MENU

あなたの番ですの犯人は黒島沙和?黒幕・西野七瀬の動機と殺害リストや相関図まとめ

あなたの番ですの犯人は黒島沙和?黒幕・西野七瀬の動機と殺害リストや相関図まとめ

『あなたの番です』は、住民会の交換殺人ゲームをきっかけに次々と事件が起こる中、誰が黒幕なのかが話題となった作品です。

ドラマ中盤以降、不可解な出来事の中心にいる黒島沙和に疑いが集まり始め、物語は大きく動いていきます。

本記事では、黒島というキャラクターを軸に、彼女に向けられた伏線、動機、そして関与した事件を整理しながら、物語の核心に触れていきます。

目次

犯人/黒幕は黒島沙和の相関図や関係図

あなたの番です。黒島紗和の相関図と関係図

一枚でどんな感じの相関図か確かめたい方はこちらを確認してください。

あなたの番ですの犯人/黒幕は黒島沙和!

あなたの番ですの犯人/黒幕は黒島沙和!

まず結論として、『あなたの番です』の“黒幕”は黒島沙和です。

最終回で、翔太と二階堂の前に拘束された状態で現れた黒島は、赤池夫妻、児嶋佳世、浮田啓輔、そして手塚菜奈の殺害を自ら認め、さらに高知での少女殺害事件にも関与していたことが明らかになります。

表向きは、

・理系の大学生
・おとなしくて控えめ
・DV彼氏に苦しむ“被害者”

というイメージで描かれてきた黒島。

だからこそ、「実は一連の連続殺人の中心人物でした」という種明かしが強く効いてくるわけですが、改めて振り返ると「最初からずっと怪しかったよね?」と思える要素もかなり多いです。

黒島が黒幕だと判明するまでの流れ

ざっくり追うと、黒島が真犯人へと収束していく流れはこんな感じです。

反撃編で二階堂のAIが、犯人候補の確率を計算した結果「黒島 89%」と算出
高知の少女殺害(南の娘・穂香)も“笑う遺体”で、赤池夫妻・浮田・菜奈の遺体と同じ特徴を持っていたと判明
黒島の周囲で、元家庭教師・DV彼氏・ストーカー内山など「黒島を好きになった男」が次々と死んでいることが発覚

菜奈が残したパズルの裏メモから「牡羊座のラッキーデー」と殺害日の一致が明らかになり、牡羊座である黒島に疑惑が集中
菜奈殺害動画の“本当のバージョン”が復元され、黒島が関与していたことが裏付けられる

そして最終回では、ホテルでの“ゾウさん/キリンさん”再現シーンから黒島の仮面が完全にはがれ、「人を殺すことを愛している」「どうしても止められない」と自ら語るに至ります。

あなたの番ですで黒島が怪しいと言われた伏線まとめ

視聴者目線で「ここが怪しかった」と思えるポイントを整理していきます。

ケガの多さと“被害者ポジ”の強調

電車事故で骨折していたり、ストーカー内山のDVであざだらけだったり、とにかく“傷つく側”として描かれ続ける。これが逆に「なぜこんなにトラブルを呼ぶのか?」という違和感につながっていました。

交換殺人ゲームでの発言のあいまいさ

「書いた紙は早川教授」「引いたのは織田信長」と言い張るものの、視線をそらしたり急に話題を変えたりと、とにかく嘘くさい

後に久住の証言で、“赤池美里と書かれた極小文字の紙を黒島が読んでいた”と暴露され、ここも伏線回収されます。

赤池家事件日の行動がはっきり描かれない

誕生日パーティーの夜、黒島の足取りはかなりぼかされており、「本当に家にいたの?」という疑問が放置されたまま進行。

最終回で、ここが「笑気ガス+ナイフ」で赤池夫妻を殺した夜だったと判明します。

19話の“牡羊座ラッキーデー”との一致

菜奈のメモのラッキーデーと黒島の星座が重なり、一気に“ルールに基づいて人を殺している犯人像”に近づいていきます。

浮田が「お前か」と問い詰めた相手

浮田は死ぬ直前、「お前か?」と詰め寄っています。誰を指したのか曖昧なままでしたが、最終回後に振り返ると「やはり黒島だった」と腑に落ちるシーンです。

こうした“違和感の積み重ね”が、最終回の告白で一気に線としてつながっていきます

あなたの番ですの犯人“黒島沙和”の動機。交換殺人を進めた理由とは?

