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ドラマ「ラムネモンキー」4話のネタバレ&伏線&感想考察。不良リーダー佃将道は本当に関係者なのか

ドラマ「ラムネモンキー」4話のネタバレ&伏線&感想考察。不良リーダー佃将道は本当に関係者なのか

第4話は、失踪事件の捜索が進展する一方で、「本当に向き合っているのは事件なのか、それとも自分自身なのか」という問いが前面に出てくる回だ。37年前に消えたマチルダを巡る証言は少しずつ整理されていくが、その過程で浮かび上がるのは、菊原紀介が長年抱えてきた“記憶の歪み”だった。

不良との乱闘、理容室の窓の外にいた男、そして母との確執。断片的だった過去が繋がるにつれ、紀介は「被害者として生きてきた自分」と、「選択してきた自分」の両方を直視せざるを得なくなる。事件の手がかりが外ではなく内側から現れる構成が、この物語を単なるミステリー以上のものにしている。

そしてラスト、疑いの矢印は思い出の場所だった「VIDEO JUPITER」へと向かう。青春の中心だった場所が、次の謎の中心になる——物語が大きく動き出す分岐点が描かれる。

※この記事は、ドラマ「ラムネモンキー」第4話の結末までのネタバレを含みます。未視聴の方はご注意ください。

目次

ドラマ「ラムネモンキー」4話のあらすじ&ネタバレ

ドラマ「ラムネモンキー」4話のあらすじ&ネタバレ

第4話は、37年前に消えた“マチルダ”こと宮下未散の失踪を追う現在パートと、当時の記憶がパズルのように組み替わっていく過去パートが、菊原紀介(キンポー)の人生に寄り添う形で交差していく回です。

体育教師・江藤の証言――「酒臭い男」は誰だったのか

前話までの流れを引き継ぎ、雄太(ユン)、肇(チェン)、紀介(キンポー)は、体育教師・江藤から“マチルダが酒臭い男に付きまとわれていた”という証言を得る。

ただし、この時点でわかるのは「酒の匂いがした」「付きまといがあった」という断片だけで、男の素性や顔、具体的な名前までは出てこない。捜査の教科書で言えば、これは“犯行動機”よりも先に“接触の事実”が立った状態。つまり「近づいていた男がいた」ことは前進でも、「そいつが犯人だ」と直結させるには材料が足りない。

ここで物語がうまいのは、証言の情報量が少ないぶん、視聴者も主人公たちも「別の手掛かり」を欲しくなる設計になっていること。

そして、その“別の手掛かり”は、外側の事件よりも、紀介の内側――つまり記憶の奥から出てくる。

キンポーの現在――「キクハラ理容室」と、認知症の母との暮らし

キンポーこと菊原紀介は、子どもの頃から絵が得意で漫画家になることを夢見ていた
しかし現在の彼は、実家の「キクハラ理容室」を継ぎ、認知症になった母・祥子の介護に追われる日々を送っている。

ここで一度、キンポーの背景がさらっと語られるのが効いている。
父が亡くなったあと、祥子は女手ひとつで彼を育て、家業を守るために理容師として腕を磨いてきた。その店を継ぐ――それ自体が、キンポーにとっては「母への恩返し」であり、「自分の人生の説明」でもあった。

ただ、介護と仕事だけで生活が埋まっていくと、夢は“憧れ”ではなく“負債”になってしまう。

キンポーがふと口にする「夢を追うなんて無理だろ」という空気は、諦めというより“疲労”の裏返しに見える。夢を語る元気が残っていないのだ。

ガンダーラ珈琲で蘇る乱闘の記憶――「誰が最初に手を出した?」

白馬が働くカフェ(ガンダーラ珈琲)で、3人は中学時代の“隣の中学の不良たちと喧嘩した記憶”を思い出す。
肇と紀介が不良に絡まれ、そこへたまたま通りかかった雄太が参戦――ここまでは3人の記憶が一致する。

ただ、肝心のところが抜けている。
不良に最初に手を上げたのは雄太なのか、肇なのか。本人たちが思い出せない。喧嘩の引き金ひとつで「正当防衛」「過剰防衛」「ただの暴力」が変わるのに、そこが曖昧なままというのが不穏だ。

さらに肇が、当時のカンフー練習の映像を発掘して持ってくる。映像を見ながら、3人はあの頃の厳しい練習を語り合うのだが、ここでキンポーの口から“英雄譚”が飛び出す。

「練習で鍛えたカンフーの技で、不良たちを次々に倒した」「リーダー格に気功波みたいなものを放って撃退した」――本人が語れば語るほど、雄太と肇は「それは盛ってる」と切り捨てる。キンポー自身も、どこかで“誇張”を自覚している。

