『九条の大罪』は、弁護士漫画の形を借りながら、実際には「法では裁き切れない人間の欲と搾取」をえぐる作品です。
主人公の九条間人は、半グレやヤクザ、前科持ちといった「表社会からは距離を置かれた依頼人」を引き受ける偏屈な弁護士として始まり、轢き逃げ、介護施設、歌舞伎町、芸能志望の若者、半グレ抗争、病院買収、そして大麻農場へと、事件のスケールと悪意の深さをどんどん広げていきます。
原作はまだ完結しておらず、単行本は2026年4月2日に16巻まで刊行されました。
この作品は「誰が悪いのか」を当てるより、「九条がどこまで法の側に残れるのか」を追うほうが面白いです。
そこで本記事では、全話あらすじを淡々と並べるのではなく、主要事件ごとに何が起きたか、九条と周辺人物がどこで変質したか、そして最新16巻時点で何が未回収なのかをネタバレ込みで整理します。ドラマ版もすでに全10話配信済みなので、後半では原作との違いと、どこまで映像化されたかもあわせてまとめます。
ドラマ「九条の大罪」の原作ネタバレ【結論】

結論から言うと、『九条の大罪』は「九条が悪徳弁護士かどうか」を問う話ではなく、法と道徳の境界で生き残るために、人がどこまで自分を削るのかを描く話です。九条は最初から善人のヒーローではなく、依頼人を道徳的に救うより、法の枠内で延命させる側に立っています。
そのブレなさが、轢き逃げ案件から白栖総合病院編、大麻農場編まで一貫して続いています。
原作の流れを大きく分けると、序盤は「九条という弁護士の異様さ」を見せる事件集、中盤は嵐山・京極・壬生らが絡んで九条自身が追い詰められていく転落線、そして後半は白栖総合病院と出雲・宇治・のら・百井が絡む大麻農場編へと移り、利権と暴力がより構造的に広がっていく流れです。
最新16巻時点では、物語の重心は「九条が依頼人をさばく話」から、「九条自身が巨大な構造の中でどこまで持ちこたえるか」へかなり移っています。さらに、いまの争点はかなり絞られています。
白栖総合病院編で見えた医療利権の食い潰しと、出雲の出所から前に出た「京極は誰にはめられたのか」という問い、そして大麻農場をめぐる壬生・出雲・宇治・売人たちの線です。
16巻の内容紹介でも「絡み合った裏社会の糸をほどくことができるのは弁護士・九条間人だけか」とされており、ここまで来ると、作品の敵は個人というより、誰かの弱さを食い物にして回る構造そのものだとかなりはっきり見えてきます。


主人公「九条間人」とは何者か

九条間人は、鼻炎持ちのバツイチで、ビルの屋上でテント生活までしている偏屈な弁護士です。
主な顧客は半グレ、ヤクザ、前科持ちなど、いかにも危うい人間ばかりで、ネットでは悪徳弁護士と罵られながらも、イソ弁の烏丸とともに依頼人を擁護しています。作品の入り口からして「まっとうな正義の弁護士」ではなく、むしろそう見えない人として置かれているのが大きいです。
九条が”正義の主人公”ではない理由
第1集の轢き逃げ案件から分かるように、九条は依頼人の罪を真っ当に裁く立場ではなく、法的にどう延命するかを先に考えます。飲酒して轢き逃げした半グレに対しても、九条が授けるのは「反省」ではなく「法の穴をどう使うか」です。だから読んでいて気持ちよく肩入れできる主人公ではありませんが、その分、この作品の地面は最初からぐらついています。
しかも九条は、依頼人に共感しているというより、「この国の制度の中ではそうせざるを得ない」と見切った上で動いているように見えます。そこが冷たくも見えるし、逆にリアルにも見えるところです。見ていると、九条は人助けをしているのではなく、「人がさらに悪い地獄へ落ちないための最小限の導線」を引いている感じに近いです。
それでも九条が読者を引っ張る理由
それでも九条が強いのは、単なる拝金主義の悪人では終わらないからです。
第2集の介護施設・遺言書詐欺では、裏で手引きしていたのが恩師の山城だと分かり、第3集でその決着まで踏み込みます。つまり九条は、自分の内輪や過去の師弟関係まで含めて、必要なら切りにいく人でもあります。
また、第9集から第11集にかけては、嵐山の執拗な追及で自分自身が逮捕・勾留され、弁護士バッジが飛ぶ危機まで追い込まれます。そこまで削られてもなお、九条は完全な被害者ポジションには落ちません。自分もまた危うい橋を渡ってきた人間だと分かった上で、それでも前へ進むから、この主人公は嫌いになり切れないのだと思います。

