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MISS KING/ミス・キング第7話ネタバレ感想&考察。“真実”ではなく“真実の扱われ方”が人を壊す夜

MISS KING/ミス・キング第7話ネタバレ感想&考察。“真実”ではなく“真実の扱われ方”が人を壊す夜

前話では、飛鳥が藤堂と共に“過去の清算”に踏み出し、復讐の矢が静かに放たれた。

第7話では、その矢が思わぬ形で“世論”に奪われていく。

刊誌による「殺人未遂」「共犯」の報道が飛鳥を炎上の渦に巻き込み、さらに父・彰一の“実の娘”公表が、彼女の挑戦を血縁の政治に変えてしまう。

盤外の言葉が盤上を壊すとき、人はどこまで自分の時間を守れるのか。

“真実の扱われ方”という新たなテーマが、静かに主人公の呼吸を締めつけていく。

目次

MISS KING/ミス・キング7話のあらすじ&ネタバレ

MISS KING/ミス・キング7話のあらすじ&ネタバレ

第7話は、将棋よりも“世間の眼”が盤上を揺らす回。

週刊誌が飛鳥と藤堂の関係、さらには“父殺しの計画”にまで踏み込んだ記事を掲載し、炎上が一気に加速します。

結城彰一(中村獅童)は理事会の席で「飛鳥は自分の実の娘だ」と公表

物語は“棋士としての対局”から“親子の対局”へと重心を移していきます。

ここでは時系列で追いながら、編入試験の各局で何が起き、盤外の事件がどのように飛鳥の指し手を曇らせたのかをひも解きます。

週刊誌の直撃と炎上——藤堂の“決別宣言”、師弟の断絶

ある夜、藤堂(藤木直人)は週刊誌記者から直撃を受け、飛鳥(のん)とともに結城彰一への復讐を企てていた事実を暴かれます。

理事会でも問題視され、彰一は「飛鳥は自分の娘だ」と初めて公に告白。香(山口紗弥加)は「私の独断です」と弁明するも、炎上は止まらず、ネット上では飛鳥へのバッシングが拡散します。

藤堂は「俺が首謀者でいい。お前は利用されたことにすれば試験は続く。今から赤の他人だ」と告げ、自ら矢面に立つ決意を示します。

その上で「これはチャンスだ。この試験、全部勝て」と言い残し、飛鳥の前から姿を消す。

この“師弟の断絶”は、盤外の嵐の中で飛鳥を一度孤立させ、彼女が己の力で立ち上がるための静かな導火線となりました。

編入試験の軌跡——勝利、連敗、そして再起への覚悟

迎えた編入試験・第一局。

飛鳥は藤堂の言葉を胸に、落ち着いた呼吸で対局に臨み、見事白星を挙げます。“師弟の別離”が逆説的に集中力を生み出し、初戦を制する姿が印象的でした。

しかし、勝利の裏で炎上はさらに拡大します。

礼子(倉科カナ)の店に配信者が押しかけ、暴言を吐き荒らす。警察への通報を促す飛鳥を、礼子は「藤堂が中止になる」と制止。

師の不在、恋人の窮地、ネットの嘲笑——そのすべてが“自分が将棋を指すと周囲が不幸になる”という、飛鳥の古い呪いを呼び覚まします。

第二局、第三局は痛恨の連敗。

頭脳では最善を読めても、“その手で誰かを傷つけるのでは”という恐怖が、指先を止める。飛鳥の敗北は、棋力ではなく“心理の時間”を奪われた結果でした。

どん底に沈む飛鳥のもとに礼子が訪れ、「“将棋をするとみんなが不幸になる”なんて思わなくていい。あいつ(藤堂)もそう思ってない」と伝えます。

礼子の言葉に背中を押され、飛鳥は藤堂のもとへ。

突き放そうとする師に、「今、不幸ですか? 日本中に憎まれて、悪者にされて……でも、治ります。店も、怪我も、私が将棋で治します」と言い放ちます。

そして初めて藤堂を“師匠”と呼び、深く頭を下げる。

この瞬間、飛鳥は再び盤上の闘志を取り戻し、炎上の熱を力に変える決意を固めます。

第四局、彼女は迷いのない指運で圧勝

“相手の最善を尊重したうえで踏み込む”強度が彼女の中に宿り、初戦以上の輝きを放ちました。“勝ち”よりも“信じて指す”という覚悟が、手つきの美しさに表れていたのです。

あと1勝で棋士へ慣れるところまできました。

家族の崩壊と“最終局”の布石——リークの真相、父と娘の終局へ

同時刻、将棋連盟は記者会見を開きます。

彰一は飛鳥が娘であることを認め、一連のスキャンダルのリークが龍也(森愁斗)によるものだったと明かします。

家族の内部から流れた情報が炎上の火種となり、物語はさらに陰を帯びていく。そして彰一は、「飛鳥の最終対局の相手は自分が務める」と宣言

“勝っても負けても物語が終わる”という構図を、自らの引退試合で作り上げます。

サブタイトル『ナポリタン』は、礼子の店=帰る場所の象徴

家庭的で温かい一皿が、飛鳥にとって“居場所”の比喩として描かれました。

一方、ラストで映し出された原稿用紙には、彰一が書いたと思われる“桂子と飛鳥”に関する一文が記されており、第8話で明かされるであろう“家族の真相”を示唆しています。

