第5話を見て強く残るのは、「仕事って結局、言うか言わないかで決まるんだな」という感覚だった。
能力や熱意があっても、言葉にしなければ存在しないのと同じ。家庭でも仕事でも、沈黙は一番高くつく。
居候みどり問題が限界に達する一方、会社では万年筆プロモーションという“真面目な案件”が動き出す。
司は現場で拾ったリアルな声を前に、上司の圧とクライアントの意向の間で揺れ、「本当のことを言えるか」を試される。
この記事では、ウチの夫は仕事ができない第5話のあらすじとネタバレを整理しながら、万年筆というモチーフが示した仕事と夫婦の共通点、そして司が初めて踏み出した“言う勇気”の意味を構造的に読み解いていく。
ドラマ「ウチの夫は仕事ができない」5話のあらすじ&ネタバレ

第5話は、家では“居候みどり問題”がいよいよ限界に達し、会社では“万年筆プロモーション”という割と真面目な案件で、司(つかぽん)が「自分の意見を言えるか」を試される回でした。
そして地味に重要なのが、土方の“家庭事情”が仕事側から露出してくること。仕事と家庭が、別々に燃えてるようで同じ原因(=言えない・言わない)で燃えていく。そんな回です。
※ここから先は第5話のネタバレを含みます。
みどりの居候が“仮”から“本気”へ。小林家が侵食されていく
失恋を理由に小林家へ転がり込んだ司の姉・みどり。第5話では、彼女の「居候」という言い方がぬるく感じるレベルで、生活の主導権を取りに来ます。
勝手にスペアキーを私物化し、家主みたいな顔で出入りする。沙也加は妊娠中でただでさえ心身が揺れるのに、家が落ち着かないって本当に効くやつです。
沙也加のイライラがリアルなのは、みどりが“悪意のある侵略者”じゃないところ。
「私は今弱ってるからここにいる」っていう、本人なりの筋(という名の自己正当化)があるから、正面から追い出しづらい。司も沙也加も、強く言い切れないまま、みどりのペースに飲まれていきます。
沙也加が抱える「小林姉弟の世界に居場所がない」感
みどりと司のやり取りって、夫婦の会話ではなく“姉弟の空気”になりがちなんですよね。
沙也加はそこに入り込めない感覚を抱えていて、妄想ミュージカル(恒例の沙也加脳内劇場)が、その孤独感を誇張して可視化する。こういう「笑える形で切実さを出す」演出が、このドラマの特徴でもあります。
マタ友のあかり達に相談しつつ、沙也加は「司に頼るんじゃなく、私が言う」と覚悟を固めていく。妊娠で守りに入るのではなく、境界線を引く側に回るのが、第5話の沙也加の強さでした。
仕事パート始動。老舗文房具メーカーの「万年筆」を高齢者へ売りたい
一方の会社では、老舗文房具メーカー(劇中では“万年筆が主力”)のプロモーションが進行。土方は「成功すれば大きなビジネスに結びつく」と気合十分で、大物演歌歌手のブッキングまで動き回ります。
司に振られたのは、プレゼン資料用に“高齢者の生の声”を集め、万年筆を支持するコメント映像(VTR)を作ること。つまり「ターゲット(高齢者)のリアルな声を撮ってこい」というミッションです。
仕事ができる・できない以前に、これは現場に出た瞬間に答えが出るタイプの仕事なんですよね。
「リアルを拾う」って、机の上の資料より強い。司はそこに向かいます。
取材で判明する“いまどきの高齢者”——万年筆、使ってない
司が外に出て声を集めると、想定が崩れます。
高齢者は思った以上にPCやスマホを使いこなし、メールやブログで十分。万年筆は「別に使わない」側になっている。司は呆然とする。
ここが第5話の仕事パートの面白さで、司は“いい話を撮れない”んじゃなく、“都合の悪い事実を掘り当ててしまう”。
普通の会社だと、こういう事実を見たら即方針転換の材料になる。でもこの現場は、そう簡単に動かない。
土方の圧と「クライアントの意向」——司、言えない
司は「高齢者、万年筆使ってません」と土方に報告しようとします。けれど土方は大声で自信満々、決断も早い。司はその“圧”に負けて意見できない。
さらに土方は、「クライアントは高齢者に売りたがっているんだから、その意向に沿ったコメントを取ってこい」と指示する。
