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TRICK/トリック(シーズン2)10話のネタバレ&感想考察。椎名桔平そっくりの岩が出る森?妖術使いの正体と“出られない恐怖”

TRICK/トリック(シーズン2)10話のネタバレ&感想考察。妖術使いの森とは何か?出られない森と“信じたい人間”の罠

森に入った理由は、調査だった。けれど出られなくなった瞬間から、それは“試される話”に変わる。

シーズン2第10話は、「妖術使いの森」と呼ばれる白木の森を舞台に、怪異を信じたい人間と、疑いたい人間が同時に閉じ込められる回だ。

巨大な顔の岩、心を読む岩、蘇る棺――説明できそうで、どこか説明しきれない現象が重なり、集団は少しずつ疑心暗鬼へ傾いていく

怖いのは妖術そのものではない。

“妖術があることにしたい人間”が、同じ場所に集まってしまったことだ。

目次

トリック(シーズン2)10話のあらすじ&ネタバレ

トリック(シーズン2)10話のあらすじ&ネタバレ

シーズン2第10話は、最終章の前編にあたる「妖術使いの森」。

高速道路建設が進む“来さ村”にある「白木の森」は、“一度入ったら二度と出てこられない”と恐れられており、そこで起きる不可思議な現象の正体を、上田と奈緒子が追う回です。

「白木の森」調査の依頼者は、村の建設部長・橋本

舞台は千葉県・庄矢郡の来さ村。村の“発展”を願う建設部長・橋本孝夫は、白木の森に高速道路を通す計画を進めるため、森の実態調査を敢行してきました。ところが、これまで派遣した調査隊は誰も帰ってこない。そこで橋本は、超常現象の「解体」で名を上げた上田次郎に調査を依頼します。

白木の森には、いわゆる“祟り”や“磁場が狂う”といった噂がつきまとい、村の側も半信半疑…というより、信じたい人ほど信じてしまう“下地”が出来上がっている。

TRICKらしく、ここで「人間が不安なとき、説明のつかないものに物語を与えてしまう」という空気が早々に立ち上がります。

巻物に記された「妖術使い」の記録が、奈緒子を動かす

橋本が持ち込むのが、「妖術使い」にまつわる記録の巻物。そこには“妖術使いの森”に存在する三つの“遺物”が語られます。

  • 巨大な“頭像”のような岩(いわゆるオルメカ・ヘッドを連想させるもの)
  • 嘘をつくと炎が噴き出す「真実の岩」
  • 死者を蘇らせる「棺」

この三点セットが、森の怪談を“観光資源”のように強固にしているのが巧い。怖いのに、見たい。信じたくないのに、確かめたい。人間の矛盾を、そのまま「装置」にしてしまうのがTRICKです。

そして奈緒子は、巻物に描かれた妖術使いの姿を見た瞬間、表情が変わります。

自分が過去に“同じ姿の妖術使い”と遭遇していた記憶がよみがえり、彼女は上田と共に来さ村へ向かうことを決める。ここが、事件の横糸(森の怪奇)だけでなく、奈緒子の縦糸(出自に触れる何か)が動き出すポイントです。

第4次調査団が結成される「濃すぎるメンバー」

来さ村に集められた調査団は、上田と奈緒子に加え、橋本夫婦、建設会社社員の日向、民俗学者の柳田、ルポライターの小松、探検家のアラン井上(+隊員)といった“役者”が揃います。

この回の面白さは、最初から「立場が違う人間」を同じ森に押し込むところにあります。

開発側、学者、記者、探検家――それぞれが「森に入る理由」が違う。目的が違えば、見たいものも違う。だから同じ現象を見ても、信じ方がズレる。そのズレが、のちの疑心暗鬼に直結します。

「森から出たければ妖術使いを連れて来い」村の条件が不穏

森に入る前に突きつけられるのが、「妖術使いを捕まえて村へ連れて来い」という条件。ここが怖いのは、村側が“森の外”にいながら、最初から“結論”を置いている点です。

  • 森で起きる異変=妖術使いの仕業
  • だから捕まえれば解決する
  • 捕まえられないなら、出られない

このロジックは、科学でも法律でもなく、共同体の“物語”で出来ている。TRICKが何度も描いてきた「権威(村・因習・信者)が世界のルールを決める」構図が、森に入る前から完成しています。