あなたの番ですの犯人“黒島沙和”の動機。交換殺人を進めた理由とは?

次に、一番気になる“動機”について。

黒島の動機は「復讐」「金銭」「口封じ」といった分かりやすいものではありません

本人の口から語られるのは、「人を殺すことが楽しい」「自分は人を殺すことを愛している」という、非常にストレートな快楽殺人者としての自白です。

ただ、Huluの過去編まで含めると、そこに至るまでの背景は相当ねじれています。

表向きの動機:交換殺人ゲームとDV彼氏・波止

“スタート地点”として置かれているのは、交換殺人ゲームで書いた「波止陽樹(DV彼氏)」の存在です。

・黒島はDVに苦しむ自分を救うため、ゲームの紙に「波止」の名前を書く
・その名前を引いたのが、後に“正義の暴走”をする田宮
・田宮は自宅の映像でDVを知り、義憤から波止を撲殺する

黒島の中でここに芽生えるのが、

「自分が殺したいと思っていた相手を代わりに殺してくれた人がいる」

という歪んだ共犯意識です。

「自分と同じように人を殺す人がいる」と感じた黒島は、“仲間探し”を始めます。その装置として選んだのが交換殺人ゲームでした。

本質的な動機:殺人衝動と「楽しい」という感覚

Huluの「扉の向こう – 黒島沙和(過去編)」では、黒島が高校時代から“人を傷つける妄想”に悩まされていたことが描かれます。

・女子生徒の首を絞めるイメージが浮かぶ
・いじめっ子を石で殴るシーンを想像してしまう
・「やってしまうかもしれない自分」が怖くて何度も自殺未遂

そんな中、大雨の夜に雨宿りしていた少女(南穂香)を殺してしまい、初めて“楽しい”と感じてしまった。黒島はこの“楽しい”を忘れられず、「自分は普通じゃない」と確信してしまいます。

その後の殺人の動機も、

・人が死ぬ瞬間を見るのが楽しい
・死体の口角を上げて笑わせるのが好き

という快楽的な要素が中心となっていきます。赤池夫妻、浮田、佳世、菜奈の“笑う遺体”は、その象徴です。

黒島沙和と「普通」という残酷なテーマ

黒島の動機を語るうえで外せないキーワードが「普通」です。

・両親は「普通でいい」「普通に生きてほしい」と言い続ける
・黒島はその“普通”に届かない自分を自覚している
・殺人衝動を抑えるため、数学や勉強に逃げ込む

“普通でいてほしい”という言葉は一見優しいようで、黒島にとっては「普通じゃない自分」を否定され続ける呪いにもなっていた。

本来なら専門的な医療・支援が必要だったはずなのに、

・親は「そのうちまともになる」と目をそらし
・医者も「異常なし」で終わらせ
唯一理解しようとした家庭教師・松井先生も、最終的に黒島の手にかかってしまう

この積み重ねの果てに、「どうせ普通には戻れない」と黒島は諦めてしまったのだと感じさせます。彼女の“快楽殺人者としての動機”には、強い自己嫌悪と絶望が混ざっているように思えます。

【考察】黒島沙和は救いようのない犯人だったのか

では、黒島は完全に“救いようのない怪物”だったのか。ここは、あえて感情ベースで考えたくなるところです。

・高知時代、誰かが本気で黒島の異常性に向き合っていれば?
・医師が「異常なし」で終わらせず継続的なケアにつなげていれば?
・松井先生が正論で押し切らず、彼女の罪悪感に寄り添っていれば?

