第3話で描かれた“若者の暴走”に続き、第4話では視点が一気に国家の中枢へと移ります。

特捜班に下されたのは、航空宇宙工学の第一人者・有馬丈博の要人警護。
しかしその任務には、理由も、目的も、一切明かされていません。
やがて明らかになるのは、外国情報機関による暗殺、そして国家が仕掛けた“偽りの安全”。
命令を遂行するだけでは救えない現場で、稲見と田丸は「国家の正義」と「個人の尊厳」の狭間に立たされていく。
2017年5月2日(火)夜9時放送のドラマ「CRISIS〜公安機動捜査隊特捜班〜」4話のあらすじ(ネタバレ)と感想を紹介していきます。
※以後ネタバレ注意
CRISIS(クライシス)4話のあらすじ&ネタバレ

第4話「要人警護!罪と罰の結末」は、“誰を守るのが国家なのか”という問いを、要人警護の形で正面から突きつけてきます。
特捜班は航空宇宙工学の研究者・有馬丈博(小市慢太郎)の身辺警護を命じられるが、任務の背景はいっさい伏せられたまま。
やがて明らかになるのは、外国情報機関による頭脳ハント、プロの暗殺者の存在、そして国家が仕掛けた“偽りの安全”という重い現実でした。
予告なき“要人警護”――情報は遮断されたまま
特捜班(稲見・田丸・吉永・樫井・大山)は、1週間後に出国予定の有馬教授を警護せよ、とのみ通達を受けます。
拳銃携行の許可が出ていることからも、危険度は極めて高い。本人は横柄で非協力的だが、大学構内に不穏な視線――のちに暗殺側の一人とわかる石黒(近藤公園)――が張り付いていることを、現場は確実に掴む。
研究室爆破 → 駐車場の待ち伏せ――“プロの仕事”が始まる
翌朝。研究室へ向かった有馬と護衛の稲見・樫井。
爆薬の匂いを嗅いだ樫井が警告するも、有馬は「バカバカしい」と扉を開けてしまい、研究室は爆散。
土煙の中、稲見と樫井は有馬を救い出すが、エレベーターホールでは石黒が拳銃で待伏せ。なんとか外へ出ると駐車場には別の暗殺者・石立(浜田学)が潜み、稲見と至近距離の格闘に。暗殺サイドが二枚看板のプロであることが決定的になる導入です。
任務の“背景”――北が頭脳を獲りに来る、だが腑に落ちない
吉永は鍛冶局長に直談判。
そこでようやく、ミサイル実験を続ける「ある国」が有馬の頭脳を狙っている、という断片が開示される。
先に“出国”させて奪取を防ぐという筋だが、実際に現場で起きているのは露骨な殺害未遂。
情報と現象の齟齬に、吉永は疑念を深める。
“爆薬の匂い”と“図面”――樫井がほどく科学者の心
アジトに戻った樫井は、研究室のトラップの図面をスラスラと描き出し、有馬の警戒心を解く。
樫井は嗅覚と記憶の結びつきが強いタイプとして描かれる。
技術者ならではの言葉が通じ、「図面を引くと落ち着く」という会話が橋になる。冷たかった有馬の態度が、少しだけ人間の体温を取り戻していく。
暗殺者は“前科者の匂いがしない”――追跡線の行方
大山は前科者リストから該当者を洗うが、稲見は「あいつらは前科者という種類じゃない」と断言。
つまり国家間の“裏仕事”に絡むプロ。殺害でも連れ去りでも、最短で目的を達するためのルートだけが研ぎ澄まされている――現場はそう読む。
有馬の“逃走”――そして自宅で見つかったもの
一時保護の流れから外れた有馬が自宅へ戻る。
到着した特捜班が見たのは、有馬の身体に巻かれたベルト型の時限爆弾だった。
樫井は解除作業に入り、万一に備え周辺住民の避難を指示。稲見は有馬から経緯を聞き出す。
“告白”――ハニートラップ/偽設計図/公安の脅し/情報売り
有馬は淡々と語る。4年前、女性に接近され、ジェットエンジンの設計を求められた。
通報すると公安は「偽の設計図を渡せ」と命じ、従わねばスパイ容疑で摘発と脅した。
飛ばないジェットの図面を描き続けるうち、彼は壊れ、酒と女に溺れ家庭を失う。
やがて公安の企みを“先方”に売ろうとし、国外脱出を画策――そこへ特捜班が現れ、現在に至る。昨夜逃げたあとで“北”の窓口に電話し、特捜班の情報すら売ろうとしたと吐露する有馬。
「だから俺は助からなくていい」。“告白”の刃は、彼自身にも、国家にも向いていた。
“見殺し”の決定――国家は誰を守ったのか
解除は難航。そこへ上層の使者(青沼/飯田基祐)が入り、「君たちの任務は爆弾を仕掛けた側の追及だ。直ちに退避せよ」と命ずる。
稲見は家族写真を有馬に握らせ、有馬は「国家を信用するな」と言い残す。
特捜班が外へ出た直後、家は爆発。国家の運用が、一人の科学者が抱えた“罪と罰”の結末を、“公式には事故”に変換してしまう瞬間だった。
CRISIS(クライシス)4話の感想&考察