ただ、この「盛り話」に意味がある。

キンポーの記憶は、単に抜け落ちているのではなく、“都合よく塗り替えられている”。殴られ続けた過去を、そのまま抱えて生きるのはしんどい。だから自分の中で「反撃して勝ったことにしておく」。それは情けなさの隠蔽であり、同時に自尊心の応急処置でもある

もう一つのフラッシュバック――理容室の窓の外にいた“不良”

カンフーの映像と乱闘の話が引き金になり、キンポーの脳内に“もう一つの光景”が浮かぶ

それは、理容室でマチルダが祥子に顔そりをしてもらっている場面。そしてその店の外、窓越しにニヤつきながら覗いている不良の男の姿だ。

キンポーは、その男が当時ぶつかった不良グループのリーダー格・佃将道だと結び付ける。
「マチルダは、僕たちと揉めたあと、一度だけ佃のところに話し合いに行ったことがある」

そう聞いていたキンポーは、“話し合い→ストーカー化→失踪”という最悪の線を組み立ててしまう。ここでの推測は飛躍に見えるけれど、手がかりの少ない失踪事件では、誰でも“線を引きたくなる”。そしてその線が、後で違っていたとしても、まず動かなければ何も掴めない。

閉店後、店内でひっそりペンを握る――「やり直したい男」の物語

白馬や雄太たちに背中を押され、キンポーは閉店後の店内でひっそりとペンを握る。

彼が描き始めたのは、自分自身を投影したかのような「人生をやり直したい男」の物語。過去を取り戻したいのではなく、過去を“編集し直したい”。そんな切実さが、ネームの端々から滲む

ところが、静かに集中しているところへ、祥子がふらりと店に降りてくる。

認知症を抱え、現実とかけ離れた発言をする母をなだめながら、キンポーはふと思い出す。映研の活動が終わる頃、いつも部室まで迎えに来てくれた“若い頃の祥子”の姿を。

この回は、母が「重荷」ではなく「人生の中心」だった時間もちゃんと映す。だからこそ、介護のしんどさが一層リアルに響く。

「夢を捨てたのは母のせい」――苦い記憶が、キンポーを縛っていた

母の姿から連想されるのは、優しい記憶だけではない。

キンポーは、プロの漫画家を目指してこっそり自室で描いていた原稿が祥子に見つかり、ゴミ箱に捨てられていた“苦い記憶”も同時に思い出していた

それ以来、キンポーは「母のせいで夢を諦めた」と信じ込み、言い換えれば、その物語で自分を守ってきた。

この“物語”は便利だ。

人生が思い通りにいかない理由を、一つの出来事にまとめられる。自分の才能や努力不足と向き合わなくて済む。けれど便利な物語は、同時に自分の首を絞める。キンポーは、知らず知らずのうちに「夢を語る資格」を失っていく。

介護と創作の両立へ――新しい介護士・三島ひろ子を迎える

漫画に取り組む時間を確保したいキンポーは、祥子の在宅ケアを増やす決断をする。

新たに迎えた介護士・三島ひろ子は、祥子に丁寧に接し、祥子もまた少しずつ心を開いていく。キンポーはその様子を見て、肩の荷がほんの少し軽くなるのを感じる。

この場面で、キンポーの表情に出ているのは“楽になった安心”より、“任せてしまった罪悪感”に近い。

家族の介護を他人に任せることは悪じゃない。でも、キンポーは「母の人生」を背負っている自覚が強すぎて、背負う手を一瞬でも緩めることに怯えている

祥子が行方不明に――安心が一転する“家の中の事件”

ある日、キンポーは書き上げたネームを雄太たちに見せようとする。

しかし、その矢先にひろ子から「祥子が行方不明になった」と知らせが入る。3人は急いで紀介の自宅に向かい、探しに出ようとするが、祥子は無事に保護されたと聞かされる

ここからが地獄。
祥子は周囲の心配をよそに、「ひろ子にいじめられている」と事実無根の不満をぶつける。認知症の症状として説明できる部分もあるが、介護士を責める母、止めたい息子、冷静に受け止める介護士――その全員の立場が痛いほどわかる。

