第3話までで“個人の罪”を暴いてきた浩一(草彅剛)の復讐が、第4話でついに“政治”の領域へと踏み込む。

標的は代議士・四条綾子(ジュディ・オング)。
息子・司の罪を隠すため、二科興三(市村正親)に事件の揉み消しを依頼した張本人である。
浩一は“占い師”として信頼を得るハルカ(水原希子)と、“国税局員”に扮する百田(マギー)を使い、信頼と恐怖を段階的に植え付ける二重の罠を設計。
最後に突きつけたのは、彼女が嫌う“偽善”という言葉そのものだった。
政治と金、信頼と裏切り——嘘がもっとも美しく機能した、シリーズ屈指の知略回である。
ドラマ「嘘の戦争」4話のあらすじ&ネタバレ

第4話は、30年前のOL死亡事件を“闇に葬った”政治の線に踏み込む章。
ターゲットは代議士・四条綾子(ジュディ・オング)——事件当時、息子・司(森岡豊)の罪を二科興三(市村正親)に“処理”させた張本人です。
浩一(草彅剛)は占いと税務を使った二段構えで、四条の信頼と裏金の動線を同時に掌握。
ラストでは裏金5億円を“ある場所”へ移し、司の逮捕と四条の政治生命を一気に折りにいきます。物語を時系列で追いながら、罠の設計と「嘘の配置」を整理します。
隆の追跡と“政治の線”の浮上
二科隆(藤木直人)は浩一=千葉陽一の同一性を確かめるため、最初に破滅した五十嵐(甲本雅裕)の病室を訪ねるが、錯乱状態のため情報は得られません。
一方の浩一は、30年前の交友関係を辿るうちに代議士・四条綾子の名へ到達。
次の標的を政治家に定めたことで、今回の表題「裏金5億奪え…政治家に復讐」が明確化します。
“占い師”ハルカの作戦──信頼をつくる第一段
四条は長年、重要な判断を“占い”に委ねてきた人物。
ハルカ(水原希子)は亡くなった占い師の弟子を装い、「議員会館の西側に黄色い花を飾れば流れが変わる」と助言します。
やがて息子の事業に出資者が現れ、対立候補には不倫スキャンダルが発生。
すべてが“当たった”ことで、四条はハルカを完全に信じ込みます。もちろんこれらは、浩一らの事前調査と誘導で仕組まれた“偶然”でした。
“税務の影”を使う──裏金移動の仕掛け
次に仕掛けるのは、百田(マギー)による国税局員の偽装です。
ハルカは先んじて「お金に注意を」と予言しており、四条は自宅金庫から現金を避難させる。
百田が行く先々に“偶然”現れることで監視されている錯覚を強め、ハルカが「東南が安全」と助言。
結果、四条は別荘の金庫へ裏金を移す。
占い(信頼形成)×税務(リスク演出)の二段構えで、“金の居場所”を完璧に誘導する流れです。
崩しの最終段──資金ショートと「偽善」への返答
浩一は司に提案していた「5000万円の出資」を土壇場で撤回。
他の出資者にも「資金を返せ」と圧をかけ、司を窮地に追い込みます。司が母へ縋り、四条が別荘へ向かうと、金庫は空。
代わりに残っていたのは「寄付金受領書」。寄付先は“世界の子どもを救おう会”。街頭募金を見て「偽善は大嫌い」と吐き捨てた四条へ、浩一は電話で告げます。
「あなたが嫌う偽善に使わせてもらいました」——
嘘で奪い、皮肉で返す、シリーズ屈指の逆転劇でした。
30年前の罪──主犯格の名と次章への布石
浩一は30年前のOL死亡事件、四条が二科へ揉み消しを依頼した事実を突きつけます。
「あなたの息子が人を殺した」と告げられた四条は動転し、「私がやらせたわけではない」と抗弁。司は“主犯は別にいる”と逃げようとし、ここで主犯格・九島亨の名が浮上。
第4話は、政治から財界へと復讐ベクトルが拡張する橋渡しの章でもありました。
余波──司の逮捕と二科家の“反撃準備”
司は出資法違反で逮捕。四条は政治生命を失い、浩一の復讐は一段落します。
その裏で二科興三は「録音と所持者を消せ」と隆に圧をかけますが、隆は「千葉陽一の手掛かりがある」と一週間の猶予を得る。
隆のPCに、晃(安田顕)経由で渡された事業データのUSBを差し込むと、カズキ(菊池風磨)仕込みのマルウェアが作動。
浩一サイドは二科家内部を常時監視できる体制を築き、次の標的へと動き出します。
楓への揺さぶり──指輪と嫉妬の連鎖
個人線では、楓(山本美月)と浩一の距離が急速に近づき、ハルカは嫉妬から「指輪はネットで数百円」と真実を漏らしてしまう。
「彼を全面的に信じないで」と楓へ告げた一言が、感情と信頼の均衡を崩す。
恋と嘘と復讐の温度が交差し、楓の揺れは次章の不穏な兆しとして残りました。
ドラマ「嘘の戦争」4話を見た後の感想&考察