森の入口でいきなり“顔の岩”が行く手を塞ぐ

白木の森へ踏み込む一行。すると早々に、巨大な“顔”の形をした岩が道を塞ぎます。上田が巻物の図を広げると、そこに描かれたものと同じ形。つまり「妖術使いの遺物(または仕業)」として提示されるわけです。

ここで奈緒子が放つのが、妙に有名なボケ――「椎名桔平に似てる」

森の中の“顔”が、なぜか全部、椎名桔平に見えてしまう奈緒子。怖いはずの場面に、唐突に“推し認知”が混入してくることで、視聴者の緊張が一回ゆるむ。けれど、ゆるんだ直後にまた不穏が来る。ホラーとコメディを交互に叩きつける、堤演出の気持ち悪いほどのリズムです。

民俗学者・柳田は、「人間の力では持ち上がらない。妖術使いは“重力遮断板”で持ち上げた」と断言。まだ見つかっていない“板”の存在が、森の奥に何かあると匂わせます。

森の小屋で見つかる「血痕」と「失踪した学者の痕跡」

やがて一行は一軒の小屋を発見。妖術使いの隠れ家かもしれないと入り込み、資料や文字の書き付けを見つけます。さらに、南方の島々で使われた古代文字のような記号が残されている。

ここで浮上するのが、半年前に森へ入って消息を絶った学者“キシモト”。柳田の助手だった男で、妖術使いの正体を暴くと息巻いて森に入ったきり戻っていないらしい。橋本もその存在を覚えており、“森の怪談”が昔話ではなく「現在進行形の事件」だと分かってきます。

そして柳田は、溜めに溜めて語り出す。

  • 妖術使いの正体は、南方の島の“特殊な力を持った者たち”の子孫
  • 古代、人類は不可思議な力を持っていた
  • 近代化(明治維新以降)の文明によって弾圧されていった
  • しかし南の島には、その力を保つ者が残っている

これが“民俗学”を名乗る柳田の宗教じみた物語です。

ここに小松が噛みつきます。柳田はかつて「インチキ民俗学者」として学会を追放された過去がある、と。柳田は猛反論し、小松は嘲笑する

この対立が“ガチ喧嘩”なのか“演技”なのか、視聴者に判断を預けるような温度で進むのが、後の疑いを育てる仕掛けになっています。

「心を読む岩」嘘をつくと炎が噴き出す“真実の口”型ギミック

次に現れるのが「心を読む岩」。穴に手を入れ、嘘つきが触れると焼かれる――まさに“真実の口”の伝承をなぞった装置です。アランが手を入れると、穴から炎が吹き出す。いよいよ森が“やる気”を出してくる。

奈緒子はここで「誰かがこっそり操作している可能性」を口にします。TRICKの主人公らしい、現場目線の疑い方。
しかし柳田は「実験してみよう」と言い出し、上田を使ってテストを組み立てます。

  • 上田以外の全員が後ろを向く
  • 上田が台の上のコインを何枚かひっくり返す
  • そのうち1枚を手で隠す
  • 表か裏かを宣言し、枝を穴へ入れる

答えを知っているのは上田だけ。だから、他の誰も操作できないはず――というロジックで、岩が“当てた”ことになってしまう。

ここが第10話の嫌らしいところで、「一瞬だけ、本当に超常現象があるのでは?」と思わせる設計になっています。けれど奈緒子は、釈然としない顔で黙る。

視聴者の心が揺れた瞬間、奈緒子の“沈黙”がブレーキになる。TRICKはよく、主人公に「疑っている顔」をさせることで、視聴者の熱狂を一段冷ましていきます。

「死人を生き返らせる棺桶」口喧嘩が、そのまま恐怖の前振りに

さらに辿り着くのが「死人を生き返らせる棺桶」

柳田は「妖術使いはこれで何度も生き返った」と語り、小松は「空だったら柳田が一度死ね」と煽る。もはや口論のテンションが、森の空気と釣り合っていないのが逆に怖い。

柳田はトイレに籠城。小松が扉を叩き、引きずり出そうとする。次郎と奈緒子は置いてけぼり。

この“しょーもない揉め方”があるからこそ、次に来る「本当に危ない瞬間」が刺さるんですよね。TRICKはいつも、恐怖を成立させる前に「笑いで地面をゆるくする」。その上で足元を抜く。

棺桶を開けた瞬間、何かが飛び出す。妖術使いは「蘇った」?