つまり、求められているのは“リアル”じゃなく、“欲しい絵”なんですよね。
ここで司は、仕事の厳しさを思い知ります。
事実を持って帰っても、それが歓迎されない現場がある。しかも上司の声がでかいと、事実は簡単に押し潰れる。
「こういうのヤラセって言うんじゃない?」——VTRが崩壊する
土方の指示に従い、司はお年寄りに「万年筆はいい!」と言ってもらおうとします。
でもその瞬間、相手から返ってくるのが「こういうのヤラセって言うんじゃない?」という、正論のカウンター。
司が撮ってきた映像は、説得力どころか“違和感の証拠”になる。
司はその動画を土方に見せ、土方は「もういい!」とコメント映像自体を中止にする。
失敗といえば失敗だけど、司が“現場の真実”を持ち帰った結果、ヤラセをやめる方向に舵を切ったとも言えます。
新キャラ・恩田優子登場。実は土方の別居中の妻だった
この回のもう一つの大きな動きが、庶務課の恩田優子。司が新人時代から何かと世話になってきた存在で、司のことをちゃんと見てくれる人です。
そして衝撃なのが、恩田が土方の“別居中の妻”だと判明すること。司は驚く。
会社の中で完璧に見える土方にも、家庭の問題がある。仕事の話をしているようで、ここから一気に「家庭って何だ?」のテーマが混ざってきます。
恩田が語る別居の理由。土方は“仕事と結婚した男”
司は、恩田に飲みに誘われ、土方と別居に至った理由を聞く流れになります。
そこで出てくるのが、土方が仕事人間すぎたこと、そしてすれ違いに耐えられなくなった恩田の浮気(=傷)という、かなり生々しい事情。
ここで土方像が立体になります。
職場での強気なリーダー気質の裏側に、繊細さと孤独がある。恩田はそれを司に伝える。
そして土方自身も、司に対して「家庭は大事にした方がいいぞ」と呟く。仕事人間が言うから重い。
司が拾う突破口。「万年筆、若者に流行ってる…?」
司は高齢者取材で「万年筆は使われていない」という現実を知る一方、若者の間で万年筆人気が広がっていることにも気づきます。
ここ、司の強みが出る場面でした。
司って、机上のロジックを組み立てるのは弱いけど、現場で拾った“違和感”を繋ぐのは上手い。
「高齢者が使わない」=終わりではなく、
「じゃあ誰が使う?」に思考が移る。
司はその流れで、若者向けの企画案(別資料)まで用意します。
1万円のやり取りが、会長の“記憶”に残る
取材の過程で司は、ある高齢男性と出会います。そこで象徴的に描かれるのが「1万円札」のエピソード。
万年筆メーカーの会長は、拾った1万円札を司に「落としましたか?」と尋ねる。司は自分のものではないと正直に答え、さらに落とし主を見つけようとする。その真摯な態度が会長の印象に残ります。
ここは司という人間の核が出ていて、仕事術ではなく“人間のクセ”としての誠実さが、あとで効いてくる伏線になります。
プレゼン当日。「正直者の君はどう思う?」——司が意見を求められる
迎えたプレゼン本番。土方がまとめたプランが進行する中、会長が突然、司に意見を求めます。
理由はシンプルで、会長にとって司は「正直者」だから。
上司に言えなかった司が、クライアントのトップから直球で問われる。
この構図が、第5話のピークです。
そして司は、若者向け案を用意していたこと、現場で見た実態(高齢者が万年筆を使っていない)を踏まえながら、自分の意見を口にしていく。土方もそれを黙って止めず、背中を押すような空気を作る。
沙也加の“万年筆への手紙”が、司の言葉を支える
司が言葉に詰まりかけたとき、支えになるのが沙也加の万年筆にまつわる思い出。
沙也加が中学生時代、万年筆に宛てた手紙の存在(「何年も何十年も、末永くおつきあいください」という趣旨)などが、この場面で“道具の価値”を情緒として補強します。
万年筆って、単なる筆記具じゃなくて「誰かに向けて書く」行為そのものを残す道具でもある。
司はその感覚を、仕事の場で自分の言葉にしていく。結果、司の提案が評価され、若者をターゲットにしたプランが採用される流れになります。
司が“仕事ができるようになった”というより、