原作ネタバレ時系列まとめ【主要事件ごとに整理】

序盤|轢き逃げ案件と九条という弁護士の異様さ
物語の始まりは、飲酒して轢き逃げした半グレが、先輩の壬生に連れられて九条のもとを訪ねるところです。ここで九条が見せるのは、常識的な贖罪の勧めではなく、弁護士にはあるまじき教唆です。この一件で読者は、「この漫画では正論が通じると思わないほうがいい」とすぐ分かります。
この序盤が強いのは、交通事故ひとつで人生がどれほど簡単に反転するか、しかもその反転に法律知識がどう介入するかを、かなり嫌な形で見せるからです。
九条がやっていることは善行には見えませんが、「現実にはこういう延命戦が存在する」と思わせる説得力がある。その感触が、この作品全体の土台になっています。


家族の距離編|介護施設と遺言書詐欺の結末
第2集から第3集では、悪徳介護施設で行われた遺言書詐欺が前面に出ます。しかも裏で手引きしていたのが、九条の恩師である元ボス弁・山城だったことで、事件は単なる高齢者搾取では終わりません。九条は制度の外側の悪だけでなく、法曹界の内側の腐敗にも向き合わされます。
見ていると、この編で本当に怖いのは、家族や介護という「善いもの」に見える枠組み自体が、搾取の装置になるところです。
第3集はこの「家族の距離」編のクライマックスとして、家守の父との関係や介護の向こう側にある尊い思いまで描いていて、単に悪を暴いて終わる話にはなっていません。九条の大罪がただのアウトロー活劇ではないと分かるのは、この編の後味の苦さとやわらかさが両方あるからです。


自殺の心境編|追い込まれる人間をどう描いたか
第3集の後半からは「自殺の心境」編が始まります。
公式紹介でも、このパートは「決して無視することのできない社会問題に取り組んだ編」と位置づけられていて、介護の暗部を扱った「家族の距離」編とは別の苦さを持っています。
この編で効いているのは、九条が自殺願望そのものをドラマチックに扱わないことです。誰かが急に壊れるのではなく、生活と制度と人間関係の綻びの中で、気づけば死が現実的な選択肢として近づいてくる。見ていると、「九条の大罪」は犯罪より先に、その犯罪を生む温度を描く漫画なのだとよく分かります。

ぴえん女子編|しずくの事件の真相と判決
第4集から第5集では、歌舞伎町で起きた殺人事件と、その容疑者である”ぴえん女子”しずくの弁護が中心になります。しずくは元AV女優でもあり、自分から搾取し続ける男を殺害した人物として描かれ、第5集でこの編が完結します。
この編が強いのは、「被害者なのに加害者でもある」という位置の人間を、九条がどう扱うかが一番よく出るからです。
しずくは明らかに追い込まれてきた側ですが、だからといって裁かれなくていいとはならない。見ていると、九条はこの手の案件で、感情の正しさと法の正しさがズレる瞬間をかなり冷たく見せてきます。


数馬と千歌の転落編|夢と搾取の連鎖
第6集では、俳優志望の数馬と、パパ活や愛人契約で生きる千歌の転落が描かれます。
リアリティーショー番組のオーディションに受かった数馬は売れっ子俳優を夢見ますが、現実には売れないサパー店員に沈み、千歌もまた”上ずみだけの人生”を渡り歩くしかなくなっていました。そこへ壬生や九条が関わることで、二人の人生はさらに大きく動きます。
第7集になると、数馬は詐欺師に乗せられて数千万の負債を抱え、壬生と菅原の線へ巻き込まれていきます。
さらに烏丸は「反社の使いっ走りになるな」という忠告を残して事務所を去り、九条の周囲の空気も不穏さを増します。見ていると、この編は若者のサクセス幻想と半グレの現実が、一気につながってしまうところが一番きついです。