張り詰めていた糸が切れたキンポーは、思わず大声で祥子を叱責してしまう。

この叱責は、キンポーの“弱さ”でもあるし、“限界”でもある。

人に優しくできるのは、余裕がある時だけ。余裕がなくなった瞬間、人は一番近い相手に尖ってしまう。第4話は、その残酷な現実を、キンポーの声の荒さで突きつける。

「いなくなってほしいと思った」――キンポーが吐き出した本音

祥子が見つかったことに安堵しながらも、キンポーは雄太と肇に「心のどこかで、祥子がいなくなることを期待してしまった」と吐露する。

これは、介護者が抱えがちな“言ってはいけない本音”だ。好きだからこそ、守りたいからこそ、逃げたくなる瞬間がある。キンポーはそれを自分で認めてしまい、さらに自分を責める。

雄太と肇は、そんな彼を「立派に親孝行している」と励ます。

この“肯定”が効いているのは、彼らが一方的な正論を言わないからだ。頑張れ、とも、もっと手を抜け、とも決めつけない。ただ「今の君は十分やっている」と言う。キンポーに必要だったのは、攻略法よりも、まず呼吸を取り戻す言葉だった。

だが、それ以来キンポーの筆は止まってしまう。
時間を捻出しても、心が追いつかない。漫画は“時間さえあれば描ける”ものじゃない――ここで一度、現実が突きつけられる。

母の視点が過去を貫く――「いじめられているのはあなたでしょう」

そんな中、祥子が突然、ひろ子からいじめられているのは自分ではなく「紀介のほうだ」と言い始める

さらに祥子は、成人した紀介を中学生のように扱い、声をかける。認知症の母が見ているのは“今の息子”ではなく、当時の息子。つまり、キンポーの過去を直接えぐってくる。

キンポーの脳裏には、不良に殴られて傷だらけで帰宅した自分を心配する、昔の祥子の姿が重なる。
彼が抱えてきた怒りと恥ずかしさは、社会的な正義の話ではなく、家の中の温度の話だった。母が心配してくれた。だからこそ、母を笑われたことが許せない。母を守れなかった自分が許せない。

因縁の相手・佃将道へ――「酒臭い男」かもしれないという仮説

キンポーたちは、真相を求めて佃将道のもとへ向かう。

当時の不良のリーダー格。理容室の外で覗いていた男。江藤の証言とつながる“付きまとい”の可能性。――筋だけ見れば、佃が怪しいのは当然だ。

ところが、実際に会った佃は、想像していた“危うさ”とは正反対の空気をまとっていた。

彼は中学時代の「若気の至り」を深く反省し、地域でも評判の介護施設を経営している。利用者たちの前で過去を語り、「やり直せる」と口にする姿は、いわゆる“更生ストーリー”そのもの。キンポーはその眩しさに、逆に心がザラついていく。

佃の証言――マチルダは“一度だけ”乗り込んできた/そして佃は酒を飲めない

キンポーがマチルダのことを尋ねると、佃は「衝突のあと、一度だけ彼女が家に乗り込んできた」ことを語る。

ただ、当時の佃は不良として突っ張っていたはずなのに、女性であるマチルダの前では弱く、真っ赤になって黙るしかなかったという。ここでわかるのは、少なくとも佃が“マチルダと接点を持った”こと。そして彼が彼女に対して、何らかの感情(恐れ/憧れ/意識)を抱いていたことだ。

しかし決定的なのは、佃が「酒を一切飲めない」ことが判明する点。

江藤が語った“酒臭い男”と一致しない。ここで容疑の一番太い柱が一本折れる。佃は“付きまといの男”ではない可能性が高まる。捜査の観点で言えば、人物像の整合性が崩れた瞬間だ。

「見ていたのはマチルダじゃない」――理容室の窓の真相

キンポーが、理容室の外から覗いていた理由を問うと、佃の答えはさらに予想外だった。

佃が見惚れていたのはマチルダではなく、祥子だったというのだ。若い頃の祥子は綺麗で、佃は髪を切ってもらいたかった。しかし当時の彼は、店に入っていく度胸がなかった。窓の外から眺めるしかない――情けないけれど、それが佃の“真実”だった。

つまり、キンポーのフラッシュバックは「窓の外にいた男=佃」までは当たっていたが、「佃が狙っていたのはマチルダ」という部分がズレていた。
このズレこそ、第4話のテーマである“記憶の改竄”を象徴している。人は、自分にとって一番痛い箇所を隠すように、記憶を編集してしまう。

「カンフーで殴り返された」――妄想に混ざっていた“事実”

