毎週火曜10時から放送の「ON異常犯罪捜査官・藤堂比奈子」ですが、第8話が終了しました。

郁夜がついに脱獄してしまいました。東海林は何者かに殴られてしまい、監禁されてしまいます。話はクライマックスに。ついにドラマ「ON異常犯罪捜査官・藤堂比奈子」が最終回を迎えますが、比奈子達はどうなってしまうのでしょうか?
ドラマ「ON異常犯罪捜査官・藤堂比奈子」は2016年9月6日(火)の22時よりフジテレビ系で最終回(第9話)のあらすじと感想を書いていきます。
※以後ネタバレ注意
「ON 異常犯罪捜査官・藤堂比奈子」9話(最終回)の見どころ

最終回となる第9話では、藤堂比奈子を取り巻く数々の事件がついにクライマックスを迎えます。
これまでの伏線が回収され、最大の謎であった“高校時代に比奈子へナイフを手渡した人物”の正体も明かされました。物語は緊迫した最終局面へ突入し、比奈子自身の運命を決定づける重大な選択が描かれます。ここからは、注目すべきポイントを整理していきます。
真壁永久の正体と最後通告
これまで謎に包まれていた黒幕の正体は、真壁永久(芦名星)。高校時代に比奈子へナイフを渡し「自分らしく人を殺せばいい」と囁いた張本人でした。
第9話冒頭、永久は比奈子の前に現れ「1人で来て人質を救うか、警察と共に来て人質を殺すか。24時間以内に選べ」と迫ります。究極の二択を突き付けられた比奈子は、単身で危険な現場に向かう決断を迫られることになります。
永久の過去と狂気の源
真壁永久の過去も明かされ、彼女の狂気の背景が浮き彫りになりました。
幼少期に両親から虐待され捨てられ、施設では性的虐待を受けた末に、両親と施設長を殺害。遺体の一部を“コレクション”していたという戦慄の経歴を持ちます。
「職業は人殺し、趣味も人殺し」と自称するほどの異常性の塊。共犯だった佐藤都夜(佐々木希)すら、ためらいなくガソリンで焼き殺す冷酷さを見せつけました。日本の連続ドラマでは異例とも言える生き焼きの描写は、視聴者に強烈な衝撃を残しました。
比奈子と永久、宿命の直接対決
物語のクライマックスは、比奈子と永久の直接対決。東海林(横山裕)を人質にした永久は、廃倉庫で比奈子に「私を殺すか、東海林を殺すか選べ」と迫ります。自分を殺さなければ倉庫ごと東海林を焼き殺すと宣言し、比奈子に究極の選択を強要しました。
これはまさにシリーズを貫いてきたテーマ「刑事か、怪物か」を体現する試練。比奈子が犯罪者と同じ側に堕ちるのか、それとも刑事として踏みとどまるのか。緊張感あふれる最終決戦は、比奈子の本質を試す場面となりました。
ON異常犯罪捜査官(ドラマ)9話(最終回)のあらすじ(ネタバレ)

比奈子(演:波留)はついに辞職をすることを決意した。東海林(演:横山裕)に自分の異常性について、暴かれてしまったからだ。しかし、そんな矢先に比奈子に一度逮捕されてしまい、強い執着を持っていた佐藤都夜(演:佐々木希)が脱走した。
比奈子は都夜に命を狙われる可能性が高いため、東海林の警護の元、ホテル住まいにすることになった。
しかし、まるで警察内部が筒抜けかのように都夜は比奈子の居場所を突き止める。一方、警視庁・片岡(演:高橋努)は都夜を追跡し、追い詰める間際で、突然現れた謎の女性に切り付けられる。
その女性とは・・・
高校生の比奈子にナイフを渡した張本人。「自分らしく人を殺せばいい」とアドバイスした真壁永久(演:芦名星)だったのだ!
永久の突然あらわたことで比奈子は呆然とする。そんな比奈子に何かを語りかけ、永久は再び姿を消す・・・。
一方、ホテルから行方をくらませた東海林は永久に拉致・監禁されていた。彼女の恐るべき計画に恐怖に包まれる東海林。永久に翻弄(ほんろう)され、最悪の窮地に陥る比奈子は、かつての進言通り、殺人者になってしまうのか?
これまで殺人者への強い探究心で犯罪者とむきあってきて、「人を殺す者と殺さない者の境界線」に立ってきた比奈子は、最恐かつ因縁の女性・永久との再会をきっかけに、どんな答えを見出すのか?闇を抱える女刑事の物語が、衝撃のクライマックスを迎える。
「ON 異常犯罪捜査官・藤堂比奈子」9話(最終回)の感想&考察

