波瑠さん主演の新ドラマ『あなたのことはそれほど』が2017年春ドラマについにスタートします。
“二番目に好きな人と結婚したほうが幸せになれる”という占いの言葉に縛られた主人公・渡辺美都(波瑠)が、初恋の人との再会をきっかけに危うい道へと踏み出してしまう不倫ドラマの金字塔です。
第1話では、美都と夫・涼太(東出昌大)の出会いから結婚に至るまでが描かれる一方、彼女の心の奥に眠る初恋への想いが明らかになります。
そしてラストには、運命の再会によって背徳の扉を開けてしまう衝撃的な展開が待ち受けます。結婚と恋愛のリアルな葛藤が生々しく描かれた第1話を、あらすじと感想を交えて振り返ります。
2017年4月18日(火)夜10時放送のドラマ「あなたのことはそれほど」1話のあらすじ(ネタバレ)と感想を紹介していきます。
※以後ネタバレ注意
「あなたのことはそれほど(あなそれ)」1話のあらすじ&ネタバレ

2025年現在も語り継がれる不倫ドラマの名作『あなたのことはそれほど』は、“二番目に好きな人と結婚したほうが幸せになれる”という占いの言葉を信じて結婚した主人公・渡辺美都(波瑠)が、初恋の人との再会をきっかけに揺れ動く姿を描いています。
第1話は美都の結婚までの経緯と、運命の再会に至るまでの過程を丁寧に描き、視聴者に“人は本当に一番好きな人と結婚できるのか”という問いを投げかけます。
幼いころの夢と占いに左右される恋愛観
第1話は、美都が友人と結婚式に出席するところから始まります。彼女は幼い頃から「お嫁さんになりたい」という夢を抱いており、婚活に励む友人の香子とは違って「運命の人との出会い」を夢見ています。結婚式では突然花嫁が別の男性と駆け落ちするというハプニングが起こり、これを「運命の出会いの結果」と捉えた美都は、恋愛も結婚も“奇跡や必然”であると強く信じるようになります。
中学時代、美都は占い師に「二番目に好きな人と結婚するのがいい」と告げられます。彼女は初恋の有島光軌に恋焦がれていましたが、その言葉に従って彼との結婚を諦めざるを得ないと感じました。
この予言は美都の人生に長く影響を与え、第1話でも再び別の占い師に同じ助言をされる場面があります。美都はこの助言を運命と受け止め、後に涼太との結婚を決意します。
眼科で出会った涼太との恋
武蔵野眼科で医療事務として働く美都は、患者としてやって来た渡辺涼太(東出昌大)と出会います。涼太は穏やかで優しく、食事や趣味も合う人で、美都を第一に考えてくれる男性でした。彼は美都の母親のことも大切に扱い、仕事も真面目です。これまで美都が付き合ってきた明るく面白い“モテ系男子”とは全く違い、彼女は涼太の居心地のよさに惹かれていきます。
涼太は美都に会いたい一心でものもらいを悪化させて再来院し、ようやく勇気を出して「今度一緒に飲みに行きませんか?」と誘います。
初デートでは緊張してほとんど話せない涼太でしたが、彼が作った手料理に美都は心を動かされました。親友の香子も涼太の甲斐甲斐しさを高く評価し、「有島のような男とばかり付き合っていたら有島が優勝してしまうから、ああいう人に落ち着いたら安心する」と美都に助言します。
母との確執と初恋・有島への想い
美都はシングルマザーの母・悦子と暮らしており、母が経営するスナックに出入りする男性客に複雑な感情を抱えていました。中学生のころ、深夜に帰宅した母に「お金があればいいの?」と問い詰めた美都は「子供が分かったような口をきくな」と叱られます。
家に居づらさを感じた彼女が公園のブランコに座っていると、同級生の有島光軌(鈴木伸之)が声をかけてくれ、二人は四つ葉のクローバーを探します。しかし、この時の出来事がきっかけで有島との関係はぎこちなくなり、彼は夏休みに突然引っ越してしまいました。
美都はそれ以降も有島に似た男性ばかりと付き合い、彼のことを忘れられないまま大人になります。占い師の言葉を受け入れつつも、心のどこかで「一番好きな人」である有島への想いを引きずり続けているのです。
涼太からのプロポーズと結婚
涼太との交際は数か月続き、公園でのピクニックの際、四つ葉のクローバーを探していた美都に涼太がプロポーズします。美都はプロポーズにときめきは感じなかったものの、幸せになりたい一心で受け入れました。後日、再びタロット占いに行き、「好きだけどプロポーズされても感動しなかった」と打ち明けた美都に占い師は「幸せになりたいなら二番目に好きな人と結婚しなさい。夢は幻だ」と助言します。