もちろん、どれも「だから連続殺人が許される」という話ではありません。最終的な責任は黒島本人にあります。

それでも、“誰かがどこかで本気で止めていれば”というIFを考えさせられるのが、黒島沙和というキャラクターの恐ろしくも切ない点だと感じました。

犯人/黒幕の黒島沙和の過去。高知時代での殺人は?

犯人/黒幕の黒島沙和の過去。高知時代での殺人は?

本編だけでは、

「DV彼氏に苦しめられていたかわいそうな女子大生」

というイメージが強い黒島ですが、Huluの過去編を見ると、その印象は大きく変わります。

高知時代と南穂香事件

2014年、高知。
黒島は成績優秀で静かな高校生として描かれますが、頭の中では常に「人を傷つける妄想」が渦巻いていました。

・背後から首を絞めるイメージ
・石で頭を殴るイメージ
・“やりたい自分”と“やってはいけない自分”が引っ張り合っている状態

そんな中で起きたのが、大雨の夜の少女殺害です。

・雨宿りしている少女と出会い、小屋に誘い込む
・最初は数学の問題で気を紛らわせようとするが、衝動に負ける
・道具を並べ、「どれで遊ぶ?」と笑いながら少女を殺害

この少女が、のちに南の娘・穂香だったと最終回で明かされます。南が黒島の部屋から見つけた“片方の靴”が、その証拠です。

ここが、黒島が初めて「楽しい」と感じてしまった殺人であり、彼女の連続殺人鬼としての原点になっています。

家庭教師・松井先生との心中未遂

事件から二年後。
黒島は医学生の家庭教師・松井先生に、自分の頭の中の異常性を打ち明けます。

・松井は脳の画像を見せ、「サイコパスかもしれない」と説明
・それでも「治療すれば大丈夫だ」と励まし、両親に打ち明けることを勧める
・黒島は「家が壊れる」と恐れ、絶対に親には言わないでほしいと拒否

やがて黒島は、海辺で松井に「2年前、あの少女を殺した」と告白し、

「一人殺しただけじゃ死刑にならないから、一緒に死んでほしい」

と言って崖から飛び降ります。結果、黒島だけが生き残り、松井は死亡。

ここで黒島は、

・自分を理解しようとした唯一の大人を殺してしまった
・“普通に戻る最後のチャンス”を自分の手で壊してしまった

という、取り返しのつかない経験をします。

この出来事が、「もう普通の世界には戻れない」という諦めに直結していったのは間違いないでしょう。

内山との出会いと“共犯”の原点

病室で目を覚ました黒島のそばにいたのが、のちの共犯者・内山達生です。

・いじめられていた内山を助けたことから、一方的に慕われるようになる
・黒島が首を絞めても、「あなたのせいで死んでもいい」と受け入れる
・黒島は内山を“自分の異常性を肯定してくれる存在”として認識

黒島は内山に対し、

「これから私がすることを楽しんで」

と告げます。

この時点で、

・黒島=“本物の異常性を持つ者”
・内山=“その異常性を崇拝する信者兼実行犯”

という関係性の原型ができあがります。

上京後も内山は黒島を追いかけ、キウンクエ蔵前の近くに住み、甲野・神谷・こうのたかふみの殺害など、“表には出ない実行役”として暗躍していくことになります。

黒島を取り巻く人たち――内山・南・幸子との関係

黒島の物語を立体的にするうえで重要なのが、彼女を取り巻く3人の存在です。

内山達生

黒島の異常性を全面肯定する“信者”であり、実行犯。
黒島にとっては、自分の一番醜い部分を見せても離れない唯一の他者でもありました。

南雅和

高知の少女殺害事件の被害者・穂香の父親。
「事故物件住みます芸人」としてマンションに潜入し真犯人を追っていたが、その相手が黒島だったと知り、押収された靴を抱きしめて号泣するシーンは、物語の“被害者側の現実”を突きつけてきます。

