第6話で描かれた“潜入が壊す人格”の次に訪れるのは、“理想が壊す人間”の物語。
経済団体サイトをハッキングし、「6月9日13時」の犯行を宣言した平成維新軍。
声明には“平等はあらゆる善の根源”というロベスピエールの言葉が刻まれ、社会への怒りを代弁するような熱に満ちていた。
しかし、その文面に大山(新木優子)は見覚えがあった――それは、かつて匿名で語り合ったハッカー仲間が書いた“自分の言葉”だった。
かつての仲間を追う捜査は、やがて「理念」と「現場倫理」が衝突する危険な領域へと踏み込んでいく。
2017年5月23日(火)夜9時放送のドラマ「CRISIS〜公安機動捜査隊特捜班〜」7話のあらすじ(ネタバレ)と感想を紹介していきます。
※以後ネタバレ注意
CRISIS(クライシス)7話のあらすじ&ネタバレ

第7話「維新軍の謎!未来を守れ」は、“公平と平等”の名で他者を裁こうとする若さと、それを「今、この場で止める」現場倫理を正面衝突させる回です。
テロ組織・平成維新軍が新たな犯行声明を出すものの、標的も手段も不明。
そんななか、大山玲(新木優子)がかつて関わったハッカー集団の痕跡から、維新軍の実働メンバーに迫ります。
導入:犯行声明と“ロベスピエールの一節”、そして大山の確信
維新軍は経済団体サイトをハッキングし、「6月9日13時」の犯行を通告。
声明文には「平等はあらゆる善の根源…」という革命期の言葉(ロベスピエールのフレーズ)が引用される。
文面の“ある一節”に大山は反応——かつて自分がオンラインの相棒に教えた言葉だと気づき、当時記録していたIPアドレスを手がかりに個人を特定できると判断する。
大山の過去と“坂本”の特定:高校生の素顔
特捜班が割り出したのは、ハンドルネーム「坂本」(本名:大庭明人/今井悠貴)。
帰宅路で稲見(小栗旬)と田丸(西島秀俊)が確保、同時に吉永(田中哲司)・樫井(野間口徹)が自宅を家宅捜索。マスクなど関与を示す物証が見つかる一方、PC・スマホは強固にロックされている。
大山は“岡田”と名乗っていた当時の自分を胸にしまい、相棒の正体が高校生だった現実と向き合うことになる。
取り調べ①:吉永の質問、大庭の“格差”スピーチ
吉永の取り調べに対し、大庭は飄々と黙秘を続けるが、年収や奨学金の話を皮切りに「格差社会の固定化が進む」「若者には時間がない」と語り始める。
“搾取する側とされる側”という構図を掲げ、“公平と平等”を取り戻すための一撃だと自説を展開。彼の言葉は、若者が抱える社会の閉塞を鋭く突くものであり、同時に危うさを孕んでいる。
取り調べ②:大山の単独対峙——“隠れて正当化するのをやめた”
行き詰まりを受け、稲見の進言で大山が単独面談。カメラを落とし、ハンドル「岡田以蔵」であった過去を明かすと、大庭は「君は最初から“向こう側”の人間だった」と失望を口にする。
大山は「本当に変えたいなら最前線に立つべき。隠れて仲間で正当化するのをやめ、悪いことは一人で引き受けると決めた」と言い残し退出。言葉による揺さぶりが、のちの突破口となる。
“機械の奇跡”ではなく“人の直感”で:パスワード解除
犯行時刻が迫る中、パスワード解析は難航。稲見が「機械の奇跡を待つな。お前の直感で奇跡を起こせ」と背中を押す。
大山は二人で栄進銀行に侵入した“あの日付”+二人のイニシャルという“記憶の鍵”に辿り着き、PCロックを解除。
そこにあったのは、“政治家・官僚クラスの子どもたち”を同時多発で襲う計画。標的が“象徴(要人)”から“個人(若者)”へ変わっている事実に、特捜班は戦慄する。
犯行当日:大学キャンパスに散開する特捜班——五つの阻止劇
犯行予告当日13時。特捜班は大学構内に展開。
- 教室: 逃げ出そうとする男子学生に銃を向ける女実行犯。大山が割って入り、格闘で制圧。