結婚式当日、武蔵野眼科の院長・花山が父親代わりとなり、母からは「子育ての一番大事なことは結婚相手を選ぶ目を持たせること。幸せになりな」という言葉をかけられます。涼太は「ちゃんと生きてきたから美都と結婚できた」と喜びを噛みしめる一方で、美都は「お天道様が見ている」という母の言葉を思い出しながら、自分の選択が本当に正しいのか迷いを感じていました。
結婚生活と疑念の芽生え
結婚生活が始まって10か月、家で料理を作る涼太の横で、痩せた指から結婚指輪が落ちてしまう描写があります。
寝ている美都が「有島くん」と寝言を言うと、涼太は彼女が別の男性を想っているのではと疑念を抱き始めます。スマホをこっそり覗きますが有島の名前はなく、不安と嫉妬が入り混じる彼は美都に「僕と結婚してよかった?」と問いかけ、「幸せだね。ねぇ、みっちゃん幸せ?」と繰り返し確認するようになります。
院長の花山は弁当を買いに出かけようとする美都に「いろんな味を楽しむのはもうダメ。これが一番おいしいって決めるのが結婚だから」と諭し、結婚に対する覚悟を教えます。この言葉は、美都がどこかで今の結婚に不満を抱き、ほかの幸せを求めていることを示唆する象徴的な台詞として印象に残ります。
運命の再会と禁断の一歩
美都は独身時代の職場の同僚との飲み会を抜け出し、ハンバーガー店で偶然転びそうになったところを助けられます。その相手は、なんと初恋の人・有島光軌でした。二人は昔話に花を咲かせ、盛り上がるうちにホテルの前を通りかかった有島が美都の手を引き、慣れた様子で部屋へ向かいます。
戸惑いながらも「今どうしようもなく幸せ」と感じた美都は、その扉を開いてしまいます。ここで第1話は終了し、視聴者に背徳の行方を委ねる形で次回へつながります。
「あなたのことはそれほど(あなそれ)」1話の感想&考察

“二番目に好きな人”と結婚することのリアリティ
ドラマの最大のテーマは、中学時代の占い師の助言に端を発した「二番目に好きな人と結婚したほうが幸せ」という価値観です。美都はこの言葉に縛られながらも、本心では一番好きな有島を忘れられません。
第1話では、プロポーズにときめかないことや、母への複雑な感情、占い師の助言に振り回される姿が描かれ、彼女の心理が丁寧に表現されています。女性視点で見ると、社会的に安定した結婚と本当の恋愛の間で揺れる美都の葛藤はとてもリアルで、結婚観に対する葛藤や占いの言葉に依存してしまう弱さも理解できます。
美都が占いに頼る背景には、母親が男性関係に振り回される姿を見て育ったことや、自分の幸せに自信が持てない不安があるように感じました。運命や奇跡を信じる美都にとって、占いは道しるべであり、責任の所在を自分以外に求める逃避にも見えます。そのため、涼太との結婚は「一番好きな人ではないが、占いによれば幸せになれるはず」という安全策として選ばれた側面があるのです。
涼太の狂気と“幸せコレクター”という存在
第1話で一番印象に残ったのは、涼太の異常なまでの執着心です。
彼は優しく穏やかな印象で登場しますが、美都への依存が次第に狂気へと変わっていく様子が、東出昌大の表情や言葉遣いからにじみ出ています。美都が寝言で「有島くん」と漏らした途端、涼太は彼女のスマホをチェックし、何度も「みっちゃん幸せ?」と確認する場面はゾクッとする恐ろしさがありました。
院長から「幸せコレクターだ」と言われる涼太は、自分の“幸せ”を証明するために周囲の幸せを取り込みたい人物であり、それが後の展開での束縛や執着の伏線になっています。
このドラマは従来のドロドロ不倫劇とは違い、主人公の美都が罪悪感や負の感情に囚われない「透明な不倫ドラマ」とも評されています。この“透明感”は、感情表現があまりにあっけらかんとしている美都のキャラクターによるものですが、一方で涼太の狂気が物語に陰影を与えています。
東出昌大の演技は「怪演」と話題になり、かつての名作ドラマのキャラクターを彷彿とさせるとも言われました。第1話の段階から涼太の狂気が芽生え始めており、今後の展開でその狂気がどこまで暴走するのかが見どころです。
美都と有島の再会がもたらす倫理観の崩壊
ハンバーガー店での偶然の再会は、第1話のクライマックスです。美都は今でも有島を忘れられないことが明らかになり、ダイエットさえも「万が一再会したときにキレイと言われたいから」と語る場面に、恋愛というより執着に近い狂気が垣間見えます。再会した瞬間の高揚感や有島に引き込まれていく描写は、まるで10代の頃の初恋がそのまま蘇ったようでした。