赤池幸子

黒島の“血のつながらない祖母”。

元地主で遺産問題を抱え、床島・江藤・西村らの思惑の中心にいた人物です。黒島の危うさを知りながらも向き合うことはなく、結果として交換殺人ゲームの火種作りに関わっていくことになります。

この3人の存在が、

「黒島は一人で勝手に逸脱したのではなく、周囲の大人や環境も彼女を“怪物”へと押し出してしまったのではないか」

という視点を与えています。

あなたの番ですの犯人/黒幕の黒島沙和の殺した人一覧

あなたの番ですの犯人/黒幕の黒島沙和の殺した人一覧

最後に、黒島が殺した/主導した被害者を整理します。
“事実ベース”の一覧にすることで、全体像がより掴みやすくなります。

黒島が直接手を下した被害者

  1. 南穂香(高知の少女)
    場所:高知の山中の小屋(大雨の日)
    手口:道具を集めて殴打・殺害
    補足:黒島にとって“初めての殺人”。南の娘であり、最終回で靴が証拠として見つかる。
  2. 家庭教師・松井先生
    場所:海辺の崖
    手口:心中を装って飛び降り(松井のみ死亡)
    補足:黒島が“理解者を殺してしまった”という深い後悔の原点。
  3. 赤池美里
    場所:502号室(赤池家)
    手口:暗転を利用し、笑気ガス→ナイフ
    補足:いわゆる“笑う遺体”の象徴。黒島の歪んだ美意識が色濃い。
  4. 赤池吾朗
    場所:同上
    手口:美里と同じ手口
    補足:ゲーム上殺す必要があったのは美里だけ。吾朗は“ついで”という黒島の危険性を示す供述が残る。
  5. 児嶋佳世
    場所:児嶋家
    手口:アロマを装い笑気ガスを吸わせ窒息
    補足:遺体の解体や遺棄は内山が担当。遺体の口角は上げられている。
  6. 浮田啓輔
    場所:商店街の路地
    手口:笑気ガス→ワイヤー絞殺
    補足:Hulu「扉の向こう」での“妹尾に教えた殺し方”の反転という黒い伏線回収。
  7. 手塚菜奈
    場所:病院の個室
    手口:点滴に塩化カリウムをセットし、“ゾウさん/キリンさん”で選択させる
    補足:内山に動画を撮らせ、自殺映像風に編集。物語の核心となる殺人。
  8. 内山達生
    場所:内山の部屋
    手口:矢じりに毒を仕込み、死に至るよう細工(形式上は自殺)
    補足:実質的には黒島が仕組んだ殺人。

内山に“やらせた”殺人(黒島主導)

  1. 神谷将人(刑事)
    真相に迫りつつあった刑事。
    黒島を守るため、内山が残忍な方法で殺害。遺体の口角が上がっており、黒島の“スタイル”を継いだ犯行と分かる。
  2. こうのたかふみ
    田宮が紙に書いた人物で菜奈が引いた紙のターゲット。
    菜奈が殺さなかったため、ゲームを進めたい黒島が内山に殺させたと示唆される。

こうして並べると、黒島と内山のタッグは、

「自分で殺すのが楽しい黒島」
「黒島のためなら何でもやる内山」

という最悪のコンビだったことが見えてきます。

黒島と二階堂(どーやん)の歪んだ“恋”とラストの選択

黒島と二階堂(どーやん)の歪んだ“恋”とラストの選択

黒島と深く関わるもう一人が、二階堂(どーやん)です。

・AIで犯人推定をする理系男子として登場し、当初は黒島を“候補の一人”として観察
・しかし一緒に行動する中で、黒島の不器用さや弱さに惹かれていく
・AIは黒島犯人説を指し示すが、感情は「信じたい」と言う