さらに佃は、かつて紀介にカンフーで殴り返されたことがある、と語る。

雄太と肇も、そして紀介自身も「そんなのは妄想だろ」と片づけていた記憶。しかし、そこには確かに事実もあった。キンポーの“気功波”は盛りに盛った脚色だったとしても、「反撃した瞬間」自体は現実に存在していた

この事実は、キンポーを救う。

なぜなら「一度も反撃できなかった」という自己像は、彼をずっと苦しめるからだ。小さくても、たった一度でも、殴り返した事実がある。それは“無力さ”の物語を少しだけ書き換える。

施設に預ける提案と、差し出された手――和解のチャンスは目の前にあった

雄太と肇は、介護に疲弊するキンポーのために、祥子を佃の施設に預けることを提案する

佃もまた、和解の握手をしようと手を差し出す。理屈だけで見れば、これは最適解に近い。介護のプロがいる。キンポーの負担が減る。佃にとっても贖罪の機会になる。誰も損しない“Win-Win”に見える。

しかし、人生はロジックだけで動かない。
キンポーが佃の手を取ろうとした瞬間、記憶が刺さる。佃が自分の髪型を嘲笑し、手下を従えて何度も暴力を振るったこと。

それは、過去の出来事ではなく、今もキンポーの体内に残る痛みだ。

キンポーの怒りが爆発――「許すかどうかは、僕が決める」

ここからが第4話の核。

キンポーは涙を溜めながら、佃の“勝手な更生”に噛みつく。過去の暴力を「やんちゃだった」で済ませ、周囲の拍手を受け、さらには「水に流して新しい関係を」と言える立場にいる――それが、被害者側の時間を置き去りにしている、と。

キンポーが一番許せないのは、殴られたこと以上に、母の努力を踏みにじられたことだった。

父が亡くなり、祥子は店を守るために理容師として必死に腕を磨いた。毎日遅くまで、息子の頭でカットの練習をして、うまくいかないたびに謝った。それでもキンポーは、母に切ってもらう髪が好きだった。母が働く姿が誇りだった。

その“誇り”を笑われた瞬間の悔しさは、どれだけ謝られても消えない。だからキンポーは言い切る。「許すかどうかは被害者が決める」。そして自分は佃を許さない、と。

この場面の重要点は、キンポーが「復讐」ではなく「拒否」を選んでいることだ。
握手を断り、施設への預け入れという合理案も一度は振り払う。感情が先に立つ。でも、感情が先に立つこと自体が、キンポーにとっては“正しさ”でもある。彼はずっと、感情を飲み込んで生きてきた男だから。

追いかけてきた佃と、3人のカンフーポーズ――“憎み続けない”という選択

佃の施設を出たあと、雄太と肇は佃に頭を下げる。
正直、謝る筋合いがあるのは本来、佃のほうだ。それでも雄太と肇は「過去をえぐるようなことをしてしまった」自覚もあるし、キンポーの怒りを目の当たりにして、軽々しく和解ムードを作った自分たちの不用意さにも気づいている。

さらに佃は、わざわざ追いかけてきてもう一度声をかける。

そこで3人は、まるで中学時代に戻ったようにカンフーの構えを取り、変な間合いで笑ってしまう。

この笑いは「許した」でも「なかったことにした」でもない。ただ、“今ここで殴り合わない”という選択だ。キンポーは佃を許さないと宣言した。でも、憎み続けることとも別の話として、いったん笑って区切る。大人の友情って、こういうグラデーションで成り立つんだなと感じさせる小さな場面だった。

そして思い出す“もう一つの真実”――最初に手を上げたのは誰だった?

キンポーの爆発を見た雄太と肇は、当時の記憶をさらに掘り起こす。
実は、佃に最初に手を上げたのは雄太でも肇でもなく、キンポーだった――この事実が、ここで浮かび上がる。

この発見は、単なる「喧嘩の経緯」の修正ではない。

キンポーはずっと“やられた側”の物語を生きてきた。しかし、彼にも「自分から踏み込んだ瞬間」があった。もちろん、それが暴力の正当化にはならない。

けれど、キンポーの人生に「主体性」があったことを示す。
第4話は、記憶を“被害”の形で固定せず、「自分も動いていた」と認めるところまで連れていく。

ガンダーラ珈琲で漫画原稿を読む――反応は芳しくない、それでも…

3人はガンダーラ珈琲へ戻り、キンポーが仕上げた漫画原稿(ネーム)を読む。

だが、雄太と肇の反応は芳しくない。言葉を選びながらも、手放しで褒められる出来ではない。キンポー自身も、自分には“衝動”――表現者としてのエンジンが足りないことを自覚していた。

