4年ぶりに帰ってきた『アリバイ崩し承りますスペシャル』は、連ドラの魅力だった
気軽に観られるのに、ロジックは本格派というバランスを、そのまま2時間枠に広げた一本でした。
今回は那野県警に人気番組『県警密着24時』が入り、察時の出世欲、雄馬の目立ちたい欲、そして“カメラに見られている”という外圧が、捜査の判断を少しずつ歪めていきます。
そんな中で起きたのは、資産家刺殺事件と、思わぬ連続殺人。
アリバイは完璧に見える。
しかし完璧すぎるからこそ疑うべきだった――。
このスペシャルは、「崩されることを前提に設計されたアリバイ」という、シリーズ屈指の皮肉な発想で物語を転がしていきます。
笑って観ていたはずなのに、最後に残るのは、どこか背中が冷えるような余韻でした。
ドラマ「アリバイ崩し承ります」スペシャルのあらすじ&ネタバレ

4年ぶりに帰ってきた『アリバイ崩し承りますスペシャル』は、連ドラの“気楽に観られるのにトリックは本格”という良さを、そのまま2時間枠で拡張した一本でした。
舞台は相変わらず那野県。
時計店「美谷時計店」の店主・美谷時乃と、県警捜査一課の管理官・察時美幸、そして“見た目だけは”クールな刑事・渡海雄馬の三角(というか、察時VS雄馬のマウント合戦)に、今回はテレビ番組の密着取材という“外圧”が乗っかります。
ここがまず巧い。捜査の合理性だけじゃなく、「見られている」ことが人間の判断を狂わせる──その入口を、コメディとして軽く開けてから、しっかりミステリーに着地させる構成なんです。
県警密着24時が来た!察時の“返り咲き欲”と雄馬の“目立ちたい欲”
時乃が那野県警を訪れると、捜査一課はお祭り騒ぎ。人気番組『県警密着24時』が密着することになり、察時は「ここで華麗に事件を解決して警察庁に返り咲く」という野望を燃やします。
番組プロデューサーの君嶋薫子も、察時を“アリバイ崩しの名人”として期待している。もちろん、その“名人”の実体が時乃であることを知らないまま。
一方の雄馬も負けていません。時乃が番組のファンだと知った途端、「俺を映してくれ」モードに突入。察時と雄馬が、事件より先に“カメラの主役”を奪い合うのがこのスペシャルの導入ギャグで、ここで視聴者に「この2人、根っこが似てるな」と刷り込ませるのが効いてきます。
富宰建一刺殺事件──遺産120億と、泣かない甥姪3人
そんな浮ついた空気をぶった切るように、事件が発生。フザイ建設の社長で資産家・富宰建一が自宅で刺殺されたという通報が入り、察時たちは番組クルー同伴で現場へ。ところが現場に凶器がない。刺殺なのに“刺したもの”が消えている時点で、まず一段階の違和感が置かれます。
重要参考人として浮上するのは、富宰の甥姪である3人──元フレンチシェフの朝倉正平、女優の宇川蒔絵、フットサル選手の井田泰明。しかも3人は、遺産(作中で巨額とされる)を巡って揉めていた上に、通報後も涙ひとつ見せず口論を続ける。ミステリーのセオリーで言えば「動機は全員ある」。だからこそ、ここから“アリバイ”の勝負に一気に焦点が寄ります。
死亡推定時刻は午後2時〜4時。
蒔絵は撮影スタジオにいたが、ジョギングで一時離れている。
井田は自宅でリモート打ち合わせ。
朝倉は回転寿司→自宅で宅配便受け取り→喫茶店、という行動履歴。
この中で察時が噛みつくのが、朝倉の「宅配便を受け取った」アリバイです。完璧すぎる。完璧すぎるアリバイは、だいたい“細工の匂い”がする。
「替え玉で受け取った?」宅配アリバイと『エッジウェア卿の死』
察時は配送業者から配達票を入手し、鑑識の樋口に筆跡と指紋を確認させます。結果は「朝倉のものと一致」。ここで普通なら疑いが薄れるんですが、察時は引かない。なぜなら今回は密着取材中、そして“自力で解決したい”という欲が強いから。理屈以上に“プライド”が推進力になっている。