最終回のホテルのシーンで、翔太の首を絞めて尾野に「ありがとう」と告げる二階堂は、一瞬「裏切り?」と思わせるが、実際は黒島をおびき出すための芝居でした。

黒島の異常性も犯行も理解したうえで、

・それでも最後まで彼女の言葉を聞こうとし
・それでも殺人を止められなかった結末を受け止める

黒島の“動機”だけでなく、「黒島を愛してしまった人間の悲劇」を描いてくれたのが、二階堂というキャラクターだったと感じています。

映画版「あなたの番です」で黒島沙和は死亡?

映画版「あなたの番です」で黒島沙和は死亡?

ドラマ本編では“黒幕”として逮捕された黒島沙和ですが、劇場版『あなたの番です』では立場がガラッと変わります

結論から言うと――映画版の黒島は死亡します

しかも「黒幕」ではなく、“狙われる側の被害者”として殺されるんですよね

しかも舞台はキウンクエ蔵前ではなく豪華クルーズ船。ドラマ版とは違い、「交換殺人ゲームがそもそも始まらなかったパラレルワールド」という設定になっていて、同じキャラたちが“別ルートの人生”を歩んでいる世界線です。

ここからは、ドラマ版との違いもふまえて、映画版の黒島がどう描かれ、なぜ命を落とすことになったのかを整理していきます。

劇場版は“もしも交換殺人ゲームが起きなかったら”の世界

まず前提として、劇場版はドラマ本編の続きではなく、

「翔太が住民会で“交換殺人ゲーム”の芽を摘んでしまった世界」

がベースになっています。

・菜奈と翔太は無事に結婚し、船上ウェディングパーティーを開催
・そこにキウンクエの住人たちが勢ぞろい
・ところがクルーズ船の上で連続殺人事件が発生

という流れ。設定こそ“ifルート”ですが、

・黒島が快楽殺人者である
・南の娘と高校時代の家庭教師を殺した過去がある
・赤池幸子の“隠し孫”である
・内山が黒島を支える“信者”的存在

といった「黒島の根っこ部分」はドラマ版と共通です。

つまり映画版でも、「過去に人を殺してきた黒島」がそのまま存在している状態で、“別ルートの物語”が始まる構図になっています。

黒島は元カレ・神谷に殺害される――“愛しているから殺す”という逆説

肝心の「黒島はどうやって死ぬのか」。ここが映画版ならではの皮肉たっぷりなポイントです。

劇場版では、

・黒島は最初から二階堂と“交際中”
・二階堂は黒島を本気で愛していて、指輪まで用意している
・黒島自身も「この人となら普通に生きられるかもしれない」と思い始めている

という、ドラマ版終盤の“もしも幸せになれていたら”を具現化したような関係で描かれます。

そこへ登場するのが刑事・神谷将人。ドラマでは黒島の共犯的ポジションでしたが、映画では、

・黒島の“元カレ”
・彼女の殺人衝動を知り尽くした男

として描かれます。

神谷は黒島に対して、

「お前はいつか、二階堂を殺したくなる。それを止められるのは俺だけだ」

と脅し、

「二階堂を自分の手で殺してしまうくらいなら、自分ごと殺してほしい」

という黒島の弱さにつけ込んでいきます。

最終的に、

・黒島は“二階堂を守るため”に、自分が殺されることを受け入れる
・神谷はその願いと、自分の歪んだ愛情・未練を満たすかたちで黒島を殺害
・ついでに、黒島を支えていた内山も“邪魔者”として殺す