嵐山刑事と九条の対立|”正義”が九条を追い詰める
第5集の後半からは、娘を殺害された刑事・嵐山が、判決が確定したあとも独自捜査を続け、その先で九条とつながる人物たちへ行き着く流れが始まります。
ここで作品は、「悪い依頼人を弁護する九条」と「娘のために正義を貫こうとする嵐山」という、単純に優劣がつけにくい対立へ入ります。
第8集では、嵐山が恐喝の共犯者として九条を追い詰めようとし、さらに実兄・鞍馬検事の存在も前に出ます。ここで「弁護士を潰そうとするオモテの側」と「ヤクザや半グレを含むウラの側」の対立が一気に濃くなり、九条は自分が歩いてきた綱渡りの代償を本格的に払うことになります。
九条逮捕・勾留編|弁護士バッジが飛ぶ危機
第9集ではついに、九条の逮捕とバッジ剥奪の危機が前面に出ます。ヤクザや半グレの弁護も引き受ける九条のスタイルを潰そうとする”オモテ”の狙いが形になり、九条自身が法の被告席へ押し込まれるわけです。
第10集では、勾留中の九条を嵐山が執拗な取り調べで追い詰め、「ヤクザや半グレの犬に成り下がった結果家族を失ったんだな」とまで突きつけます。
起訴されれば弁護士として終わる局面で、九条に光明が差すのかが最大の焦点になります。見ていると、この編は九条の弁護士としての信念そのものを試すパートでした。

白栖総合病院編|医療業界の闇と病院買収の結末
第11集からは新章として白栖総合病院編に入ります。逮捕・勾留・釈放を経て、昨日までの自分を棄てた九条が、医療業界の利権へ向き合う構図です。
白栖医院長の淫行スキャンダル、病院に高額請求する顧問弁護士・相楽、身近なことすら見えていない医院長の息子たちと、病院の周辺だけで欲望が何層にも重なっています。
第12集では、裁判の長期化で稼ぐ相楽、債権回収として押し寄せる事件屋・有馬、そして様子をうかがう半グレ・壬生が出そろい、白栖総合病院をめぐる高度な頭脳戦が始まります。
第13集では、元医院長の逮捕、病院を譲れと恫喝する事件屋、事務局長と密談する壬生、金を搾り取ろうとする相楽まで前に出て、九条が病院の未来へ鋭いメスを入れる段階まで進みます。見ていると、この編は「医療」という善の看板の下で、どれだけ金の論理が人を食っていくかを描く章でした。
出雲・大麻農場編|最新16巻の核心
第14集では、伏見組・京極の弟分である出雲が刑務所から出所し、「京極のアニキは誰にはめられたのか」を追うために陰湿で粘着質な探索を始めます。
ここで作品はまた空気を変えて、病院利権から一気に暴力と闇バイト、さらにヤクの供給線へ寄っていきます。
出雲の登場によって、京極失脚後の裏社会線が”過去の処理”ではなく”現在進行形の報復”として動き出しました。
第15集では、その先にある大麻農場が本格的に前面へ出ます。住宅街で警察に摘発もされず密かに行われる大麻栽培、自衛隊出身ののらが築いた年間2億円規模の組織、売人・百井、ムショボケの曽我部、横取りを狙う出雲と宇治、そしてバンコクに逃れた壬生と菅原まで、線が一気に広がります。
ここで『九条の大罪』は「個別事件の連続」から「複数の裏社会勢力が同じ利権へ群がる章」へ変わったと見ていいです。
そして第16集では、その大麻農場編がさらに深まります。内容紹介では、閑静な住宅街で密かに行われていた大麻栽培が莫大な利益を生み、ヤクザがそれを見逃すはずがないと明記されています。
さらに「沈黙か、服従か、裏切りか」と煽られている通り、この章では単なる摘発や抗争ではなく、誰がどこで誰を売るのかという心理戦まで前景化してきます。つまり最新16巻時点の核心は、まさにこの大麻農場編だと言えます。