「私が開ける」と前に出る奈緒子を制止し、日向が「俺がやる」と名乗り出ます。周りを下がらせて棺桶を開けると――中から“何か”が飛び出す。正体を確かめる間もなく、森へ消えていく。

柳田は激怒し、「妖術使いが生き返った」と断言。
この時点で、森の“物語”は完成します。

  • 棺桶=蘇りの装置
  • 開けた=蘇った
  • だから、もう殺される

理屈ではなく、連想で恐怖が増幅する。集団心理が、現象の正体に先回りしていく感じが本当に上手いです。

夜の森に響く歌と、身体に起こる異変

日が落ちると、森のどこかから妙な歌が聞こえてくる――という言い伝えが現実になります。橋本が語る“妖術使いの歌”を聞いたメンバーの身体には、それぞれ異変が起こっていく。さらに小屋には、赤い文字で「私は蘇った。裁きを下すために」というメッセージが書かれた布が垂れ下がっている。

森の異変は、視覚だけでなく聴覚、触覚にまで染み込む。

そして“育毛効果がある花粉や樹液”の説明がここで効いてくる。怖がらせ方が、オカルトではなく「気持ち悪い生理現象」なのが、やたら生々しい

歌は「けがのびーる」とも聞こえる(=毛が伸びる)。くだらないダジャレなのに、状況が状況だから笑い切れない。この“笑えないギャグ”が、TRICKの不穏さの核です。

奈緒子が聞く「南の島」の話。地図にない島、散らばった子孫

一泊することになった小屋で、奈緒子は柳田に「南の島」について尋ねます。

柳田は、地図に載っていない小さな島であること、100年前に追われた一部の者が黒潮に乗って日本各地に散らばったことを語る。奈緒子がこの話を“真面目に”聞くのが重要で、ここで第10話は「ただの村の怪談」ではなく、奈緒子の“個人史”へ触れる回になっていきます。

深夜、日向が小屋を出る。そして翌朝「顔の岩」の下敷きで発見

深夜、何者かの気配で日向が目を覚まし、ひとり小屋を出ていきます。彼は気配の正体を追おうとするが――。

翌朝、アランが外に出ると、日向は“顔の岩”の下敷きになって死んでいた。

ここで一気に「コメディの団体行動」から「殺人の現場」へ切り替わる。森の空気が冷える瞬間です。

柳田は当然のように「妖術使いの仕業」。一方アランは「どうやって岩を運んだ?」という物理の謎へ視線を向ける。
この二人の視点の分裂が、そのまま作品のテーマでもあります。信じたい“物語”と、疑いたい“構造”。どちらも正義の顔をしているから、タチが悪い。

上田の理屈が通じない。「学者マウント」と「素朴な疑問」に挟まれる地獄

上田がトリックを説明しようとするものの、柳田に「物理学で説明してみろ」と詰められ、さらにマリアの素朴な疑問が刺さって、うまく言語化できなくなる。そこへ奈緒子が助け舟を出すが、柳田は奈緒子の説を覆す“実験”を始め、論破して見下す。

TRICKは、主人公が「天才的に解く」だけの作品じゃない。

むしろ上田が“説明できない状態”に追い込まれるとき、視聴者も同じ場所に立たされる。
「分からない」ことが怖い。だけど「分かった」だけでは救われない。ここが後味の渋さに繋がります。

森から出られない。ぐるぐる回る足取りが、疑心暗鬼を加速させる

橋本は村長へ連絡して警察を呼ぼうと提案。しかし森から出ようとすると、同じ場所をぐるぐる回るように戻ってしまい、出口に辿り着けない。

この“迷い”が象徴的で、外へ出る道が見えないとき、人間は内側(仲間)を疑い始める。

森が怖いのではなく、「森に閉じ込められた集団」が怖くなる。ホラーの王道に、TRICKの口喧嘩が混ざって、嫌なテンションが出来上がっていきます。

棺桶に日向の遺体を入れる「禁じ手」。そしてラストの大混乱へ

マリアは「棺桶に日向を入れて、誰に殺されたか聞けばいい」と言い出し、日向の遺体を棺桶へ。ある程度時間が経ってから、棺桶を開けてみると――現場は大混乱に陥ります。

起きたのは、ざっくり言えば以下の“同時多発”です。

  • 生き返った日向
  • 妖術使いの出現
  • 橋本が再び日向を殺そうとする動き
  • そして「つぼ八」が失われている

「誰が味方で、誰が敵で、何が目的で、どこから仕掛けられていたのか」。すべてが絡まったところで、第10話は幕を閉じます。

TRICKはいつも、謎解きの前に“人間関係”をぐちゃぐちゃにして、視聴者の感情を揺らしてから答えを出す。この最終章前編は、そのやり方が一番ハマった回だと思います。