さらに、荷物の送り主として浮かぶのが医師・江島聡美。
彼女が送ったのはアガサ・クリスティーの『エッジウェア卿の死』。
替え玉(ダブル)トリックで知られる作品であることが示され、視聴者側も「替え玉が来るぞ」と構える流れになります。ここ、作りが素直でいい。伏線を難解にせず、“題材そのもの”で匂わせる。
とはいえ、察時は「今回は時乃に頼らない」と強がる。
時乃は時乃で、久々に“アリバイ崩しの出番”が来ると思っていたから面白くない。凸凹バディというより、もはや軽い痴話げんかに見えるのがこの作品の持ち味なんですが、ここで互いの距離感がズレるほど、後半の“崩される推理”が効いてきます。
時乃が見抜く「宅配トリック」──サインは“熱で消し、冷やして出す”
結局、察時は時乃に正式に依頼。ここから時乃のターンです。
まず時乃と察時は配達員に接触し、受け取り人の様子を聞き出す。すると出てくるのが、帽子・サングラス・マスクという“顔を隠した”装い、花のようないい匂い、そしてサインの際に下敷きのようなものを敷いていたという証言。視覚情報よりも、匂いと所作で引っ掛かりを作っているのが面白い。
時乃はここで「朝倉のアリバイは崩れました」と宣言。トリックはこうです。
- 配達票を一度取り出し、朝倉本人の指紋を付けたうえで、熱で消えるインク(不可視インク)でサインをする
- ドライヤーなどで熱を与えて乾かすと同時にサインを消しておく
- 受け取り当日、替え玉が冷やした下敷き(冷凍庫で冷やすなど)に配達票を置いて、消えたサインを“復活”させる
これなら「受け取ったのは替え玉」なのに「配達票の指紋と筆跡は朝倉本人」という矛盾が成立する。いわば、紙1枚で“存在の証明”を偽装する手口です。アリバイは「そこにいた」じゃなく、「そこにいたことにできる痕跡」なんだと突きつける、いかにも本作らしい仕掛けでした。
察時が朝倉を追い詰めると、江島聡美が“替え玉”として朝倉宅で受け取ったと証言し、朝倉は土下座して「殺しに行った」と自白。だが「殺していない。行ったらもう死んでいた」と主張します。
しかも朝倉は刃物恐怖症で、包丁ではなくハンマーを凶器として用意していたという話が出てくる。刺殺事件なのに、朝倉の凶器は刺す道具じゃない。ここで事件が一度、宙に浮きます。
相続欠格という“現実の刃”──朝倉、詰む
朝倉が犯人でないなら誰が?と揺れる中、察時は朝倉に「相続欠格」を突きつけます。殺していなくても、殺人の準備をして罪に問われれば相続権を失う可能性がある。朝倉は「そんなばかな」と泣き崩れる。ここ、察時が珍しく“警察官としての知識”で相手を刺す場面で、アリバイトリックとは別の意味で痛い。
そして、この直後に最悪の展開が来ます。
第二の事件──朝倉が刺殺される。第一発見者は“ポアロ先輩”
朝倉が遺体で発見され、刺さっていた包丁は富宰事件と同じ凶器の可能性。第二の刺殺が発生し、事件は“連続”の様相を帯びます。第一発見者は、医学生・葉加瀬裕次郎。時乃の高校時代の先輩で、時乃は彼を「ポアロ先輩」と呼ぶ。
ここで物語の軸がもう一本増える。雄馬の恋心です。葉加瀬が時乃を食事に誘い、雄馬は露骨に敵意。真壁剛士に背中を押されて“男として”乗り込む雄馬の暴走は、ミステリーの緊張を折らずに笑いへ逃がすための緩衝材になっていました。
ただ、雄馬が向かったレストランに時乃はいない。
時乃は察時と別ルートで動いていた。ここがこの作品の良いところで、恋愛コメディのようでいて、最終的には時乃と察時が“同じ方向を見ている”ことが事件解決の鍵になります。
“崩されて完成するアリバイ”──替え玉トリックは、実は実行されていない
終盤、時乃が到達する核心がえげつない。
時乃がずっと引っ掛かっていたのは、「朝倉が刃物恐怖症だと告白するのが遅すぎた」こと。もし最初に言っていれば、刺殺の線から外れやすい。なのに黙っていた。つまり朝倉は“疑われる必要があった”。