最新16巻時点の主要人物の現在地
原作ネタバレ記事で読者が最後に知りたいのは、「で、今この人たちはどこにいるのか」です。
現記事でも各章の中に人物の位置は入っていますが、ここを独立見出しにしてまとめ直すと、記事タイトルにある「登場人物の現在地」と中身がもっときれいに一致します。最新16巻時点では、主要人物の位置関係はかなりはっきりしてきました。
九条と烏丸は、まだ同じ地面に立てるのか
九条は逮捕・勾留・釈放を経てなお、裏社会のさらに深い案件へ踏み込んでいます。いっぽう烏丸は、九条と同じ現場に立ちながらも、最後まで九条のやり方を全面肯定はしていません。
9〜10集で一度大きく揺れたこの関係は、最新巻まで来ても「完全な決裂」でも「完全な和解」でもなく、作品全体の倫理線を測る物差しとして残り続けています。
壬生と菅原は、まだ逃げ切っていない
第15集では、京極をハメてから海外へ逃亡した壬生が、半グレの菅原とバンコクで行動を共にしていると書かれています。つまり壬生も菅原も”片づいた人物”ではなく、いまも裏社会の再編の中にいる状態です。
16巻の内容紹介では名前こそ前面に出ませんが、大麻農場編の利権と報復が続いている以上、二人の線もまだ終わっていないと考えるのが自然です。
出雲と宇治が、いま一番危ない側にいる
14巻で出所した出雲は、15巻で宇治とともに大麻農場へ食い込んできます。ここで重要なのは、京極本人が前にいなくても、京極失脚後の伏見組線が出雲と宇治によって今も前に進んでいることです。
最新巻の重心がこの二人に寄っているからこそ、京極線は”終わった話”ではなく”形を変えた現在進行形”になっています。
のら、百井、曽我部が「今の九条の大罪」の中心にいる
15巻で前に出るのは、のらが築いた大麻農場と、それをめぐる売人・百井、そしてムショボケの曽我部です。この三人がいることで、大麻編は単なるヤクザ同士の利権争いではなく、「社会に居場所を持てない人間がまた別の構造に組み込まれる」章として読めます。
16巻はその緊張をさらに強める段階に入っているので、いまの中心人物としてこの三人を見落とさないほうが全体像はつかみやすいです。
主要人物ネタバレまとめ
九条間人
九条は最初から一貫して、善人の弁護士ではありません。けれど、依頼人を「救う」というより「この社会の中でまだ死なない位置へ置く」弁護士として動き続けています。逮捕と勾留を経てもなお前へ進むあたりに、この主人公の異様さと強さがあります。

烏丸真司
烏丸はイソ弁として九条を支えますが、第7集では九条が反社寄りの道を進むことに耐えられず事務所を去ります。第10集では九条逮捕の報を受け、「完全黙秘。20日でパイにします」と力強く言うものの、その後の結末は簡単ではありません。九条との距離が、作品全体の倫理線を測る物差しになっています。

壬生憲剛
壬生は序盤から轢き逃げ半グレを九条のもとへ連れてきた人物で、以後も半グレ線の中心に立ち続けます。数馬編では菅原とともに深く関わり、第12集・第13集では白栖総合病院の利権にも接続し、第15集では菅原とともにバンコクへ逃れています。見ていると、壬生は作品の「暴力と金の流れ」を一番分かりやすく運ぶ存在です。

京極/出雲
京極の線は、息子を殺された伏見組組長として第9集で強く前へ出ます。その京極の弟分である出雲が第14集で出所し、「京極のアニキは誰にはめられたのか」を追い始めたことで、最新巻の大きな推進力が生まれました。出雲は単なる新キャラではなく、作品がヤクザと半グレの線をもう一段掘り下げるための火種です。


嵐山刑事
嵐山は娘を殺害された刑事として登場し、実行犯の判決が確定したあとも独自捜査をやめません。第5集では九条とつながる人物たちへたどり着き、第8集〜第10集では九条本人を執拗に追い詰めます。正義の側に立っているのに、読んでいてしんどいのは、この人の正義が個人的な喪失と完全に結びついているからです。

白栖医院長・相楽・有馬
白栖総合病院編では、白栖医院長のスキャンダルを入口に、顧問弁護士・相楽、事件屋・有馬、病院事務局長、そして壬生まで絡む利権戦が前へ出ます。相楽は病院から金を搾る拝金弁護士、有馬は病院を揺さぶる事件屋として機能し、白栖病院は「医療」の看板の裏にある食い物の構図を可視化する舞台になりました。
Netflixドラマ「九条の大罪」はどこまで放送される?