第4話は、「国家の安全」と「個人の救済」が同じ針の目を奪い合うドラマでした。
表向きは要人警護=善、暗殺=悪に見える。
しかし善を運用する主体が、個人の時間と尊厳を切り捨てるとき、“国家の善”は誰のものかという問いが立ち上がる。ここからは3つの軸で深掘りします。
運用としての“善”――鍛冶の現実主義は、何を救い、何を捨てたか
鍛冶の説明は筋が通る。「北が頭脳を狙う」→「奪われる前に出国」。
しかし現場の実相は暗殺の連続で、情報の窓は意図的に閉じられていた。終盤の退避命令は、関係者の“法的リスク回避”を最優先したようにも見える。
こうした“運用としての善”は、短期の秩序を守る反面、長期の信頼を削る。「国家を信用するな」という有馬の言葉は、個人の怨嗟だけでなく、制度の透明性欠如に向けられた批評でもある。
科学者の罪と罰——“偽の設計図”は誰の武器だったのか
偽設計図を渡せという作戦は、短期的には合理的だ。
しかしそれは科学者個人の倫理と長期の自己同一性を削り取り、人格を空洞化させる。壊れた有馬は、やがて公安の企みを“先方”に売るという“裏切り”へ傾くが、その萌芽は国家が彼を“道具”にした時点で埋め込まれている。
第4話は、武器は銃だけでなく“情報”でもあると語る。“飛ばないジェット”という虚構は、相手の失敗だけでなく自分の破綻も生んだ。
特捜班の倫理——“救えない”局面で何を残すか
救命は叶わない。それでも稲見は家族写真を渡す。
樫井は最後の一秒まで解除に向き合う。結果が敗北であっても、過程に残す倫理は確かにある。
クライシスはここで正義の二層——結果の正義(救えたか)と過程の正義(どう向き合ったか)——を分解し、“過程の尊厳”という価値を毅然と置いた。
アクションの説得力——“嗅覚”と“間合い”で進む現場
爆破シークエンスは派手だが、見せ場の核は位置取りと間合い。
樫井の嗅覚(爆薬の匂い)という“身体化された技術”が作戦を先導し、稲見は至近のクリンチでプロの暗殺者を捌く。
身体×情報×手順の三位一体が、シリーズ全体の倫理の説得力を下支えしている。
タイトル読解――「罪と罰の結末」
「罪と罰」はドストエフスキーを思わせる語り。
ここで問われている“罪”は個人(有馬)の罪だけではない。
国家の運用が一人の人格を道具化した“構造の罪”でもある。その結末を爆発の炎で描き、記録には残らない“合理の勝利”で幕を引く。カタルシスを削ぎ、思考の余韻を増幅する構図が潔い。
まとめ——“国家を信用するな”の真意
有馬の言葉は、国家への全否定ではないと私は受け取る。“信用の条件”を示したのだ。
透明性――現場に必要な情報が届くこと。
比例性――個人の救済と国家安全のバランスを“運用”で壊さないこと。
責任――失敗を“事故”に呼び替えないこと。
この3つが欠けるとき、国家は「個人の人生を焼却する装置」になる。第4話は、その最悪形を描いたうえで、特捜班の“過程の倫理”という細い救いだけを残した。だから胸が痛いのです。
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