さらに決定打になるのが、富宰邸の状況。家政婦がリビングの模様替えをしていて、察時が臨場した時点では“入口から遺体が見えにくい位置”になっていた。なのに朝倉は「覗いたらリビングで遺体を見た」と語る。つまり朝倉は本当に現場に入っていない。昔の配置を思い込んで語っただけ。ここで「朝倉が2時50分に富宰邸へ行った」という彼の主張が崩れます。
そして真相。
“替え玉で受け取った”ように見せた宅配トリックは、実は本当に替え玉を使っていない。荷物を受け取ったのは朝倉本人。それなのに、わざわざ下敷きを使ってサインを出したのは、「替え玉がいた」と警察に思わせるため。
じゃあ、なぜそんな回りくどい演出をしたのか。
答えは一つ。「替え玉になった人物」がいると信じ込ませれば、その人物にアリバイが生まれるからです。
察時は江島聡美を追及し、「替え玉は実行されていない=富宰が殺された時間、あなたにアリバイはない」と告げる。
聡美は、朝倉から借りた鍵で富宰邸に侵入し、午後2〜4時の間に包丁で富宰を刺殺。その後、朝倉が“替え玉がいたように見せかける宅配受け取り”を実行し、警察がそれを崩しに来ることで、聡美のアリバイが完成する。
……つまり今回のアリバイは、「崩されることを前提に設計されたアリバイ」だったわけです。発想が一段階ひねれていて、タイトルの“承ります”が少し不穏に響く瞬間でもありました。
動機は復讐──“刺し方”が語っていた感情の温度差
ただし聡美の本当の狙いは富宰ではない。標的は朝倉です。朝倉がかつて働いていたレストランで、部下へのパワハラがあり、自殺者まで出たことが判明する。
そして、その自殺者が聡美の婚約者だった。聡美は朝倉への復讐のため、まず富宰を殺して“遺産絡みの事件”に見せ、夜に朝倉を刺殺する。
検視官の所見として、富宰は胸を一突き、朝倉は滅多刺しに近い形。ここが残酷にわかりやすい。理性でやった“計画の殺人”と、感情が噴き出した“復讐の殺人”。刺し方が違うのは、心の温度が違うから。察時が「後悔しても時は戻せない」と諭すのが、この作品の世界観と綺麗に噛み合っていました。
結末──カメラが映したのは察時じゃない。残る“アリバイプランナー”の影
聡美は逮捕される。察時は「やった、密着カメラに映る」と思うが、そこにカメラはない。
番組が追っていたのは、別件の違法カジノ摘発で捕まる蒔絵と井田。察時の“返り咲き”は潰え、雄馬も「察時が出ていったら時乃の家の上に住めない」的な不満を爆発させ、わちゃわちゃのまま日常へ戻っていきます。
恋の方も、きれいに“余韻”で終わる。葉加瀬は時乃に、学生時代に言いかけた「先輩、実は私…」の続きを求めるが、時乃は「やめておきます」と断る。いい思い出としてしまっておきたい、と。
ところが後で察時に明かす本音が笑える。告白の続きは恋じゃなく、「先輩が崩したアリバイ、少し間違ってました」と言いたかっただけ。時乃の“恋より推理”の人格が、ここで確定します。
そして最後に投下される続編フック。聡美は「アリバイプランナー」から1回100万円で計画を買ったと供述するが、察時が調べてもサイトは見つからない。暗い部屋のPCには「100万円でアリバイ作ります」の文字。ハンガーには白衣、そして写真立てには察時の後ろを歩く時乃の写真。
“医療”と“時乃の監視”がつながった瞬間、スペシャルのタイトルが「スペシャル」で終わらない気配を残して幕を閉じます。
ドラマ「アリバイ崩し承ります」スペシャルの伏線

ここからは「どこが伏線として効いていたか」を、なるべく論理的に整理していきます。スペシャルは尺が長い分、伏線が“派手なトリック”だけじゃなく、“人の選択の違和感”として散らされているのが特徴でした。
「密着カメラ」は“捜査のノイズ”であり“結末の皮肉”