第7話は、勝敗ではなく“何のために指すのか”を問う一話でした。

師弟の断絶、炎上、再会、そして父娘の最終戦。

すべてが、飛鳥が“自分の手で生きる”ための試練として美しく連鎖しています。

MISS KING/ミス・キング7話の感想&考察

MISS KING/ミス・キング7話の感想&考察

第7話は、勝敗の配置(○●●○)を“ドラマの装置”として最大限に活かしていた。

初戦は勝利。しかし勝つこと自体が炎上を煽り、周囲を傷つけるように見える。そこで連敗する。けれど、勝って誰かを救う道もあると知ったとき、人はもう一度盤上に戻って来られる。

白・黒・白という結果は単なる戦績ではなく、飛鳥の内的物語の譜面に沿ったリズムだった。

“晒す正義”と“盤上の正義”──SNS時代の将棋譚

配信者が店を荒らし、「悪人は晒される」と叫ぶ場面は、暴露の快楽が“裁き”を短絡化する危うさを象徴していた。

名人の長考のような熟議の時間を飛ばし、早指しの断罪が進む世界。その対比として描かれるのが、どれだけ盤外が騒いでも最終的に“手で語る”しかない将棋の世界だ。

飛鳥が第四局で取り戻したのは、読みの速度ではなく“時間の主導権”だったと思う。誰かの視線や怒号に“指される”のではなく、自分の呼吸で“指す”。

盤上の正義は、そこからしか始まらない。

「敗北が続く」と事前に報じられていた展開が、再び勝てる物語の余地を残していたのはそのためだ。

“師匠”と呼ぶ言葉──依存ではなく、責任の名付け

飛鳥が初めて藤堂を“師匠”と呼ぶ場面は胸に残った。

一見すると頼る言葉のようでいて、実は責任を引き受ける言葉である。

「私が将棋で治します」と告げた瞬間、被害者としての自己像を“治す側=主体”へと反転させた。敗北の連鎖を止める言語の一手であり、復讐の共犯から“成長の共闘”へ関係を更新する転機でもあった。

その一言が、飛鳥の物語に“治癒”のテーマを持ち込んだ瞬間だった。

父の会見と“引退宣言”──物語の主導権は誰の手に?

彰一が最終局の相手を自分にすると発表し、同時に引退を宣言したとき、物語は新たな局面に入った。

勝っても負けても話題の中心は“父の美学”に収束する。

つまり、それは「物語の主導権」の奪取であり、棋士としてだけでなく物語の編集者としての父が再び動き出した瞬間だ。

だからこそ、飛鳥が最終局で倒すべき相手は、盤上の父だけではない。語りの主導権を奪い返す象徴として、飛鳥は父の“物語設計”そのものに挑むことになる。

勝敗が単なる数字を超え、“語る権利”をめぐる戦いへと変化した。

龍也の“リーク”──家族は最初の観客であり、最も厳しい批評家

リークが龍也によるものだったことで、家族が“守る陣営”ではなく、最初に物語を評価する観客であり、時に敵陣になる現実が示された。

彼の薄笑いは、承認欲求の時代を象徴する。

誰の勝利を応援するかではなく、どの勝利が“バズるか”を測る視線。

飛鳥が勝利を重ねるほど、家族の内部政治は複雑になり、彼女の一手が家庭の秩序を揺らしていく。
それでも飛鳥は「勝つ」と言い切った。

勝利を“治療”に使うという発想が、ここで鋭く立ち上がった。

『ナポリタン』という副題──帰れる味と、帰れない家

副題『ナポリタン』は、礼子の店の温もりを象徴する。

それは飛鳥にとって“帰ってこられる味”であり、“居場所の匂い”でもある。

一方で、実父との家族関係は再び“最終局”という儀式に置き換えられ、もう食卓ではなく盤上でしか対話できない。

家庭の再編が対局のかたちで描かれる——この寓話的構造が、第7話の深い手触りを作っていた。副題の温かさと家族の冷たさ、その対比が次回の“親子の決着”をじわりと予感させる。


まとめ

勝敗の配置(○●●○)は“強さの証明”ではなく、“覚悟の生成”を描く譜面だった。

晒す正義に対し、将棋は“時間の正義”で応える。第四局の白星はその第一歩。師匠と口にした瞬間、飛鳥は“治す側”に立ち、言葉が盤面を変えた。

最終局=父VS娘は、物語の主導権をめぐる争奪戦。

龍也のリークは、家族が最初の炎上装置になる現実を照らし出した。

最終回は、勝つか負けるかではなく、“どう勝つか・どう負けるか”を問う物語になるだろう。飛鳥が“治す将棋”で、家族と自分の物語の主導権を取り戻せるか——そこに注目したい。

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