司が“嘘をつかずに話した”ことが、仕事を前に進めた回でした。
家の方も決着…と思いきや。みどり「同棲することになりました」
沙也加はみどりに言う決意を固めていましたが、その矢先、みどりの方から「同棲するから家を出る」と宣言が飛んできます。
一瞬「助かった…」となるんだけど、このドラマはそこで終わらせない。
同棲相手が、まさかの司の職場の後輩・田所陽介。ゾンビ映画趣味で意気投合し、レンタル店で偶然出会って関係が進んだ、という流れです。
司も沙也加もまだ知らないところで、家庭と職場がさらに直結していく。この“嫌な予感しかしない結び目”を作って、第5話は終わります。
そして最後は恒例の沙也加の一言。第5話で沙也加が見つけた司の長所は――「愛に溢れた人」。
ドラマ「ウチの夫は仕事ができない」5話の伏線

第5話は、一見すると「万年筆案件がうまくいった」「みどりが出ていった(?)」でスッキリしそうな回なんですが、よく見ると“次の爆弾”が丁寧に置かれています。
ここでは第5話で判明・強化された伏線を、僕なりに整理しておきます。
伏線1:みどり×田所で「会社と家庭の境界線」が消える
みどりの同棲相手が田所――この一点だけで、今後のドラマの導線が太くなります。
司の家(家庭)に入り込んでいた問題が、司の職場(人間関係)へ侵食していく。逆に言えば、会社のストレスが家庭に持ち込まれる導線もできた。
田所はここまで司を見下す“イヤミ後輩”として機能してきた人物。そんな田所がみどりと絡むことで、司は「職場での立場」だけでは済まない関係性に巻き込まれていくはずです。
伏線2:土方の家庭事情=「強い上司」の脆さが今後も効いてくる
恩田が土方の別居中の妻だと明かされ、別居の理由も語られました。
この情報が何を意味するかというと、土方がただの“できる上司”ではなく、「家庭を失ってでも仕事を取ってきた男」だと確定したこと。
土方は司に「家庭は大事にしろ」と言いますが、それは自戒でもある。
今後、司が“仕事に飲まれて家庭が揺れる局面”に入ったとき、土方の言葉と行動がどうなるか。上司としての指導が、私情で歪む可能性もあるし、逆に司の理解者になる可能性もある。ここはかなり大きい伏線です。
伏線3:会長が司を「正直者」と認識したことが、次の評価ラインになる
1万円札のエピソードから繋がって、会長は司を「正直者」として覚え、プレゼンで意見を求めます。
これって、司の“能力”ではなく“性質”が評価された瞬間なんですよね。
この先、司が大きな案件に関わるとき、司の武器は「段取りの巧さ」より「嘘をつかない」「現場を見たまま言う」になるはず。
そしてそれは同時に、社内で嫌われる要素にもなり得る(出る杭は打たれやすい)。第5話は、その両面の入口になっていました。
伏線4:「高齢者ターゲット」という固定観念の崩壊
老舗メーカー側が求める“高齢者向け”と、現場の実態(高齢者は万年筆を使わない)のズレ。
ここから司は「若者に流行っている」という別の動線を拾います。
この“ターゲットの再定義”って、万年筆案件だけの話じゃなく、司自身の人生にも被る気がするんです。
会社が決めた司の役割(お荷物)と、司の実態(誠実さで突破口を作る)のズレ。
第5話は「定義を疑える人が勝つ」回でもありました。
伏線5:沙也加の「境界線を引く決意」が、次回の夫婦喧嘩に繋がる
沙也加は、みどりに対して“自分で言う”決意をします。
これまで沙也加は、司を立てながら夫婦を回してきたけれど、妊娠が進むほど「私が守らなきゃいけない領域」が増えていく。
次回予告的にも夫婦喧嘩の気配が濃いですが、第5話はその前段として「言わないで我慢する沙也加」から「言う沙也加」へと舵が切られた回でした。
ドラマ「ウチの夫は仕事ができない」5話の感想&考察

第5話を見て、僕が一番刺さったのは「仕事って、結局“言うか言わないか”だな」という感覚でした。
司の失敗って、能力不足というより“発言しないこと”で増幅する。家庭でも会社でも、沈黙がいちばん高くつく。第5話は、それを万年筆というモチーフで綺麗にやった回だったと思います。