- 察時と雄馬が「映りたい」と焦るほど、判断が自己目的化していく
- ラストでカメラが映したのが察時の手柄ではなく、別件(違法カジノ摘発)だったこと自体が、前半の“主役争い”のオチになっている
凶器がない刺殺=「刺した人が凶器を消した」ではなく「刺す役が後で必要になる」
- 事件冒頭の「凶器不在」は、後半で“同じ包丁が第二の事件にも関係する”展開へつながる前提
- つまり「凶器がない」は“未回収”ではなく“移動する凶器”の伏線だった
宅配受け取りの証言で出てくる「匂い」と「下敷き」
- 受け取り人の変装(帽子・サングラス・マスク)よりも、花の匂い/下敷きの所作が“作為”を示す
- 結果的に、熱で消えるサインを冷やして出すトリック(冷凍下敷き)が、最初から会話の中に紛れ込んでいる
『エッジウェア卿の死』=「替え玉」の正解ではなく、「替え玉という誤解」を誘う道具
- “替え玉トリックの有名作”をわざわざ出すことで視聴者の思考を誘導
- ただし最終的に重要なのは「替え玉がいたか」ではなく、「替え玉がいたと思わせたか」
- つまり本は、真相ではなく“ミスリードの方角”を指す伏線だった
朝倉の「刃物恐怖症」の告白が遅い
- 刺殺事件で刃物恐怖症は強い免罪材料になり得るのに、隠しているのが不自然
- ここが後半、「朝倉は疑われる必要があった」「アリバイは崩されることで完成する」というロジックへ接続する
「リビングで遺体を見た」という朝倉の証言と、家政婦の模様替え
- 現場の見え方(配置)を知らないはずがないのに、昔の記憶で語った“ズレ”が出る
- このズレが「実は朝倉は富宰邸に行っていない」=“証言そのものがアリバイ工作”だったことを決定づける
第一の刺し方と第二の刺し方の差
- 富宰=胸を一突き(計画の殺人の冷たさ)
- 朝倉=滅多刺し(復讐の熱)
- 犯人の感情の向き先が誰なのか、検視情報が先にヒントを出していた
ラストの「白衣」と「時乃の写真」=次の敵の輪郭
- アリバイプランナーが医療関係者である可能性
- そして時乃が“追われる側”になる可能性
- 本作の世界は「アリバイを崩す側」だけでは回らない、という続編への宣言
ドラマ「アリバイ崩し承ります」スペシャルの感想&考察

スペシャルを観終わって、僕がいちばん感心したのは「コメディに見せながら、ミステリーの骨格が実は相当イヤらしい」点でした。時乃の決めゼリフはいつも明るいのに、今回の真相は“人を救う側の職業(医師)が、時間を戻せない犯罪に手を染める”という重さがある。軽く笑っていたはずの視聴者の体温を、最後にスッと下げてくる。そこがスペシャルの勝ち筋だと思います。
「崩されて完成するアリバイ」は、推理ドラマの“善意”を逆手に取る
普通、探偵や刑事がアリバイを崩すのは正義です。ところが今回、アリバイを崩した行為そのものが、犯人(聡美)にアリバイを与える仕組みになっていた。つまり、捜査が進むほど犯人の計画が完成する。これは視聴者の“推理ドラマを見る姿勢”まで含めて裏切ってくるトリックでした。
この構造、めちゃくちゃ現代的でもあります。SNSでもそうですが、何かを「暴く」って行為はしばしば正義として消費される。でも、暴かれ方まで含めて設計してくる悪意があると、正義は簡単に利用される。今回の“崩して完成”は、そういう皮肉をミステリーの形式でやっているように見えました。
察時のプライドは滑稽だけど、同時にリアル
察時は基本、見栄っ張りで面倒くさい。でも、密着カメラが入った瞬間に「自力でやる」と意地を張るのは、人間として妙にリアルなんですよね。
合理性だけで動けたら、そもそも事件はこんなにこじれない。視聴者が察時にイラッとしながらも目が離せないのは、彼の欠点が“現実の縮図”だからだと思います。