- グラウンド: 走る標的に接近する女実行犯を樫井が封じる。
- 校門付近: 逃走する男子学生を追う男実行犯を吉永が制圧。
- 図書館: 女子学生に接近する男を田丸が抑える。
- 食堂: 男子学生に銃を突きつける男へ、稲見はペンライトで視界を断ちつつ取り押さえ、耳元で「出てきて、もし本当に酷い人間になっていたら、その時また狙え」と囁く。挑発ではなく、“未来の選び直し”を残す言葉だった。
終幕:逮捕された大庭の“勝利宣言”と、画面に流れる支持の声
作戦は未然阻止で終了。
手錠をかけられた大庭は「またすぐに維新軍の活躍が見られる。今の時代、誰でもテロリストになれる」と笑う。
彼の端末には支持の書き込みが次々と増え、“共鳴型テロ”の時代性を示したまま、第7話は幕を閉じる。
CRISIS(クライシス)7話の感想&考察

第7話は、理念の言葉(公平/平等)が他者への暴力に転化する“閾値”を、極めて冷静に描いた回でした。以下、論点を整理して掘り下げます。
標的の転換——“象徴”から“個人”へ、倫理はなぜ歪むのか
維新軍は、これまで“象徴(要人)”を狙って政治の物語を乱してきましたが、今回は要人の“子ども”という「罪なき個人」にスライドしました。
“世襲を断つ”という理屈は刺激的だが、それは未必の「属性罰」に過ぎない。政治批評の言葉が選別の言葉へと堕ちる瞬間を、大学という日常の舞台で可視化した点が秀逸です。
「公平/平等」スピーチの内的矛盾——“手を汚さない指揮官”
大庭の主張は、奨学金・家計・時間貧困といったリアルな痛点を射抜くため、説得力がある。
しかし彼は“最前線に立たない”——自らの手を汚さず、匿名のネットワークで他者に引き金を引かせる。
搾取する側とされる側という二分法を掲げながら、自らも他者を“駒”にしている点で、彼は憎悪する“大人”の鏡像となっている。大山の「隠れて正当化するのをやめた」という挑発が、まさにその矛盾を突いた。
大山回としての完成度——“関係”で解くパスワード
テクニカルなパスワード解除の裏で、実は“関係の記憶”が鍵になっている。
二人が最も輝いた日付+二人の頭文字——それはアルゴリズムではなく、人間的な“絆”の記録。
大山がそれを思い出すことで、過去の自分に決着をつける構図が完成する。「つながりの責任」を描く本作らしい円環構成でした。
稲見の一言——「また狙え」は“赦し”ではなく“猶予”
食堂での囁きは一見危うく見えるが、稲見は“今は撃たせない”という選択をしている。
それは“正義の矢”を放たせないための一時停止であり、暴走の先に“もう一度考える時間”を与える行為。
結果(未然阻止)と過程(言葉の使い方)を両立させた、極めて繊細な現場倫理の演出です。
可視化される“支持”——共鳴型テロという現実
ラストに映るチャットの支持コメントは、「誰でもテロリストになれる」という時代の不気味さそのもの。
行為よりも“物語”が拡散することで共鳴が連鎖し、匿名の正義が暴力を再生産する。
平成維新軍=Truth Troopersという構造的継承を踏まえると、思想の再起動が止まらない恐怖を提示している。
シリーズ構造における7話——大山の“逆照射”
1話・3話で描かれた維新軍のマクロな暴力を、7話はミクロな勧誘・共鳴の回路に落とし込み、大山の過去で逆照射。
“強すぎる言葉”が“弱い個人”を駒にするメカニズムを、元ハッカーの視点で描いた構成が鮮やか。
シリーズ後半に向け、国家とテロ、理念と現場の衝突に倫理的な厚みを与える中盤のハイライトでした。
新木優子さんについては以下記事を参照してくださいね。
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