最終話は、シリーズを貫いた「刑事か、怪物か」という命題が美しく収束した回でした。真壁永久という黒幕の輪郭が立体化し、比奈子の内面の揺れと選択が明確に言語化されます。
ここからは、真壁永久の動機、比奈子の葛藤と成長、演出面、そしてラストシーンの意味を順に掘り下げていきます。
真壁永久の動機と狂気の正体
永久は高校時代から比奈子の中に“自分と同じ闇”を見出し、いずれ人を殺すはずだと確信していた人物でした。
ところが比奈子が一線を越えないため、彼女を“同じ側”に引き込むべく事件を仕立て、最後通告という歪んだゲームを仕掛けるに至ります。
幼少期の虐待や施設での被害によって感情が壊れ、「殺すこと」だけが自己表現となった永久は、共犯の都夜すら焼き捨てる冷酷さを示す。
その背後に透けるのは、誰にも愛されず誰も愛せない孤独であり、比奈子に向けられた異常な執着は“愛に似た殺意”として最終局面で爆発しました。永久にとって比奈子は、怪物として完成させたい「作品」であり、同時に唯一の理解者になり得る“特別”だったのです。
比奈子の葛藤と下した答え
比奈子は長く「自分も人を殺しかねない」という恐れと、亡き母の言葉に支えられた“正しい道”への希求の間で揺れてきました。
廃倉庫で永久は「私を殺すか、東海林を殺すか」と究極の選択を迫り、比奈子は刃に手をかけます。だが東海林の叫びが届き、振り上げたナイフを静かに下ろす。ここで比奈子は、自分が「殺す者ではなく、殺さない者」であることを自ら証明しました。
炎が回る中で必死に救出に奔走し、逮捕の場面では永久を抱きしめ「こうしてくれる人がいれば、あなたも違ったかもしれない」と語りかける。人を殺さず、人を抱きとめる選択は、永久の心をも軋ませました。東海林は「お前は一人じゃない」と告げ、比奈子を仲間として受け入れる。比奈子は退職届を撤回し、「私は刑事」として歩み直す決意を固めます。
最終回の演出と緊張感
オープニングの脱獄・襲撃からラストの対決まで張り詰めたテンションを保持しつつ、中盤の対話で呼吸を置く設計が秀逸でした。
劇伴は不穏と荘厳を往還し、火や油、金属音の生々しい質感が“本当に点火するのか”という恐怖を現実化する。護衛体制の綻びや追跡の混乱など、ご都合に見える局面が皆無ではないものの、対決の必然と人物の芯がそれを上回る説得力を与えました。
都夜の最期を含む苛烈な描写も、単なるショックではなく、永久の「手段を躊躇しない論理」を可視化するための装置として機能。映像・音響・脚本が同じ方向を向くことで、サスペンスとしての密度が最後まで崩れません。
ラストシーンの意味と余韻
逮捕後、比奈子は夢の中で再び永久に向き合い、ナイフを鞘に収めて手錠をかけながら「私は、刑事だから」と宣言します。母が微笑んで見守るこの場面は、比奈子の内的決着を可視化する装置です。
シリーズの命題に、比奈子自身の言葉で明確な解答を提示し、視聴者に「もう大丈夫」と伝える静かなカタルシスとなった。
外的事実(永久の逮捕・復職)だけでなく、内面の選択をもって物語が閉じる構図は、テーマの一貫性を強く印象付けます。
総括
真壁永久の狂気と悲哀、そして比奈子が選んだ“殺さない”という能動的な意志により、本作は猟奇の謎解きを超え「人はなぜ人を殺さないのか」という根源的問いへ到達しました。
論理と感情のバランス、攻めた演出、俳優陣の熱演が噛み合い、暗い物語でありながら人間ドラマとしての救いを残す。
最終回は、タイトルが掲げた問いへの明快な解答であり、比奈子が“怪物”ではなく“刑事”として立つ瞬間を確かに刻んだ、堂々たるフィナーレでした。
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