ここ、刺さる。
才能がないというより、飢えが足りない。飢えが足りないから、時間を確保しても筆が進まない。キンポーは“努力の問題”にすり替えてしまいがちだが、むしろ問題は努力の前にある。何を描きたいのか、なぜ描きたいのか、その芯がまだ掴めていない。

母は夢を奪ったのではなく、背中を押していた――記憶の反転

ガンダーラでの会話の中で、キンポーの脳裏に決定的な記憶がよみがえる。

祥子はかつてマチルダに、「息子がいじめられている」「紀介が漫画家の道に進むように促してほしい」と相談していた。つまり、祥子はキンポーの夢を“潰した側”ではなく、守ろうとしていた側だった

マチルダから「本当にやりたいことは何?」と問われたキンポーは、自分が無理に漫画を描いていたことに気づく。
そして――母に捨てられたと思い込んでいた原稿は、実は自分自身がゴミ箱に捨てていた。

母に夢を奪われたと思っていたのは、キンポー自身が作り上げた“すり替えられた記憶”だったのだ。

この反転は、痛いけど救いでもある。
「母のせいで夢を諦めた」と思い込むほうが、人生の説明は簡単だ。でも、その説明に乗り続ける限り、彼はずっと“奪われた側”でしかいられない。

第4話が提示した答えは、「本当は自分で選んでいた」という厳しさ。そして同時に、「自分で選んだ道なら、もう一度自分で選び直せる」という希望だ。

「理容師になる」という夢――キンポーが辿り着いた自己肯定

正しい記憶を呼び起こしたキンポーは、さらに一つの答えに辿り着く。
祥子に漫画の原稿を捨てられてから、自分は無理やり夢を諦め、つまらない人生を送っていると思い込んでいた。だが本当は、自分の意思で「祥子と同じ理容師になる」という道を選び、別の形で夢を叶えていたのだ。

ここで第4話のテーマが回収される。

夢は一つじゃない。漫画家になれなかった=夢が死んだ、ではない。母の背中を追い、店を守り、母を支えながら生きることも、キンポーにとっての夢の一部だった。

だからこそ、佃に言い放った「母を笑うな」という怒りも、単なる過去の恨みではなく、現在の誇りの表明になる。

帰宅、そして胃の痛み――キンポーの身体に出た“サイン”

帰宅したキンポーは、居間でうたた寝をする祥子にそっとブランケットをかける。
怒鳴ってしまったことも、手を振り払ってしまったことも、全部抱えたまま、それでも母の体温を守ろうとする。その瞬間、キンポーの胃に痛みが走る。

ストレスは心だけでなく、身体に出る。
第4話は、キンポーの“優しさ”が限界に近づいていることを、痛みという形で静かに提示して終盤へ向かう。

ラストで浮上する新たな名前――「VIDEO JUPITER」の店長に前科の噂

一方、佃から雄太に電話が入る。
佃は、マチルダに好意を寄せていた人物として、映研が部室代わりにバックヤードを使わせてもらっていたレンタルビデオ店「VIDEO JUPITER」の店長の名を挙げる。さらに彼には前科があるという噂もあるらしい。雄太はその情報に戦慄する。

「マチルダを見ていたのは誰か」という問いが、佃からビデオ店主へ移る。
しかもビデオジュピターは、3人の青春そのものが詰まった場所だ。思い出のバックヤードが、次の疑惑の中心になる。これはかなり残酷で、同時にこのドラマらしい。過去は美化するものじゃなく、掘り返すものだと言わんばかりに、舞台が“青春の中心”へ戻っていく。

第4話はここで幕。
“酒臭い男”の正体はまだ見えない。ただ、佃が外れたことで、疑いの矢印が別の人物へ動き始めたのは確かだ。そして何より、キンポーの中で「過去の自分」と「現在の自分」をつないでいた誤解がほどけた。
事件の核心へ向かうと同時に、3人それぞれの人生の核心にも踏み込んでいく――そんな分岐点として、第4話はかなり大事な1時間だった。

ドラマ「ラムネモンキー」4話の伏線

ドラマ「ラムネモンキー」4話の伏線

※ここから先は第4話の内容に触れます。

第4話は、マチルダ(宮下未散)の失踪(死)の真相を追う線が「隣の中学の不良グループ」へ寄りかけたところで、いったんブレーキがかかる回でした。容疑者っぽく見えた佃将道が“更生した大人”として現れ、代わりに「酒臭い男」や「記憶のズレ」が事件を押し戻してくる。ここでは、作中で提示された伏線を「回収/方向転換」と「未回収」に分けて整理します。