しかも皮肉なのが、最後にカメラが彼を映さないこと。努力や成果が「物語になるかどうか」は、当事者が決められない。察時は事件を解決したのに“評価の画”を失う。これは笑えるオチでありつつ、めちゃくちゃ残酷な現実でもある。だからこそ、察時がしょんぼりする姿が、コメディなのに刺さるんです。
雄馬の恋はうるさい。でも“うるさい恋”があるから、時乃の異常さが際立つ
雄馬は終始うるさい。嫉妬もするし、熱くなるし、勝手にドラマを作る。でも、この“感情の過剰さ”があるからこそ、時乃の「事件にワクワクする」「恋の告白よりアリバイの指摘がしたい」という異常値が際立つ。
スペシャルは葉加瀬という“まともそうな恋の相手”を投入することで、時乃の価値観を改めて照らし直していました。
で、ここが僕は好きなんですが、時乃は最後まで“恋に逃げない”。葉加瀬の告白の続きを断るのも、雄馬をうまくあしらうのも、全部「時間を巻き戻して美化する」方向に行かないんですよね。時乃は過去を甘く保存するより、今の自分の違和感を優先する。探偵役としての強さが、恋愛描写にまで滲んでいました。
聡美の動機は理解できても、許せる話ではない──だからこそ「時は戻せない」が重い
婚約者を失った痛みは、想像するだけで苦しい。朝倉のパワハラが原因で自殺に追い込まれたとなれば、聡美の怒りは理解できる。でも“理解できる”と“許せる”は別。
聡美は富宰という無関係の命を踏み台にして、復讐を成立させた。その時点で、彼女の物語は被害者の物語を踏み潰している。察時の「あなたは人の命を救う医者でしょ」という叱責が、正論として立つのはそこです。
そして時乃の決めゼリフが、ここで少し怖くなる。
「時を戻すことができました」
ドラマの中では推理の快感として鳴る言葉なのに、現実(作中の現実)では誰も時を戻せない。だから察時の「後悔しても時は戻せないですよ」が、作品タイトルの“時間”をちゃんと回収している。コメディで始まって、最終的には時間の残酷さに着地するのが、このスペシャルの強度でした。
視聴者の反応も割れていたけど、それ自体が“アリくず”らしい
体感として、SNSや感想欄の温度は割れていました。
「2時間だからこそ、もう一段ひねりがあって楽しめた」「続編ある?」という期待がある一方で、キャラの顔芸や“入浴・モグモグ”みたいなノリが合わない人もいる。
でも僕は、割れて当然だと思うんです。
この作品、ミステリーとしての論理パズルと、キャラの可愛さ・うるささが同居してる。どっちか一方を求める人にはノイズになる。でも両方を“同じ皿”に盛って成立させるのが『アリバイ崩し承ります』の芸。スペシャルはその振れ幅が大きいぶん、刺さる人には刺さるし、合わない人には徹底的に合わない。それでも「また見たい」と思わせる“クセ”が残るのは、キャラとトリックのどちらも手を抜いていないからだと感じました。
次に怖いのは「アリバイプランナー」──敵が“時間のプロ”になる可能性
ラストの白衣と時乃の写真。ここはもう、続編があるなら“敵の質”が変わる予告です。
これまで時乃は、アリバイを作る側(犯人)を崩してきた。でも相手が「アリバイそのものを商品化して売るプロ」になったら、時乃の領域に踏み込んでくる。つまり次は、時計屋探偵VSアリバイ職人の戦いになるかもしれない。
しかも、白衣=医療関係者の匂い。葉加瀬が医学生であること、そして“ポアロ”という呼び名。ポアロは名探偵だけど、同時に「作中で替え玉を見抜く象徴」でもある。もし“ポアロ先輩”が純粋な善人でないなら、時乃の過去と現在が、次の事件で真正面から噛み合ってくる。
スペシャルは単発として綺麗に終わりながら、シリーズ化したらいちばん面白くなる“火種”だけ残していった。僕はそこに一番ワクワクしました。
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