トリック(シーズン2)10話の伏線

トリック(シーズン2)10話の伏線

第10話は最終章の前編なので、「次回(最終回)で回収される前提の伏線」がかなり多い回です。ここでは“10話の中で提示された謎”を、後から見返しやすい形で整理します。

巻物に書かれた「三つの遺物」=森の事件の骨格

  • 顔の巨岩(オルメカ・ヘッド的な頭像)
  • 嘘で炎が出る「真実の岩」
  • 死者を蘇らせる棺桶

この三点は、単なる“怪奇スポット紹介”ではなく、日向の死・棺桶の混乱・つぼ八の消失を束ねる骨組みとして機能しています。どれか一つでも偽物なら、残り二つの“信憑性”も揺らぐ。逆に一つでも本物に見えたら、集団は一気に物語へ飲み込まれる。

「重力遮断板」は未登場=誰かが“持っている”匂い

柳田は、顔の岩を持ち上げた方法として「重力遮断板」を繰り返し口にしますが、第10話の時点では実物が見えません。
つまり、

  • どこかにある
  • 誰かが隠している
  • あるいは最初から存在しない

の三択が残る。未登場の道具は、TRICKにおける「犯人側の手札」であることが多いので、ここは強い伏線です。

“キシモト”の痕跡=森で消えた人間が残したヒント

小屋に残る資料、古代文字の書き付け、そして「助手だったキシモトが半年前に森へ入って消えた」という情報。

この人物は、第10話の段階では“設定”として置かれているだけですが、森の仕掛けを知る唯一の第三者になり得る存在です。なぜ消えたのか/何を見たのか/誰に近かったのか――このへんが回収ポイントになっていきます。

柳田と小松の“喧嘩”がわざとらしい=仲間割れに見せた誘導?

民俗学者とルポライターが、初対面に近い温度で噛み合いすぎる。

視聴者目線では「分かりやすい火種」ですが、TRICKは“分かりやすさ”をそのまま置かない。喧嘩で視線を集めている間に、別のところで何かが進んでいる可能性が高い。ここは「人間関係が伏線になる」タイプの仕掛けです。

「心を読む岩」の実験が成功した“違和感”=奈緒子の沈黙がヒント

上田だけが答えを知っている状況で、岩が“当てた”。

しかし奈緒子は釈然としないまま黙っています。TRICKでは、奈緒子の「納得してない顔」が、そのまま“視聴者への合図”になりがち。

この実験のどこに穴があるのか――そこが最終回の鍵になるタイプの伏線です。

夜の歌/赤いメッセージ/体の異変=恐怖の“心理誘導”の種

  • 夜に響く歌
  • 「私は蘇った。裁きを下すために」というメッセージ
  • 育毛効果のある花粉・樹液の説明

これらは、単独だと怪談ですが、セットになると「集団の恐怖をコントロールする装置」になります。恐怖が高まると、人は冷静な観察ができなくなる。つまり“仕掛ける側”にとっては都合がいい。第10話は、恐怖の種を撒き切った状態で終わります。

日向の深夜行動と“岩の死”=死因が確定していない不気味さ

日向は深夜に何者かの気配で外へ。翌朝、岩の下敷きで発見。

でも「どうやって岩がそこへ?」が解けない限り、死因は“妖術使い”でも“人間”でも成立してしまう。だから疑いが拡散し続ける。ここは最終回での種明かし前提の伏線です。

森から出られない“ループ”=磁場?目印?それとも…

出口へ向かっているつもりなのに同じ場所に戻る。
この“迷い”は、オカルトでも、トリックでも作れる現象です。第10話では原因が明示されないまま、「閉じ込められた」事実だけが提示されます。つまり仕掛けの存在を匂わせる伏線になっています。

ラストの混乱(生き返った日向/橋本の動き/つぼ八消失)=動機の束ね役

棺桶を開けたラストで、情報が一気に爆発します。

  • 日向が“生き返った”ように見える
  • 橋本が日向を殺そうとする
  • つぼ八が消えている

ここで重要なのは、「つぼ八」が“怪奇”ではなく“価値(=金)”の匂いを持つこと。
超常現象っぽい話が、最後に“人間の欲”へ接続されていく――TRICKの着地の匂いが、この時点でもう立っています。