4話で“回収”または“方向転換”した伏線

まずは、第4話の中で一度答えが出たり、見立てが変わったポイントから。ここを押さえると、次に追うべき論点が見えてきます。

「酒臭い男」=佃将道(元不良)説がいったん崩れた

体育教師・江藤の証言で浮上したのが、マチルダが失踪前に「酒臭い男」に付きまとわれていたという話。これだけ聞くと、荒れていた過去を持つ佃に疑いが向くのは自然です。

ただ第4話で決定的だったのは、佃本人が「酒は一滴も飲めない」と語り、少なくとも“酒臭い男”の条件とは噛み合わなくなった点。ここで犯人像が「不良リーダー」から「別の大人」へスライドし、事件の射程が広がりました。

佃が「覗いていた」のはマチルダではなく祥子だった

紀介(キンポー)の記憶では、理容室の窓の外から佃がニヤついて覗いていた=マチルダを狙うストーカー、という読みになりかけます。

ところが佃は、見惚れていたのはマチルダではなく紀介の母・祥子だったと明かす。動機の矛先が変わり、佃の“黒幕感”が後退したのは大きい。もちろん、これが真実かどうかは別問題ですが、少なくとも作中の提示としては「佃=ストーカー」の一本線は折られました。

キンポーの“最強カンフー”は誇張された記憶(ただし芯は残る)

第4話は「記憶は当てにならない」というテーマを、伏線として強めてきた回でもあります。

キンポーは、カンフーで不良たちをなぎ倒し、気功波まで放った…という派手な記憶を語る。でも本人も「盛ってる」「妄想に近い」自覚がある。

一方で佃は、「昔キンポーに殴り返された(カンフーで)」という記憶を持っていた。完全な作り話ではなく、“一部だけ事実”が混ざった誇張だった可能性が浮上します。さらに雄太と肇も「最初に手を上げたのは自分たちではなく紀介だった」と思い出す。ここまで来ると、今後の捜査で一番危ないのは「証拠がない記憶」そのものです。

「夢を奪われた」は自分が作った物語だった

もう一つの大きな“方向転換”は、紀介の人生側。

母に原稿を捨てられたから夢を諦めた——と思い込んでいたのに、実際には母がマチルダに相談していたこと、そして紀介自身が自分の意思で原稿を捨てたことが明らかになります。さらに、理容師になりたいという別の夢を選び、結果として「夢は叶っていた」方向に回収された。これは人間ドラマとしての救いであると同時に、「この作品では“思い込みの記憶”が平気で物語を歪める」という警告でもあります。

まだ回収されていない伏線(次回へ持ち越し)

ここからが第4話の置き土産。次回以降、回収の優先度が高そうなものを“疑うポイント”込みで並べます。

VIDEO JUPITER店長・蛭田哲夫と「前科の噂」

終盤で一気に浮上したのが、映研がバックヤードを間借りしていたレンタルビデオ店「VIDEO JUPITER」の店長・蛭田哲夫(藤田真澄)の名前です。佃は「マチルダに好意を寄せていた人物」として彼を挙げ、さらに“前科があるらしい”という噂まで持ち込む。ここは次回の本筋に直結する最大の伏線でしょう。

ただし注意点もあって、情報の出どころが佃だということ。佃が真犯人ではないとしても、誰かをかばう/誰かに罪を寄せる“導線役”として動いている可能性は残ります。「佃が何を知っていて、なぜ今それを言うのか」は、事件の核心に触れる問いになりそうです。

「酒臭い男」の匂いは誰のものか

江藤の証言に出てきた“酒臭い男”は、まだ正体不明のまま。佃が酒を飲まないなら、候補は大きく二択になります。

  • 本当に酒を飲む(または酒を扱う)別人がいた
  • 証言の一部がズレている(匂い=酒、と思い込んだ可能性も含む)

ここは「匂い」という曖昧な情報である分、ミスリードにも真相にもなり得る。蛭田が浮上したことで、“店に酒臭い客が出入りしていた”など別の線も立ちますが、現時点では断定できません。

祥子の失踪と「いじめ」発言が残した影

祥子が突然いなくなる一件は、単なる介護エピソードで終わらせない作りでした。帰ってきた祥子が介護士に対して事実無根の不満をぶつけ、紀介が限界を超えて叱ってしまう。さらに後日、祥子は「いじめられているのは自分じゃなく紀介だ」と言い出す。