一方で、有島は既に妻の麗華が妊娠している既婚者です。彼がホテルへ向かう足取りが慣れている様子から、彼にも影があることが示唆されており、第1話のラストで二人がホテルの扉を開ける瞬間、「今どうしようもなく幸せ」と思う美都の台詞が背徳感を強烈に演出しています。この背徳の扉を開いた瞬間に、視聴者は美都の転落を確信しつつも、その心情に共感してしまう不思議な感覚を抱きます。
女友達・香子と母・悦子の存在
物語の良心ともいえる香子は、美都の危うさをいち早く見抜いています。香子は婚活に励みながらも現実的で、「一番好きな人と結婚できる女性は少ない」と悟っています。その一方で、美都が運命の人にこだわる理由も理解しつつ、涼太のような堅実な男性と結婚すべきだと助言しました。この香子の存在が、視聴者にとってのモラルの拠り所となります。
また、シングルマザーの悦子は、娘に結婚相手を選ぶ目を持たせることが大事だと言い、自身の恋愛観を押し付けたりしません。
彼女もまた男性関係で苦労しているため、美都に経済的安定を望んでいますが、母と娘の関係も今後の展開で大きな役割を果たします。美都が母を反面教師にして育った結果、「一番好きな人」にこだわるようになったことも考えられ、母娘関係が美都の価値観に影響を与えていると感じました。
原作との差異とドラマ版の独自性
ドラマでは美都と有島の過去が改変されており、原作とは関係性の描き方が異なります。四つ葉のクローバーや誕生日などの設定が追加されているのは、ドラマとして「運命の伏線」をわかりやすくするための演出でしょう。原作未読の視聴者にも、オリジナル要素が運命や奇跡を象徴的に描く効果を高めているように感じました。
また、この作品は「主人公の美都が従来の不倫ドラマの主人公とは一線を画し、彼女の行動の原動力が純粋な恋する気持ちにある」とも評価されています。
不倫ドラマには嫉妬や罪悪感がつきものですが、美都は自分の欲望に正直で、罪悪感や後ろめたさが希薄です。その無邪気さが視聴者を苛立たせる一方で、新鮮な魅力をもたらし、ドラマ全体に“透明感”を与えています。
女性視点で読み解く美都の危うさと共感
女性として美都の心理を追っていると、彼女の危うさに共感しつつも危惧を覚えます。
29歳という年齢は周囲が次々結婚し、焦りを感じやすい時期。涼太のような安定した男性からプロポーズされれば現実的には「幸せ」ですが、心の奥底では初恋の人への夢を諦めきれない。こうした“現実と理想の板挟み”は、多くの女性が経験したことがあるのではないでしょうか。美都が母のような生き方を避けたいと思うあまり、占いや運命に救いを求めてしまう姿は痛々しくも愛おしいものがあります。
一方で、もし友人が美都のような状況にいたなら、香子のように止めたいと思うのも正直なところです。不倫は誰も幸せにしないと分かっていながらも、“運命の再会”や“恋する気持ち”という言葉の魔力は強く、それに抗うのは容易ではありません。ドラマの魅力は、この禁断の愛に溺れていく主人公に対する嫌悪感と共感が入り混じるところにあります。
初回を見終えて期待すること
第1話は、美都と涼太の馴れ初めから初恋の人・有島との再会までを丁寧に描き、今後訪れるドロ沼展開の序章となる回でした。涼太の“怪演”と美都の空虚なまでの恋心、そして禁断の扉を開けたラストシーンは、次回以降の泥沼化を予感させます。
美都が有島と関係を持ったことが涼太にバレた時、涼太の狂気はどこまで暴走するのか。また、有島の妻・麗華や美都の親友・香子が彼らの関係を知った時にどんな行動に出るのか。単なる不倫ドラマに終わらない複雑な人間ドラマが展開することを期待せずにはいられません。
ドラマ自体は2017年放送でありながら、視聴者の心に強烈な印象を残しました。批評家からは「透明な不倫ドラマ」と評価され、主演の波瑠と東出昌大は数々の賞を受賞しています。この評価に恥じないよう、第1話から細部までこだわった演出や伏線が張り巡らされており、改めて見返すと新たな発見がある作品です。
終わりに
『あなたのことはそれほど』第1話は、恋愛観や結婚観の揺らぎを描いた深い作品でした。結婚をゴールと考えがちな社会で、運命や占いに左右されながらも自分の本当の気持ちを追い求める美都の姿は、善悪の判断を超えて多くの女性に共感を呼びます。一方で、彼女の選択が周囲の人々にどれほど深い傷を残すのか、今後の展開に目が離せません。
今回の記事では、第1話の詳細な流れを整理し、自身の感想と考察を交えながら作品の魅力に迫りました。第2話以降で物語がどのように動き、登場人物がどんな決断を下すのか、引き続き見守りたいと思います。
次回はこちら↓

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