トリック(シーズン2)10話の感想&考察

トリック(シーズン2)10話の感想&考察

最終章前編の第10話は、TRICKの“ホラー×コメディ×人間ドラマ”が、かなり濃度高く出た回だと思います

白木の森の怪談は分かりやすいのに、そこに入ってからの空気が、どんどん「分かりにくく」なっていく。つまり、謎そのものより「人間」が見えなくなる回なんですよね。

“森が怖い”より、“集団が怖い”に切り替わる構造

前半の怖さは、「顔の岩」「真実の岩」「棺桶」といった“異物”が出てくる怖さです。

でも中盤からは、柳田と小松の対立、上田の説明不全、奈緒子の沈黙、橋本の焦り…と、人間の不穏が前に出てくる。森が怖いというより、森に閉じ込められた集団が怖い。

この切り替えが上手いのは、TRICKが「幽霊」や「超能力」そのものより、信じる側/利用する側/疑う側の“弱さ”を描きたい作品だからだと思います。怪異は、だいたい人間の都合で生まれていく。

“椎名桔平”ギャグが、実はかなり重要

奈緒子が森の顔を見て「椎名桔平」と言い続けるくだり、初見だとただのボケです
でもこれって、「人は見たい顔を見る」という現象そのものでもある。

  • 恐怖が強いと、物を“それっぽく”見てしまう
  • 情報が入ると、脳が勝手に補完する
  • 一度そう見えると、他も全部同じに見える

奈緒子の“推しフィルター”が、そのままミスディレクションになってるのが面白い。視聴者は笑いながら、「見間違いの怖さ」を刷り込まれていく。

上田が“説明できない”のが、むしろリアル

上田は基本的に理屈で殴る男ですが、この回は柳田に煽られ、マリアの素朴な疑問で詰まり、言葉にできない時間が増える。

ここが良いのは、科学って「正しい」だけじゃ人を救えないからです。
正しい説明でも、相手が聞く耳を持たなければ届かない。
さらに、閉鎖空間で恐怖が高まっているとき、理屈は“遅い”。その遅さが、怖さになる。TRICKはその“科学の無力感”を、必要以上にヒロイックにせずに描くのが好きです。

奈緒子が「縦糸」に触れそうで触れない絶妙さ

第10話は、奈緒子が巻物を見た瞬間から「これは自分に関係がある」と反応する回です。
柳田が語る“地図にない南の島”や、追われて散らばった子孫の話は、奈緒子の背景へ繋がる匂いが濃い。

ただしTRICKは、こういう縦糸を「次回へ続く」ところで止める。
「分かった気がする」だけを置いていく。
だから視聴者は、最終回を見ずにいられなくなるし、見終わったあとも“余韻”が残る。

「つぼ八」が出てきた瞬間、怪奇が“現実”に変わる

終盤で“つぼ八”が失われることで、森の怪談が急に現実の匂いを持ちます。

超常現象って、どこかで「ふーん」で済むんですが、金や利権が絡んだ瞬間に「人が死ぬ理由」になる。

高速道路建設という開発の話、村の発展という大義、学者の名誉、記者のネタ、建設会社の受注――それぞれが、つぼ八一点に集約される可能性が出てくる。

TRICKはいつも、“信じたい物語”の最後に“生々しい欲”を置いてきます。救われないけど、妙に納得してしまう後味が残るのは、そのせいだと思います。

考察:第10話は「トリックの種」をばら撒く回。答えより“材料”が主役

最終章前編は、答えを出す回ではなく、視聴者に“考える材料”を配り切る回です。

  • 物理で説明できる要素(岩の移動、炎の仕組み、迷いの原因)
  • 人間の都合(開発、利権、復讐、名誉、承認欲求)
  • 共同体の物語(妖術使い、裁き、蘇り、歌)

これらが全部入り乱れて、最後に棺桶の混乱で「整理不能」の状態にして終わる。

TRICKの最終章って、いつも“謎”より“人間”を先にぐちゃぐちゃにするんですが、第10話はそのやり方がとにかく徹底していました。

次回、どこまで理屈でほどけるのか。あるいは、ほどけたとして何が残るのか。「タネが分かっても救われない」TRICKの美学が、ここから一気に加速していきます。

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