これが認知症による混乱だとしても、“いじめ”という単語が作品全体のテーマ(過去の暴力)とリンクしている以上、何らかの形で回収される可能性は高い。少なくとも、紀介の中に残る「被害者の時間」が現在の生活を蝕む——その因果は、事件捜査の集中力にも影響していきます。

紀介の胃痛=生活が崩れる予兆

終盤、紀介は祥子にブランケットをかけた瞬間に胃の痛みを訴えます。ストレス反応にも見えるし、これが体調悪化の前振りなら「介護を抱える側が倒れる」という現実的なリスクが物語に入ってくる。事件の真相に近づくほど、生活が先に崩れていく…という苦い展開も十分あり得ます。

伏線を「動機/機会/後処理」で仮置きしてみる

ここまでの材料だけで、マチルダ失踪に関わりそうな人物を“型”に当てはめてみます(※推測)。

  • 蛭田(VIDEO JUPITER店長)
    • 動機:好意が執着に変わっていた場合、拒絶が引き金になり得る
    • 機会:部室替わりの店=映研やマチルダに近い立場
    • 後処理:前科の噂が事実なら、隠す動きが上手い可能性も
  • 佃(元不良)
    • 動機:マチルダに詰められた恨み、あるいは“昔の自分”を見られたくない恐れ
    • 機会:当時の不良グループの中心
    • 後処理:更生後の社会的立場がむしろ隠蔽の武器にもなる
    • ただし酒の条件が合わない/視線の対象が祥子だった、など矛盾点も多い

第4話の伏線を一言でまとめるなら、「容疑者が増えた」のではなく「証言(記憶)の信用度が落ちた」。誰が怪しいかより、誰の“語り”がどこでズレたのか。次回はそこが、一気に効いてきそうです。

ドラマ「ラムネモンキー」4話の感想&考察

ドラマ「ラムネモンキー」4話の感想&考察

※ここから先は第4話の内容に触れます。

第4話を見終わって強く残ったのは、ミステリーの“手がかり”よりも「許せない」という感情のリアルさでした。更生した元いじめっ子と向き合う場面、認知症の母に向けてしまう苛立ち、そして自分の記憶がひっくり返る瞬間。事件の線も進みつつ、人生の線が深く刺さる回だったと思います。

4話は“キンポー回”であり、「許さない回」だった

この回の主役は、間違いなく菊原紀介(キンポー)。いじめられていた側が台詞って、どうしても“綺麗な話”に寄りがちなのに、4話はそうならなかった。

佃が笑顔で握手を差し出し、「昔は若気の至り」「やり合った友人」みたいな顔をしたとき、紀介が返したのは“被害者の時間”そのものでした。暴力を振るった側は「もう終わった話」にできる。

でも振るわれた側は、その瞬間からずっと終わってない。しかも今回は、侮辱されたのが自分の髪型=母の努力の象徴だったから余計に刺さる。あそこを「一生許さない」と言い切るのは、復讐じゃなくて境界線の宣言に見えました。

もう一段言うなら、あの怒りは佃“だけ”に向いていない。疲れ切っている自分、母を重荷だと思ってしまう自分、夢を捨てたと決めつけて諦めた自分——全部ひっくるめて、吐き出さないと立っていられない怒りだった気がします。だからこそ、言葉が荒くても、嘘くさくならない。

介護の描写が“美談”に逃げないのが強い

個人的に一番きつかったのは、祥子がいなくなった場面と、その後の紀介の崩れ方です。

紀介は漫画に集中するために在宅ケアを増やし、新しい介護士・三島ひろ子も迎える。体制だけ見ると前進しているのに、祥子のほうは環境の変化に耐えられず、突然いなくなってしまう。家族側の「整えたい」と本人側の「怖い」がぶつかる、介護あるあるの地獄がそのまま出ていました。

母が見つかってホッとしたはずなのに、心のどこかで「このまま帰ってこなければ」と思ってしまった自分を認めてしまう。これ、優しい人ほど抱える“黒い本音”なんですよね。介護は愛情だけで回らない。睡眠も時間も削られて、未来が見えなくなる。そこで出てくる感情を、良い人の顔のまま隠せないのが紀介のリアルさでした。

さらに後日、祥子が紀介を“中学生”扱いして声をかけてしまう場面。あれは母の症状の残酷さでもあるし、紀介にとっては「守る側」から一瞬で「守られる側」へ引き戻されるスイッチでもある。時間が巻き戻る感覚が、視聴者にも喉の奥に引っかかる感じで残りました。