いまはもう「どこまで放送される?」と予想する段階ではありません。Netflixシリーズ『九条の大罪』は2026年4月2日から全10話で世界独占配信が始まっており、原作者の真鍋昌平も全10話を一足先に鑑賞したうえで高く評価しています。したがって、ここは配信前予想ではなく「実際にどこまで描かれたか」で整理したほうが自然です。
ドラマ版は原作序盤〜中盤の代表事件を再編成した
Netflix公式の予告とキャスト情報からも分かる通り、ドラマ版では飲酒運転によるひき逃げ、違法薬物売買、介護施設における虐待、AV出演をめぐるトラブルなど、原作序盤〜中盤の代表事件が前面に出ています。主演陣として九条、烏丸、薬師前、壬生、嵐山、京極が発表され、追加キャストにも菅原、犬飼、曽我部、笠置雫など、初期〜中盤で印象を残す人物が並んでいます。
九条逮捕線と病院編の入口までが一つの区切り
配信後の整理として見ると、ドラマ版は単に原作を順番どおり並べたのではなく、「九条と烏丸のバディ線」と「壬生・嵐山・京極の対立線」が最も立ち上がるところまでを一気に束ねた構成になっています。
九条の逮捕・勾留の危機まではかなり濃く拾い、その先の病院利権編は入口に触れるくらいで一区切りをつけたと読むのが自然です。つまり、原作序盤〜中盤を”ドラマとして最も切りやすい位置”で再編集したのがシーズン1だったと言えます。
白栖総合病院編以降は続編の本命になる
いっぽう、原作11巻から本格化する白栖総合病院編、14巻以降の出雲・宇治・大麻農場編までは、ドラマのメイン告知では前面に出ていません。
16巻までのストックがすでにあることを考えると、もし続編があるなら本命はここです。特に病院利権編から大麻農場編に入る流れは、シーズン1のラストからかなり自然につなげやすい章になっています。


Netflixドラマ「九条の大罪」と原作の違いは?

配信前には予告ベースでしか言えなかった違いも、いまは全10話配信済みの作品として整理できます。
ドラマ版の大きな特徴は、原作の複数事件を「九条と烏丸の関係」と「現代日本の闇」を見せるために再編集していることです。原作が事件ごとに空気を変えながらじわじわ広がる構造なら、ドラマは最初から「九条がいる世界はこういう地獄だ」と一気に見せる構成になっています。
事件の順番と圧縮のされ方
原作は、轢き逃げ、介護施設、ぴえん女子、若者の搾取、九条逮捕、白栖総合病院、大麻農場と、章ごとにかなり空気が変わります。
いっぽうドラマ版は、原作の代表事件を再編成し、10話で「九条と烏丸のバディ」と「壬生・嵐山・京極の対立」を見せる構成へ寄せています。だから原作既読だと順番の違いや圧縮はありますが、テーマ自体はかなり保たれています。
九条・烏丸・薬師前の見え方の違い
原作は九条をかなり不快で危うい男として長く観察させますが、ドラマ版の公式説明では「法の力を武器に自らの正義を追求する」とされ、主人公としての推進力も前に出ています。
いっぽう烏丸は、原作者のコメントでも「九条と烏丸のやり取りにメロメロになる」と言われるほど、ドラマではバディの片割れとして強く打ち出されました。薬師前も”犯罪者を見守るソーシャルワーカー”として整理され、法廷の外側を担う役割が分かりやすく見えます。
実写だからこそ出た「感情の濁り」
真鍋昌平はドラマ版について、「実際の人間が演じると、その息遣いだったり目線で感情を語らせることができる」と語っています。
原作の『九条の大罪』は、モノローグよりも状況の嫌さや会話のズレで読ませる漫画ですが、ドラマではそこに俳優の身体性が乗るぶん、九条、烏丸、壬生、嵐山、京極といった主要人物の”感情の濁り”が別の重さで見えました。ここは、配信後に最もはっきりした原作との違いだと思います。
九条の大罪 原作の結末はどうなる?