第4話は、「嘘の配置」と「偽善/正義の反転」を政治・金・家族の領域にまたがって描いた回。
巧妙な策と同時に、“寄付”という行為を復讐に使う逆説が、シリーズの知的な魅力を際立たせていました。
占い→税務→別荘──“人を動かすプロセス設計”の美学
嘘の巧みさは、手口の派手さよりも順序に宿ります。
占いでポジティブな“予言”を与え、効いたと実感させて信頼を構築。次に税務の影で恐怖を与え、リスク回避の行動を誘導。
そして方角の助言で別荘へ導き、金を回収する。
快・不安・安心という心理の波形を綿密に設計し、人を動かす“嘘の演算”が見事でした。
「偽善」をひっくり返す——5億円の行方に込めた倫理
街頭募金を見て「偽善は大嫌い」と吐き捨てた四条。
その言葉を“寄付金の領収書”で返す演出は、行為の価値より動機の価値を重視する彼女の倫理観を逆手に取っています。
浩一は「あなたが嫌う偽善」で「あなたの嘘」を可視化した。
善と偽善の線引きは、使われた側の現実——救われる命の事実——によって上書きされる。復讐と救済が交差する、このシリーズらしい終局でした。
二科三きょうだいの温度差と構造の呼吸
隆=統治、晃=善意、楓=倫理。
この三人の温度差が、浩一の“侵入角度”を決める地図として機能しています。
隆の静かな反転(PC監視の布石)と楓の揺らぎ(信頼の崩れ)を並走させた構成により、二科家という装置の立体感が増しました。
嘘の戦争が単なる復讐譚に留まらず、人間の構造を写すドラマであることを再確認させられる回でした。
政治の描き方──“個の悪”ではなく“構造の悪”へ
四条綾子は単なる“悪役政治家”ではありません。
判断を占いに委ねる空洞化、子のために倫理が溶ける構図、金が人間関係を支配する現実。ドラマは個人の悪意よりも、政治・金・家族が絡み合う“構造の悪”を描く。
ゆえに、寄付という罰が象徴的で、社会的にも説得力がありました。
設計の“余白”──なぜ主犯の名をここで出すのか
終盤で九島亨の名が出るのは、個別の復讐劇に留めず、物語を広げる布石です。
政治(四条)と財界(九島)が連なることで、物語は“個の断罪”から“ネットワークの暴露”へと移行する。
この転換によって、復讐劇が社会構造のスリラーへとスケールアップする準備が整いました。
嘘で触れる恋──ハルカと楓の“倫理の衝突”
ハルカの嫉妬は単なる三角関係ではなく、職業としての“嘘”が感情に侵食する危うさを描いています。
ケアの倫理(楓)と実務の倫理(ハルカ)が、浩一の存在を挟んで衝突する。その矛盾が、後半戦で最も痛烈な感情の引き金になると感じます。
総括
占い→税務→資金移動→寄付の工程が美しく、政治の現実に「嘘の配置」を落とし込んだ回。
善と偽善の反転を領収書という小道具で描き、社会的テーマを復讐の文法に昇華させた。二科家の三きょうだいを“統治・善意・倫理”で整理し、物語構造の座標が明確に。
第4話は、「嘘は量ではなく配置」という本作の信条を最も鮮やかに体現した章でした。
次回、第5話で描かれる“一流銀行マン・九島”への矢が、どのように復讐の地図を広げていくのか——その行方に期待が高まります。
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今回のドラマには草なぎ剛さんを初めとした豪華キャスト陣が登場します。合わせて以下記事も参照してくださいね。


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