ユンとチェンの友情が効いている——“解決”じゃなく“同席”する強さ

このドラマ、事件を追うのは3人だけど、心が折れそうなときに“助け方”が上手い。

祥子の失踪に慌てて駆けつける、紀介の最悪の本音(いなくなればと思った)を聞いても説教しない、そして「立派にやってる」と言葉を渡す。優等生の正論で締めずに、同じ場所に立ってくれるから、紀介もやっと呼吸できる。ここが第4話の温度を支えていました。

あと地味に好きなのが、2人が紀介のために「施設に預ける」という現実的な選択肢を出すところ。綺麗事では救えないとき、“選択肢を増やす”のが優しさになる。事件パートより先に、人生パートが動く回として効いていたと思います。

「許さない」と「憎まない」は両立する——カンフーポーズの意味

第4話が上手いのは、「許さない」を“憎しみの継続”に直結させなかったところ。

佃を追い返したあと、紀介がカンフーポーズを決めて去っていく。あれは挑発というより、「お前はお前で背負って生きろよ」という突き放したエールに見えました。許さない。でも、人生の全部を潰しにいくわけでもない。

ここで僕が感じたのは、“破滅”じゃなく“固定”の発想です。佃は更生しても、被害者から赦しをもらえない限り、あの日の出来事は消えない。消えないまま生きるしかない。それって残酷だけど、公平でもある。紀介が赦しを与えないことで、佃の逃げ道を塞ぎつつ、自分の人生は前に進める形になっている。あの距離感が、今後の人間関係の描き方にも繋がりそうです。

記憶のすり替えがエグい:人は自分を守るために物語を作る

そしてもう一つ、4話の核心は「記憶が変わる怖さ」。

紀介は長年「母に原稿を捨てられた」と思い込んでいたのに、実際には母がマチルダに相談していたこと、そして紀介自身が“自分の意思で”原稿を捨てていたことを思い出す。つまり、悪者にしていたのは母じゃなく、自分の中の“言い訳”だった。

このひっくり返し、救いでもあり、怖さでもあります。救いなのは「母は敵じゃなかった」こと。怖いのは「自分が自分の人生に、勝手に敗北ストーリーを貼り付けていた」こと。中年になると、“失ったもの”の棚卸しをしがちだけど、実は失ってなくて、別の形で叶っていた——って、刺さる人は相当多いと思う。

ここで効いてくるのが、カンフーの誇張記憶とも繋がる「事実の芯だけ残して、都合よく脚色する」癖です。人って、痛みを処理するためにストーリーを作る。だから本筋の失踪事件も、誰かが意図的に嘘をついているというより、本人も“本当だと思っている”ズレが混ざっていそうで怖い。

事件考察:次に追うべきは「酒臭い男」と「VIDEO JUPITER店長」

推理パートの整理もしておくと、第4話でいちばん動いたのは「酒臭い男」の線です。佃が酒を飲まない以上、この条件を満たす人物は別にいる可能性が高い。

その候補として浮上したのが、VIDEO JUPITER店長・蛭田哲夫。佃が「マチルダに好意を寄せていた」と名指しし、前科の噂まで出てきた以上、次回はここが本命ルートになりそうです。

ただ、ここでも断定は禁物。成立条件を置くなら、

  • マチルダの生活圏(学校・理容室・映研周辺)に“継続的に”入り込めた
  • 拒絶やトラブルの“きっかけ”があった
  • 失踪後に痕跡を消せるだけの段取り(もしくは協力者)があった

この3つが揃って初めて「犯人像」になります。今はまだ、佃が持ち込んだ情報が“真実”なのか、“誘導”なのかの判定すら終わっていません。だから次回は、蛭田の過去そのものより、雄太たちがどこで何を確認できるのか——ログ(記録)側の描写に注目したいです。

次回に向けて注目したいポイント

最後に、次回を見る前に僕がチェックしておきたい点をメモしておきます。

  • VIDEO JUPITER店長は「酒臭い男」と同一人物なのか、それとも別線なのか
  • 佃は“情報提供者”として信用できるのか(利害はどこにある?)
  • 祥子の介護環境はこのまま維持できるのか(紀介の体調含め)
  • 3人の記憶は、どこまで“意図せず”書き換わっていくのか

第4話は、犯人探しを一歩進めたというより「犯人探しのやり方」を更新した回でした。証言はズレる、記憶は脚色される。だからこそ、次回は“怪しい人”より先に、“確かめられる事実”を積み上げる展開に期待したいです。

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