原作はまだ完結していないため、ここから先は”予想”になります。
ただ、16巻まで来ると争点はかなり絞られています。大麻農場という巨大な利権を中心に、壬生、出雲、宇治、のら、百井、曽我部らがそれぞれ別の思惑で絡み、九条自身もまた裏社会の糸の中心へ押し戻されている状態です。
だから今後の結末は、九条一人の勝敗より「九条が法の側に残れるのか」と「裏社会線がどこで再編されるのか」の二本で見ると整理しやすいです。
九条はどこまで”法”の側に残るのか
逮捕・勾留・釈放を経てもなお、九条は弁護士としてリスタートしました。
だから最後の決着も、単なる勝ち負けではなく、「法の外を知りすぎた弁護士」がどこまで法の側に踏みとどまれるのかに落ちてくるはずです。これは記事冒頭から一貫していたテーマでもあり、最新16巻の内容紹介でも「絡み合った裏社会の糸をほどけるのは弁護士・九条間人だけか」とされていることときれいにつながります。
壬生・出雲・京極ラインはどこで決着するか
いま最も熱いのはここです。
出雲が「京極のアニキは誰にはめられたのか」を追い始め、壬生は海外逃亡後もまだ終わらず、大麻農場を中心に新しい暴力の線が前へ出ています。
16巻ではこの利権がさらに深まることが示されているため、今後の結末は九条自身の案件処理より、この壬生・出雲・京極の線がどこでぶつかるかにかなり左右されそうです。
烏丸との関係は修復するのか
九条の人間関係でいちばん気になるのは、やはり烏丸との線です。
烏丸は九条にとって「まだまともな法曹の地面」とも言える存在なので、ここが完全に切れたまま終わると、九条の孤独はかなり決定的になります。
逆にこの関係がどこかで再接続されるなら、作品の結末は単なる破滅ではなく、少し違うものに見えてくるはずです。

九条の大罪 原作ネタバレQ&A

原作は完結した?
完結していません。単行本は第15集まで発売済みで、第16集は2026年4月2日発売予定です。連載自体も継続中です。
最新巻の中心はどの編?
最新15巻の中心は大麻プラント編です。住宅街の大麻栽培、のらの組織、売人・百井、曽我部、出雲、宇治、そしてバンコクにいる壬生と菅原まで線が広がっています。
九条は逮捕された?
されます。第9集で逮捕とバッジ剥奪の危機が前面に出て、第10集では勾留中の取り調べまで描かれます。その後、第11集では釈放を経て”九条リスタート”の新章へ入ります。
白栖病院編はどこまで進んだ?
白栖総合病院編は第11集から本格化し、第13集でかなり極点まで進みます。医院長のスキャンダル、相楽、有馬、壬生、事務局長の線が重なり、病院の未来を誰が食い尽くすかが主題になります。
壬生はどうなった?
最新15巻時点では、壬生は菅原とともにバンコクで行動しています。一方で出雲は血眼になって二人を追っており、この線が今後の大きな衝突点になりそうです。
九条の大罪はどこから読むべき?
物語の構造をつかむなら第1集からが一番ですが、現在の核心だけ知りたいなら第11集以降の白栖総合病院編、さらに第14集・第15集の出雲・大麻プラント編からでも作品の温度はかなり分かります。とはいえ、九条がなぜここまで孤独で危ういのかは序盤の案件を通らないと見えにくいです。
九条の大罪の原作まとめ
『九条の大罪』の原作は、ひき逃げ、違法薬物、介護施設、AV出演トラブル、九条逮捕、白栖総合病院、そして大麻農場へと、事件の規模と闇の深さを巻ごとに広げながら進んできました。
2026年4月2日に16巻が発売されたいま、物語の重心は「九条が危ない依頼人を弁護する話」から、「絡み合った裏社会の糸を九条がどこまでほどけるのか」という段階へかなりはっきり移っています。
最新16巻時点で特に重要なのは、壬生と菅原の逃亡線、出雲と宇治が食い込む伏見組の線、そして大麻農場をめぐる利権の拡大です。九条自身も、逮捕と釈放を経て安全圏へ戻ったわけではなく、むしろ以前よりさらに深い闇の中心へ押し戻されています。
だから現時点の『九条の大罪』は、「誰が悪いか」を追う作品というより、法の側に立つ九条がどこまで壊れずに踏みとどまれるのかを見届ける作品として読むのがいちばんしっくりきます。
Netflixドラマ版は2026年4月2日から全10話で配信されており、原作者の真鍋昌平も高く評価しています。ドラマから入った人が原作の続きを追うなら、白栖総合病院編の深化と、その先の大麻農場編がいまの核心です。原作はまだ完結していないからこそ、ここから先で九条、烏丸、壬生、出雲たちの線がどうぶつかるのかが、いちばん大きな見どころになっています。
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