、相手を傷つけたくて隠したわけじゃない。むしろ、守りたいものがあるから隠す。だから厄介なんですよね。
でも、隠している間って、相手に不信感を与えてしまう。相手が想像で傷つく。第6話は、その現実が次々と起きてしまう回でした。
司の成長が、静かに大きかった
私は、司が一葉に謝った瞬間に息が止まりました。あの司が、自分から「すまなかった」と言って、さらに「感謝している」と言葉にする。
司の言葉って、基本的に説明はできても“気持ち”が抜け落ちがちだったと思うんです。でも第6話では、気持ちを載せようとしていた。
そして「研究室に来なさい。待っている」。これは告白じゃないのに、告白より誠実に聞こえる言葉でした。関係を断ち切らず、ちゃんと続けようとする意思が、やっと司の口から出た気がします。
「2時間待つ」は、司の最大の告白かもしれない
言葉で伝えるのが苦手な司が、行動で出してしまうタイプだとすると、“2時間待つ”ってかなり大きい。合理的な人ほど、無駄な時間を嫌うからです。
だから私は、一葉がその事実を聞いた時に、心のどこかで救われたのも分かる気がしました。言葉はもらえなくても、司の中に「会って話したい」があったと証明されたから。
ただ同時に、真樹という存在がそこにいたことが不穏です。司が見たのは“一葉の部屋にいる男”という状況で、ここから誤解が生まれないほうが難しい。
恋が進むほど、周囲の状況が邪魔をする。そんな“ドラマの王道”が、いよいよ動き始めた感じがしました。
カンガルーの求愛行動が刺さった理由
カンガルーって可愛いイメージが先に来るのに、発情期の争いは暴力的で、命がかかることもある。そのギャップを説明した上で、最後は尻尾をそっと押さえて優しくなでる、という着地。
この振り幅が恋愛そのものだな、と私は思いました。強く見せたい自分と、弱さが出る自分。どっちも自分で、どっちも隠しきれない。
そして「ギャップをさらけ出し、受け入れられた時にペア形成が起こる」という答えが、推し活相談だけじゃなく、一葉と司にも、アリアにも、そのまま刺さっている。第6話のタイトル回収が綺麗というより“痛いくらい真っ直ぐ”でした。
藤崎親子の雪解けが、いちばん優しかった
藤崎がレストランで見せた“楽しそうな顔”、仕事の鬼としての姿と真逆で、私は少し驚きました。あの顔を見たら、理恵が不安になるのも分かるし、同時に「母親だって恋していい」と思わされる。
理恵の「隠し事だけはしないで」というお願いは、子どもの側の“優しさと怖さ”が混ざった言葉でした。親が黙って耐えるほど、子どもは勝手に想像して傷つくから。
あの親子がちゃんと話して、ちゃんと約束して、呼吸を合わせ直したところで、私は少しだけ救われました。
“言えないまま耐える”より、“言って一緒に悩む”ほうがずっと優しいんだと、改めて思わされます。
アリアと司の再会が見せた「止まった時間」
収録現場でのアリアと司のぶつかり合いは、正直つらかったです。15年ぶりに会ったのに、2人の会話は“再会”というより“再燃”で、昔の傷口がそのまま開いてしまう感じがしたから。
アリアが「何も変わってない」と言ったのは、司の言い方の問題だけじゃなく、アリアの中でも時間が止まっていた証拠に見えました。変わってほしかったのに変わらなかった、という諦めと怒り。
そして「別れる時に約束した」という言葉が残ったままになったのが、逆に怖い。約束って、守られている間は安心だけど、守れなくなった瞬間に刃になることもある。次回以降、この“約束の中身”が明かされる時、また一段深い痛みが来そうです。
アリアの「たすけて」が、一葉の役割を変えた
アリアが助けを求めた相手が一葉だったこと。ここが私はすごく大事に見えました。
一葉はずっと“憧れの人の影”で、アリアを支える側になりきれない瞬間もあった。でも第6話の楽屋では、一葉がアリアの弱さを受け止める側に立った。
「完璧じゃない今のアリアが好き」という言葉は、慰めじゃなくて存在の肯定です。成功している時だけじゃなく、崩れている時にも離れない。アリアが欲しかったのは、きっとその声だった。
“嘘の優しさ”がいちばん危うい
第6話の嘘って、どれも「良かれと思って」なんですよね。宮田はアリアを救いたくて嘘をついたし、野乃花は一葉と司を会わせたくて嘘をついた。
でも、良かれと思った嘘ほど、当事者の選択を奪ってしまう。アリアは準備ができていない状態で司と再会させられ、司は気持ちが整理できないまま一葉の家に連れてこられた。
嘘で近づけた距離は、嘘がバレた瞬間にまた壊れる。だから結局、ちゃんと“本人の口”で言えるようにならないと前に進めない。第6話はその当たり前を、痛い形で見せてきた気がします。
ケイカの登場で、恋がいよいよ「家族」に踏み込む
ラストのケイカの「惑わしてる女」発言で、一葉の恋は“2人の問題”ではなくなりました。ここで私は一気に怖くなりました。
ケイカは母としてもデザイナーとしても強い人で、正論を武器にしたら誰も反論できない。しかも“息子の人生”を自分の管理下に置こうとする気配がある。
次回以降、一葉は司の隣に立つだけじゃなく、司の人生の背景(母、過去、元恋人)とも向き合わされる。第6話でやっと“会う”に戻った2人が、ここからどう試されるのか、私は見届けたいです。
第6話を見終わって残ったのは、「受け入れる」って言うほど簡単じゃない、という感覚でした。受け入れるには、まず見せないといけない。見せるには、拒絶される怖さを引き受けないといけない。
一葉がいつか司に「好き」を言えるのか、司がアリアとの過去に決着をつけられるのか、アリアが“完璧じゃない自分”と一緒に立てるのか。私はこの先も、その怖さの先にある優しさを見たいです。
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