「リアルを拾った人」が、最終的に強い——司の勝ち筋が見えた
司は、高齢者に万年筆を褒めてもらうVTRを作れませんでした。むしろ「ヤラセって言うんじゃない?」と刺されて崩壊する。
ただ、ここで重要なのは、司が“リアル”を拾いに行ったことなんですよね。
リアルを拾うと、都合の悪い事実も拾う。
都合の悪い事実を拾ったとき、現場は二択になる。
・事実を捨てて「欲しい絵」を作る
・事実を持ったまま「別の道」を探す
司は最初、前者に引っ張られる。でも最後に後者へ戻ってくる。若者人気の流れを拾って、別資料まで作る。
この“戻り”ができるのは、司が根っこで嘘が苦手だからだと思いました。
つまり司は「仕事ができない」んじゃなく、「仕事ができないやり方ができない」。
ここ、タイトルの意味が反転し始めてる感があります。
土方俊治という上司の怖さと、優しさ——“孤独”が強さを作っている
土方は、声が大きい。決断が早い。前に出る。
でも第5話で見えてくるのは、その強さが“孤独”の裏返しだということでした。
恩田が別居中の妻で、別居理由も仕事中心のすれ違いが根っこにある。
家庭でのコミュニケーションを失った男が、会社で強くあるしかないのって、ちょっと切ない。
そしてそんな土方が、司に「家庭は大事にした方がいい」と言う。
この一言、上司のアドバイスというより、人生の後悔の吐息なんですよね。
司が“仕事のために家庭を壊す”ルートに入りかけたら、土方は本気で止めに来る気がする。そういう関係が芽生えたのが第5話だと思います。
万年筆=「長く付き合う道具」。夫婦の比喩として効きすぎてる
沙也加の中学時代の“万年筆への手紙”が出てきて、そこに「何年も何十年も、末永くおつきあいください」という趣旨が残されていた、という描写。
これ、仕事のプレゼンの小道具としても効いてるんですけど、夫婦の比喩としても効きすぎてて、僕はちょっと笑っちゃいました(いい意味で)。
万年筆って、インクを補充し、手入れし、付き合い続ける道具。
夫婦も、言葉を補充し、誤解を手入れし、付き合い続ける関係。
だから第5話で司が“正直に意見を言う”ことができたのは、仕事の成長であると同時に、夫婦関係の予行演習にも見えました。
言えない司が、言う司になっていく。ここが第6話以降への期待でもあります。
みどり×田所の同棲は、笑えるのに怖い
正直、ここは声出ました。
「みどりが出ていく」だけなら爽快で終わるのに、その相手が田所という“最悪に近い接続”。
でも僕は、ここをただのギャグとして消費したくない。
田所は職場で司を下に見てきた。
みどりは家庭で沙也加を下に見てきた(少なくともそう見える振る舞いをしてきた)。
その二人がくっつくって、つまり「他人を踏むことで成立するコンビ」になり得る危険性もある。
もちろん、そこから二人が変わる可能性もあるし、むしろ変わってほしい。
でも現時点では、司の世界(家庭+職場)が一つの場所で揉める準備が整った、という意味でかなり不穏です。
ラストの沙也加評「愛に溢れた人」——僕は“弱点”としても受け取った
第5話の締めは「ウチの夫は仕事ができない。でも、愛に溢れた人」。
ここ、普通にいい話で終わるんですけど、僕は“武器であり弱点”だと思いました。
司の愛は、たぶん「人を傷つけたくない」「空気を壊したくない」に直結していて、だから上司に意見が言えない。
でも同時に、司の愛は「1万円が自分のものじゃないならそう言う」「落とし主を探す」みたいな行動にも直結する。
その誠実さが、会長の目に留まり、プレゼンで司を前に出す流れを作った。
つまり“愛があるから成長できる”。
ただし“愛があるから黙ってしまう”。
この二面性を、今後司がどう扱うかが、このドラマの肝だと思います。
みどりが家から出ていきそうで、でも会社側に回り込んできた。
仕事は一山越えたけど、夫婦の衝突はまだ来てない(むしろ次回の予告が怖い)。
第5話は、折り返し地点らしく「世界が広がる回」でした。
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