2025年10月期・日本テレビ系水曜ドラマ『ESCAPE それは誘拐のはずだった』。
物語は、大企業の令嬢と若き誘拐犯が“想定外の逃避行”へ踏み出す瞬間から始まります。20歳の誕生日を迎えた八神結以と、うそがつけない青年・林田大介。
身代金目的の計画が失敗したその直後、結以の「一緒に逃げて」という衝撃の提案によって、二人の運命は大きく動き出します。
追う者と追われる者が入れ替わり、敵と味方が目まぐるしく変わるスリリングな展開の中で、立場も生まれも正反対の二人は何を見つけるのか。
第1話は、この逃亡劇の幕開けにふさわしい緊張感と、互いに惹かれていく予感が交錯するエピソードとなっています。
ドラマ「ESCAPE」1話のあらすじ&ネタバレ

令嬢誘拐の幕開け――誕生日の悲劇
日テレ系水曜ドラマ『ESCAPE それは誘拐のはずだった』第1話は、巨大製薬会社の令嬢・八神結以(桜田ひより)の20歳の誕生日パーティーから始まる。父・八神社長が奨学金制度の新設をサプライズ発表し、恋人・蔵持浩貴(秋谷郁甫)や友人たちが見守るなか、華やかな乾杯が交わされた。しかしその裏で、二人の男が清掃員に扮して会場に忍び込み、結以をランドリーカートに押し込み拉致する。
誘拐犯は主犯格の斉藤丈治(飯田基祐)、寡黙な実行犯・佐々木大介(佐野勇斗)、そして仲間の山川和希(曽田陵介)の3人。彼らは結以を連れ去り、逃走車で都内を離脱する。
崩壊する計画――“金のためじゃない”誘拐
事件の報を受けた八神社長の秘書・塚原恭子は、結以に内緒で足にGPS発信器を装着していたことを明かし、身代金3億円の要求に備えて警察や関係者へ連絡を取る。
一方、アジトの廃工場では、斉藤が「この誘拐は金のためではない」と語り、研究仲間だった八神社長への復讐心を吐露する。結以は必死に話し合おうとするが、斉藤は心臓発作で急死してしまい、計画は瓦解。残された大介は山川を裏切り、結以を連れて逃走。こうして、二人の奇妙な逃避行が幕を開ける。
結以の“共感覚”――光で人の心を見る力
逃走中、結以は人の体に触れることで相手の本質を“色”で感じ取る能力を持っていることが明かされる。大介の手に触れるとピンク色の光が浮かび、「あなたは敵じゃない」と直感する。反対に、婚約者の浩貴や父親に触れた際には、紫色の不穏な光が見えるなど、結以の周囲には危険な影が潜んでいることが暗示される。
大介はそんな不思議な力に戸惑いながらも結以に寄り添い、二人は互いを「ハチ」と「リンダ」と呼び合うようになる。夫婦を装ってホテルに潜伏し、緊迫した逃走劇の中で少しずつ心を通わせていく姿が描かれる。
動き出す複雑な人間模様――多層的なミステリーの構築
物語は、結以と大介を追う多くの人物を並行して描く。会社の跡継ぎ争いに絡む叔母・静子、SNSで誘拐事件を追うインフルエンサー兄妹・まさきとみさき、執念深い刑事・小宮山勇樹、そして過去の事件を追うジャーナリスト・白木一仁など、それぞれの思惑が交錯する。
彼らの目的や関係性はまだ明かされず、視聴者には多層的なミステリー構造が提示される。第1話では、結以の特殊能力、斉藤と八神社長の因縁、そして父の支配的な愛情が強調され、今後の物語を牽引する伏線として配置された。
ESCAPE1話の感想&考察

誘拐から始まる“解放”の物語
第1話を見終えて最も印象に残ったのは、結以と大介の奇妙な絆の芽生えだった。誘拐犯と被害者という立場でありながら、二人が手を取り合って逃げる姿には“逃避行ロマンス”の香りが漂う。
大介の手の温もりにピンクの光を感じた瞬間、結以は彼が自分を守ってくれる人だと直感し、互いに偽名をつけて夫婦を装うくだりは胸が高鳴るシーンだった。
大介もまた、最初は無口で感情を見せない実行犯だったが、斉藤の死と結以の涙を見て「もうやめよう」と言い、彼女を救う側に回る。その変化は、彼が過去の罪を背負いながら誰かを守ることで救われたいと願う“人間の弱さ”を映しており、彼の不器用でまっすぐな優しさに心を打たれた。
束縛からの逃走――結以の“本当の脱出”
一方で、結以の境遇は痛々しいほどに切なかった。父親は彼女に密かにGPSを取り付け、自由を奪い、理想の婿を決めて人生のレールを敷く。恋人の浩貴は一見優しいが、彼女の夢や仕事を否定し、家にいることを強要する“モラハラ的支配”が垣間見える。
紫色のビジョンがその不穏さを象徴しており、物語を見ながら「彼女は誘拐から逃げたのではなく、束縛から逃げたかったのでは?」と感じた。大介との出会いをきっかけに、結以が初めて自分の意志で動き出す姿には心を打たれ、涙を誘われた。
メタ演出の仕掛けとSNSの反響
SNSで話題になったのは、画面右上に常に表示されるテロップへの賛否だった。多くの視聴者が「バラエティ番組みたいで集中できない」と違和感を抱いたが、筆者はあの演出にメタ的な意図を感じた。
あのテロップは「これは誰かの再現ドラマかもしれない」「物語の外に語り手がいるのでは?」という“二重構造”を匂わせており、むしろドラマ全体の仕掛けとして期待が高まった。次回以降、あの演出がどう回収されるのかに注目したい。
また、初回の視聴率は世帯4.7%、個人2.5%とやや低めのスタートだったが、複層的な伏線や青春ドラマのようなきらめきが口コミで広がれば、静かなブームになる可能性を感じた。
謎と伏線――薬害事件と八神製薬の闇
物語の鍵を握るのは、過去に起きた“薬害事件”と八神製薬の闇、そして斉藤の復讐心だ。斉藤と八神社長は大学の研究室で同じ研究をしていたという過去があり、その因縁が今回の誘拐劇の背景にあると示唆されている。
また、結以の特殊能力もまだ謎に包まれており、触れるだけで色を“視る”だけでなく、相手の記憶を読み取る力があるのではという説も浮上している。これらの真相が解けていくにつれ、結以と大介の関係が恋愛へと変わるのか、それとも互いを支え合う“同志”として進むのか――次回への期待が膨らむばかりだ。
恋愛ライター視点で見る“ESCAPE”の本質
恋愛ライターの立場から見ると、この物語は単なるサスペンスではなく、“不自由な世界から自分を取り戻すための物語”として輝いている。結以にとって誘拐は終わりではなく“解放の始まり”であり、大介との出会いは彼女の心をゆっくりと開いていく。
二人が車内で髪を染め合い、手を取り合って走り出すシーンには、初恋のような甘酸っぱさと未来への希望が詰まっていた。恋愛も人生も、型にはめられたレールから降りるところから始まる――『ESCAPE』はそんなメッセージを、静かに、そして確かに伝えてくる。
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