という真相が明かされます。

ドラマ版で黒島が、

「好きなの、人を殺すことが」

と語ったのに対し、映画版では神谷が、

「愛しているから殺す」

という歪んだロジックで彼女を手にかける。
快楽殺人者を、歪んだ愛の殺人者が殺す――この構図が、本当に“あな番らしい”捻り方だと感じました。

映画版の黒島は“更生への途中”で殺される

個人的に一番キツかったのは、映画版の黒島が「完全なモンスター」ではなく、

・二階堂との恋愛を通して人を愛する感情を知り
・“普通の女の子”として生きたいと本気で願い始めていた

その矢先に、過去の罪と他人の殺意が一気に返ってくる――という、「更生の途中」で殺される立場だったことです。

しかもクルーズ船に集まっている人たちの多くは、

・娘を殺された南(ドラマと同様、黒島が犯人だと確信している父)
・家庭教師・松井の恋人・浦部(彼の死の真相を追っている)
・黒島の遺産を快く思わない赤池家

といった、「黒島を恨む側」。
全員が“黒島を殺しに来ている”世界線で、彼女だけが“普通になりたい”と足掻いている構図になっています。

そして黒島は自分が殺される前に、

・早川教授の“発光薬”を神谷の手に仕込む
・自分の死後、その薬で「自分を殺した犯人」が分かるようにしておく

という、ある種“遺書のようなトリック”まで用意していました。

ここに、ドラマ版ではほとんど見せなかった、

「誰かを守るために、計画的に自分の死を選ぶ」

という、一周回った“人間味”がにじむのが印象的です。

ドラマ版との対比:『黒島は救えたのか?』への、もう一つの答え

僕は、ドラマ版の記事で、

「黒島はどこまで救えたのか」

という話を書きましたが、映画版はある意味で、その問いへの“別解”を提示していると感じました。

ドラマ版:
→ 誰にも止められず、逮捕されるまで快楽殺人を続けた黒島

映画版:
→ 二階堂に出会って“普通になろう”とした途端、
 過去の罪と他人の歪んだ愛情・復讐心に押し潰されて死ぬ黒島

どちらの世界線でも、

「黒島が自分の衝動と向き合い、適切な支援を受ける未来」

は描かれません。

映画版の黒島は、人を愛する感情を知ったけれど、それは、

「二階堂を殺さないために、自分が死ぬ」

という極端な自己犠牲でしか表現できなかった。

そこには、

・一度“モンスター”としてレッテルを貼られた人間が戻れない現実
・黒島を理解できなかった周囲の責任
・何をどう選んでも“救われない未来”しか与えられない理不尽さ

がにじんでいます。

「映画版では黒島が死亡する」という事実は、ただのショック演出ではなく、「黒島はどのルートでも、結局誰かに止められるしかなかったのか?」

という、もう一段重たい問いを僕らに投げかけている――そんな風にも読めるラストでした。

まとめ:黒島沙和というキャラクターの“怖さ”

最後に、ライターとしての個人的な感想を少し。

黒島の怖さは、「サイコパスだから怖い」という単純な話ではありません。

“普通”を強要される世界で、異常さを抱えたまま放置された少女。
自分を理解しようとした数少ない大人を、自らの手で殺してしまった後悔。
それでも止めてくれないどころか、肯定してしまう内山という“信者”の存在。

これらが積み重なって、「人を殺すことが楽しい」と言い切る怪物が出来上がってしまった――そのプロセスのリアルさこそが、黒島沙和というキャラクターの本当の“怖さ”だと思います。

もちろん、現実の精神疾患や発達特性を持つ人が、こんなふうに“連続殺人鬼”になるわけではありません。ドラマはエンタメとして極端なケースを描いているので、そこはフィクションとして切り分ける必要があります。

それでも、「理解されない異常さ」と「普通であれ」という圧力が、人をどこまで追い詰めるのか。そして、一度“楽しい”と感じてしまった感覚から、人は果たして自力で戻れるのか。

『あなたの番です』は、黒島沙和というキャラクターを通して、そんな重たい問いを視聴者に突きつけてきた作品だったと、改めて感じました。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

CAPTCHA

目次